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FY2025|20,799 文字|出典 docID: S100XV3D
3 【事業の内容】当社グループは、厳格な要件が求められる法人向けで実績豊富なスマートロック(注1)等のIoT機器やソフトウエアを活用したAkerun(アケルン)ブランドのHESaaS(注2)のサービスに加えて、ギグワーカーが様々な空間における人手不足を解決する施設運営BPaaS「Migakun(ミガクン)」やコワーキング施設等を中心としたレンタル施設及び会員制施設の無人化・省人化のための顧客管理・予約・決済SaaS「fixU」を子会社を通じて展開しております。これらのサービスの提供を通じて、あらゆる空間の無人化・省人化を促進する新たな社会モデルの創出に取り組む空間DX事業を、法人、住宅、商業施設、教育機関、自治体等の幅広い業界で展開し、リカーリング収益(注3)の最大化を通じた事業拡大を推進しております。 (注) 1.スマートロックとは、電気制御により鍵を開閉することができるインターネットに接続された錠前のことであります。2.HESaaSとは、Hardware Enabled Software as a Serviceの略で、アプリケーションソフトウエアをインターネット経由で提供するクラウドサービスであるSaaSと、ハードウエアのサブスクリプションモデルを組み合わせた提供モデルであります。3. リカーリング収益とは、サービスや製品の提供を通じて、定期的かつ継続的に発生する収益のことであります。 <当社グループのミッション/ビジョン>当社グループは、「つながるモノづくりで感動体験を未来に組み込む」をミッションに掲げ、ハードウエアからソフトウエア、Web、モバイルまでを網羅するフルスタックの開発体制を備えたモノづくり企業として、またクラウドやIoT、認証、フィジカルAI等の最先端技術及びプロダクト/サービスを開発するテクノロジー企業として、少子高齢化に伴う人手不足等の社会課題の解決を目指しております。また、このミッションの実現に向けては、新たに「人手に依存しない、自律型の物理空間で、社会を自由化する。」というビジョンを策定し、Akerun、Migakun、fixU等の各サービスを通じて、オフィス、住宅、商業施設、教育機関、医療機関、自治体等のあらゆる物理空間の管理や運営をテクノロジーの力で自動化し、企業や法人だけにとどまらず、社会そのものを人手不足や物理的な業務に伴う様々な制約から解放することを目指しております。 <当社事業を取り巻く社会的背景>現在、日本国内では、少子高齢化に伴う深刻な人手不足や生産年齢人口(15〜64歳)の減少といった社会課題に直面しており、統計によると生産年齢人口は1995年頃をピークに減少を続け、2025年時点の東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の生産年齢人口が2045年にはほぼ消失すると推計されています(注)。この影響はすでに様々な業界で顕著になってきており、オフィスにおける人手不足に起因する過重労働や生産性の低下、観光業界における訪日外国人旅行客の増加に伴う人手不足や機会損失、教育機関等における働き方改革の要請、そして小売店舗や飲食店等におけるアルバイトを含む人材不足による営業時間の短縮や機会損失等、現在そして将来にわたって企業だけでなく日本経済自体の成長への大きな課題となっております。この不可避の社会課題に対して、人手不足を補うためのデジタル化やDXが様々な業界で求められるなか、当社グループでは、市場での実績が豊富で現契約社数5,700社超という相当規模のユーザー基盤を有する認証プラットフォームを活用したAkerunを基軸に、オフィス、住宅、商業施設、教育機関、医療機関、自治体等のあらゆる空間に適用可能なMigakunやfixU等の空間管理ソリューションをトータルで提供しております。これにより、空間や施設の運営の無人化・省人化という将来におけるスタンダードとなる新たな市場を創出するとともに、ビジネスの領域だけでなく日本社会全体における課題の解決を支援することを目指しております。 (注)国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」 [空間DX事業の概要]当社グループは、オフィス、住宅、商業施設、医療機関、教育機関、自治体等のあらゆる空間の管理を無人化・省人化するテクノロジーやソリューションを提供することで、少子高齢化等に伴う深刻な人手不足や生産年齢人口の減少といった社会課題の解決を支援する空間DX事業を展開しております。この空間DX事業では、中核サービスである「Akerun入退室管理システム」をはじめとしたAkerunブランドのHESaaSのサービスを法人向け及び住宅向けに、Akerunと大きなシナジーを有するギグワーカーを活用した施設運営BPaaSである「Migakun」を法人向けに、そして2025年10月に完全子会社化した、コワーキング施設等を中心とした施設の無人化・省人化のためのSaaSのサービスである顧客管理・予約・決済システム「fixU」を法人向けに、それぞれ提供しております。 <Akerunを起点とした空間DXと施設の無人化・省人化のイメージ> 空間DX事業の特徴及び市場優位性は主に以下の3点であります。 ① 認証プラットフォーム「Akerun Access Intelligence」(注1)の価値空間DX事業の市場優位性の1つ目は、利用企業の規模や業種業態を問わない広範なユーザー基盤に裏付けられた認証プラットフォームの社会インフラとしての価値であります。2025年12月末時点で5,700社以上の現契約社数を抱える認証プラットフォームを基盤に、中核サービスである法人向け「Akerun入退室管理システム」は、クラウド型入退室管理システムやスマートロック等の領域で国内No.1(注2)を獲得するなど、両市場をけん引する実績を有しております。セキュリティ及び認証の社会インフラとしての地位を確立している法人向けAkerunに加え、建築用錠前で国内大手の美和ロック株式会社(以下、美和ロック)との合弁会社である株式会社MIWA Akerun Technologies(以下、MIWA Akerun Technologies)による住宅領域でのスマートロックを活用したサービスの提供や、従来の身分証/社員証/学生証/会員証等の物理的なIDをデジタル化してスマートフォンで利用できる「Akerunデジタル身分証」の提供など、オフィス、住宅、商業施設、教育機関、医療機関、自治体等の利用場所を問わない広範なユースケースや顧客基盤を通じたビッグデータの取得・活用により、様々な周辺領域へのサービス展開も可能となっております。また、MigakunやfixUにおいてもAkerunと認証プラットフォームを活用することで、Akerunとの併用による柔軟な入退室権限の付与/剥奪やサービス品質向上のためのギグワーカーのモニタリング等が可能になるなど、事業間の大きなシナジーを発揮しております。 ② HESaaS、BPaaS、SaaSの各事業で培われたハードウエア/ソフトウエア開発力とギグワーカープラットフォーム空間DX事業の特徴の2つ目は、Akerunブランドのクラウド型IoTサービスで採用するハードウエアとソフトウエアを組み合わせたサブスクリプションモデルであるHESaaS、ギグワーカーを活用した施設運営代行サービスのMigakunで採用するBPaaS、そしてソフトウエアの機能をサブスクリプションモデルで提供するfixUのSaaSで培われた、ハードウエア領域からソフトウエア領域までのフルスタックを網羅する開発力であります。Akerunでは、IoT機器等のハードウエア技術とクラウドを含むソフトウエア技術を組み合わせることで、法人利用に耐える高品質なハードウエアと、無線通信やセキュリティにおける信頼性や堅牢性に加えてAPIによる外部の勤怠管理/会員管理システム等との連携を通じた様々なニーズに対応できる柔軟性により、人々の入退室データを起点とした“あらゆる物理空間における基幹システム化”を実現しております。また、Migakunは、コミュニケーションツール等のテクノロジーを活用した、利用企業とギグワーカーを含むMigakunスタッフとのリアルタイムのコミュニケーションにより、BPaaSとして様々な施設運営ニーズに即応可能な柔軟なサービス提供モデルを確立しております。さらに、fixUは、コワーキング施設や会員制施設等の店舗運営における、高騰する人件費や高難度のデジタル化への対応といった課題に対して、会員登録〜予約〜決済までの店舗運営業務を自動化し、店舗の無人化‧省人化をワンストップで実現できる高機能なSaaSとして業種業態を問わないユースケースで活用されております。これらのハードウエアからソフトウエアまでを網羅するテクノロジー領域におけるフルスタックの開発体制、さらにはハードウエアの製造や量産も含めた統合的な開発力は、当社グループの大きな市場優位性であると考えております。 ③ 各事業間における強固なシナジーを通じたリニアな事業成長空間DX事業の特徴の3つ目は、これらAkerun/Migakun/fixUを組み合わせた統合ソリューションとしての各サービス間の強固なシナジーであります。各サービスは、前述の当社グループが有する認証プラットフォームや統合的な開発力により、導入の容易さ、機能の拡張性、様々な業種業態に適用可能な柔軟性を実現することで、各サービスの複数導入を含むクロスセルが堅調に進展しております。その結果、売上高及び調整後EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization:利払い前、税引前、減価償却前利益)(注3)は堅調に拡大しており、さらに、この売上高及び調整後EBITDAを支える空間DX事業全体におけるリカーリング収益の比率も事業収益全体の80%台後半の高水準を継続的に維持しております。そして、Akerunの“オフィスや施設における基幹システム化”や大規模顧客へのさらなる拡販、人手不足等を背景としたMigakunへのニーズの拡大と柔軟なサービス提供モデルによる利便性、そしてfixUの店舗運営におけるワンストップ・デジタル化ソリューション等を通じた拡販、さらには各サービスを組み合わせたパッケージ化によるクロスセル等により、顧客企業における当社グループのサービスの“インフラ化”が進展したことで、空間DX事業全体でのMRR(Monthly Recurring Revenue:毎月繰り返し得られる月次経常収益)ベースのChurn Rate(サービスに関する解約率)は平常時で1%以下の低い水準に抑えられております(注4)。具体的には、継続的なChurn Rateの改善により、空間DX事業全体で2025年12月期には0.93%まで改善しております。さらに、このパッケージ化によるクロスセル施策が奏功していることで、ARPU(注5)も継続的に増加し、当期には過去最高の1社あたり48,536円を達成するなど当社グループ全体での事業成長に向けた事業ポートフォリオ間のシナジーを実現しております。 当社グループでは、中核サービスであるAkerunを起点として、Akerunと高いシナジーを発揮するMigakunやfixUを組み合わせたソリューション提供やクロスセル施策を促進することで、空間DXによる無人化・省人化市場の創出を通じた売上高及び調整後EBITDAのさらなる拡大とARPUの増加、そしてChurn Rateのさらなる低減が可能であると考えており、今後もそれらの取り組みを通じて空間DX事業のより一層の成長を目指しております。 (注) 1.ユーザーの基本情報(氏名や所属等)、デジタルID情報(電話番号や電子メール等)、物理ID情報(所有するICカードや生体認証情報等)、認証権限情報(アクセスが許可されている扉、有効な日にち、曜日、時間帯等)等の情報を保有するクラウド上のデータベースであります。2.日本マーケティングリサーチ機構調べ(2021年6-7月期_指定領域・日本国内における検証調査)3.当社グループにおける調整後EBITDAは、営業利益に減価償却費、のれん償却費、株式報酬費用、フィジカルAI領域の研究開発費の各項目を加算したものであります。4.各期のChurn Rateは、当該期の期末月における12か月移動平均であります。5.ARPUとは、Average Revenue Per Userの略で、ユーザーや利用企業における1人/1社あたりの売上金額を表す指標であります。 <各事業ポートフォリオの詳細>① Akerun事業当社グループの中核サービスである「Akerun入退室管理システム」等を展開するAkerunブランドのクラウド型IoTサービスは、クラウドとインターネットでつながるスマートロック等のエッジ端末(注)による個人認証とセキュリティ、そしてクラウド上の認証プラットフォームを通じた個人認証を主軸とした関連サービスを法人向け、住宅向けに展開しております。Akerunでは、物理的な鍵によるセキュリティや管理性等の様々な制約や課題を無くし、1つのICカードや個人を特定する物理的またはデジタルなIDであらゆる扉やゲートにスムーズにアクセスできる、物理空間におけるシングルサインオンともいえる世界の実現を目指しております。またこの中核サービスであるAkerunを起点として、空間DX事業の各サービスを展開することで、あらゆる空間の無人化・省人化で人手不足等の社会課題の解決を支援しております。 (注)エッジ端末とは、 エッジ(末端)の端末の意味であり、IoT等においてはインターネットに接続され、システム全体の末端に位置する端末のことであります。インターネットで接続されたシステム全体における末端の端末として、データの収集/処理や上位システムへのデータの送信等に加え、上位システムからの指令やデータ等を受信して稼働したり、利用者に伝達する等の機能を担うハードウエアであります。 ①-2 オフィス領域におけるAkerun(1)市場機会Ⅰ.市場環境の変化現在、国内では少子高齢化の昂進等による生産年齢人口の減少が喫緊の社会課題となっており、オフィスや商業施設、店舗等においても人手不足への対応や労働生産性の向上等を目的に、DXや無人化・省人化への取り組みが活発化しております。具体的には、セキュリティを含む入退室管理、勤怠管理、受付管理、予約管理等の各種業務へのテクノロジー活用により、オフィスや会員制施設の運営にかかわるワークフローを自動化する等の取り組みが業界や業態を問わず進展しております。さらに、従来からの法改正を含む日本政府や企業による働き方改革の推進により、従業員の勤務時間を正確に記録、管理することが求められており、加えて個人情報保護の強化により、企業ではこれまで以上のセキュリティ対策を求められるようになっております。 Ⅱ.従来の入退室管理システムの課題とAkerunの市場優位性従来の法人向け入退室管理システムは、サーバーや管理用PC等のハードウエア機器の購入・設定、システム設定やネットワーク工事のための外注費、そして機器の改修や保守の費用等、初期費用や経年による費用など高額な投資が必要となり、加えてデータの利活用の難易度の高さ等が企業の大きな導入障壁となっておりました。 当社グループでは、このような導入時の障壁を低減し、より少ない負担で入退室管理システムを導入・活用できる「Akerun入退室管理システム」を法人向けに提供しております。特別な工事やシステム構築が不要かつ後付けで手軽に導入可能、クラウド型システムによる専用IT機器の排除とシンプルに利用できる管理画面等によるデータ利活用の支援、サブスクリプションモデルによる保守・運用に要する費用負担の軽減等により、導入障壁の低減と継続運用のしやすさを実現することで今後も広く需要を取り込み、継続的に売上を拡大できるものと考えております。 (2)サービス構成Akerunの中核サービスである法人向けの「Akerun入退室管理システム」は、鍵の物理的開閉やデータ通信等を担うスマートロックやICカードリーダー等のIoTハードウエアと、それを施解錠するスマートフォン(注) 向けアプリケーション、スマートフォンのモバイルICカード等のスマートキー、そして認証、鍵権限の管理、履歴の閲覧等を行う、スマートデバイス向けアプリケーション及びWebアプリケーション等の管理ツールで構成されております。なお、ユーザーを識別する認証基盤には、市場における実績が豊富な認証プラットフォーム「Akerun Access Intelligence」を活用し、安全かつ信頼性に優れた個人認証を実現しております。 (注)対応するスマートフォンは、Apple社が提供するiOS及びGoogle社が提供するAndroidにて稼働するスマートフォンであります。 Ⅰ.ハードウエアの特徴「Akerun入退室管理システム」で提供されるハードウエアとして、サムターン錠(注1)に対応する「Akerun Pro」と、電気錠(注2)や自動ドア、セキュリティゲート等の電気制御の扉に対応する「Akerunコントローラー」を提供しております。(住宅向けは後述)Akerun Proは、工事なしで既存の扉に後付け可能なスマートロックとして、取り付け工事不要、初期費用0円で導入できるため、従来の入退室管理システムと比較して導入にかかる工数や費用を大きく低減しております。Akerunコントローラーは、既存の自動ドアや電磁錠等の電気錠に後付けで導入でき、簡易的な工事のみで導入し、運用できるスマートロックとして電気錠に対応することでAkerunのユースケースをさらに拡大し、さらに多くのオフィスや施設のニーズに対応することが可能になっております。また、Akerun Pro及びAkerunコントローラーに共通のハードウエアとして付帯するICカードリーダーにより、日常的に使用している交通系ICカードや社員証、ビル入館カード等のFeliCa及びMifareの各規格(注3)に対応するICカードに加え、スマートフォンのアプリケーションとして利用できるモバイルICカード等のスマートキーによる認証を通じた施錠・解錠が可能となっております。(注) 1.サムターン錠とは、扉の室内側についているツマミ式の金具で開閉を行う錠前のことであります。 2.電気錠とは、電気的に鍵を施解錠する機構を組み込んだ錠前のことであります。 3.FeliCaは、ソニー株式会社の登録商標です。Mifareは、NXPセミコンダクターズ社の登録商標です。 Ⅱ.ソフトウエアの特徴「Akerun入退室管理システム」は、ソフトウエアにより以下の機能を提供しております。 i.使いやすいWeb管理ツールによる鍵権限の柔軟な設定Web管理ツールを通じて、ユーザーが入退室できる日時等を柔軟に設定でき、ユーザーごとの入退室権限等、柔軟な鍵権限の運用が可能になっております。また、クラウドを通じて労務関連の法改正やオフィストレンドの変化等に合わせて継続的にアップデートすることが可能となっております。ⅱ.取得データの利活用ユーザーの利用履歴を永続的に保持し、Web管理ツール等でいつでも確認できる機能を備えており、この履歴の活用により、セキュリティだけでなくユーザーの動静を把握・確認するための空間管理やMigakun等の当社グループの各サービス利用のエビデンスとしての活用等、さらなる価値提供が可能になっております。 ⅲ.APIによる外部システムとの連携Akerunでは外部システムからの入退室履歴等の情報の取得や遠隔での解錠・施錠の操作、日時を指定した鍵権限の発行等が可能になるAPIを提供しており、また、ユーザーが独自開発したシステムと連携させたり、当社がAPI連携を行っている勤怠管理、生体認証、会員管理、決済等のシステムとの共同ソリューションも活用できます。 (3) サービスの強み「Akerun入退室管理システム」は、市場優位性として、セキュリティやサービス品質等の要件の厳しい法人向け事業で培った広範な実績に加え、高水準の利用体験を可能にするハードウエアの開発及び無線通信やセキュリティにおけるソフトウエアの開発に強みを有しております。 Akerun事業における強みの詳細は、以下の通りであります。 Ⅰ.法人向け事業における強固な実績とそれに支えられたアクセス認証基盤法人における豊富な導入実績を通じて現契約社数5,700社以上を抱えるアクセス認証基盤「Akerun Access Intelligence」を保持しております。この相当規模の認証基盤を活用することで、ユーザー認証に加えて勤怠管理や会員管理等の法人向けに提供される様々なクラウド型サービスや認証シーンにも活用できます。今後も、オフィスに導入されたAkerunのスマートロックを起点に、入退室管理やセキュリティに加え、API連携を通じた勤怠管理、会員管理、予約管理、決済等の外部サービスとの連携を継続的に推進することで付加価値のさらなる向上を目指しております。 Ⅱ.要件の厳しい法人利用に応える高水準のハードウエア性能「Akerun入退室管理システム」で提供される各種ハードウエアは、多人数に触れる機器としてのハードウエア品質の強化に注力しており、実際にAkerun Proにおいては100万回の開閉試験の実施、高トルクモーター、省電力性能を追求した専用設計回路、耐久性強化のための部品設計や特許取得済みの独自機構等、ユーザーの利用体験を高め、法人利用における厳しい要件にも応える、市場でも高水準のハードウエア品質を実現しております。 Ⅲ.信頼性と堅牢性に優れた無線通信技術及びセキュリティ技術当社グループでは、システムとしての安定的な稼働が非常に重要であると考えており、認証に使用するBLE(注)通信の制御技術、特に施解錠に用いるスマートデバイスを含む複数のハードウエア機器間での安定的な通信制御技術に強みを持っております。これにより、オフィスや施設における高速かつ安定したユーザー認証が可能になっており、また、継続的なソフトウエアの改善を通じて、さらなる利用体験と信頼性の向上を図っております。加えて、各ハードウエア機器間の通信には、特許取得済みの通信技術や高度な暗号化通信技術を採用することで、市場でも高水準の信頼性と堅牢性に優れたユーザー認証プロセス及び認証基盤を確立しております。さらに、Akerun事業のサービスを支えるクラウド基盤に関しても、社内で「情報セキュリティ基本方針」を定めるとともに、本社及び各拠点で情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格「JIS Q 27001:2023(ISO/IEC 27001:2022)」の認証を取得し、さらにクラウドインフラの保守運用の専任担当者を設置することで、安定的なサービス基盤の構築に積極的に取り組んでおります。 (注) BLEとは、Bluetooth Low Energyの略で、低電力通信を可能にする近距離無線通信技術Bluetoothの拡張仕様の1つであります。 (4)今後の成長拡大のための取り組みⅠ.企業規模を問わない新規ユーザーの獲得オフィス領域におけるさらなる成長拡大に向けて、主要導入企業である従業員10名以上の中小企業及び事業所への販売促進施策を継続的に強化し、新規ユーザーのさらなる獲得を目指しております。提供拡大にあたっては、地方拠点の活用に加え、紹介取次や再販等の販売パートナーとの関係強化を通じて潜在ユーザーへの提案機会の増加を図る専任チームの強化・拡充を継続的に実施しております。さらに、直近において堅調な受注実績をあげている大規模企業や大型ビル、教育機関、医療機関、自治体等に対しても、継続的に営業チームを強化し、これらユーザーの新規獲得にも積極的に注力する計画であります。 Ⅱ.既存ユーザーへの追加導入の提案(アップセル施策)当社グループでは、さらなる売上拡大にあたって、ユーザーとの関係性強化や市場動向の調査・分析を通じて、変化する市場ニーズに合わせた空間利用を提案することで、1事業所あたりの導入台数の増加を目指しております。さらに大規模企業では、複数台の契約を獲得しやすい利用環境であることから、契約の新規獲得や試験導入を契機とした関係性の強化や継続的なヒアリング、提案力の強化等を通じて複数台の契約を追求してまいります。これらのアップセル施策を促進することで、ユーザーからもたらされるLTV(注)及びARPUの最大化を目指し、事業成長を加速する考えであります。 (注) LTVとは、Life Time Valueの略で、顧客との取引の開始から終了までの期間にもたらされる総利益(顧客生涯価値)のことであります。 Ⅲ.周辺領域でのソリューションの開発と提供(クロスセル施策)現在、当社グループでは、空間管理の無人化・省人化での活用を軸にユースケースの多様化に積極的に取り組んでおり、特に外部パートナーが提供する勤怠管理、会員管理、決済、認証等のシステムとのAPIを通じたサービス連携に注力しております。実際に、このAPI連携の有用性が評価され、オフィスだけでなく会員制施設及び商業施設での導入やAPIの利用も堅調に増加するなど、「Akerun入退室管理システム」は顧客のバックオフィス業務を支える基幹システムへと進化しております。さらに直近では、受付業務の無人化・省人化を実現する「Akerun QR受付システム」の提供や、市場トレンドやニーズに合わせたAkerunの機能強化/新機能、そして様々な空間や施設の運営を支援する施設運営代行BPaaS「Migakun」や店舗の無人化・省人化のためのSaaS「fixU」とのパッケージ提供など、周辺領域でのサービス開発やM&Aを強化しており、当社グループのサービス全体として空間におけるインフラ化のための取り組みを今後も推進する計画です。 ①-3 住宅領域におけるAkerun(1)市場機会現在、住宅領域におけるデジタルサービスの普及に伴い、家事代行や宅配、空きスペース等の活用が促進され、さらに非対面や自宅不在時のサービス利用や荷物の受け取り等にデジタルを活用するなど消費者の行動態様は大きく変化しております(注1)。この流れは、住宅関連のサービス事業者や不動産事業者にも拡大しており、物件の内覧や管理のデジタル化、不動産契約の一部電子化等を通じて業務を効率化する取り組みなど、不動産テックと呼ばれる市場も拡大しております(注2)。一方で、これらのサービス利用の課題として、宅配便の増加やドライバーの不足に伴う物流業界の業務負荷の高まりと業務効率化の要請、居住者の在宅の必要性、利用時の鍵受け渡しの手間、集合住宅エントランスの入退館時のセキュリティ、ユーザーの心理的不安等がサービスの利用拡大の障壁となっております。当社グループの住宅領域におけるAkerunでは、建築用錠前の提供で国内大手の美和ロックとの合弁会社となるMIWA Akerun Technologiesを通じて、住宅領域におけるスマートロック及び関連サービスの普及と事業成長を目指しております。この合弁会社を通じて、住宅の扉を起点としたサービスを提供することで、前述の課題を解決し、住宅領域でのさらなる事業成長を目指しております。 (注) 1.株式会社矢野経済研究所「2021 シェアリングエコノミー市場の実態と展望」(2021年9月30日発刊)2.株式会社矢野経済研究所「2021年版 不動産テック市場の実態と展望」(2021年7月28日発刊) (2)提供サービス/製品住宅領域においては、美和ロックの提供するスマートロックと当社の提供するクラウド上の認証プラットフォームやサービス基盤を組み合わせたサービスとして、賃貸用住宅物件の管理業務を大幅に効率化する「Akerun.Mキーレス賃貸システム」提供しております。このサービスにより、賃貸物件の内見〜入居〜退去の各フェーズにおける、物理鍵の受け渡しのための移動にかかる手間と時間、トラブルへの対応業務、そして退去時の鍵の交換や回収にかかる手間やコスト等、物理鍵の運用に伴う様々な非効率業務を大幅に解消すると同時に、入居者の利便性や安全・安心の向上を実現できます。さらに今後は、住宅における鍵の施解錠だけでなく、認証、住宅向けの各種サービスの利用、決済等の様々な住宅向けサービスを利用するためのプラットフォームとしての機能の提供に向けて積極的に取り組み、社会環境やライフスタイルの変化に合わせたイエナカサービス(家事代行、ペットシッター、介護等)との連携等、安全・安心で快適な暮らしを支えるための取り組みを推進してまいります。 (3)市場優位性のあるサービス提供スキーム住宅領域では、サービスや製品の提供にあたり、当社が51%、美和ロックが49%を出資する合弁会社であるMIWA Akerun Technologiesを設立しております。当社のクラウド上の認証プラットフォーム及びスマートデバイス向けアプリケーションといったソフトウエア技術における信頼性と実績、美和ロックの住宅向けスマートロック製品に関するハードウエア技術の堅牢性と実績、そして合弁会社によるスマートロックを起点とした住宅向けサービスの開発と提供という各社のそれぞれの強みを組み合わせることで、ユーザーの安全・安心の実現と同時に包括的なサービスを提供し、これまで以上に利便性の高い居住環境の実現に貢献するとともに、様々な社会課題の解決にも資するものと考えております。また、販売・普及にあたっては建築用錠前の提供で国内大手の美和ロックの有する全国規模の販売網やネットワークに加え、当社グループの販売パートナー各社を活用することで、住宅領域における不動産管理会社や不動産オーナー等の主要プレイヤーへの積極的な提案を推進し、全国規模でのサービスの提供を拡大してまいります。 (4)今後の成長拡大のための取り組み不動産の開発会社や管理会社等を含む不動産業界では、アナログな方法による業務プロセスや対面を中心とした顧客対応等の業務の非効率性が課題となっており、テクノロジーを活用したDXによる生産性の向上や働き方の改善等が求められております。この流れを受けて、「Akerun.Mキーレス賃貸システム」では、主に大手の不動産ディベロッパーや不動産管理会社等をターゲットとして、物理鍵に伴う非効率な業務をスマートロックやクラウド等のテクノロジーで効率化するための提案を強化しております。また、クラウドを活用したサービスとしての強みを生かし、内見等の不動産関連プロセスにおける様々な業務を効率化するSaaS等の外部サービスとの機能連携を推進することで、スマートロックや個人認証を起点に不動産関連プロセス全体を効率化するための機能強化を今後も推進する計画です。そして、美和ロックが有する営業チャネルを活用して住宅向けスマートロック及びサービス利用のためのプラットフォームを展開することで、新規施工及び既築の集合住宅等への広範囲にわたる提案を強化するとともに、家事代行や宅配、見守り等の様々なサービス提供事業者と提携することで、より多くの選択肢をユーザーに提供する計画であります。これらの取り組みを推進することで、鍵を起点とした魅力あるサービスプラットフォームを提案し、ユーザー基盤の拡大とともに事業成長を目指しております。 ①-4 「Akerunデジタル身分証」(1)市場機会現在、デジタルIDを活用した認証の分野では、日本政府が推進するマイナンバーカードをはじめ、オンラインでの会員登録や決済、サービス利用等でのデジタルIDの活用も進んでおります。一方で、ビジネスや日常生活で利用されている従来型のICカードや磁気カード、紙ベースの身分証/社員証/学生証/会員証等では、人々の行動態様や時勢の変化等に伴って、IDの発行及び紛失等による再発行の手続きの手間やコスト、個人情報管理に伴うセキュリティ・リスク、そして様々なサービスの横断利用への拡張性の欠如等の課題があります。 (2)提供サービス/製品当社グループでは、このIDの利活用に向けた課題の解決に向けて、従来の身分証/社員証/学生証/会員証等の物理的なIDをデジタル化してスマートフォンで利用できる「Akerunデジタル身分証」を提供しております。この「Akerunデジタル身分証」は、当社グループが法人向けAkerunで培った堅牢かつ信頼性に優れたクラウド認証プラットフォームと、スマートフォンのウォレット機能に統合されたアプリを活用することで、管理者向けにIDの発行や管理運用に関わる工数やコストの大幅な低減、個人情報を含むIDの安心・安全かつ統合的な管理、在籍中/離籍後を問わない利用者とのエンゲージメントの強化、そしてAPI等を通じた様々なサービスとの連携による拡張性等のメリットを提供しております。また同時に、利用者はいつも持ち歩いているスマートフォンと統合されたデジタルIDによるタッチ認証等に加え、様々なサービスや空間へのアクセスをシングルサインオンで実現できる利便性を享受できます。「Akerunデジタル身分証」のサービス構成として、利用者向けにスマートフォンのウォレット機能に統合されたデジタル身分証アプリと、管理者向けにクラウドを通じて利用できる管理ツールを提供しております。このクラウド上の管理ツールにより、ユーザーの作成/登録やプロフィールの編集、デジタル身分証の発行/削除、お知らせの配信、サービスや施設のアクセス管理等が可能になります。また、APIを通じて当社グループ以外の外部システム等と連携できるため、多要素認証によるセキュリティの強化やエンゲージメント機能の強化、そして複数の部門や施設にわたる管理性の強化等、デジタル身分証のさらなる活用に向けた拡張性も備えております。加えて、当社グループの中核サービスである「Akerun入退室管理システム」とのシナジーにより、デジタルIDを活用した入退室管理やセキュリティの強化も可能となっております。 (3)サービスの市場優位性Ⅰ.法人向けAkerunで培った堅牢かつ信頼性に優れたクラウド上の認証プラットフォーム当社グループでは、個人情報を含むIDの認証には信頼性及び安定性が必須であると考えております。「Akerunデジタル身分証」は、当社グループの中核サービスである「Akerun入退室管理システム」で培った、利用企業の規模や業種業態を問わない広範なユーザー基盤に裏付けられた認証プラットフォームを活用することで、個人情報を含むIDの管理運用のための堅牢性や信頼性に加え、認証端末とスマートフォンの間の認証方式の最適化等を実現しております。そして、この高信頼の認証プラットフォームを活用することで、業種や業態を問わない様々なユースケースにおけるデジタルIDの需要を取り込めるものと考えております。 Ⅱ.高度な技術連携によるスマートフォンのウォレット機能との統合と利便性の向上「Akerunデジタル身分証」で提供されるアプリは、世界大手のスマートフォンメーカーとの緊密な技術連携を通じて、スマートフォンのウォレット機能との高度な統合を実現しております。これにより、日常的に利用するスマートフォンで手軽にデジタル身分証を利用できる利便性を提供しております。さらに、スマートフォンのウォレット機能に求められる厳格なセキュリティ要件も充足することで、利用者の安心安全なデジタルIDの活用が可能となっております。一般的に広く普及するスマートフォンのウォレット機能との統合により、より多くの潜在ユーザーへのアプローチが可能になるとともに、法人や教育機関、商業施設等の組織における導入ハードルの低減にも貢献するものと考えております。 (4)今後の成長拡大のための取り組み当社グループでは、今後、日本国内でも普及が加速するデジタルIDのさらなる導入の促進に向けた取り組みとして、まず大学等の教育機関に対する提案及び採用に注力する計画であります。大学等では、新年度への準備期間となる3〜4月の一定期間において、新入生や進級等への対応に要する業務が山積しており、業務DXへのニーズが旺盛であると当社グループでは考えております。このようなニーズを受けて、「Akerunデジタル身分証」をデジタル学生証として活用することで、教育機関における業務効率化やコストの低減、そしてDXに向けた需要を取り込んでいけるものと考えております。また、当社グループの中核サービスである「Akerun入退室管理システム」の大学等での導入実績や顧客基盤等のシナジーも活用しながら、デジタル学生証だけでなく入退室管理システム、さらにはMigakunによる施設運営代行までを視野に入れたソリューションの提案等に注力する計画であります。そして、将来的には学生証にとどまらず、Akerunを中心に当社グループが強みを有する大規模オフィスビル等における入館証や法人における社員証への「Akerunデジタル身分証」の提案及び活用を推進していく考えであります。 ② 施設運営BPaaS「Migakun」 (1)市場機会現在、様々な業種業態で、少子高齢化などを背景とした慢性的な人手不足への対策に加え、日々の業務における生産性の向上などを目指す取り組みが推進されております。特に直近では運輸、医療・福祉、建設、宿泊等の業界での慢性的な人手不足とそれに伴うビジネス上の機会損失、そして事業としての存続の危機が叫ばれております。このような課題の解決に向けては、幅広い業界でDXやギグワーカー/スポットワーカーの活用を通じて、人手不足への対策に取り組んでおります。 (2)提供サービス当社グループでは、企業によるこの不可避の社会課題への対策を支援するために、施設運営BPaaS事業となる「Migakun」を提供しております。Migakunでは、当社グループが様々な業種業態のバックオフィス業務の効率化を支援してきた「Akerun入退室管理システム」で培った空間の管理運営に関するノウハウをベースに、様々なオフィスや施設ごとの課題に合わせた管理運営業務の設計に加え、ギグワーカープラットフォームを通じて総務業務や施設の清掃・管理、コミュニティスペースの運営などのサービスを提供し、施設運営における無人化・省人化を支援しております。Migakunはすでに700名規模のギグワーカープラットフォームを擁し、オフィス、コワーキングスペースやシェアオフィス、フィットネスジムやインドアゴルフ、そして短期賃貸物件等の約400の施設の無人化・省人化及び施設管理の効率化を支援するなどの実績を備えております。さらに、テクノロジーを活用するBPaaSによるサービス提供モデルを通じて、コミュニケーションツールを活用した利用企業とのリアルタイムなコミュニケーションと様々な要望への柔軟な対応や、AkerunのIoTやクラウドを活用した入退室管理との組み合わせによるギグワーカーのモニタリングやサービス品質の向上等を実現するなど、テクノロジーによる提供価値と競争優位性の強化に加え、市場での実績が豊富なAkerunとの顧客基盤やサービス提供におけるシナジーを活用した事業を展開しております。直近では、特に施設運営の無人化・省人化に親和性の高い、コワーキングスペース/シェアオフィス、フィットネスジム、インドアゴルフ等の会員制施設、短期賃貸物件等、幅広い施設で導入されるなど、物理的な作業を伴う施設運営業務で活用され、施設運営の効率化や無人化・省人化の実績を有しております。 このMigakunにより、様々な空間や施設における管理業務の効率化、施設の無人化・省人化運営、そして企業によるノンコア業務における外部リソースの活用とコア業務への柔軟なリソース活用等の価値提供を通じて、企業が抱える人手不足等の社会課題の解決を支援するとともに、当社グループの事業成長に貢献するものと考えております。 (3)サービスの強みⅠ.従来の施設運営代行における多重下請け構造を排除したサービス提供モデル従来の施設運営や清掃業務の代行業務においては、発注企業からワーカーまでの多重下請け構造に伴う高コスト構造やワーカーの就労環境の悪化、そして発注企業の要望やニーズへの対応力の欠如等の課題がありました。これらの従来の課題に対して、Migakunでは、発注企業との直接取引によるサービス提供を行うことで、利用企業の要望やニーズに柔軟に対応可能なサービス提供モデルを確立しております。また、多重下請け構造を排除することで、ギグワーカーの待遇や就業環境の改善も実現しており、その結果として約700名規模にも及ぶ高品質なギグワーカープラットフォームを構築しております。顧客企業、ギグワーカー、そして当社グループの3者それぞれにメリットをもたらすこのサービス提供モデルを実現したことで、サービス品質における競争優位性を備えた事業展開が可能となっております。 Ⅱ.テクノロジーを活用したBPaaSによるサービスの柔軟性と即応性Migakunでは、テクノロジーを活用するBPaaSとしての強みを生かし、Migakunのカスタマーサクセスやサポートの担当者を通じた、顧客企業及びギグワーカーとのコミュニケーションツール等を活用したリアルタイムのコミュニケーションにより、清掃や施設運営業務、総務業務におけるサービス提供の柔軟性と即応性を実現しております。さらに、施設運営ノウハウを備えたオペレーターにより、顧客企業の要望やニーズの的確な把握と提案に加え、ギグワーカーのオペレーションの最適化も実現しております。また、Akerunとのシナジーを最大限活用することで、急ぎのサービス提供依頼の際のギグワーカーへのAkerunの施解錠権限の付与/剥奪、入退室管理、サービス品質のモニタリング等も実現できるため、様々な施設ごとのニーズに即応可能なサービス提供体制を確立しております。 Ⅲ.Akerunで培った空間管理におけるノウハウやサービス提供におけるシナジー当社グループは、中核サービスであるAkerunの提供を通じて培った、あらゆる空間の管理や運営におけるノウハウを備えており、Migakunのサービス提供においてもその専門性やシナジーを最大限活用しております。具体的には、Migakunのサービス提供にAkerunによる入退室管理を活用した安心安全かつ柔軟なサービス提供体制、空間管理に課題を抱えるAkerun導入企業へのMigakun提案による空間や施設の無人化・省人化とそれに伴う顧客のコア業務への注力と社内リソースの最適化、ギグワーカーのサービスのモニタリングやサービス品質向上のためのAkerunの入退室データの活用等、要件の厳しい法人へのサービス提供において求められる信頼性や安定性、そしてAkerunも活用したサービスの拡張性を備えております。 (4)今後の成長拡大のための取り組み今後、Migakunのさらなる成長の拡大と加速に向けて以下の取り組みを推進する計画であります。 Ⅰ.Akerunとのシナジーを最大限活用したクロスセル施策の強化前述の通り、Migakunは当社グループの中核サービスであるAkerunとの大きなシナジーを有しているため、それらシナジーを最大限に活用し、Akerun等の当社グループの提供サービスとMigakunを組み合わせた空間DXのためのソリューションとしてのクロスセル施策をより一層強化していく計画であります。このクロスセル施策の強化により、人手不足等を背景に施設や空間の無人化・省人化運営への高まる需要を取り込むとともに、Akerunの機能拡張やMigakunのサービス強化等の提供価値のさらなる向上を通じて、事業の拡大を図る考えであります。 Ⅱ.ギグワーカープラットフォームのさらなる拡大とサービス品質の向上Migakunは、従来の施設運営代行の課題を解消した競争優位性のあるサービス提供モデルを確立し、空間や施設の運営における無人化・省人化や効率化への旺盛なニーズを取り込むとともに、その柔軟性や拡張性、サービス品質等を評価いただき、すでに多くの業種業態及び拠点での空間や施設の運営を支援しております。今後のさらなる事業成長に向けては、Migakunのサービスを支えるギグワーカープラットフォームの拡大とサービス品質の向上、そしてオペレーションのさらなる効率化を図る計画であります。具体的には、高品質なギグワーカーの採用を今後も加速することで企業の様々なニーズに応えるサービス提供体制の強化を図るとともに、サービス提供範囲の拡大と品質の向上、さらには現場オペレーションのさらなる効率化等を推進します。また、現在の首都圏を中心としたサービス提供エリアを、主要都市や地方にも拡大し、人手不足等を背景とした空間や施設の無人化・省人化及び効率化への旺盛なニーズを全国規模で取り込むことで、さらなる事業成長を目指しております。 ③ 店舗の無人化・省人化のための顧客管理・予約・決済SaaS「fixU」 (1)市場機会現在、小売店舗や会員制店舗等の商業施設では、少子高齢化を背景とした人手不足に加えて、最低賃金の上昇や採用難に対応するために人件費も高騰しており、人材確保のための防衛的賃上げ(注)の必要に迫られるなど、店舗運営で大きな割合を占める人件費が課題となっております。また、DXによる店舗の運営効率の改善に加え、利用者の消費活動や行動態様の変化に伴う高度にパーソナライズされた利用体験への要望等、デジタルを活用した店舗運営が求められている一方で、用途別に異なるツールを導入する必要があり、その用途別ツールにより累積する費用負担や管理負荷等の課題が指摘されております。 (注) 経済産業省「2024年版 中小企業白書」 (2)提供サービス当社グループでは、店舗運営における人手不足に伴う人件費の高騰やデジタル化に向けた障壁を解決するために、クラウド型顧客管理・請求管理・決済システム「fixU」をSaaSモデルで提供しております。店舗運営の無人化・省人化に特化したSaaSであるfixUは、会員登録、予約、決済までの店舗運営業務を自動化することで、高騰する人件費を抑えながら店舗を無人・省人運営するためのワンストップ・ソリューションとして様々な小売店舗や会員制施設等の商業施設で導入されております。具体的な特徴としては、店舗運営者向けのWeb上のダッシュボードを通じて、施設管理、顧客管理、予約管理、受付管理、請求管理、決済、そして売上管理まで、店舗運営に必要な機能を網羅的に提供しております。さらに、店舗の無人化・省人化に向けて、「Akerun入退室管理システム」とのAPI連携も活用することで、入退室履歴に基づく従量課金(ドロップイン利用)から決済までをワンストップで行うことで収益性を高められることに加え、厳格な権限管理や入退室管理により無人化・省人化で人件費を削減しながら利用者の安心安全も確保できることで、店舗の収益性の向上を支援しております。 (3)サービスの強みⅠ.店舗運営に必要な様々な機能をワンストップで提供fixUは、これまでの機能ごとに導入が必要だったサイロ型のサービスとは異なり、店舗運営に必要な施設管理、顧客管理、予約管理、受付管理、請求管理、決済、そして売上管理までのワンストップ・ソリューションとしての機能を備えております。これにより、店舗運営者は複数サービスの導入によるコスト増加や管理負荷から解放され、店舗運営の収益性や効率性を向上できると同時に、より戦略的な業務に注力できます。 Ⅱ.Akerun連携を通じた物理店舗の無人化・省人化による収益性やセキュリティの強化fixUとAkerunはこれまでもAPI連携を通じてセキュリティと店舗運営のための統合ソリューションとして多くの空間で導入されるなど豊富な導入実績を有しております。このサービス連携により、店舗では利用者の安心安全を確保しながら無人・省人運営が可能になり、人件費を削減しながら営業時間を延長できるなど収益機会を拡大できるようになります。また、Akerunの入退室履歴に基づく従量課金(ドロップイン利用)も可能になり、さらに収益性を改善できます。 Ⅲ.AkerunやMigakunとの強固なシナジーfixUの主要顧客である、コワーキングスペースやレンタルスペース、フィットネスジム等の会員制商業施設は、AkerunやMigakunの顧客層と強固なシナジーを有しており、fixU、Akerun、Migakunを合わせて導入することで、店舗の完全な無人化を実現できるとともに、収益機会の拡大と人件費の削減による収益性の大幅な改善を実現できます。 (4)今後の成長拡大のための取り組みfixUは、2025年10月の完全子会社化以前から、Akerunとのサービス連携を通じた相互送客や共同での顧客獲得で豊富な実績を有しております。また、機能の網羅性により、これまでの主要顧客である会員制商業施設だけにとどまらない、幅広い業種業態に展開可能な柔軟性も備えており、AkerunやMigakunの主要顧客層への導入余地も大きいと考えております。今後は、当社グループが推進する物理空間の無人化・省人化を通じた人手不足等の社会課題の解決のための統合ソリューションを担うサービスとして、AkerunやMigakunとのクロスセルを積極的に推進することに加え、当社グループ全体の営業力を活用し、新たな顧客セグメントの開拓やサービス提供エリアの拡大等を積極的に推進する計画です。 [事業系統図] (注) 1.顧客紹介を受けて、当社が顧客との契約及びサービスの提供を行います。2.HESaaS事業のオフィス領域の対象顧客とBPaaS事業の対象顧客は同様の顧客を想定しております。
FY2024|27,640 文字|出典 docID: S100VHWW
3 【事業の内容】当社グループは、「つながるモノづくりで感動体験を未来に組み込む」をミッションに掲げ、厳格な要件が求められる法人向けで実績豊富なクラウド型認証プラットフォームである「Akerun Access Intelligence」を基盤に、スマートロック(注1)等のIoT機器やソフトウエアを活用したAkerun(アケルン)ブランドのHESaaS(注2)のサービスに加えて、ギグワーカーを通じて様々な空間における人手不足の解決を支援する「Migakun(ミガクン)」による施設運営BPaaS(注3)のサービスを展開しております。これらのサービスの提供を通じて、少子高齢化やそれに伴う人手不足等の将来にわたる社会課題の解決に向けて、あらゆる空間の無人化・省人化を促進する新たな社会モデルの創出に取り組む空間DX事業を、法人、住宅、商業施設、教育機関、自治体などの幅広い業界で展開し、リカーリング収益(注4)の最大化を通じた事業拡大を推進しております (注) 1.スマートロックとは、電気制御により鍵を開閉することができるインターネットに接続された錠前のことであります。2.HESaaSとは、Hardware Enabled Software as a Serviceの略で、アプリケーションソフトウエアをインターネット経由で提供するクラウドサービスであるSaaSと、ハードウエアのサブスクリプションモデルを組み合わせた提供モデルであります。3. BPaaSとは、Business Process as a Serviceの略で、企業などにおける業務プロセスをアウトソースすると同時に、クラウドなどのテクノロジーを活用して業務効率の向上を実現するサービス提供モデルであります。4. リカーリング収益とは、サービスや製品の提供を通じて、定期的かつ継続的に発生する収益のことであります。 <当社事業を取り巻く社会的背景>現在、日本国内では、少子高齢化に伴う深刻な人手不足や生産年齢人口(15〜64歳)の減少といった社会課題に直面しており、統計によると生産年齢人口は1995年頃をピークに減少を続け、2025年時点の東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の生産年齢人口が2045年にはほぼ消失すると推計されています(注)。この影響はすでに様々な業界で顕著になってきており、オフィスにおける人手不足を原因とした過重労働や生産性の低下、観光業界における訪日外国人旅行客の増加に伴う人手不足や機会損失、教育機関等における働き方改革の要請、そして小売店舗等におけるアルバイトを含む人材不足による営業時間の短縮や機会損失等、現在そして将来にわたって企業だけでなく日本経済そのものの成長への大きな課題となっております。 この不可避の社会課題に対して、人手不足を補うためのデジタル化やDXが様々な業界で求められるなか、当社グループでは、市場での実績が豊富で現契約社数5,600社超という相当規模のユーザー基盤を有する認証プラットフォームを活用したAkerunを基軸に、オフィス、住宅、商業施設、医療機関、教育機関、自治体等のあらゆる空間に適用可能な空間管理ソリューションを提供しております。これにより、空間や施設の運営の無人化・省人化という将来におけるスタンダードとなる新たな市場を創出するとともに、ビジネスの領域だけでなく日本社会全体における課題の解決を支援することを目指しております。 (注)国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」 [空間DX事業の概要]当社グループは、オフィス、住宅、商業施設、医療機関、教育機関、自治体等のあらゆる空間の管理を無人化・省人化するテクノロジーやソリューションを提供することで、少子高齢化等に伴う深刻な人手不足や生産年齢人口の減少といった社会課題の解決を支援する空間DX事業を展開しております。この空間DX事業では、中核サービスである「Akerun入退室管理システム」をはじめとしたAkerunブランドのHESaaSのサービスを法人向け及び住宅向けに、そしてAkerunと大きなシナジーを有するギグワーカーを活用した施設運営BPaaSである「Migakun」を法人向けに提供しております。当社グループは、基盤となる認証プラットフォームを活用したAkerunのスマートロック等のエッジ端末(注1)による個人認証と入退室データの利活用を起点として、API(注2)等を通じたデータ連携による勤怠管理、受付管理、会員管理、決済等の自動化から、AIカメラによるセキュリティのさらなる強化、そしてギグワーカーへのAkerunを通じた入退室権限の付与/剥奪による清掃等の施設運営業務の柔軟な利用まで、無人化・省人化のための統合ソリューションを提供することで、あらゆる空間の管理運用におけるDXで様々な課題の解決を支援しております。 (注) 1.エッジ端末とは、 エッジ(末端)の端末の意味であり、IoT等においてはインターネットに接続され、システム全体の末端に位置する端末のことであります。インターネットで接続されたシステム全体における末端の端末として、データの収集/処理や上位システムへのデータの送信等に加え、上位システムからの指令やデータ等を受信して稼働したり、利用者に伝達する等の機能を担うハードウエアであります。2.APIとは、Application Programming Interfaceの略で、特定のソフトウエアの機能やデータ等を、外部の他のプログラムで利用するための手順やデータ形式等を定めた規約のことであります。 <Akerunを起点とした空間DXと施設の無人化・省人化のイメージ> 空間DX事業の特徴及び市場優位性は主に以下の3点であります。 ① HESaaSとBPaaSの提供モデルによる導入ハードルの低減と顧客ニーズに合わせた柔軟性の実現空間DX事業の特徴の1つ目は、Akerunブランドのクラウド型IoTサービスで採用するハードウエアとクラウドを含むソフトウエアを組み合わせたサブスクリプションモデルであるHESaaS、そしてギグワーカーを活用した施設運営代行サービスのMigakunで採用するBPaaSとしての提供形態であります。Akerunで展開される各サービスは、IoT機器等のハードウエアとクラウドを含むソフトウエアを組み合わせ、主に年単位で課金されるサブスクリプションモデルによるレンタルサービスとして提供しております。サブスクリプションモデルによるユーザーの導入障壁の低減、運用の手軽さや利便性、後述のAkerun事業における強み、そしてAPIによる外部の勤怠管理システムや会員管理システム等との連携を通じた様々な空間管理のニーズへの対応等により、人々の入退室データを起点とした“オフィスや施設における基幹システム化”を実現しております。また、Migakunは、従来の施設運営代行におけるビル管理会社〜清掃業者〜ワーカーという多重下請け構造を排除することによる低コストでの利用モデルを実現するとともに、コミュニケーションツール等のテクノロジーを活用した利用企業とギグワーカーを含むMigakunスタッフとのリアルタイムのコミュニケーションにより、様々な施設運営ニーズに即応可能な柔軟なサービス提供モデルを確立しております。 これらのAkerun及びMigakunが実現する導入ハードルの低減と利用の柔軟性が評価され、売上高及びARR(Annual Recurring Revenue:毎年繰り返し得られる年次経常収益)は堅調に拡大しており、さらに、この売上高及びARRを支える空間DX事業全体におけるリカーリング収益の比率も事業収益全体の90%を超える高水準を継続的に維持しております。