研究開発活動(本文)
FY2025|4,695 文字
6 【研究開発活動】 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、25,931百万円であります。 なお、当連結会計年度において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。 セグメント別の活動状況は以下の通りです。(1) メディカル・ヘルスケア事業 当事業に係る研究開発費は2,654百万円であります。 [ヘルスケアSBU]ヘルスケアSBUは、ヘルスケア分野において特徴ある素材や技術の開発を進めております。 コスメ事業領域では、サステナブルな素材を化粧品市場へ提供するため、天然原料を使用した酢酸セルロースの真球状微粒子「BELLOCEAⓇ」を開発、販売しております。2024年度、ECHA(欧州化学物質庁)の提案するマイクロプラスチック規制に対応可能な高い生分解性と感触を両立する微粒子「BELLOCEAⓇ BS7」を上市いたしました。また、独自の製造技術を用いた高純度なクレンジング製剤向け界面活性剤(2品番)「P-PGLE MO04/MO06」(オレイン酸ポリグリセリル)を上市いたしました。 健康食品事業領域では、腸内細菌によって体内で生成される成分(腸内細菌代謝物)に着目した研究開発を行っております。2024年度は、ホップに含まれるポリフェノールの代謝物(8-プレニルナリンゲニン)含有素材を「アストロホップⓇ」という商品名で上市いたしました。 [ライフサイエンスSBU]ファーマテックBUは、キラル事業がターゲットとする低分子合成医薬に加え、成長市場の中・高分子/バイオ医薬市場においてソリューションを提供いたします。光学分割用カラム事業は、新規製品の継続的開発・上市とテクニカルサービスの充実により世界トップシェアを維持しております。2024年度は、新規耐溶剤型キラルカラム製品第12弾CHIRALPAKⓇ IN-3を上市いたしました。また、既存汎用カラムと差別化した当社独自の当社独自の一般分析用(アキラル)カラムについて、これらを用いたペプチド、核酸医薬などの中分子医薬、糖などの食品分野のアプリケーション開発、及び新規製品開発を進めております。バイオ事業では、再生医療分野におけるエクソソーム単離・精製装置の開発を行っております。社外協業先との検証結果を反映した試作機を製作し、上市へ向けた準備を進めております。 メディカル事業開発部は、「One Time EnergyⓇ」というエネルギー制御を基盤とした新規投与デバイス開発では、日米欧において医薬品の臨床試験への移行を目指すプロジェクト、および、複数の国内外の新薬大手メーカーや、ベンチャー企業との弊社デバイスを用いた評価実験、共同実験が進んでおります。また、並行して既存薬剤の投与に付加価値をつけた新しい治療用途の開拓も国内外の研究機関と進めております。 (2) スマート事業 当事業に係る研究開発費は5,016百万円であります。スマートSBUは、快適なスマート社会に必要な技術・製品で、ソリューションを提供いたします。半導体、液晶パネル、エレクトロニクス、モビリティ向け材料市場及び、車載/モバイル端末を中心とした光学フィルム市場をターゲットにした研究開発を進めております。 ファンクショナルプロダクツBUでは、脂環式エポキシ樹脂、ポリカプロラクトン、ウエハーレベルレンズにおいて、市場が拡大する有望アプリを選定し、シェア向上の活動を継続しております。 アドバンストテクノロジーBUでは、車載ディスプレイ向け表面フィルムの新規上市、EUV向けフォトレジスト材料のユーザー展開及び後工程向けの樹脂の検討、溶剤の電子材料製造プロセスへのソリューション提案に関する技術開発を進めております。 (3) セイフティ事業 当事業に係る研究開発費は7,201百万円であります。 セイフティSBUは、一度だけ瞬時に、安全に、確実に、エネルギーを生み出す自社技術ならびにその技術を活用した製品群「One Time EnergyⓇ DAISIⓇ」と自動車安全領域で培ったノウハウを土台に、新たな安全安心を社会に提供いたします。自動車エアバッグ用インフレータ、それに使用するガス発生剤、イニシエータだけでなく、EV化に対応した車載用の電流遮断装置の量産開始(2025年8月)に向けて研究開発を継続しております。また、eVTOLや定置型蓄電池向けなどの自動車用途以外へのサンプルワークも実施しております。 (4) マテリアル事業 当事業に係る研究開発費は3,460百万円であります。マテリアルSBUは、ダイセルの原点である素材事業で培った技術で地球規模のニーズに多様なソリューションを提供いたします。アセチルBUでは、アセテート・トウなど、セルロース誘導体の品質、生産性の向上に取り組んでおります。また、海洋生分解性を有した酢酸セルロース樹脂CAFBLOⓇ(キャフブロ、Cellulose Acetate for Blue Ocean)を開発し、汎用プラスチック代替を目指した各用途に応じたグレード開発を進めております。 (5) エンジニアリングプラスチック事業 当事業に係る研究開発費は7,308百万円であります。 [ポリプラスチックス㈱]世界に認められるエンジニアリングプラスチックNo.1のソリューションプロバイダーに向け、次世代自動車システム、Post 5G/6Gの最先端通信など、将来的なエンジニアリングプラスチックの成長が期待される市場をターゲットに、当社の価値提供型ビジネスの更なる高度化を推進いたします。また医療分野、ファインパウダー、3Dプリンター用途での市場開拓、長繊維強化材料、PEK等新事業での市場展開など新たな機能を提案すべく、ダイセルグループ内技術とのシナジー創出による新技術開発を行います。急速に高まるカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーに関するニーズに応えるべく、バイオ原料の活用やエンプラリサイクルチェーンの実現、低エネルギープロセスの創出など、環境負荷低減技術開発に注力いたします。グローバル市場展開の促進に向け、5拠点の海外テクニカルソリューションセンターとのネットワーク体制を強化し、引き続き中国市場を中心に新規市場開発案件の創出、ならびにコンセプト提案を進めます。 (PBT) ・GHB336:PBT/リサイクルPETアロイグレード (LCP) ・LH135:コネクタ向け高流動GF強化グレード ・LH463M:コネクタ向け高流動低そりグレード (LFT) ・RA627P:環境配慮型長繊維セルロース強化PPグレード [ダイセルミライズ㈱]社会や顧客の課題を解決する製品開発を進めております。顧客ニーズに即したリチウムイオン電池向けカルボキシメチルセルロース製品の開発、改良、モノマテリアルを訴求できる食品包装用新規バリアフィルムの開発、金属/異種材料接合技術「DLAMPⓇ」の用途開拓を進めております。 (6) その他事業 当事業に係る研究開発費は289百万円であります。 [ダイセン・メンブレン・システムズ㈱]分離膜および膜装置システムの開発などを行っております。水処理および医薬分野における新規分離膜の開発に注力しており、特に排水再利用、有価物回収、食品濃縮に適した新規チューブラー膜の開発を進めております。 (7) コーポレート 当社では、新規事業創出のための研究開発や基盤研究をコーポレート部門が行っております。なお、コーポレート部門に係る研究開発費は、全報告セグメントに配賦しております。 [事業創出センター]お客様に密着したカスタマーインの取り組みを通じて顕在化したニーズに対し、ダイセルグループが保有するコア技術や製品を応用することで、新事業の創出に繋げる企画立案および研究開発に取り組んでおります。爆轟技術で得られるナノダイヤモンドはCO2をCOに還元し再資源化を可能とするカーボンネガティブの実現に寄与する物質で、大学や外部研究機関と共同研究体制を構築し、社会実装に向けて歩みを進めています。また新規セルロース誘導体の開発では、グループ内から選抜した技術者で構成されるタスクフォースチームを設置し、これまでにない機能を有する素材の早期開発を目指します 。 [リサーチセンター]大学や公的研究機関との産学連携を積極的に進め、有識者との共同研究等により、中長期で求める新しい技術、機能、素材の基礎研究を進めております。ワンタイムエナジー利用に関する研究では、共同研究講座を開設していた熊本大学と2023年5月に包括連携協定を締結して、研究対象を「安全・安心」分野に加えて、「健康」、「便利・快適」、「環境」の分野へも拡充し、社内他部門も参画して共同研究に取り組んでおります。モノづくりにおける五感点検の強化に関する研究では、民間企業と共同で、遠隔制御システムと五感認識機能の機械化・判断技術を用いて、製造設備の日常点検・メンテナンス作業の在宅化に向けた検討を継続し、ステージアップのため2024年6月度にモノづくり革新センターに移管して、実装を進めています。 [バイオマスイノベーションセンター]2050年のカーボンニュートラル達成にむけ、地球環境に優しいプロセスで、日本の豊富な森林資源、農業廃棄物などの余剰バイオマスから高機能・高付加価値な製品を創出する技術群の確立と、その技術を基に地域での地産地消のモノづくりによる地域創成、一次産業の活性化の実現に向けた具体的な連携を継続検討しております。 [無機複合実装研究所]スマート社会実現に貢献する新たな素材開発を目的に、今後大きな成長が見込まれる次世代パワーデバイスや次世代通信規格6Gに求められる素材として無機有機複合材料に着目し、探索・基礎研究から顧客ニーズに基づく応用研究・開発まで幅広く取り組みました。 [評価解析センター]評価解析技術では、微量有機成分の絶対構造解析技術として「結晶スポンジ法」の獲得、ミクロ・ナノ構造解析技術の強化(電子顕微鏡、X線CT、放射光施設の利活用)を進めております。 [生産本部生産技術センター]当社グループ横断的な体制で新事業の工業化、既存製品の品質改善、プロセス改善、増産検討、プロセス革新による新規プロセス・技術構築の推進を加速し、地球環境と共生する循環型プロセス構築を図っております。特に酢酸セルロースおよび有機主力製品のプロセス革新による大幅なコストダウンおよび省エネルギー化のための技術の開発を進めております。さらに、カーボンニュートラルへの寄与を目指し、マイクロ流体デバイス技術、新規分離膜の開発を大学・外部研究機関と共同で取り組んでおります。 [デジタル戦略推進センター]企画から事業化まで一貫した技術開発を実現し、マーケティング業務、エンジニアリング業務でのデジタルトランスフォーメーションを強化する取り組みを行っております。具体的には、IPランドスケープ活用のためのツール開発、プロセスシミュレーション、流体解析、計算科学、マテリアルズ・インフォマティクス等AI技術の充足を進めております。 <商標帰属先の表示>BELLOCEAⓇ、ウロリッチⓇ、アストロホップⓇ、CHIRALPAKⓇ、One Time EnergyⓇ、DAISIⓇ、CAFBLOⓇ、DLAMPⓇは、株式会社ダイセルの日本およびその他の国における商標または登録商標です。
FY2024|4,874 文字
