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FY2025|14,992 文字|出典 docID: S100XTNG
3 【事業の内容】(1) 当社グループの概要当社グループのミッションは、「自律型AIでROIを向上させる」です。現在、あらゆるサービスやソリューションでAIの活用が進展しており、世界は急速に進展するAI革命の真只中にあります。当社は、このAI時代における大きな変革の機会を捉え、ビジネスドメインであるマーケティング分野において、業種特化・顧客中心型の自律型AIモデルを高性能化するための豊富な経験の蓄積、データを用いたAIの訓練と改善の積み重ね及びプロダクト開発のための研究開発投資を通じて、顧客企業のROI(投資リターン)向上を実現してきました。当社グループは、マーケティング分野におけるAIソリューションを提供するパイオニアとして、マーケティングからセールス活動まで顧客接点の全領域を支援するソリューションを提供し、企業の収益最大化に貢献してきました。また近年では、AaaS(Agentic AI as a Service)を提供するAIネイティブ企業として、自律型AIが分断されていたデータを瞬時に統合・連携させることで、市場の変化をリアルタイムに捉える、自律的で適応力の高いオムニチャネルマーケティングを提供しています。これにより、当社の自律型AIは顧客企業にとって24時間365日稼働する自律的なマーケティングパートナーとなり、事業戦略の立案から実行まで継続してサポートすることで、明朗で説得力のある意思決定が可能になります。 多くの企業は価値あるファーストパーティデータを保有しながらも、「データの断片化」と「AI人材の不足」という課題により、有効に活用することができていません。当社グループのAIプラットフォーム(当社グループが提供するソリューションの総体をいいます。以下同じ。)は、この課題を解決します。まず深層学習(ディープラーニング)技術(注1)を活用し、フォーマットが異なる多様なデータをシームレスに統合することで、「データの断片化」の問題を解消します。さらに、統合されたデータに基づいて、最先端のAIモデルを自動で構築するソフトウェアを提供することで、高度な「AI人材不足」の課題も解消します。加えて、当社のAIプラットフォームは、構築されたAIモデルを現場ですぐに活用することができるだけでなく、他のマーケティングアプリケーションとの連携が容易です。これにより、顧客企業のマーケティング活動の効率性を飛躍的に高め、ROIを向上させることができます。 当社グループのAIプラットフォームが提供するソリューションは、予測AI(Predictive AI)モデル及び生成AI(Generative AI)モデルだけでなく、あらゆるAIモデルを統合して自律的にタスクを完遂する自律型AI (Agentic AI)を内包しています。これにより、単なる高精度な「消費者行動・興味関心の予測」に留まらず、予測に基づいたクリエイティブの自動生成や自律的な業務のリアルタイムな遂行を可能にします。これにより、データは真の価値を発揮し、マーケティング及びセールスの領域におけるファネル(注3)の各段階における課題解決を支援します。 当社グループは、AIとデータ活用における革新を通じて、顧客企業に以下の戦略的価値を提供します。(1) ROIの最大化: AIが自律的に学習・実行することで、「過去データの基づく意思決定」から「ユーザー行動を予測して先回りする意思決定」へと転換させます。これにより、投資実行前に予測ROIを把握し、マーケティング投資のROIを最大化します。(2) 時間とコストの劇的な削減: 自律型AI(Agentic AI)の活用を容易に導入することができ、業務プロセスへの統合にかかる時間とコストを大幅に削減します。(3) ファネル全段階の最適化: デジタルマーケティングとセールス領域の課題を一気通貫で解決します。相互にリンクしたデータ基盤により、ファネル全段階の最適化を可能にします。 (注) 1.ニューラルネットワーク(注2)により機械学習技術を実装するための手法の一種2.生物の神経ネットワークの構造と機能を模倣するという観点から生まれた、脳機能に見られるいくつかの特性を計算機上のシミュレーションによって表現することを目指した数学モデル3.「じょうご」の意。後記「(4) 当社グループのソリューション」で述べるとおり、当社グループでは、潜在的なユーザーの予測及び獲得からユーザーの維持及び関係構築、販売に至るマーケティングのすべてのプロセスを「フル・ファネル」と表現しています。 (2) 当社グループの歴史当社グループは2012年6月、米国のハーバード大学やスタンフォード大学在籍時に、四足歩行ロボットや自動運転自動車の開発など、AI・データ分析・分散処理システム分野での研究経験を有するAIサイエンティストとコンピュータプログラムのエンジニアメンバーが、AIを活用した企業向けマーケティングソリューションの研究開発を台湾で開始したことに始まります。マーケティング分野に注力したのは、マーケティングとセールスこそが企業とユーザーとの最初の接点であり、全てのビジネスの出発点であると考えたためです。 当社グループは、AIや機械学習の研究で実績を残したAIサイエンティストが技術面を牽引しています。研究開発人員の多くがAI・ビッグデータ・コンピューターサイエンス領域で博士号または修士号を取得しています。また、当社グループの役員・従業員が執筆した300本以上の論文が、トップジャーナル、カンファレンス、ワークショップにおいて発表されています。さらに、世界的に著名なデータマイニングコンテスト「KDDカップ」では、当社グループの従業員が参加したチームが7回優勝したという実績もあります。こうした実績により、当社グループはフォーチュン誌から「AI革命を牽引する50社(2017年)」(注1)に、ガートナーから「AIクールベンダー(2017年)」(注2)に選出される等、AI企業として高い評価を受けてきました。事業面においても経験豊富なメンバーを擁し、技術力・事業経験・顧客中心主義を組み合わせた独自の企業文化を形成しています。 当社グループの主要な歩みは以下のとおりです。・2014年:当社グループ初のプロダクトである「CrossX」の提供を開始。・2014年~2015年:台湾から日本と韓国に事業を拡大。さらに東南アジア各国に進出。・2018年:インドのQuantumgraph Solutions Private Limitedを買収し、AI機能を追加した「AIQUA」の提供を開始。・2019年:日本のEmotion Intelligence株式会社を買収し、最先端の機械学習技術を追加した「AiDeal」の提供を開始。・2020年:中国での事業活動を強化し、欧州・米国に展開。・2021年:台湾の邦妮科技有限公司(BotBonnie Inc.)を買収し、会話型のエンゲージメント・マネジメント・プラットフォーム「BotBonnie」の提供を開始。・2022年:米国のWoopra, Inc.を買収し、AIを搭載した次世代CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)「AIRIS」の提供を開始。・2025年:フランスのADYOUNEED SASを買収し、最適な広告クリエイティブを自動生成できるAI搭載プラットフォーム「AdCreative.ai」の提供を開始。 現在、当社グループは、東京の他、大阪、ソウル、台北、香港、北京、カリフォルニア、アムステルダム、パリ、シンガポール、クアラルンプール、ホーチミン、マニラ、ジャカルタ、バンコク等の15ヵ国・地域に17のオフィス(2025年12月末時点)を構え、2,111の企業グループ(注3)に直接または代理店経由でAI プラットフォームを提供しています。 主要な関係会社(AaaS事業)開発の拠点:Appier,Inc.等グループ会社の統括本社機能:Appier Pte. Ltd.販売活動を行っている子会社:Appier Japan株式会社、Appier,Inc.等 (注) 1.2017年にCBインサイツが多様な健全性・成長性指標に基づき選出した「世界で最も有望なAIスタートアップ企業100社」(「AI100」)の中から、資金調達額の多かった上位50社。なお、当社グループは2018年にもAI100に選出されている。2.東アジア地域で優れたAIソリューションを提供している企業として2017年にガートナーが選出したもの。3.2025年12月末時点で当社グループと契約しており、当社グループのソリューションを1種類以上利用している企業グループの総数。有償・無償のトライアル、デモ使用、M&Aにより獲得した顧客は含まない。複数のブランドで当社グループの同一のソリューションを利用している企業は、1社としてカウント。複数のブランドで当社グループの複数のソリューションを利用している企業は、利用している当社グループのソリューションの数ごとに個別の顧客企業としてカウント。 (3) AIプラットフォームが解決する現代の課題と可能性近年のデジタルマーケティングは、スマートデバイスの普及、eコマース、ソーシャルメディアの拡大に伴い、劇的な進化を遂げています。企業が取り扱うデータは急増し、オムニチャネル化と画像・動画等の非構造化データの増加により、その複雑性は増大しています。このような潮流の中、深層学習(ディープラーニング)や生成AI(Generative AI)から自律型AI (Agentic AI)といったAI技術の進展は、企業のデータ利活用ニーズを「データを収集・解析し意思決定に繋げる」段階から「設定された目標に対して、AIが自ら計画を立て、ツールを使い完遂する」へと質的に変容させました。しかしながら、多くの企業は、この変革期において以下の二大課題に直面し、成長機会を逸しているのが現状です。1.データの分断化と複雑化及び限られた質の高いデータへのアクセス: 顧客行動が複数ソースに分断され、形式が異なる大量のデータを瞬時に統合・管理すること、価値あるデータを独自でアクセスすることは困難です。2.AI人材の不足と実行コスト: AIをビジネスに貢献させるための高度な専門人材が不足しており、投資対収益に直結する価値あるAIモデル及び自律型AIの開発および組織への融合には多大な時間とコストを要します。 当社グループAIプラットフォームの革新:自律型AIによる解決当社グループのAIプラットフォームは、これらの社会的課題に対し、以下のように対応します。・AIによるデータ統合の自動化: ディープラーニング技術により、分断された異なるフォーマットのデータを瞬時に統合し、広範に利用可能な包括的なユーザープロファイルを自動生成します。これにより、データがない領域でも周辺嗜好に基づいた高精度な予測が可能になります。・AIによる実行の自律化: 最先端の機械学習と自律型AIを活用し、様々なAIモデルの自動構築を実現。データサイエンティスト不在でも、AIが自律的に学習・実行することで、企業の課題解決とROI最大化に集中できる環境を提供します。・迅速な導入: システム環境に依存しないプラットフォームとして提供することで、マーケティング担当者は初期投資を抑え、即座に最先端のAI活用(予測、生成、実行)を開始できます。 当社グループは、自律型AIソリューションをAaaS(Agentic AI as a Service)形式で提供することにより、多数の顧客企業が最先端のAIモデルを容易に活用することができ、AIの潜在能力が最大限に引き出されると考えています。このように、当社プラットフォームは様々なソースやデバイスから取得したデータを自動で統合することで、断片的な情報から包括的なユーザーのプロファイルを生成します。その際、ユーザーの自社ウェブサイトへの訪問履歴やアプリの使用履歴等を自然言語処理(注1)とディープラーニングにより解析します。これにより、データがない領域であっても、周辺領域におけるユーザーの嗜好を基に、未開拓分野への興味・関心を予測することができます。こうした分析により、より広範なトピックに対するユーザーの行動を高精度に予測することが可能となっています。 当社グループのソリューションを活用して、企業の課題を解決した具体例な事例は以下のとおりです。① データ統合の自動化:化粧品ブランドのアプリ・Webサイト、CRM(注2)からのストリーミングデータ(注3)を統合し、ユーザープロファイルを生成。ユーザーの行動パターン、興味・関心、商品の閲覧・購入履歴等のWebサイトやアプリ上での行動データを統合することで、包括的なユーザープロファイルを生成。② AI予測モデルの自動構築:包括的なユーザープロファイルに基づき、ユーザーが「いつ、何を、どのように購入するか」を予測するAI予測モデルを自動構築。例えば、あるユーザーが日焼け止めUVカットファンデーションを購入する可能性を高精度で予測し、適切なマーケティングを施策を実行することが可能。③ パーソナライズされた提案:最も関連性の高い商品を自動的にWebサイトやアプリに表示することで、コンバージョン率を向上。 (注) 1.人間が日常的に使っている自然言語をコンピューターに処理させる一連の技術2.顧客との良好な関係を構築し、顧客価値を高めるためのマネジメント3.多数のデータソースによって継続的に生成されるデータ (4) 当社グループのソリューション当社グループは、企業と価値あるエンドユーザーを結びつけるためのAIベースのソリューションを提供しています。特に、当社の顧客の多くを占める消費者向けサービス企業に対して、潜在的なユーザーの予測及び獲得からユーザーの維持及び関係構築、さらには販売に至るまで、マーケティングの全プロセスを一気通貫で支援するソリューションを揃えています。当社グループでは、このコンセプトをマーケティングとセールスのプロセス全体を包括する「フル・ファネル」と呼んでいます。このアプローチにより、各段階における顧客企業の課題解決を支援することができます。また、AaaS(Agentic AI as a Service)プラットフォームとして提供することで、AI活用のために必要な開発時間とコストを大幅に削減することができます。 当社グループのソリューションは、顧客企業に以下の価値を提供しています。① 企業レベルでの容易なAI導入:完全に自動化されたデータ統合とAIモデル自動構築の技術により、企業全体で容易にAIを導入。② CMO(Chief Marketing Officer)やマーケティング責任者の意思決定支援:将来のユーザー行動を予測し、そこから得られる知見を提供することで、従来の過去データのみに基づくマーケティング上の意思決定を、ユーザー行動を予測して先回りする意思決定へと進化。また、投資額に対するリターンを事前に予測することが可能。③ マーケティング担当者の業務支援:日々の業務課題に対応したフル・ファネルのソリューションを提供。デジタルマーケティングにおける煩雑な手作業を自動化することで、マーケティング担当者はより戦略的な意思決定に集中することが可能。 さらに、顧客企業が当社のソリューションを利用すればするほど、AIが学習するデータ量が増加し、予測精度が高まります。