また、Akerunの“オフィスや施設における基幹システム化”や大規模顧客へのさらなる拡販、そして人手不足等を背景としたMigakunへのニーズの拡大と柔軟なサービス提供モデルによる利便性等を通じた解約率低減のための取り組みにより、空間DX事業全体でのMRR(Monthly Recurring Revenue:毎月繰り返し得られる月次経常収益)ベースのChurn Rate(サービスに関する解約率)は平常時で1%台前半の低い水準に抑えられております(注)。具体的には、継続的なChurn Rateの改善により、空間DX事業全体で2024年12月期には1.16%まで改善しております。 当社グループでは、AkerunにおけるAPI連携利用や大規模企業といった顧客ポートフォリオの拡大に加えて、Akerunと高いシナジーを発揮するMigakunを組み合わせたソリューション提供やクロスセル施策を促進することで、空間DXによる無人化・省人化市場の創出を通じた売上高及びARRのさらなる拡大とChurn Rateのさらなる低減が可能であると考えており、今後もそれらの取り組みを通じて空間DX事業のより一層の成長を目指します。当社グループは、事業収益に占めるリカーリング収益の高い比率や低い解約率等を実現するビジネスモデルにより、売上高及びARRの最大化を通じた持続可能な成長を実現しております。 (注) 各期のChurn Rateは、当該期の期末月における12か月移動平均であります。 ② 堅牢なアクセス認証基盤及びクラウドセキュリティシステム空間DX事業の特徴の2つ目は、Akerunを支えるクラウド上のアクセス認証基盤「Akerun Access Intelligence」(注1)の高度な技術性であります。この認証基盤では、一般的なユーザー情報に加えてユーザーが日常的に利用するICカードなどの固有の物理ID情報を保有し、インターネットを通じて認証に活用しております。この認証基盤における認証プロセスは、特許を取得している独自の通信方式(注2)やSSL(注3)、AES256(注4)等のセキュアな通信技術でセッションごとに暗号化することで高度なセキュリティを担保しております。また、認証や処理のロジックをエッジ端末とクラウド上のサーバーに集約することで、個人情報等の機密情報のエクスポージャーを減少させ、セキュリティ上の堅牢性をさらに高めております。 この高度なセキュリティ環境を背景としたユーザー認証方式を確立したことで、信頼性と堅牢性に優れたユーザー認証と入退室管理に加えて、デジタル身分証等の高い機密性が求められる関連サービスの展開が可能になっております。 (注) 1.ユーザーの基本情報(氏名や所属等)、デジタルID情報(電話番号や電子メール等)、物理ID情報(所有するICカードや生体認証情報等)、認証権限情報(アクセスが許可されている扉、有効な日にち、曜日、時間帯等)等の情報を保有するクラウド上のデータベースであります。2.セキュリティを確保しながら簡便な方法で第三者に鍵を開けるための権限を一時的に付与することができる電子錠システムに関する特許(公開番号「特開2016-79644(P2016-79644A)」)3.SSLとは、Secure Sockets Layerの略で、インターネット上でのデータ通信を暗号化し、第三者によるデータの窃取や改ざんを防ぐ通信プロトコルのことであります。4.AES256とは、米国国立標準技術研究所(NIST)が政府の標準暗号方式として選定したAES(Advanced Encryption Standard)と呼ばれる暗号化方式のうち、256ビット長の暗号鍵を使用する方式であります。 ③ アクセス認証基盤を活用した認証プラットフォームとしての価値空間DX事業の特徴の3つ目は、利用企業の規模や業種業態を問わない広範なユーザー基盤に裏付けられた認証プラットフォームがもたらす、社会インフラとしての価値であります。これまでのサービス展開を通じて、2024年12月末時点で5,600社以上の現契約社数を達成しており、この現契約社数は継続的に増加しております。実際に、中核サービスである法人向けの「Akerun入退室管理システム」は、「クラウド型入退室管理システムの導入社数/シェア」、「スマートロックの利用者数/シェア」、「法人向けスマートロックの導入社数/シェア」の3分野でそれぞれ国内No.1(注)を獲得するなど、クラウド型入退室管理システム及びスマートロックの市場をけん引する実績を有しております。このように、Akerunはセキュリティ及び認証のプラットフォーム化による社会インフラとしての地位を確立しております。さらに、建築用錠前の提供で国内大手の美和ロック株式会社(以下、美和ロック)との合弁会社である株式会社MIWA Akerun Technologies(以下、MIWA Akerun Technologies)を通じて、住宅領域での事業成長を推進するなど、オフィスや商業施設、教育機関等の各種施設、住宅等の利用場所を問わない広範な顧客基盤を通じたビッグデータの取得・活用により、様々な周辺領域へのサービス展開も可能となっております。また、Migakunのサービス提供においてもAkerun及び「Akerun Access Intelligence」を活用することで、Akerun導入企業へのサービス提供時の柔軟な入退室権限の付与/剥奪やサービス品質向上のためのギグワーカーのモニタリング等が可能になるなど、大きなシナジーを発揮しております。 当社グループでは、将来的にプラットフォームに蓄積されたビッグデータを活用することで、少子高齢化等による労働力人口の減少を補完するテクノロジーの提供、人の動静に合わせた効率的なエネルギー利用による環境負荷の低減、社会や時勢の変化に合わせた働き方の実現、既存の空間を活用した効率的な社会インフラの構築、認証/移動/決済等のソリューションの提供等を通じて、オフィス領域から住宅領域、そして商業施設、行政機関や医療機関等の非商業施設までのあらゆる場所やシーンにおける効率的かつ持続可能な社会の構築に貢献していけるものと考えております。 (注) 日本マーケティングリサーチ機構調べ(2021年6-7月期_指定領域・日本国内における検証調査) (1) Akerunの概要当社グループの中核サービスである「Akerun入退室管理システム」等を展開するAkerunブランドのクラウド型IoTサービスは、クラウドとインターネットでつながるスマートロック等のエッジ端末による個人認証とセキュリティ、そしてクラウド上の認証プラットフォームを通じた個人認証を主軸とした関連サービスを法人向け、住宅向けに展開しております。 また、Akerunは、空間DX事業の基軸となるサービスとして、世の中の物理鍵とそれに伴う様々な制約から人々を解放し、扉で分断されたあらゆる場所や空間に人々が自由にアクセスできる「キーレス社会」の実現を目指しております。現在、人々が通過する扉やゲートの数だけ物理的な鍵を持ち歩く必要があり、扉の数と鍵の数がN:Nの関係となっております。そして、鍵が果たす役割はセキュリティや本人認証など重要なものであるため、鍵の管理に要する心理的・物理的な負荷は非常に大きいと考えております。このような現状から、物理的な鍵による様々な制約を無くし、1つのICカードや個人を特定する物理的またはデジタルなIDであらゆる扉やゲートにスムーズにアクセスできる、扉の数と鍵の数がN:1の世界をキーレス社会と名付け、この物理空間におけるシングルサインオンともいえる世界の実現を目指しております。この社会インフラとしてのキーレス社会を基盤として、空間DX事業の各サービスを展開することで、あらゆる空間の無人化・省人化を通じた人手不足等の社会課題の解決を支援し、人々や社会の利便性の向上やさらなる価値提供を目指しております。 (1)-2 オフィス領域におけるAkerun① 市場機会Ⅰ.市場環境の変化現在、国内では少子高齢化の昂進等による生産年齢人口の減少が喫緊の社会課題となっており、日本政府によると、2020年時点で約7,400万人いる生産年齢人口は2065年までに約4,500万人となり、約2,900万人減少すると試算されています(注1)。この社会課題を受けて、オフィスや商業施設、店舗等においても人手不足への対応や労働生産性の向上等を目的に、IoTやクラウド等のテクノロジーを活用して日々の業務の効率性や生産性を高め、またより少ない人員で業務を遂行するための取り組みが活発化しています。具体的には、従来は人手をかけていた、セキュリティを含む入退室管理、勤怠管理、受付管理、予約管理等の各種業務にテクノロジーを活用し、それぞれをデータ連携させてオフィスや施設の運営にかかわるワークフローを自動化する等の取り組みが業界や業態を問わず進展しております。また、これらの取り組みは、オフィス環境だけにとどまらず、特にコワーキングスペースやシェアオフィスなどの分散型オフィス/フレキシブルオフィス、フィットネスジムやインドアゴルフなどの会員制商業施設、そして小売店舗等にも広がるなど、将来にわたって旺盛なニーズが見込まれております。さらに、従来からの法改正を含む日本政府による働き方改革の推進により、一般的なオフィスだけでなくあらゆる業種業態で客観的な方法による従業員の労働時間の把握(注2)や、残業時間の上限規制(注3)、勤務間インターバル制度(注4)等、従業員の勤務時間を正確に記録、管理することが求められております。また、個人情報保護法の改正により、企業では安全管理措置に基づき、個人情報に対する物理セキュリティ及び情報セキュリティの対策を強化する必要があります(注5)。特に、この個人情報保護に向けた流れはより一層加速しており、直近では、個人情報の漏えい等が発生した際の事業者による報告が義務化(注6)されております。また、この改正に加えて、個人情報保護委員会からの措置命令等に違反した場合、また個人情報データベース等の不正流用があった場合の法人における罰則(注7)がさらに厳罰化されるなど、企業ではこれまで以上の対策を求められるようになっております。このような人手不足対策や施設の業務・運営効率の向上を目的としたデジタル化の進展、従業員の労働時間の適正な把握の必要性、働く場所の多様化と拡大、個人情報保護のためのセキュリティ対策、といった市場動向に対して、Akerunはセキュリティ強化に加えて、入退室履歴の勤怠管理への活用、API連携等も活用した認証・動静管理システムとしての様々な用途への拡張性の高さ、導入の容易さ等の特徴を通じて、今後も市場からの旺盛な需要に応えていけるものと考えております。 (注) 1.内閣府「令和4年版高齢社会白書」2.改正労働安全衛生法第66条の8の3(2019年4月1日施行)及び改正労働安全衛生規則第52条の7の3(2019年4月1日施行)3.労働基準法第36条及び第139~142条(2019年4月1日施行)4.改正労働時間等設定改善法第2条(2019年4月1日施行)5.改正個人情報保護法第2条及び第20条(2017年5月30日施行)6.改正個人情報保護法第22条の2(2022年4月1日施行)7.改正個人情報保護法第83条〜第87条(2020年12月12日施行) Ⅱ.入退室管理システムの現状従来の法人向け入退室管理システムは、オンプレミス環境(注1)へのサーバーや管理用PC等のハードウエア機器の購入・設定に加え、システム設定やネットワーク工事のためのSIer(注2)及び電気工事業者が必要になっておりました。さらに、導入後も機器の改修や保守の費用等が必要となり、加えてIT技術に習熟した担当者でなければ取得データの利活用が難しいなど、費用面及び工数面での負荷やデータ活用の困難さが企業には大きな導入障壁となっておりました。当社グループでは、このような導入時の障壁を低減し、より少ない負担で入退室管理システムを導入・活用できる「Akerun入退室管理システム」を法人向けに提供しております。特別な工事やシステム構築が不要かつ後付けで手軽に導入可能、クラウド型システムによる専用IT機器の排除とシンプルに利用できる管理画面等によるデータ利活用の支援、サブスクリプションモデルによる保守・運用に要する費用負担の軽減などにより、導入障壁の低減と継続運用のしやすさを実現することで今後も広く需要を取り込み、継続的に売上を拡大できるものと考えております。 (注) 1.オンプレミス環境とは、ITインフラの構築や稼働に必要なサーバーやネットワーク等の機器及びソフトウエア等を利用者である企業が管理する施設等に保有し、運用するシステムの利用環境のことであります。2.ITシステムの構築、コンサルティング、設計、開発、運用、ハードウエアの選定等を一括で請け負うITサービス事業者のことであります。 ② サービス構成Akerunの中核サービスである法人向けの「Akerun入退室管理システム」は、鍵の物理的開閉やデータ通信等を担うスマートロック(IoTハードウエア)と、それを施解錠するICカードやスマートデバイス(注) 向けアプリケーション、スマートフォンのモバイルICカード等のスマートキー、そして認証、鍵権限の管理、履歴の閲覧等を行う、スマートデバイス向けアプリケーション及びWebアプリケーション等のソフトウエア管理ツールで構成されております。 (注) 対応するスマートデバイスは、Apple社が提供するiOS及びGoogle社が提供するAndroidにて稼働するスマートフォン等の電子デバイスとなります。 Ⅰ.ハードウエアの特徴「Akerun入退室管理システム」で提供されるハードウエアには、サムターン錠(注1)に対応する「Akerun Pro」と、電気錠(注2)や自動ドア、フラッパーゲート等の電気制御の扉に対応する「Akerunコントローラー」があります。(住宅向けは後述)Akerun Proは、工事なしで既存の扉に後付け可能なスマートロックであります。扉の既存のサムターン錠に付けて設置するだけで、取り付け工事不要、初期費用0円で導入できるため、従来の入退室管理システムと比較して導入にかかる工数や費用を大きく低減しております。Akerunコントローラーは、既存の自動ドアや電磁錠等の電気錠に後付けで導入でき、簡易的な工事のみで導入し、運用できるスマートロックであります。電気制御で鍵の開閉を行う電気錠に対応することで、「Akerun入退室管理システム」の適用範囲をさらに拡大し、さらに多くのオフィスや施設のニーズに対応することが可能になっております。また、Akerun Pro及びAkerunコントローラーに共通のハードウエアとして、ICカードリーダーも付帯しております。ICカードリーダーを活用することで、ユーザーが日常的に使用している交通系ICカードや社員証、ビル入館カード等、FeliCa及びMifareの各規格(注3)に対応するICカードに加え、スマートフォンのアプリケーションとして利用できるモバイルICカード等のスマートキーによる認証を通じた施錠・解錠が可能となっております。なお、「Akerun入退室管理システム」を構成する各ハードウエアは、当社グループで開発、設計し、製造は外部に委託しております。 (注) 1.サムターン錠とは、扉の室内側についているツマミ式の金具で開閉を行う錠前のことであります。2.電気錠とは、電気的に鍵を施解錠する機構を組み込んだ錠前のことであります。3.FeliCaは、ソニー株式会社の登録商標です。Mifareは、NXPセミコンダクターズ社の登録商標です。 Ⅱ.ソフトウエアの特徴「Akerun入退室管理システム」は、ソフトウエアにより以下の機能を提供しております。 A.Web管理ツールによる鍵権限の柔軟な設定Web管理ツール及びそれを支えるクラウドやソフトウエア技術を通じて、ユーザーが入退室できる日時等を柔軟に設定することが可能となっております。これにより、ユーザーごとの要件に応じた入退室権限等、ニーズに合わせた柔軟な鍵権限の運用が可能になっております。また、Web管理ツールやソフトウエアは、クラウド型サービスの特徴を生かし、労務関連の法制度の改正やオフィスに求められる要件の変化等、社会状況の変化や市場トレンドに合わせて継続的にアップデートすることが可能となっております。 B.システムで取得するデータの利活用IoTを活用したクラウド型入退室管理システムの特徴を生かし、ユーザーの利用履歴を永続的に保持し、Web管理ツール等でいつでも確認できる機能を備えております。さらに、この履歴のビッグデータとしての活用により、セキュリティの機能だけでなく、ユーザーの動静を把握・確認するための空間管理やMigakun等の当社グループの各サービス利用のエビデンスとしての活用等、さらなる価値提供が可能になっております。 C.APIによる外部システムとの連携サービスとしての拡張性を高めるために、Akerunでは外部システムとの連携が可能なAPIを公開しております。これにより、外部システムからの「Akerun入退室管理システム」の入退室履歴等の各種情報の取得や遠隔での解錠・施錠の操作、日時を指定した鍵権限の発行等が可能になります。また、ユーザーが独自に開発したシステムやサービスと「Akerun入退室管理システム」を連携させたり、当社グループ及び外部のパートナー企業でAPI連携させた勤怠管理、生体認証などの認証システム、会員管理システム、決済システム等との共同ソリューションを活用することも可能となっております。 ③ サービスの強み当社グループは、市場優位性として、セキュリティやサービス品質等の要件の厳しい法人向け事業で培った広範な実績に加え、高水準の利用体験を可能にするハードウエアの開発及び無線通信やセキュリティにおけるソフトウエアの開発に強みを有しております。 Akerun事業における強みの詳細は、以下の通りであります。 Ⅰ.法人向け事業における強固な実績とそれに支えられたアクセス認証基盤前述の通り、当社グループはこれまでの事業活動により、法人における豊富な導入実績を通じて現契約社数5,600社以上を抱えるアクセス認証基盤「Akerun Access Intelligence」を保持しております。この相当規模の認証基盤を活用することで、ユーザー認証に加えて勤怠管理や会員管理等の法人向けに提供される様々なクラウド型サービスや認証シーンにも活用でき、また、認証基盤を通じて取得するビッグデータを活用したデータドリブンなビジネス展開も将来的に可能となっております。今後も、オフィスに導入されたAkerunのエッジ端末(スマートロック)を起点として、入退室管理やセキュリティといった従来から提供する機能に加え、API連携を通じて勤怠管理、会員管理、予約管理、決済等の外部の様々なサービスとの連携を継続的かつ積極的に推進することで、扉を起点にあらゆる空間における付加価値を向上させ、社会インフラとしての認証基盤の利用拡大と社会課題の解決に取り組む計画であります。 Ⅱ.要件の厳しい法人利用に応える高水準のハードウエア性能Akerun事業で提供される各種ハードウエアは、日常的に多人数に触れる機器としての特性上、ユーザーの利用体験の向上をもたらすハードウエア品質が非常に重要であると考えております。当社グループでは、このハードウエア品質の強化に常に注力しており、実際にAkerun Proにおいては100万回の開閉試験を実施するなど、多人数利用に応える耐久性を確保しております。さらに、サムターン錠の高速な施解錠を支える高トルクモーター、1日あたり100回の開閉で電池が6か月以上持続する省電力性能を追求した専用設計回路、耐久性強化のための高機能ベアリングや特許取得済みの専用設計機構等、ユーザーの利用体験を最大限に高め、法人利用にも耐えられるハードウエア技術により、市場でも高水準のハードウエア品質を実現しております。 Ⅲ.信頼性と堅牢性に優れた無線通信技術及びセキュリティ技術当社グループでは、ハードウエア品質と同様に、日々利用されるシステムとしての安定的な稼働も重要であると考えております。当社グループは、認証に使用するBLE(注)通信の制御技術、特に施解錠に用いるスマートデバイスを含む複数のハードウエア機器間での安定的な通信制御技術に強みを持っております。現在では、オフィス環境はもちろんのこと、様々な場所で多くの無線通信が行われており、それぞれの無線通信の混線や干渉などが発生し、無線通信を利用するサービスの安定的な稼働の障害となっております。当社グループでは、法人向けセキュリティという重要なサービスを担う企業として、無線通信における堅牢性と同時に安定性を実現する高度な無線制御技術を備えております。この強みを生かすことで、オフィスや施設における高速かつ安定したユーザー認証が可能になり、日々の利用体験の向上を実現しております。さらに、これまでの広範な導入実績で培われたユーザー基盤を背景に、継続的なソフトウエアの改善を通じて、さらなる利用体験と信頼性の向上を図っております。加えて、前述の通り、クラウドや各ハードウエア機器間の通信には、特許取得済みの通信技術や高度な暗号化通信技術を採用することで、市場でも高水準の信頼性と堅牢性に優れたユーザー認証プロセス及び認証基盤を確立しております。また、Akerun事業のサービスを支えるクラウド基盤に関しても、近年のクラウドサービスを含む情報セキュリティ意識の高まりを受け、社内で「情報セキュリティ基本方針」を定め、この方針に従って情報資産を適切に管理するとともに、本社及び各拠点で情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格「JIS Q 27001:2014(ISO/IEC 27001:2013)」の認証を取得し、さらに最高情報セキュリティ責任者(Chief Information Security Officer、CISO)やクラウドインフラの保守運用の専任担当者を設置することで、安定的なサービス基盤の構築に積極的に取り組んでおります。 (注) BLEとは、Bluetooth Low Energyの略で、低電力通信を可能にする近距離無線通信技術Bluetoothの拡張仕様の1つであります。 ④ 今後の成長拡大のための取り組みⅠ.企業規模を問わない新規ユーザーの獲得オフィス領域におけるさらなる成長拡大に向けて、主要導入企業である従業員10名以上の中小企業及び事業所への販売促進施策を継続的に強化し、新規ユーザーのさらなる獲得を目指しております。中小企業への提供拡大にあたっては、札幌、大阪、及び福岡の地方拠点の活用に加え、紹介取次や再販等の販売パートナーとの関係強化を通じて潜在ユーザーへの提案機会の増加を図る専任チームの強化・拡充と営業活動の強化も継続的に実施しております。さらに、直近では大規模企業や大型ビルに加えて、教育機関、医療機関、自治体等からの問い合わせや導入も増加し、堅調な受注実績をあげております。今後も、継続的に営業チームの強化や拡大を進めることで、大規模企業ユーザーの新規獲得にも積極的に注力する計画であります。 Ⅱ.既存ユーザーへの追加導入の提案(アップセル施策)当社グループでは、既存顧客へのさらなる売上拡大にあたって、継続的なユーザーとの関係性強化やヒアリングに加え、市場動向の調査・分析を通じて、変化するオフィス環境や施設の運営環境等の市場ニーズに合わせた空間利用を提案することで、1事業所あたりの追加導入台数の増加を目指しております。さらに大規模企業での導入の場合、「Akerun入退室管理システム」を導入可能な扉が複数あるケースがほとんどであるため、複数台の契約を獲得しやすい環境であることから、契約の新規獲得を契機に関係性の強化や継続的なヒアリング、提案力の強化等を通じて複数台の契約を追求してまいります。これらのアップセル施策を促進することで、ユーザーからもたらされるLTV(注1)及びARPU(注2)の最大化を目指し、事業成長を加速する考えであります。 (注) 1.LTVとは、Life Time Valueの略で、顧客との取引の開始から終了までの期間にもたらされる総利益(顧客生涯価値)のことであります。2.ARPUとは、Average Revenue Per Userの略で、ユーザーや利用企業における1人/1社あたりの売上金額を表す指標であります。 Ⅲ.周辺領域でのソリューションの開発と提供(クロスセル施策)現在、Akerunでは、空間管理の無人化・省人化での活用を軸に適用領域の多様化に積極的に取り組んでおり、特に外部パートナーが提供する勤怠管理、会員管理、決済、認証等のシステムとのAPIを通じたサービス連携に注力しております。Akerunが提供するAPIを通じて、「Akerun入退室管理システム」の入退室履歴やスマートキーの発行・剥奪等の各種データの連携が可能になることで、「Akerun入退室管理システム」が設置された扉を起点に、オフィスや施設を利用するユーザーの入退室履歴や個人認証のための情報等を通じたインサイトの獲得や、労務管理や施設管理、利用者情報の管理などの業務を大幅に効率化することが可能になります。この有用性が評価され、オフィスだけでなくコワーキングスペースやフィットネスジム等の会員制施設及び商業施設での「Akerun入退室管理システム」の導入やAPIの利用も堅調に増加するなど、「Akerun入退室管理システム」は顧客のオフィスや施設の様々なバックオフィス業務を支える基幹システムへと進化しております。また、当社グループでは、API連携による顧客へのさらなる価値提供に加え、連携サービスの拡充やサービス品質の向上を図るために、API利用への課金を実施するなど、さらなる収益性の強化を推進しております。さらに直近では、受付業務の無人化・省人化を実現する「Akerun QR受付システム」の開発・提供や、就労環境の変化等の時勢や顧客ニーズに合わせたAkerunの機能強化/新機能の提供の加速、そしてオフィスを含む様々な空間や施設の運営を支援する施設運営代行BPaaSであるMigakunの提供など、入退室管理システムの周辺領域でのサービス開発を強化しており、Akerunブランドに加えて当社グループのサービス全体としての空間におけるインフラ化のための取り組みを今後も推進する計画です。 当社グループでは、このようなAkerunの周辺領域における各種サービスとの連携ソリューションを開発・提供することで、オフィスや施設の業務効率化や運営効率化を支援し、顧客の基幹システムとしての役割を今後もさらに拡大しながら、さらなる収益の拡大を目指してまいります。 (1)-3 住宅領域におけるAkerun① 市場機会現在、日々の生活の様々な場面でデジタル化が大きく進展し、家事代行サービスや宅配サービス、空きスペース等の不動産や自動車等の動産を有効活用する取り組みが促進され、消費者の行動態様は大きく変化しております(注1)。さらに現在では、社会環境や消費者の行動態様の変化に伴い、非対面や自宅不在時のサービス利用や荷物の受け取り等へのニーズの高まりを受け、それらにデジタルを活用する取り組みも拡大しております。そして、このデジタル化の流れは、住宅関連のサービス事業者や不動産事業者にも拡大しており、物件の内覧や管理のデジタル化、不動産契約の一部電子化等を通じて業務を効率化する取り組みなど、不動産テックと呼ばれる市場も拡大しております(注2)。加えて、これらの直近の市場動向だけでなく、日本では少子高齢化に伴う高齢者の一人暮らし世帯の増加(注3)とそのような世帯への生活支援、健康管理、安全管理等のケアの提供が課題となっております。この課題の解決に向けては、高齢者のための見守りサービスの普及や利用拡大が期待される中で、人員による定期的な対面に加えて、センサーや通信、ロボットなどのIT技術を活用して人員による見守りを支援する取り組みも今後さらに加速するものと考えております。一方で、これらのサービス利用の課題として、宅配便の増加やドライバーの不足に伴う物流業界の業務負荷の高まりと業務効率化の要請、居住者の在宅の必要性、利用時の鍵受け渡しの手間、集合住宅エントランスの入退館時のセキュリティ、ユーザーの心理的不安等がサービスの利用拡大の障壁となっております。 