6 【研究開発活動】 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、23,393百万円であります。 なお、当連結会計年度において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。 セグメント別の活動状況は以下の通りです。(1) メディカル・ヘルスケア事業 当事業に係る研究開発費は2,394百万円であります。 [ヘルスケアSBU]ヘルスケアSBUは、ヘルスケア分野において特徴ある素材や技術の開発を進めております。コスメ事業領域では、サステナブルな素材を化粧品市場へ提供するため、天然原料を使用した酢酸セルロースの真球状微粒子「BELLOCEA®」を開発、販売しております。また、ECHA(欧州化学物質庁)の提案するマイクロプラスチック規制に対応可能な高い生分解性と感触を両立する微粒子の開発に力を入れております。健康食品事業領域では、腸内細菌によって体内で生成される成分(腸内細菌代謝物)に着目した研究開発を行っております。2021年度ザクロに含まれるポリフェノールの代謝物としてウロリチンA含有素材「ウロリッチ®」を上市したのに続き、ホップ由来ポリフェノールの代謝物や、その他腸内代謝物の開発を進めております。ウロリチンAは、当社が世界で初めて発酵法による商業的な生産に成功し、その研究開発成果が令和5年度日本栄養・食糧学会技術賞を受賞いたしました。 [ライフサイエンスSBU]ファーマテックBUは、キラル事業がターゲットとする低分子合成医薬に加え、成長市場の中・高分子/バイオ医薬市場においてソリューションを提供いたします。光学分割用カラム事業は、新規製品の継続的開発・上市とテクニカルサービスの充実により世界トップシェアを維持しております。新規耐溶剤型キラルカラム第12弾のCHIRALPAK® IN製品を上市いたしました。また、既存汎用カラムと差別化した当社独自のアキラルカラムについて、新規アキラルカラム第4弾のDCpak® PMPC製品を上市いたしました。継続してこれらを用いたペプチド、核酸医薬などの中分子医薬のアプリケーション開発を実施しております。バイオ事業では再生医療分野におけるエクソソーム精製濃縮装置の開発を行っております。社外協業先との検証結果を反映した装置の詳細設計を完了し、試作機1台の作成準備を進めております。メディカル事業開発部は、「One Time Energy®」というエネルギー制御を基盤とした新規投与デバイス開発では、日米欧において医薬品の臨床試験への移行を目指すプロジェクト、および、複数の国内外の新薬大手メーカーや、ベンチャー企業との当社デバイスを用いた評価実験、共同実験が進んでおります。また、並行して既存薬剤の投与に付加価値をつけた新しい治療用途の開拓も国内外の研究機関と進めております。 (2) スマート事業 当事業に係る研究開発費は4,049百万円であります。 スマートSBUは、快適なスマート社会に必要な技術・製品で、ソリューションを提供いたします。ディスプレイ・オプト分野(偏光板保護フィルム(TAC)の品質改善、視認性・使用感改善の機能性フィルム、ウエハーレベルレンズ)、IC/半導体分野(半導体ならびにフラットパネルディスプレイ製造用フォトレジスト材料、超高純度溶剤、エレクトロニクス用機能性溶剤、半導体向けプロセス材料)をターゲットにした研究開発を進めております。2023年度は、①電子ブック、PC向け表面フィルムの新規上市、②ウエハーレベルレンズの用途拡大検討、③EUV向けフォトレジスト材料のユーザー展開、④高純度溶剤の電子材料製造プロセスへのソリューション提案、⑤NEDO「ポスト 5G 情報通信システム基盤強化研究開発事業」にて半導体実装に関する技術開発を進めました。 (3) セイフティ事業 当事業に係る研究開発費は6,023百万円であります。 セイフティSBUは、一度だけ瞬時に、安全に、確実に、エネルギーを生み出す自社技術ならびにその技術を活用した製品群「One Time Energy® DAISI®」と自動車安全領域で培ったノウハウを土台に、新たな安全安心を社会に提供いたします。自動車エアバッグ用インフレータ、それに使用するガス発生剤、イニシエータだけでなく、EV化に対応した車載用の電流遮断器などの研究開発を継続しております。また、再生可能エネルギーのインフラ設備などの自動車用途以外へのサンプルワークを開始いたしました。 (4) マテリアル事業 当事業に係る研究開発費は3,837百万円であります。 マテリアルSBUは、ダイセルの原点である素材事業で培った技術で地球規模のニーズに多様なソリューションを提供いたします。 アセチルBUでは、アセテート・トウなど、セルロース誘導体の品質、生産性の向上に取り組んでおります。また、長年培ったセルロース化学技術を応用し、海洋生分解性を向上させた酢酸セルロースCAFBLO®(キャフブロ、Cellulose Acetate for Blue Ocean)を開発いたしました。汎用プラスチック代替を目指した用途開発を実施しております。 ケミカルBUでは、脂環式エポキシ樹脂とポリカプロラクトンにおいて、市場が拡大する有望アプリを選定し、シェア向上の活動を継続しております。 (5) エンジニアリングプラスチック事業 当事業に係る研究開発費は6,825百万円であります。 [ポリプラスチックス㈱]世界に認められるエンジニアリングプラスチックNo.1のソリューションプロバイダーに向け、次世代自動車システム、ポスト 5G/6Gの最先端通信など、将来的なエンジニアリングプラスチックの成長が期待される市場をターゲットに、当社の価値提供型ビジネスの更なる高度化を推進いたします。また医療分野、ファインパウダー、3Dプリンター用途での市場開拓、長繊維強化材料、PEK等新事業での市場展開など新たな機能を提案すべく、ダイセルグループ内技術とのシナジー創出による新技術開発を行います。急速に高まるカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーに関するニーズに応えるべく、バイオ原料の活用やエンプラリサイクルチェーンの実現に向けた環境負荷低減技術開発に注力いたします。グローバル市場展開の促進に向け、5拠点の海外テクニカルソリューションセンターとのネットワーク体制を強化し、特に中国市場を中心に新規市場開発案件の創出、ならびにコンセプト提案を進めます。 [ダイセルミライズ㈱]コンシューマー事業、レジン事業の二つの事業分野にて、社会や顧客の課題を解決する製品開発を進めております。顧客ニーズに即したリチウムイオン電池向けのカルボキシメチルセルロース製品の開発、改良、モノマテリアルを訴求できる食品包装用新規バリアフィルムの開発、リサイクル原料使用など各種環境対応樹脂製品の開発、および海外ネットワーク活用による各種製品のグローバル展開を進めております。 (6) その他事業 当事業に係る研究開発費は263百万円であります。 [ダイセン・メンブレン・システムズ㈱]分離膜および膜装置システムの開発などを行っております。水処理および医薬分野における新規分離膜の開発に注力しており、特に排水再利用、有価物回収、食品濃縮に適した新規チューブラー膜の開発を進めております。 (7) コーポレート 当社では、新規事業創出のための研究開発や基盤研究をコーポレート部門が行っております。なお、コーポレート部門に係る研究開発費は、全報告セグメントに配賦しております。 [リサーチセンター]大学や公的研究機関との産学連携を積極的に進め、有識者との共同研究等により、中長期で求める新しい技術、機能、素材の基礎研究を進めております。ワンタイムエナジー利用に関する研究では、共同研究講座を開設していた熊本大学とさらに2023年5月に包括連携協定を締結して、研究対象を「安全・安心」分野に加えて、「健康」、「便利・快適」、「環境」の分野へも拡充して、社内他部門も参画して共同研究に取り組んでおります。モノづくりにおける五感点検の強化に関する研究では、民間企業と共同で、遠隔制御システムと五感認識機能の機械化・判断技術を用いて、製造設備の日常点検・メンテナンス作業の在宅化に向けた検討を継続しております。 [事業創出本部]コーポレート部門の事業企画と研究開発部門を一体化した事業創出センターと事業創出に必要な評価技術を構築する評価解析センターを設置し、お客様に密着するカスタマーインの取り組みを通じて、事業創出の加速に取り組んでおります。また大学・外部研究機関と共同研究体制を構築し、ナノダイヤモンドなどカーボンニュートラルに寄与する新規素材、新規加工技術、新規生産技術創出の検討を進めております。評価解析技術では、微量有機成分の絶対構造解析技術として「結晶スポンジ法」の獲得、ミクロ・ナノ構造解析技術の強化(電子顕微鏡、X線CT、放射光施設の利活用)を進めております。 [生産本部生産技術センター]当社グループ横断的な体制で新事業の工業化、既存製品の品質改善、プロセス改善、増産検討、プロセス革新による新規プロセス・技術構築の推進を加速し、地球環境と共生する循環型プロセス構築を図っております。特に酢酸セルロースおよび有機主力製品のプロセス革新による大幅なコストダウンおよび省エネルギー化のための技術の開発を進めております。さらに、カーボンニュートラルへの寄与を目指し、マイクロ流体デバイス技術、新規分離膜の開発を大学・外部研究機関と共同で取り組んでおります。また、シミュレーショングループでは、企画から事業化まで一貫した技術開発を実現し、マーケティング業務、エンジニアリング業務でのデジタルトランスフォーメーションを強化する取り組みを行っております。具体的には、IPランドスケープ活用のためのツール開発、プロセスシミュレーション、流体解析、計算科学、マテリアルズ・インフォマティクス等AI技術の充足を進めております。 [バイオマスイノベーションセンター]2050年のカーボンニュートラル達成にむけ、地球環境に優しいプロセスで、日本の豊富な森林資源、農業廃棄物などの余剰バイオマスから高機能・高付加価値な製品を創出する技術の確立と、その技術を基に地域での地産地消のモノづくりによる一次産業の活性化の実現に取り組んでおります。2023年度より超穏和溶解技術を基に地域活性化を図るバイオマスラボと新バイオマスプロダクトツリー構築をミッションとするテクニカルサービス&応用開発グループの体制を取り、バイオマス素材の溶解、分子設計技術開発戦略から以下の具体的な実績作りを加速いたしました。バイオマスラボ:木材の穏和な条件での溶解技術は、家具業界、内装材業界での塗装代替としてのバイオマスフィルムの採用と地域連携による余剰バイオマスの活用を目指しサンプルワークを進めました。テクニカルサービス&応用開発グループ:木材の穏和な条件でのセルロース抽出技術およびセルロース誘導体合成・加工技術の工業化検討、サンプル提供を開始し、顧客ニーズに基づいて応用研究・開発まで幅広く取り組みました。 [無機複合実装研究所]スマート社会実現に貢献する新たな素材開発を目的に、今後大きな成長が見込まれる次世代パワーデバイスや次世代通信規格6Gに求められる素材として無機有機複合材料に着目し、探索・基礎研究から顧客ニーズに基づく応用研究・開発まで幅広く取り組みました。 <商標帰属先の表示>BELLOCEA®、ウロリッチ®、CHIRALPAK®、DCpak®、One Time Energy®、DAISI®、CAFBLO®は、当社の日本およびその他の国における商標または登録商標です。