これにより、顧客企業のマーケティング投資のROIが一層向上し、ソリューションの利用拡大につながることで、当社ソリューションに対する顧客ロイヤルティが強化されると考えています。 広告クラウドは、当社グループの開発した自律型AIが、顧客企業の設定したマーケティング戦略をもとに、自ら計画を立てユーザー獲得のためのマーケティングキャンペーンを遂行し、顧客企業はその実施結果等をソフトウェア上のレポートにより確認することができます。それに対して、パーソナリゼーションクラウド・データクラウドは、自律型AIが既存顧客とのCRMの強化のためのエンゲージメント及びユーザーの行動予測からマーケティング施策立案を行うソフトウェアです。 顧客企業は自社のニーズに応じて、1つのソリューションのみを利用することも、複数を組み合わせて利用することも可能です。各ソリューションは高度に連携・統合されているため、組み合わせて利用することにより、従来得られなかった新たな知見や気づきを獲得することができます。さらに、得られたデータや知見を他の分野で活用することも可能です。 提供するプロダクトを最適化し、プロダクト間のシナジーを最大化するため、当社グループはプロダクトを「広告クラウド」「パーソナライゼーションクラウド」「データクラウド」という3つのカテゴリーに分類しています。 ① 広告クラウドCrossX、AIXPERT:ユーザーのライフタイムバリュー(LTV、生涯価値)を予測し、最も価値の高いユーザーを獲得することを可能にすることで、マーケティング投資を予測可能なリターンに転換 CrossXは、一般消費者を顧客とする企業がマーケティングの初期段階で直面する「マーケティング投資に見合う高いリターンが期待できるユーザーを獲得する」という課題を解決するためのプロダクトです。これは、マーケティング・ファネル図における最上段の「潜在ユーザーの予測及び獲得」にあたります。従来、企業のマーケティング担当者は、成果を改善するためにコストと時間をかけてマニュアル作業によるA/Bテスト(注1)を繰り返してきました。CrossXは、AIが最も生涯価値(LTV)の高い潜在的ユーザーを高い精度で予測し、当該潜在的ユーザーのターゲティングに基づくマーケティングキャンペーンを自動で実行することで、顧客企業が高い投資対効果(ROI)を実現できるよう支援します。 顧客企業がCrossXの利用を開始すると、最初にユーザーデータの取り込み及び機械学習を行います。ユーザーのプロファイル、サイトデータ、ユーザー行動などの1万以上のデータの組み合わせが、当社グループのマルチタスク型ディープラーニングモデルに入力されます。これにより、質の高いユーザーを見つけるだけでなく、「サイト訪問」「ユーザー登録」「購入」などの複数の重要な目標を達成するユーザーや、生涯価値(LTV)などの将来の行動やパターンを予測し、顧客企業に高いROIをもたらすユーザーを予測することができます。さらに、獲得したデータに対して繰り返し機械学習を行い、予測モデルを改善し続けます。当社グループのAIは様々な地域・業種のユーザーデータを10年超にわたり学習し続けており、精度の高い予測をすることができる点が参入障壁となっています。 CrossXはAIによる高LTVユーザーのターゲティング結果に基づき、各種メディアプラットフォーム上でターゲットを絞った広告配信を自動で行うことで、効率的に高LTVユーザーを獲得します。広告配信に要するメディアコストは当社グループの売上原価となりますが、AIアルゴリズムの改善により予測精度が高まると、同じ成果を出すために要するメディアコストが少なくなるため、当社グループの売上総利益率の改善に貢献します。 CrossXは利用量に基づく価格体系であり、当社グループの売上収益は、顧客企業から割り当てられるマーケティング予算の金額に基づき決定します。CrossXのAIはキャンペーン実施前にユーザーの獲得単価、獲得するユーザーのLTV、獲得可能なユーザー件数等のKPIを予測することができるため、顧客企業はマーケティング投資の実行前にリターンを予測することができます。CrossXを利用した結果、顧客企業の期待を上回るROIを達成することができれば、次回以降のキャンペーンにおける利用量の増加が期待できます。CrossXは2014年に提供を開始した当社初のプロダクトであり、当社の売上収益のうち、最も大きな割合を占めています。 AIXPERTは、CrossXと同様にAIを利用した高LTVユーザー獲得のためのプロダクトですが、顧客企業が自らソフトウェアを活用し、複数のチャネルで展開するマーケティングキャンペーンをモニタリングできる点に特長があります。AIは予測結果に基づき、広告予算の配分やパラメーター調整を提案し、運用改善と管理を一括で行うことができます。また、AIがマーケティング担当者に代わってすべての意思決定を自動的に行う「マーケティングの自動運転」を行うことも可能です。 AIXPERTはサブスクリプション方式の価格体系であり、顧客企業がプロダクト経由で行うマーケティングキャンペーンのボリュームに基づき月額料金が決定します。 AdCreative.ai:最適な広告クリエイティブを自動生成できるAI搭載プラットフォーム当社グループは、2025年3月にフランス企業ADYOUNEED SASを買収し、同社が開発・提供するデジタル広告クリエイティブ制作プラットフォーム「AdCreative.ai」をプロダクトラインに追加しました。 AdCreative.aiは、最先端のAI技術を活用し、デジタル広告クリエイティブを革新するAI搭載プラットフォームです。高度な生成AIモデルと包括的な独自のデータセットを活用することで、クリエイティブ制作のプロセスを効率化し、多様なデジタルチャネル・個別ユーザー向けに最適化されたROI改善効果の高い広告素材を自動生成することができます。 AdCreative.aiの特長は、コンバージョンに最適化された広告クリエイティブを生成する点であり、エンゲージメント指標を最大化し、優れたROIを実現するよう設計されています。また、高度な分析機能とパフォーマンス計測ツールを備えており、顧客はデータに基づいたクリエイティブ戦略の意思決定を行うことができます。さらに、競合分析機能を通じて価値のある市場におけるインサイトを提供し、業界内でより効果的な広告戦略を実行することを支援します。 また、AdCreative.aiは、当社グループの主力AIネイティブソリューションである「広告クラウド」だけでなく「パーソナライゼーションクラウド」「データクラウド」に統合されており、データから得られるインサイトを活用して、パーソナライズされたクリエイティブをリアルタイムで生成することができます。これにより、顧客企業は、市場環境や消費者ニーズの変化に迅速に対応することができ、顧客企業のROIをさらに高めます。・広告クラウド:Eコマース業界において、AdCreative.aiは生成AIを活用し、個別ユーザーに合わせたコンバージョン率の高い広告クリエイティブを短時間かつリアルタイムで生成します。これにより、従来は数週間を要していた制作期間を大幅に短縮し、Appierの広告配信プラットフォームを通じて迅速かつ大規模な広告展開を実現します。・パーソナライゼーションクラウド:AdCreative.aiが生成する画像・動画等は、AIQUAやBotBonnieなどのプロダクトを通じて、ユーザーの属性や行動履歴に応じた最適なタイミング・内容で配信されます。これにより、1対1の大規模パーソナライズドコミュニケーションを可能とし、顧客エンゲージメントとロイヤリティを高めます。・データクラウド:データクラウドとの統合により、データを基にしたクリエイティブの最適化がさらに進化します。リアルタイムに特定された高ポテンシャル顧客セグメントに対して、AdCreative.aiは各セグメントに最適化された広告クリエイティブをリアルタイムで自動生成することにより、マーケティング効果を高めます。 AdCreative.aiはサブスクリプション方式の価格体系であり、顧客企業がプロダクト経由で行うクリエイティブ自動生成のボリュームに基づき月額料金が決定します。 ② パーソナライゼーションクラウドAIQUA、BotBonnie:AIがパーソナライズしたメッセージを最適なタイミングで全チャネルにプロアクティブに配信し、エンゲージメントの質を向上 一般消費者を顧客とする企業は、ユーザーを獲得した次の段階として、マーケティング・ファネル図の上から2番目にあたる「ユーザーの維持及び関係構築」という課題に直面します。主な課題として、(1)複雑な内容のメッセージを作成し、複数のチャネルを管理するための手作業の負担が掛かること、(2)ユーザー毎に最適にパーソナライズされたメッセージを適切なタイミングで送ることができないこと、(3)ユーザーとの関係性構築のためのチャネルが不適切でロイヤルティの高いユーザーに変えることが出来ないこと、が挙げられます。 従来のマーケティング・オートメーション・ツールは、ユーザーの行動に基づき、事前に設定されたルールに合致した場合にメッセージを自動送信する仕組みが一般的でした。しかし、この方式ではユーザーにメッセージを届ける理想的なタイミングを逃してしまったり、すでに関心を失ったメッセージを送信してしまうという課題が生じます。 AIQUAは、これらの課題を解決するためのAIソリューションです。2018年にインドのベンチャー企業Quantumgraph Solutions Private Limitedを買収し、同社のプロダクトを再設計のうえAI機能を追加することで、AIQUAを立ち上げました。 AIQUAは、ユーザーの行動や興味関心をAIが予測し、ユーザーごとに最適化されたメッセージを最適なタイミングで配信することで、エンゲージメントを高めることが可能です。主な特徴は以下のとおりです。AIQUAには以下の特徴があります。(1) Webプッシュ通知、Eメール、SMS、メッセンジャーアプリといった多様なコミュニケーションチャネルを簡単に利用可能(2) AIアルゴリズムにより、ユーザーにとって最適にパーソナライズされたメッセージやおすすめ情報を自動的に作成(3) 読まれる可能性が高いチャネルおよび最適な送信タイミングをAIが予測し、メッセージを自動配信 当社グループは、AIQUAをサブスクリプション方式で提供しています。契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、アクティブユーザー総に応じた段階的な定額料金を設定しています。 更に、当社グループは、台湾の邦妮科技有限公司(BotBonnie Inc.)の買収に伴い、2021年6月にBotBonnieの提供を開始しました。これにより、カスタマーエンゲージメントに関する製品ラインアップをメッセンジャー領域まで拡大しました。また、会話型コマースやカスタマーサポート領域にも進出し、フルファネルマーケティングとビジネスソリューションにおける顧客中心のアプローチをさらに強化しました。 BotBonnieは、オムニチャネル対応の会話型マーケティング・プラットフォームであり、メッセンジャープラットフォームにおける複雑なカスタマージャーニーを効率的にナビゲートできるよう設計されています。通常、企業がメッセンジャープラットフォームを通じてパーソナライズされた顧客体験を提供するためには、多大な労力を要しますが、BotBonnieは、ビジュアルビルダーを活用することで、パーソナライズされた顧客サービスを簡単に作成することができます。さらに、BotBonnieはInstagram、Facebook Messenger、LINE等の主なソーシャルメディアプラットフォームと統合しており、顧客エンゲージメントのカバー範囲を拡大することができます。また、AIが会話データから得たインサイトを活用し、セールスプロモーションを含めたアクションを強化することができます。 当社グループは、BotBonnieをサブスクリプション方式で提供しています。契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、顧客企業のソーシャルメディアアカウント登録者数に応じた段階的な定額料金を設定しています。 AiDeal:購入を躊躇するユーザーを予測し、そのユーザーに限定してインセンティブを提供することで収益性を維持しつつ売上の最大化を実現 既存ユーザーとのエンゲージメントが維持・強化されると、ユーザーに購入等の取引を行ってもらうことが次の課題となります。これは、マーケティング・ファネル図でいうと、上から3番目の「取引の実行」にあたります。 一般消費者を対象とする企業、例えばeコマース企業の場合、カートに入れられた商品の多くが最終的に購入されずに終わるという課題があります。その理由は、ECサイト間の切り替えに手間とコストがかからないため、一般消費者が実店舗と比べて、購買を躊躇することが多いからです。そのため、多くのECサイトでは、購買を促すためにクーポン等のインセンティブを付与することが増えています。 しかし、インセンティブの付与には2つの課題があります。一つ目は、インセンティブを一律に付与したり、間違ったユーザーセグメントに対して付与したりすると、利益率が低下する一方で、売上や利益の総額が必ずしも増加しないことです。また、過剰なインセンティブ付与はブランドイメージを損なう可能性もあります。二つ目は、適切なツールの活用や分析ができていないため、どのセグメントをターゲットにしてインセンティブを付与すべきかを効果的に把握することができないことです。 AiDealは、これらの課題を解決するAIソリューションです。2019年に日本のEmotion Intelligence株式会社を買収し、同社のプロダクトに最先端の機械学習技術を組み合わせることで、AiDealを開発しました。AiDealは、購入を躊躇するユーザーを予測し、そのユーザーだけに最も適切なインセンティブを付与することで、収益性を維持しつつ売上の最大化を実現するプロダクトです。 AiDealは、AIによってユーザーのモバイル画面へのタッチやスワイプの仕方、カーソルの動き、スクロールの量など、サイト全体でのユーザーのリアルタイムでの挙動に関するデータを分析します。これにより、ユーザーが製品やサービスの購入を決断するに至るトリガーを見つけ出し、購入をためらっているユーザーを予測します。その上で、当該ユーザーに対し、カスタマイズされた効果的なインセンティブ(期間限定のディスカウントなど)を付与し、購入に導くことで、収益性を維持しつつ売上の最大化を実現します。このように、AiDealは、データに基づき適切なインセンティブを付与することで、ディスカウントやクーポンなどのコストを抑えながらも売上を増やすことを企図するものです。 AiDealは、eコマース企業のみならず、登録・申込みフォームを途中で離脱したユーザーに対して、入力完了を促すことも可能であり、活用事例が様々な業種に拡がっています。 当社グループは、AiDealをサブスクリプション方式で提供しています。契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、取引量に応じた段階的な定額料金を設定しています。 ④ データクラウドAIXON、AIRIS:様々なソースから得られる消費者データをリアルタイムに統合し、直感的なデータの可視化を実現。自動機械学習によって、ユーザーの行動を総合的に予測 一般消費者を対象とする企業は、ユーザーデータの分析により得られる知見をビジネスに有効利用したいと考えた際に、(1)データが複数のソースや異なるフォーマットでバラバラに分断されている、(2)正確なAIモデルを構築するには時間とコストがかかる、(3)効果的なマーケティングアクションに繋がるような実用的な知見がデータサイエンティストから提示されない、という課題に直面します。これは、マーケティング・ファネル図でいうと、上から4番目の「ユーザーの予測」にあたります。 AIXONは、これらの課題を解決するために設計された、データサイエンス機能を持つAI搭載の予測分析プラットフォームです。これにより、顧客企業はデータサイエンティストを社内に抱えることなく、膨大なユーザーデータを統合・強化し、機械学習モデルを用いたシナリオに基づいてターゲットとなるオーディエンス(注2)の行動を自動的に予測することができます。また、AIXONは、AIが導き出した結論の論拠を、顧客企業に分かりやすく説明することができます。 AIXONには以下の強みがあります。(1) データの統合と自動処理による導入の容易さビジュアル化された分かりやすいインターフェースを通じて、複数のソースや異なるフォーマットのデータを簡単に接続することができます。当社のディープラーニング技術により、リアルタイムでデータを統合し、AI予測モデルに必要な情報を自動的に抽出・処理することが可能です。 (2) 自動的なAI予測モデルの構築AIXONは、自動でシナリオベースのAI予測モデルを構築することができます。この予測を用いることで、データサイエンティストを介さずにユーザーの行動を予測することができ、実際のビジネス課題解決に集中することができます。例えば、解約予測のシナリオを選択すると、AIXONが最適なAI予測モデルを自動的に選択し、更にモデルの強化のためのトレーニングを自動で行います。AIXONの画面上で予測したい内容を簡単に設定・調整することが可能であり、予測結果は顧客管理データベースやマーケティングオートメーションツールなど、選択した先に即座に出力することができます。 (3) 説明可能なAIAIXONは、AIの意思決定プロセスをテキストで可視化し、モデル内で重要な変数や特定の判断理由を明示します。AI分析の根拠を説明できることは、AI技術への信頼性を高め、「ブラックボックス化」を防ぐうえで重要な要素です。 当社グループは2022年に米国のWoopra,Inc.を買収することにより、Appierの高度なAI予測機能と、Woopra社の直感的なデータ可視化の技術を統合した、AI搭載の次世代カスタマー・データ・プラットフォーム(CDP)であるAIRISの提供を開始しました。 AIRISは以下の特徴を持っています。(1) リアルタイムのデータ取り込み複数のソースからリアルタイムでデータを取り込み、不備の修正や整理を行うことで、AIを活用して統合された360度の顧客プロファイルを作成します。 (2) ノーコードで瞬時にビジュアル化分析カスタマイズ可能なビジュアル化機能を備えたテンプレートから、インサイトダッシュボードをすばやく構築し、組織全体のデータを可視化しマーケティング担当者がインサイトを得るまでの時間を大幅に短縮することができます。 (3) AIを活用した顧客行動の予測マーケティング担当者は、顧客の行動予測に基づき、ユーザーの優先順位付けやターゲティングを行うことが可能です。正確なセグメンテーションにより、高度にパーソナライズされたエンゲージメントを実現することができます。 また、顧客企業がAIXON・AIRISと他のソリューションを同時に活用することで、さらに大きなシナジーがもたらされます。例えば、AIXONが予測したユーザーの潜在的な解約リスクや潜在的な購買行動に対して、AIQUAを活用してタイムリーなエンゲージメントを実施することで、将来の損失を回避し、売上を増加させることが可能となります。このように、複数のソリューションを利用することにより、顧客企業により大きな価値をもたらし、当社グループの顧客維持にも貢献します。 当社グループは、AIXON及びAIRISをサブスクリプション方式で提供しています。契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、このプロダクトを使って顧客企業が行った予測の件数及びアクティブユーザーの総数に応じた段階的な定額料金を設定しています。 (注) 1.キャンペーンのバリエーションを複数用意し、それぞれにオーディエンスを振り分けて、結果が良くなるバリエーションを検証するマーケティング実験の手法2.マーケティングメッセージの受け手 [事業系統図]
FY2024|14,562 文字|出典 docID: S100VIW3
3 【事業の内容】(1) 当社グループの概要「ソフトウェアをよりスマートに、AIでROIを向上させる」が当社グループのミッションです。現在はあらゆるサービスやソリューションでAIの活用が進んでおり、急速に進展するAI革命の真只中にあります。AI時代におけるこの大きなチャンスを活かし、当社はビジネスドメインであるマーケティング分野において、AIモデル及びプロダクト開発のための研究開発投資とAI学習の経験の蓄積により、顧客企業のROI(投資リターン)向上を実現してきました。Appierのビジョンである”Making AI easy by making software intelligent”に沿ってAIを活用したソリューションを容易に統合し活用することで、顧客企業が競争力を維持するだけでなく、この変革期にあるAI時代における重要なプレーヤーとなることを支援しています。当社グループは、AIマーケティングのソリューションをSaaS(注1)モデルで提供するパイオニアを自負しており、マーケティング及びセールス活動の全領域を支援するソリューションを提供しています。 現在、多くの組織は非常に価値があるデータを持っていながら、そのデータを有効に活用できていません。データの断片化、AI人材の不足という課題があることが背景です。当社グループのAIプラットフォーム(当社グループが提供するソリューションの総体をいいます。以下同じ。)は、まず、深層学習(ディープラーニング)技術(注2)により、様々なソースから得られたフォーマットが異なるデータを統合することで、データの断片化という第一の課題を解決します。続いて、この統合されたデータを活用して、最先端のAIモデルを自動的に構築するソフトウェアを提供することで、AI人材不足という第二の課題を解決します。さらに、当社のAIプラットフォームは、AIモデルを容易に利用することが可能であり、様々なアプリケーションと連携できるので、顧客企業のマーケティング活動をROIを向上させながら効率的に実行することができます。このような技術が、当社グループのAI SaaSソリューションに組み込まれています。 当社グループのAIプラットフォーム上で提供されるソリューションは、最先端のAIモデルによって消費者の行動や興味関心を予測するという特徴を持ち、データが真の価値を発揮することを可能にします。そして、マーケティング及びセールスの領域におけるファネル(注4)の各段階での課題に対応したものになっています。 当社グループは、顧客企業に次の価値を提供しています。(1) 最先端のAIを簡単に活用できるようにすることで、AIを業務プロセスに組み込むための開発時間とコストを大幅に圧縮することができます。(2) 後記「(4) 当社グループのソリューション」で述べるとおり、当社のAIソリューションを用いることで、デジタルマーケティングとセールスの領域の課題を一気通貫で解決することが期待できます。当社のソリューションは、ファネルの各段階で顧客企業の課題に簡単に対応することができます。また、他のファネル段階への展開を容易にするために、データは相互にリンクされています。(3) 将来予測を行う当社グループのAIソリューションを利用することによって、従来、過去データのみに基づいて実施されていたマーケティング上の意思決定を、ユーザーの行動を予測して先回りするものに変えることができ、顧客企業は、これにより投資を行う前にリターンを予測することが可能になるだけでなくマーケティング投資のROIを向上させることができます。 (注) 1.Software as a Serviceの略。インターネット等の通信ネットワークを通じて、利用者が必要なものを必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアまたはその提供形態。2.ニューラルネットワーク(注3)により機械学習技術を実装するための手法の一種3.生物の神経ネットワークの構造と機能を模倣するという観点から生まれた、脳機能に見られるいくつかの特性を計算機上のシミュレーションによって表現することを目指した数学モデル4.「じょうご」の意。後記「(4) 当社グループのソリューション」で述べるとおり、当社グループでは、潜在的なユーザーの予測及び獲得からユーザーの維持及び関係構築、販売に至るマーケティングのすべてのプロセスを「フル・ファネル」と表現しています。 (2) 当社グループの歴史当社グループは、2012年6月に、米国のハーバード大学やスタンフォード大学在籍時に四足自立歩行ロボットや自動運転自動車の開発など、AI、データ分析、分散処理システム等分野での研究経験を有するAIサイエンティストとコンピュータプログラムのエンジニアメンバーが、AIを活用した企業のマーケティングにおけるソリューションの研究開発を台湾で開始したことに始まります。マーケティングとセールスこそが企業とユーザーとの最初の接点であり、全てのビジネスの出発点であると考えたからです。 当社グループは、機械学習やAIの研究で実績を残したAIサイエンティストが技術面を牽引しています。エンジニアの多くがAI、ビッグデータ又はコンピューターサイエンスの領域における博士号又は修士号を有しています。また、当社グループの役員又は従業員が執筆した300以上の論文が、トップジャーナル、カンファレンス、ワークショップ(アルバータ大学の定義に拠ります。)において発表されています。国際的かつ著名なデータ・マイニング・コンテストであるKDDカップにおいて、当社グループの従業員が参加したチームが7回優勝したという実績もあります。これらのことから、当社グループは、フォーチュン誌から中国本土を除くアジアを拠点とする企業で唯一の「AI革命を牽引する50社(2017年)」(注1)及びガートナーから「AIクールベンダー(2017年)」(注2)に選出される等、AI企業として高い評価を受けて参りました。また、事業面でも経験豊富なメンバーが在籍しており、技術の強み、事業経験、顧客中心主義の文化が組み合わされたユニークな企業文化を有しています。 ・2014年に、当社グループ初のソリューションである「CrossX」の提供を開始しました。・2014年から2015年には、台湾だけでなく日本と韓国にも事業を拡大しました。また、東南アジア各国への進出を進めています。・2018年には、インドのベンチャー企業であるQuantumgraph Solutions Private Limitedを買収し、そのソリューションを再設計しAI機能を追加することで、「AIQUA」を立ち上げました。・2019年には、日本のベンチャー企業であるEmotion Intelligence株式会社を買収しました。同社のソリューションにさらに最先端の機械学習技術を追加することで、「AiDeal」を立ち上げました。・2020年以降には、中国での事業活動を強化し、欧州、米国地域へと拡大しました。・2021年には、台湾のベンチャー企業である邦妮科技有限公司(BotBonnie Inc.)を買収し、会話型のエンゲージメント・マネジメント・プラットフォーム「BotBonnie」の提供を開始しました。・2022年には、米国のベンチャー企業であるWoopra, Inc.を買収し、AIを搭載しした次世代CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)「AIRIS」の提供を開始しました。 現在、当社グループは、東京の他、大阪、ソウル、台北、香港、北京、米国カリフォルニア州、アムステルダム、パリ、シンガポール、クアラルンプール、ホーチミン、マニラ、ジャカルタ、バンコク等の15ヵ国・地域に17のオフィス(2024年12月末時点)を構え、1,872の企業グループ(注3)に直接もしくは代理店経由にてサービスを提供しております。当社の本社所在地は東京ですが、当社グループの開発拠点は主に台湾です。 主要な関係会社(AISaaS事業)開発の拠点:Appier,Inc.グループ会社の統括本社機能:Appier Pte. Ltd.販売活動を行っている子会社:Appier Japan株式会社、Appier,Inc.等 (注) 1.2017年にCBインサイツが多様な健全性・成長性指標に基づき選出した「世界で最も有望なAIスタートアップ企業100社」(「AI100」)の中から、資金調達額の多かった上位50社。なお、当社グループは2018年にもAI100に選出されている。2.東アジア地域で優れたAIソリューションを提供している企業として2017年にガートナーが選出したもの。3.2024年12月末時点で当社グループと契約しており、当社グループのソリューションを1種類以上利用している企業グループの総数。有償・無償のトライアル、デモ使用、M&Aにより獲得した顧客は含まない。複数のブランドで当社グループの同一のソリューションを利用している企業は、1社としてカウント。複数のブランドで当社グループの複数のソリューションを利用している企業は、利用している当社グループのソリューションの数ごとに個別の顧客企業としてカウント。 (3) 当社グループのAIプラットフォームができること近年の経済情勢を見ると、以下の3点を主な理由として、データを利活用したビジネスの需要が高まっており、ビッグデータ(注1)を収集・解析・活用し、経営判断に役立てることがますます重要になっています。① デジタルデバイスの普及・浸透:スマートフォン、タブレット等を中心とした個人が所有するデジタルデバイスの普及② 技術革新:クラウドコンピューティング(注2)、ビッグデータ解析技術、深層学習技術等におけるイノベーション③ データの利用可能性の拡大:検索エンジンやeコマースを通じたトランザクション・データ(注3)及びソーシャルメディア等を通じて生成された画像・動画等の非構造化データ(注4)の増加 とりわけ、マーケティング領域においては、ユーザーに関するビッグデータを分析、活用することにより、ウェブサイト又はモバイルアプリケーションを通したより効果的なマーケティングが可能となりました。