当社グループの住宅領域におけるAkerunでは、建築用錠前の提供で国内大手の美和ロックとの合弁会社となるMIWA Akerun Technologiesを通じて、住宅領域におけるスマートロック及び関連サービスの普及と事業成長を目指しております。この合弁会社を通じて、当社は住宅向けサービスの基盤となるクラウド上の認証プラットフォームやスマートデバイス向けアプリケーションの開発、美和ロックはAkerunのシステムと連携する住宅向けスマートロックの開発と提供、そして合弁会社が住宅向けサービスの開発と提供をそれぞれ担い、住宅の扉を起点とした住宅向けのサービスを提供することで、前述の課題を解決できるものと考えております。住宅領域のAkerunでは、当社グループがこれまでに培ったオフィス領域におけるサービス開発、クラウド上の認証プラットフォームやサービス基盤及びスマートデバイス向けアプリケーションの開発や提供における実績・知見を活用しております。これにより、住宅のセキュリティを高めながら社会課題の解決に向けて普及する住宅向けサービスをユーザーが簡便に利用できるプラットフォームを展開し、住宅領域でのさらなる事業成長を目指しております。この住宅領域におけるAkerunを通じて、人々が持ち歩いていた住宅の鍵を、当社グループの合弁会社が提供する住宅向けアプリケーションやICカード等へと置き換えることで、Akerunの目指すキーレス社会の実現に向けた取り組みを加速するとともに、関連事業者やユーザーのさらなる利便性向上に資するものと考えております。 (注) 1.株式会社矢野経済研究所「2021 シェアリングエコノミー市場の実態と展望」(2021年9月30日発刊)2.株式会社矢野経済研究所「2021年版 不動産テック市場の実態と展望」(2021年7月28日発刊)3.内閣府「令和4年版高齢社会白書」 ② 提供サービス/製品住宅領域におけるAkerunは、美和ロックとの合弁会社であるMIWA Akerun Technologiesを通じて、住宅向けのサービスや製品を開発・提供しております。美和ロックの提供するスマートロックと当社の提供するクラウド上の認証プラットフォームやサービス基盤を組み合わせたサービスを活用することで、集合住宅などに標準設備として導入されている美和ロック製スマートロックをAkerunアプリで開けることができるようになり、追加の機器などを導入する必要なく、Akerunアプリからの施解錠に加え、操作履歴の確認、インターネットを通じたデジタルな合鍵/スマートキーの共有等が可能になり、ユーザーの利便性が向上します。現在、住宅領域における主力サービスとして、賃貸用住宅物件の管理業務を大幅に効率化する「Akerun.Mキーレス賃貸システム」提供しており、このサービスにより、賃貸物件の内見〜入居〜退去の各フェーズにおける、物理鍵の受け渡しのための移動にかかる手間と時間、トラブルへの対応業務、そして退去時の鍵の交換や回収にかかる手間やコスト等、物理鍵の運用に伴う様々な非効率業務を大幅に解消すると同時に、入居者の利便性や安全・安心の向上を実現できます。さらに今後は、住宅における鍵の施解錠だけでなく、認証、住宅向けの各種サービスの利用、決済等の様々な住宅向けサービスを利用するためのプラットフォームとしての機能の提供に向けて積極的に取り組み、社会環境やライフスタイルの変化に合わせ、イエナカサービス(家事代行、ペットシッター、介護等)と連携し、安全・安心で快適な暮らしを支えるための取り組みを推進してまいります。 ③ サービス提供のスキーム住宅領域では、サービスや製品の提供にあたり、当社が51%、美和ロックが49%を出資する合弁会社であるMIWA Akerun Technologiesを通じて、当社は住宅向けサービスの基盤となるクラウド上の認証プラットフォームやサービス基盤、スマートデバイス向けアプリケーションの開発、美和ロックはAkerunのシステムと連携する住宅向けスマートロックの開発と提供、そして合弁会社が住宅向けサービスの開発と提供をそれぞれ担っております。当社のクラウド上の認証プラットフォーム及びスマートデバイス向けアプリケーションといったソフトウエア技術における信頼性と実績、美和ロックの住宅向けスマートロック製品に関するハードウエア技術の堅牢性と実績、そして合弁会社によるスマートロックを起点とした住宅向けサービスの開発と提供という各社のそれぞれの強みを組み合わせることで、ユーザーの安全・安心の実現と同時に包括的なサービスを提供し、これまで以上に利便性の高い生活の実現に貢献するとともに、様々な社会課題の解決に資するものと考えております。また、販売・普及にあたっては建築用錠前の提供で国内大手の美和ロックの有する全国規模の販売網やネットワークを活用することで、住宅領域における不動産管理会社や不動産オーナー等の主要プレイヤーへの積極的な提案を推進し、全国規模でのサービスの提供を拡大してまいります。 ④ サービスの強み住宅領域におけるAkerunでは、美和ロックとの合弁会社を通じて両社の強みを生かした事業を展開しております。具体的には、建築用錠前で国内大手である美和ロックがこれまでに培ってきた広範な営業チャネルを最大限活用してまいります。これにより、国内の主要な不動産管理会社や不動産オーナーへの提案を通じて幅広い住宅への導入を目指してまいります。また、現契約社数5,600社を超える顧客基盤を通じて培った実績あるクラウド上のアクセス認証基盤「Akerun Access Intelligence」も強みとなります。セキュリティや安定性等の要件の厳しい企業ユーザーを支えるこのクラウド上の認証プラットフォーム及びサービス基盤の信頼性や堅牢性を活用することで、住宅向けにも強固なセキュリティを提供しております。さらに、住宅領域におけるスマートデバイス向け専用アプリケーションについても、企業向けに提供するアプリケーションをベースにすることで、信頼性や堅牢性の担保と同時に、使いやすさの向上も実現しております。これらの強みを背景に、「Akerun.Mキーレス賃貸システム」は、長谷工グループにおける賃貸マンションの管理・開発会社である株式会社長谷工ライブネット、第一生命グループの総合不動産会社である相互住宅株式会社、そしてCIFO株式会社等の不動産管理会社での導入に加え、全国の不動産管理会社等からの継続的かつ旺盛な需要に応えることで、市場における実績を順調に拡大しております。今後も、当社グループの強みを生かし、集合住宅だけにとどまらない、あらゆる住宅における安全・安心で快適な暮らしを支える製品やサービスの提供を拡大してまいります。 ⑤ 今後の成長拡大のための取り組み不動産の開発会社や管理会社等を含む不動産業界では、アナログな方法による業務プロセスや対面を中心とした顧客対応等の業務の非効率性が課題となっており、テクノロジーを活用したDXによる生産性の向上や働き方の改善等が求められております。この流れを受けて、住宅領域におけるAkerunの主要サービスである「Akerun.Mキーレス賃貸システム」では、不動産管理における非効率な業務をスマートロックやクラウド等のテクノロジーで効率化するための取り組みを強化しております。特に、クラウドを活用したサービスとしての強みを生かし、不動産関連プロセスにおける様々な業務を効率化するSaaS等の外部サービスとの機能連携を推進することで、スマートロックや個人認証を起点に不動産関連プロセス全体を効率化するための機能強化を今後も推進する計画です。この取り組みを通じて、不動産業界全体における業務効率の向上に加え、居住者にとってもスムーズかつ快適な居住体験の提供を目指しております。また現在、住宅向けの各種サービスの興隆や消費者の行動態様の変化等の影響もあり、家事代行や宅配などのサービスの利用や提供事業者が拡大しております。この市場トレンドやニーズに応えるべく、美和ロックが有する営業チャネルを活用して住宅向けスマートロック及びサービス利用のためのプラットフォームを展開することで、新規施工及び既築の集合住宅等への広範囲にわたる提案を強化してまいります。また、合弁会社が提供する住宅向けアプリケーションから利用できる住宅向けサービスに関して、家事代行や宅配、見守り等の様々なサービス提供事業者と提携することで、より多くの選択肢をユーザーに提供する計画であります。これらの取り組みを推進することで、鍵を起点とした魅力あるサービスプラットフォームを提案し、ユーザー基盤の拡大とともに事業成長を目指しております。 (1)-4 「Akerunデジタル身分証」① 市場機会現在、ビジネスや日常生活の様々なシーンでデジタル化やテクノロジーの普及が進んでおり、特にデジタルIDを活用した認証の分野では、日本政府が推進するマイナンバーカードをはじめ、インターネットを通じたオンラインでの会員登録や決済、サービス利用等でのデジタルIDの活用も進んでおります。さらに、認証技術やセキュリティ技術の進展に伴い、個人の消費活動だけでなくビジネスにおいてもデジタルIDの活用が進展しており、欧米等では従来の学生証等のデジタルIDへの置き換えも先行して進んでおります。 一方で、国内においてビジネスや日常生活の様々なシーンで引き続き利用されている従来型のICカードや磁気カード、紙ベースの身分証/社員証/学生証/会員証等のIDでは、人々の行動態様や時勢の変化等に伴って利便性や柔軟性等に多くの課題が残っております。具体的には、IDの発行及び紛失等による再発行の手続きの手間やコスト、個人情報の管理に伴うセキュリティ上のリスク、そしてIDを活用した様々なサービスの横断利用への拡張性の欠如等の課題があります。これらの課題に対して、デジタルIDの活用により、物理的なIDの発行/交付の手間やコストの低減、個人情報の統合的かつ安全な管理、インターネットやクラウド等を通じたデジタルIDの様々なサービスへの活用、さらには所有者に対する通知等のエンゲージメントの強化も可能になります。日本においても、さらなる利便性や管理性、柔軟性の向上を目的に、ビジネスや日常生活の様々なシーンでデジタルIDの活用が推進されるなか、当社グループでは、法人向けAkerunで培った堅牢かつ信頼性に優れたクラウド上の認証プラットフォームを活用したデジタルIDのサービスを新たに展開しております。当社グループのデジタルIDソリューションとなる「Akerunデジタル身分証」は、当社グループのクラウド上の認証プラットフォームとスマートフォンのウォレット機能を活用し、社員証、学生証、会員証等の身分証として活用できます。このサービスにより、従来の物理的なカード等をデジタルIDへと置き換えることで、IDの発行から削除までのID管理の手間やコストの削減、利用者のIDの統合管理とセキュリティ強化、クラウドやIoTを活用した様々なサービスや空間へのシングルサインオンによる利便性の向上、スマートフォンのウォレット機能を活用した優れた認証体験、そして管理者から利用者への継続的なエンゲージメントの強化等の特徴を備えております。これらの特徴により、法人や商業施設、医療機関や教育機関までの幅広いユースケースにおけるデジタルIDの活用ニーズを取り込むと同時に、「Akerun入退室管理システム」でのデジタルIDの活用等、当社グループの各サービスとのシナジーも活用しながら事業成長を目指しております。 ② 提供サービス/製品当社グループでは、従来の身分証/社員証/学生証/会員証等の物理的なIDをデジタル化してスマートフォンで利用できる「Akerunデジタル身分証」を提供しております。この「Akerunデジタル身分証」は、当社グループが法人向けAkerunで培った堅牢かつ信頼性に優れたクラウド認証プラットフォームと、スマートフォンのウォレット機能に統合されたアプリを活用することで、管理者向けにIDの発行や管理運用に関わる工数やコストの大幅な低減、安心・安全な個人情報を含むIDの統合的な管理、在籍中/離籍後を問わない利用者とのエンゲージメントの強化、そしてAPI等を通じた様々なサービスとの連携による拡張性等のメリットを提供しております。また同時に、利用者はいつも持ち歩いているスマートフォンと統合されたデジタルIDによるタッチ認証等に加え、様々なサービスや空間へのアクセスをシングルサインオンで実現できる利便性を享受できます。「Akerunデジタル身分証」のサービス構成として、利用者向けにスマートフォンのウォレット機能に統合されたデジタル身分証アプリと、管理者向けにクラウドを通じて利用できる管理ツールを提供しております。法人、商業施設、教育機関、医療機関等の日常的に社員証/学生証/会員証等のIDを発行/管理する組織で「Akerunデジタル身分証」を活用することで、クラウド上の管理ツールからユーザーの作成/登録やプロフィールの編集、デジタル身分証の発行/削除、お知らせの配信、サービスや施設のアクセス管理等が可能になります。また、APIを通じて当社グループ以外の外部システム等と連携できるため、多要素認証によるセキュリティの強化やエンゲージメント機能の強化、そして複数の部門や施設にわたる管理性の強化等、デジタル身分証のさらなる活用に向けた拡張性も備えております。加えて、当社グループの中核サービスである「Akerun入退室管理システム」とのシナジーにより、デジタルIDを活用した入退室管理やセキュリティの強化も可能となっております。今後、日本でも普及が加速するデジタルIDのサービスとなる「Akerunデジタル身分証」により、管理者と利用者の双方への価値提供に加え、当社グループの各サービスとの連携による付加価値を提供することで事業成長を加速していく計画であります。 ③ サービスの強みⅠ.法人向けAkerunで培った堅牢かつ信頼性に優れたクラウド上の認証プラットフォーム当社グループでは、個人情報を含むIDの認証には信頼性及び安定性が必須であると考えております。「Akerunデジタル身分証」は、当社グループの中核サービスである「Akerun入退室管理システム」で培った、利用企業の規模や業種業態を問わない広範なユーザー基盤に裏付けられた認証プラットフォームを活用することで、個人情報を含むIDの管理運用のための堅牢性や信頼性に加え、認証端末とスマートフォンの間の認証方式の最適化等を実現しております。特に、法人や教育機関、医療機関等の個人情報の厳格な管理が要求される環境においても、この高信頼の認証プラットフォームを活用することで信頼性及び安定性を実現できるとともに、業種や業態を問わない様々なユースケースにおけるデジタルIDの需要を取り込めるものと考えております。 Ⅱ.高度な技術連携によるスマートフォンのウォレット機能との統合と利便性の向上「Akerunデジタル身分証」で提供されるアプリは、世界大手のスマートフォンメーカーとの緊密な技術連携を通じて、スマートフォンのウォレット機能との高度な統合を実現しております。これにより、日常的に利用するスマートフォンで手軽にデジタル身分証を利用できる利便性を提供しております。さらに、スマートフォンのウォレット機能に求められる厳格なセキュリティ要件も充足することで、利用者の安心安全なデジタルIDの活用が可能となっております。一般的に広く普及するスマートフォンのウォレット機能との統合により、より多くの潜在ユーザーへのアプローチが可能になるとともに、法人や教育機関、商業施設等の組織における導入ハードルの低減にも貢献するものと考えております。 ④ 今後の成長拡大のための取り組み当社グループでは、今後、日本国内でも普及が加速するデジタルIDのさらなる導入の促進に向けた取り組みとして、まず大学等の教育機関に対する提案及び採用に注力する計画であります。大学等では、新年度への準備期間となる3〜4月の一定期間において、新入生や進級等への対応に要する業務が山積しており、業務DXへのニーズが旺盛であると当社グループでは考えております。このようなニーズを受けて、「Akerunデジタル身分証」をデジタル学生証として活用することで、教育機関における業務効率化やコストの低減、そしてDXに向けた需要を取り込んでいけるものと考えております。また、当社グループの中核事業である「Akerun入退室管理システム」の大学等での導入実績や顧客基盤等のシナジーも活用しながら、デジタル学生証だけでなく入退室管理システム、さらにはMigakunによる施設運営代行までを視野に入れたソリューションの提案等に注力する計画であります。そして、将来的には社員証や会員証等を中心に幅広い業種業態でデジタルIDへのニーズが高まっていくものと考えており、学生証にとどまらず、Akerunを中心に当社グループが強みを有する大規模オフィスビル等における入館証や法人における社員証への「Akerunデジタル身分証」の提案及び活用を推進していく考えであります。 (2) 施設運営BPaaS「Migakun」 ① 市場機会現在、様々な業種・業態で、少子高齢化などを背景とした慢性的な人手不足への対策に加え、日々の業務における生産性の向上などを目指す取り組みが推進されております。実際に、15〜64歳の生産年齢人口は、2065年には約4,500万人になると推計されており、2020年比で約2,900万人減少する見込みで (注1)、特に直近では運輸、医療・福祉、建設、宿泊等の業界での慢性的な人手不足とそれに伴うビジネス上の機会損失、そして事業としての存続の危機が叫ばれております。また今後は、これらの業界だけに限らず、幅広い業種業態で喫緊の課題としての人手不足対策と業務効率の向上をこれまで以上に加速していく必要があると考えております。このような課題の解決に向けては、幅広い業界でクラウドやIoT、AIなどのテクノロジーの活用によるDXに加え、柔軟な働き方の普及等に伴って広がるギグワーカーやスポットワーカーの活用を通じて、人手不足への対策に取り組んでおります。その一例として、企業におけるBPO等の外部人材を活用する動きもますます活発化しており、今後もさらなる市場拡大が見込まれています(注2)。当社グループでは、企業によるこの不可避の社会課題への対策を支援するために、従来から提供する法人向けAkerunによる入退室管理を通じた業務効率化や施設の無人化・省人化に加えて、2024年9月より施設運営BPaaS事業となる「Migakun」の提供を開始しております。Migakunでは、業種業態を問わず人手不足対策や施設運営効率の向上を目的に普及する無人化・省人化などへの高まるニーズを受け、様々なオフィスや施設ごとの課題に合わせた管理運営業務の設計に加え、ギグワーカープラットフォームを通じて総務業務や施設の清掃・管理、コミュニティスペースの運営などのサービスを提供しております。Migakunはすでに700名規模のギグワーカープラットフォームを擁し、オフィス、コワーキングスペースやシェアオフィス、フィットネスジムやインドアゴルフ、そして短期賃貸物件等の約400の施設の無人化・省人化及び施設管理の効率化を支援するなど、相当程度の実績を備えております。このMigakunにより、様々な空間や施設における管理業務の効率化、施設の無人化・省人化運営、そして企業によるノンコア業務への外部リソースの活用とコア業務への柔軟な社内リソースの活用等の価値提供を通じて、企業が抱える人手不足等の社会課題の解決を支援するとともに、当社グループの事業成長に貢献するものと考えております。 (注) 1.内閣府「令和4年版高齢社会白書」2.矢野経済研究所「2023-2024 BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場の実態と展望」 ② 提供サービス施設運営BPaaSを展開するMigakunでは、“施設特性に合わせた業務設計と”、“質の担保された現場オペレーション”を特徴とした施設運営代行のサービスを完全子会社である株式会社Migakunを通じて法人向けに提供しております。当社グループが様々な業種業態のバックオフィス業務の効率化を支援してきた「Akerun入退室管理システム」で培った、オフィスや施設などあらゆる空間の管理運営に関するノウハウをベースに、Migakunでは最適化された業務設計から施設の清掃、総務業務、保守・管理、コミュニティ運営まで、上流から下流までの施設運営サービスを提供し、様々な空間の管理運営の効率化を支援しております。Migakunにより、利用企業はコア業務への柔軟なリソース活用、施設の管理運営効率の向上、無人化・省人化による人手不足対策を実現できます。Migakunは、主に法人が運営する様々な施設を主要顧客としておりますが、特に施設運営の無人化・省人化に親和性の高い、コワーキングスペース/シェアオフィス、フィットネスジム、インドアゴルフ等の会員制施設に加え、Akerunが強みを有するオフィス、そして短期賃貸物件等、幅広い施設で導入されるなど、物的な労働が必要とされる施設運営業務で活用され、施設運営の効率化や無人化・省人化を支援しております。 Migakunは、後述の低コストの施設運営代行サービスや高品質なギグワーカープラットフォーム、そして利用企業の様々なニーズに応える柔軟性等のメリットが評価され、すでに約400の施設で採用されており、それら施設運営の無人化・省人化及び効率化を支えるギグワーカープラットフォームも約700名もの規模を備えております。さらに、テクノロジーを活用するBPaaSによるサービス提供モデルを通じて、コミュニケーションツールを活用した利用企業とのリアルタイムなコミュニケーションと様々な要望への柔軟な対応や、AkerunのIoTやクラウドを活用した入退室管理との組み合わせによるギグワーカーのモニタリングやサービス品質の向上等を実現するなど、テクノロジーによる提供価値と競争優位性の強化に加え、市場での実績が豊富なAkerunとの顧客基盤やサービス提供におけるシナジーを活用した事業を展開しております。Migakunは、サービス提供及び事業におけるこれら市場優位性に優れた提供モデルを通じて、少子高齢化等に伴う人手不足や生産年齢人口の減少等への対策に取り組む企業を支援するとともに、社会課題の解決のための事業を展開することで、今後も当社グループの事業成長に大きく貢献していくものと考えております。 ③ サービスの強みⅠ.従来の施設運営代行における多重下請け構造の排除と低コストのサービス提供モデル従来の施設運営や清掃業務の代行業務においては、発注企業〜不動産の開発会社〜ビル管理会社〜清掃会社/施設運営代行会社〜ワーカーという多重下請け構造に伴う、高コスト構造やワーカーの就労環境の悪化、そして発注企業の要望やニーズへの対応力の欠如等の課題がありました。これらの従来の課題に対して、Migakunでは、発注企業との直接取引によるサービス提供を行うことで、これまで以上に低コストでありながら利用企業の要望やニーズに柔軟に対応可能なサービス提供モデルを確立しております。また、多重下請け構造を排除することで、ギグワーカーの待遇や就業環境の改善も実現しており、その結果として約700名規模にも及ぶ高品質なギグワーカープラットフォームを構築しております。Migakunは、顧客企業、ギグワーカー、そして当社グループの3者それぞれにメリットをもたらすこのサービス提供モデルを実現したことで、サービスの料金及び品質における競争優位性を備えた事業展開が可能となっております。 Ⅱ.テクノロジーを活用したBPaaSによるサービスの柔軟性と即応性従来の施設運営や清掃業務の代行業務においては、多重下請け構造に伴う弊害から、発注企業の要望やニーズに合わせた柔軟なサービス提供や、急な業務依頼への即応性等のリアルタイムなサービス提供体制に課題がありました。これらの従来の課題に対して、Migakunでは、テクノロジーを活用するBPaaSとしての強みを生かし、Migakunのカスタマーサクセスやサポートの担当者を通じて、顧客企業及びギグワーカーとのコミュニケーションツール等を活用したリアルタイムのコミュニケーションにより、日々の清掃や施設運営業務、総務業務におけるギグワーカーによるサービス提供の柔軟性と即応性を確保しております。さらに、施設運営におけるノウハウを備えたオペレーターにより、顧客企業の要望やニーズの的確な把握とソリューションの提案に加え、ギグワーカーのオペレーションの最適化も実現しております。また、後述のAkerunとのシナジーを最大限活用することで、急なサービス提供の際のギグワーカーへのAkerunの施解錠権限の付与/剥奪、入退室管理、サービス品質のモニタリング等も実現できるため、様々な施設ごとのニーズに即応可能なサービス提供体制を確立しております。Migakunは、この強みを最大限活用することで、顧客企業による施設運営の無人化・省人化に加え、高品質な施設環境も同時に実現することで、市場における優位性を備えたサービスを実現しております。 Ⅲ.Akerunで培った空間管理におけるノウハウやサービス提供におけるシナジー当社グループは、中核サービスであるAkerunの提供を通じて培った、あらゆる空間の管理や運営におけるノウハウを備えており、Migakunのサービス提供においてもその専門性やシナジーを最大限活用しております。具体的には、Migakunのサービス提供にAkerunによる入退室管理を活用した安心・安全かつ柔軟なサービス提供体制、空間管理に課題を抱えるAkerun導入企業へのMigakun提案による空間や施設の無人化・省人化とそれに伴う顧客のコア業務への注力と社内リソースの最適化、ギグワーカーのサービスのモニタリングやサービス品質向上のためのAkerunの入退室データの活用等、要件の厳しい法人へのサービス提供において求められる信頼性や安定性、そしてAkerunも活用したサービスの拡張性を備えております。このAkerunとMigakunを組み合わせた空間管理ソリューションの提供により、企業における空間管理の様々な課題やニーズに対応するとともに、当社グループによるシナジーの最大化を通じた価値提供で市場優位性を確保しております ④ 今後の成長拡大のための取り組みMigakunは、低コストの施設運営代行サービスや高品質なギグワーカープラットフォーム、そして利用企業の様々なニーズに応える柔軟性等のメリットが評価され、すでに約400の施設で採用されており、それら施設運営の無人化・省人化及び効率化を支えるギグワーカープラットフォームも約700名もの規模を備えております。今後、Migakunのさらなる成長の拡大と加速に向けて以下の取り組みを推進する計画であります。 Ⅰ.Akerunとのシナジーを最大限活用したクロスセル施策の強化前述の通り、Migakunは当社グループの中核サービスであるAkerunとの大きなシナジーを有しているため、それらシナジーを最大限に活用し、Akerun等の当社グループの提供サービスとMigakunを組み合わせた空間DXのためのソリューションとしてのクロスセル施策をより一層強化していく計画であります。このクロスセル施策の強化により、人手不足等を背景に施設や空間の無人化・省人化運営への高まる需要を取り込むとともに、Akerunの機能拡張やMigakunのサービス強化等の提供価値のさらなる向上を通じて、事業の拡大を図っていく考えであります。また、クロスセル施策の強化にあたっては、株式会社Migakunにとどまらず当社グループ全体でのクロスセルのための営業体制の強化や組織拡充なども図り、さらにAkerunの主要顧客であるオフィス用途での需要をより一層取り込むことで事業成長を加速する計画であります。 Ⅱ.ギグワーカープラットフォームのさらなる拡大とサービス品質の向上Migakunは、従来の施設運営代行の課題を解消した競争優位性のあるサービス提供モデルを確立し、空間や施設の運営における無人化・省人化や効率化への旺盛なニーズを取り込むとともに、その柔軟性や拡張性、サービス品質等を評価いただき、すでに多くの業種業態及び拠点での空間や施設の運営を支援しております。今後のさらなる事業成長に向けては、Migakunのサービスを支えるギグワーカープラットフォームの拡大とサービス品質の向上、そしてオペレーションのさらなる効率化を図る計画であります。具体的には、高品質なギグワーカーの採用を今後も加速することで企業の様々なニーズに応えるサービス提供体制の強化を図るとともに、現在の首都圏を中心としたサービス提供エリアを、主要都市や地方にも拡大し、人手不足等を背景とした空間や施設の無人化・省人化及び効率化への旺盛なニーズを全国規模で取り込むことで、さらなる事業成長を目指しております。また、ギグワーカーによるサービス範囲の拡大とサービス品質の向上、さらにはギグワーカーによる現場でのオペレーションのさらなる効率化等を図ることで、市場における競争優位性を強化し事業成長を加速する考えであります。 [事業系統図](注) 1.顧客紹介を受けて、当社が顧客との契約及びサービスの提供を行います。2.HESaaS事業のオフィス領域の対象顧客とBPaaS事業の対象顧客は同様の顧客を想定しております。
