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ラクスル(4384)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

情報・通信業 情報通信・サービスその他

事業の概要

  • デジタル変革の推進
    ラクスルグループは、印刷や広告といった伝統的な業界のデジタル化が遅れている領域にインターネット技術を導入し、新しい仕組みを構築しています。これにより、中小企業や個人事業主が抱える非効率なビジネス慣習を変革し、経営改善を支援することで収益を得ています。
  • プラットフォーム運営
    同社は、印刷物の受発注プラットフォーム「ラクスル」やテレビCM・動画広告のプラットフォーム「ノバセル」などを開発・運営しています。これらのプラットフォームを通じて、サプライヤー(印刷会社やメディア)と顧客を効率的に結びつけ、取引手数料や広告枠の販売などで収益を上げています。
  • シェアリングエコノミー
    印刷事業では、全国の中小印刷会社をネットワーク化し、稼働率の低い印刷機の空き時間を活用して顧客の注文を処理する「シェアリングエコノミー」モデルを採用しています。これにより、自社で大規模な設備を持たずに多様な印刷ニーズに対応し、効率的な事業運営を実現しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 調達プラットフォーム
    このセグメントは、印刷・集客支援の「ラクスル」、段ボール・梱包材の「ダンボールワン」、印鑑の「ハンコヤドットコム」など、様々な商品の受発注プラットフォームを運営しています。主に中小企業や個人事業主向けに、インターネットを通じて印刷物や資材の調達を効率化するサービスを提供しており、売上高は576.41億円、営業利益は73.9億円と、グループの主要な収益源となっています。
  • マーケティングプラットフォーム
    このセグメントは、テレビCM・動画広告のプラットフォーム「ノバセル」やホームページ製作SaaS「ペライチ」の開発・運営を行っています。中小企業が低価格でテレビCMや動画広告を利用できるようにしたり、簡単にホームページを作成できるサービスを提供することで、マーケティング活動を支援しています。売上高は38.33億円ですが、営業利益は-2.6億円と、現時点では投資段階にあることが示唆されます。
2025-07 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
SupplyPlatformReportableSegment 事業 576 74 12.8%
MarketingPlatformReportableSegment 事業 38 -3 -6.8%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|4,097 文字
3【事業の内容】当社グループは「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンの基、デジタル化が進んでいない伝統的な業界にインターネットを用いて新しい仕組みを創り、既存のビジネス慣習を変えていくことで、当社グループの主な顧客である国内の中小企業・個人事業主の経営をより良くすることを目指し、事業を展開しております。当社グループは当社及び関係会社12社で構成され、その主な事業内容と当社及び主な関係会社の当該事業に係る位置づけは次のとおりであります。なお、以下に示す事業区分は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。当連結会計年度より、従来「ラクスル」としていた報告セグメントの名称を「調達プラットフォーム」、従来「ノバセル」としていた報告セグメントの名称を「マーケティングプラットフォーム」に変更しております。また、2024年8月1日付で組織変更を実施し、マネジメント・アプローチの観点から、従来「その他」として開示していたペライチ事業を「マーケティングプラットフォーム」に変更しております。セグメント主な事業内容主な関係会社調達プラットフォーム以下に掲げるプラットフォーム(ECサイト)の開発・運営その他これらに付随するサービス①印刷・集客支援の受発注プラットフォーム「ラクスル」②段ボール・梱包材の受発注プラットフォーム「ダンボールワン」③印鑑・スタンプの受発注プラットフォーム「ハンコヤドットコム」④トートバッグの受発注プラットフォーム「トートバッグ工房」株式会社ラクスルファクトリー株式会社ハンコヤドットコム株式会社エーリンクサービスネットスクウェア株式会社株式会社メーリングジャパンマーケティングプラットフォーム①テレビCM・動画広告のプラットフォーム「ノバセル」の開発・運営その他これらに付随する広告代理店事業とマーケティングDX事業②ホームページ製作Saas「ペライチ」の開発・運営その他これらに付随するサービスノバセル株式会社株式会社Wild Side株式会社ペライチインターネットの普及及び技術革新により、既存産業におけるサプライヤー(当社の場合、印刷事業における提携印刷会社や配布会社)を統合するコストが大幅に低下しました。当社グループは、産業ごとにプラットフォームを創出することで、1社が全ての製造及び販売機能を持つのではなく、サプライヤーと顧客の需給を効率良く結び付ける産業形態の在り方を提示したいと考えております。 (1) 調達プラットフォームセグメント[事業系統図]印刷業界全体の市場規模は4.6兆円(注1)と大きなものでありますが、市場に1.3万社以上(注2)もの中小印刷会社が存在しており、供給過多になっているため、印刷機の実際の稼働率は低い水準にあると考えております。また、印刷機によって印刷できる印刷物が異なるため、自社で刷れないものは他の印刷会社に依頼するという“まわし仕事”が発生するといった非効率が残っているのが現状であります。インターネットを使って全国の顧客から印刷の注文を集め、その注文をネットワークとして築いている印刷会社に発注し、印刷機の非稼働時間を使って印刷をする仕組みを開発、提供しております。具体的には、まず、顧客が「ラクスル」のウェブサイト上で印刷物の部数や納期等を選び、印刷データをアップロードします。その後、印刷データを印刷に適したデータに加工し、提携印刷会社へ印刷を委託します。印刷会社は受領した印刷データを印刷後、直接顧客へ品物をお届けします。取引を通して、提携印刷会社の印刷機の稼働率の向上を図り、印刷会社の経営にも資する形での事業展開を実施しております。また、ネット印刷の事業を基軸に、印刷物のデザインサービスや、印刷したチラシの新聞折込・ポスティングといった、狭商圏内での“集客支援(広告)のワンストップサービス”を提供しております。新聞折込やポスティングは、ウェブサイト上で、オンラインの地図上からチラシを配布したい地域と配布希望日を選択すると、自動的に配布枚数と料金が算出され注文することが可能となっております。既存の広告代理店では数百枚程度の小ロットのチラシの配布の場合、単価が低すぎるために営業のコストを回収できず、対応は難しいとされてきました。当社グループはほとんどのプロセスをEC化することで人件費を中心とした営業費用をなくし、小ロットでも低単価で配布できる体制を築いております。結果として、これまで予算が足りず新聞折込やポスティングを使えなかった中小企業・個人事業主のマーケティング活動を可能にしました。 (受発注形態)商品の仕入販売に関しては、店舗や営業所は保有せず、顧客からの受注機能、受注商品の提携印刷会社への発注機能、及びコールセンターにおける顧客サポート機能のみを保有しており、受発注管理のほぼ全てがインターネットを通じて行われております。商品・仕様・納期に応じて設定した価格で顧客に印刷物や配布サービスを販売し、印刷会社・配布会社へは事前に合意した仕入価格で委託を行っております。仕入価格は随時見直しを行っており、販売価格と仕入価格は直接的な連動はしておりません。また、自社ECサイトを通じて商品を購買する顧客の情報をデータベース化し、顧客ごとの購買特性を販売活動に反映させることを可能にする仕組みを構築しております。顧客に対するアプローチは、電子メールによるダイレクトメールの送信、インターネットを通じた広告の掲載及びテレビ等のマス媒体広告を利用しており、各手法を組み合わせることにより新規獲得、追加販売並びに離脱防止に努めております。 (取扱商品)取扱商品は、チラシや冊子といった商業印刷の各種商品、名刺、封筒、印鑑といった事務用印刷の各種商品を中心に、Tシャツやボールペンといったノベルティ商品、梱包資材まで多岐に亘っております。また、集客支援サービスにおいては、新聞折込、ポスティングやダイレクトメール等を取り扱っております。 「ラクスル」は2013年3月にサービスを開始し、その累計ユーザー数の推移は以下のとおりであります。 