また、AIソフトウェアを用いて企業が保有するカスタマーデータからより有意義な知見を抽出して理解を深めることや、既存の又は潜在的なカスタマー等とのマーケティング・コミュニケーションにAIソフトウェアを活用して、個人に対して最適にパーソナライズされた提案を行い、エンゲージメントを高める取り組みも進んでおります。 このようにデータの利活用の重要性やAIに対するニーズが高まる一方、現実のビジネスにおいては以下のような課題があり、多くの組織ではデータを有効に活用できていません。① データは複数のソースやデバイスに分断されており、大量の異なるデータを管理し、統合することは難しく調査対象の包括的な理解が得られない② AIを十分に活用し、ビジネスの意思決定にAIを役立てるには、高度な訓練を受けた専門家が必要③ AIやデータサイエンティストを組織に融合させることは容易ではなく、事業に良い影響をもたらすことは難しく、また、価値を生み出すAIアプリケーションを開発することには困難を伴う この点において、当社グループの開発したAIプラットフォームは、これらの社会的課題に以下のように対応します。① データ統合の自動化:ディープラーニング技術により、様々なソースやデバイスから得たフォーマットが異なるデータを統合してデータの価値を高め、広範に利用できるデータを自動的に生成します。② 機械学習を用いたAI予測モデルの自動構築:高度な機械学習(注5)を用いたAI予測モデルを自動的に構築し、企業は社内でデータ・サイエンスチームを立ち上げることなく、自社の課題解決に集中することが可能になります。③ 簡単に利用可能なSaaSプラットフォーム:システム環境に依らず利用可能なプラットフォームであるSaaSのプラットフォームとして提供することで、初期投資を抑えながらAIを用いてデータを直ちに利活用し、顧客企業のマーケティング担当者が自分で分析を行うことを可能にしております。 そして、当社グループでは、多数の顧客企業が最先端のAIモデルに容易にアクセスできるSaaSのAIソリューションこそが、AIの潜在能力を最大限に引き出すことができると考えています。このように、様々なソースやデバイスから入手したデータを自動で統合することでユーザーのプロファイルを作成し、断片的な情報しかなかったデータから包括的なユーザーの情報を得ることを可能にしております。その際、ユーザーのウェブサイトの訪問履歴やアプリの使用履歴等を自然言語処理(注6)とディープラーニングにより解析することで、データがない領域があったとしても、周辺領域に対するユーザーの嗜好の理解を基に当該未開拓の領域に対する興味・関心の有無について予測することで、より広範なトピックに対するユーザーの行動を予測することを可能にしております。 当社グループのソリューションを使用して現実世界における企業の課題を解決した具体例な事例として以下が挙げられます。① データ統合の自動化:例えば、顧客企業である化粧品ブランドのアプリ・Webサイト、CRM(注7)からのストリーミングデータ(注8)を統合しユーザーのプロファイルを生成します。当該ユーザーの行動パターンと興味・関心といったデータを統合、更には商品の閲覧や購入等のユーザーのWebサイトやアプリ上での行動データ等を統合することで、包括的なユーザーのプロファイルを作成します。② 機械学習を用いたAI予測モデルの自動構築:包括的なユーザーのプロファイルに基づきユーザーがいつ、何を、どのように購入したいのかを予測する機械学習を用いたAI予測モデルを自動構築することで、例えばこの閲覧したユーザーは、例えば、日焼け止めUVカットのファンデーションを購入する可能性が高いと、高い精度で予測してマーケティングを実施することが可能になります。③ パーソナライズされた提案:最もユーザーにマッチする商品を自動的にWebサイトやアプリに表示させることによって提案します。 (注) 1.従来のデータベース管理システム等では記録や保管、解析が難しいような巨大なデータ群2.インターネット等のコンピューターネットワークを経由して、コンピューター資源をサービスの形で提供する利用形態3.業務に伴って発生した出来事の詳細を記録したデータ4.文書データ、電子メール、写真、動画等、定型的に扱えないデータ5.データから規則性や判断基準を学習し、それに基づき未知のものを予測、判断する技術6.人間が日常的に使っている自然言語をコンピューターに処理させる一連の技術7.顧客との良好な関係を構築し、顧客価値を高めるためのマネジメント8.多数のデータソースによって継続的に生成されるデータ (4) 当社グループのソリューション当社グループは、企業と価値あるエンドユーザーを結びつけるためのAIベースのソリューションを提供し、当社の顧客の多くを占める消費者向けサービスを提供する企業に対して、潜在的なユーザーの予測及び獲得からユーザーの維持及び関係構築、販売に至るマーケティングのすべてのプロセスを一気通貫でサポートできるソリューションを揃えております。当社グループでは、このコンセプトをマーケティングとセールスのプロセスの「フル・ファネル」と呼んでいます。このアプローチにより、マーケティングとセールスの各段階で、顧客企業の課題解決を支援することができると考えています。また、SaaSのプラットフォームとして提供することで、AIでこれらの課題を解決するために必要な開発時間とコストを大幅に削減することができます。当社グループのソリューションは、顧客企業に以下のような価値を提供しています。① 企業レベルでは、完全に自動化されたデータの統合とAIモデルの自動構築の技術により、AIの導入を容易にします。② CMO(Chief Marketing Officer)やマーケティング責任者には、将来のユーザー行動を予測し、そこから得られる知見を提供します。これにより、従来、過去データのみに基づいて実施されてきたマーケティング上の意思決定を、ユーザーの行動を予測して先回りするものに変えることができます。また、投資額に対してどれだけのリターンがあるかを事前に予測することを可能にします。③ マーケティング担当者には、日々の業務課題に合わせたフル・ファネルのソリューションを提供します。当社グループのAIソリューションは、デジタルマーケティングに伴う様々な手作業を自動化し、マーケティング担当者がより戦略的な意思決定に集中することを可能にします。 そして、顧客企業が当社のソリューションを利用すればするほど、AIが学習するデータ量が増加し、より正確な予測をすることができるようになります。これにより、顧客企業はマーケティング投資のROIが向上し、当社ソリューションをさらに多く利用することで、結果的に当社ソリューションへのロイヤルティが高まると考えられます。また、CrossXは、当社グループの担当者が、顧客企業と共有したマーケティング戦略をもとに、AIの提案を受けながらユーザー獲得のためのマーケティングキャンペーンを実施し、顧客企業はその実施結果等をプラットフォーム上のレポートにより確認することができます。それに対して、AIXPERT、AIQUA、BotBonnie、AiDeal、AIXON及びAIRISは、顧客企業が自ら利用できるプラットフォームを提供するものです。顧客企業は、そのニーズに応じて、当社グループのソリューションを1つだけ利用することも、複数利用することも可能ですが、各ソリューションが高度に連携・統合されていることから、組み合わせて使うことによって、時には、これまで想定していなかった知見や気づきを得ることができます。そして、当社ソリューションから得たデータや気づきを他の分野で活用することも可能です。 ① CrossX(クロスエックス)、AIXPERT(アイエクスパート):ユーザーのライフタイムバリュー(LTV、生涯価値)を予測し、最も価値の高いユーザーを獲得することを可能にすることで、マーケティング投資を予測可能なリターンに転換 CrossXは、一般消費者を顧客とする企業がマーケティングの初期段階で直面する「マーケティング投資に見合う高いリターンが期待できるユーザーを獲得する」という課題を解決するためのソリューションです。これは、マーケティング・ファネル図でいうと、最上段の「潜在ユーザーの予測及び獲得」にあたります。従来、企業のマーケティング担当者はコストと時間をかけてマニュアル作業によるA/Bテスト(注1)を繰り返してきました。CrossXは、AIが最も生涯価値(LTV)の高い潜在的ユーザーを高い精度で予測し、当該潜在的ユーザーのターゲティングに基づくマーケティングキャンペーンを行うことで、顧客企業は高い投資対効果(ROI)を実現することができます。 顧客企業がCrossXの利用を開始すると、最初にユーザーデータの取り込み及び機械学習を行います。ユーザーのプロファイル、サイトデータ、ユーザー行動などの1万以上のデータの組み合わせが、当社グループのマルチタスク型ディープラーニングモデルに入力され、質の高いユーザーを見つけるだけでなく、「サイト訪問」「ユーザー登録」「購入」などの複数の重要な目標を達成するユーザーや、生涯価値(LTV)などの将来の行動やパターンを予測し、顧客企業に高いROIをもたらすユーザーを予測することができます。予測はこれで終わりではなく、獲得したデータに対して、繰り返し機械学習を行い、予測モデルを改善し続けます。当社グループのAIは様々な地域・業種のユーザーデータを10年超にわたり学習し続けており、精度の高い予測をすることができる点が参入障壁となっています。 そして、CrossXはAIによる高LTVユーザーのターゲティング結果に基づき、各種メディアプラットフォーム上でターゲットを絞った広告配信を自動で行うことで、効率的に高LTVユーザーを獲得します。広告配信に要するメディアコストは当社グループの売上原価となりますが、AIアルゴリズムの改善により予測精度が高まると、同じ成果を出すために要するメディアコストが少なくなるため、当社グループの売上総利益率の改善に貢献します。 CrossXは利用量に基づく価格体系であり、当社グループの売上収益は、顧客企業から割り当てられるマーケティング予算の金額に基づき決定します。CrossXのAIはキャンペーン実施前にユーザーの獲得単価、獲得するユーザーのLTV、獲得可能なユーザー件数等のKPIを予測することができるため、顧客企業はマーケティング投資の実行前にリターンを予測することができます。CrossXを利用した結果、顧客企業の期待を上回るROIを達成することができれば、次回以降のキャンペーンにおける利用量の増加が期待できます。CrossXは2014年に提供を開始した当社初のプロダクトであり、当社の売上収益のうち、最も大きな割合を占めています。 AIXPERTは、CrossXと同様にAIを利用した高LTVユーザー獲得のソリューションですが、違いとしては顧客企業自身が複数のチャネルで展開するマーケティングキャンペーンの結果をモニタリングしながら、AIが予測結果に基づき広告予算の配分等のパラメーターの調整を提案し運用改善と管理を一括で行うことができるプラットフォームを利用する点にあります。また、顧客企業のマーケティング担当者によるすべての意思決定をAIが自動的に行う「マーケティングの自動運転」を行うことも可能です。 AIXPERTはサブスクリプション方式の価格体系であり、顧客企業がプラットフォーム経由で行うマーケティングキャンペーンのボリュームに基づき月額料金が決定します。 ② AIQUA(アイコア)、BotBonnie(ボットボニー):AIがパーソナライズしたメッセージを最適なタイミングで全チャネルにプロアクティブに配信し、エンゲージメントの質を向上 一般消費者を顧客とする企業は、ユーザーを獲得した次の段階として、マーケティング・ファネル図の上から2番目にあたる「ユーザーの維持及び関係構築」という課題に直面します。(1)複雑な内容のメッセージを作成し、複数のチャネルを管理するための手作業の負担が掛かる、(2)ユーザー毎に最適にパーソナライズされたメッセージを適切なタイミングで送ることができない、(3)ユーザーとの関係性構築のためのチャネルが不適切でロイヤルティの高いユーザーに変えることが出来ない、などが一般消費者向けの事業を行う企業で良く見られるエンゲージメントの課題です。 従来のマーケティング・オートメーション・ソリューションは、例えば、ユーザーの行動を基に事前に定めたルールに合致した場合に、所定のメッセージを自動で送信するというものです。このため、ユーザーにメッセージを届ける理想的なタイミングを逃してしまったり、もはや関心がなくなってしまったメッセージを送信してしまうという課題が生じています。 AIQUAは、これらの課題を解決するためのAIソリューションです。2018年にインドのベンチャー企業であるQuantumgraph Solutions Private Limitedを買収し、そのソリューションを再設計しAI機能を追加することでAIQUAを立ち上げました。 従来のマーケティング・オートメーション・ソリューションと異なり、AIが組み込まれているAIQUAは、ユーザーの取りうる行動や興味関心を予測し、ユーザー毎に最適にパーソナライズされたメッセージを最適なタイミングで提供することで、ユーザーとのエンゲージメントを強化することが可能です。AIQUAには以下の特徴があります。(1) Webプッシュ通知、Eメール、SMS、メッセンジャーアプリといった多様なコミュニケーションチャネルを簡単に利用することが可能です。(2) AIアルゴリズムが、当該ユーザーにとって最適にパーソナライズされたメッセージやお薦め情報を自動的に作成します。(3) AIアルゴリズムが、読まれる可能性が高いと予測されるチャネルから、高い成果を達成すると予測される最適な送信タイミングで、メッセージを自動送信します。 当社グループは、AIQUAをサブスクリプション方式で提供しています。契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、アクティブユーザーの総数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。 更に、当社グループは、台湾の邦妮科技有限公司(BotBonnie Inc.)の買収に伴い、2021年6月にBotBonnieの提供を開始しました。BotBonnieの提供開始により、カスタマーエンゲージメントに関する製品ラインアップをメッセンジャー領域まで拡大しました。また、これにより当社グループは会話型コマースとカスタマーサポート領域に進出することとなり、これは当社グループのフルファネルマーケティングとビジネスソリューションに対する顧客中心のアプローチに沿った動きです。 BotBonnieは、オムニチャネルの会話型マーケティング・プラットフォームであり、メッセンジャープラットフォームにおける複雑なカスタマージャーニーを賢くナビゲートできるよう設計され、当社グループのAIを活用したソリューション群を強化しています。通常、企業がメッセンジャープラットフォームを通じてパーソナライズされた顧客サービスを生成し、顧客との望ましい関係を構築するためには、多大な労力が必要です。BotBonnieは、ビジュアルビルダーを使用して、パーソナライズされた顧客サービスを簡単に作成することができます。