FY2023|16,275 文字|出典 docID: S100T722
3 【事業の内容】当社グループは、「つながるモノづくりで感動体験を未来に組み込む」を企業ミッションに掲げ、世の中の物理鍵とそれに伴う様々な制約から人々を解放し、扉で分断されたあらゆる場所や空間に人々が自由にアクセスできる「キーレス社会®」の実現を目指しております。具体的には、スマートロック(注1)等のIoT機器及びクラウド型認証プラットフォームを活用したサービスを開発し、サブスクリプションモデルにより提供することで、物理空間におけるシングルサインオン(SSO)(注2)を実現する世界の創出を目指しております。 (注) 1.スマートロックとは、電気制御により鍵を開閉することができるインターネットに接続された錠前のことであります。2.シングルサインオン(Single Sign On、SSO)とは、1度のユーザー認証によって複数のシステムやサービスの利用が可能になる仕組みであります。1つのIDとパスワードで複数のシステムやサービスを利用することができるため、ユーザーの利便性の向上や負担の軽減を実現します。 現在、自宅やオフィス、商業施設等では通過する扉やゲートの数だけ物理的な鍵及び解錠ツールを持ち歩く必要があり、扉の数と鍵の数がN:Nの関係となっております。そして、鍵が果たす役割はセキュリティや本人認証など重要なものであるため、鍵の管理に要する心理的・物理的な負荷は非常に大きいと考えております。このような現状を受け、物理的な鍵による様々な制約を無くし、1つのICカードや個人を特定する物理的なIDであらゆる扉やゲートにスムーズにアクセスできる、扉の数と鍵の数がN:1の世界をキーレス社会と名付け、この物理空間におけるシングルサインオンともいえる世界の実現を目指しております。この社会インフラとしてのキーレス社会を実現することで、人々や社会の利便性の向上やさらなる価値の享受に資するものと考えております。 そして、当社グループでは、このキーレス社会の実現を通じて、少子高齢化に伴う労働力人口の減少(注)等の様々な社会課題の解決を支援することを目指しております。一例として、オフィスや商業施設における人手不足への対策や業務効率の改善等の要請に対して、扉における認証やアクセス管理を起点とした幅広いソリューションを提供することで、より少ない人手で業務や施設管理の効率性を向上できる「無人化」「省人化」を支えるインフラを担うなど、社会課題の解決に資する事業活動を推進しております。 (注)内閣府「令和4年版高齢社会白書」 (1) Akerun事業の概要当社グループの中核事業であるAkerun®事業は、キーレス社会の実現、そしてキーレス社会を通じた社会課題の解決に向けて、クラウドとインターネットでつながるスマートロック等のエッジ端末(注1)による個人認証とセキュリティ、そしてクラウド上のアクセス認証基盤を通じた個人認証を主軸とした関連サービスを法人向け、住宅向けに展開しております。Akerun事業の特徴は主に以下の3点であります。① サブスクリプションモデルによるHESaaSとして提供Akerun事業の特徴の1つ目は、ハードウエアとソフトウエアを組み合わせたサブスクリプションモデルであるHESaaS(注2)としての提供形態であります。Akerun事業で展開される各サービスは、ハードウエアとソフトウエアを組み合わせ、主に年単位で課金されるサブスクリプションモデルによるレンタルサービスとして提供しております。サブスクリプションモデルによるユーザーの導入障壁の低減や後述のAkerun事業における強み等を背景に、ARR(Annual Recurring Revenue:毎年繰り返し得られる年次経常収益)は順調に拡大しております。さらに、このARRを支えるサブスクリプション収益の比率も事業収益全体の80〜90%という高水準を継続的に維持しております。 また、運用の手軽さや利便性に加え、API(注3)による外部の勤怠管理システムや会員管理システム等との連携を通じて、人々の入退室データを起点とした“オフィスや施設における基幹システム化”や大規模顧客へのさらなる拡販等の解約率低減に向けた取り組みにより、MRR(Monthly Recurring Revenue:毎月繰り返し得られる月次経常収益)ベースのChurn Rate(サービスに関する解約率)は平常時で1%台前半の低い水準に抑えられております(注4)。具体的には、前述の施策等を通じて継続的なChurn Rateの改善を図ることで、2023年12月期には1.14%まで改善しております。当社グループでは、より低いChurn Rateを示しているAPI連携利用や大規模企業といった顧客ポートフォリオを今後も拡大することでChurn Rateのさらなる低減が可能であると考えており、今後もそれら取り組みを通じてChurn Rateの最小化を図ってまいります。当社グループは、事業収益に占めるサブスクリプション収益の高い比率や低い解約率等を実現する、継続的な収益を生み出すリカーリングビジネスにより、MRR及びARRの最大化を通じた持続可能な成長を実現しております。 (注) 1.エッジ端末とは、 エッジ(末端)の端末の意味であり、IoT等においてはインターネットに接続され、システム全体の末端に位置する端末のことであります。インターネットで接続されたシステム全体における末端の端末として、データの収集/処理や上位システムへのデータの送信等に加え、上位システムからの指令やデータ等を受信して稼働したり、利用者に伝達する等の機能を担うハードウエアであります。2.HESaaSとは、Hardware Enabled Software as a Serviceの略で、アプリケーションソフトウエアをインターネット経由で提供するクラウドサービスであるSaaSと、ハードウエアのサブスクリプションモデル(レンタルモデル)を組み合わせた提供モデルのことであります。3.APIとは、Application Programming Interfaceの略で、特定のソフトウエアの機能やデータ等を、外部の他のプログラムで利用するための手順やデータ形式等を定めた規約のことであります。4.各期のChurn Rateは、当該期の期末月における12か月移動平均であります。 ② 堅牢なアクセス認証基盤及びクラウドセキュリティシステムAkerun事業の特徴の2つ目は、クラウド上に構築するアクセス認証基盤「Akerun Access Intelligence®」(注1)の高度な技術性であります。この認証基盤では、一般的なユーザー情報に加えてユーザーが日常的に利用するICカードなどの固有の物理ID情報を保有し、インターネットを通じて認証に活用しております。 この認証基盤における認証プロセスは、特許を取得している独自の通信方式(注2)やSSL(注3)、AES256(注4)等のセキュアな通信技術でセッションごとに暗号化することで高度なセキュリティを担保しております。また、認証や処理のロジックをエッジ端末とクラウド上のサーバーに集約することで、個人情報などの機密情報のエクスポージャーを減少させ、セキュリティ上の堅牢性をさらに高めております。この高度なセキュリティ環境を背景としたユーザー認証方式を確立したことで、信頼性と堅牢性に優れたユーザー認証と関連サービスの展開が可能になっております。 (注) 1.ユーザーの基本情報(氏名や所属等)、デジタルID情報(電話番号や電子メール等)、物理ID情報(所有するICカードや生体認証情報等)、認証権限情報(アクセスが許可されている扉、有効な日にち、曜日、時間帯等)等の情報を保有するクラウド上のデータベースであります。2.セキュリティを確保しながら簡便な方法で第三者に鍵を開けるための権限を一時的に付与することができる電子錠システムに関する特許(公開番号「特開2016-79644(P2016-79644A)」)3.SSLとは、Secure Sockets Layerの略で、インターネット上でのデータ通信を暗号化し、第三者によるデータの窃取や改ざんを防ぐ通信プロトコルのことであります。4.AES256とは、米国国立標準技術研究所(NIST)が政府の標準暗号方式として選定したAES(Advanced Encryption Standard)と呼ばれる暗号化方式のうち、256ビット長の暗号鍵を使用する方式であります。 ③ アクセス認証基盤を活用した認証プラットフォームとしての価値Akerun事業の特徴の3つ目は、利用企業の規模や業種業態を問わない広範なユーザー基盤に裏付けられた認証プラットフォームがもたらす、社会インフラとしての価値であります。これまでのサービス展開を通じて、2023年12月末時点で5,400社以上の現契約社数を達成しており、この現契約社数は継続的に増加しております。実際に、Akerun事業を支える中核サービスである法人向けの「Akerun入退室管理システム®」は、「クラウド型入退室管理システムの導入社数/シェア」、「スマートロックの利用者数/シェア」、「法人向けスマートロックの導入社数/シェア」の3分野でそれぞれ国内No.1(注)を獲得するなど、クラウド型入退室管理システム及びスマートロックの市場をけん引する実績を有しております。このように、Akerun事業はセキュリティ及び認証のプラットフォーム化による社会インフラとしての地位を確立しております。さらに、建築用錠前の提供で国内大手の美和ロック株式会社(以下、美和ロック)との合弁会社である株式会社MIWA Akerun Technologies(以下、MIWA Akerun Technologies)を通じて、住宅領域での事業成長を推進するなど、オフィスや各種施設、住宅等の利用場所を問わない広範な基盤を通じたビッグデータの取得・活用により、様々な周辺領域へのサービス展開も可能となっております。そして将来的には、プラットフォームに蓄積されたビッグデータを活用することで、少子高齢化等による労働力人口の減少を補完するテクノロジーの提供、人の動静に合わせた効率的なエネルギー利用による環境負荷の低減、社会や時勢の変化に合わせた働き方の実現、既存の空間を活用した効率的な社会インフラの構築、認証/移動/決済等のソリューションの提供等を通じて、オフィス領域から住宅領域、そして商業施設、行政機関や医療機関等の非商業施設までのあらゆる場所やシーンにおける効率的かつ持続可能な社会の構築に貢献していけるものと考えております。 (注) 日本マーケティングリサーチ機構調べ(2021年6-7月期_指定領域・日本国内における検証調査) (2) オフィス領域におけるAkerun事業① 市場機会Ⅰ.市場環境の変化現在、国内では少子高齢化の昂進等による生産年齢人口の減少が喫緊の社会課題となっており、日本政府によると、2020年時点で約7,400万人いる生産年齢人口は2065年までに約4,500万人となり、約2,900万人減少すると試算されています(注1)。この社会課題を受けて、オフィスや商業施設、店舗等においても人手不足への対応や労働生産性の向上等を目的に、IoTやクラウド等のテクノロジーを活用して日々の業務の効率性・生産性を高め、またより少ない人員で業務を遂行するための取り組みが活発化しています。具体的には、従来は人手をかけていた、セキュリティを含む入退室管理、勤怠管理、受付管理、予約管理等の各種業務にテクノロジーを活用し、それぞれをデータ連携させてオフィスや施設の運営にかかわるワークフローを自動化する等の取り組みが業界や業態を問わず進展しております。また、これらの取り組みは、オフィス環境だけにとどまらず、特にコワーキングスペースやシェアオフィスなどの分散型オフィス、フィットネスジムやインドアゴルフなどの会員制商業施設、そして小売店舗等にも広がるなど、将来にわたって旺盛なニーズが見込まれます。さらに、従来からの法改正を含む日本政府による働き方改革の推進により、企業では客観的な方法による従業員の労働時間の把握(注2)や、残業時間の上限規制(注3)、勤務間インターバル制度(注4)等、従業員の勤務時間を正確に記録、管理することが求められております。また、個人情報保護法の改正により、企業では安全管理措置に基づき、個人情報に対する物理セキュリティ及び情報セキュリティの対策を強化する必要があります(注5)。特に、この個人情報保護に向けた流れはより一層加速しており、2022年4月の改正では、個人情報の漏えい等が発生した際の事業者による報告が義務化(注6)されております。また、この改正に先立つ2020年12月には、個人情報保護委員会からの措置命令等に違反した場合、また個人情報データベース等の不正流用があった場合の法人における罰則(注7)がさらに厳罰化されるなど、企業ではこれまで以上の対策を求められるようになっております。このような人手不足対策や業務・運営効率の向上を目的としたデジタル化の進展、従業員の労働時間の適正な把握の必要性、働く場所の多様化と拡大、個人情報保護のためのセキュリティ対策、といった市場動向に対して、Akerun事業はセキュリティ強化に加えて、入退室履歴の勤怠管理への活用、API連携等も活用した認証・動静管理システムとしての様々な用途への拡張性の高さ、導入の容易さ等の特徴を通じて、今後も市場からの旺盛な需要に応えていけるものと考えております。 (注) 1.内閣府「令和4年版高齢社会白書」2.改正労働安全衛生法第66条の8の3(2019年4月1日施行)及び改正労働安全衛生規則第52条の7の3(2019年4月1日施行)3.労働基準法第36条及び第139~142条(2019年4月1日施行)4.改正労働時間等設定改善法第2条(2019年4月1日施行)5.改正個人情報保護法第2条及び第20条(2017年5月30日施行)6.改正個人情報保護法第22条の2(2022年4月1日施行)7.改正個人情報保護法第83条〜第87条(2020年12月12日施行) Ⅱ.入退室管理システムの現状従来の法人向け入退室管理システムは、オンプレミス環境(注1)へのサーバーや管理用PC等のハードウエア機器の購入・設定に加え、システム設定やネットワーク工事のためのSIer(注2)及び電気工事業者が必要になっておりました。さらに、導入後も機器の改修や保守の費用等が必要となり、加えてIT技術に習熟した担当者でなければ取得データの利活用が難しいなど、費用面及び工数面での負荷やデータ活用の困難さが企業には大きな導入障壁となっておりました。当社グループでは、このような導入時の障壁を低減し、より少ない負担で入退室管理システムを導入・活用できる「Akerun入退室管理システム」を法人向けに提供しております。特別な工事やシステム構築が不要かつ後付けで手軽に導入可能、クラウド型システムによる専用IT機器の排除とシンプルに利用できる管理画面等によるデータ利活用の支援、サブスクリプションモデルによる保守・運用に要する費用負担の軽減などにより、導入障壁の低減と継続運用のしやすさを実現することで今後も広く需要を取り込み、継続的に売上を拡大できるものと考えております。 (注) 1.オンプレミス環境とは、ITインフラの構築や稼働に必要なサーバーやネットワーク等の機器及びソフトウエア等を利用者である企業が管理する施設等に保有し、運用するシステムの利用環境のことであります。2.ITシステムの構築、コンサルティング、設計、開発、運用、ハードウエアの選定等を一括で請け負うITサービス事業者のことであります。 ② サービス構成Akerun事業を支える中核サービスである法人向けの「Akerun入退室管理システム」は、鍵の物理的開閉やデータ通信等を担うハードウエア機器と、認証、鍵権限の管理、履歴の閲覧等を行う、スマートデバイス(注)向けアプリケーション及びWebアプリケーション等のソフトウエアで構成されております。 (注) 対応するスマートデバイスは、Apple社が提供するiOS及びGoogle社が提供するAndroidにて稼働するスマートフォン等の電子デバイスとなります。 Ⅰ.ハードウエアの特徴「Akerun入退室管理システム」で提供されるハードウエアには、サムターン錠(注1)に対応する「Akerun Pro」と、電気錠(注2)や自動ドア、フラッパーゲート等の電気制御の扉に対応する「Akerunコントローラー」があります。Akerun Proは、工事なしで既存の扉に後付け可能なスマートロックであります。扉の既存のサムターン錠に付けて設置するだけで、取り付け工事不要、初期費用0円で導入できるため、従来の入退室管理システムと比較して導入にかかる工数や費用を大きく低減しております。Akerunコントローラーは、既存の自動ドアや電磁錠等の電気錠に後付けで導入でき、簡易的な工事のみで導入し、運用できるハードウエアであります。電気制御で鍵の開閉を行う電気錠に対応することで、「Akerun入退室管理システム」の適用範囲をさらに拡大し、さらに多くのオフィスや施設のニーズに対応することが可能になっております。また、Akerun Pro及びAkerunコントローラーに共通のハードウエアとして、ICカードリーダーも付帯しております。ICカードリーダーを活用することで、ユーザーが日常的に使用している交通系ICカードや社員証、ビル入館カード等、FeliCa及びMifareの各規格(注3)に対応するICカードによる認証を通じた施錠・解錠が可能となっております。なお、「Akerun入退室管理システム」を構成する各ハードウエアは、当社グループで開発、設計し、製造は外部に委託しております。 (注) 1.サムターン錠とは、扉の室内側についているツマミ式の金具で開閉を行う錠前のことであります。2.電気錠とは、電気的に鍵を施解錠する機構を組み込んだ錠前のことであります。3.FeliCaは、ソニー株式会社の登録商標です。Mifareは、NXPセミコンダクターズ社の登録商標です。 Ⅱ.ソフトウエアの特徴「Akerun入退室管理システム」は、ソフトウエアにより以下の機能を提供しております。 A.Web管理ツールやソフトウエアによる鍵権限の柔軟な設定Web管理ツール及びそれを支えるソフトウエア技術を通じて、ユーザーが入退室できる日時等を柔軟に設定することが可能となっております。これにより、ユーザーごとの要件に応じた入退室権限等、ニーズに合わせた柔軟な鍵権限の運用が可能になっております。また、Web管理ツールやソフトウエアは、クラウド型サービスの特徴を生かし、労務関連の法制度の改正やオフィスに求められる要件の変化等、社会状況の変化や市場トレンドに合わせて継続的にアップデートすることが可能となっております。B.システムで取得するデータの利活用IoTを活用したクラウド型入退室管理システムの特徴を生かし、ユーザーの利用履歴を永続的に保持し、Web管理ツール等でいつでも確認できる機能を備えております。さらに、この履歴のビッグデータとしての活用により、セキュリティの機能だけでなく、ユーザーの動静を把握・確認するための空間管理やサービス利用のエビデンスとしての活用等、さらなる価値提供が可能になっております。C.APIによる外部システムとの連携サービスとしての拡張性を高めるために、外部システムとの連携が可能なAPIを公開しております。これにより、外部システムからの「Akerun入退室管理システム」の入退室履歴等の各種情報の取得や遠隔での解錠・施錠の操作、日時を指定した鍵権限の発行等が可能になります。また、ユーザーが独自に開発したシステムやサービスと「Akerun入退室管理システム」を連携させたり、当社グループ及び外部のパートナー企業でAPI連携させた勤怠管理、生体認証などの認証システム、会員管理システム、決済システム等との共同ソリューションを活用することも可能となっております。 ③ サービスの強み当社グループは、市場における優位性として、セキュリティやサービス品質等の要件の厳しい法人向け事業で培った広範な実績に加え、高水準の利用体験を可能にするハードウエアの開発及び無線通信やセキュリティにおけるソフトウエアの開発に強みを有しております。Akerun事業における強みの詳細は、以下の通りであります。 Ⅰ.法人向け事業における強固な実績とそれに支えられたアクセス認証基盤前述の通り、当社グループはこれまでの事業活動により、法人における豊富な導入実績を通じて現契約社数5,400社以上を抱えるアクセス認証基盤「Akerun Access Intelligence」を保持しております。この相当規模の認証基盤を活用することで、ユーザー認証に加えて勤怠管理や会員管理等の法人向けに提供される様々なクラウド型サービスや認証シーンにも活用でき、また、認証基盤を通じて取得するビッグデータを活用したデータドリブンなビジネス展開も将来的に可能となっております。今後も、オフィスに導入されたAkerunのエッジ端末を起点として、入退室管理やセキュリティといった従来から提供する機能に加え、API連携を通じて勤怠管理、会員管理、予約管理、決済等の外部の様々なサービスとの連携を継続的かつ積極的に推進することで、扉を起点にあらゆる空間における付加価値を向上させ、社会インフラとしての認証基盤の利用拡大と社会課題の解決に取り組んでまいります。 Ⅱ.要件の厳しい法人利用に応える高水準のハードウエア性能Akerun事業で提供される各種ハードウエアは、日常的に多人数に触れる機器としての特性上、ユーザーの利用体験の向上をもたらすハードウエア品質が非常に重要であると考えております。当社グループでは、このハードウエア品質の強化に常に注力しており、実際にAkerun Proにおいては100万回の開閉試験を実施するなど、多人数利用に応える耐久性を確保しております。さらに、サムターン錠の高速な施解錠を支える高トルクモーター、1日あたり100回の開閉で電池が6か月以上持続する省電力性能を追求した専用設計回路、耐久性強化のための高機能ベアリングや特許取得済みの専用設計機構等、ユーザーの利用体験を最大限に高め、法人利用にも耐えられるハードウエア技術により、市場でも高水準のハードウエア品質を実現しております。 Ⅲ.信頼性と堅牢性に優れた無線通信技術及びセキュリティ技術当社グループでは、ハードウエア品質と同様に、日々利用されるシステムとしての安定的な稼働も重要であると考えております。当社グループは、認証に使用するBLE(注)通信の制御技術、特に施解錠に用いるスマートデバイスを含む複数のハードウエア機器間での安定的な通信制御技術に強みを持っております。現在では、オフィス環境はもちろんのこと、様々な場所で多くの無線通信が行われており、それぞれの無線通信の混線や干渉などが発生し、無線通信を利用するサービスの安定的な稼働の障害となっております。当社グループでは、法人向けセキュリティという重要なサービスを担う企業として、無線通信における堅牢性と同時に安定性を実現する高度な無線制御技術を備えております。この強みを生かすことで、オフィスや施設における高速かつ安定したユーザー認証が可能になり、日々の利用体験の向上を実現しております。さらに、これまでの広範な導入実績で培われたユーザー基盤を背景に、継続的なソフトウエアの改善を通じて、さらなる利用体験と信頼性の向上を図っております。加えて、前述の通り、クラウドや各ハードウエア機器間の通信には、特許取得済みの通信技術や高度な暗号化通信技術を採用することで、市場でも高水準の信頼性と堅牢性に優れたユーザー認証プロセス及び認証基盤を確立しております。また、Akerun事業のサービスを支えるクラウド基盤に関しても、近年のクラウドサービスを含む情報セキュリティ意識の高まりを受け、社内で「情報セキュリティ基本方針」を定め、この方針に従って情報資産を適切に管理するとともに、本社及び各拠点で情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格「JIS Q 27001:2014(ISO/IEC 27001:2013)」の認証を取得し、さらに最高情報セキュリティ責任者(Chief Information Security Officer、CISO)やクラウドインフラの保守運用の専任担当者を設置することで、安定的なサービス基盤の構築に積極的に取り組んでおります。 (注) BLEとは、Bluetooth Low Energyの略で、低電力通信を可能にする近距離無線通信技術Bluetoothの拡張仕様の1つであります。 ④ 今後の成長拡大のための取り組みⅠ.企業規模を問わない新規ユーザーの獲得オフィス領域におけるさらなる成長拡大に向けて、主要導入企業である全国で約190万社(注)ある従業員10名以上の中小企業及び事業所への販売促進施策を継続的に強化し、新規ユーザーのさらなる獲得を目指しております。中小企業への提供拡大にあたっては、札幌、大阪、及び福岡の地方拠点の活用に加え、販売パートナーとの関係性強化を通じて潜在ユーザーへの提案機会の増加を図る専任チームの強化・拡充と営業活動の強化も継続的に実施しております。さらに、直近では大規模企業や大型ビルからの問い合わせや導入も増加し、堅調な受注実績をあげております。今後も、継続的に大規模企業専任の営業チームの強化や拡大を進めることで、大規模企業ユーザーの新規獲得にも積極的に注力する計画であります。 (注) 経済産業省「平成28年経済センサス‐活動調査」より算出。10名以上の小売・飲食を除く事業所向け(約170万事務所)に加え、医療・教育・スポーツ施設等での商用利用向け(約17万事務所) Ⅱ.既存ユーザーへの追加導入の提案(アップセル施策)当社グループでは、既存顧客へのさらなる売上拡大にあたって、継続的なユーザーとの関係性強化やヒアリングに加え、市場動向の調査・分析を通じて、変化するオフィス環境や施設の運営環境等の市場ニーズに合わせた空間利用を提案することで、1事業所あたりの追加導入台数の増加を目指しております。さらに大規模企業での導入の場合、「Akerun入退室管理システム」を導入可能な扉が複数あるケースがほとんどであるため、複数台の契約を獲得しやすい環境であることから、契約の新規獲得を契機に関係性の強化や継続的なヒアリング、提案力の強化等を通じて複数台の契約を追求してまいります。これらのアップセル施策を促進することで、ユーザーからもたらされるLTV(注1)及びARPU(注2)の最大化を目指し、事業成長を加速する考えであります。 (注) 1.LTVとは、Life Time Valueの略で、顧客との取引の開始から終了までの期間にもたらされる総利益(顧客生涯価値)のことであります。2.ARPUとは、Average Revenue Per Userの略で、ユーザーや利用企業における1人/1社あたりの売上金額を表す指標であります。 Ⅲ.周辺領域でのソリューションの開発と提供(クロスセル施策)現在、Akerun事業では適用領域の多様化に積極的に取り組んでおり、特に外部パートナーが提供する勤怠管理、会員管理、決済、認証等のシステムとのAPIを通じたサービス連携に注力しております。Akerunが提供するAPIを通じて、「Akerun入退室管理システム」の入退室履歴やデジタル鍵の発行・剥奪などの各種データの連携が可能になることで、「Akerun入退室管理システム」が設置された扉を起点に、オフィスや施設を利用するユーザーの入退室履歴や個人認証のための情報等を通じたインサイトを獲得でき、労務管理や施設管理、利用者情報の管理などの業務を大幅に効率化できます。