累計ユーザー数(ユーザー)(注)32021年7月期第1四半期(10月末)1,280,177 第2四半期(1月末)1,363,265 第3四半期(4月末)1,451,614 第4四半期(7月末)1,532,1722022年7月期第1四半期(10月末)1,604,347 第2四半期(1月末)1,693,002 第3四半期(4月末)1,788,319 第4四半期(7月末)1,879,4422023年7月期第1四半期(10月末)1,979,281 第2四半期(1月末)2,085,619 第3四半期(4月末)2,208,913 第4四半期(7月末)2,317,1652024年7月期第1四半期(10月末)2,422,578 第2四半期(1月末)2,522,497 第3四半期(4月末)2,635,410 第4四半期(7月末)2,744,3342025年7月期第1四半期(10月末)2,849,967 第2四半期(1月末)2,967,276 第3四半期(4月末)3,156,488 第4四半期(7月末)3,317,307(注)1.令和3年経済センサス‐活動調査 製造業(産業別統計表データ)2.上記1.における「印刷・同関連業」の事業所数を記載しております。3.累計ユーザー数は、「ラクスル」に会員登録したユーザーの累計数であります。また、一度も発注を行ったことのない非アクティブなユーザーも含まれております。 (2) マーケティングプラットフォームセグメント[事業系統図]顧客が小ロットかつ低価格でテレビCMの枠や動画を購入できる広告プラットフォーム「ノバセル」を運営しております。テレビCMはわが国でもっともリーチコストが安く多くの人々に情報を届けることが可能である一方、その価格帯の高さから、多く企業にとっては気軽に導入できる広告手段とは言えませんでした。「テレビCMは大手企業だけが使える広告手段」という概念を覆し、より多くの企業が活用できるよう、地方局や広告代理店と連携し、1県、1エリアの放映、あるいは特定番組のテレビ放映枠をピンポイントで1枠から購入可能なサービスを提供しております。放映枠の提供に加えて、費用対効果の高い動画のクリエイティブ制作サービスの提供、さらには、当社グループ自身がこれまでの事業成長で培ってきたテレビCMの広告宣伝投資に係るノウハウを活用し、科学的な分析による「効果の視える化」をサポートしております。具体的には、テレビCMの放映後のサイト訪問数やアプリダウンロード数をクリエイティブや番組毎に測定し、従来「視聴率」という指標でしか計測できなかったテレビCMの放映効果について、WEB広告と同様の検証を可能にするSaaSサービス「ノバセルアナリティクス」や、自社のCM効果だけでなく“他社のCM効果”を“指名検索”という指標で即時に可視化するSaaSサービス「ノバセルトレンド」の提供もしております。これらの広告代理店機能やSaaS/Professional Serviceを通じ、顧客が「ノバセル」のプラットフォームを活用してテレビCMを発注することで、小ロットから購入でき、かつ効率的な効果分析と改善サイクルが実現できるため、コストパフォーマンスの高い広告投資を可能にしております。さらに、中小企業向けの動画広告やホームページ制作SaaSサービス「ペライチ」をサービスラインナップに加え、企業の多様なマーケティング課題を解決するプラットフォームとしての価値を最大化してまいります。(注)SaaSとはSoftware as a Serviceの略であり、インターネットを通じて顧客にソフトウェアを提供することを指します。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
サプライヤーと顧客の需給を効率良く結び付けるプラットフォームを創出しているため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 ネットワーク
インターネットを使って全国の顧客から注文を集め、ネットワーク化した印刷会社に発注する仕組み。
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:国内印刷EC市場が予測通りに拡大しないリスク / 競合他社の動向による競争激化のリスク / 登録ユーザーの獲得が計画通りに進まないリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 12 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

ラクスルは「仕組みづくり」を重視しており、特定の技術的特許やブランド力は現時点では限定的。しかし、プラットフォームとしての認知度向上は進んでおり、将来的な無形資産の蓄積の可能性はある。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

印刷・物流プラットフォームとして、一度利用を開始した顧客が他のプラットフォームへ移行する際には、デザインデータや取引履歴の再構築、新たなオペレーションの学習コストが発生する。特に中小企業にとっては、手間と時間を要するため、一定のスイッチングコストが存在する。

ネットワーク効果★★★☆☆
根拠:中程度利用者増が価値を生む

プラットフォームの利用者が増えることで、印刷会社にとっては受注機会の増加、発注者にとっては選択肢の増加というメリットが生まれる。この相互作用により、プラットフォームの価値が向上するネットワーク効果が働き始めている。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

ITを活用した効率化や、複数の印刷会社との連携によるスケールメリットを追求しているが、印刷業界全体の価格競争や、個々の印刷会社の生産設備への依存度を考慮すると、圧倒的なコスト優位を確立するには至っていない。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

印刷・物流プラットフォームとして、業界内の多数のプレイヤーを束ねることで、一定の規模の経済性を実現している。発注者と供給者を効率的にマッチングさせることで、業界全体の非効率性を解消し、規模の経済を享受するポテンシャルを持つ。

  • 非稼働資産の活用
    ラクスルは、印刷業界の非効率性に着目し、稼働率の低い中小印刷会社の設備をネットワーク化することで、印刷機の非稼働時間を有効活用しています。これにより、提携印刷会社の収益向上に貢献しつつ、顧客には低価格でサービスを提供できる強みがあります。
  • 中小企業向けサービス
    従来の広告代理店では対応が難しかった小ロットのチラシ配布や、高額だったテレビCMを、EC化とプラットフォーム化により低価格で提供しています。これにより、予算が限られる中小企業や個人事業主でも利用しやすいサービスを実現し、新たな顧客層を獲得しています。
  • 多角的なプラットフォーム
    印刷・集客支援の「ラクスル」だけでなく、段ボール・梱包材の「ダンボールワン」、印鑑の「ハンコヤドットコム」といった調達プラットフォームや、テレビCM・動画広告の「ノバセル」、ホームページ製作の「ペライチ」といったマーケティングプラットフォームを展開しています。これにより、多様な顧客ニーズに対応し、事業領域を広げています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針当社グループは、「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」をビジョンとし、デジタル化が進んでいない既存の産業をインターネットにより効率化し、最終顧客に対して一層の便益を提供していくことを通して、社会へ貢献してまいります。 (2) 経営戦略等今後の中長期的な方向性としては、当社の主要事業であるBtoB向けEC事業を軸に、既存アセットを活用し、ソフトウェアやファイナンス領域におけるサービスを提供していくことにより、End-to-Endで中小企業の経営課題を解決するテクノロジープラットフォームを運営します。また、成長モメンタムは継続しながらも、より一層利益とキャッシュ・フロー創出を伴った成長モード“Quality Growth”を目指します。具体的な経営戦略は以下のとおりであります。 当社グループの企業ビジョンと事業展開方針(当社グループの経営ビジョンと事業概要)当社グループは、上記のビジョンの下、顧客ニーズと提携会社の余剰キャパシティ(注1)を繋ぐプラットフォームの運営を行っております。併せて、顧客のマーケティングを支援するSaaS事業を運営しております。 (当社グループサービスの意義:産業にもたらす変革)印刷をはじめとする20世紀に築かれた産業は、資本を持つ大企業が莫大な費用を投じて製造設備を購入し、その製造キャパシティを営業が販売し、過剰に販売した部分を繋がりのある下請けに回すといった、大企業を頂点とする多重下請けのピラミッド型の産業構造を作り上げました。しかし、インターネットの普及及び技術革新により、既存産業におけるサプライヤー(注2)を統合するコストが大幅に低下しました。当社グループは、この多重下請け構造下にある中小印刷会社をインターネットで結びつけ、仮想的に巨大な供給キャパシティを持ち、ECサイトを通じて直接発注者と繋げるシェアリングプラットフォームを創出することで、1社が製造から販売まで全ての機能を持つ産業形態ではなく、サプライヤーと顧客の需給を効率良く結び付ける21世紀型の産業形態の在り方を提示したいと考えております。当社グループが産業にもたらす変革の例は以下のとおりであります。