FY2023|9,835 文字
6 【研究開発活動】 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、21,878百万円であります。 なお、当連結会計年度において、当社グループの研究開発活動の状況で特筆すべき内容は、次のとおりでありま す。 ・2022年4月には中期戦略『Accelerate2025』で掲げる循環型社会構築のための「4つのシフト(注1)」実現に向けた「産産学学官官」の共創をさらに加速させるため、新たに「バイオマスイノベーションセンター」および「無機複合実装研究所」を設置いたしました。また、医療分野に関連する製品やサービス、研究開発やマーケティング機能を集約し、ニーズ探索の強化と事業シナジー拡大によりメディカル分野のSBU化を目指す「ライフサイエンス事業企画室」を設置いたしました。 (注1)4つのシフト:「新企業集団の形成」「バイオマスプロダクトツリーの実現」「カーボンオフセット、エネルギーオフセットの実現」「健康・安全安心・便利快適・環境といった4つのトリガーによる幸せの提供」 (バイオマスイノベーションセンター) 当社にとって新バイオマスプロダクトツリーの構築やバイオマスバリューチェーン構想の実現は、セルロース事業の更なる発展と、カーボンニュートラルなどの社会課題解決の双方に対して大きい推進力になります。これらの社会実装に向け、関連の取り組みを俯瞰的に管轄する実行組織としてバイオマスイノベーションセンターを新設し、産業・学術・官庁の垣根を越えた共創をより一層加速いたします。 (無機複合実装研究所) 当社は、今後大きな成長が見込まれる次世代パワーデバイスや次世代通信規格6Gに求められる素材として無機有機複合材料に着目し、リサーチセンターにおいて進めてまいりました基礎研究と並行して顧客ニーズに基づく応用研究・開発を進めてまいります。 (ライフサイエンス事業企画室) 当社は、キラルカラム、新規投与デバイス、製剤ソリューションなどダイセルグループが持つ医療関連事業を統合し、それらの事業戦略およびR&D戦略を立案・推進し、世界シェアNo.1を誇るキラルカラムの顧客基盤を活用したグループ内医療関連事業のシナジー追求や、ダイセルグループが持つ製品・技術の特長を生かせる遺伝子治療分野などでの研究開発を加速いたします。 ・2022年6月には、国立大学法人神戸大学と当社は、研究・技術の発展と、社会への貢献を目的とした「包括的な産学連携推進に関する協定」を締結いたしました。本協定は、共同研究・受託研究等の企画・実施、組織的連携による人財育成、神戸の立地を生かした産学連携の推進などを定めております。具体的な研究テーマとして、メディカル・ヘルスケア領域で「機能性食品素材の機能評価とメカニズム解明」による健康増進、グリーンケミストリー領域で「水素/メタンのガス分離膜の開発」によるGHG(温室効果ガス)削減への寄与を起点にこれらに続くテーマの検討も進め、イノベーション創出に繋がる研究領域を拡大してまいります。 ・2022年10月には、熊本大学産業ナノマテリアル研究所と当社は、「ワンタイムエナジー共同研究講座」を設置いたしました。本研究講座では、熊本大学が培ってきた極限プロセス環境を利用したパルスパワー(注2)などの衝撃エネルギー関連の研究成果と当社が持つ技術「ワンタイムエナジー®」(注3)とのシナジーを発現し、新たな探索研究(注4)を推進することで、まだ世の中にない新たな価値を共創し、物質科学および安全・安心に関わるデバイスの技術の深耕化と医療、ヘルスケア、救命、防災、インフラなど「確実性」や「緊急性」が要求される様々な分野での社会実装を目指します。 (注2)パルスパワー:瞬間的なエネルギーであり、電気エネルギー、化学エネルギー、力学エネルギー、光エネルギー等を時間的又は空間的に圧縮することにより、発生する高エネルギーです。(注3)ワンタイムエナジー®:世界中で命を守る自動車用エアバッグで培った、ただ一度だけ、安全、確実、瞬時に最適なエネルギーを生み出す技術です。電気自動車の事故時に乗員の感電を防ぐ電流遮断器や薬剤投与デバイス「アクトランザTMラボ」など、今後、様々な領域へ新たな価値を創造・共創してまいります。(注4)本研究講座の具体的研究テーマ ①ワンタイムエナジーの原理・機構解明及び微生物・細胞等への作用 ②ワンタイムエナジー利用による新接合方法(異種材料) ③爆轟法ナノダイヤモンドの構造解析と医工連携研究(医療材料としての研究) ④セイフティデバイスの基礎検討に関する連携研究 セグメント別の活動状況は以下の通りです。(1) メディカル・ヘルスケア事業 当事業に係る研究開発費は2,180百万円であります。 [ヘルスケアSBU] ヘルスケアSBUは、ヘルスケア分野において特徴ある素材・技術の開発を進めております。 コスメ事業領域では、サステナブルな素材を化粧品市場へ提供するため、天然原料を使用した酢酸セルロースの真球状微粒子「BELLOCEA® (ベロセア®)」を開発、販売しております。また、ECHA(欧州化学物質庁)の提案するマイクロプラスチック規制に対応可能な高い生分解性と感触を両立する微粒子の開発に力を入れています。 健康食品事業領域では、腸内細菌によって体内で生成される成分(腸内細菌代謝物)に着目した研究・開発を行っております。2021年度はザクロに含まれるポリフェノールの代謝物としてウロリチン-A含有素材を上市したのに続き、ホップ由来ポリフェノールの代謝物の開発を進めております。 [CPIカンパニー] CPIカンパニーは、キラル事業がターゲットとする低分子合成医薬に加え、成長市場の中・高分子/バイオ医薬市場においてソリューションを提供いたします。新規製品の継続的開発・上市とテクニカルサービスの充実により世界トップシェアを維持しております、光学分割用カラム事業では、新規耐溶剤型キラルカラム第11弾のCHIRALPAK IM製品を上市いたしました。また、既存汎用カラムと差別化した当社独自のアキラルカラムについて、新規カラム開発およびこれらを用いたペプチド、核酸医薬などの中分子医薬のアプリケーション開発を継続しております。バイオ分野では、Daicel Arbor Biosciences社が開発したヒトゲノム解析用検査キット製品(myBaits®)を用いた研究として、14世紀に欧州で大流行した黒死病と免疫遺伝子の調査論文がNature誌に掲載されました。このような優れた製品の開発、継続した新製品投入によってバイオ分野でのプレゼンスを一層高めてまいります。 (2) スマート事業 当事業に係る研究開発費は4,223百万円であります。 スマートSBUは、快適なスマート社会に必要な技術・製品で、ソリューションを提供いたします。ディスプレイ・オプト分野 (偏光板保護フィルムの品質改善、視認性・使用感改善の機能性フィルム、ウエハーレベルレンズ )、IC/半導体分野(半導体並びにフラットパネルディスプレイ製造用フォトレジスト材料、超高純度溶剤、プリンテッド・エレクトロニクス用機能性溶剤、 半導体向けプロセス材料、導体インク)をターゲットにした研究開発を進めております。①ペン入力電子ブックの書き心地を向上させた表面フィルムを新規上市、②ダイキン工業㈱との共同開発で「透湿膜全熱交換エレメント」向け透湿膜シートの生産開始、③EUV向けフォトレジスト材料開発用パイロット設備の本格稼働、④ウエハーレベルレンズの生産設備投資、⑤ 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「ポスト 5G 情報通信システム基盤強化研究開発事業」先導研究の研究開発テーマが継続となり、技術開発を加速しております。 (3) セイフティ事業 当事業に係る研究開発費は6,322百万円であります。 セイフティSBUは、一度だけ瞬時に、安全に、確実に、エネルギーを生み出す自社技術並びにその技術を活用した製品群「One Time Energy® DAISI®」と自動車安全領域で培ったノウハウを土台に、新たな安全安心を社会に提供いたします。自動車エアバック用新規ガス発生剤や新規インフレータ、自動車用電流遮断器など産業用アクチュエーター(エネルギーを動きに変える装置)の研究開発を行っております。 [医療向け新規投与デバイス] 「One Time Energy®」というエネルギー制御を基盤とした新規投与デバイスは、2022年度より理化学機器として国内市場において正式に販売を開始いたしました。弊社遺伝子導入デバイスを用いたコロナDNAワクチンの国内臨床試験は終了いたしましたが、日本だけではなく欧米の製薬会社からも問い合わせが増え続けており、日米欧でいくつかのプロジェクトに本デバイスを提供しております。今後、医療機器としての事業化を加速してまいります。 (4) マテリアル事業 当事業に係る研究開発費は2,773百万円であります。 マテリアルSBUは、ダイセルの原点である素材事業で培った技術で地球規模のニーズに多様なソリューションを提供いたします。アセチルBUでは、アセテート・トウなど、セルロース誘導体の品質、生産性の向上に取り組んできたことにより事業優位性の維持に寄与しております。長年培ったセルロース化学技術を応用し、より生分解しやすい分子構造を見いだし、従来製品の品質を保ったまま、海洋生分解性を向上させた酢酸セルロースCAFBLO®(キャフブロ、Cellulose Acetate for Blue Ocean)を開発いたしました。汎用プラスチック代替を目指した用途開発を加速しており、小売大手等のカトラリー(スプーン、フォーク)への採用が進んでおります。ケミカルBUでは、新規エポキシ樹脂の継続的開発とテクニカルサービスの充実により、脂環式エポキシ樹脂の世界トップシェアを維持しております。耐熱性、光学特性に優れ、かつ、低毒性(変異原性陰性)を特徴とした脂環式エポキシ樹脂「セロキサイド8400」を開発いたしました。すでに特定の顧客にワークを開始し、評価が進んでいる為、スケールアップの検討を進めております。また、ポリカプロラクトンでは、マーケットイン活動の結果から自動車部材に新規採用され、販売を開始しました。さらに、市場が拡大する有望アプリを選定し、活動を継続しております。 (5) エンジニアリングプラスチック事業 当事業に係る研究開発費は6,125百万円であります。 [ポリプラスチックス㈱] 世界に認められるエンジニアリングプラスチックNo.1のソリューションプロバイダーに向け、Post 5G/6Gの最先端通信、次世代自動車、メディカル分野など、エンジニアリングプラスチックの次の成長を実現する市場をターゲットに、当社の価値提供型ビジネスの更なる高度化、長繊維強化材料、PEK等の新事業展開、ファインパウダー等の新たなエンプラ機能の提案、ダイセルグループ内技術とのシナジー創出による新技術開発を行ってまいります。特に急速に高まるカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーに関するニーズに応えるべく、環境負荷低減技術開発にも注力いたします。