この有用性が評価され、オフィスだけでなくコワーキングスペースやフィットネスジムなどの会員制施設及び商業施設等での「Akerun入退室管理システム」の導入やAPIの利用も堅調に増加するなど、「Akerun入退室管理システム」は顧客のオフィスや施設の様々なバックオフィス業務を支える基幹システムへと進化しております。また、当社グループでは、API連携による顧客へのさらなる価値提供に加え、連携サービスの拡充やサービス品質の向上を図るために、API利用への課金を実施するなど、さらなる収益性の強化を推進しております。当社グループでは、このようなAkerunの周辺領域における各種サービスとの連携ソリューションを開発・提供することで、オフィスや施設の業務効率化や運営効率化を支援し、顧客の基幹システムとしての役割を今後もさらに拡大しながら、さらなる収益の拡大を目指してまいります。 (3) 住宅領域におけるAkerun事業① 市場機会現在、日々の生活の様々な場面でデジタル化が大きく進展し、家事代行サービスや宅配サービス、空きスペース等の不動産や自動車等の動産を有効活用するシェアリングエコノミー(注1)の台頭に代表されるように、消費者の行動態様は大きく変化しております(注2)。さらに現在では、社会環境や消費者の行動態様の変化に伴い、非対面や自宅不在時のサービス利用や荷物の受け取り、人や物品のトレーサビリティなどへのニーズの高まりを受け、それらにデジタルを活用する取り組みも拡大しております。そして、このデジタル化の流れは、消費者だけでなく、住宅関連のサービス事業者や不動産事業者にも拡大しており、物件の内覧や管理のデジタル化並びに不動産契約の一部電子化等を通じて業務を効率化する取り組みなど、不動産テックと呼ばれる市場も拡大しております(注3)。加えて、これらの直近の市場動向だけでなく、日本では少子高齢化に伴う高齢者の一人暮らし世帯の増加(注4)とそのような世帯への生活支援、健康管理、安全管理等のケアの提供が課題となっております。この課題の解決に向けては、高齢者のための見守りサービスの普及や利用拡大が期待される中で、人員による定期的な対面に加えて、センサーや通信、ロボットなどのIT技術を活用して人員による見守りを支援する取り組みも今後さらに加速するものと考えております。一方で、これらのサービス利用の課題として、宅配便の増加に伴う宅配クライシスや物流業界の2024年問題と呼ばれる宅配事業者の業務負荷の高まりと業務効率化の要請、在宅の必要性、利用時の鍵受け渡しの手間、集合住宅エントランスの入退館時のセキュリティ、ユーザーの心理的不安等がサービスの利用拡大の障壁となっております。当社グループの住宅領域におけるAkerun事業では、建築用錠前の提供で国内大手の美和ロックとの合弁会社となるMIWA Akerun Technologiesを通じて、住宅領域におけるスマートロック及び関連サービスの普及と事業成長を目指しております。この合弁会社を通じて、当社は住宅向けサービスの基盤となるクラウド上の認証基盤やスマートデバイス向けアプリケーションの開発、美和ロックはAkerunのシステムと連携する住宅向けスマートロックの開発と提供、そして合弁会社が住宅向けサービスの開発と提供をそれぞれ担い、住宅の扉を起点とした住宅向けのサービスを提供することで、前述の課題を解決できるものと考えております。住宅領域のAkerun事業では、当社グループがこれまでに培ったオフィス領域におけるサービス開発、クラウド基盤及びスマートデバイス向けアプリケーションの開発や提供における実績・知見を活用しております。これにより、住宅のセキュリティを高めながらシェアリングエコノミーの拡大や社会課題の解決に向けて普及する住宅向けサービスをユーザーが簡便に利用できるプラットフォームを展開し、住宅領域でのさらなる事業成長を目指しております。この住宅領域におけるAkerun事業を通じて、人々が持ち歩いていた住宅の鍵を、当社グループの合弁会社が提供する住宅向けアプリケーションやICカード等へと置き換えることで、当社グループの目指すキーレス社会の実現に向けた取り組みを加速するとともに、関連事業者やユーザーのさらなる利便性向上に資するものと考えております。 (注) 1.遊休となっている空間や人材などの資産のさらなる有効活用により、社会課題の解決や生産性の向上などを目指す経済態様のことであります。2.株式会社矢野経済研究所「2021 シェアリングエコノミー市場の実態と展望」(2021年9月30日発刊)https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/28213.株式会社矢野経済研究所「2021年版 不動産テック市場の実態と展望」(2021年7月28日発刊)https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/27704.内閣府「令和4年版高齢社会白書」 ② 提供サービス/製品住宅領域におけるAkerun事業では、美和ロックとの合弁会社であるMIWA Akerun Technologiesを通じて、住宅向けのサービスや製品の開発・提供を推進しております。美和ロックの提供するスマートロックと当社の提供するクラウド基盤を組み合わせたサービスを活用することで、集合住宅などに標準設備として導入されている美和ロック製スマートロックをAkerunアプリで開けることができるようになり、追加の機器などを導入する必要なく、Akerunアプリからの施解錠に加え、操作履歴の確認、インターネットを通じたデジタルな合鍵の共有等が可能になり、ユーザーの利便性が向上します。現在、住宅領域における主力サービスとして、賃貸用住宅物件の管理業務を大幅に効率化する「Akerun.Mキーレス賃貸システム」提供しており、このサービスにより、賃貸物件の内見〜入居〜退去の各フェーズにおける、物理鍵の受け渡しのための移動にかかる手間と時間、トラブルへの対応業務、そして退去時の鍵の交換や回収にかかる手間やコスト等、物理鍵による運用に伴う様々な非効率業務を大幅に解消すると同時に、入居者の利便性や安全・安心の向上を実現できます。さらに今後は、住宅における鍵の施解錠だけでなく、認証、住宅向けの各種サービスの利用、決済等の様々な住宅向けサービスを利用するためのプラットフォームとしての機能の提供に向けて積極的に取り組み、社会環境やライフスタイルの変化に合わせ、イエナカサービス(家事代行、ペットシッター、介護等)と連携し、安全・安心で快適な暮らしを支えるための取り組みを推進してまいります。 ③ サービス提供のスキーム住宅領域では、サービスや製品の提供にあたり、当社が51%、美和ロックが49%を出資する合弁会社であるMIWA Akerun Technologiesを通じて、当社は住宅向けサービスの基盤となるクラウド上の認証基盤やスマートデバイス向けアプリケーションの開発、美和ロックはAkerunのシステムと連携する住宅向けスマートロックの開発と提供、そして合弁会社が住宅向けサービスの開発と提供をそれぞれ担っております。当社のクラウド上の認証基盤及びスマートデバイス向けアプリケーションといったソフトウエア技術における信頼性と実績、美和ロックの住宅向けスマートロック製品に関するハードウエア技術の堅牢性と実績、そして合弁会社によるスマートロックを起点とした住宅向けサービスの開発と提供という各社のそれぞれの強みを組み合わせることで、ユーザーの安全・安心の実現と同時に包括的なサービスを提供し、これまで以上に利便性の高い生活の実現に貢献するとともに、様々な社会課題の解決に資するものと考えております。また、販売・普及にあたっては建築用錠前の提供で国内大手の美和ロックの有する全国規模の販売網やネットワークを活用することで、住宅領域における不動産管理会社や不動産オーナー等の主要プレイヤーへの積極的な提案を推進し、全国規模でのサービスの提供を拡大してまいります。 ④ サービスの強み住宅領域におけるAkerun事業では、美和ロックとの合弁会社を通じて両社の強みを生かした事業を展開してまいります。具体的には、建築用錠前で国内大手である美和ロックがこれまでに培ってきた広範な営業チャネルを最大限活用してまいります。これにより、国内の主要な不動産管理会社や不動産オーナーへの提案を通じて幅広い住宅への導入を目指してまいります。また、現契約社数5,400社を超える顧客基盤を通じて培った実績あるクラウド上のアクセス認証基盤「Akerun Access Intelligence」も強みとなります。セキュリティや安定性等の要件の厳しい企業ユーザーを支えるこのクラウド基盤及び認証基盤の信頼性や堅牢性を活用することで、住宅向けにも強固なセキュリティを提供しております。さらに、住宅領域におけるスマートデバイス向け専用アプリケーションについても、企業向けに提供するアプリケーションをベースにすることで、信頼性や堅牢性の担保と同時に、使いやすさの向上も実現しております。これらの強みを背景に、「Akerun.Mキーレス賃貸システム」は、長谷工グループにおける賃貸マンションの管理・開発会社である株式会社長谷工ライブネット、第一生命グループの総合不動産会社である相互住宅株式会社、そしてCIFO株式会社等の不動産管理会社での導入に加え、全国の不動産管理会社等からの継続的かつ旺盛な需要に応えることで、市場における実績を順調に拡大しております。今後も、当社グループの強みを生かし、集合住宅だけにとどまらない、あらゆる住宅における安全・安心で快適な暮らしを支える製品やサービスの提供を拡大してまいります。 ⑤ 今後の成長拡大のための取り組み現在、住宅向けの各種サービスの興隆や消費者の行動態様の変化等の影響もあり、シェアリングエコノミーの普及を背景とした家事代行や宅配などのシェアリングサービスの利用や提供事業者が拡大しております。この市場トレンドやニーズに応えるべく、美和ロックが有する営業チャネルを活用して住宅向けスマートロック及びサービス利用のためのプラットフォームを展開することで、新規施工及び既築の集合住宅等への広範囲にわたる提案を強化してまいります。また、合弁会社が提供する住宅向けアプリケーションから利用できる住宅向けサービスに関して、家事代行や宅配、見守り等の様々なサービス提供事業者と提携することで、より多くの選択肢をユーザーに提供する計画であります。これらの取り組みを推進することで、鍵を起点とした魅力あるサービスプラットフォームを提案し、ユーザー基盤の拡大とともに事業成長を目指しております。 [事業系統図](注) 顧客紹介を受けて、当社が顧客との契約及びサービスの提供を行います。
FY2022|16,171 文字|出典 docID: S100QIXR
3【事業の内容】 当社グループは、「つながるモノづくりで感動体験を未来に組み込む」を企業ミッションに掲げ、世の中の物理鍵とそれに伴う様々な制約から人々を解放し、扉で分断されたあらゆる場所や空間に人々が自由にアクセスできる「キーレス社会®」の実現を目指しております。具体的には、スマートロック(注1)等のIoT機器及びクラウド型認証プラットフォームを活用したサービスを開発し、サブスクリプションモデルにより提供することで、物理空間におけるシングルサインオン(SSO)(注2)を実現する世界の創出を目指しております。 (注)1.スマートロックとは、電気制御により鍵を開閉することができるインターネットに接続された錠前のことであります。2. シングルサインオン(Single Sign On、SSO)とは、1度のユーザー認証によって複数のシステムやサービスの利用が可能になる仕組みであります。1つのIDとパスワードで複数のシステムやサービスを利用することができるため、ユーザーの利便性の向上や負担の軽減を実現します。 現在、私たちは通過する扉やゲートの数だけ物理的な鍵及び解錠ツールを持ち歩く必要があり、扉の数と鍵の数がN:Nの関係となっております。そして、鍵が果たす役割はセキュリティや本人認証など重要なものであるため、鍵の管理に要する心理的・物理的な負荷は非常に大きいと考えております。 このような現状を受け、物理的な鍵による様々な制約を無くし、1つのICカードや個人を特定する物理的なIDであらゆる扉やゲートにスムーズにアクセスできる、扉の数と鍵の数がN:1の世界をキーレス社会と名付け、この物理空間におけるシングルサインオンともいえる世界の実現を目指しております。この社会インフラとしてのキーレス社会を実現することで、人々や社会の利便性の向上やさらなる価値の享受に資するものと考えております。 また、当社グループでは、このキーレス社会の実現に向けた決意表明として、以下のヴィジョン・ステートメントを策定し、事業に取り組んでおります。 「世界から、鍵をなくそう」 遡ること、紀元前2000年。安心安全のために生まれた鍵は、時代とともに強固に、複雑に、そして増加した。しかし、それは壁をつくり、世界を分断することにもつながった。 事実、私たちは、行き来する場所やコミュニティの数だけ、常に大量の鍵やカードを持ち歩き、施錠と解錠を繰り返す。 あらゆる物事がシェアされ、世界が広くつながっていく時代だからこそ、もっと簡単に、もっとスマートに、それでいて安全につながりたい。世界を面白くするカギは、鍵をなくすことだ。そのために、Akerunは存在する。テクノロジーを駆使し、個人を見分け、自動で開閉する。物理的な鍵をなくすことで、考える手間をなくし、ストレスのない移動を可能にする。 これまでの常識から解き放たれたとき、人はもっと自由に行動し、世界はつながれるようになる。 21世紀、人類はキーレスソサエティへ。 (1)Akerun事業の概要 当社グループの中核事業であるAkerun®事業は、キーレス社会の実現に向けて、クラウドとインターネットでつながるスマートロック等のエッジ端末(注1)による個人認証とセキュリティ、そしてクラウド上のアクセス認証基盤を通じた個人認証を主軸とした関連サービスを法人向け、住宅向けに展開しております。 Akerun事業の特徴は主に以下の3点であります。① サブスクリプションモデルによるHESaaSとして提供 Akerun事業の特徴の1つ目は、ハードウエアとソフトウエアを組み合わせたサブスクリプションモデルであるHESaaS(注2)としての提供形態であります。 Akerun事業で展開される各サービスは、ハードウエアとソフトウエアを組み合わせ、主に年単位で課金されるサブスクリプションモデルによるレンタルサービスとして提供しております。 サブスクリプションモデルによるユーザーの導入障壁の低減や後述のAkerun事業における強み等を背景に、ARR(Annual Recurring Revenue:毎年繰り返し得られる年次経常収益)は順調に拡大しております。さらに、このARRを支えるサブスクリプション収益の比率も事業収益全体の90%超を恒常的に実現しております。 また、運用の手軽さや利便性に加え、API(注3)による外部の勤怠管理システムや会員管理システム等との連携を通じた“オフィスや施設における基幹システム化”や大規模顧客へのさらなる拡販等の解約率低減に向けた取り組みにより、MRR(Monthly Recurring Revenue:毎月繰り返し得られる月次経常収益)ベースのChurn Rate(サービスに関する解約率)は平常時で1%台半ばの低い水準に抑えられております(注4)。具体的には、継続的なChurn Rateの改善を図ることで、2022年12月期には1.41%まで改善しております。 当社グループでは、より低いChurn Rateの割合を示しているAPI連携利用や大規模企業といった顧客ポートフォリオを今後も拡大することでChurn Rateのさらなる低減が可能であると考えており、今後もそれら取り組みを通じてChurn Rateの最小化を図ってまいります。 当社グループは、事業収益に占めるサブスクリプション収益の高い比率や低い解約率等を実現する、継続的な収益を生み出すリカーリングビジネスにより、MRR及びARRの最大化を通じた持続可能な成長を実現しております。 (注)1.エッジ端末とは、 エッジ(末端)の端末の意味であり、IoT等においてはインターネットに接続され、システム全体の末端に位置する端末のことであります。インターネットで接続されたシステム全体における末端の端末として、データの収集/処理や上位システムへのデータの送信等に加え、上位システムからの指令やデータ等を受信して稼働したり、利用者に伝達する等の機能を担うハードウエアであります。2. HESaaSとは、Hardware Enabled Software as a Serviceの略で、アプリケーションソフトウエアをインターネット経由で提供するクラウドサービスであるSaaSと、ハードウエアのサブスクリプションモデル(レンタルモデル)を組み合わせた提供モデルのことであります。3. APIとは、Application Programming Interfaceの略で、特定のソフトウエアの機能やデータ等を、外部の他のプログラムで利用するための手順やデータ形式等を定めた規約のことであります。4. 各期のChurn Rateは、当該期の期末月における12か月移動平均であります。 ② 堅牢なアクセス認証基盤及びクラウドセキュリティシステム Akerun事業の特徴の2つ目は、クラウド上に構築するアクセス認証基盤「Akerun Access Intelligence®」(注1)の高度な技術性であります。この認証基盤では、一般的なユーザー情報に加えてユーザーが日常的に利用するICカードなどの固有の物理ID情報を保有し、インターネットを通じて認証に活用しております。 この認証基盤における認証プロセスは、特許を取得している独自の通信方式(注2)やSSL(注3)、AES256(注4)等のセキュアな通信技術でセッションごとに暗号化することで高度なセキュリティを担保しております。また、認証や処理のロジックをエッジ端末とクラウド上のサーバーに集約することで、個人情報などの機密情報のエクスポージャーを減少させ、セキュリティ上の堅牢性をさらに高めております。 この高度なセキュリティ環境を背景としたユーザー認証方式を確立したことで、信頼性と堅牢性に優れたユーザー認証と関連サービスの展開が可能になっております。 (注)1.ユーザーの基本情報(氏名や所属等)、デジタルID情報(電話番号や電子メール等)、物理ID情報(所有するICカードや生体認証情報等)、認証権限情報(アクセスが許可されている扉、有効な日にち、曜日、時間帯等)等の情報を保有するクラウド上のデータベースであります。2.セキュリティを確保しながら簡便な方法で第三者に鍵を開けるための権限を一時的に付与することができる電子錠システムに関する特許(公開番号「特開2016-79644(P2016-79644A)」)3.SSLとは、Secure Sockets Layerの略で、インターネット上でのデータ通信を暗号化し、第三者によるデータの窃取や改ざんを防ぐ通信プロトコルのことであります。 4.AES256とは、米国国立標準技術研究所(NIST)が政府の標準暗号方式として選定したAES(Advanced Encryption Standard)と呼ばれる暗号化方式のうち、256ビット長の暗号鍵を使用する方式であります。 ③ アクセス認証基盤を活用した認証プラットフォームとしての価値 Akerun事業の特徴の3つ目は、利用企業の規模や業種業態を問わない広範なユーザー基盤に裏付けられた認証プラットフォームがもたらす、社会インフラとしての価値であります。これまでのサービス展開を通じて、2022年12月末時点で4,900社以上の現契約社数を達成しており、この現契約社数は継続的に増加しております。実際に、Akerun事業を支える中核サービスである法人向けの「Akerun入退室管理システム®」は、「クラウド型入退室管理システムの導入社数/シェア」、「スマートロックの利用者数/シェア」、「法人向けスマートロックの導入社数/シェア」の3分野でそれぞれ国内No.1(注)を獲得するなど、クラウド型入退室管理システム及びスマートロックの市場をけん引する実績を有しております。 このように、Akerun事業はセキュリティ及び認証のプラットフォーム化による社会インフラとしての地位を確立しております。さらに、建築用錠前の提供で国内大手の美和ロック株式会社(以下、美和ロック)との合弁会社である株式会社MIWA Akerun Technologies(以下、MIWA Akerun Technologies)を2021年1月に設立し、住宅領域にも進出するなど、オフィスや各種施設、住宅等の利用場所を問わない広範な基盤を通じたビッグデータの取得・活用により、様々な周辺領域へのサービス展開も可能となっております。そして将来的には、プラットフォームに蓄積されたビッグデータを活用することで、人の動静に合わせた効率的なエネルギー利用による環境負荷の低減、社会や時勢の変化に合わせた働き方の実現、既存の空間を活用した効率的な社会インフラの構築、認証/移動/決済等のソリューションの提供等を通じて、オフィス領域から住宅領域、そして商業施設、行政機関や医療機関などの非商業施設までのあらゆる場所やシーンで効率的かつ持続可能な社会の構築に貢献していけるものと考えております。 (注)日本マーケティングリサーチ機構調べ(2021年6-7月期_指定領域・日本国内における検証調査) (2)オフィス領域におけるAkerun事業① 市場機会Ⅰ.市場環境の変化 法改正を含む日本政府による働き方改革の推進により、企業では客観的な方法による従業員の労働時間の把握(注1)や、残業時間の上限規制(注2)、勤務間インターバル制度(注3)等、従業員の勤務時間を正確に記録、管理することが求められております。また、2015年の個人情報保護法の改正により、企業では安全管理措置に基づき、個人情報に対する物理セキュリティ及び情報セキュリティの対策を強化する必要があります(注4)。特に、この個人情報保護に向けた流れはより一層加速しており、2022年4月から施行されている個人情報保護法の改正では、個人情報の漏えい等が発生した際の事業者による報告が義務化(注5)されております。また、この改正に先立つ2020年12月には、個人情報保護委員会からの措置命令等に違反した場合、また個人情報データベース等の不正流用があった場合の法人における罰則(注6)がさらに厳罰化されるなど、企業ではこれまで以上の対策を求められるようになっております。 さらに、企業での働き方改革の進展や直近の新型コロナウイルス感染症の影響により、勤務する場所も従来のオフィスだけでなく、自宅に加えてコワーキングスペースやシェアオフィスなどの分散型オフィスの活用が進展したことで、現在ではこれら分散型オフィスの活用が定着し、より一層の活用が図られております。また、オフィスや施設、店舗における運営効率や業務効率のさらなる改善を目指して、受付業務や設備のデジタル化による業務効率化に加え、特にフィットネスジムやコワーキングスペース/シェアオフィス等の会員制ビジネスを中心にエントランスのセキュリティ強化と受付業務の無人化/省人化へのニーズが顕著に高まっております。 そして、直近では新たな都市開発手法としてミクスドユース(注7)も注目を集めており、オフィス、商業施設、住宅等の様々な用途の空間をシームレスに行き来する空間利用が今後も普及していくと考えられます。 このような従業員の労働時間の適正な把握の必要性、個人情報保護のためのセキュリティ対策、働く場所の多様化と拡大、施設管理業務や受付業務等のデジタル化と業務・運営効率の向上へのニーズの高まり、様々な用途の空間へのシームレスなアクセス、といった市場動向に対して、Akerun事業は入退室履歴の勤怠管理への活用、API連携等も活用した認証システムとしての様々な用途への拡張性の高さ、導入の容易さ等の特徴を通じて、今後も市場からの要請に応えていけるものと考えております。 (注)1.改正労働安全衛生法第66条の8の3(2019年4月1日施行)及び改正労働安全衛生規則第52条の7の3(2019年4月1日施行)2.労働基準法第36条及び第139~142条(2019年4月1日施行)3.改正労働時間等設定改善法第2条(2019年4月1日施行)4.改正個人情報保護法第2条及び第20条(2017年5月30日施行)5.改正個人情報保護法第22条の2(2022年4月1日施行)6.改正個人情報保護法第83条〜第87条(2020年12月12日施行)7.ミクスドユース(mixed-use)とは、1つの建物、街区、地区等の中で、様々な用途の空間を混在させる都市開発コンセプトのことであります。 Ⅱ.入退室管理システムの現状 従来の入退室管理システムは、オンプレミス環境(注1)へのサーバーや管理用PC等のハードウエア機器の購入・設定に加え、システム設定やネットワーク工事のためのSIer(注2)及び電気工事業者が必要になっておりました。さらに、導入後も機器の改修や保守の費用等が必要となり、加えてIT技術に習熟した担当者でなければ取得データの利活用が難しいなど、費用面及び工数面での負荷やデータ活用の困難さが企業には大きな導入障壁となっておりました。 当社グループでは、このような導入時の障壁を低減し、より少ない負担で入退室管理システムを導入・活用できる「Akerun入退室管理システム」を提供しております。特別な工事やシステム構築が不要かつ後付けで手軽に導入可能、クラウド型システムによる専用IT機器の排除とシンプルに利用できる管理画面等によるデータ利活用の支援、サブスクリプションモデルによる保守・運用に要する費用負担の軽減などにより、導入障壁の低減と継続運用のしやすさを実現することで今後も広く需要を取り込み、継続的な売上拡大を実現できるものと考えております。 (注)1.オンプレミス環境とは、ITインフラの構築や稼働に必要なサーバーやネットワーク等の機器及びソフトウエア等を利用者である企業が管理する施設等に保有し、運用するシステムの利用環境のことであります。2. ITシステムの構築、コンサルティング、設計、開発、運用、ハードウエアの選定等を一括で請け負うITサービス事業者のことであります。 ② サービス構成 Akerun事業を支える中核サービスである法人向けの「Akerun入退室管理システム」は、鍵の物理的開閉やデータ通信等を担うハードウエア機器と、認証、鍵権限の管理、履歴の閲覧等を行う、スマートデバイス(注)向けアプリケーション及びWebアプリケーション等のソフトウエアで構成されております。 (注) 対応するスマートデバイスは、Apple社が提供するiOS及びGoogle社が提供するAndroidにて稼働するスマートフォンなどの電子デバイスとなります。 Ⅰ.ハードウエアの特徴 「Akerun入退室管理システム」で提供されるハードウエアには、サムターン錠(注1)に対応する「Akerun Pro」と、電気錠(注2)や自動ドア、フラッパーゲート等の電気制御の扉に対応する「Akerunコントローラー」があります。 Akerun Proは、工事なしで既存の扉に後付け可能なスマートロックであります。扉の既存のサムターン錠に設置するだけで、取り付け工事不要、初期費用0円で導入できるため、従来の入退室管理システムと比較して導入にかかる工数や費用を大きく低減しております。 Akerunコントローラーは、既存の自動ドアや電磁錠等の電気錠に後付けで導入でき、簡易的な工事のみで導入し、運用できるハードウエアであります。電気制御で鍵の開閉を行う電気錠に対応することで、「Akerun入退室管理システム」の適用範囲をさらに拡大し、さらに多くのオフィスや施設のニーズに対応することが可能になっております。 また、Akerun Pro及びAkerunコントローラーに共通のハードウエアとして、ICカードリーダーも付帯しております。ICカードリーダーを活用することで、ユーザーが日常的に使用している交通系ICカードや社員証、ビル入館カード等、FeliCa及びMifareの各規格(注3)に対応するICカードによる認証を通じた施錠・解錠が可能となっております。 なお、「Akerun入退室管理システム」を構成する各ハードウエアは、当社グループで開発、設計し、製造は外部に委託しております。 (注)1.サムターン錠とは、扉の室内側についているツマミ式の金具で開閉を行う錠前のことであります。2.電気錠とは、電気的に鍵を施解錠する機構を組み込んだ錠前のことであります。3.FeliCaは、ソニー株式会社の登録商標です。Mifareは、NXPセミコンダクターズ社の登録商標です。 Ⅱ.ソフトウエアの特徴 「Akerun入退室管理システム」は、ソフトウエアにより以下の機能を提供しております。 A.Web管理ツールやソフトウエアによる鍵権限の柔軟な設定 Web管理ツール及びそれを支えるソフトウエア技術を通じて、ユーザーが入退室できる日時等を柔軟に設定することが可能となっております。これにより、ユーザーごとの要件に応じた入退室権限等、ニーズに合わせた柔軟な鍵権限の運用が可能になっております。また、Web管理ツールやソフトウエアは、クラウド型サービスの特徴を生かし、労務関連の法制度の改正やオフィスに求められる要件の変化等、社会状況の変化や市場トレンドに合わせて継続的にアップデートすることが可能となっております。 B.システムから取得するデータの利活用 IoTを活用したクラウド型入退室管理システムの特徴を生かし、ユーザーの利用履歴を永続的に保持し、Web管理ツール等でいつでも確認できる機能を備えております。さらに、この履歴のビッグデータとしての活用により、セキュリティの機能だけでなく、ユーザーの動静を把握・確認するための空間管理やサービス利用のエビデンスとしての活用等、さらなる価値提供が可能になっております。 C.APIによる外部システムとの柔軟な連携 サービスとしての拡張性を高めるために、外部システムとの連携が可能なAPIを公開しております。これにより、外部システムからの入退室履歴等の各種情報の取得や遠隔での解錠・施錠の操作、日時を指定した鍵権限の発行等が可能になります。また、ユーザーが独自に開発したシステムやサービスと「Akerun入退室管理システム」を連携させたり、又は当社グループ及び外部のパートナー企業でAPI連携させた勤怠管理、生体認証などの認証システム、会員管理システム、決済システム等との共同ソリューションを活用することも可能となっております。 ③ サービスの強み 当社グループは、市場における優位性として、要件の厳しい法人向け事業で培った広範な実績に加え、高水準の利用体験を可能にするハードウエアの開発及び無線通信やセキュリティにおけるソフトウエアの開発に強みを有しております。 Akerun事業における強みの詳細は、以下の通りであります。 Ⅰ.法人向け事業における強固な実績とそれに支えられたアクセス認証基盤 前述の通り、当社グループはこれまでの事業活動により、法人における豊富な導入実績を通じて現契約社数4,900社以上を抱えるアクセス認証基盤「Akerun Access Intelligence」を保持しております。この相当規模の認証基盤を活用することで、ユーザー認証に加えて勤怠管理や会員管理等の法人向けに提供される様々なクラウド型サービスや認証シーンにも活用でき、また、当社グループによる認証基盤から取得するビッグデータを活用したデータドリブンなビジネス展開も可能となっております。今後も、オフィスに導入されたAkerunのエッジ端末を起点として、入退室管理、労務管理といった従来から提供する機能に加え、API連携等を通じた外部の様々なサービスとの連携も積極的に推進してまいります。そして、扉を起点としたあらゆる空間における付加価値の向上に取り組むことで、社会インフラとしての認証基盤の利用拡大に取り組んでまいります。 Ⅱ.要件の厳しい法人利用に応える高水準のハードウエア性能 Akerun事業で展開する各種ハードウエアは、日常的に多人数に触れる機器としての特性上、ユーザーの利用体験の向上をもたらすハードウエア品質が非常に重要であると考えております。当社グループでは、このハードウエア品質の強化に常に注力しており、実際にAkerun Proにおいては100万回の開閉試験を実施するなど、多人数利用に応える耐久性を確保しております。さらに、サムターン錠の高速な解錠を支える高トルクモーター、1日あたり100回の開閉で電池が6か月以上持続する省電力性能を追求した専用設計回路、耐久性強化のための高機能ベアリングや特許取得済みの専用設計機構等、ユーザーの利用体験を最大限に高めるためのハードウエア技術により、市場でも高水準のハードウエア品質を実現し、ユーザーの利用体験を向上しております。 Ⅲ.信頼性と堅牢性に優れた無線通信技術及びセキュリティ技術 当社グループでは、ハードウエア品質と同様に、日々利用されるシステムとしての安定的な稼働も重要であると考えております。当社グループは、認証に使用するBLE(注)通信の制御技術、特に施錠・解錠に用いるスマートデバイスを含む複数のハードウエア機器間での安定的な通信制御技術に強みを持っております。現在では、オフィス環境はもちろんのこと、様々な場所で多くの無線通信が行われており、それぞれの無線通信の混線や干渉などが発生し、無線通信を利用するサービスの安定的な稼働の障害となっております。当社グループでは、法人向けセキュリティという重要なサービスを担う企業として、無線通信における堅牢性と同時に安定性を実現する高度な無線制御技術を備えております。この強みを生かすことで、オフィスや施設における高速かつ安定したユーザー認証が可能になり、日々の利用体験の向上を実現しております。さらに、これまでの広範な導入実績で培われたユーザー基盤を背景に、継続的なソフトウエアの改善を通じて、さらなる利用体験と信頼性の向上を図っております。 加えて、前述の通り、クラウドや各ハードウエア機器間の通信には、特許取得済みの通信技術や高度な暗号化通信技術を採用することで、市場でも高水準の信頼性と堅牢性に優れたユーザー認証プロセス及び認証基盤を実現しております。 (注)BLEとは、Bluetooth Low Energyの略で、低電力通信を可能にする近距離無線通信技術Bluetoothの拡張仕様の1つであります。 ④ 今後の成長拡大のための取り組みⅠ.企業規模を問わない新規ユーザーの獲得 オフィス領域におけるさらなる成長拡大に向けて、主要導入企業である全国で約190万社(注)ある従業員10名以上の中小企業及び事業所への販売促進施策を継続的に強化し、新規ユーザーのさらなる獲得を目指しております。中小企業への提供拡大にあたっては、札幌、大阪、及び福岡の地方拠点の活用に加え、販売パートナーとの関係性強化を通じて潜在ユーザーへの提案機会の増加を図る専任チームの強化・拡充と営業活動の強化も継続的に実施しております。 さらに、直近では大規模企業や大型ビルからの問い合わせや導入も増加し、堅調な受注実績をあげております。今後も、継続的に大規模企業専任の営業チームの強化や拡大を進めることで、大規模企業ユーザーの新規獲得にも積極的に注力する計画であります。 (注)経済産業省「平成28年経済センサス‐活動調査」より算出。10名以上の小売・飲食を除く事業所向け(約170万事務所)に加え、医療・教育・スポーツ施設等での商用利用向け(約17万事務所) Ⅱ.既存ユーザーへの追加導入の提案(アップセル施策) 当社グループでは、既存顧客へのさらなる売上拡大にあたって、継続的なユーザーとの関係性強化やヒアリングに加え、市場動向の調査・分析を通じて変化するオフィス環境や施設の運営環境等の市場ニーズに合わせた空間利用を提案することで、1事業所あたりの追加導入台数の増加を目指しております。 さらに大規模企業での導入の場合、Akerunを導入可能な扉が複数あるケースがほとんどであるため、複数台の契約を獲得しやすい環境であることから、契約の新規獲得を契機に関係性の強化や継続的なヒアリング、提案力の強化等を通じて複数台の契約を追求してまいります。 これらのアップセル施策を促進することで、ユーザーからもたらされるLTV(注1)及びARPU(注2)の最大化を目指し、事業成長を加速する考えであります。 (注)1.LTVとは、Life Time Valueの略で、顧客との取引の開始から終了までの期間にもたらされる総利益(顧客生涯価値)のことであります。2.ARPUとは、Average Revenue Per Userの略で、ユーザーや利用企業における1人/1社あたりの売上金額を表す指標であります。 Ⅲ.周辺領域でのソリューションの開発と提供(クロスセル施策) 現在、Akerun事業では適用領域の多様化に積極的に取り組んでおり、特に外部パートナーが提供する勤怠管理、会員管理、決済、認証等のシステムとのAPIを通じたサービス連携に注力しております。Akerunが提供するAPIを通じて、Akerunの入退室履歴やデジタル鍵の発行・剥奪などの各種データの連携が可能になることで、Akerunが設置された扉を起点に、オフィスや施設を利用するユーザーの入退室履歴や個人認証のための情報等を通じたインサイトを獲得でき、労務管理や施設管理、利用者情報の管理などの業務を大幅に効率化できます。この有用性が評価され、オフィスだけでなくコワーキングスペースやフィットネスジムなどの会員制施設でのAkerunのAPIの利用も堅調に増加するなど、Akerunは顧客のオフィスや施設の様々なバックオフィス業務を支える基幹システムへと進化しております。 また、当社グループでは、API連携による顧客へのさらなる価値提供を目的に、さらなる連携サービスの拡充やサービス品質の向上を図るために、2022年度から新たにAPI利用への課金を開始しております。 当社グループでは、このようなAkerunの周辺領域における各種サービスとの連携ソリューションを開発・提供することで、オフィスや施設の業務効率化や運営効率化を支援し、顧客の基幹システムとしての役割を今後もさらに拡大しながら、さらなる収益の拡大を目指してまいります。 (3)住宅領域におけるAkerun事業① 市場機会 現在、日々の生活の様々な場面でデジタル化が大きく進展し、家事代行サービスや宅配サービス、空きスペース等の不動産や自動車等の動産を有効活用するシェアリングエコノミー(注1)の台頭に代表されるように、消費者の行動態様は大きく変化しております(注2)。さらに現在では、社会環境や消費者の行動態様の変化に伴い、非対面によるサービス利用や荷物の受け取り、人や物品のトレーサビリティなどへのニーズの高まりを受け、デジタルを活用する取り組みも拡大しております。そして、このデジタル化の流れは、消費者だけでなく、住宅関連のサービス事業者や不動産事業者にも拡大しており、物件の内覧や管理をデジタル化によって効率化する取り組みなど、不動産テックと呼ばれる市場も拡大しております(注3)。また、前述の通り、ミクスドユースといった都市開発コンセプトを通じて住宅を含む様々な空間へのシームレスなアクセスへの需要も高まると考えております。 加えて、これらの直近の市場動向だけでなく、日本では少子高齢化に伴う高齢者の一人暮らし世帯の増加(注4)とそのような世帯への生活支援、健康管理、安全管理等のケアの提供が課題となっております。この課題の解決に向けては、高齢者のための見守りサービスの普及や利用拡大が期待される中で、人員による定期的な対面に加えて、センサーや通信、ロボットなどのIT技術を活用して人員による見守りを支援する取り組みも今後さらに加速するものと考えております。 一方で、これらのサービス利用の課題として、宅配便の増加に伴う宅配クライシスと呼ばれる宅配事業者の業務負荷の高まり、在宅の必要性、利用時の鍵受け渡しの手間、集合住宅エントランスの入退館時のセキュリティ、ユーザーの心理的不安等がサービスの利用拡大の障壁となっております。 当社グループの住宅領域におけるAkerun事業では、建築用錠前の提供で国内大手の美和ロックとの合弁会社となるMIWA Akerun Technologiesを2021年1月に設立しております。この合弁会社を通じて、当社は住宅向けサービスの基盤となるクラウド上の認証基盤やスマートデバイス向けアプリケーションの開発、美和ロックはAkerunのシステムと連携する住宅向けスマートロックの開発と提供、そして合弁会社が住宅向けサービスの開発と提供をそれぞれ担い、扉を起点とした住宅向けのサービスを提供することで、前述の課題を解決できるものと考えております。住宅領域のAkerun事業では、当社グループがこれまでに培ったオフィス領域におけるサービス開発、クラウド基盤及びスマートデバイス向けアプリケーションの開発や提供における実績・知見を活用しております。これにより、住宅のセキュリティを高めながらシェアリングエコノミーの拡大や社会課題の解決に向けて普及する住宅向けサービスをユーザーが簡便に利用できるプラットフォームを展開し、新領域でのさらなる事業成長を目指しております。 この住宅領域におけるAkerun事業を通じて、人々が持ち歩いていた住宅の鍵を、当社グループの合弁会社が提供する住宅向けアプリケーションやICカード等へと置き換えることで、当社グループの目指すキーレス社会の実現に向けた取り組みを加速するとともに、関連事業者やユーザーのさらなる利便性向上に資するものと考えております。 (注)1.遊休となっている空間や人材などの資産のさらなる有効活用により、社会課題の解決や生産性の向上などを目指す経済態様のことであります。2.株式会社矢野経済研究所「2021 シェアリングエコノミー市場の実態と展望」(2021年9月30日発刊)https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/28213.株式会社矢野経済研究所「2021年版 不動産テック市場の実態と展望」(2021年7月28日発刊)https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/27704.内閣府「令和4年版高齢社会白書」 ② 提供サービス/製品住宅領域におけるAkerun事業では、美和ロックとの合弁会社であるMIWA Akerun Technologiesを通じて、住宅向けのサービスや製品の開発・提供を推進しております。2021年9月には、住宅向けスマートロックを活用した最初の製品となるスマートライフシステム「Akerun.M」の提供を開始しております。この製品により、集合住宅などに標準設備として導入されている美和ロック製スマートロックをAkerunアプリで開けることができるようになり、追加の機器などを導入する必要なく、Akerunアプリからの施解錠に加え、操作履歴の確認、インターネットを通じたデジタルな合鍵の共有等が可能になり、ユーザーの利便性が向上します。また、2022年7月には、スマートライフシステム「Akerun.M」を基盤に、賃貸用住宅物件の管理業務を大幅に効率化する「Akerun.Mキーレス賃貸システム」を発表しております。このサービスにより、賃貸物件の内見〜入居〜退去の各フェーズにおける、物理鍵の受け渡しのための移動にかかる手間と時間、トラブルへの対応業務、そして退去時の鍵の交換や回収にかかる手間やコスト等、物理鍵による運用に伴う様々な非効率業務を大幅に解消すると同時に、入居者の利便性や安全・安心の向上を実現できます。さらに、この「Akerun.Mキーレス賃貸システム」を活用した取り組みとして、ヤマト運輸株式会社が提供する複数のデジタルキーを一括管理できるシステム「マルチ デジタルキー プラットフォーム」との連携も発表しております。この連携を通じて、これまで宅配サービスにおける配達効率向上の障壁となっていた集合住宅のエントランスを安全・安心な方法で通過できるようになるため、置き配のスムーズな実施等を通じて宅配業務を効率化し、将来にわたる持続可能な宅配便サービスの提供に貢献します。さらに今後は、住宅における鍵の施解錠だけでなく、認証、住宅向けの各種サービスの利用、決済等の様々な住宅向けサービスを利用するためのプラットフォームとしての機能の提供に向けて積極的に取り組み、社会環境やライフスタイルの変化に合わせ、イエナカサービス(家事代行、ペットシッター、介護等)と連携し、安全・安心で快適な暮らしを支えるための取り組みを推進してまいります。 ③ サービス提供のスキーム 住宅領域では、サービスや製品の提供にあたり、当社が51%、美和ロックが49%を出資する合弁会社であるMIWA Akerun Technologiesを通じて、当社は住宅向けサービスの基盤となるクラウド上の認証基盤やスマートデバイス向けアプリケーションの開発、美和ロックはAkerunのシステムと連携する住宅向けスマートロックの開発と提供、そして合弁会社が住宅向けサービスの開発と提供をそれぞれ担っております。 当社のクラウド上の認証基盤及びスマートデバイス向けアプリケーションといったソフトウエア技術における信頼性と実績、美和ロックの住宅向けスマートロック製品に関するハードウエア技術の堅牢性と実績、そして合弁会社によるスマートロックを起点とした住宅向けサービスの開発と提供という各社のそれぞれの強みを組み合わせることで、ユーザーの安全・安心の実現と同時に包括的なサービスを提供し、これまで以上に利便性の高い生活の実現に貢献できるものと考えております。また、販売・普及にあたっては建築用錠前の提供で国内大手の美和ロックの有する全国規模の販売網やネットワークを活用することで、住宅領域における主要プレイヤーへの積極的な提案を推進し、全国規模でのサービスの提供を図ってまいります。 ④ サービスの強み 住宅領域におけるAkerun事業では、美和ロックとの合弁会社を通じて両社の強みを生かした事業を展開してまいります。具体的には、建築用錠前で国内大手である美和ロックがこれまでに培ってきた広範な営業チャネルを最大限活用することで、幅広い住宅への導入を目指してまいります。 また、現契約社数4,900社を超える顧客基盤を通じて培った実績あるクラウド上のアクセス認証基盤「Akerun Access Intelligence」も強みとなります。要件の厳しい企業ユーザーを支えるこのクラウド基盤及び認証基盤の信頼性や堅牢性を活用することで、住宅向けにも強固なセキュリティを提供いたします。さらに、住宅領域におけるスマートデバイス向け専用アプリケーションについても、企業向けに提供するアプリケーションをベースにすることで、信頼性や堅牢性の担保と同時に、使いやすさの向上も実現できると考えております。 これらの強みを背景に、スマートライフシステム「Akerun.M」は、大和ハウスグループの株式会社コスモスイニシアが2021年11月に開業したシェアレジデンス「nears(ニアーズ)川崎」に採用されていることに加え、「Akerun.Mキーレス賃貸システム」はすでに全国の不動産管理会社等から多くの問い合わせをいただくなど、市場における実績を順調に拡大しております。今後も、当社グループの強みを生かし、集合住宅だけにとどまらない、あらゆる住宅における安全・安心で快適な暮らしを支える製品やサービスの提供を拡大してまいります。 ⑤ 今後の成長拡大のための取り組み 現在、住宅向けの各種サービスの興隆や消費者の行動態様の変化等の影響もあり、シェアリングエコノミーの普及を背景とした家事代行や宅配などのシェアリングサービスの利用や提供事業者が拡大しております。 この市場トレンドやニーズに応えるべく、美和ロックが有する営業チャネルを活用して住宅向けスマートロック及びサービス利用のためのプラットフォームを展開することで、新たに施工される集合住宅や戸建住宅に加え既存の住宅への広範囲にわたる提案を強化してまいります。また、合弁会社が提供する住宅向けアプリケーションから利用できる住宅向けサービスに関して、家事代行や宅配、見守り等の様々なサービス提供事業者と提携することで、より多くの選択肢をユーザーに提供する計画であります。これらの取り組みを推進することで、鍵を起点とした魅力あるサービスプラットフォームを提案し、ユーザー基盤の拡大とともに事業成長を目指しております。 [事業系統図] (注) 顧客紹介を受けて、当社が顧客との契約及びサービスの提供を行います。
FY2021|15,449 文字|出典 docID: S100NT8X
3【事業の内容】 当社グループは、「つながるモノづくりで感動体験を未来に組み込む」を企業ミッションに掲げ、世の中の物理鍵とそれに伴う様々な制約から人々を解放し、扉で分断されたあらゆる場所や空間に人々が自由にアクセスできる「キーレス社会®」の実現を目指しております。具体的には、スマートロック(注1)等のIoT機器及びクラウド型認証プラットフォームを活用したサービスを開発し、サブスクリプションモデルにより提供することで、物理空間におけるシングルサインオン(SSO)(注2)を実現する世界の創出を目指しております。 (注)1.スマートロックとは、電気制御により鍵を開閉することができるインターネットに接続された錠前のことであります。2. シングルサインオン(Single Sign On、SSO)とは、1度のユーザー認証によって複数のシステムやサービスの利用が可能になる仕組みであります。1つのIDとパスワードで複数のシステムやサービスを利用することができるため、ユーザーの利便性の向上や負担の軽減を実現します。 現在、私たちは通過する扉やゲートの数だけ物理的な鍵及び解錠ツールを持ち歩く必要があり、扉の数と鍵の数がN:Nの関係となっております。そして、鍵が果たす役割はセキュリティや本人認証など重要なものであるため、鍵の管理に要する心理的・物理的な負荷は非常に大きいと考えております。 このような現状を受け、物理的な鍵による様々な制約を無くし、1つのICカードや個人を特定する物理的なIDであらゆる扉やゲートにスムーズにアクセスできる、扉の数と鍵の数がN:1の世界をキーレス社会と名付け、この物理空間におけるシングルサインオンともいえる世界の実現を目指しております。この社会インフラとしてのキーレス社会を実現することで、人々や社会の利便性の向上やさらなる価値の享受に資するものと考えております。 また、当社グループでは、このキーレス社会の実現に向けた決意表明として、以下のヴィジョン・ステートメントを策定し、事業に取り組んでおります。 「世界から、鍵をなくそう」 遡ること、紀元前2000年。安心安全のために生まれた鍵は、時代とともに強固に、複雑に、そして増加した。しかし、それは壁をつくり、世界を分断することにもつながった。 事実、私たちは、行き来する場所やコミュニティの数だけ、常に大量の鍵やカードを持ち歩き、施錠と解錠を繰り返す。 あらゆる物事がシェアされ、世界が広くつながっていく時代だからこそ、もっと簡単に、もっとスマートに、それでいて安全につながりたい。世界を面白くするカギは、鍵をなくすことだ。そのために、Akerunは存在する。テクノロジーを駆使し、個人を見分け、自動で開閉する。物理的な鍵をなくすことで、考える手間をなくし、ストレスのない移動を可能にする。 これまでの常識から解き放たれたとき、人はもっと自由に行動し、世界はつながれるようになる。 21世紀、人類はキーレスソサエティへ。 (1)Akerun事業の概要 当社グループの中核事業であるAkerun®事業は、キーレス社会の実現に向けて、クラウドとインターネットでつながるスマートロック等のエッジ端末(注1)による個人認証とセキュリティ、そしてクラウド上のアクセス認証基盤を通じた個人認証を主軸とした関連サービスを法人向け、住宅向けに展開しております。 Akerun事業の特徴は主に以下の3点であります。① サブスクリプションモデルによるHESaaSとして提供 Akerun事業の特徴の1つ目は、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせたサブスクリプションモデルであるHESaaS(注2)としての提供形態であります。 Akerun事業で展開される各サービスは、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせ、月単位/年単位などで課金されるサブスクリプションモデルによるレンタルサービスとして提供しております。 サブスクリプションモデルによるユーザーの導入障壁の低減や後述のAkerun事業における強みなどを背景に、ARR(Annual Recurring Revenue:毎年繰り返し得られる年次経常収益)は順調に拡大しております。さらに、このARRを支えるサブスクリプション収益の比率も事業収益全体の約90%を実現しております。 また、運用の手軽さや利便性に加え、API(注3)による外部の勤怠管理システム等との連携を通じた“オフィスにおける基幹システム化”や大規模顧客へのさらなる拡販等の解約率低減に向けた取り組みにより、MRR(Monthly Recurring Revenue:毎月繰り返し得られる月次経常収益)ベースのChurn Rate(サービスに関する解約率)は平常時で1%台半ばの低い水準に抑えられております(注4)。 具体的には、継続的なChurn Rateの改善を図ることで、2020年12月期に1.79%だったChurn Rateが、2021年12月期には1.45%に改善しております。 当社グループは、事業収益に占めるサブスクリプション収益の高い比率や低い解約率などを実現する、継続的な収益を生み出すリカーリングビジネスにより、MRR及びARRの最大化を通じた持続可能な成長を実現しております。(注)1.エッジ端末とは、 エッジ(末端)の端末の意味であり、IoT等においてはインターネットに接続され、システム全体の末端に位置する端末のことであります。インターネットで接続されたシステム全体における末端の端末として、データの収集/処理や上位システムへのデータの送信等に加え、上位システムからの指令やデータ等を受信して稼働したり、利用者に伝達する等の機能を担うハードウェアであります。2. HESaaSとは、Hardware Enabled Software as a Serviceの略で、アプリケーションソフトウェアをインターネット経由で提供するクラウドサービスであるSaaSと、ハードウェアのサブスクリプションモデル(レンタルモデル)を組み合わせた提供モデルのことであります。3. APIとは、Application Programming Interfaceの略で、特定のソフトウェアの機能やデータなどを、外部の他のプログラムで利用するための手順やデータ形式などを定めた規約のことであります。4. 各期のChurn Rateは、当該期の期末月における12ヶ月移動平均であります。 ② 堅牢なアクセス認証基盤及びクラウドセキュリティシステム Akerun事業の特徴の2つ目は、クラウド上に構築するアクセス認証基盤「Akerun Access Intelligence®」(注1)の高度な技術性であります。この認証基盤では、一般的なユーザー情報に加えてユーザーが日常的に利用するICカードなどの固有の物理ID情報を保有し、インターネットを通じて認証に活用しております。 この認証基盤における認証プロセスは、特許を取得している独自の通信方式(注2)やSSL(注3)、AES256(注4)などのセキュアな通信技術でセッションごとに暗号化することで高度なセキュリティを担保しております。また、認証や処理のロジックをエッジ端末とクラウド上のサーバーに集約することで、個人情報などの機密情報のエクスポージャーを減少させ、セキュリティ上の堅牢性をさらに高めております。 この高度なセキュリティ環境を背景としたユーザー認証方式を確立したことで、信頼性と堅牢性に優れたユーザー認証と関連サービスの展開が可能になっております。 (注)1.ユーザーの基本情報(氏名や所属など)、デジタルID情報(電話番号や電子メールなど)、物理ID情報(所有するICカードや生体認証情報など)、認証権限情報(アクセスが許可されている扉、有効な日にち、曜日、時間帯など)などの情報を保有するクラウド上のデータベースであります。2.