・垂直統合から水平統合への変革(例)印刷業界:自社グループ内で、営業部門、印刷工場、研究開発部門等を保有する垂直統合の形態から、プラットフォームにより各社が保有する印刷工場を水平統合する形態への変革・自社グループ1社での設備投資から、水平統合による巨大なキャパシティへの変革・ピラミッド型の多重下請け構造からネットワーク型のプラットフォームへの変革(例)印刷業界:顧客から受注を行う大手印刷会社が中小印刷会社に実際の印刷業務を委託する多重下請け構造からの変革 (BtoBのプラットフォームとしてのユニークなポジショニング)当社グループは、事業者と事業者を繋ぐBtoBのプラットフォームとして既存産業の革新を実現するという、ユニークなポジショニングを目指しております。プラットフォーム価値を拡大するためには、テクノロジー(インターネット関連技術、プラットフォームの構築技術)、マーケティング(顧客の集客力)及びオペレーション(プラットフォームの運営力)の各要素を高い次元で有機的に連携することが必要であり、当社グループは、各要素の高度化と連携に向けた施策に継続的に取り組んでまいります。 当社グループの企業価値の源泉(当社グループの企業価値の源泉:顧客数×ARPU(注3))当社グループは、顧客からの信頼の総和であり、プラットフォームとしての価値でもある売上高と、顧客及びサプライヤーへの付加価値の総和である売上総利益(当社グループは、売上高からサプライヤーに仕入代金を支払った残りを売上総利益として計上)の最大化を重視した経営を行っております。売上高を構成する顧客数×ARPUの最大化と、提供するサービスの高付加価値化及びサプライヤーの生産性向上による売上原価の低減により実現される売上総利益率の最大化を目指す方針であります。 (高い定着性を有する顧客基盤がもたらす安定的な収益基盤)当社グループの顧客の特徴は、1回の利用で終わるのではなく、複数回の注文を行って頂ける点にあると考えております。多様化する顧客ニーズに対応できる商品ラインナップの拡充や新カテゴリーへの拡張により、クロスセルの拡大を推進することで、事業KPIである「年間購入者数」、「年間平均注文回数」、「平均注文単価」の安定的な推移・改善を目指しております。 プラットフォーム「ラクスル」の戦略(需要・供給双方にWin-Winな自律的成長モデル)当社グループは、プラットフォーム「ラクスル」の運営を通じ、ユーザー(顧客)とサプライヤーをエンパワメント(注4)することで、サプライヤーの増加、当社グループプラットフォームのキャパシティの拡大、ユーザーの増加、取引量の増加、さらなるサプライヤーの増加という、自律的な成長モデルの実現を目指しております。 (供給サイド:シェアリングモデルによる柔軟な供給と資本効率の高い生産体制の実現)当社グループのプラットフォームのサプライヤーに対する付加価値は、余剰キャパシティの活用による稼働率、生産性の向上にあると考えております。これにより、当社グループは印刷という装置産業において、シェアリングによる仮想印刷工場を作り、スケール可能な資本効率の高いビジネス展開を実現しております。また、設備投資をかけずに生産キャパシティの拡張をスピーディーに行うことができ、売上の急成長にも耐えられる生産体制を構築しており、規模の拡大に対応可能な印刷キャパシティの確保による、高い資本効率性の実現が可能となります。 (需要サイド:QCD(注5)をはじめとする顧客への付加価値提供)当社グループのプラットフォームのユーザーに対する付加価値は、小ロットから低コストで発注が可能なため、中小企業・個人事業主等の顧客が裾野広く利用できる点にあると考えております。当社グループは一般の印刷会社に比べ、小ロットの印刷を低価格で提供しております。それは、「ギャンギング」(多面付け印刷)を行うことで一般的な印刷会社に比べて大幅なコストダウンを実現しているためです。当社グループはインターネットで全国から毎日数千の注文を受注し、同じ紙質、同じ部数の注文を多く抱えており、1つの印刷用版で複数の顧客の印刷物をまとめて印刷することが可能になることで、製版コストを複数社で按分し、1社あたりのコストを大幅に下げることが可能となっております。特に固定費の比率が高い小ロットの印刷物は既存の印刷会社に比べ競争力の高い価格で提供できるようになり、小ロット・低価格という新しい印刷市場を生み出しております。これが、特定顧客への依存度が低く、高い定着性を有する顧客基盤の獲得に繋がっていると考えております。 (集客支援サービス)当社グループの大きな特長は、印刷に限らず、中小企業・個人事業主が多い「ラクスル」の顧客の集客活動(マーケティング活動)を支援する点にあります。印刷物のデザインから、新聞折込、ポスティング、ダイレクトメール等の配布手配までをオンライン上で手軽に行うことができます。例えば、新聞折込やポスティングは、当社グループのウェブサイト上で、オンラインの地図上からチラシを配布したい地域と配布希望日を選択すると、自動的に配布枚数と料金が算出されるようになっており、パソコンの操作が苦手な人でも直感的な操作で注文することができます。新聞折込は、新聞の銘柄を指定することも可能となっております。既存の広告代理店では数百枚程度の小ロットのチラシの配布の場合、単価が低すぎるために営業のコストを回収できず、対応は難しいとされてきました。当社グループは、ほとんどのプロセスをEC化することで人件費を中心とした営業費用をなくし、小ロットでも低単価で配布できるようにしました。これにより、これまで予算が足りず新聞折込やポスティングを使えなかった、中小企業・個人事業主のマーケティング活動を可能にしました。当社グループは、この集客支援サービスを展開することにより、ARPUの最大化を図っております。当該サービスを展開するメリットは、印刷物の販売だけではなく販売促進目的の配布サービスを提供することによる顧客単価の上昇、注文件数の増加、ユーザーとの関係性強化、リピート率の上昇等であります。(継続的な業務改善を可能にするリアル・オペレーション・ノウハウ)当社グループは、プラットフォームの運営者でありながら、生産オペレーション面での学習と研究開発を目的として、提携印刷会社と顧客の間のサプライチェーンに直接関与することで、売上原価の低減による売上総利益率の継続的な改善を図っております。具体的な施策は下記のとおりであります。・自社保有印刷機の活用、並びに定型印刷会社へのノウハウ展開・資材の共同購買・新資材の積極開発・物流網の最適構築 〔用語説明〕(注)1.キャパシティ 生産能力や処理能力のこと。当社グループの場合、提携印刷会社が保有する印刷機の生産能力を指す。2.サプライヤー 材料や部品等の供給者のこと。当社グループの場合、提携印刷会社や配布業者等を指す。3.ARPU Average Revenue Per Userの略。 1顧客あたりの平均売上金額であり、単価×購入頻度で計算される。4.エンパワメント 自律性を尊重しつつ、支援し力を付けること。5.QCD Quality, Cost, Deliveryの略。品質、費用、納期を指す。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、上記「(2) 経営戦略等」に記載のとおり、“Quality Growth”を目指します。利益及びキャッシュ・フロー創出を把握するためにも、売上総利益及び調整後EBITDA(注)を重要な経営指標と位置づけ、各経営課題に取り組んでおります。また、営業利益および当期純利益については、外部環境変化に対して経営をコントロールするための指標と位置づけるとともに、中長期的な拡大を目指しております。 〔用語説明〕(注)調整後EBITDA 財務会計上の数値(GAAP、日本基準)から非経常項目やその他特定の調整項目を一定のルールに基づいて控除もしくは調整したものであり、当社グループの恒常的な経営成績を理解するために有用な情報と判断しております。具体的には、株式報酬費用、減価償却費及びのれん償却費を中心に、当社グループが控除すべきと判断する一過性の利益や損失などを控除もしくは調整しております。 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」を企業ビジョンとし、デジタル化が進んでいない既存の産業をインターネットにより効率化し、大企業中心に垂直統合で成立していた産業構造を、プラットフォーム中心の水平分業された産業構造にアップデートするため、以下の課題に取り組んでまいります。 ①国内印刷EC市場の牽引と競争優位性の維持当社グループの主力事業セグメントである調達プラットフォームが属する国内印刷EC市場は、EC化率の継続的な上昇を背景に継続的に拡大しております。国内印刷EC市場において、リーディングカンパニーとして市場を牽引する立場であり続けることが当社グループの成長においても重要であると考えており、新サービスの開発、事業領域の拡張、及び商材ラインナップの拡充を通じて、競争優位性を維持すべく努めてまいります。 ②サービスの認知度向上と新規ユーザー獲得・ユーザーエンゲージメント強化を通じた顧客基盤の拡大当社グループが高い成長率を持続していくためには、当社グループのサービス認知度を向上させ、新規ユーザーを継続的に獲得することが不可欠であると考えております。広告宣伝の費用対効果を維持・向上させつつ、マーケティング活動を継続的に推進するとともに、顧客基盤の拡大に伴い多様化する顧客ニーズを的確に捉え、購買頻度の少ないロングテール商品や新規カテゴリーへの参入も含めた取扱商品の拡大をはじめとした顧客体験向上のための各種施策をより一層強化してまいります。 ③事業拡大と収益性向上を両立した事業運営当社グループの主力事業セグメントである調達プラットフォームセグメントの事業モデルの特長は、全国の印刷会社と提携し、各印刷会社における印刷機の非稼働時間を活用することで、効率性の高い生産体制を維持している点にあります。事業基盤が拡大するにつれて、提携印刷会社数及び一会社当たりの発注量も増えていきますが、提携印刷会社との綿密なコミュニケーション及び協業により、事業が拡大していく中でも低価格かつ安定した品質の商品を継続して提供してまいります。また、一部の印刷商材においては、製造サプライ機能の内製化・拡充を進めることで、更なる生産能力強化と収益性向上を両立してまいります。 ④AI技術の積極的活用と開発体制の継続的強化当社グループはAI技術の急速な発展を経営上の重要な課題と捉えており、AI技術を積極的に活用し、業務プロセスの効率化や既存サービスの付加価値向上を図ることが、中長期的な競争優位性を確立する上で不可欠であると考えております。サービスにおいては名刺やホームページのデザイン自動生成等の導入が進んでおりますが、AI技術開発への継続投資を全社的に促進するとともに、専門知識を持つ人材の育成と確保に努め、技術開発体制を一層強化してまいります。 ⑤強固なデータ基盤の構築によるデータドリブンの経営の推進当社グループの事業において、サービス価値を最大化するためには、顧客の行動様式の分析をはじめとする取引データの高度な活用及びデータドリブンな意思決定が不可欠と考えております。ビッグデータとAI技術の連携を強化し、解析精度と速度を向上させることで、顧客ニーズに即応できるサービス提供を実現し、ユーザーロイヤルティの向上と収益性の改善を目指します。そのため、複数のECサイトで分散している顧客IDの統合を推進し、強固なデータ基盤を構築するとともに、独自の解析体制を確立することで取り組みを進めてまいります。 ⑥情報セキュリティ体制の強化当社グループは、ユーザーの個人情報を中心とした情報資産を多く預かっており、そのセキュリティ体制を強化していくことが重要であると考えております。現在、個人情報保護方針及び情報セキュリティ関連規程に基づき管理を徹底しておりますが、今後もグループ全体の教育・研修やシステムの整備を継続的に行ってまいります。 ⑦組織体制の拡充と多様な人材の採用・育成当社グループの継続的な成長には、多様な人材の採用・育成と活躍を推進する組織体制の整備が不可欠と考えております。「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンに共感する多様なバックグランドをもつ人材の採用、最適な人材配置、そして継続的な人材育成の仕組みを構築してまいります。また、従業員の能力を最大限に発揮できるよう、人事制度の構築と職場環境の整備にも継続的に取り組んでまいります。 ⑧PMI体制の継続的強化当社グループの中長期的な成長戦略として、連続的なM&Aの実行を掲げております。M&Aの成功と事業シナジーの最大化には、事業基盤やテクノロジー基盤を中心に、高度なPMI(Post MergerIntegration:M&A後の統合プロセス)推進能力が求められます。そのため、専門チームを組成し推進体制を確立するとともに、PMIプロセスの継続的な強化を通じて、事業間のシナジー創出と成長の再現性を高めてまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針当社グループは、「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」をビジョンとし、デジタル化が進んでいない既存の産業をインターネットにより効率化し、最終顧客に対して一層の便益を提供していくことを通して、社会へ貢献してまいります。 (2) 経営戦略等今後の中長期的な方向性としては、当社の主要事業であるBtoB向けEC事業を軸に、既存アセットを活用し、ソフトウェアやファイナンス領域におけるサービスを提供していくことにより、End-to-Endで中小企業の経営課題を解決するテクノロジープラットフォームを運営します。また、成長モメンタムは継続しながらも、より一層利益とキャッシュ・フロー創出を伴った成長モード“Quality Growth”を目指します。具体的な経営戦略は以下のとおりであります。 当社グループの企業ビジョンと事業展開方針(当社グループの経営ビジョンと事業概要)当社グループは、上記のビジョンの下、顧客ニーズと提携会社の余剰キャパシティ(注1)を繋ぐプラットフォームの運営を行っております。併せて、顧客のマーケティングを支援するSaaS事業を運営しております。 (当社グループサービスの意義:産業にもたらす変革)印刷をはじめとする20世紀に築かれた産業は、資本を持つ大企業が莫大な費用を投じて製造設備を購入し、その製造キャパシティを営業が販売し、過剰に販売した部分を繋がりのある下請けに回すといった、大企業を頂点とする多重下請けのピラミッド型の産業構造を作り上げました。しかし、インターネットの普及及び技術革新により、既存産業におけるサプライヤー(注2)を統合するコストが大幅に低下しました。当社グループは、この多重下請け構造下にある中小印刷会社をインターネットで結びつけ、仮想的に巨大な供給キャパシティを持ち、ECサイトを通じて直接発注者と繋げるシェアリングプラットフォームを創出することで、1社が製造から販売まで全ての機能を持つ産業形態ではなく、サプライヤーと顧客の需給を効率良く結び付ける21世紀型の産業形態の在り方を提示したいと考えております。当社グループが産業にもたらす変革の例は以下のとおりであります。・垂直統合から水平統合への変革(例)印刷業界:自社グループ内で、営業部門、印刷工場、研究開発部門等を保有する垂直統合の形態から、プラットフォームにより各社が保有する印刷工場を水平統合する形態への変革・自社グループ1社での設備投資から、水平統合による巨大なキャパシティへの変革・ピラミッド型の多重下請け構造からネットワーク型のプラットフォームへの変革(例)印刷業界:顧客から受注を行う大手印刷会社が中小印刷会社に実際の印刷業務を委託する多重下請け構造からの変革 (BtoBのプラットフォームとしてのユニークなポジショニング)当社グループは、事業者と事業者を繋ぐBtoBのプラットフォームとして既存産業の革新を実現するという、ユニークなポジショニングを目指しております。プラットフォーム価値を拡大するためには、テクノロジー(インターネット関連技術、プラットフォームの構築技術)、マーケティング(顧客の集客力)及びオペレーション(プラットフォームの運営力)の各要素を高い次元で有機的に連携することが必要であり、当社グループは、各要素の高度化と連携に向けた施策に継続的に取り組んでまいります。 当社グループの企業価値の源泉(当社グループの企業価値の源泉:顧客数×ARPU(注3))当社グループは、顧客からの信頼の総和であり、プラットフォームとしての価値でもある売上高と、顧客及びサプライヤーへの付加価値の総和である売上総利益(当社グループは、売上高からサプライヤーに仕入代金を支払った残りを売上総利益として計上)の最大化を重視した経営を行っております。売上高を構成する顧客数×ARPUの最大化と、提供するサービスの高付加価値化及びサプライヤーの生産性向上による売上原価の低減により実現される売上総利益率の最大化を目指す方針であります。 (高い定着性を有する顧客基盤がもたらす安定的な収益基盤)当社グループの顧客の特徴は、1回の利用で終わるのではなく、複数回の注文を行って頂ける点にあると考えております。多様化する顧客ニーズに対応できる商品ラインナップの拡充や新カテゴリーへの拡張により、クロスセルの拡大を推進することで、事業KPIである「年間購入者数」、「年間平均注文回数」、「平均注文単価」の安定的な推移・改善を目指しております。 プラットフォーム「ラクスル」の戦略(需要・供給双方にWin-Winな自律的成長モデル)当社グループは、プラットフォーム「ラクスル」の運営を通じ、ユーザー(顧客)とサプライヤーをエンパワメント(注4)することで、サプライヤーの増加、当社グループプラットフォームのキャパシティの拡大、ユーザーの増加、取引量の増加、さらなるサプライヤーの増加という、自律的な成長モデルの実現を目指しております。 (供給サイド:シェアリングモデルによる柔軟な供給と資本効率の高い生産体制の実現)当社グループのプラットフォームのサプライヤーに対する付加価値は、余剰キャパシティの活用による稼働率、生産性の向上にあると考えております。これにより、当社グループは印刷という装置産業において、シェアリングによる仮想印刷工場を作り、スケール可能な資本効率の高いビジネス展開を実現しております。また、設備投資をかけずに生産キャパシティの拡張をスピーディーに行うことができ、売上の急成長にも耐えられる生産体制を構築しており、規模の拡大に対応可能な印刷キャパシティの確保による、高い資本効率性の実現が可能となります。 (需要サイド:QCD(注5)をはじめとする顧客への付加価値提供)当社グループのプラットフォームのユーザーに対する付加価値は、小ロットから低コストで発注が可能なため、中小企業・個人事業主等の顧客が裾野広く利用できる点にあると考えております。当社グループは一般の印刷会社に比べ、小ロットの印刷を低価格で提供しております。それは、「ギャンギング」(多面付け印刷)を行うことで一般的な印刷会社に比べて大幅なコストダウンを実現しているためです。