またグローバル市場展開の促進に向け、5拠点の海外テクニカルソリューションセンターとネットワーク体制を形成し、新規市場開発案件の創出、ならびにコンセプト提案を進めております。 [ダイセルミライズ㈱] コンシューマー事業、レジン事業の二つの事業分野にて、社会や顧客の課題を解決する製品開発を進めております。リチウムイオン電池市場を主体にカルボキシメチルセルロース事業の更なる拡大、モノマテリアルを訴求できる食品包装用新規バリアフィルムの開発、環境対応型樹脂上市に向けたコンパウンド技術の確立、各種環境対応製品の開発、および海外ネットワーク活用による各種製品のグローバル展開を進めております。 (6) その他事業 当事業に係る研究開発費は252百万円であります。 [ダイセン・メンブレン・システムズ㈱] 分離膜および膜装置システムの開発などを行っております。特に、水処理および医薬分野における新規分離膜の開発に注力しております。 (7) コーポレート 当社では、新規事業創出のための研究開発や基盤研究をコーポレート部門が行っております。なお、当連結会計年度よりコーポレート部門に係る研究開発費は、全報告セグメントに配賦しております。 [リサーチセンター] 大学や公的研究機関との産学連携を積極的に進め、有識者との共同研究等により、中長期で求める新しい技術、機能、素材の基礎研究を進めております。2020年4月から東京大学(社会連携講座)と研究開発に取り組んでいるマイクロ流体デバイス技術は、この技術を応用した「マイクロ流体デバイスプラント」を社会実装するために必要な生産技術および量産化技術に関して国立精華大学(台湾)との共同研究へ発展し、さらに開発~生産段階へ進めるために、2022年10月から生産技術部門や事業部門が主導する全社プロジェクトへ移行いたしました。またワンタイムエナジー利用に関する研究では、2022年10月から国立大学法人熊本大学(産業ナノマテリアル研究所)に共同研究講座を開設し、「安全・安心」分野の研究領域拡充を図っております。 [事業創出本部] 2021年4月1日付の組織変更により、コーポレート部門の事業企画と研究開発部門を一体化した事業創出センターと事業創出に必要な評価技術を構築する評価解析センターを設置し、メンバー全員がマーケットに出て、お客様に密着するカスタマーインの取り組みを通じて、事業創出の加速に取り組んでおります。これまで培ってきた計算科学・マテリアルズ・インフォマティクス等の技術、有機合成・触媒技術、評価解析技術、各種加工技術を生かし、各SBUやグループ会社の中長期の研究開発テーマや社外との共創テーマに取り組むとともに、研究開発の初期ステージより工業化技術構築の視点を加え、検討を進めております。また大学・外部研究機関と共同研究体制を構築し、新規素材、新規加工技術、新規生産技術創出の検討を進めております。カスタマーインによる新事業開発の試行事例であるダイキン工業㈱との協業では、マテリアルSBU、スマートSBU、生産技術センターなど課題解決に必要な全部門でその解決にあたり、研究開発の加速と成果の最大化を成し遂げ、短期間で新商品を開発・上市いたしました。また第2弾の新商品開発を、来期上市に向けて進めております。ヘルスケア事業では、当社が得意とする嫌気性培養技術を活用した腸内細菌代謝物に着目した研究・開発を行っており、これまでに、大豆イソフラボンの腸内代謝物(エクオール)、ザクロに含まれるポリフェノールの代謝物(ウロリチン)をヘルスケアSBUとともに上市いたしました。また、スマート事業では、次世代通信(ポスト5G/6G)向け低誘電材料ならびにその特性評価技術の開発をリサーチセンター、スマートSBUならびに大阪大学産業科学研究所フレキシブル3D実装協働研究所とともに進めており、2021年6月に採択されたNEDO「ポスト 5G 情報通信システム基盤強化研究開発事業」先導研究の開発を進めております。エレクトロニクス実装材料の研究開発、および事業化を加速し、経済産業省およびNEDOが進める我が国のポスト5G情報通信システムの開発・製造基盤強化に貢献いたします。評価解析技術では、微量有機成分の絶対構造解析技術として「結晶スポンジ法」の獲得、ミクロ・ナノ構造解析技術の強化(電子顕微鏡、走査プローブ顕微鏡、X線放射光)を進めております。 [生産本部生産技術センター] ダイセルグループ横断的な体制で新事業の工業化、既存製品の品質改善、プロセス改善、増産検討、プロセス革新による新規プロセス・技術構築の推進を加速し、地球環境と共生する循環型プロセス構築を図っております。特に酢酸セルロース及び有機主力製品のプロセス革新による大幅なコストダウンおよび省エネルギー化のための技術の開発を進めております。さらに、カーボンニュートラルへの寄与を目指し、マイクロ流体デバイス技術、新規分離膜の開発を大学・外部研究機関と共同で取り組んでおります。また、企画から事業化まで一貫した技術開発を実現し、エンジニアリング業務でのデジタルトランスフォーメーションを強化すべく、プロセスシミュレーション、流体解析、計算科学、品質工学、マテリアルズ・インフォマティクス等AI技術の充足、強化を進めております。 [バイオマスイノベーションセンター] 2050年のカーボンニュートラル達成にむけ、地球環境に優しいプロセスで、日本の豊富な森林資源、農業廃棄物などの余剰バイオマスから高機能・高付加価値な製品を創出する技術の確立と、その技術を基に地域での地産地消のモノづくりによる一次産業の活性化の実現に取り組んでおります。2022年度は金沢大学内に産官学を問わず共創によるオープンイノベーションを目指す研究拠点として、バイオマス・グリーンイノベーションセンターを設置いたしました。自社のセルロースをはじめとするバイオマス素材の溶解、分子設計技術開発戦略から具体的な実績作りを加速しております。2023年度より超穏和溶解技術を基に地域活性化を図るバイオマスラボ(注5)と新バイオマスプロダクトツリー構築をミッションとする技術実装研究所(注6)の体制を取り、課題のスピードアップを図ります。(注5)バイオマスラボ:木材の穏和な条件での溶解技術は、家具業界、建設業界でのコンセプトモデルの採用と地域連携による余剰バイオマスの活用を推進いたします。 (注6)技術実装研究所:木材の穏和な条件でのセルロース抽出技術およびセルロース誘導体合成・加工技術の工業化検討、サンプル提供を開始し、新規用途(貴金属回収材など)への参入を目指します。 [無機複合実装研究所] スマート社会実現に貢献する新たな素材を開発することを目的に、2022年4月1日付の組織変更で発足いたしました。今後大きな成長が見込まれる次世代パワーデバイスや次世代通信規格6Gに求められる素材として無機有機複合材料に着目し、探索・基礎研究から顧客ニーズに基づく応用研究・開発まで幅広く取り組んでおります。 <受賞歴>・一般社団法人近畿化学協会の「第22回 環境技術賞」受賞2022年5月、ダイキン工業㈱と当社が共同で開発した透湿膜全熱交換エレメントについて、「透湿膜シートを用いた『透湿膜全熱交換エレメント』の開発と製品化」が、一般社団法人近畿化学協会の「第22回 環境技術賞」を共同で受賞いたしました。環境技術賞は、化学に関連する研究・技術で地球環境との共存ならびにその維持・改善を積極的に意識し、方向付けがなされた新技術・改良技術で興行的・社会的・学術的価値が明らかとなったものについて顕著な業績と認められたものに与えられるものです。共同開発した「透湿膜シート」は従来の紙製シートの約1/3の薄さで、空気中の熱を効率良く移動させます。またこの透湿膜は水蒸気を選択的に透過させる一方で、菌やウイルス、二酸化炭素といった室内の空気を汚染する物質の遮断性を向上しています。透湿性と耐水性を備えた「透湿膜シート」は洗浄や消毒も可能で、清潔性を維持することができます。「省エネ性」だけでなく、「安全・安心な空間」というコロナ禍で必要とされる価値を提供する商品であることが評価されました。 ・一般社団法人繊維学会「第48回 繊維学会賞技術賞 (市場部門) 」受賞2022年6月、「高生分解性酢酸セルロース (CAFBLO®:キャフブロ®) 」が、一般社団法人繊維学会「第48回 繊維学会賞技術賞 (市場部門) 」を受賞いたしました。繊維学会賞技術賞は、繊維に関する技術について優秀な研究や発明、または開発を行い、繊維工業の発展に貢献した個人、グループに贈られる賞で、技術部門と市場部門があります。当社は長年培ったセルロース化学技術を応用し、より生分解しやすい分子構造を見いだし、従来製品の品質を保ったまま、特に海洋での生分解速度をさらに高めた新製品「高生分解性酢酸セルロース (CAFBLO®:キャフブロ®) 」を開発いたしました。化学繊維の洗濯くずによる海洋プラごみ問題に対し、CAFBLO®の海洋生分解性を活かした繊維・不織布用途への取組み等が評価されました。2021年8月に海洋生分解性を証明する国際認証「OK biodegradable MARINE」を取得しております。プラスチック資源循環促進法の施行(2022年4月1日)など市場環境の変化に伴い、汎用プラスチック代替としての酢酸セルロース樹脂に多くの引き合いを頂いており、様々な用途へのグレード開発を加速しております。 ・一般社団法人品質工学会「2022年品質工学会研究発表大会実行委員長賞」受賞2022年6月、当社が開発したシミュレーション技術に関する研究成果「機械学習におけるMT法の立ち位置」ならびに「シミュレーションを用いた品質工学実践ノウハウの可視化」が一般社団法人品質工学会の2022年度研究発表大会実行委員長賞を受賞いたしました。「研究発表大会実行委員長賞」は、品質工学会の重要テーマ「ITとの結合で進化する品質工学」に最も合致すると評価された研究成果に贈られる賞です。特にMTシステム(注7)の活用にメリットのある領域や使い方について貴重な示唆を与えたことが評価されました。従来の品質工学は研究、開発、製造における技術課題の解決に大変有効な手法ですが、長年の習熟や経験によるノウハウを必要とする欠点があります。本研究ではこれまでノウハウで判断してきた手法の優劣や適用条件を、シミュレーション技術を用いて数値化いたしました。当社は、シミュレーション技術を用いた新しい品質工学を推進し、技術課題解決の加速、品質工学の発展に貢献してまいります。(注7)MT(マハラノビス・タグチ)システム:工場の稼働異常を事前に検知する、製品検査を無人化する、など正常/異常の判定を行う目的で、品質工学の中で考案された多変量解析の手法の総称です。パターン認識技術、予測・推定技術、特徴量抽出技術を組み合わせて実施されます。 ・公益社団法人発明協会 令和4年度中国地方発明表彰「発明奨励賞」受賞2022年10月、当社の発明「位相差フィルム用セルロースジアセテート」が公益社団法人発明協会主催の令和4年度中国地方発明表彰において「発明奨励賞」を受賞いたしました。「地方発明表彰」は優れた発明を生み出した技術者・研究者に対して行われるもので、1921年からの歴史がございます。このたびの表彰では、発明の実用化による社会的貢献が評価されました。本発明は、液晶表示装置の光漏れを防ぐためのフィルムに用いる樹脂です。従来、2種類以上のフィルムの張り合わせを必要としておりましたが、本発明の樹脂が偏光板保護フィルムと位相差フィルムの機能を兼ね備えた1種類のフィルムとなり、省エネルギーと軽量化を図れます。 <商標帰属先の表示>・BELLOCEA®は、株式会社ダイセルの日本およびその他の国における商標または登録商標です。・One Time Energy®は、株式会社ダイセルの日本およびその他の国における商標または登録商標です。・DAISI®は、株式会社ダイセルの日本およびその他の国における商標または登録商標です。・CAFBLO®は、株式会社ダイセルの日本およびその他の国における商標または登録商標です。・myBaits®は、Daicel Arbor Biosciences社 (Biodiscovery LLC) のアメリカ合衆国における商標または登録商標です。
