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三菱瓦斯化学(4182)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

化学 素材・化学

事業の概要

  • 多角的な化学品製造販売
    三菱瓦斯化学グループは、メタノールやアンモニアなどの基礎化学品から、電子材料やエンジニアリングプラスチックといった高機能化学品まで、幅広い製品の研究開発、製造、販売を手掛けています。これらの製品は、顧客企業の事業活動における原材料や資材として利用され、多岐にわたる産業の基盤を支えることで収益を上げています。
  • グローバルな供給体制
    日本国内だけでなく、アジア、北米、南米、中東など世界各地に製造拠点や販売網を構築しています。これにより、地域ごとの需要に対応し、原材料の調達から製品供給までを効率的に行うことで、安定した事業運営と収益確保を目指しています。
  • 多様な製品ポートフォリオ
    グリーン・エネルギー&ケミカル事業部門ではメタノールや電力、機能化学品事業部門では電子材料や脱酸素剤など、異なる特性を持つ製品群を展開しています。これにより、特定の市場変動リスクを分散し、安定的な収益構造を構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • グリーン・エネルギー&ケミカル事業部門
    この部門は、メタノール、メタノール・アンモニア系化学品、ライフサイエンス系製品、汎用芳香族化学品、特殊芳香族化学品、発泡プラスチック類、電力などの製造・販売を担っています。かつての「基礎化学品事業部門」から名称変更され、環境に配慮したエネルギーと化学品に注力する姿勢を示しており、売上高は3,133.92億円です。
  • 機能化学品事業部門
    無機化学品、プラスチックレンズモノマー、エンジニアリングプラスチックス、電子材料、脱酸素剤といった高機能・高付加価値製品の製造・販売を行っています。この部門は、先端技術を要する分野での競争力を持ち、同社グループの技術力を象徴する事業であり、売上高は4,437.28億円と最も大きな規模を誇ります。
  • その他の事業
    上記の主要な二つの事業部門に分類されない、仕入販売などの事業活動が含まれます。これは、グループ全体の事業活動を補完し、多角的な収益源を確保する役割を担っています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
GreenEnergyAndChemicalsBusinessSector 地域 3,134
SpecialtyChemicalsBusinessSector 地域 4,437
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|1,479 文字
3【事業の内容】当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(三菱瓦斯化学株式会社)及び子会社85社、関連会社31社により構成されており、当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に関わる位置付けは次のとおりであります。なお、次の事業区分は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。また、当連結会計年度より、従来「基礎化学品事業部門」としていた報告セグメントの名称を「グリーン・エネルギー&ケミカル事業部門」に変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。 [グリーン・エネルギー&ケミカル事業部門]メタノール、メタノール・アンモニア系化学品、ライフサイエンス系製品、汎用芳香族化学品、特殊芳香族化学品、発泡プラスチック類、電力等の製造・販売を行っております。主な関係会社三菱ガス化学ネクスト㈱ MGCターミナル㈱ ㈱東邦アーステックMGC Specialty Chemicals Netherlands B.V. 三菱ガス化学トレーディング㈱MITSUBISHI GAS CHEMICAL SINGAPORE PTE. LTD. MITSUBISHI GAS CHEMICAL AMERICA, INC. MGCエネルギー㈱MGCウッドケム㈱ 国華産業㈱ 日本・サウジアラビアメタノール㈱ METANOL DE ORIENTE, METOR, S.A.BRUNEI METHANOL COMPANY SDN. BHD. 日本トリニダードメタノール㈱ 湯沢地熱㈱ ㈱JSP 安比地熱㈱ [機能化学品事業部門]無機化学品、プラスチックレンズモノマー、エンジニアリングプラスチックス、電子材料、脱酸素剤等の製造・販売を行っております。主な関係会社泰興菱蘇機能新材料有限公司 SAMYOUNG PURE CHEMICALS CO., LTD. MGC PURE CHEMICALS AMERICA, INC.MGC PURE CHEMICALS SINGAPORE PTE. LTD. 巨菱精密化学股份有限公司 MGCフィルシート㈱グローバルポリアセタール㈱ THAI POLYACETAL CO., LTD. KOREA POLYACETAL CO., LTD.三菱瓦斯化学工程塑料(上海)有限公司 三菱ガス化学トレーディング㈱MITSUBISHI GAS CHEMICAL SINGAPORE PTE. LTD. MITSUBISHI GAS CHEMICAL AMERICA, INC.MGCエレクトロテクノ㈱ MGC ELECTROTECHNO(THAILAND)CO., LTD. 永和化成工業㈱三菱エンジニアリングプラスチックス㈱ THAI POLYCARBONATE CO., LTD. AGELESS (THAILAND) CO., LTD.KOREA ENGINEERING PLASTICS CO., LTD. エムジーシー大塚ケミカル㈱ 菱電化成㈱台豊印刷電路工業股份有限公司 ㈱グラノプト Samyang Kasei Co., Ltd. [その他の事業]上記事業に属していない仕入販売等を含んでおります。 (注)複数のセグメントに携わる関係会社はそれぞれのセグメントに含めております。 [事業系統図]以上に述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
市況製品では景気後退局面で販売数量減少・価格下落が起きやすい。特殊品でも競争激化。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
新しい製品・製造プロセスの開発、既存製品・製造プロセスの改善・改良、高付加価値市場開発。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:事業特性に関するリスク / 海外事業活動に関するリスク / 合弁事業に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