当社グループはインターネットで全国から毎日数千の注文を受注し、同じ紙質、同じ部数の注文を多く抱えており、1つの印刷用版で複数の顧客の印刷物をまとめて印刷することが可能になることで、製版コストを複数社で按分し、1社あたりのコストを大幅に下げることが可能となっております。特に固定費の比率が高い小ロットの印刷物は既存の印刷会社に比べ競争力の高い価格で提供できるようになり、小ロット・低価格という新しい印刷市場を生み出しております。これが、特定顧客への依存度が低く、高い定着性を有する顧客基盤の獲得に繋がっていると考えております。 (集客支援サービス)当社グループの大きな特長は、印刷に限らず、中小企業・個人事業主が多い「ラクスル」の顧客の集客活動(マーケティング活動)を支援する点にあります。印刷物のデザインから、新聞折込、ポスティング、ダイレクトメール等の配布手配までをオンライン上で手軽に行うことができます。例えば、新聞折込やポスティングは、当社グループのウェブサイト上で、オンラインの地図上からチラシを配布したい地域と配布希望日を選択すると、自動的に配布枚数と料金が算出されるようになっており、パソコンの操作が苦手な人でも直感的な操作で注文することができます。新聞折込は、新聞の銘柄を指定することも可能となっております。既存の広告代理店では数百枚程度の小ロットのチラシの配布の場合、単価が低すぎるために営業のコストを回収できず、対応は難しいとされてきました。当社グループは、ほとんどのプロセスをEC化することで人件費を中心とした営業費用をなくし、小ロットでも低単価で配布できるようにしました。これにより、これまで予算が足りず新聞折込やポスティングを使えなかった、中小企業・個人事業主のマーケティング活動を可能にしました。当社グループは、この集客支援サービスを展開することにより、ARPUの最大化を図っております。当該サービスを展開するメリットは、印刷物の販売だけではなく販売促進目的の配布サービスを提供することによる顧客単価の上昇、注文件数の増加、ユーザーとの関係性強化、リピート率の上昇等であります。(継続的な業務改善を可能にするリアル・オペレーション・ノウハウ)当社グループは、プラットフォームの運営者でありながら、生産オペレーション面での学習と研究開発を目的として、提携印刷会社と顧客の間のサプライチェーンに直接関与することで、売上原価の低減による売上総利益率の継続的な改善を図っております。具体的な施策は下記のとおりであります。・自社保有印刷機の活用、並びに定型印刷会社へのノウハウ展開・資材の共同購買・新資材の積極開発・物流網の最適構築 〔用語説明〕(注)1.キャパシティ 生産能力や処理能力のこと。当社グループの場合、提携印刷会社が保有する印刷機の生産能力を指す。2.サプライヤー 材料や部品等の供給者のこと。当社グループの場合、提携印刷会社や配布業者等を指す。3.ARPU Average Revenue Per Userの略。 1顧客あたりの平均売上金額であり、単価×購入頻度で計算される。4.エンパワメント 自律性を尊重しつつ、支援し力を付けること。5.QCD Quality, Cost, Deliveryの略。品質、費用、納期を指す。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、上記「(2) 経営戦略等」に記載のとおり、“Quality Growth”を目指します。利益及びキャッシュ・フロー創出を把握するためにも、売上総利益及び調整後EBITDA(注)を重要な経営指標と位置づけ、各経営課題に取り組んでおります。また、営業利益および当期純利益については、外部環境変化に対して経営をコントロールするための指標と位置づけるとともに、中長期的な拡大を目指しております。 〔用語説明〕(注)調整後EBITDA 財務会計上の数値(GAAP、日本基準)から非経常項目やその他特定の調整項目を一定のルールに基づいて控除もしくは調整したものであり、当社グループの恒常的な経営成績を理解するために有用な情報と判断しております。具体的には、株式報酬費用、減価償却費及びのれん償却費を中心に、当社グループが控除すべきと判断する一過性の利益や損失などを控除もしくは調整しております。 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」を企業ビジョンとし、デジタル化が進んでいない既存の産業をインターネットにより効率化し、大企業中心に垂直統合で成立していた産業構造を、プラットフォーム中心の水平分業された産業構造にアップデートするため、以下の課題に取り組んでまいります。 ①国内印刷EC市場の牽引と競争優位性の維持当社グループの主力事業セグメントである調達プラットフォームが属する国内印刷EC市場は、EC化率の継続的な上昇を背景に継続的に拡大しております。国内印刷EC市場において、リーディングカンパニーとして市場を牽引する立場であり続けることが当社グループの成長においても重要であると考えており、新サービスの開発、事業領域の拡張、及び商材ラインナップの拡充を通じて、競争優位性を維持すべく努めてまいります。 ②サービスの認知度向上と新規ユーザー獲得・ユーザーエンゲージメント強化を通じた顧客基盤の拡大当社グループが高い成長率を持続していくためには、当社グループのサービス認知度を向上させ、新規ユーザーを継続的に獲得することが不可欠であると考えております。広告宣伝の費用対効果を維持・向上させつつ、マーケティング活動を継続的に推進するとともに、顧客基盤の拡大に伴い多様化する顧客ニーズを的確に捉え、購買頻度の少ないロングテール商品や新規カテゴリーへの参入も含めた取扱商品の拡大をはじめとした顧客体験向上のための各種施策をより一層強化してまいります。 ③事業拡大と収益性向上を両立した事業運営当社グループの主力事業セグメントである調達プラットフォームセグメントの事業モデルの特長は、全国の印刷会社と提携し、各印刷会社における印刷機の非稼働時間を活用することで、効率性の高い生産体制を維持している点にあります。事業基盤が拡大するにつれて、提携印刷会社数及び一会社当たりの発注量も増えていきますが、提携印刷会社との綿密なコミュニケーション及び協業により、事業が拡大していく中でも低価格かつ安定した品質の商品を継続して提供してまいります。また、一部の印刷商材においては、製造サプライ機能の内製化・拡充を進めることで、更なる生産能力強化と収益性向上を両立してまいります。 ④AI技術の積極的活用と開発体制の継続的強化当社グループはAI技術の急速な発展を経営上の重要な課題と捉えており、AI技術を積極的に活用し、業務プロセスの効率化や既存サービスの付加価値向上を図ることが、中長期的な競争優位性を確立する上で不可欠であると考えております。サービスにおいては名刺やホームページのデザイン自動生成等の導入が進んでおりますが、AI技術開発への継続投資を全社的に促進するとともに、専門知識を持つ人材の育成と確保に努め、技術開発体制を一層強化してまいります。 ⑤強固なデータ基盤の構築によるデータドリブンの経営の推進当社グループの事業において、サービス価値を最大化するためには、顧客の行動様式の分析をはじめとする取引データの高度な活用及びデータドリブンな意思決定が不可欠と考えております。ビッグデータとAI技術の連携を強化し、解析精度と速度を向上させることで、顧客ニーズに即応できるサービス提供を実現し、ユーザーロイヤルティの向上と収益性の改善を目指します。そのため、複数のECサイトで分散している顧客IDの統合を推進し、強固なデータ基盤を構築するとともに、独自の解析体制を確立することで取り組みを進めてまいります。 ⑥情報セキュリティ体制の強化当社グループは、ユーザーの個人情報を中心とした情報資産を多く預かっており、そのセキュリティ体制を強化していくことが重要であると考えております。現在、個人情報保護方針及び情報セキュリティ関連規程に基づき管理を徹底しておりますが、今後もグループ全体の教育・研修やシステムの整備を継続的に行ってまいります。 ⑦組織体制の拡充と多様な人材の採用・育成当社グループの継続的な成長には、多様な人材の採用・育成と活躍を推進する組織体制の整備が不可欠と考えております。「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンに共感する多様なバックグランドをもつ人材の採用、最適な人材配置、そして継続的な人材育成の仕組みを構築してまいります。また、従業員の能力を最大限に発揮できるよう、人事制度の構築と職場環境の整備にも継続的に取り組んでまいります。 ⑧PMI体制の継続的強化当社グループの中長期的な成長戦略として、連続的なM&Aの実行を掲げております。M&Aの成功と事業シナジーの最大化には、事業基盤やテクノロジー基盤を中心に、高度なPMI(Post MergerIntegration:M&A後の統合プロセス)推進能力が求められます。そのため、専門チームを組成し推進体制を確立するとともに、PMIプロセスの継続的な強化を通じて、事業間のシナジー創出と成長の再現性を高めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 ①経営成績の状況わが国の経済は、雇用や所得環境の改善により緩やかな回復基調となっているものの、物価上昇や金融資本市場の変動により先行きの不透明な状況が続いております。