FY2022|5,543 文字
5【研究開発活動】当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、20,741百万円であります。なお、当連結会計年度において、当社グループの研究開発活動の状況で特筆すべき内容は、次のとおりであります。・長期ビジョン『DAICEL VISION 4.0』及び中期戦略『Accelerate 2025-II』の実現に向けて、ダイセルグループ横断の連携強化により、真のニーズを掘り起こすマーケットイン型の事業創出に取り組んでおります。・当社グループにとって新バイオマスプロダクトツリーの実現やバイオマスバリューチェーンの構築は、酢酸セルロース事業の更なる発展と、カーボンニュートラルなど社会的課題の双方に対して大きな推進力になります。これらの社会実装に向け、国立大学法人京都大学、国立大学法人金沢大学と包括連携協定を締結し、産学連携拠点施設や産学連携講座を開設して共同研究を進めております。(金沢大学)産業・学術・官庁の垣根を超えた共創による研究に取り組むことができる研究施設の建設を進めており、本拠点では,ファインセルロースの研究やセルロース常温溶解法による製造技術の開発を強力に推進し,社会実装を目指します。2021年10月には、科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)産学共同(本格型)の課題として「バイオマスプロダクトツリーを実現する新規改質セルロースの開発」が新規採択されました。(京都大学)温和な条件下で木質を「溶かす技術」による、新たな素材・製品群の創出を目指した共同研究を行っております。例えば、従来不可能だった精密に制御された化学反応による様々な新素材の開発(木質と金属・ガラスなどの無機物からなる新規ハイブリッド材料、木質と合成高分子の新規ハイブリッド材料など)や木材に含まれている反応性に富んだ物質(リグニン、ヘミセルロースなど)を変質させずに抽出し、それらを出発原料とした新たな製品群の創出(高品質なリグニンを出発物質とする高付加価値化学物質の合成など)です。また、温和な条件下で木質を「溶かす技術」により、従来の木材溶解に必要だったエネルギー多消費型の製造プロセスを大幅に短縮した省エネルギー化を目指します。 セグメント別の活動状況は以下の通りです。(1) メディカル・ヘルスケア事業当事業に係る研究開発費は1,902百万円であります。[ヘルスケアSBU]ヘルスケアSBUは、ヘルスケア分野において特徴ある素材・技術の開発を進めております。コスメBUでは、サステナブルな素材を化粧品市場へ提供するため、天然原料を使用した酢酸セルロースの真球状微粒子「BELLOCEA®(ベロセア®)」を開発、販売しております。また、ECHA(欧州化学物質庁)の提案するマイクロプラスチック規制に対応可能な高い生分解性と感触を両立する微粒子の開発に力を入れています。健康食品BUでは、腸内細菌によって体内で生成される成分(腸内細菌代謝物)に着目した研究・開発を行っております。これまでに、大豆イソフラボンの腸内代謝物としてエクオール含有素材を開発し、2021年5月には、ザクロに含まれるポリフェノールの代謝物(ウロリチン-A)含有素材を「ウロリッチ®」という商品名で上市いたしました。ウロリチン-Aには寿命延長効果やオートファジー効果が報告されております。 [CPIカンパニー]CPIカンパニーは、キラル事業がターゲットとする低分子合成医薬に加え、成長市場の中・高分子/バイオ医薬市場においてソリューションを提供いたします。新規製品の継続的開発・上市とテクニカルサービスの充実により世界トップシェアを維持しております、光学分割用カラム事業では、新規耐溶剤型キラルカラム第10弾のCHIRALPAK IK製品およびその高性能分析用3μm製品を上市いたしました。また、既存汎用カラムと差別化した当社独自のアキラルカラムについて、新規カラム開発およびこれらを用いたペプチド等、中分子医薬のアプリケーション開発を継続しております。バイオ分野では、人類遺伝学の分野で世界をリードする米国、フランス、オーストラリア等の研究機関と共同でヒトゲノム解析用検査キットを新製品として開発、上市しました。この製品を用いることで、進化の過程で変化したとされる200万以上のゲノム領域を低コストで分析することが可能となります。今後も新製品を投入することで、バイオ分野でのプレゼンスを高めてまいります。 (2) スマート事業当事業に係る研究開発費は3,631百万円であります。スマートSBUは、快適なスマート社会に必要な技術・製品で、ソリューションを提供いたします。ディスプレイ分野(偏光板保護フィルムの品質改善、視認性・使用感改善の機能性フィルム)、IC/半導体分野(半導体並びにフラットパネルディスプレイ製造用フォトレジスト材料、超高純度溶剤、半導体製造用クリーナー材料)並びにセンシング分野(ウエハーレベルレンズ、有機半導体インク、導体インク、プリンテッド・エレクトロニクス用機能性溶剤)をターゲットにした研究開発を進めております。①視認性改善の機能フィルムを新規上市、②ダイキン工業㈱との共同開発で「透湿膜全熱交換エレメント」向け透湿膜シートを事業化、③フォトレジスト材料開発の拠点集約並びに新技術検討用パイロット設備を設置、④新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「ポスト 5G 情報通信システム基盤強化研究開発事業」先導研究に2件の研究開発テーマが採択となり、技術開発を加速しています。 (3) セイフティ事業当事業に係る研究開発費は5,566百万円であります。セイフティSBUは、一度だけ瞬時に、安全に、確実に、エネルギーを生み出す自社技術並びにその技術を活用した製品群「One Time Energy™ DAISI™」と自動車安全領域で培ったノウハウを土台に、新たな安全安心を社会に提供いたします。自動車エアバック用新規ガス発生剤や新規インフレータ、自動車用電流遮断器など産業用アクチュエーター(エネルギーを動きに変える装置)の研究開発を行っております。また医療向けの新規投与デバイスは「One Time Energy™ 」というエネルギー制御を基盤としており実用化を強力に推進すべく、事業創出本部から移管し量産化を見据えた開発を強化・加速しており、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)向けDNAワクチン共同開発プロジェクトに参画し、医師主導試験の皮内投与に適用されました。 (4) マテリアル事業当事業に係る研究開発費は1,510百万円であります。マテリアルSBUは、ダイセルの原点である素材事業で培った技術で地球規模のニーズに多様なソリューションを提供いたします。アセチルBUでは、アセテート・トウなど、セルロース誘導体の品質、生産性の向上に取り組んできたことにより事業優位性の維持に寄与しています。長年培ったセルロース化学技術を応用し、より生分解しやすい分子構造を見いだし、従来製品の品質を保ったまま、海洋生分解性を向上させた酢酸セルロースCAFBLO(キャフブロ、Cellulose Acetate for Blue Ocean)を開発しており、2021年8月に海洋生分解性を証明する国際認証「OK biodegradable MARINE」を取得しました。石油系プラスチック代替を目指した用途開発を加速しております。ケミカルBUでは、新規エポキシ樹脂の継続的開発とテクニカルサービスの充実により、脂環式エポキシ樹脂の世界トップシェアを維持しております。耐熱性、光学特性に優れ、かつ、低毒性(変異原性陰性)を特徴とした脂環式エポキシ樹脂「セロキサイド8400」を開発いたしました。すでに特定の顧客にワークを開始し、評価が進んでいる為、スケールアップの検討を進めております。 (5) エンジニアリングプラスチック事業当事業に係る研究開発費は3,672百万円であります。[ポリプラスチックス㈱] 世界に認められるエンジニアリングプラスチックNo.1のソリューションプロバイダーに向け、Post 5G/6Gの最先端通信、次世代自動車、メディカル分野など、エンジニアリングプラスチックの次の成長を実現する市場をターゲットに、当社の価値提供型ビジネスの更なる高度化、ファインパウダー等の新たなエンプラ機能の提案、ダイセルグループ内技術とのシナジー創出による新技術開発を行ってまいります。特に急速に高まるカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーに関するニーズに応えるべく、環境負荷低減技術開発にも注力いたします。またグローバル市場展開の促進に向け、5拠点の海外テクニカルソリューションセンターとネットワーク体制を形成し、新規市場開発案件の創出、ならびにコンセプト提案を進めております。 [ダイセルミライズ㈱] コンシューマー事業、レジン事業の二つの事業分野にて、社会や顧客の課題を解決する製品開発を進めています。リチウムイオン電池市場を主体にカルボキシメチルセルロース事業の更なる拡大、環境対応型樹脂上市に向けたコンパウンド技術の確立、各種環境対応製品の開発、および海外ネットワーク活用による各種製品のグローバル展開を進めております。 (6) その他事業 当事業に係る研究開発費は160百万円であります。[ダイセン・メンブレン・システムズ㈱] 分離膜および膜装置システムの開発などを行っております。特に、水処理および医薬分野における新規分離膜の開発に注力しています。 (7) コーポレート 当社では、新規事業創出のための研究開発や基盤研究をコーポレート部門が行っております。その研究開発費は4,297百万円であります。[リサーチセンター] 大学や公的研究機関との産学連携を積極的に進め、有識者との共同研究等により、中長期で求める新しい技術、機能、素材の基礎研究を進めております。2020年4月から東京大学社会連携講座で研究開発に取り組んでいるマイクロ流体デバイス技術について、この技術を応用した「マイクロ流体デバイスプラント」を社会実装するために必要な生産技術および量産化技術に関して、国立清華大学(台湾)と共同で研究開発を進めることになりました。 [事業創出本部] 2021年4月1日付の組織変更により、コーポレート部門の事業企画と研究開発部門を一体化した事業創出センターと事業創出に必要な評価技術を構築する評価解析センターを設置し、メンバー全員がマーケットに出て、お客様に密着するカスタマーインの取り組みを通じて、事業創出を加速致します。