三菱瓦斯化学は、独自の触媒技術や高機能化学品(例:メタノール誘導体、機能性樹脂)の開発力に強みを持つ。特に、ポリカーボネート原料や特殊溶剤などの分野で、長年の研究開発で培われたノウハウと特許が競争優位の源泉となっている。これらの技術は模倣が難しく、一定の参入障壁を形成している。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

同社の製品は、顧客の製造プロセスに組み込まれることが多く、仕様変更やサプライヤー変更にはコストと時間がかかる場合がある。特に、特定の機能性樹脂や添加剤などは、顧客の製品性能に直結するため、安易な切り替えは起こりにくい。しかし、代替材料の出現や顧客の技術革新によっては、スイッチングコストが低下する可能性もある。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

同社の事業モデルは、直接的なネットワーク効果を生み出すものではない。製品の価値は、個々の性能や品質に依存し、ユーザー数の増加によって価値が向上するような構造ではない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

化学品業界全体として、規模の経済や効率的な生産プロセスがコスト競争力に影響を与える。三菱瓦斯化学も、長年の操業で培われた生産ノウハウや、原料調達における一定の交渉力を持つと考えられる。しかし、原油価格の変動や、より大規模な競合他社との比較において、絶対的なコスト優位を確立しているとは断言しにくい。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

メタノール、ポリカーボネート原料、機能性樹脂など、特定の製品分野においては、業界内で一定の生産規模と市場シェアを有している。これにより、原料調達や生産効率において、中小規模の競合他社に対して優位性を保っている。しかし、グローバルな化学メーカーと比較すると、規模の面で劣る部分もある。

  • 幅広い製品と技術力
    基礎化学品から高機能化学品まで多岐にわたる製品群を持ち、それぞれの分野で培われた独自の技術が強みです。例えば、電子材料やエンジニアリングプラスチックといった高付加価値製品は、技術革新が求められる市場で競争力を発揮しています。
  • グローバルな事業展開と供給網
    世界各地に製造・販売拠点を持ち、特にメタノールなどの基礎化学品では、サウジアラビアやベネズエラなど海外の合弁会社を通じて安定的な供給体制を構築しています。これにより、地域ごとの市場ニーズに柔軟に対応し、効率的なサプライチェーンを維持しています。
  • 品質管理と顧客信頼
    顧客の事業活動に不可欠な原材料や資材を提供する企業として、厳格な品質管理体制を確立しています。世界的に認知された品質管理基準に基づいた製造活動と、顧客との密接な情報交換により、高い製品品質と信頼性を維持し、長期的な顧客関係を築いています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 ① 当期における重点施策の進捗状況当社グループは、「2030年ありたい姿」を実現させるための指針である中期経営計画「Grow UP 2026」を当期からスタートしました。目標として「事業ポートフォリオの強靭化」と「サステナビリティ経営の推進」を掲げ、目標達成に向けて、それぞれ3項目からなる施策を進めております。 中期経営計画 「Grow UP 2026」 ●目標1 事業ポートフォリオの強靭化  ■施策  -「Uniqueness & Presence」へのフォーカス  -イノベーションによる新しい価値の創造  -重点管理事業の再構築 本計画ではこれまでの差異化事業を「Uniqueness & Presence (U&P)事業」と改称し、「伸びる」「勝てる」「サステナブル」(=「事業期待性」「経済的価値」「社会的価値」)の観点で優れ、社会的価値と経済的価値を両立して持続的に成長できる事業と再定義しました。目標1「事業ポートフォリオの強靭化」を実現するための施策1として、「Uniqueness & Presenceへのフォーカス」に取り組みました。当期においては、半導体顧客の増強プロジェクトに合わせ着実に半導体向け薬液の増産投資を実施したほか、半導体市場の成長を見据えたタイにおける半導体パッケージ用BT材料の増産投資も推進しております。加えて、新潟工場での光学樹脂原料モノマープラントも完工し、成長ドライバーであるICT領域を中心とした大型投資を推進しました。さらに、欧州におけるメタキシレンジアミン製造設備の新設プロジェクトも推進中であり、U&P事業に経営資源を重点配分しております。施策2「イノベーションによる新しい価値の創造」については、新規事業創出・開発の組織を改定したほか、市場開拓中の医薬向け容器「OXYCAPTTM」がPharmapack 2025にてInnovation Awardを受賞、次世代低反りBTレジン積層板材料も第20回JPCA賞を受賞するなど、様々な取り組みの成果を得ました。施策3「重点管理事業の再構築」については、不採算が継続していたオルソキシレン、無水フタル酸、可塑剤の生産を停止いたしました。PC系事業については、高付加価値比率の向上やコスト削減を進め、中国拠点の損益が改善したほか、最適な生産・販売・研究開発体制構築の検討も進めております。 ●目標2 サステナビリティ経営の推進  ■施策  -カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの加速  -人的資本経営の充実  -マテリアリティマネジメントの推進 目標2「サステナビリティ経営の推進」については、施策の一つとしてカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを進めております。具体的には、当社技術を活かした環境循環型メタノール構想や、GHG排出量削減に向けた取り組みを加速します。また、社会の環境負荷を低減する製品群を新たにMGCグループ環境貢献製品『Sharebeing』として認定し、環境貢献に資する製品の拡充を一層推進します。当社グループの最重要経営資源である「人材」の育成・活用にも引き続き注力し、人的資本経営の充実を図ります。当期においては、環境配慮型ユリア樹脂のパナソニック(株)との共同開発や、炭素循環社会の実現に向けたサプライチェーンの実証実験に関するJFEスチール(株)、三菱ケミカル(株)との覚書締結、消化ガスからのバイオメタノールの製造開始など、各種取り組みを進めました。 ② 今後の取り組み次期の世界経済は、米国の関税措置や各国の金融政策等の動向、中国経済低迷の長期化や地政学的リスクの高まりなど、不確実性が更に増しており、各国経済への影響を含め景気の先行きが見通しにくい状況が継続しております。