さらに、BotBonnieはInstagram、Facebook Messenger、LINE等の主なソーシャルメディアプラットフォームと統合しており、顧客エンゲージメントのカバー範囲を拡大するだけでなく、AIが会話データから得たインサイトによりセールスプロモーションを含めたアクションを強化することができます。 当社グループは、BotBonnieをサブスクリプション方式で提供しています。契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、顧客企業のソーシャルメディアアカウントの登録者数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いただいております。 ③ AiDeal(アイディール):購入を躊躇するユーザーを予測し、そのユーザーに限定してインセンティブを提供することで収益性を維持しつつ売上の最大化を実現 既存ユーザーとのエンゲージメントが維持・強化されると、ユーザーに購入等の取引を行ってもらうことが次の課題となります。これは、マーケティング・ファネル図でいうと、上から3番目の「取引の実行」にあたります。 一般消費者を対象とする企業の大きな課題として、例えばeコマース企業の場合、カートに入れられた商品の多くが最終的に購入されずに終わるという問題があります。その理由は、ECサイト間の切り替えに手間とコストがかからないため、一般消費者が実店舗と比べて、購買を躊躇することが多いからです。そのため、多くのECサイトでは、購買を促すためにクーポン等のインセンティブを付与することが増えています。しかし、インセンティブの付与には2つの課題があります。一つ目は、インセンティブを一律に付与したり、間違ったユーザーセグメントに対して付与したりすると、利益率が低下する一方で、売上や利益の総額が必ずしも増加するわけではないことです。また、インセンティブを必要以上に付与すると、ブランドイメージを損なう可能性もあります。二つ目の課題は、適切なツールの活用や分析ができていないため、どのセグメントをターゲットにしてインセンティブを付与すべきかを効果的に把握することができないことです。 AiDealは、これらの課題を解決するAIソリューションです。2019年に日本のEmotion Intelligence株式会社を買収し、同社のソリューションに最先端の機械学習技術を追加することで、購入を躊躇するユーザーを予測し、そのユーザーだけに最も適切なインセンティブを付与し、収益性を維持しつつ売上の最大化を実現するプラットフォームです。 AiDealは、AIによって、ユーザーのモバイル画面へのタッチやスワイプ方法、カーソルの位置、スクロールの量など、サイト全体でのユーザーのリアルタイムでの挙動に関するデータを分析し、ユーザーが製品やサービスの購入を決定するに至るトリガーを見つけ出し、購入をためらっているユーザーを予測します。その上で、当該ユーザーに対し、カスタマイズされた効果的なインセンティブ(期間限定のディスカウントなど)を付与し、購入に導くことで、収益性を維持しつつ売上の最大化を実現します。 このように、AiDealは、データに基づき適切なインセンティブを付与することで、ディスカウントやクーポンなどのコストを抑えながらも売上を増やすことを企図するものです。AiDealは、eコマース企業のみならず、登録や申込みフォームを書きかけたままにしているユーザーに対して、それを完了させるように促すことも可能であり、活用事例が様々な業種に拡がっています。 当社グループは、AiDealをサブスクリプション方式で提供しています。契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、取引量に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。 ④ AIXON(アイソン)、AIRIS(アイリス):様々なソースから得られる消費者データをリアルタイムに統合し、直感的なデータの可視化を実現。自動機械学習によって、ユーザーの行動を総合的に予測 一般消費者を対象とする企業は、ユーザーデータの分析により得られる知見をビジネスに有効利用したいと考えた際に、(1)データが複数のソースや異なるフォーマットでバラバラに分断されている、(2)正確なAIモデルを構築するには時間とコストがかかる、(3)効果的なマーケティングアクションに繋がるような実用的な知見がデータサイエンティストから提示されない、という課題に直面します。これは、マーケティング・ファネル図でいうと、上から4番目の「ユーザーの予測」にあたります。 AIXONは、これらの課題を解決するために設計された、データサイエンス機能を持つAI搭載の予測分析プラットフォームです。これを用いることにより、顧客企業は、自社でデータサイエンティストを抱えることなく、膨大なユーザーデータを統合・強化して、機械学習モデルを用いたシナリオに基づいてターゲットとなるオーディエンス(注2)の行動予測を自動的に行うことが可能となります。また、AIXONは、AIが導き出した結論の論拠を、顧客企業に分かりやすく説明することができます。 AIXONには以下の強みがあります。(1) データの統合と自動処理による導入の容易さ分かりやすいビジュアル化されたインターフェースを使うことで、簡単にデータをつなぎこむことができます。当社のディープラーニング技術により、異なるソースの異なるフォーマットのデータをリアルタイムで統合し、AI予測モデルが必要とするデータを自動的に抽出し処理することが可能です。 (2) 自動でのAI予測モデルの構築AIXONは、自動でシナリオベースのAI予測モデルを構築することができます。この予測を用いることで、データサイエンティストチームを介さずに、ユーザーの行動を予測することができ、実際のビジネスの問題解決に集中することができます。例えば解約予測などのシナリオを選択すると、AIXONが最適なAI予測モデルを自動的に選択し、更にモデルの強化のためのトレーニングを自動で行います。AIXONの画面上で予測したい内容等を簡単に設定、調整することが可能であり、予測結果は顧客管理データベースやマーケティングオートメーションシステムなど、顧客が選択した先に即座に出力することができます。 (3) 説明可能なAIAIXONは、顧客が使用するためのプロファイルとAIの意思決定内容をテキストで表示し、AIモデルの中で最も重要な変数と、特定の選択と意思決定が行われる理由を示すことができます。AI分析の要因を説明できることは、AI技術への信頼を醸成し「ブラックボックス」とみなされることを避けるために重要です。 当社グループは2022年に米国のWoopra,Inc.を買収することにより、Appierの高度なAI予測機能と、Woopra社の直感的なデータ可視化の技術を統合した、AI搭載の次世代カスタマー・データ・プラットフォーム(CDP)であるAIRISの提供を開始しました。 AIRISは以下の特徴を持っています。(1) リアルタイムのデータ取り込み複数のソースからリアルタイムでデータを取り込み、不備を修正し、整理することで、AIを活用して統合された360度の顧客プロファイルを作成します。 (2) ノーコードで瞬時にビジュアル化分析カスタマイズ可能なビジュアル化機能を備えたテンプレートからインサイトダッシュボードをすばやく構築し、組織全体のデータを可視化しマーケティング担当者がインサイトを得るまでの時間を大幅に短縮することができます。 (3) AIを活用した顧客行動の予測マーケティング担当者は、顧客の行動予測に基づき、ユーザーの優先順位付けやターゲティングを行うことが可能です。正確なセグメンテーションにより、高度にパーソナライズされたエンゲージメントを実現することができます。 また、顧客企業がAIXON・AIRISと他のソリューションを同時に活用することでさらに大きなシナジーがもたらされます。例えば、AIXONが予測するユーザーの潜在的な解約リスクや潜在的な購買行動などに対して、AIQUAを活用してユーザーに対するエンゲージメントをただちに実施することで、将来の損失を回避し、売上を増加させることが可能となります。このようにプラットフォーム内の複数のソリューションを利用することにより、顧客企業により大きな価値をもたらし、当社グループの顧客の維持にも貢献します。 当社グループは、AIXON及びAIRISをサブスクリプション方式で提供しています。契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、このプラットフォームを使って顧客企業が行った予測の件数及びアクティブユーザーの総数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。 (注) 1.キャンペーンのバリエーションを複数用意し、それぞれにオーディエンスを振り分けて、結果が良くなるバリエーションを検証するマーケティング実験の手法2.マーケティングメッセージの受け手 [事業系統図]
FY2023|14,449 文字|出典 docID: S100T693
3 【事業の内容】(1) 当社グループの概要「ソフトウェアをよりスマートに、AIでROIを向上させる」が当社グループのミッションです。 当社グループは、将来、全ての企業のソフトウェアにAIが搭載され、企業の意思決定がより正確で自動的にかつユーザーの行動を先回りするような形で実行されるようになると想定しています。当社グループは、デジタルマーケティングとセールスの領域のソフトウェアの変革から事業を開始しました。当社グループは、AIマーケティングのソリューションをSaaS(注1)モデルで提供するパイオニアを自負しています。AIによって自動的に消費者の行動を予測するという特徴をもった、マーケティング及びセールスの活動の全領域を支援するソリューションを提供しています。 現在、多くの組織は非常に価値があるデータを持っていながら、そのデータを有効に活用できていません。データの断片化、人材不足という課題があることが背景です。当社グループのAIプラットフォーム(当社グループが提供するソリューションの総体をいいます。以下同じ。)は、まず、深層学習(ディープラーニング)技術(注2)により、様々なソースから得られたフォーマットが異なるデータを統合することで、第一の課題であるデータの断片化という問題を解決します。続いて、この統合されたデータを活用して、最先端のAIモデルを自動的に構築するソフトウェアを提供することで、AI人材不足という第二の課題を解決します。さらに、当社のAIプラットフォームは、AIモデルを容易に利用することが可能であり、様々なアプリケーションと連携できるので、顧客企業のビジネスに好影響をもたらします。このような技術が、当社グループのAI SaaSソリューションに組み込まれています。 当社グループのAIプラットフォーム上で提供されるソリューションは、最先端のAIモデルによって将来予測を行うという特徴を持ち、データが真の価値を発揮することを可能にします。そして、マーケティング及びセールスの領域におけるファネル(注4)の各段階での課題に対応したものになっています。① 潜在ユーザーの予測及び獲得:CrossXユーザーのライフタイムバリュー(生涯価値)を予測し、最も価値の高いユーザーを獲得することを可能にすることで、マーケティング投資を予測可能なリターンに転換② ユーザーの維持及び関係構築:AIQUA、BotBonnieあらゆるコミュニケーションチャネルを最適なタイミングで活用し、AIによって パーソナライズ化された、プロアクティブで効果的なメッセージを用いて、ユーザーとのエンゲージメントの質を向上③ 購買・アクションへの動機付け:AiDeal購入を躊躇するユーザーを予測し、そのユーザーだけにインセンティブを付与し、収益性を維持しつつ売上の最大化を実現④ オーディエンス・インテリジェンス:AIXON、AIRIS様々なソースから得られる顧客企業自身が保有する消費者データを活用して、自動機械学習によって、ユーザーの行動を総合的に予測 当社グループは、顧客企業に次の価値を提供しています。第一に、最先端のAIを簡単に活用できるようにすることで、AIを業務プロセスに組み込むための開発時間とコストを大幅に圧縮することができます。第二に、後記「(4) 当社グループのソリューション」で述べるとおり、当社のAIソリューションを用いることで、デジタルマーケティングとセールスの領域の課題を一気通貫で解決することが期待できます。当社のソリューションは、ファネルの各段階で顧客企業の課題に簡単に対応することができます。また、他のファネル段階への展開を容易にするために、データは相互にリンクされています。最後に、将来予測を行う当社グループのAIソリューションを利用することによって、従来、過去データのみに基づいて実施されていたマーケティング上の意思決定を、ユーザーの行動を予測して先回りするものに変えることができ、顧客企業は、これによりビジネスの機会損失を最小限に抑えることが期待できます。 (注) 1.Software as a Serviceの略。インターネット等の通信ネットワークを通じて、利用者が必要なものを必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアまたはその提供形態。2.ニューラルネットワーク(注3)により機械学習技術を実装するための手法の一種3.生物の神経ネットワークの構造と機能を模倣するという観点から生まれた、脳機能に見られるいくつかの特性を計算機上のシミュレーションによって表現することを目指した数学モデル4.「じょうご」の意。後記「(4) 当社グループのソリューション」で述べるとおり、当社グループでは、潜在的なユーザーの予測及び獲得からユーザーの維持及び関係構築、販売に至るマーケティングのすべてのプロセスを「フル・ファネル」と表現しています。 (2) 当社グループの歴史当社グループは、2012年6月にAppier, Inc.が、米国のハーバード大学やスタンフォード大学在籍時に四足自立歩行ロボットや自動運転自動車の開発など、AI、データ分析、分散処理システム等分野での研究経験を有するAIサイエンティストとコンピュータプログラムのエンジニアメンバーによって、AIを活用した企業のマーケティングにおけるソリューションの研究開発を台湾で開始したことに始まります。マーケティングとセールスこそがユーザーとの最初の接点であり、全てのビジネスの出発点であると考えたからです。 当社グループは、機械学習やAIの研究で実績を残したAIサイエンティストが技術面を牽引しています。エンジニアの多くがAI、ビッグデータ又はコンピューターサイエンスの領域における博士号又は修士号を有しています。また、当社グループの役員又は従業員が執筆した300以上の論文が、トップジャーナル、カンファレンス、ワークショップ(アルバータ大学の定義に拠ります。)において発表されています。国際的かつ著名なデータ・マイニング・コンテストであるKDDカップにおいて、当社グループの従業員が参加したチームが7回優勝しております。