これまで培ってきた計算科学・マテリアルズ・インフォマティクス等のAI技術、有機合成技術、評価解析技術、加工技術を生かし、各SBUやグループ会社の中長期の研究開発テーマや社外との共創テーマに取り組むとともに、研究開発の初期ステージより工業化技術構築の視点を加え、検討を進めています。また大学・外部研究機関と共同研究体制を構築し、新規素材、新規加工技術、新規生産技術創出の検討を進めています。カスタマーインによる新事業開発の試行事例であるダイキン工業㈱との協業では、マテリアルSBU、スマートSBU、生産技術センターなど課題解決に必要な全部門でその解決にあたり、研究開発の加速と成果の最大化を成し遂げ、短期間で新商品を開発しました。ヘルスケアセグメントでは、当社が得意とする嫌気性培養技術を活用した腸内細菌代謝物に着目した研究・開発を行っており、これまでに、大豆イソフラボンの腸内代謝物(エクオール)、ザクロに含まれるポリフェノールの代謝物(ウロリチン)をヘルスケアSBUとともに事業化いたしました。また、スマートセグメントでは、次世代通信(ポスト5G/6G)向け新規材料並びに評価技術の開発をリサーチセンター、スマートSBU並びに大阪大学産業科学研究所フレキシブル3D実装協働研究所とともに進めており、2021年6月、NEDO「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」先導研究に採択されました。エレクトロニクス実装材料の研究開発及び事業化を加速し、経済産業省及びNEDOが進める我が国のポスト5G情報通信システムの開発・製造基盤強化に貢献します。評価解析技術では、ミクロ・ナノ構造解析技術の強化・新技術獲得(電子顕微鏡、走査プローブ顕微鏡、X線放射光)を進めております。 [生産本部生産技術センター] ダイセルグループ横断的な体制で新事業の工業化、既存製品の品質改善、プロセス改善、増産検討、プロセス革新による新規プロセス・技術構築の推進を加速し、地球環境と共生する循環型プロセス構築を図っていくため、2021年4月1日付けの組織変更により、生産本部生産技術センターとなりました。酢酸セルロース及び有機主力製品のプロセス革新による大幅なコストダウンおよび省エネルギー化のための技術の開発を進めております。また、企画から事業化まで一貫した技術開発を実現し、エンジニアリング業務でのデジタルトランスフォーメーションを強化すべく、シミュレーションと計算科学およびマテリアルズ・インフォマティクスの機能を生産技術センター内のシミュレーショングループに統合し、プロセスシミュレーション、流体解析、計算科学、品質工学、マテリアルズ・インフォマティクス等AI技術の充足、強化を進めております。
FY2021|3,759 文字
5【研究開発活動】当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、19,540百万円であります。なお、当連結会計年度において、当社グループの研究開発活動の状況で特筆すべき内容は、次のとおりであります。2020年4月1日付の組織変更により設置された「戦略ビジネスユニット(SBU)」は、事業企画、マーケティング、研究開発の機能を有しております。対象とする市場やお客様に主眼を置いた「マーケットイン」型の研究開発を、より強化してまいります。また、長期ビジョン『DAICEL VISION 4.0』に基づき、新たに策定した中期戦略『Accelerate 2025』の機能別戦略において、事業創出力として研究開発に係る方策をまとめております。未来社会課題からの要求の実用化を目指し、ユーザー目線でシーズを掘り起こすR(Research、研究)と、Rで掘り起こしたシーズを活用するとともに、事業化力を磨き、お客様とニーズを具現していくD(Development、開発)との相互作用による事業創出を進めてまいります。さらに、「攻め」の知的財産活動であるProactive IP活動(市場・技術・知財等の各種動向を情報解析することにより事業の方向性を積極的に提案するためのアンテナ機能)により、事業創出を加速していきます。さらに、2020年7月1日付の組織変更により、生産技術に関わる技術者を事業創出本部で一元管理して、当社グループ横断的な体制で、プロセス革新による新規プロセス・技術構築を加速し、地球環境と共生する循環型プロセス構築も図ってまいります。パイロテクニックを活用した薬剤の投与制御技術をベースとした新規投与デバイスでは、大阪大学とアンジェス株式会社による新型コロナウィルス(COVID-19)向けDNAワクチン共同開発プロジェクトに参画しております。2020年12月、大阪大学医学部附属病院が実施する「COVID-19 DNAワクチンの第I/II 相試験」(医師主導治験)において、症例登録された被験者(健康成人)に対して、当社新規投与デバイスを用いたワクチン投与が開始されました。ダイキン工業株式会社(以下「ダイキン社」という)と当社は、両社の長年にわたる信頼関係に基づく、それぞれの専門分野での強みを生かした世界初・世界No.1の商品創出に向けた協創活動を加速させます。2016年からは、当社が持つ先進の「材料技術」と、ダイキン社が持つ「空調要素技術」の双方の強みを活かすことで、お客様にとって価値のある商品を創出することを目的とする協創に取り組んできました。こうした活動の成果として、2020年度は世界的な空気質ニーズの高まりを受け、換気機器向けの「透湿膜全熱交換エレメント」および大型空調機向けの「低圧力損失エアフィルタろ材」を両社で開発しました。 セグメント別の活動状況は以下の通りです。 (1) メディカル・ヘルスケア事業当事業に係る研究開発費は2,059百万円であります。【ヘルスケアSBU】ヘルスケアSBUは、ヘルスケア分野において特徴ある素材・技術の開発を進めております。コスメBUでは、サステナブルな素材を化粧品市場へ提供するため、酢酸セルロースの真球状微粒子「BELLOCEA®(ベロセア)」を開発し、2020年12月に販売開始いたしました。健康食品BUでは、腸内細菌によって体内で生成される成分(腸内細菌代謝物)に着目した研究・開発を行っております。これまでに、大豆イソフラボンの腸内細菌代謝物として、エクオール含有素材を開発し、販売してまいりました。【CPIカンパニー】CPIカンパニーは、キラルを中心とする低分子合成医薬に加え、成長市場の中・高分子/バイオ医薬市場においてソリューションを提供いたします。新規製品の継続的開発・上市とテクニカルサービスの充実により世界トップシェアを維持しております光学分割用(キラル)カラム事業では、新規耐溶剤型カラム第9弾のCHIRALPAK IJの高性能分析用3μm製品および分取用充填剤(10μm、20μm)の品揃えを完了いたしました。バイオ分野では、新型コロナウイルス感染細胞を検出するキットや血中の癌細胞由来のDNAを検出するキットなど、遺伝情報を活用した4製品を新たに上市いたしました。今後も新製品を投入することで、バイオ分野でのプレゼンスを高めてまいります。 (2) スマート事業当事業に係る研究開発費は2,651百万円であります。スマートSBUは、快適なスマート社会に必要な技術・製品で、ソリューションを提供いたします。ディスプレイ分野(偏光板保護フィルムの品質改善、視認性・使用感改善の機能性フィルム)、IC/半導体分野(半導体並びにフラットパネルディスプレイ製造用フォトレジスト材料、超高純度溶剤、半導体製造用クリーナー材料)並びにセンシング分野(ウエハーレベルレンズ、有機半導体インク、導体インク、プリンテッド・エレクトロニクス用機能性溶剤)をターゲットにした研究開発を進めております。さらにスマートSBUが有する技術と事業の融合を図ったテーマへの取り組み(先端半導体後工程材料、抗ウイルス素材、非ディスプレイ向け機能フィルム)を開始いたしました。 (3) セイフティ事業当事業に係る研究開発費は5,080百万円であります。セイフティSBUは、パイロテクニックと自動車安全領域で培ったノウハウを土台に、新たな安全安心を社会に提供いたします。モビリティBUは、自動車エアバッグ用新規ガス発生剤や新規インフレータの研究開発を行っております。インダストリーBUは、自動車用電流遮断器など産業用アクチュエーター(エネルギーを動きに変える装置)の研究開発を行っております。また医療向けの新規投与デバイスはパイロテクニックを基盤技術としており実用化を強力に推進すべく、2021年1月、事業創出本部から移管し量産化を見据えた開発を強化・加速しております。 (4) マテリアル事業当事業に係る研究開発費は1,606百万円であります。マテリアルSBUは、ダイセルの原点である素材事業で培った技術で地球規模のニーズに多様なソリューションを提供いたします。アセチルBUでは、アセテート・トウなど、セルロース誘導体の品質、生産性の向上に取り組んできたことにより事業優位性の維持に寄与しています。海洋での生分解速度を従来の2倍に向上させた酢酸セルロースを開発しており、量産化・石油系プラスチック代替を目指した用途開発を加速しております。ケミカルBUでは、新規エポキシ樹脂の継続的開発とテクニカルサービスの充実により、脂環式エポキシ樹脂の世界トップシェアを維持しております。 (5) エンジニアリングプラスチック事業当事業に係る研究開発費は3,505百万円であります。【ポリプラスチックス㈱】世界に認められるエンジニアリングプラスチックNo.1のソリューションプロバイダーに向け、Post 5G/6Gの最先端通信、次世代自動車、メディカル分野など、エンジニアリングプラスチックの次の成長を実現する市場をターゲットに、当社の価値提供型ビジネスの更なる高度化、ダイセルグループ内技術とのシナジー創出による新技術開発を行ってまいります。またグローバル市場展開の促進に向け、5拠点の海外テクニカルソリューションセンターとネットワーク体制を形成し、新規市場開発案件の創出、ならびにコンセプト提案を進めております。【ダイセルミライズ㈱】樹脂・化成品・ライフ分野で社会・顧客ニーズを解決いたします。リチウムイオン電池市場を主体にカルボキシメチルセルロース事業の更なる拡大、環境対応型樹脂上市に向けたコンパウンド技術の確立と製品開発、および海外ネットワーク活用による各種製品のグローバル展開を進めております。 (6) その他事業当事業に係る研究開発費は170百万円であります。【ダイセン・メンブレン・システムズ㈱】分離膜および膜装置システムの開発などを行っております。特に、水処理および医薬分野における新規分離膜の開発に注力しています。 (7) コーポレート当社では、新規事業創出のための研究開発や基盤研究をコーポレート部門が行っております。その研究開発費4,466百万円であります。これまで培ってきた計算科学・AI、有機合成技術、評価解析技術、加工技術を生かし、各SBUやグループ会社の中長期の研究開発テーマや社外との協創テーマに取り組むとともに、研究開発の初期ステージより工業化技術構築の視点を加え、検討を進めています。また大学・外部研究機関と共同研究体制を構築し、新規素材、新規加工技術、新規生産技術創出の検討を進めています。評価解析技術では、ミクロ・ナノ構造解析技術の強化・新技術獲得(電子顕微鏡、走査プローブ顕微鏡、X線放射光)並びにシミュレーション、計算科学、マテリアルズ・インフォマティクス技術の充足、強化を進めております。工業化技術では、酢酸セルロース及び有機主力製品のプロセス革新による大幅なコストダウンおよび省エネルギー化のための技術の開発を進めております。