当社グループは引き続き、2024年度よりスタートした中期経営計画「Grow UP 2026」のもと、事業ポートフォリオの強靭化を目標に、「Uniqueness & Presenceへのフォーカス」「イノベーションによる新しい価値の創造」「重点管理事業の再構築」等の施策を進め、資本効率を強く意識した事業ポートフォリオ改革を徹底してまいります。具体的には、目標1「事業ポートフォリオの強靭化」に向けて、成長ドライバーであるICT領域に積極投資を継続するなど、U&P事業への経営資源の優先配分を進め、大型投資案件の成果を刈り取ってまいります。また、新規・次世代事業の創出と育成に向け、ICT、モビリティ、医・食の3つのターゲット領域に特に注力し、R&D資源の積極投入を推進いたします。加えて、採算性に課題のある重点管理事業については、PC系事業における高付加価値品比率の向上、コスト削減や生産・販売・研究開発体制の合理化のさらなる推進等、引き続き事業の再構築を進め、収益性・資本効率性の改善を図ります。目標2「サステナビリティ経営の推進」に関しては、当社グループが掲げるミッション「社会と分かち合える価値の創造」のもと、カーボンニュートラル関連施策やマテリアリティマネジメントを推進します。カーボンニュートラル実現に向けた取組みとして、環境貢献製品「Sharebeing」の2030年売上高目標5,000億円を設定し、エネルギー・気候変動問題解決に貢献するだけでなく、市場競争力のあるU&P製品・技術の創出につなげてまいります。 目標とする経営指標(Grow UP 2026最終年度) <前提条件>為替:135円/US$原油価格(Dubai):80US$/BBL ※1: EBITDA =経常利益+支払利息+減価償却費※2: ROIC = (営業利益-法人税等+持分法損益)/投下資本 この経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載されている計画、目標等の将来に関する記述は、当連結会計年度末現在において当社が入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいて判断したものであり、不確実性を内包するものです。実際の業績等は、様々な要因によりこうした将来に関する記述とは大きく異なる可能性があります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 ① 当期における重点施策の進捗状況当社グループは、「2030年ありたい姿」を実現させるための指針である中期経営計画「Grow UP 2026」を当期からスタートしました。目標として「事業ポートフォリオの強靭化」と「サステナビリティ経営の推進」を掲げ、目標達成に向けて、それぞれ3項目からなる施策を進めております。 中期経営計画 「Grow UP 2026」 ●目標1 事業ポートフォリオの強靭化  ■施策  -「Uniqueness & Presence」へのフォーカス  -イノベーションによる新しい価値の創造  -重点管理事業の再構築 本計画ではこれまでの差異化事業を「Uniqueness & Presence (U&P)事業」と改称し、「伸びる」「勝てる」「サステナブル」(=「事業期待性」「経済的価値」「社会的価値」)の観点で優れ、社会的価値と経済的価値を両立して持続的に成長できる事業と再定義しました。目標1「事業ポートフォリオの強靭化」を実現するための施策1として、「Uniqueness & Presenceへのフォーカス」に取り組みました。当期においては、半導体顧客の増強プロジェクトに合わせ着実に半導体向け薬液の増産投資を実施したほか、半導体市場の成長を見据えたタイにおける半導体パッケージ用BT材料の増産投資も推進しております。加えて、新潟工場での光学樹脂原料モノマープラントも完工し、成長ドライバーであるICT領域を中心とした大型投資を推進しました。さらに、欧州におけるメタキシレンジアミン製造設備の新設プロジェクトも推進中であり、U&P事業に経営資源を重点配分しております。施策2「イノベーションによる新しい価値の創造」については、新規事業創出・開発の組織を改定したほか、市場開拓中の医薬向け容器「OXYCAPTTM」がPharmapack 2025にてInnovation Awardを受賞、次世代低反りBTレジン積層板材料も第20回JPCA賞を受賞するなど、様々な取り組みの成果を得ました。施策3「重点管理事業の再構築」については、不採算が継続していたオルソキシレン、無水フタル酸、可塑剤の生産を停止いたしました。PC系事業については、高付加価値比率の向上やコスト削減を進め、中国拠点の損益が改善したほか、最適な生産・販売・研究開発体制構築の検討も進めております。 ●目標2 サステナビリティ経営の推進  ■施策  -カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの加速  -人的資本経営の充実  -マテリアリティマネジメントの推進 目標2「サステナビリティ経営の推進」については、施策の一つとしてカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを進めております。具体的には、当社技術を活かした環境循環型メタノール構想や、GHG排出量削減に向けた取り組みを加速します。また、社会の環境負荷を低減する製品群を新たにMGCグループ環境貢献製品『Sharebeing』として認定し、環境貢献に資する製品の拡充を一層推進します。当社グループの最重要経営資源である「人材」の育成・活用にも引き続き注力し、人的資本経営の充実を図ります。当期においては、環境配慮型ユリア樹脂のパナソニック(株)との共同開発や、炭素循環社会の実現に向けたサプライチェーンの実証実験に関するJFEスチール(株)、三菱ケミカル(株)との覚書締結、消化ガスからのバイオメタノールの製造開始など、各種取り組みを進めました。 ② 今後の取り組み次期の世界経済は、米国の関税措置や各国の金融政策等の動向、中国経済低迷の長期化や地政学的リスクの高まりなど、不確実性が更に増しており、各国経済への影響を含め景気の先行きが見通しにくい状況が継続しております。当社グループは引き続き、2024年度よりスタートした中期経営計画「Grow UP 2026」のもと、事業ポートフォリオの強靭化を目標に、「Uniqueness & Presenceへのフォーカス」「イノベーションによる新しい価値の創造」「重点管理事業の再構築」等の施策を進め、資本効率を強く意識した事業ポートフォリオ改革を徹底してまいります。具体的には、目標1「事業ポートフォリオの強靭化」に向けて、成長ドライバーであるICT領域に積極投資を継続するなど、U&P事業への経営資源の優先配分を進め、大型投資案件の成果を刈り取ってまいります。また、新規・次世代事業の創出と育成に向け、ICT、モビリティ、医・食の3つのターゲット領域に特に注力し、R&D資源の積極投入を推進いたします。