その一方で、当社グループが事業を展開する各市場においては、デジタル化やEC化の進展を背景に潜在需要は依然として大きく、成長の機会が豊富に存在しております。2023年の市場規模は、梱包材や商業印刷をはじめとするトランザクション領域の市場規模は7.9兆円(経済産業省「生産動態統計」等を基に当社試算)、テレビ・デジタル広告および国内SaaS市場をはじめとするソフトウエア&マーケティング領域の市場規模は6.7兆円(電通「2023年 日本の広告費」等を基に当社試算)、新規領域となるファイナンス領域の市場規模は2.5兆円(日本銀行「決済動向」等を基に当社試算)まで拡大したと想定されております。当社グループは、「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンを掲げながら、2023年8月には代表取締役の交代を経て、第二創業期へ移行しました。印刷・集客支援のプラットフォーム「ラクスル」やテレビCM・動画広告のプラットフォーム「ノバセル」といった、従来からの中核サービスの発展を進め、その周辺領域のM&Aを連続的に行うことによって、これらの領域拡張や収益性の向上を目指しております。当連結会計年度においては、当社グループに加わった子会社のPMI(Post Merger Integration)を推進し、グループシナジーの最大化に向けた事業運営体制の構築を進めております。これらに加えて、2024年9月には中期戦略を発表し、従来のECサイトによるトランザクションの事業を軸にしながら、ソフトウエア、ファイナンスの機能を発展させ「End-to-Endで中小企業の経営課題を解決するテクノロジープラットフォーム」を目指すことを新たな方向性として打ち出しております。主にトランザクションの事業、調達プラットフォーム事業によってこれまでに築いてきた顧客基盤やキャッシュ・フロー創出能力をもとに新規領域への展開を進め、対象市場を拡大させていくべく、より一層サービス開発を進めてまいります。以上の結果、当連結会計年度の売上高は61,950百万円(前年同期比21.2%増)、営業利益は3,819百万円(前年同期比51.3%増)、経常利益は3,462百万円(前年同期比69.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,702百万円(前年同期比27.6%増)となりました。 セグメント毎の状況は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度において、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。セグメントごとの比較情報については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。 (調達プラットフォームセグメント)中小企業や個人事業主を主な顧客とし、印刷・ソリューション領域、ビジネスサプライ・周辺領域、梱包材領域いずれも順調にオーガニック成長を継続しており、加えて大企業向けサービスも売上成長に大きく貢献しております。サービス間のIDや決済システムの統合を進め、複数カテゴリの商品購入に向けたキャンペーンの試行などを通じて、更なる成長の拡大に取り組んでおります。加えて前期に取得した子会社の業績貢献が一定程度あったほか、新たにネットスクウェア株式会社の株式を取得したことで、競争優位性を維持しながら引き続きサービスの向上に取り組んでおります。この結果、売上高は57,641百万円(前年同期比22.4%増)、セグメント利益は7,390百万円(前年同期比43.8%増)となりました。 (マーケティングプラットフォームセグメント)中堅・大企業を対象とした広告代理店及びSaaS/Professional Serviceの領域においては顧客との長期的な関係性の構築が進み、さらに費用構造の見直しも進めたことで収益性が改善しました。今後は生成AIの活用を通じた売上機会の創出を目指します。中小企業向けのマーケティングサービスにおいては、動画広告やウェブサイト作成サービスを中心に順調に売上総利益を拡大しております。さらには、デジタルマーケティング領域の支援体制の強化を目的に、新たに株式会社オールマーケの株式を取得し、より一層一体運営を図り包括的なマーケティング支援の進化に向けて様々な取り組みを行っております。この結果、売上高は3,833百万円(前年同期比7.9%増)、セグメント損失は260百万円(前年同期はセグメント損失363百万円)となりました。②当期の財政状態の概況a.流動資産当連結会計年度末における流動資産は24,505百万円となり、前連結会計年度末に比べ476百万円減少いたしました。これは主に、受取手形及び売掛金が381百万円、未収入金や預け金の増加等によりその他が662百万円増加した一方、現金及び預金が1,457百万円減少したことによるものであります。 b.固定資産当連結会計年度末における固定資産は19,794百万円となり、前連結会計年度末に比べ913百万円増加いたしました。これは主に、建物及び構築物が745百万円、機械装置及び運搬具が451百万円増加したことによるものであります。 c.流動負債当連結会計年度末における流動負債は16,098百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,885百万円減少いたしました。これは主に、短期借入金が1,600百万円、1年内返済予定の長期借入金が649百万円増加した一方、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債が5,003百万円減少したことによるものであります。 d.固定負債当連結会計年度末における固定負債は12,224百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,024百万円増加いたしました。これは主に、社債が450百万円減少した一方、長期借入金が1,945百万円、繰延税金負債が520百万円増加したことによるものであります。 e.純資産当連結会計年度末における純資産合計は15,976百万円となり、前連結会計年度末に比べ297百万円増加いたしました。これは主に、連結範囲の変動を伴わない子会社株式の追加取得等により資本剰余金が1,763百万円減少、自己株式の取得により自己株式が700百万円増加した一方、親会社株主に帰属する当期純利益を2,702百万円計上したことによるものであります。この結果、自己資本比率は32.6%(前連結会計年度末は32.3%)となりました。 ③当期のキャッシュ・フローの概況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ1,457百万円減少し、当連結会計年度末には15,547百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は4,992百万円(前連結会計年度は2,705百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を4,533百万円、のれん償却費を1,284百万円計上した一方、関係会社株式売却損益を1,067百万円計上したことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は2,184百万円(前連結会計年度は6,930百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,442百万円、子会社株式の条件付取得対価の支払額500百万円によるものであります (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は4,258百万円(前連結会計年度は5,671百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入4,500百万円があった一方、長期借入金の返済による支出1,904百万円、新株予約権付社債の償還による支出5,000百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出1,884百万円があったことによるものであります。 (2) 生産、受注及び販売の実績①生産実績当社グループで行う事業は、インターネットを利用して、顧客と提携先の印刷会社や広告代理店を繋ぐプラットフォーム事業であり、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。 ②受注実績当社グループで行う事業は、インターネットを利用して、顧客と提携先の印刷会社や広告代理店を繋ぐプラットフォーム事業であり、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。 ③販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年8月1日至 2025年7月31日)販売高(百万円)前年同期比増減額(百万円)増減率(%)調達プラットフォーム57,64110,54322.3マーケティングプラットフォーム3,8332817.9報告セグメント計61,47410,82521.4その他47530.8合計61,95010,82821.2(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。 (3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のためこれらの見積りと異なる場合があります。当社グループが財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a.売上高当連結会計年度の売上高は、61,950百万円(前年同期比21.2%増)となりました。連続的なM&Aによる領域や商材の拡張を経て、各事業は堅調に拡大しております。 b.売上原価、売上総利益当連結会計年度の売上原価は、40,265百万円(前年同期比18.7%増)となりました。この結果、売上総利益は21,684百万円(前年同期比26.1%増)となりました。当社グループは、売上総利益を「プラットフォームの価値を示す、付加価値の総和」として最重要の指標と位置付けております。セグメント毎に利益率が異なるため全社合計での絶対額の増加及び対前年同期比の増加率を重視しております。「調達プラットフォームセグメント」においては、プライシングの最適化を実施し、サプライヤーの生産性や原価改善支援、資材の共同調達による原価改善を行っております。「マーケティングプラットフォームセグメント」においては、SaaS事業の拡大のほか、当連結会計年度中に新たに取得した子会社を通じて原価改善が図られております。これらが売上総利益率の改善及び売上総利益額の増加に寄与しております。 c.販売費及び一般管理費、営業利益当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、17,865百万円(前年同期比21.8%増)となりました。これは主に、登録ユーザー数及び認知度増加に向けた広告宣伝投資のほか、事業規模拡大に伴う人員採用、M&Aによって生ずるのれん償却費や株式取得関連費用の増加によるものであります。この結果、営業利益は3,819百万円(前年同期比51.3%増)となりました。 ③キャッシュ・フローの分析・検討内容ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照ください。当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。当社グループは、継続的な成長のため、認知度の向上及びユーザー数の拡大に努めてまいりました。今後も広告宣伝投資を実施することにより新規ユーザーを獲得するとともに、高い定着性を有する顧客基盤を構築すべく、システム開発を継続して行う方針であります。また、連続的なM&Aによる拡張を通して事業のさらなる成長へとつなげていく所存です。これらの資金需要につきましては、必要な資金を自己資金、金融機関からの借入、社債の発行及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、当連結会計年度末においては15,557百万円の現金及び預金を有しており、自己資本比率も32.6%と適正水準を維持しており財務健全性は高い状態にあります。 ④経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境の変化、シェアリングによる生産体制、人材の確保・育成、法的規制、自然災害等のリスク、情報システムリスク、訴訟に係るリスク等、様々な要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。また、我が国の経済は、雇用や所得環境の改善により緩やかな回復基調となっているものの、一方で、ロシアによるウクライナ侵攻や中東状勢の悪化といった地政学的なリスクの顕在化に伴う緊張感の高まりによる資源価格の高騰に加えて、記録的な水準で円安が進行するなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。当社グループにおいては2025年7月期においても引き続き不透明な状況にあると仮定しておりますが、今後状況が変化した場合には、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因であると認識しております。そのため、当社グループは、外部環境の変化に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保することで、経営成績に重要な影響を与える可能性のあるリスク要因を分散、低減し、適切に対応を行ってまいります。

事業リスク

  • 市場成長の鈍化
    主力事業である国内印刷EC市場が予測通りに拡大しなかった場合、ラクスルの財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。市場の成長はEC化率の上昇に依存しており、この動向が変化すると収益に影響が出ます。
  • 競合激化の可能性
    印刷ECサービスには複数の競合企業が存在し、今後も新規参入や既存事業者の競争激化が予想されます。他社が優れたビジネスモデルを導入した場合、ラクスルの競争力が低下し、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
  • システムトラブル
    事業がインターネットを介して行われるため、システム障害が発生するとサービス提供に支障が生じ、顧客からの信用失墜や売上減少につながる可能性があります。アクセスの急増、ソフトウェアの不具合、不正アクセス、自然災害などが原因でトラブルが発生するリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|5,472 文字
3【事業等のリスク】本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。 (1) 事業環境に関するリスク①国内印刷EC市場について当社グループの主力事業である印刷事業が属する国内印刷EC市場は、年々拡大しております。今後もEC化率の継続的な上昇を背景に、同市場は成長を続けるものと考えております。しかしながら、上記の予測通りに国内印刷EC市場が拡大しなかった場合には、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、印刷事業で築いてきた顧客基盤とシェアリング基盤を活用し、販促サービスの拡張による既存顧客ARPU向上、紙以外の商材を中心としたオリジナル商品の追加による顧客基盤の拡大により対象市場及び収益拡張を推進しております。 ②競合他社の動向について当社グループの主力事業である印刷事業においては、国内で印刷ECサービスを展開する競合企業が複数存在しており、一定の競争環境があるものと認識しております。他に優れたビジネスモデルの競合会社が現れた場合等には、既存事業者や新規参入事業者を含めた競争の激化により、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、多様化する顧客ニーズに対応すべく商品ラインナップの拡充を進めるとともに、積極的なマーケティング活動やカスタマーサポートの充実、提供サービスの拡大及び品質向上に取り組んでおり、今後もユーザー目線に立ってサービスをより充実させていくと同時に、知名度向上に向けた取り組みを積極的に実施してまいります。 ③登録ユーザーの獲得について当社グループの主力事業である印刷事業の売上高は、提供サービスの登録ユーザー数、登録ユーザーの利用率、登録ユーザーの平均購入額により変動し、事業の成長は登録ユーザー数の順調な増加に依存しております。また、マーケティング手法別に効果測定を行いつつ、新規ユーザーの獲得、既存ユーザーへの追加販売、既存ユーザーの離脱防止を図る施策を継続的に実施しております。上記に挙げたような各種事業KPIについては安定的に推移・改善してきておりますが、社会・経済情勢による顧客ニーズの変化、他の事業者との競合の激化、マーケティング手法が非効率になる等の要因によって登録ユーザー数の増加率が下がる場合には、売上高の増加ペースの鈍化、もしくはマーケティング費用の上昇により、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、前年度以前の顧客獲得コストとの比較を常に行い、新規の顧客獲得手法を継続的にトライアルすること等により登録ユーザー数の増加ペースを維持、拡大するための取り組みを推進しております。 ④システムトラブルについて当社グループの事業は、インターネットを介して行われており、そのサービス基盤はインターネットに接続するための通信ネットワークに依存をしております。安定的なサービス運営や継続的な事業成長を実現するために、サーバー設備等の強化や社内体制の構築を行っておりますが、アクセスの急激な増加等による負荷の拡大、ソフトウェアの不具合、外部からの不正な手段によるネットワークへの侵入、地震等の自然災害や事故等により予期せぬトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こった場合には、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、監視システムの利用に加えて組織的・人的な対策と多層防御による技術的対策に取り組んでおります。 ⑤印刷事業への依存について当社グループの売上高は、主力事業である印刷事業への依存が大きくなっております。