FY2020|2,147 文字
5【研究開発活動】当社グループ(当社および連結子会社)では、既存事業の強化拡大および新事業創出のための研究開発に取り組んでおります。研究開発人員は、グループ全体で1,376名であり、これは総従業員数の12%にあたります。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、21,295百万円であります。 当社グループは、長期ビジョン『Grand Vision 2020』の実現に向け、2020年3月期を最終年とする中期計画『3D-Ⅲ』を遂行しております。本中期計画では、『3D-Ⅰ』『3D-Ⅱ』で進めてきた『ベストソリューション』実現企業に向けた取り組みをさらに発展させ、既存事業の成長および新規事業ユニットの創出を強化しております。2019年7月、新たに共同研究講座「先導科学技術共同研究講座」と同研究室を国立大学法人金沢大学内に設置し、当社の主力事業であるセルロース分野での新規商材創出を目指しております。2019年10月1日付でコーポレート部門の組織改革を行いました。生産技術本部の一部機能と研究開発本部、新事業開発室を統合して「事業創出本部」を新設し、新事業テーマの規模拡大、立ち上げ、事業化を加速していきます。さらに保有する製品・技術などと顧客ニーズを結びつけるシンクタンク兼リサーチ機能を持つ、社長直下の「リサーチセンター」も新設いたしました。2020年1月、当社は、パイクリスタル㈱の発行する株式を取得し、子会社化いたしました。今後のAI/IoTの急速な成長に対応すべく、当社の材料開発力・生産技術とパイクリスタル㈱の最先端技術を融合し有機半導体デバイス(集積回路、センサー)の量産体制を速やかに整え、事業化を加速いたします。2020年3月、当社は、国立大学法人大阪大学(以下「大阪大学」という。)とアンジェス㈱による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)向けDNAワクチンの共同開発に、当社の細胞内へ薬剤を送達する新規投与デバイス「アクトランザ™ラボ」技術を提供しております。これにより、大阪大学とアンジェス㈱の共同開発、当社の新規投与デバイスを用いた薬剤送達技術でのDNAワクチン開発の加速化、プラスミドDNAの製造技術と製造設備を有するタカラバイオ㈱の製造と、開発から製造までの一貫したプロセスで、出来る限り早い時期の臨床試験開始を目指しております。 セグメント別の活動状況は以下の通りです。 (1) セルロース事業当社が中心となって、セルロースの特性を活かし、反応および形態加工を施すことによる付加価値のある新規材料、用途開発を進めております。一方、既存製品である酢酸セルロース、たばこフィルター用トウの競争力強化のため、プロセス革新技術による製造プラントへの適応を継続しております。当事業に係る研究開発費は1,300百万円であります。 (2) 有機合成事業当社が中心となって、酢酸製造技術の改良研究、過酢酸誘導体、コスメ、電子材料向け有機機能品の開発・商品化、新規光学異性体分離カラムおよび分離精製用関連製品の開発などを行っております。また、高機能材料開発では、半導体レジスト、プリンテッドエレクトロニクス向けに樹脂材料ならびに機能性溶剤の開発を進めております。一方、既存製品の競争力強化のため、プロセス革新技術により製造プラントへの適応を進めております。当事業に係る研究開発費は4,042百万円であります。 (3) 合成樹脂事業ポリプラスチックス㈱およびダイセルポリマー㈱が中心となって、エンジニアリングプラスチックの高品質化および環境対応樹脂、高機能コンパウンド樹脂の開発、スチレン製品の商品開発などを行っております。当事業に係る研究開発費は3,794百万円であります。 (4) 火工品事業当社が中心となって、自動車エアバック用新規ガス発生剤や新規インフレータの研究開発を行っております。また、自動車用電流遮断器の開発や産業用アクチュエータの研究開発も行っております。当事業に係る研究開発費は5,143百万円であります。 (5) その他事業ダイセン・メンブレン・システムズ㈱において分離膜および膜装置システムの開発などを行っております。当事業に係る研究開発費は295百万円であります。 (6) コーポレート当社では、新規事業創出のための研究開発や基盤研究をコーポレート部門が行っております。その研究開発費は6,719百万円であります。当社独自の素材の強みを活かし、加工度を上げて、高度な機能を持つ製品群をお客様に提供する事業の創出を目指し、市場開拓・顧客開拓が進んだ機能フィルム(車載用途向け等)、オプトセンシング(ウエハレンズおよびカメラモジュール)、医薬品添加剤、機能性食品素材(「エクオール」「セラミド」)、新規投与デバイス(「アクトランザ™ラボ」)などの新規製品の実績化を進めております。2020年1月、大人の女性のためのウェルエイジング・ブランド「WELLMETHOD®(ウェルメソッド)」から、大豆イソフラボンの腸内代謝物である「エクオール」を配合した、大人の女性の“女性らしさ”を保つためのサプリメント新商品「ソイエクオール®」を発売いたしました。
FY2019|1,821 文字
5【研究開発活動】当社グループ(当社および連結子会社)では、既存事業の強化拡大および新事業創出のための研究開発に取り組んでおります。研究開発人員は、グループ全体で1,318名であり、これは総従業員数の11%にあたります。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、20,749百万円であります。 当社グループは、長期ビジョン『Grand Vision 2020』の実現に向け、2018年3月期から2020年3月期までの3年間を計画期間とする中期計画『3D-Ⅲ』を遂行しております。本中期計画では、『3D-Ⅰ』『3D-Ⅱ』で進めてきた『ベストソリューション』実現企業に向けた取り組みをさらに発展させ、既存事業の成長および新規事業ユニットの創出を加速させております。新規事業ユニットの創出については、メディカル・ヘルスケア、エレクトロニクスの成長分野を中心に、オープンイノベーション、M&Aの積極的活用により、その実現に向けてスピードを上げて取り組んでおります。2018年8月1日付でドイツの医薬品開発製造受託企業のLomapharm社を買収いたしました。今後はLomapharm社と密に連携し、新事業領域の柱の一つに位置づけているメディカル分野の成長を加速させます。2018年9月13日付で台湾において自社開発ウエハーレベルレンズを活用した光学製品の設計開発・販売を行う拠点として、Daicel Micro Optics Co. Ltd.を設立いたしました。先端ニーズの獲得や顧客に密着した開発を行い、光学製品事業の拡大と加速を図っていきます。2019年1月29日より、当社の火薬工学技術(パイロテクニック)を応用し独自開発したジェットインジェクター「アクトランザ™ラボ」の提供を開始いたしました。遺伝子などの高分子物質を細胞内へ効率的にデリバリーできる可能性があり、遺伝子治療薬、核酸医薬、DNAワクチンなど革新的な医薬品の実現につながる、新たな薬剤投与の方法(DDS、ドラッグデリバリーシステム)の実現を目指してまいります。 セグメント別の活動状況は以下の通りです。 (1) セルロース事業当社が中心となって、セルロースの特性を活かし、反応および形態加工を施すことによる付加価値のある新規材料、用途開発を進めております。一方、既存製品である酢酸セルロース、たばこフィルター用トウの競争力強化のため、プロセス革新技術による製造プラントへの適応を継続しております。当事業に係る研究開発費は1,292百万円であります。 (2) 有機合成事業当社が中心となって、酢酸製造技術の改良研究、過酢酸誘導体、コスメ、電子材料向け有機機能品の開発・商品化、新規光学異性体分離カラムおよび分離精製用関連製品の開発などを行っております。また、高機能材料開発では、半導体レジスト、プリンテッドエレクトロニクス向けに樹脂材料ならびに機能性溶剤の開発を進めております。一方、既存製品の競争力強化のため、プロセス革新技術により製造プラントへの適応を進めております。当事業に係る研究開発費は3,911百万円であります。 (3) 合成樹脂事業ポリプラスチックス㈱およびダイセルポリマー㈱が中心となって、エンジニアリングプラスチックの高品質化および環境対応、高機能樹脂やポリマーアロイの開発、スチレン製品の商品開発などを行っております。当事業に係る研究開発費は3,763百万円であります。 (4) 火工品事業当社が中心となって、自動車エアバック用新規ガス発生剤や新規インフレータの研究開発、および緊急脱出装置用関連製品の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は5,158百万円であります。 (5) その他事業ダイセン・メンブレン・システムズ㈱において分離膜および膜装置システムの開発などを行っております。当事業に係る研究開発費は292百万円であります。 (6) コーポレート当社では、新規事業創出のための研究開発や基盤研究をコーポレート部門が行っております。その研究開発費は6,332百万円であります。当社独自の素材の強みを活かし、加工度を上げて、高度な機能を持つ製品群をお客様に提案することのできる事業の創出を目指し、市場開拓・顧客開拓が進んだ機能フィルム、オプトセンシング、医薬品添加剤、機能性食品素材、新規投与デバイスなどの新規材料の事業化を進めております。
FY2018|2,210 文字