加えて、採算性に課題のある重点管理事業については、PC系事業における高付加価値品比率の向上、コスト削減や生産・販売・研究開発体制の合理化のさらなる推進等、引き続き事業の再構築を進め、収益性・資本効率性の改善を図ります。目標2「サステナビリティ経営の推進」に関しては、当社グループが掲げるミッション「社会と分かち合える価値の創造」のもと、カーボンニュートラル関連施策やマテリアリティマネジメントを推進します。カーボンニュートラル実現に向けた取組みとして、環境貢献製品「Sharebeing」の2030年売上高目標5,000億円を設定し、エネルギー・気候変動問題解決に貢献するだけでなく、市場競争力のあるU&P製品・技術の創出につなげてまいります。 目標とする経営指標(Grow UP 2026最終年度) <前提条件>為替:135円/US$原油価格(Dubai):80US$/BBL ※1: EBITDA =経常利益+支払利息+減価償却費※2: ROIC = (営業利益-法人税等+持分法損益)/投下資本 この経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載されている計画、目標等の将来に関する記述は、当連結会計年度末現在において当社が入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいて判断したものであり、不確実性を内包するものです。実際の業績等は、様々な要因によりこうした将来に関する記述とは大きく異なる可能性があります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は以下のとおりであります。 ① 経営成績の状況当連結会計年度における世界経済は、インフレ圧力がやや鈍化し、緩やかな回復傾向が見られた一方で、米国大統領選後の政策変更や、米欧主要国における金融政策の見直しなどを背景に、為替を含め金融・資本市場においてボラティリティの高い状況が継続しました。また、中国経済の停滞や、中東地域およびロシア・ウクライナにおける紛争長期化による地政学リスクに加えて、米国による関税措置など政策的リスクに晒され、経済およびサプライチェーンのさらなる分断が懸念される状況が継続しました。当社グループにおいては、世界経済の緩やかな回復に伴い、製品需要全般に前期比では回復傾向にありましたが、先端材料を除く半導体市場の回復ペースの遅れや、中国経済低迷の長期化等の下振れ要因もあり、取り巻く事業環境としては不確実性の高い状況が継続しました。このような中、当社グループは当期よりスタートした中期経営計画「Grow UP 2026」のもと、新たな目標として「事業ポートフォリオの強靭化」を掲げ、「Uniqueness & Presence事業へのフォーカス」「イノベーションによる新しい価値の創造」「重点管理事業の再構築」等の施策を進め、資本効率を強く意識した事業ポートフォリオ改革を徹底しております。当社グループの売上高は、円安に加え、メタノール市況の上昇やスマートフォン向け光学材料などの販売数量増加等が増収要因となりましたが、2023年12月に(株)JSPが連結子会社から持分法適用会社へ異動したことなどにより、減収となりました。営業利益は、(株)JSPが連結子会社から持分法適用会社へ異動したことなどが減益要因となりましたが、ポリカーボネートやポリアセタール等のエンジニアリングプラスチックスや、光学材料、メタノール事業の損益が前期を上回ったことや、円安などにより、増益となりました。経常利益は、営業利益の増加に加え、前期に計上されたトリニダード・トバゴのメタノール生産会社における減損損失の剥落や、メタノール市況の上昇等により、持分法損益が改善したことなどから、増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に計上された三菱エンジニアリングプラスチックス(株)の連結化に伴う段階取得差益の剥落が減益要因となりましたが、経常利益の増加に加え、繰延税金資産の回収可能性を判断する際の会社分類を変更したことにより一時的に法人税等調整額が改善したことなどから、増益となりました。 以上の結果、当社グループの連結業績は、次のとおりとなりました。単位:億円 当連結会計年度前連結会計年度差異増減率売上高7,7358,134△398△4.9%営業利益508473+35+7.4%持分法損益109△56+166-経常利益603460+142+31.0%親会社株主に帰属する当期純利益455388+67+17.3% セグメント別の業績は次のとおりであります。なお今期より、従来「基礎化学品事業部門」としていた報告セグメントの名称を「グリーン・エネルギー&ケミカル事業部門」に変更しております。また、前期まではセグメント別の売上高には「外部顧客への売上高」を記載しておりましたが、今期より「セグメント間の内部売上高または振替高」を含めた売上高を記載しております。前期のセグメント情報についても変更後の売上高を記載しております。 <売上高>単位:億円 当連結会計年度前連結会計年度差異増減率グリーン・エネルギー&ケミカル3,2314,128△896△21.7%機能化学品4,4414,092+349+8.5%その他1911+190-調整額△129△88△41-計7,7358,134△398△4.9% <営業利益>単位:億円 当連結会計年度前連結会計年度差異増減率グリーン・エネルギー&ケミカル127177△50△28.2%機能化学品413330+82+25.0%その他110+10-調整額△44△36△8-計508473+35+7.4% <経常利益>単位:億円 当連結会計年度前連結会計年度差異増減率グリーン・エネルギー&ケミカル205101+103+102.4%機能化学品439386+52+13.5%その他111+10+916.0%調整額△52△28△23-計603460+142+31.0% 〔グリーン・エネルギー&ケミカル〕メタノールは、前期に計上したトリニダード・トバゴのメタノール生産会社における減損損失の剥落や、市況が前期に比べ上昇したことなどから増収増益となりました。メタノール・アンモニア系化学品は、MMA系製品の販売数量は回復傾向にあるものの、修繕費の増加等により減益となりました。エネルギー資源・環境事業は、発電用LNGの販売数量の増加や、ヨウ素の販売数量増加ならびに市況の上昇等により増収増益となりました。メタキシレンジアミンや芳香族アルデヒドは、欧米向けの需要が回復傾向にあるものの、中国向けの誘導品の販売数量減少や固定費の増加等により減益となりました。キシレン分離/誘導品は、高純度イソフタル酸の市況は低迷しているものの、円安等もあり増収増益となりました。 〔機能化学品〕無機化学品は、半導体向け薬液において、高機能メモリ向けに使用されるハイブリッドケミカルなどの販売数量が増加したことから増益となりました。