これらのことから、当社グループは、フォーチュン誌から中国本土を除くアジアを拠点とする企業で唯一の「AI革命を牽引する50社(2017年)」(注1)及びガートナーから「AIクールベンダー(2017年)」(注2)に選出される等、AI企業として高い評価を受けて参りました。また、事業面でも経験豊富なメンバーが在籍しており、技術の強み、事業経験、顧客中心主義の文化が組み合わされたユニークな企業文化を有しています。 ・2014年に、当社グループ初のソリューションである「CrossX」の提供を開始しました。・2014年から2015年には、台湾だけでなく日本と韓国にも事業を拡大しました。北東アジア地域は、2023年12月期の当社グループの売上収益の65%を占めています。また、東南アジア各国の急激な経済成長を受け、各国への進出を進めています。・2018年には、インドのベンチャー企業であるQuantumgraph Solutions Private Limitedを買収し、そのソリューションを再設計しAI機能を追加することで、「AIQUA」を立ち上げました。・2019年には、日本のベンチャー企業であるEmotion Intelligence株式会社を買収しました。同社のソリューションにさらに最先端の機械学習技術を追加することで、「AiDeal」を立ち上げました。・2020年以降には、中国での事業活動を強化し、欧州、米国地域へと拡大しました。・2021年には、台湾のベンチャー企業である邦妮科技有限公司(BotBonnie Inc.)を買収し、会話型のエンゲージメント・マネジメント・プラットフォーム「BotBonnie」の提供を開始しました。・2022年には、米国のベンチャー企業であるWoopra, Inc.を買収し、AIを搭載しした次世代CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)「AIRIS」の提供を開始しました。 現在、当社グループは、東京の他、台北、シンガポール、シドニー、香港、ムンバイ、ニューデリー、ソウル、クアラルンプール、ホーチミン、マニラ、ジャカルタ、バンコク、大阪、北京、パリ及び米国カリフォルニア州といった15の国・地域に17のオフィス(2023年12月末時点)を構え、1,625の企業グループ(注3)に直接もしくは代理店経由にてサービスを提供しております。当社の本社所在地は東京ですが、当社グループの開発拠点は主に台湾です。 主要な関係会社(AISaaS事業)開発の拠点:Appier, Inc.グループ会社の統括本社機能:Appier Pte. Ltd.販売を行っている子会社:Appier Japan株式会社、Appier, Inc.等 (注) 1.2017年にCBインサイツが多様な健全性・成長性指標に基づき選出した「世界で最も有望なAIスタートアップ企業100社」(「AI100」)の中から、資金調達額の多かった上位50社。なお、当社グループは2018年にもAI100に選出されている。2.東アジア地域で優れたAIソリューションを提供している企業として2017年にガートナーが選出したもの。3.2023年12月末時点で当社グループと契約しており、当社グループのソリューションを1種類以上利用している企業グループの総数。有償・無償のトライアル、デモ使用、M&Aにより獲得した顧客は含まない。複数のブランドで当社グループの同一のソリューションを利用している企業は、1社としてカウント。複数のブランドで当社グループの複数のソリューションを利用している企業は、利用している当社グループのソリューションの数ごとに個別の顧客企業としてカウント。 (3) 当社グループのAIプラットフォームができること近年の経済情勢を見ると、以下の3点を主な理由として、データを利活用したビジネスの需要が高まっており、ビッグデータ(注1)を収集・解析・活用し、経営判断に役立てることがますます重要になっていると当社グループは考えております。① デジタルデバイスの普及・浸透:スマートフォン、タブレット等を中心とした個人が所有するデジタルデバイスの普及② 技術革新:クラウドコンピューティング(注2)、ビッグデータ解析技術、深層学習(ディープラーニング)技術等におけるイノベーション③ データの利用可能性の拡大:検索エンジンやeコマースを通じたトランザクション・データ(注3)及びソーシャルメディア等を通じて生成された画像・動画等の非構造化データ(注4)の増加 とりわけ、マーケティング領域においては、ユーザーに関するビッグデータを分析、活用することにより、ウェブサイト又はモバイルアプリケーションを通したより効果的なマーケティングが可能となりました。また、AIソフトウェアを用いて企業が保有するカスタマーデータからより有意義な知見を抽出して理解を深めることや、既存の又は潜在的なカスタマー等とのマーケティング・コミュニケーションにAIソフトウェアを活用して、個人に対して最適にパーソナライズされた提案を行い、エンゲージメントを高める取り組みも進んでおります。 このようにデータの利活用の重要性やAIに対するニーズが高まる一方、現実のビジネスにおいては以下のような困難が待ち受けており、多くの組織ではデータを有効に活用できていないと当社グループは考えております。① データは複数のソースやデバイスに分断されており、大量の異なるデータを管理し、統合することは難しく調査対象の包括的な理解が得られない② AIを十分に活用し、ビジネスの意思決定にAIを役立てるには、高度な訓練を受けた専門家が必要③ AIやデータサイエンティストを組織に融合させることは容易ではなく、事業に良い影響をもたらすことは難しく、また、価値を生み出すAIアプリケーションを開発することには困難を伴う この点において、当社グループの開発したAIプラットフォームは、これらの社会的課題に以下のように対応します。① データ統合の自動化:ディープラーニング技術により、様々なソースやデバイスから得たフォーマットが異なるデータを統合してデータの価値を高め、広範に利用できるデータを自動的に生成します。② 機械学習を用いたAI予測モデルの自動構築:高度な機械学習(注5)を用いたAI予測モデルを自動的に構築し、企業は社内でデータ・サイエンスチームを立ち上げることなく、自社の課題解決に集中することが可能になります。③ 簡単に利用可能なSaaSプラットフォーム:システム環境に依らず利用可能なプラットフォームであるSaaSのプラットフォームとして提供することで、初期投資を抑えながらAIを用いてデータを直ちに利活用し、顧客企業の利用者が自分で分析を行うことを可能にしております。そして、当社グループでは、多数の顧客企業が進んだAIモデルに容易にアクセスできるSaaSのAIソリューションこそが、AIの潜在能力を最大限に引き出すと考えています。このように様々なソースやデバイスから入手したデータを自動で統合することでユーザーのプロファイルを作成し、断片的な情報しかなかったデータから包括的なユーザーの情報を得ることを可能にしております。その際、ユーザーのウェブサイトの訪問履歴やアプリの使用履歴等を自然言語処理(注6)とディープラーニングにより解析することで、データがない領域があったとしても、周辺領域に対するユーザーの嗜好の理解を基に当該未開拓の領域に対する興味・関心の有無について予測することで、より広範なトピックに対するユーザーの行動を予測することを可能にしております。 当社グループのソリューションを使用して現実世界における企業の課題を解決した具体例な事例として以下が挙げられます。① データ統合の自動化:例えば、顧客企業である化粧品ブランドのアプリ・Webサイト、CRM(注7)からのストリーミングデータ(注8)を統合しユーザーのプロファイルを生成します。当該ユーザーの行動パターンと興味・関心といったデータを統合、更には商品の閲覧や購入等のユーザーのWebサイトやアプリ上での行動データ等を統合することで、包括的なユーザーのプロファイルを作成します。② 機械学習を用いたAI予測モデルの自動構築:包括的なユーザーのプロファイルに基づきユーザーがいつ、何を、どのように購入したいのかを予測する機械学習を用いたAI予測モデルを自動構築することで、例えばこの閲覧したユーザーは、例えば、日焼け止めUVカットのファンデーションを購入する可能性が高いと、高い精度で予測してマーケティングを実施することが可能になります。③ パーソナライズされた提案:最もユーザーにマッチする商品を自動的にWebサイトやアプリに表示させることによって提案します。 (注) 1.従来のデータベース管理システム等では記録や保管、解析が難しいような巨大なデータ群2.インターネット等のコンピューターネットワークを経由して、コンピューター資源をサービスの形で提供する利用形態3.業務に伴って発生した出来事の詳細を記録したデータ4.文書データ、電子メール、写真、動画等、定型的に扱えないデータ5.データから規則性や判断基準を学習し、それに基づき未知のものを予測、判断する技術6.人間が日常的に使っている自然言語をコンピューターに処理させる一連の技術7.顧客との良好な関係を構築し、顧客価値を高めるためのマネジメント8.多数のデータソースによって継続的に生成されるデータ (4) 当社グループのソリューション当社グループは、企業と価値あるエンドユーザーを結びつけるためのAIベースのソリューションを提供しています。当社の顧客の多くは消費者向けの企業であるため、潜在的なユーザーの予測及び獲得からユーザーの維持及び関係構築、販売に至るマーケティングのすべてのプロセスを一気通貫でサポートできるソリューションを揃えております。当社グループでは、このコンセプトをマーケティングとセールスのプロセスの「フル・ファネル」と呼んでいます。このアプローチにより、マーケティングとセールスの各段階で、顧客企業の課題解決を支援することができると考えています。また、SaaSのプラットフォームとして提供することで、AIでこれらの課題を解決するために必要な開発時間とコストを大幅に削減することができます。当社グループのソリューションは、顧客企業に以下のような価値を提供しています。① 企業レベルでは、完全に自動化されたデータの統合とAIモデルの自動構築の技術により、AIの導入を容易にします。② CMO(Chief Marketing Officer)やマーケティング責任者には、将来のユーザー行動を予測し、そこから得られる知見を提供します。これにより、従来、過去データのみに基づいて実施されてきたマーケティング上の意思決定を、ユーザーの行動を予測して先回りするものに変えることができます。また、投資額に対してどれだけのリターンがあったかを測定可能なものにします。③ マーケティング実務者には、日々の業務課題に合わせたフル・ファネルのソリューションを提供します。当社グループのAIソリューションは、デジタルマーケティングに伴う様々な手作業を自動化し、マーケティング実務者がより戦略的な意思決定に集中することを可能にします。そして、顧客企業が当社のソリューションを使用すればするほど、顧客企業はより多くの価値を得て、当社グループはより多くのロイヤルティを得ることができると考えています。また、CrossXは、AIが自動的にユーザー獲得のためのマーケティングキャンペーンを実施し、その実施結果等について顧客企業は当社のプラットフォーム上にあるレポートを通じて確認することができます。それに対して、AIQUA、AiDeal及びAIXONは、顧客企業が自ら利用できるプラットフォームを提供するものです。顧客企業は、そのニーズに応じて、当社グループのソリューションを1つだけ利用することも、複数利用することも可能ですが、各ソリューションが高度に連携・統合されていることから、組み合わせて使うことによって、時には、これまで想定していなかった知見や気づきを得ることができます。そして、当社ソリューションから得たデータや気づきを他の分野で活用することも可能です。 ① ユーザーのライフタイムバリュー(生涯価値)を予測し、最も価値の高いユーザーを獲得することを可能にすることで、マーケティング投資を予測可能なリターンに転換:ソリューション名 CrossX(クロスエックス)CrossXは、一般消費者を対象とする企業がマーケティングの最初の段階で直面する最大のチャレンジのひとつである、マーケティングのコストに見合う高いリターンが期待できるユーザーを獲得する、という課題を解決するためのもので、マーケティング・ファネル図の一番上の「潜在ユーザーの予測及び獲得」のためのソリューションです。従来のソリューションでは、コストと時間をかけてマニュアル作業によるA/Bテスト(注1)を繰り返すことも多い中、CrossXは、AIが最も生涯価値の高い潜在的ユーザーを高い精度で予測し、当該潜在的ユーザーのターゲティングにフォーカスすることが可能であることから、顧客企業は高い投資対効果を実現することが期待できます。 CrossXは2014年に提供を開始した当社初のソリューションであり、当社の売上収益への貢献度が最も大きいソリューションです。顧客企業がCrossXとの連携を開始すると、最初にユーザーデータの取り込みを行います。ユーザーのプロファイル、サイトデータ、ユーザー行動などの1万以上のデータの組み合わせが、当社グループのマルチタスク型ディープラーニングモデルに入力され、質の高いユーザーを見つけるだけでなく、「サイト訪問」「ユーザー登録」「購入」などの複数の重要な目標を達成するユーザーや、生涯価値などの将来の行動やパターンを予測し、顧客企業に最高のROI(注2)をもたらすユーザーを予測することができます。予測はこれで終わりではなく、獲得したデータに対して、繰り返し機械学習を行い、予測モデルの改善を継続し続けます。 そして、そのような生涯価値の高いユーザーを実際に取り込むために、当社グループは、Google等の主要なマーケティング・プラットフォームと接続し、当社グループがマーケティング・プラットフォーム利用料を負担して、顧客企業に代わってマーケティングキャンペーンを実施すること等のマーケティング活動をAIが自動的に行います。 また、CrossXのソリューションの一環として、AIが推奨する様々なアクションを顧客企業自身が行うことができるユーザー獲得の自動化ツール「AIXPERT(アイエクスパート)」を発表しました。AIXPERTは、顧客企業のサービスを理解した上で、ターゲティングの候補となるユーザーを選定することができます。AIXPERTのAIは、予算の配分方法など、望ましい結果を得るためのパラメーターの調整方法を定期的に提案し、顧客企業が最終決定を下すことができます。これにより、AIの意思決定プロセスが顧客企業にも見えるようになります。すべての判断が自動的に適用される「マーケティングの自動運転」を行うことも可能です。 CrossXは、通常、特定のキャンペーンやマーケティング活動のために利用量ベースの価格体系で顧客企業に提供しています。その場合、当社グループに支払われる費用は、当該キャンペーンやマーケティング活動の結果として顧客企業が獲得したユーザーの数やアクティブユーザーの増加数に応じて算出されます。 ② あらゆるコミュニケーションチャネルを最適なタイミングで活用し、AIによって パーソナライズ化された、プロアクティブで効果的なメッセージを用いて、ユーザーとのエンゲージメントの質を向上:ソリューション名 AIQUA(アイコア)、BotBonnie(ボットボニー)一般消費者を対象とする企業は、ユーザーを獲得した次の段階として、マーケティング・ファネル図における上から2番目にあたる「ユーザーの維持及び関係構築」という課題に直面します。(1)複雑な内容のメッセージを作成し、複数のチャネルを管理するための手作業の負担が掛かる、(2)ユーザーに最適にパーソナライズされたメッセージを適切なタイミングで送ることができない、(3)ユーザーとの関係性構築のためのチャネルが不適切でロイヤルティの高いユーザーに変えることが出来ない、などが、一般消費者向けの事業を行う企業で良く見られるエンゲージメントの課題です。 従来のマーケティング・オートメーション・ソリューションは、ユーザーの行動を基にして事前に定めたルールに合致した場合に、例えば、所定のメッセージを自動で送信するというものです。このため、ユーザーにメッセージを届ける理想的なタイミングを逃してしまって無視されたり、もはや関心がなくなってしまったメッセージを送信しているということが生じています。AIQUAは、これを解決するために当社が提供するAIソリューションです。2018年にインドのベンチャー企業であるQuantumgraph Solutions Private Limitedを買収し、そのソリューションを再設計しAI機能を追加することでAIQUAを立ち上げました。従来のマーケティング・オートメーション・ソリューションと異なり、AIが組み込まれているAIQUAは、ユーザーの取りうる行動を予測し、ユーザーに最適にパーソナライズされたメッセージを最適なタイミングで提供することで、ユーザーとのエンゲージメントを強化することが可能です。AIQUAには以下の特徴があります。(1) Webプッシュ通知、Eメール、SMS、メッセンジャーアプリといった多様なコミュニケーションチャネルを簡単に利用することが可能です。(2) AIアルゴリズムが、当該ユーザーにとって最適にパーソナライズされたメッセージやお薦め情報を自動的に作成します。(3) AIアルゴリズムが、読まれる可能性が高いと予測されるチャネルから、かつ、高い成果を達成すると予測される最適な送信タイミングでメッセージを自動送信します。 当社グループは、AIQUAをサブスクリプション方式(顧客企業の利用量に拘わらず一定額の料金が支払われる方式)で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、アクティブユーザーの総数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。 更に、当社グループは、邦妮科技有限公司(BotBonnie Inc.)の買収に伴い、2021年6月にBotBonnieの提供を開始しました。BotBonnieの提供開始により、カスタマーエンゲージメントに関する製品ラインアップをメッセンジャー領域まで拡大しました。また、これにより当社グループは会話型コマースとカスタマーサポート領域に進出することとなり、これは当社グループのフルファネルマーケティングとビジネスソリューションに対する顧客中心のアプローチに沿った動きです。 BotBonnieは、オムニチャネルの会話型マーケティング・プラットフォームであり、メッセンジャープラットフォームにおける複雑なカスタマージャーニーを賢くナビゲートできるよう設計され、当社グループのAIを活用したソリューション群を強化しています。通常、企業がメッセンジャープラットフォームを通じてパーソナライズされた顧客サービスを生成し、顧客との望ましい関係を構築するためには、多大な労力が必要です。BotBonnieは、ビジュアルビルダーを使用して、パーソナライズされた顧客サービスを簡単に作成することができます。さらに、BotBonnieはInstagram、Facebook Messenger、LINEといった世界で最も人気のあるソーシャルメディアプラットフォームと統合しており、顧客エンゲージメントのカバー範囲を拡大するだけでなく、AIが会話データから得たインサイトよりアクションを強化することができます。当社グループは、BotBonnieをサブスクリプション方式(顧客企業の利用量に拘らず一定額の料金が支払われる方式)で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、顧客企業のソーシャルメディアアカウントの登録者数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いただいております。 ③ 購入を躊躇するユーザーを予測し、そのユーザーだけにインセンティブを付与し、収益性を維持しつつ売上の最大化を実現:ソリューション名 AiDeal(アイディール)既存ユーザーとのエンゲージメントが維持・強化された次の課題は、ユーザーに購入等の取引を行ってもらうことです。マーケティング・ファネル図における上から3番目の「購買・アクションへの動機付け」にあたります。 一般消費者を対象とするeコマース企業の大きな課題のひとつに、カートに入れられた商品の多くが最終的に購入されずに終わるという問題があります。その理由は、ECサイト間の切り替えに手間とコストがかからないため、一般消費者が実店舗での購買に比べて、躊躇することが多いからです。そのため、多くのECサイトではクーポン等を配布することが増えています。しかし、クーポン等の配布には2つの問題があります。一つは、クーポンが無差別に配られたり、間違ったユーザーセグメントに向けられたりすると、利益率が低下する一方で、全体の収益や利益が必ずしも増加するわけではないことです。また、クーポンを過度に配布すると、ブランドイメージを損なう可能性もあります。もう一つは、eコマース企業内の能力が限られているために非効率的な手作業が発生しており、適切なツールの活用や分析ができていないため、どのセグメントをターゲットにしてクーポンを配布すべきかを効果的に把握することができません。 AiDealは、この問題を解決するAIソリューションです。日本のEmotion Intelligence株式会社を買収し、同社のソリューションに最先端の機械学習技術を追加することで、購入をためらっているユーザーを特定し、売上の最大化と購入の動機付けをもたらすプラットフォームである「AiDeal」を立ち上げました。 AiDealは、AIによって、ユーザーのモバイル画面へのタッチやスワイプ方法、カーソルの位置、スクロールの量など、サイト全体でのユーザーのリアルタイムでの挙動に関するデータを処理し、ユーザーが製品やサービスの購入を決定するに至るトリガーを見つけ出し、購入をためらっているユーザーを検出します。その上で、当該ユーザーに対し、カスタマイズされた効果的なオファー(期間限定のディスカウントなど)を提案し、購入まで導くことで、購買の頻度及び確度の向上並びに収益性の向上を可能にします。また、カートの中に放置されていた商品を購入させるために、限られた時間内にクーポンの有効期限を設定する機能も提供しています。これにより、顧客企業は、クーポン等を提供すれば購入に至る可能性が高い、購入をためらっているユーザーを推定し、効率的にターゲットにすることができます。 このように、AiDealは、データに基づいて適切なオファーをすることで、ディスカウントやクーポンなどのコストを抑えながらも売上を増やすことを企図するものです。AiDealは、eコマース企業のみならず、何らかの登録や申込みのフォームを書きかけたままにしているユーザーに対して、それを仕上げるように促すことにも利用可能であり、他の領域での活用事例を拡げているところです。 当社グループは、AiDealをサブスクリプション方式で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、取引量に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。 ④ AI予測モデルを自動的かつ簡単に構築し、容易にオーディエンスの行動予測を行うことを可能にするデータサイエンスプラットフォーム:ソリューション名 AIXON(アイソン)、AIRIS(アイリス)一般消費者を対象とする企業は、ユーザーに対するデータ分析により得られる知見をビジネスに有効利用したいと考えた際に、(1)データは複数のソースや異なるフォーマットでバラバラに分断されていること、(2)正確なAIモデルを構築するには時間とコストがかかること、(3)行動に移せるような実用的な知見がデータサイエンティストからは提示されないこと、という課題に直面します。マーケティング・ファネル図の上から4番目の「オーディエンス・インテリジェンス」にあたります。 AIXONは、この3つの課題を解決するために設計された、導入しやすいデータサイエンス機能を持つAI搭載の予測分析プラットフォームです。これを用いることにより、顧客企業は、自社でデータサイエンティストを抱えることなく、膨大なユーザーデータを統合・強化して、機械学習モデルを用いたシナリオに基づいてターゲットとなるオーディエンス(注3)の行動予測を自動的に行うことが可能となります。また、AIXONは、AIが導き出した結論の論拠を、顧客企業に分かりやすく説明・表示することができます。 また、AIXONとAIQUAを同時に活用することで更に大きなシナジーがもたらされます。例えば、AIXONが予測するユーザーの潜在的な解約リスクや潜在的な購買行動などに対して、AIQUAを活用してユーザーに対するエンゲージメントをただちに実施することで、将来の損失を回避し、売上を増加させることが可能となります。このためAIQUAはAIXONと併売されることが多く、顧客に大きな価値をもたらすだけでなく、当社顧客の維持にも貢献しています。 AIXONには3つの独自性のある強みがあります。 データの統合と自動処理による導入の容易さ分かりやすいビジュアル化されたインターフェースを使うことで、簡単にデータをつなぎこむことができます。当社のディープラーニング技術により、異なるソースの異なるフォーマットのデータをリアルタイムで統合し、AI予測モデルが必要とするデータを自動的に抽出し処理することが可能です。 自動でのAI予測モデルの構築AIXONは、自動でシナリオベースのAI予測モデルを構築することができます。この予測を用いることで、データサイエンティストチームを介さずに、ユーザーの行動を予測することができ、実際のビジネスの問題解決に集中することができます。例えば解約予測などのシナリオを選択すると、AIXONが最適なAI予測モデルを自動的に選択し、更にモデルの強化のためのトレーニングを自動で行います。 AIXONの画面上で希望する予測精度等を簡単に設定することが可能であり、ニーズに応じて予測内容を調整することができます。そして、AIXONの予測結果は、顧客管理データベースやマーケティングオートメーションシステムなど、顧客が選択した先に即座に出力することができます。 説明可能なAIAIXONは、顧客が使用するためのプロファイルとAIの意思決定内容をテキストで表示し、AIモデルの中で最も重要な変数と、特定の選択と意思決定が行われる理由を示すことができます。AI分析の要因を説明できることは、AI技術への信頼を醸成し「ブラックボックス」とみなされることを避けるために重要です。 また、当社グループは米国のWoopra, Inc.を買収し、同社が保有していたソリューションとAIXONを組み合わせることにより、2022年12月にAIRISの提供を開始しました。AIRISは、AppierのAIによる予測アプローチと、Woopraの直感的なデータの可視化を組み合わせた、AIベースのカスタマーデータプラットフォーム(CDP)です。直感的なリアルタイムデータの可視化と予測により、インサイトを得るまでの時間を大幅に短縮することができます。 当社グループは、AIXON及びAIRISをサブスクリプション方式で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、このプラットフォームを使って顧客企業が行った予測の件数及びアクティブユーザーの総数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。 (注) 1.キャンペーンのバリエーションを複数用意し、それぞれにオーディエンスを振り分けて、結果が良くなるバリエーションを検証するマーケティング実験の手法2.マーケティングへの投資額に対して得た利益の額の比率3.マーケティングメッセージの受け手 [事業系統図]
FY2022|14,501 文字|出典 docID: S100QIDB