5【研究開発活動】当社グループ(当社および連結子会社)では、既存事業の強化拡大および新事業創出のための研究開発に取り組んでおります。研究開発人員は、グループ全体で1,183名であり、これは総従業員数の10%にあたります。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、188億43百万円であります。平成29年5月に発表した中期計画『3D-Ⅲ』に基づき、研究開発部門は引き続き、新規事業の創出、既存事業の強化に取り組んでおります。新規事業の創出に関しては、注力領域であるメディカル・ヘルスケア、エレクトロニクスの分野で定めた5つの「新規事業ユニット候補」に経営資源を集中して投下いたします。これらの取り組みを具体的に実行するため、平成29年4月1日に新たに「新事業開発室」を発足いたしました。また、新製品や革新的プロセス技術の研究、高効率の生産設備の検討など、ダイセルグループのさまざまな技術の変革・革新を推し進める中核拠点として、平成29年4月1日に「イノベーション・パーク」(兵庫県姫路市)を開設いたしました。研究開発、生産技術、エンジニアリング、環境・安全などの技術スタッフが同じ執務室に集まり、営業部門などの社内関連部門だけでなく、社外の顧客や協力会社とも活発なコミュニケーション、協業ができる施設として、イノベーション・パーク内に新棟「iCube(アイ・キューブ)」を開所いたしました。コミュニケーションを活性化し、ワークスタイルの変革をもたらしていくことで、新規商材開発から量産技術の確立、事業化の加速を図り、新規事業の創出を推進いたします。オープンイノベーションの取り組みとして、国立大学法人大阪大学と平成28年に開始した高速エネルギー治療学共同研究講座に引き続き、高エネルギー体の燃焼時に生じる衝撃現象の根本原理の解明とそれに基づく利用技術の開発を行う衝撃科学共同研究講座を平成29年4月より開始いたしました。また、平成29年7月1日より、合同会社ウェルネスオープンリビングラボ(以下「WOLL」という。)に出資参加いたしました。WOLLは、健康寿命延伸のため、認知症などの健康科学関連の課題解決を目標として設立された合同会社で、新たな研究領域の開拓による製品・サービスの提供、データの利活用による健康増進など、さまざまな活動への寄与を目指しております。その取り組みに当社が参画することで、人々の健康寿命の延伸に貢献するソリューションの開発、提供を加速してまいります。さらに、平成29年8月25日に公立大学法人兵庫県立大学と包括連携協定を締結いたしました。互いの知見と人材の活用を図り、グローバル時代における当社の創業地の一つである兵庫県の存在感を強めるべく、地域産業の育成と地域から世界に向けたイノベーション発信を行ってまいります。新事業創出に繋がる新たなモノづくりの仕組みを構築するため、平成29年12月1日に生産技術本部に「メカトロ技術センター」と「シミュレーション技術センター」を設置し、メカトロニクス技術とシミュレーション技術の基盤技術強化および全社展開加速に取り組んでおります。セグメント別の活動状況は以下のとおりであります。(1)セルロース事業当社が中心となって、酢酸セルロース、たばこフィルター用トウの競争力強化のため、プロセス革新技術による製造プラントへの適応を進めております。また、セルロースをベースとした新用途開拓や新製品開発にも力を入れております。当事業に係る研究開発費は14億72百万円であります。(2)有機合成事業当社が中心となって、酢酸製造技術の改良研究、過酢酸誘導体、コスメ、電子材料向け有機機能品の開発・商品化、新規光学異性体分離カラムおよび分離精製用関連製品の開発などを行っております。また、高機能材料開発では、半導体レジスト、プリンテッドエレクトロニクス向けに樹脂材料ならびに機能性溶剤の開発を進めております。一方、既存製品の競争力強化のため、プロセス革新技術により製造プラントへの適応を進めております。当事業に係る研究開発費は41億81百万円であります。(3)合成樹脂事業ポリプラスチックス㈱およびダイセルポリマー㈱が中心となって、エンジニアリングプラスチックの高品質化および環境対応、高機能樹脂やポリマーアロイの開発、スチレン製品の商品開発などを行っております。当事業に係る研究開発費は35億92百万円であります。(4)火工品事業当社が中心となって、自動車エアバッグ用新規ガス発生剤や新規インフレータの研究開発、および緊急脱出装置用関連製品の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は35億51百万円であります。(5)その他事業ダイセン・メンブレン・システムズ㈱において分離膜および膜装置システムの開発などを行っております。当事業に係る研究開発費は1億56百万円であります。(6)コーポレート当社では、新規事業創出のための研究開発や基盤研究をコーポレート部門が行っております。その研究開発費は58億89百万円であります。当社独自の素材の強みを活かし、加工度を上げて、高度な機能を持つ製品群をお客様に提案することのできる事業の創出を目指し、市場開拓・顧客開拓が進んだ機能フィルム、光学部材、医薬品添加剤、機能性食品素材などの機能性材料の事業化を進めております。
FY2017|1,641 文字
6【研究開発活動】当社グループ(当社および連結子会社)では、既存事業の強化拡大および新事業創出のための研究開発に取り組んでおります。研究開発人員は、グループ全体で1,128名であり、これは総従業員数の10%にあたります。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、168億6百万円であります。長期ビジョン『Grand Vision 2020』で掲げる新事業ユニット創出の一つとして、メディカル・ヘルスケア領域において、製品開発、市場開拓を進めております。その中で、火薬工学技術をコア技術とした新規医療関連事業創出の可能性をアカデミアと協働で検証しております。その成果として、従来の医療機器では実現できない、まったく新しい医薬品投与方法・治療方法に繋がる革新的な技術と成り得る可能性が明らかになりつつあります。これを応用したオンリーワン技術を創り、医療領域に大きく事業展開すべく、産学連携による新事業創出に取り組んでまいります。このため平成28年4月1日、研究開発本部内に「医療関連事業戦略室」を設け、大阪大学医学研究科との共同研究講座「高速エネルギー治療学」に連動した未来医療研究センター(吹田市)を設置いたしました。また、健康と美容に役立つ機能性食品素材の開発を進めており、北海道大学および北海道科学技術総合振興センターとの共同研究により、当社の機能性食品に使用している原料である「こんにゃくセラミド」の活性成分「グルコシルセラミド」が皮膚のかゆみ神経の過敏症の改善に有効であるというメカニズムを解明いたしました。この結果、アトピー性皮膚炎などの疾患予防に有効であることが期待されております。セグメント別の活動状況は以下のとおりであります。(1)セルロース事業当社が中心となって、酢酸セルロース、たばこフィルター用トウの生産技術および品質競争力強化の取り組み、また、セルロースをベースとした新用途開拓や新製品開発にも着手しております。当事業に係る研究開発費は10億22百万円であります。(2)有機合成事業当社が中心となって、酢酸製造技術の改良研究、過酢酸誘導体、コスメ、電子材料向け有機機能品の開発・商品化、新規光学異性体分離カラムおよび分離精製用関連製品の開発などを行っております。また、高機能材料開発では、半導体レジスト、プリンテッドエレクトロニクス向けの樹脂材料ならびに機能性溶剤の開発を進めております。一方、既存製品の競争力強化のため、プロセス革新技術により製造プラントへの適応を進めております。当事業に係る研究開発費は34億1百万円であります。(3)合成樹脂事業ポリプラスチックス㈱およびダイセルポリマー㈱が中心となって、エンジニアリングプラスチックの高品質化および環境対応、高機能樹脂やポリマーアロイの開発、スチレン製品の商品開発などを行っております。当事業に係る研究開発費は33億64百万円であります。(4)火工品事業当社が中心となって、自動車エアバッグ用新規ガス発生剤や新規インフレータの研究開発、および緊急脱出装置などの開発を行っております。また、火工品技術(パイロテクニック)を応用した新規分野の商品開発にも力を入れております。当事業に係る研究開発費は32億49百万円であります。(5)その他事業ダイセン・メンブレン・システムズ㈱において分離膜および膜装置システムの開発などを行っております。当事業に係る研究開発費は1億54百万円であります。(6)コーポレート当社では、新規事業創出のための研究開発や基盤研究をコーポレート部門が行っております。その研究開発費は56億14百万円であります。当社独自の素材の強みを活かし、加工度を上げて、高度な機能を持つ製品群をお客様に提案することのできる事業の創出を目指し、エレクトロニクス市場向け機能性化学品や機能性フィルムおよび、メディカル・ヘルスケア分野など、成長市場で使用される機能性材料の開発に注力しております。
FY2016|1,346 文字
6【研究開発活動】当社グループ(当社および連結子会社)は、既存事業の強化拡大および新事業創出のための研究開発を推進しております。研究開発スタッフは、グループ全体で1,070名であり、これは総従業員数の10%にあたります。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、153億6百万円であります。研究開発関連では、平成27年4月1日に以下の組織変更を行いました。長期ビジョン『Grand Vision 2020』で掲げる新事業ユニット創出の一つとして、メディカル・ヘルスケア領域において、製品開発、市場開拓を進めており、その中で、「安心、安全で、環境にやさしい」というバイオ技術の特徴を活かし、エクオールを始めとした健康食品向け新規機能性食品素材の開発を行なっております。平成27年4月1日、本ヘルスケア事業構築を加速することを目的に、ユニチカ株式会社の生活健康事業を譲り受け、研究開発本部にヘルスケア事業部を設置いたしました。セグメント別の活動状況は以下の通りであります。(1)セルロース事業当社が中心となって、酢酸セルロース、たばこフィルター用トウの生産技術および品質競争力強化の取り組み、既存製品をベースとした新用途開拓や新製品開発などを行っております。当事業に係る研究開発費は8億94百万円であります。(2)有機合成事業当社が中心となって、酢酸製造技術の改良研究、新規有機誘導体の開発、有機機能品の開発・商品化、新規光学異性体分離カラムおよび分離精製用関連製品の開発などを行っております。また、高機能材料開発では、LED封止材をはじめ、光源・光学材料の開発を進めております。一方、既存製品の競争力強化のため、プロセス革新技術により製造プラントへの適応を進めております。当事業に係る研究開発費は31億84百万円であります。(3)合成樹脂事業ポリプラスチックス株式会社およびダイセルポリマー株式会社が中心となって、エンジニアリングプラスチックの高品質化および環境対応、高機能樹脂やポリマーアロイの開発、スチレン製品の商品開発などを行っております。当事業に係る研究開発費は34億61百万円であります。(4)火工品事業当社が中心となって、自動車エアバッグ用新規ガス発生剤や新規インフレータの研究開発、および緊急脱出装置等の開発を行っております。また、火工品(パイロテクニック)技術を応用した新規分野の商品開発にも力を入れております。当事業に係る研究開発費は30億84百万円であります。(5)その他事業ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社において分離膜および膜装置システムの開発などを行っております。当事業に係る研究開発費は2億47百万円であります。(6)コーポレート当社では、新規事業創出のための研究開発やセグメントに配分できない基盤研究をコーポレート部門として行っております。その研究開発費は44億33百万円であります。当社独自の素材の強みを活かし、加工度を上げて、高度な機能を持つ製品群をお客様に提案することのできる事業の創出を目指し、エレクトロニクス市場向け機能性化学品や機能性フィルムおよび、メディカル・ヘルスケア分野など先端分野で使用される機能性材料の開発に注力しております。