エンジニアリングプラスチックスは、ポリカーボネート、ポリアセタール共に、高付加価値品をはじめとして販売数量が増加したことに加え、製造コストの改善等もあり増収増益となりました。光学材料は、スマートフォンにおけるカメラの高機能化トレンドや新興国向け需要の増加等により、光学樹脂ポリマーの販売数量が増加し増収増益となりました。電子材料は、主力の半導体パッケージ用BT材料において、スマートフォン向け材料の販売が堅調であったことに加え、AIサーバー向け基板材料OPE®の販売数量が増加したことなどの増益要因はありましたが、BT材料の顧客向け品質対応の強化に伴うコスト増加等により、前年同期並みの損益となりました。「エージレス®」等の脱酸素剤は、円安による輸出価格改善や海外向け販売数量の増加により増収増益となりました。 ② 財政状態の状況当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ516億円増加し11,196億円となりました。流動資産は、28億円減少し4,602億円となりました。減少の要因は、受取手形、売掛金及び契約資産の減少などであります。固定資産は、545億円増加し6,594億円となりました。増加の要因は、機械装置及び運搬具の増加などであります。負債合計は、391億円増加し4,223億円となりました。流動負債は、短期借入金の増加などにより、334億円増加しました。固定負債は、長期借入金の増加などにより、56億円増加しました。純資産は、125億円増加し6,973億円となりました。増加の要因は、利益剰余金の増加などであります。この結果、自己資本比率は59.7%になりました。 ③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ84億円減少し569億円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ19億円収入が増加し754億円の収入となりました。増加の要因は、仕入債務の増減額の増加などであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ148億円支出が増加し909億円の支出となりました。増加の要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入の減少などであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ453億円収入が増加し47億円の収入となりました。増加の要因は、短期借入金の純増減額の増加による収入の増加などであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)グリーン・エネルギー&ケミカル事業部門(百万円)182,467△27.0機能化学品事業部門(百万円)370,11715.8その他の事業(百万円)42-合計(百万円)552,626△3.0(注)生産金額は、生産総量から自家消費分を差引いた販売向けの生産量に当連結会計年度の販売単価を乗じて算出しており、セグメント間の内部振替前の数値であります。 b.受注実績当社グループ(当社及び連結子会社)は原則として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。c.販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)グリーン・エネルギー&ケミカル事業部門(百万円)313,392△22.5機能化学品事業部門(百万円)443,7288.6その他の事業(百万円)16,47012,568.1合計(百万円)773,591△4.9(注)当連結会計年度において、その他の事業セグメントの販売実績に著しい変動がありました。これは、一部連結子会社のシステム改修に伴いより精緻な集計が可能になったことから、報告セグメント別の経営成績をより適切に反映させるため、当連結会計年度より、各報告セグメントへの配分方法を変更したことによるものであります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容中期経営計画「Grow UP 2026」初年度にあたる当連結会計年度の経営成績ならびに最終年度(2026年度)の目標値は以下のとおりであります。 連結指標2023年度実績2024年度実績2026年度目標売上高8,134億円7,735億円8,500億円営業利益473億円508億円850億円経常利益460億円603億円950億円ROIC ※3.3%6.4%8%以上ROE6.1%6.9%9%以上※ ROIC= (営業利益-法人税等+持分法損益)/投下資本 当連結会計年度の経営成績に関する状況の認識は「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。中長期的な課題への対処としては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、「Grow UP 2026」において2つの目標とそれぞれについて3つの施策を掲げるとともに、3か年の累計投融資額3,000億円を計画しております。成長ドライバーであるICT領域への積極投資、R&D資源の積極投入や重点管理事業の再構築等、「事業ポートフォリオの強靭化」及び「サステナビリティ経営の推進」に向け、グループ一体となりまい進していきます。 セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 [グリーン・エネルギー&ケミカル事業部門]グリーン・エネルギー&ケミカル事業部門の経営成績は以下のとおりであります。 連結指標2023年度実績2024年度実績2026年度目標売上高 ※4,128億円3,231億円3,500億円営業利益177億円127億円220億円経常利益101億円205億円320億円※ セグメント間の内部売上高又は振替高を含む 「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおり、2024年度実績は、円安に加え、メタノール市況の上昇などが増収要因となったものの、(株)JSPが連結子会社から持分法適用会社へ異動したことなどにより、減収減益となりました。前期に計上された海外メタノール生産会社における減損損失の剥落や、メタノール市況の上昇等により、持分法損益が改善したことなどから、経常利益は増益となりました。今後は、メタキシレンジアミン新規製造設備の早期立ち上げ、環境循環型メタノール構想Carbopath™の実現やCCS実用化に向けた取り組み、物流・生産の効率化によるコスト削減など、引き続き高付加価値化・効率化に向けた施策を推進してまいります。また、重点管理事業に位置付けるキシレン分離/誘導品については、オルソキシレン系チェーンの撤退を進めました。今後も更なる構造改革に取り組んでまいります。 [機能化学品事業部門]機能化学品事業部門の経営成績は以下のとおりであります。 