国内印刷EC市場が拡大していることに加え、ユーザー数の増加やサービスの拡充等により、今後も印刷事業は拡大していくものと考えておりますが、運営する「ラクスル」の利用者の減少や市場規模の縮小等の要因により印刷事業の売上高が減少した場合には、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、ダンボール・梱包材や印鑑といったカスタマイズEC領域や、物販領域への拡張、テレビCM・動画広告のプラットフォーム「ノバセル」をはじめとするマーケティング支援事業の他、今後においても中長期的にソフトウェアやファイナンスといった複数の事業領域への展開を推進してまいります。 ⑥シェアリングエコノミー形態による生産体制について主力事業である印刷事業について、印刷会社をはじめとするサプライヤーをネットワーク化する、いわゆるシェアリングエコノミー形態による生産体制を構築しております。各社における原材料等の調達価格高騰や各社の経営状況の変化等によって、提携による業務委託等の継続ができなくなった場合には、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、一部の印刷資材については、集中購買により安価に提供する体制を整備し、定期的なコミュニケーション等によるサプライヤーとの良好な関係の構築に努めることで、生産体制の安定化を図っております。また、一部の印刷商材においては、製造の内製化を進めることで、生産能力の強化に努めております。 ⑦在庫について2025年7月期の連結貸借対照表において商品及び製品521百万円を計上しております。在庫として保有する商品について販売状況が想定していたものと大きく異なる結果となった場合には、販売価格の切り下げや棚卸資産の評価減を通じて、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、仕入れの際には慎重な検討を経て実施するとともに、在庫品の状況を注視し、適正な在庫管理を行うなど、過剰在庫等が発生するリスクの軽減を図っております。 (2) 事業体制に関するリスク①優秀な人材の獲得・育成について今後の企業規模の拡大に伴い、「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンに共感する多様なバックグラウンドをもつ人材を継続的に採用し、強固な組織を構築していくことが重要であると考えております。今後も引き続き積極的な採用活動を行っていく予定でありますが、求める人材が十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、社員が働きやすさとやりがいを持って働けるよう、事業の成長を通して本人が挑戦し成長できる環境を作り、魅力的な人事制度の構築を継続的に推進してまいります。また、サービス品質の向上にはソフトウェア開発のためのエンジニアの確保が重要であると認識しており、日本国内での採用活動に加えて、日本国外において開発拠点を設立し、継続的に開発力の強化のための施策を推進してまいります。 ②内部管理体制の構築について当社グループの継続的な成長のためには、コーポレート・ガバナンスの一層の充実を図る必要があると認識しております。今後、事業が急速に拡大することにより、コーポレート・ガバナンスが有効に機能しなかった場合には、適切な業務運営を行うことができず、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、各社内規程及び法令遵守を徹底してまいります。 ③情報セキュリティについて当社グループは、厳重な情報セキュリティ管理体制において自社内の機密情報を管理するとともに、事業活動に伴い取引先から預託された機密情報や個人情報の収集・保管・運用を行っております。万一従業員や業務の委託会社等が情報を漏洩又は誤用した場合には、企業としての社会的信用を喪失し、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社はプライバシーマーク及びISMS(注)を取得し、社内で運用するほか、従業員研修を繰り返し実施する等、これらの情報管理には万全な方策を講じております。 ④自然災害等の影響について当社グループは、提携印刷会社や自社の製造拠点を通じて事業を展開しています。大規模地震、自然災害、火災等の事故、感染症の流行、その他の要因による社会的混乱等により、当社グループまたはその取引先において、生産設備やシステムが損害を受けたり、操業が中断したりする重大な支障が生じる可能性があります。このような事態が発生した場合、商品の安定供給に遅延や困難が生じ、顧客満足度の低下や売上機会の損失を通じて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、シェアリングエコノミー形態の生産体制を活かし、特定の地域やサプライヤーの機能が停止した場合でも、他の地域やサプライヤーへ発注を振り分けることができる代替可能な体制を構築しています。また、事業への影響を軽減するため、各種損害保険に加入するとともに、自然災害等の緊急事態発生時に事業を早期に復旧させるためのBCP(事業継続計画)を策定・整備しております。 ⑤投融資について当社グループは、今後の事業拡大のために、国内外を問わず出資、子会社設立、合弁事業の展開、アライアンス、M&A等の投融資を実施する場合があります。投融資については、リスク及び回収可能性を十分に事前評価し決定してまいりますが、投融資先の事業の状況が当社グループに与える影響を確実に予想することは困難な場合もあり、投融資額を回収できなかった場合や減損処理が必要となった場合には、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、出資等の案件について、当社グループの目指すビジョンとの整合を確認し、ビジネスモデルを十分に検討した上で判断するとともに、出資後は定期的なモニタリングを継続実施してまいります。 〔用語説明〕(注)ISMS(アイ・エス・エム・エス):Information Security Management Systemの略 情報セキュリティ管理の国際標準に基づき定められた情報セキュリティマネジメントシステムの適合性評価制度。継続的に情報セキュリティリスクを管理しリスク回避や軽減を図り、この認証基準に適合したマネジメントシステムを構築・維持できている企業や団体が第三者機関により認証される。 (3) 法的規制に関するリスク①訴訟等について当社グループは、事業活動を行うなかで、顧客、取引先又はその他第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。かかる訴訟の内容及び結果によっては、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、多大な訴訟対応費用の発生や社会的信用の毀損によって、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、訴訟等や社会的信用の棄損に繋がる事象に対し、弁護士事務所と連携し、経営に重大な影響を及ぼし得る事象はリスク管理委員会においてグループ横断で審議する体制を整備しております。 ②コンプライアンスについて当社グループが運営する事業は、「消費者契約法」、「特定商取引に関する法律」、「景品表示法」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、「電気通信事業法」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」といった様々な法規制の対象となっております。事業活動を行う中で、法令違反や第三者の保有する知的財産権の侵害等が生じた場合、信頼の低下や事業活動の制限、関連コストの増加、企業価値の棄損等、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社グループはコンプライアンスポリシーを定め、定期的な研修等の啓発活動を通じ、コンプライアンス体制の充実に努めております。 ③個人情報の保護について当社グループは、会員登録情報をはじめとする個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。何らかの理由でこれらの個人情報が外部に流出し、悪用されるといった事態が発生した場合には、財政状態及び経営成績並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、個人情報保護方針及び個人情報保護規程を定めており、社内教育の徹底と管理体制の構築を行っております。 (4) その他①株式価値の希薄化について当社グループは、新株予約権制度及び譲渡制限付株式報酬制度を採用しております。当該制度は、当社グループの役員、従業員及び社外協力者に対して、経営成績向上に対する意欲の向上及び経営参画意識の向上等に有効な制度と認識しており、今後も当該制度を活用する可能性があります。これらの新株予約権の行使、譲渡制限付株式報酬制度に係る新株式の発行された場合には、既存の株主が保有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

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