セキュリティを確保しながら簡便な方法で第三者に鍵を開けるための権限を一時的に付与することができる電子錠システムに関する特許(公開番号「特開2016-79644(P2016-79644A)」)3.SSLとは、Secure Sockets Layerの略で、インターネット上でのデータ通信を暗号化し、第三者によるデータの窃取や改ざんを防ぐ通信プロトコルのことであります。4.AES256とは、米国国立標準技術研究所(NIST)が政府の標準暗号方式として選定したAES(Advanced Encryption Standard)と呼ばれる暗号化方式のうち、256ビット長の暗号鍵を使用する方式であります。③ アクセス認証基盤を活用した認証プラットフォームとしての価値 Akerun事業の特徴の3つ目は、利用企業の規模や業種業態を問わない広範なユーザー基盤に裏付けられた認証プラットフォームがもたらす、社会インフラとしての価値であります。これまでのサービス展開を通じて、2021年12月末時点で4,200社以上の現契約社数を達成しており、この現契約社数は継続的に増加しております。実際に、Akerun事業を支える中核サービスである法人向けの「Akerun入退室管理システム®」は、「クラウド型入退室管理システムの導入社数/シェア」、「スマートロックの利用者数/シェア」、「法人向けスマートロックの導入社数/シェア」の3分野でそれぞれ国内No.1(注)を獲得するなど、クラウド型入退室管理システム及びスマートロックの市場をけん引する実績を有しております。 このように、Akerun事業はセキュリティ及び認証のプラットフォーム化による社会インフラとしての地位を確立しております。さらに、建築用錠前の提供で国内大手の美和ロック株式会社(以下、美和ロック)との合弁会社となる株式会社MIWA Akerun Technologies(以下、MIWA Akerun Technologies)を2021年1月に設立し、住宅領域にも進出するなど、オフィスや住宅等の利用場所を問わない広範な基盤を通じたビッグデータの取得・活用により、様々な周辺サービスへの展開も可能となっております。そして将来的には、プラットフォームに蓄積されたビッグデータを活用することで、人の動静に合わせた効率的なエネルギー利用による環境負荷の低減、社会や時勢の変化に合わせた働き方の実現、既存の空間を活用した効率的な社会インフラの構築、認証/移動/決済等のソリューションの提供等を通じて、オフィス領域から住宅領域、そして商業施設までのあらゆる場所やシーンで効率的かつ持続可能な社会の構築に貢献していけるものと考えております。 (注)日本マーケティングリサーチ機構調べ(2021年6-7月期_指定領域・日本国内における検証調査) (2)オフィス領域におけるAkerun事業① 市場機会Ⅰ.市場環境の変化 法改正を含む日本政府による働き方改革の推進により、企業では客観的な方法による従業員の労働時間の把握(注1)や、残業時間の上限規制(注2)、勤務間インターバル制度(注3)など、従業員の勤務時間を正確に記録、管理することが求められております。また、2015年の個人情報保護法の改正により、企業では安全管理措置に基づき、個人情報に対する物理セキュリティ及び情報セキュリティの対策を強化する必要があります(注4)。特に、この個人情報保護に向けた流れはより一層加速しており、2022年4月からの施行が予定されている個人情報保護法の改正では、個人情報の漏えい等が発生した際の事業者による報告が義務化(注5)されております。また、この改正に先立つ2020年12月には、個人情報保護委員会からの措置命令等に違反した場合、また個人情報データベース等の不正流用があった場合の法人における罰則(注6)が大幅に引き上げられるなど、企業ではこれまで以上の対策を求められるようになっております。 さらに現在では、企業での働き方改革の進展や直近の新型コロナウイルス感染症の影響の拡大により、勤務する場所も従来のオフィスだけでなく、自宅に加えてコワーキングスペースやシェアオフィスなどの分散型オフィスの活用が進展しております。さらに、オフィスや施設、店舗の運営における運営効率や業務効率のさらなる改善を目指して、受付業務や設備のデジタル化による業務効率化に加え、特にフィットネスジムやコワーキングスペース/シェアオフィスなどの会員制ビジネスを中心にエントランスのセキュリティ強化と受付業務の無人化/省人化へのニーズが顕著に高まっております。 そして、直近では新たな都市開発手法としてミクスドユース(注7)も注目を集めており、オフィス、商業施設、住宅などの様々な用途の空間をシームレスに行き来する空間利用が今後も普及していくと考えられます。 このような従業員の労働時間の適正な把握の必要性、個人情報保護のためのセキュリティ対策、働く場所の多様化と拡大、受付業務等のデジタル化と業務・運営効率の向上へのニーズの高まり、様々な用途の空間へのシームレスなアクセス、といった市場動向に対して、Akerun事業は入退室履歴の勤怠管理への活用、API連携なども活用した認証システムとしての様々なサービスへの拡張性の高さ、導入の容易さなどの特徴を生かし、今後も市場からの要請に応えていけるものと考えております。 (注)1.改正労働安全衛生法第66条の8の3(2019年4月1日施行)及び改正労働安全衛生規則第52条の7の3(2019年4月1日施行)2.労働基準法第36条及び第139~142条(2019年4月1日施行)3.改正労働時間等設定改善法第2条(2019年4月1日施行)4.改正個人情報保護法第2条及び第20条(2017年5月30日施行)5.改正個人情報保護法第22条の2(2022年4月1日施行予定)6.改正個人情報保護法第83条〜第87条(2020年12月12日施行)7.ミクスドユース(mixed-use)とは、1つの建物、街区、地区などの中で、様々な用途の空間を混在させる都市開発コンセプトのことであります。 Ⅱ.入退室管理システムの現状 従来の入退室管理システムは、オンプレミス環境(注1)へのサーバーや管理用PCなどのハードウェア機器の購入・設定に加え、システム設定やネットワーク工事のためのSIer(注2)及び電気工事業者が必要になっておりました。さらに、導入後も機器の改修や保守の費用などが必要となり、加えてIT技術に習熟した担当者でなければ取得データの利活用が難しいなど、費用面及び工数面での負荷やデータ活用の困難さが企業には大きな導入障壁となっておりました。 当社グループでは、このような導入時の障壁を低減し、より少ない負担で入退室管理システムを導入・活用できる「Akerun入退室管理システム」を提供しております。特別な工事やシステム構築が不要かつ後付けで手軽に導入可能、クラウド型システムによる専用IT機器の排除とデータ利活用の支援、サブスクリプションモデルによる保守・運用に要する費用負担の軽減などにより、導入障壁の低減と継続運用のしやすさを実現することで今後も広く需要を取り込み、継続的な売上拡大を実現できるものと考えております。 (注)1.オンプレミス環境とは、ITインフラの構築や稼働に必要なサーバーやネットワーク等の機器及びソフトウェア等を利用者である企業が管理する施設等に保有し、運用するシステムの利用環境のことであります。2. ITシステムの構築、コンサルティング、設計、開発、運用、ハードウェアの選定等を一括で請け負うITサービス事業者のことであります。 ② サービス構成 Akerun事業を支える中核サービスである法人向けの「Akerun入退室管理システム」は、鍵の物理的開閉やデータ通信などを担うハードウェア機器と、認証、鍵権限の管理、履歴の閲覧などを行う、スマートデバイス(注)向けアプリケーション及びWebアプリケーション等のソフトウェアで構成されております。 (注) 対応するスマートデバイスは、Apple社が提供するiOS及びGoogle社が提供するAndroidにて稼働するスマートフォン、タブレットなどの電子デバイスとなります。 Ⅰ.ハードウェアの特徴 「Akerun入退室管理システム」で提供されるハードウェアには、サムターン錠(注1)に対応する「Akerun Pro」と、電気錠(注2)や自動ドア、フラッパーゲート等の電気制御の扉に対応する「Akerunコントローラー」があります。 Akerun Proは、工事なしで既存の扉に後付け可能なスマートロックであります。扉の既存のサムターン錠に設置するだけで、取り付け工事不要、初期費用0円で導入できるため、従来の入退室管理システムと比較して導入にかかる工数や費用を大きく低減しております。 Akerunコントローラーは、既存の自動ドアや電磁錠などの電気錠に後付けで導入でき、簡易的な工事のみで導入し、運用できるハードウェアであります。電気制御で鍵の開閉を行う電気錠に対応することで、「Akerun入退室管理システム」の適用範囲をさらに拡大し、さらに多くのオフィスや施設のニーズに対応することが可能になっております。 また、Akerun Pro及びAkerunコントローラーに共通のハードウェアとして、ICカードリーダーも付帯しております。ICカードリーダーを活用することで、ユーザーが日常的に使用している交通系ICカードや社員証、ビル入館カードなどFeliCa及びMifareの各規格に対応するICカードによる認証を通じた施錠・解錠が可能となっております。 なお、「Akerun入退室管理システム」を構成する各ハードウェアは、当社グループで開発、設計し、製造は外部に委託しております。 (注)1.サムターン錠とは、扉の室内側についている錠の開閉を行うためのツマミ式の金具で開閉を行う錠前のことであります。2.電気錠とは、電気的に鍵を施解錠する機構を組み込んだ錠前のことであります。 Ⅱ.ソフトウェアの特徴 「Akerun入退室管理システム」は、ソフトウェアにより以下の機能を提供しております。 A.Web管理ツールやソフトウェアによる鍵権限の柔軟な設定 Web管理ツール及びそれを支えるソフトウェア技術を通じて、ユーザーが入退室できる日時などを柔軟に設定することが可能となっております。これにより、ユーザーごとの要件に応じた入退室権限など、ニーズに合わせた柔軟な鍵権限の運用が可能になっております。また、Web管理ツールやソフトウェアは、クラウド型サービスの特徴を生かし、労務関連の法制度の改正やオフィスに求められる要件の変化など、社会状況の変化や市場トレンドに合わせて継続的にアップデートすることが可能となっております。 B.システムから取得するデータの利活用 IoTを活用したクラウド型入退室管理システムの特徴を生かし、ユーザーの利用履歴を永続的に保持し、Web管理ツールなどでいつでも確認できる機能を備えております。さらに、この履歴のビッグデータとしての活用により、セキュリティの機能だけでなく、ユーザーの動静を把握・確認するための空間管理やサービス利用のエビデンスとしての活用など、さらなる価値提供が可能になっております。 C.APIによる外部システムとの柔軟な連携 サービスとしての拡張性を高めるために、外部システムとの連携が可能なAPIを公開しております。これにより、外部システムからの入退室履歴などの各種情報の取得や遠隔での解錠・施錠の操作、日時を指定した鍵権限の発行などが可能になります。また、ユーザーのシステムやサービスと「Akerun入退室管理システム」と連携させたり、又は当社グループ及び外部のパートナー企業でAPI連携させた勤怠管理、生体認証などの認証システム、会員管理システム、決済システム、IoT監視カメラ(注)などとの共同ソリューションを活用することも可能となっております。 (注)IoT監視カメラとの連携機能は現在開発中となります。 ③ サービスの強み 当社グループは、市場における優位性として、要件の厳しい法人向け事業で培った広範な実績、高水準の利用体験を可能にするハードウェアの開発及び無線通信やセキュリティにおけるソフトウェアの開発に強みを有しております。 Akerun事業における強みの詳細は、以下の通りであります。 Ⅰ.法人向け事業における強固な実績とそれに支えられたアクセス認証基盤 前述の通り、当社グループはこれまでの事業活動により、法人における広範な導入実績を通じて現契約社数4,200社以上を抱えるアクセス認証基盤「Akerun Access Intelligence」を保持しております。この広範な認証基盤を活用することで、ユーザー認証に加えて勤怠管理や会員管理などの法人向けに提供される様々なクラウド型サービスや認証シーンにも活用でき、また、認証基盤から取得するビッグデータを活用したデータドリブンなビジネス展開も可能となっております。今後も、オフィスに導入されたAkerunのエッジ端末を起点として、入退室管理、労務管理といった従来から提供する機能に加え、API連携などを通じた外部の様々なサービスとの連携も積極的に推進しております。そして、扉を起点としたあらゆる空間における付加価値の向上に取り組むことで、社会インフラとしての認証基盤の利用拡大に取り組んでまいります。 Ⅱ.要件の厳しい法人利用にも応える高水準のハードウェア性能 Akerun事業で展開する各種ハードウェアは、日常的に多人数に触れるハードウェアとしての特性上、ユーザーの利用体験の向上をもたらすハードウェア品質が非常に重要であると考えております。当社グループでは、このハードウェア品質の強化に常に注力しており、実際にAkerun Proにおいては100万回の開閉試験を実施するなど、多人数利用に応える耐久性を確保しております。さらに、サムターン錠の高速な解錠を支える高トルクモーター、1日あたり100回の開閉で電池が6ヶ月以上持続する省電力性能を追求した専用設計回路、耐久性強化のための高機能ベアリングや特許取得済みの専用設計機構など、ユーザーの利用体験を最大限に高めるためのハードウェア技術により、市場でも高水準のハードウェア品質を実現し、ユーザーの利用体験を向上しております。 Ⅲ.信頼性と堅牢性に優れた無線通信技術及びセキュリティ技術 ハードウェア品質と同様に、日々利用されるシステムとしての安定的な稼働が重要であると考えております。当社グループは、認証に使用するBLE(注)通信の制御技術、特に施錠・解錠に用いるスマートデバイスを含む複数のハードウェア機器間での安定的な通信制御技術に強みを持っております。現在では、オフィス環境はもちろんのこと、様々な場所で多くの無線通信が行われており、それぞれの無線通信の混線や干渉などが発生し、無線通信を利用するサービスの安定的な稼働の障害となっております。当社グループでは、法人向けセキュリティという重要なサービスを担う企業として、無線通信における堅牢性と同時に安定性を実現する高度な無線制御技術を備えております。この強みを生かすことで、オフィスや施設における高速かつ安定したユーザー認証が可能になり、日々の利用体験の向上を実現しております。さらに、これまでの広範な導入実績で培われたユーザー基盤を背景に、継続的なソフトウェアの改善を通じて、さらなる利用体験と信頼性の向上を図っております。 加えて、前述の通り、クラウドや各ハードウェア機器間の通信には、特許取得済みの通信技術や高度な暗号化通信技術を採用することで、市場でも高水準の信頼性と堅牢性に優れたユーザー認証プロセス及び認証基盤を実現しております。 (注)BLEとは、Bluetooth Low Energyの略で、低電力通信を可能にする近距離無線通信技術Bluetoothの拡張仕様の1つであります。 ④ 今後の成長拡大のための取り組みⅠ.企業規模を問わない新規ユーザーの獲得 オフィス領域におけるさらなる成長拡大に向けて、主要導入企業である全国で約190万社(注)ある従業員10名以上の中小企業及び事業所への販売促進施策を継続的に強化し、新規ユーザーのさらなる獲得を目指しております。中小企業への提供拡大にあたっては、大阪、福岡及び名古屋の地方拠点の活用に加え、販売パートナーとの関係性強化を通じて潜在ユーザーへの提案機会の増加を図る専任チームの強化・拡充と営業活動の強化も継続的に実施しております。 さらに、直近では大規模企業からの問い合わせや導入も増加しております。今後も、これまでの実績を生かして継続的に大規模企業専任の営業チームの強化や拡大を進めることで、大規模企業ユーザーの新規獲得にも注力する計画であります。 (注)経済産業省「平成28年経済センサス‐活動調査」より算出。10名以上の小売・飲食を除く事業所向け(約170万事務所)に加え、医療・教育・スポーツ施設等での商用利用向け(約17万事務所) Ⅱ.既存ユーザーへの追加導入の提案(アップセル施策) 当社グループでは、既存顧客へのさらなる売上拡大にあたって、継続的なユーザーとの関係性強化やヒアリングに加え、市場動向の調査・分析を通じて変化するオフィス環境や施設の運営環境などの市場ニーズに合わせた空間利用の提案を推進することで、1事業所あたりの追加導入台数の増加を目指しております。 さらに大規模企業での導入の場合、Akerunを導入可能な扉が複数あるケースがほとんどであるため、複数台の契約を獲得しやすい環境であることから、契約の新規獲得を契機に関係性の強化や継続的なヒアリング、提案力の強化などを通じて複数台の契約を追求してまいります。 これらのアップセル施策を促進することで、ユーザーからもたらされるLTV(注1)及びARPU(注2)の最大化を目指し、事業成長を加速する考えであります。 (注)1.LTVとは、Life Time Valueの略で、顧客との取引の開始から終了までの期間にもたらされる総利益(顧客生涯価値)のことであります。2.ARPUとは、Average Revenue Per Userの略で、ユーザーや利用企業における1人/1社あたりの売上金額を表す指標であります。 Ⅲ.複数用途での導入の促進(クロスセル施策) 現在、Akerun事業では適用領域の多様化に積極的に取り組んでおり、オフィスビルを中心としたビルの入退館管理のための「Akerun来訪管理システム」(現在ベータ版)の開発・提供に取り組んでおります。これにより、従来のオフィスや施設の扉から、ビルの入退館ゲートへと適用範囲を拡大し、ビルの入口からテナントエリアとなるオフィスまでをAkerunを共通の認証・セキュリティの基盤として活用することで、利便性のさらなる向上に資するものと考えております。「Akerun来訪管理システム」においては、三井不動産株式会社やJR東日本スタートアップ株式会社とともに、大規模ビルでの実証実験も実施しております。今後も、不動産ディベロッパーやビルオーナーなどへの提案を強化することで、さらなる提供価値と事業の拡大を目指してまいります。 当社グループでは、このような新規事業の創出に加え、オフィスや施設の運営効率化やDXを可能にする新規機能等の開発・提供を通じて、さらなる収益の拡大を目指してまいります。 (3)住宅領域におけるAkerun事業① 市場機会 現在、日々の生活の様々な場面でデジタル化が大きく進展し、家事代行サービスや宅配サービス、空間等の不動産や自動車等の動産を有効活用するシェアリングエコノミー(注1)の台頭に代表される消費者の行動態様は大きく変化しております(注2)。さらに現在では、社会環境や消費者の行動態様の変化に伴い、非対面によるサービス利用や荷物の受け取り、人や物品のトレーサビリティなどへのニーズの高まりを受け、デジタルを活用する取り組みも拡大しております。そして、このデジタル化の流れは、消費者だけでなく、住宅関連のサービス事業者や不動産事業者にも拡大しており、物件の内覧や管理をデジタル化によって効率化する取り組みなど、不動産テックと呼ばれる市場も拡大しております(注3)。また、前述の通り、ミクスドユースといった都市開発コンセプトによる住宅を含む様々な空間へのシームレスなアクセスへの需要も高まると考えております。 加えて、これらの直近の市場動向だけでなく、日本では少子高齢化に伴う高齢者の一人暮らし世帯の増加(注4)とそのような世帯への生活支援、健康管理、安全管理などのケアの提供が課題となっております。この課題の解決に向けては、高齢者のための見守りサービスの普及や利用拡大が期待される中で、人員による定期的な対面に加えて、センサーや通信、ロボットなどのIT技術を活用して人員による見守りを支援する取り組みも今後さらに加速するものと考えております。 一方で、これらのサービス利用の課題として、宅配便の増加に伴う宅配クライシスと呼ばれる宅配事業者の業務負荷の高まり、在宅の必要性、利用時の鍵受け渡しの手間、集合住宅エントランスの入退館時のセキュリティ、ユーザーの心理的不安などがサービスの利用拡大の障壁となっております。 当社グループの住宅領域におけるAkerun事業では、建築用錠前の提供で国内大手の美和ロックとの合弁会社となるMIWA Akerun Technologiesを2021年1月に設立しております。この合弁会社を通じて、当社は住宅向けサービスの基盤となるクラウド上の認証基盤やスマートデバイス向けアプリケーションの開発、美和ロックはAkerunと連携する住宅向けスマートロックの開発と提供、そして合弁会社が住宅向けサービスの開発と提供をそれぞれ担い、扉を起点とした住宅向けのサービスを提供することで、これらの課題を解決できるものと考えております。住宅領域のAkerun事業では、当社グループがこれまでに培ったオフィス領域におけるサービス開発、クラウド基盤及びスマートデバイス向けアプリケーションの開発や提供における実績・知見などを活用しております。これにより、住宅のセキュリティを高めながらシェアリングエコノミーの拡大や社会課題の解決に向けた取り組みなどに伴い普及する住宅向けサービスをユーザーが簡便に利用できるプラットフォームを展開し、新領域でのさらなる事業成長を目指しております。 この住宅領域におけるAkerun事業を通じて、人々が持ち歩いていた住宅の鍵を、当社グループの合弁会社が提供する住宅向けアプリケーションやICカードなどへと置き換えることで、当社グループの目指すキーレス社会の実現に向けた取り組みを加速するとともに、関連事業者やユーザーのさらなる利便性向上に資するものと考えております。 (注)1.遊休となっている空間や人材などの資産のさらなる有効活用により、社会課題の解決や生産性の向上などを目指す経済態様のことであります。2.株式会社矢野経済研究所「2020 シェアリングエコノミー市場の実態と展望」(2020年9月30日発刊)https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/25453.株式会社矢野経済研究所「2021年版 不動産テック市場の実態と展望」(2021年7月28日発刊)https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/27704.内閣府「令和2年版高齢社会白書」(2020年7月31日公表)② 提供サービス/製品 住宅領域におけるAkerun事業では、美和ロックとの合弁会社であるMIWA Akerun Technologiesを通じて、住宅向けのサービスや製品の開発・提供を推進しております。2021年9月には、住宅向けスマートロックを活用した最初の製品となるスマートライフシステム「Akerun.M(アケルン・ドット・エム)」の提供を開始しております。この製品により、集合住宅などに標準設備として導入されている美和ロック社製スマートロックをAkerunアプリで開けることができるようになり、追加の機器などを導入する必要なく、Akerunアプリからの施解錠に加え、操作履歴の確認、インターネットを通じたデジタルな合鍵の共有等が可能になり、ユーザーの利便性が向上します。 このスマートライフシステム「Akerun.M」を活用することで、物理鍵の利用からの脱却、日時限定の鍵権限による賃貸物件のスマート内見や修繕業者の入室、時間や場所を選ばない家族や友人等とのAkerunアプリを通じた鍵権限の共有等を通じて、新時代のライフスタイルを実現できます。 さらに今後は、住宅における鍵の施解錠だけでなく、認証、住宅向けの各種サービスの利用、決済等の様々な住宅向けサービスを利用するためのプラットフォームとしての機能の提供に向けて積極的に取り組み、社会環境やライフスタイルの変化に合わせた、宅配サービスやイエナカサービス(家事代行、ペットシッター、介護等)と連携し、安全・安心で快適な暮らしを支えるための取り組みを推進してまいります。 ③ サービス提供のスキーム 住宅領域では、サービスや製品の提供にあたり、当社が51%、美和ロックが49%を出資する合弁会社であるMIWA Akerun Technologiesを通じて、当社は住宅向けサービスの基盤となるクラウド上の認証基盤やスマートデバイス向けアプリケーションの開発、美和ロックはAkerunと連携する住宅向けスマートロックの開発と提供、そして合弁会社が住宅向けサービスの開発と提供をそれぞれ担っております。 当社のクラウド上の認証基盤及びスマートデバイス向けアプリケーションといったソフトウェア技術における信頼性と実績、美和ロックの住宅向けスマートロック製品に関するハードウェア技術の堅牢性と実績、そして合弁会社によるスマートロックを起点とした住宅向けサービスの開発と提供という各社のそれぞれの強みを組み合わせることで、ユーザーの安全・安心の実現とともに包括的なサービスを提供し、これまで以上に利便性の高い生活の実現に貢献できるものと考えております。また、販売・普及にあたっては建築用錠前の提供で国内大手の美和ロックの有する全国規模の販売網やネットワークを活用することで、住宅領域における主要プレイヤーへの積極的な提案を推進し、全国規模でのサービスの提供を図ってまいります。 ④ サービスの強み 住宅領域におけるAkerun事業では、美和ロックとの合弁会社を通じて両社の強みを生かした事業を展開してまいります。具体的には、建築用錠前で国内大手である美和ロックがこれまでに培ってきた広範な営業チャネルを最大限活用してまいります。これにより、幅広い住宅への導入を目指してまいります。 また、現契約社数4,200社超える顧客基盤を通じて培った実績あるクラウド上のアクセス認証基盤「Akerun Access Intelligence」も強みとなります。要件の厳しい企業ユーザーを支えるこのクラウド基盤及び認証基盤の信頼性や堅牢性を活用することで、住宅向けにも強固なセキュリティを提供いたします。さらに、住宅領域におけるスマートデバイス向け専用アプリケーションについても、企業向けに提供するアプリケーションをベースにすることで、信頼性や堅牢性の担保と同時に、使いやすさの向上も実現できると考えております。 これらの強みを背景に、スマートライフシステム「Akerun.M」は、大和ハウスグループの株式会社コスモスイニシアが2021年11月に開業したシェアレジデンス「nears(ニアーズ)川崎」にすでに採用されるなど、市場における実績を順調に拡大しております。今後も、当社グループの強みを生かし、集合住宅だけにとどまらない、あらゆる住宅における安全・安心と快適な暮らしを支える製品やサービスの提供を拡大してまいります。 ⑤ 今後の成長拡大のための取り組み 現在、住宅向けの各種サービスの興隆や消費者の行動態様の変化等の影響もあり、シェアリングエコノミーの普及を背景とした家事代行や宅配などのシェアリングサービスの利用や提供事業者が拡大しております。 この市場トレンドやニーズに応えるべく、美和ロックが有する営業チャネルを活用して住宅向けスマートロック及びサービス利用のためのプラットフォームを展開することで、新たに施工される集合住宅や戸建住宅に加え既存の住宅への広範囲における提案を強化してまいります。また、合弁会社が提供する住宅向けアプリケーションから利用できる住宅向けサービスに関して、家事代行や宅配、見守りなどの様々なサービス提供事業者と提携することで、より多くの選択肢をユーザーに提供する計画であります。これらの取り組みを推進することで、鍵を起点とした魅力あるサービスプラットフォームを提案し、ユーザー基盤の拡大とともに事業成長を目指しております。[事業系統図] (注) 顧客紹介を受けて、当社が顧客との契約及びサービスの提供を行います。