連結指標2023年度実績2024年度実績2026年度目標売上高 ※4,092億円4,441億円4,900億円営業利益330億円413億円650億円経常利益386億円439億円650億円※ セグメント間の内部売上高又は振替高を含む 「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおり、2024年度実績は、円安に加え、スマートフォン向け光学材料などの販売数量増加等により増収となりました。営業利益、経常利益はポリカーボネートやポリアセタール等のエンジニアリングプラスチックスや、光学材料が前期を上回ったことや、円安などにより、増益となりました。今後は、エレクトロニクスケミカルズの国内外での生産体制の強化、電子材料の海外製造子会社の生産能力増強、レンズモノマープラントの新設など、成長が期待されるICT分野を中心に、U&P事業の成長に向けた各種施策を引き続き進めてまいります。また、重点管理事業に位置付けているポリカーボネート系事業は、シートフィルム生産拠点の集約化など各種コスト削減に取り組んでおります。今後も差別化できる高付加価値分野へのシフトを加速するとともに、事業環境に合わせた生産能力の見直しを推進することで、収益性・資本効率性の改善を図ってまいります。 ② 経営成績等に重要な影響を与える要因当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 ③ 資本の財源及び資金の流動性当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。これらの資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの借入、社債等を基本としております。なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。また、当連結会計年度末における有利子負債の残高は2,139億円、現金及び現金同等物の残高は569億円となっております。 ④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。事業に対する投資や撤退判断等、経営の意思決定を迅速に行うため、売上規模や利益額に加え、資本効率を分析値に加えております。 ⑤ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

事業リスク

  • 事業環境と市況変動
    同社グループの製品は、顧客の事業活動の原材料となるため、販売先の国や地域の経済状況、貿易政策、顧客の事業環境に大きく影響されます。特にメタノールなどの市況製品は景気後退時に販売数量減少や価格下落のリスクがあり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 技術革新と競争激化
    電子材料などの特殊品・高付加価値製品は、製品寿命が短く、常に技術革新競争にさらされています。既存製品の陳腐化や新規製品開発の遅延、あるいは代替製品の出現により競争が激化した場合、売上高の減少や業績悪化につながる可能性があります。
  • 海外事業と地政学リスク
    アジア、北米、南米、中東など広範な海外事業を展開しており、各国の政情不安、自然災害、感染症の拡大、法制度の違い、外国政府による投資制限などが事業活動や資金送金に支障をきたす可能性があります。これにより、業績や財務状況に悪影響が及ぶリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|7,169 文字
3【事業等のリスク】当社グループでは、「リスク」を、その顕在化により人的被害、物的被害、機会損失、風評被害等が発生し、最終的に会社に経済的損失をもたらす可能性又は危険と捉えており、平時並びに緊急時においてリスクの管理を行う体制を構築しております。具体的には、「内部統制リスク管理基本規程」を定め、リスク管理及びリスク対応に際しての基本方針を定めるとともに、社長直轄の決定機関として、内部統制リスク管理担当役員を委員長とする「内部統制リスク管理委員会」を設置しております。当該委員会は、リスク管理制度等に係る方針、施策、計画に係る事項、事業及び業務に関するリスク管理に係る事項及びこれに付随する指導、指示、監督に係る事項、事業継続計画策定に関する指導、指示、監督に係る事項などを決定します。また、リスク管理に関する状況は定期的に取締役会に報告が行われております。当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクとして考えられる主な事項として、後述の①から⑬までのものがあります。これらはいずれも、当連結会計年度末現在において、顕在化の程度、時期、具体的な影響等を見積もることは困難であるものの、起こり得るものとして当社グループが判断したものです(但し、必ずしもあらゆるリスクを網羅したものではありません)。 ① 事業特性に関するリスク[リスクの内容] 当社グループの事業の中心は製造業であり、その製品の多くは顧客の事業活動に用いられる原材料や資材・薬剤であることから、製品販売先の国、地域の経済状況や関税その他の貿易政策、顧客の事業分野での事業環境などの影響を受けます。とりわけ、メタノール、メタノール誘導品、汎用芳香族製品や汎用ポリカーボネート樹脂等の市況製品では、一般的に、景気後退局面において販売数量の減少、販売価格の下落等が起きやすいと言えますが、特殊品・高付加価値製品においてもシリコンサイクルなど顧客需要の波はあり、需要量の減少は当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、特殊品・高付加価値製品においても価格、品質、機能、納期、カスタマーサービス等の面で競争しており、機能を代替する製品の出現など競争の水準が上がることで、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、先端半導体等のエレクトロニクス業界を主な顧客としている製品等は、一般的に製品寿命が短く、常に技術革新競争にさらされているため、既存製品の陳腐化や新規製品開発の遅延によって、売上高が減少する可能性があります。また、当社グループの製品の中には、特定の顧客に対してのみ販売しているものがあり、顧客が当該製品の使用を中止することにより、売上高が減少する可能性があります。 当社グループは、原料キシレン等の原材料や電力等を外部から購入しており、販売においては物流その他の外部サービスを利用するほか、製造設備等の保守、新設も常に行っております。必要な原材料、資材、設備、サービス等が調達、利用できなくなると製造活動に支障が出る可能性があるほか、価格が急騰した場合にも当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの事業は、研究開発、製造、販売、物流、企画、管理等、様々な分野における多様な多数の従業員の働きで成り立っております。人材の流動化や国内における少子高齢化、海外における急速な経済水準上昇等の影響によって、こうした人材の確保が国内外で困難となり又はそれに要する労務費その他の負担が過大となった場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。[主な取り組み]当社グループは、より一層の生産性向上を図るため、新しい製品・製造プロセスの開発や既存製品・製造プロセスの改善・改良を実現すべく基礎研究・応用研究に取り組むとともに、付加価値の高い新たな市場、事業分野の開発にも取り組んでおります。また、開発部門なども含めた顧客との密接な情報交換に努めるとともに、長期供給契約の締結などによりリスクの低減を図るほか、原材料等の購買においては複数の供給元からの調達や長期購買契約の締結などによりリスクの低減を図り、将来の輸送力不足等の物流リスクに関しても、物流手段、物流体制の見直し等に取り組んでおります。生産性向上は製造活動にとどまるものではなく、事業活動の全般において情報システムその他の新たなテクノロジーを活用すべく取り組んでおります。人材の確保に関しても、多様な個性を持つ社員が互いに尊重し、全員が活躍・成長できる職場環境の実現と、多様な価値観のコラボレーションによる新機軸・技術革新(イノベーション)が次々に生まれる活性化された風土作りを目指し、専門部署を設置するとともに各種の施策に取り組んでおります。 ② 海外事業活動に関するリスク[リスクの内容]当社グループは、アジア、北米、南米、中東等に現地法人を設立し、又は日本から直接、海外における製造販売、調達等の事業活動を行っておりますが、各国内又は地政学的な情勢によっては、自然災害、戦争等、インフラの障害、感染症の拡大、その他予期せぬ事態による政情不安、社会的、経済的混乱等により、事業活動や資金・利益配当の送金等が困難となる可能性もあります。そのほか、法制の違いの問題、外国政府による投資等への制限や資産の国有化・収用の可能性、人事・労務問題等のリスクがあり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 [主な取り組み]当社グループは、可能な限り効果的かつ速やかな対応を可能とするべく、最新の世界情勢に目配りをしつつ、現地に派遣している役職員、合弁相手、関係当局その他からの情報収集に努めております。また、現地での安全確保なども含め、各事業の内容・地域等の事情に応じた対応を進めるべく取り組んでおります。 ③ 合弁事業に関するリスク[リスクの内容]当社グループは、日本国内はもとよりサウジアラビア、ベネズエラ、タイ、中国、韓国、トリニダード・トバゴといった海外においても製造合弁会社を多数有し、メタノール、合成樹脂、その他の各種製品を調達・販売しております。これら合弁相手は当社グループの支配下にあるわけではないため、合弁相手が当社グループや合弁事業にとって最良の意思決定をするという確証は無く、合弁が維持されないなどの事態が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 [主な取り組み]当社グループは、これまで築き上げてきた合弁相手先との良好なコミュニケーションの維持・強化を図り、目標・目的の共有や関係維持に努めるとともに、合弁契約その他の事業関連契約等によりリスクの低減を図っております。 ④ 製品の品質に関するリスク[リスクの内容]前述のとおり、当社グループの製品の多くは顧客の事業活動に用いられる原材料や資材・薬剤であり、顧客と合意した規格に沿った製品を製造しております。また、製品の中には食品等の原材料として用いられるものがあります。万一、品質上瑕疵ある製品が販売された場合、当該製品を用いた顧客や最終製品の使用者等における直接的損害のみならず、機会損失に対する補償の必要が生じたり、当社の社会的信用が損なわれたりするなどして、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 [主な取り組み]実際には当社グループの製造拠点のほとんどは世界的に認知された品質管理基準に基づき製造活動を行っておりますが、万一のリスクに対処するため、生産物賠償責任保険をはじめとした賠償責任保険を付保するほか、必要に応じ、顧客との契約によって責任範囲を明確化するなどの対応を行っております。 ⑤ 自然災害、事故等に関するリスク[リスクの内容]当社グループは、国内外に多数の製造拠点を有しており、これら拠点において地震、風水害等の自然災害や戦争、テロ・暴動、ストライキ、通信インフラの障害、感染症の流行やそれに伴うロックダウン等の諸施策、設備のトラブルや人為的ミス、その他予期せぬ事態の影響によって製造活動が停止する可能性があります。当社グループでは危険性を有する化学物質を日常的に取り扱っていることから、爆発、火災、有毒ガスの漏洩等の事故が発生し、製造設備や従業員に被害が生じたり、当該製造拠点周辺や顧客に損害を与えたり、環境汚染等が生じるといった可能性を完全には排除できません。また、当社グループの製造拠点の多くは複数の製造設備を有し、それらが電気、用水、スチーム等のユーティリティー設備を共用していることから、当該設備が停止すると、製造拠点全体の製造活動が停止する可能性があります。このような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 [主な取り組み]当社グループは、総合的な環境安全管理の手段としてレスポンシブル・ケア活動を推進し、継続的改善を図る中で、リスクアセスメントの強化や安全教育の徹底により保安防災体制構築に最善を尽くしながら製造設備の維持、安定操業に努めることはもちろん、事業継続計画の策定や海外も含めた製造拠点の複数化にも取り組んでおります。加えて、火災保険、利益保険、油濁保険、賠償責任保険といった各種の保険を付保するなどの対応を行っております。ウェブ会議の全社的な活用等、生産性向上のための施策は感染症対策に資する面もあり、今後もこれらを継続するとともに、事業所ごとに具体的な実務に即した感染症への備えを徹底していきます。 ⑥ 情報セキュリティーに関するリスク[リスクの内容]当社グループは、事業活動上必要な機密情報及び個人情報を保有するとともに、ビジネスにおけるデジタル化の進展に伴い、各種情報システムを利用して事業活動を行っております。これらの情報の漏洩や情報システムのトラブル、サイバー攻撃や悪意ある第三者による詐欺行為等が発生した場合、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 [主な取り組み]当社グループでは、情報セキュリティー体制を整備し、各種ガイドラインに準拠すべく社内規定の整備、従業員に対する教育を行い従業員のリテラシー向上を図るとともに、一定の情報セキュリティーレベルの確保を図るべく、継続的な取り組みを行い、向上に努めております。 ⑦ コンプライアンスに関するリスク[リスクの内容]当社グループは、事業の特性上、毒劇物、危険物、高圧ガス等の危険性を有する化学物質を取り扱い、製造、保管、流通、販売等の各段階で、国内外を問わず法令等により種々の規制を受けております。また、取引を含めた事業活動全般における法令の遵守はもとより、これに限らない社会的責任の遂行が求められておりますが、結果として上述の規制を含めた法令・社会的規範に抵触するものとされた場合、法的責任や是正コストの発生、社会的制裁や信用の失墜などにより、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 [主な取り組み]当社グループは、環境規制等に対応する専門部署の設置のほか、コンプライアンス全般について、役職員にこれを意識づける各種施策の実施や、内部通報制度をはじめとする体制を構築し、法令等の遵守に努めております。当社グループでは、「コンプライアンス」を法令遵守にとどまらず、企業としての社会的責任を認識し、社会規範等を遵守するとともに公正で透明・自由な事業活動を行うことと捉え、周知しております。 ⑧ 人権に関するリスク[リスクの内容]人権に対する意識は先進国を中心にますます高まっており、ビジネス実施におけるサプライチェーンを含めての人権の尊重及び保護の取り組みが国際的に求められております。当社グループにおいて適切な対応がとられなかった場合、法令上の責任のみならず、取引の停止、社会的制裁、信用の失墜などにより、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 [主な取り組み]当社グループでは従来から「MGC企業行動指針」「MGCグループ行動規範」において人権の尊重等を掲げ、国連グローバル・コンパクトへの署名も行っております。さらに近年の人権に対する社会的意識の高まりを踏まえ、改めて「三菱ガス化学グループ人権指針」を掲げ、全社横断的な委員会などを通じて人権尊重に取り組んでおります。例えば「三菱ガス化学CSR調達ガイドライン」等をサプライチェーンに示して理解と協力を得るなど、人権の保護を含めた責任あるビジネスの実施を推進しております。 ⑨ 気候変動に関するリスク[リスクの内容]当社グループは、事業活動等に伴い排出される温室効果ガスがもたらす気候変動や、これに関連して自然環境、事業環境等に生じる様々な変化を重要なリスク要因として認識しております。温室効果ガス排出削減への取り組みが不十分な場合、社会的制裁や信用の失墜が生じうるほか、例えば、炭素税の賦課や排出権取引制度といった各種排出規制が導入された際には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 [主な取り組み]2019年5月に「気候関連財務情報開示タスクフォース」(TCFD)の提言に賛同しており、気候変動が当社グループに及ぼすリスクと機会について、本社管理部門長が参画する諮問機関での検討を踏まえ、社長を議長とし、社外を含む全取締役を主構成員として、監査役等も参加するサステナビリティ推進会議において審議・決定しております。また、脱炭素シナリオ・成り行きシナリオによるシナリオ分析を通じて、これらによるリスクを低減するとともに、リスクを事業上の機会とできるようレジリエンスを強化していきます。カーボンニュートラルへの取り組みに強みを有する当社既存事業からの展開や研究開発力を生かし、その他の当社グループ事業や社外との協働も進めながら、移行段階では温室効果ガス排出の少ないLNG発電による電力の活用や、再生可能エネルギーの導入を進めております。今後、各種カーボンフリーエネルギーシステム、CCUS、リサイクルシステムの確立や実装等を具体的な削減施策とし、2050年の当社グループのカーボンニュートラル達成に向け取り組みを進めていきます。 ⑩ 事業投資その他各種投資に関するリスク[リスクの内容]当社グループは、事業成長の実現や競争力の強化等のために設備投資や研究開発投資を行い、既存事業の強化や将来の市場ニーズに合致する新規事業の創出に注力しております。また、国内外において、合弁会社を含む新会社の設立や出資等、さらには既存の会社の買収などの事業投資を実施し、今後も実施することがあります。これらの投資がその額に見合う収益を得られない場合や、保有する有価証券の評価額が大幅に下落した場合などには、固定資産の減損、有価証券評価損、持分法による投資損失等の損失が発生するなど、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 [主な取り組み]当社グループは、投資に際して社内審査体制を整備・運用しているほか、その内容に応じて事業の状況等を適宜確認し、関係部門が適切な対策を講じるべく努めております。 ⑪ 為替変動に関するリスク[リスクの内容]輸出入等の外貨建て取引においては、為替の動向によって、売上高の減少や損失の増大が生じるなど、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの海外現地法人の現地通貨建ての財務諸表項目は、当社連結財務諸表の作成のため円貨換算されており、換算時の為替レートによって、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 [主な取り組み]当社グループは、外貨建て債権・債務に係る為替変動リスクに対し、社内規定に基づく先物為替予約取引等によって一定程度のリスクヘッジを行っております。 ⑫ 資金調達・金利変動に関するリスク[リスクの内容]当社グループは、必要な資金の調達に際し、一定程度、金融機関から借り入れ等を行っておりますが、金融環境が急変した場合などには、資金調達が困難になったり金利上昇によって支払利息が増加したりするなど、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 [主な取り組み]当社グループは、負債資本倍率、自己資本比率などを指標に一定の財務健全性を維持するよう努めるとともに、固定金利・変動金利の適宜の組み合わせの実施や、金融機関などとの健全かつ良好な関係の維持に努めるなどしております。 ⑬ 訴訟に関するリスク[リスクの内容]当社グループの国内外の事業に関連して、将来訴訟その他の法的手続が提起され、不利な結果が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、当社グループは、国内外において特許を出願し取得するなど自社の知的財産の保護を図るとともに、他者の権利を侵害しないようにも努めております。しかし、これらに関して訴訟が生じ、当社の主張が認められなかった場合、当社グループの業績や成長に悪影響を及ぼす可能性があります。 [主な取り組み]当社グループは、事業に関連する各種法令を遵守するのはもちろんのこと、弁護士その他の専門家の協力も得ながら、適切な契約の締結による権利義務の明確化、他者の権利の調査等、紛争の未然防止に努めております。

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