3 【事業の内容】(1) 当社グループの概要「ソフトウェアをよりスマートに、AIでROIを向上させる」が当社グループのミッションです。 当社グループは、将来、全ての企業のソフトウェアにAIが搭載され、企業の意思決定がより正確で自動的にかつユーザーの行動を先回りするような形で実行されるようになると想定しています。当社グループは、デジタルマーケティングとセールスの領域のソフトウェアの変革から事業を開始しました。当社グループは、AIマーケティングのソリューションをSaaS(注1)モデルで提供するパイオニアを自負しています。AIによって自動的に消費者の行動を予測するという特徴をもった、マーケティング及びセールスの活動の全領域を支援するソリューションを提供しています。 現在、多くの組織は非常に価値があるデータを持っていながら、そのデータを有効に活用できていません。データの断片化、人材不足という課題があることが背景です。当社グループのAIプラットフォーム(当社グループが提供するソリューションの総体をいいます。以下同じ。)は、まず、深層学習(ディープラーニング)技術(注2)により、様々なソースから得られたフォーマットが異なるデータを統合することで、第一の課題であるデータの断片化という問題を解決します。続いて、この統合されたデータを活用して、最先端のAIモデルを自動的に構築するソフトウェアを提供することで、AI人材不足という第二の課題を解決します。さらに、当社のAIプラットフォームは、AIモデルを容易に利用することが可能であり、様々なアプリケーションと連携できるので、顧客企業のビジネスに好影響をもたらします。このような技術が、当社グループのAI SaaSソリューションに組み込まれています。 当社グループのAIプラットフォーム上で提供されるソリューションは、最先端のAIモデルによって将来予測を行うという特徴を持ち、データが真の価値を発揮することを可能にします。そして、マーケティング及びセールスの領域におけるファネル(注4)の各段階での課題に対応したものになっています。① 潜在ユーザーの予測及び獲得:CrossXユーザーのライフタイムバリュー(生涯価値)を予測し、最も価値の高いユーザーを獲得することを可能にすることで、マーケティング投資を予測可能なリターンに転換② ユーザーの維持及び関係構築:AIQUA、BotBonnieあらゆるコミュニケーションチャネルを最適なタイミングで活用し、AIによって パーソナライズ化された、プロアクティブで効果的なメッセージを用いて、ユーザーとのエンゲージメントの質を向上③ 購買・アクションへの動機付け:AiDeal購入を躊躇するユーザーを予測し、そのユーザーだけにインセンティブを付与し、収益性を維持しつつ売上の最大化を実現④ オーディエンス・インテリジェンス:AIXON、AIRIS様々なソースから得られる顧客企業自身が保有する消費者データを活用して、自動機械学習によって、ユーザーの行動を総合的に予測 当社グループは、顧客企業に次の価値を提供しています。第一に、最先端のAIを簡単に活用できるようにすることで、AIを業務プロセスに組み込むための開発時間とコストを大幅に圧縮することができます。第二に、後記「(4) 当社グループのソリューション」で述べるとおり、当社のAIソリューションを用いることで、デジタルマーケティングとセールスの領域の課題を一気通貫で解決することが期待できます。当社のソリューションは、ファネルの各段階で顧客企業の課題に簡単に対応することができます。また、他のファネル段階への展開を容易にするために、データは相互にリンクされています。最後に、将来予測を行う当社グループのAIソリューションを利用することによって、従来、過去データのみに基づいて実施されていたマーケティング上の意思決定を、ユーザーの行動を予測して先回りするものに変えることができ、顧客企業は、これによりビジネスの機会損失を最小限に抑えることが期待できます。 (注) 1.Software as a Serviceの略。インターネット等の通信ネットワークを通じて、利用者が必要なものを必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアまたはその提供形態。2.ニューラルネットワーク(注3)により機械学習技術を実装するための手法の一種3.生物の神経ネットワークの構造と機能を模倣するという観点から生まれた、脳機能に見られるいくつかの特性を計算機上のシミュレーションによって表現することを目指した数学モデル4.「じょうご」の意。後記「(4) 当社グループのソリューション」で述べるとおり、当社グループでは、潜在的なユーザーの予測及び獲得からユーザーの維持及び関係構築、販売に至るマーケティングのすべてのプロセスを「フル・ファネル」と表現しています。 (2) 当社グループの歴史当社グループは、2012年6月にAppier, Inc.が、米国のハーバード大学やスタンフォード大学在籍時に四足自立歩行ロボットや自動運転自動車の開発など、AI、データ分析、分散処理システム等分野での研究経験を有するAIサイエンティストとコンピュータプログラムのエンジニアメンバーによって、AIを活用した企業のマーケティングにおけるソリューションの研究開発を台湾で開始したことに始まります。マーケティングとセールスこそがユーザーとの最初の接点であり、全てのビジネスの出発点であると考えたからです。 当社グループは、機械学習やAIの研究で実績を残したAIサイエンティストが技術面を牽引しています。エンジニアの多くがAI、ビッグデータ又はコンピューターサイエンスの領域における博士号又は修士号を有しています。また、当社グループの役員又は従業員が執筆した300以上の論文が、トップジャーナル、カンファレンス、ワークショップ(アルバータ大学の定義に拠ります。)において発表されています。国際的かつ著名なデータ・マイニング・コンテストであるKDDカップにおいて、当社グループの従業員が参加したチームが7回優勝しております。これらのことから、当社グループは、フォーチュン誌から中国本土を除くアジアを拠点とする企業で唯一の「AI革命を牽引する50社(2017年)」(注1)及びガートナーから「AIクールベンダー(2017年)」(注2)に選出される等、AI企業として高い評価を受けて参りました。また、事業面でも経験豊富なメンバーが在籍しており、技術の強み、事業経験、顧客中心主義の文化が組み合わされたユニークな企業文化を有しています。 ・2014年に、当社グループ初のソリューションである「CrossX」の提供を開始しました。・2014年から2015年には、台湾だけでなく日本と韓国にも事業を拡大しました。北東アジア地域は、2021年12月期の当社グループの売上収益の66%を占めています。また、東南アジア各国の急激な経済成長を受け、各国への進出を進め、東南アジア地域は、2021年12月期の当社グループ売上収益の9%を占めています。・2018年には、インドのベンチャー企業であるQuantumgraph Solutions Private Limitedを買収し、そのソリューションを再設計しAI機能を追加することで、「AIQUA」を立ち上げました。・2019年には、日本のベンチャー企業であるEmotion Intelligence株式会社を買収しました。同社のソリューションにさらに最先端の機械学習技術を追加することで、「AiDeal」を立ち上げました。・2020年以降には、中国での事業活動を強化し、欧州、米国地域へと拡大しました。・2021年には、台湾のベンチャー企業である邦妮科技有限公司(BotBonnie Inc.)を買収し、会話型のエンゲージメント・マネジメント・プラットフォーム「BotBonnie」の提供を開始しました。・2022年には、米国のベンチャー企業であるWoopra, Inc.を買収し、AIを搭載しした次世代CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)「AIRIS」の提供を開始しました。 現在、当社グループは、東京の他、台北、シンガポール、シドニー、香港、ムンバイ、ニューデリー、ソウル、クアラルンプール、ホーチミン、マニラ、ジャカルタ、バンコク、大阪、北京、パリ及び米国カリフォルニア州といった15の国・地域に17のオフィス(2022年12月末時点)を構え、1,374の企業グループ(注3)に直接もしくは代理店経由にてサービスを提供しております。当社の本社は東京ですが、当社グループの開発拠点主に台湾です。 主要な関係会社(AISaaS事業)開発の拠点:Appier, Inc.グループ会社の統括本社機能:Appier Pte. Ltd.販売を行っている子会社:Appier Japan株式会社、Appier, Inc.等 (注) 1.2017年にCBインサイツが多様な健全性・成長性指標に基づき選出した「世界で最も有望なAIスタートアップ企業100社」(「AI100」)の中から、資金調達額の多かった上位50社。なお、当社グループは2018年にもAI100に選出されている。2.東アジア地域で優れたAIソリューションを提供している企業として2017年にガートナーが選出したもの。3.2022年12月末時点で当社グループと契約しており、当社グループのソリューションを1種類以上利用している企業グループの総数。有償・無償のトライアル、デモ使用、M&Aにより獲得した顧客は含まない。複数のブランドで当社グループの同一のソリューションを利用している企業は、1社としてカウント。複数のブランドで当社グループの複数のソリューションを利用している企業は、利用している当社グループのソリューションの数ごとに個別の顧客企業としてカウント。 (3) 当社グループのAIプラットフォームができること近年の経済情勢を見ると、以下の3点を主な理由として、データを利活用したビジネスの需要が高まっており、ビッグデータ(注1)を収集・解析・活用し、経営判断に役立てることがますます重要になっていると当社グループは考えております。① デジタルデバイスの普及・浸透:スマートフォン、タブレット等を中心とした個人が所有するデジタルデバイスの普及② 技術革新:クラウドコンピューティング(注2)、ビッグデータ解析技術、深層学習(ディープラーニング)技術等におけるイノベーション③ データの利用可能性の拡大:検索エンジンやeコマースを通じたトランザクション・データ(注3)及びソーシャルメディア等を通じて生成された画像・動画等の非構造化データ(注4)の増加 とりわけ、マーケティング領域においては、ユーザーに関するビッグデータを分析、活用することにより、ウェブサイト又はモバイルアプリケーションを通したより効果的なマーケティングが可能となりました。また、AIソフトウェアを用いて企業が保有するカスタマーデータからより有意義な知見を抽出して理解を深めることや、既存の又は潜在的なカスタマー等とのマーケティング・コミュニケーションにAIソフトウェアを活用して、個人に対して最適にパーソナライズされた提案を行い、エンゲージメントを高める取り組みも進んでおります。 このようにデータの利活用の重要性やAIに対するニーズが高まる一方、現実のビジネスにおいては以下のような困難が待ち受けており、多くの組織ではデータを有効に活用できていないと当社グループは考えております。① データは複数のソースやデバイスに分断されており、大量の異なるデータを管理し、統合することは難しく調査対象の包括的な理解が得られない② AIを十分に活用し、ビジネスの意思決定にAIを役立てるには、高度な訓練を受けた専門家が必要③ AIやデータサイエンティストを組織に融合させることは容易ではなく、事業に良い影響をもたらすことは難しく、また、価値を生み出すAIアプリケーションを開発することには困難を伴う この点において、当社グループの開発したAIプラットフォームは、これらの社会的課題に以下のように対応します。① データ統合の自動化:ディープラーニング技術により、様々なソースやデバイスから得たフォーマットが異なるデータを統合してデータの価値を高め、広範に利用できるデータを自動的に生成します。② 機械学習を用いたAI予測モデルの自動構築:高度な機械学習(注5)を用いたAI予測モデルを自動的に構築し、企業は社内でデータ・サイエンスチームを立ち上げることなく、自社の課題解決に集中することが可能になります。③ 簡単に利用可能なSaaSプラットフォーム:システム環境に依らず利用可能なプラットフォームであるSaaSのプラットフォームとして提供することで、初期投資を抑えながらAIを用いてデータを直ちに利活用し、顧客企業の利用者が自分で分析を行うことを可能にしております。そして、当社グループでは、多数の顧客企業が進んだAIモデルに容易にアクセスできるSaaSのAIソリューションこそが、AIの潜在能力を最大限に引き出すと考えています。 このように様々なソースやデバイスから入手したデータを自動で統合することでユーザーのプロファイルを作成し、断片的な情報しかなかったデータから包括的なユーザーの情報を得ることを可能にしております。その際、ユーザーのウェブサイトの訪問履歴やアプリの使用履歴等を自然言語処理(注6)とディープラーニングにより解析することで、データがない領域があったとしても、周辺領域に対するユーザーの嗜好の理解を基に当該未開拓の領域に対する興味・関心の有無について予測することで、より広範なトピックに対するユーザーの行動を予測することを可能にしております。 当社グループのソリューションを使用して現実世界における企業の課題を解決した具体例な事例として以下が挙げられます。① データ統合の自動化:例えば、顧客企業である化粧品ブランドのアプリ・Webサイト、CRM(注7)からのストリーミングデータ(注8)を統合しユーザーのプロファイルを生成します。当該ユーザーの行動パターンと興味・関心といったデータを統合、更には商品の閲覧や購入等のユーザーのWebサイトやアプリ上での行動データ等を統合することで、包括的なユーザーのプロファイルを作成します。② 機械学習を用いたAI予測モデルの自動構築:包括的なユーザーのプロファイルに基づきユーザーがいつ、何を、どのように購入したいのかを予測する機械学習を用いたAI予測モデルを自動構築することで、例えばこの閲覧したユーザーは、例えば、日焼け止めUVカットのファンデーションを購入する可能性が高いと、高い精度で予測してマーケティングを実施することが可能になります。③ パーソナライズされた提案:最もユーザーにマッチする商品を自動的にWebサイトやアプリに表示させることによって提案します。 (注) 1.従来のデータベース管理システム等では記録や保管、解析が難しいような巨大なデータ群2.インターネット等のコンピューターネットワークを経由して、コンピューター資源をサービスの形で提供する利用形態3.業務に伴って発生した出来事の詳細を記録したデータ4.文書データ、電子メール、写真、動画等、定型的に扱えないデータ5.データから規則性や判断基準を学習し、それに基づき未知のものを予測、判断する技術6.人間が日常的に使っている自然言語をコンピューターに処理させる一連の技術7.顧客との良好な関係を構築し、顧客価値を高めるためのマネジメント8.多数のデータソースによって継続的に生成されるデータ (4) 当社グループのソリューション当社グループは、企業と価値あるエンドユーザーを結びつけるためのAIベースのソリューションを提供しています。当社の顧客の多くは消費者向けの企業であるため、潜在的なユーザーの予測及び獲得からユーザーの維持及び関係構築、販売に至るマーケティングのすべてのプロセスを一気通貫でサポートできるソリューションを揃えております。当社グループでは、このコンセプトをマーケティングとセールスのプロセスの「フル・ファネル」と呼んでいます。このアプローチにより、マーケティングとセールスの各段階で、顧客企業の課題解決を支援することができると考えています。また、SaaSのプラットフォームとして提供することで、AIでこれらの課題を解決するために必要な開発時間とコストを大幅に削減することができます。当社グループのソリューションは、顧客企業に以下のような価値を提供しています。① 企業レベルでは、完全に自動化されたデータの統合とAIモデルの自動構築の技術により、AIの導入を容易にします。② CMO(Chief Marketing Officer)やマーケティング責任者には、将来のユーザー行動を予測し、そこから得られる知見を提供します。これにより、従来、過去データのみに基づいて実施されてきたマーケティング上の意思決定を、ユーザーの行動を予測して先回りするものに変えることができます。また、投資額に対してどれだけのリターンがあったかを測定可能なものにします。 ③ マーケティング実務者には、日々の業務課題に合わせたフル・ファネルのソリューションを提供します。当社グループのAIソリューションは、デジタルマーケティングに伴う様々な手作業を自動化し、マーケティング実務者がより戦略的な意思決定に集中することを可能にします。そして、顧客企業が当社のソリューションを使用すればするほど、顧客企業はより多くの価値を得て、当社グループはより多くのロイヤルティを得ることができると考えています。また、CrossXは、AIが自動的にユーザー獲得のためのマーケティングキャンペーンを実施し、その実施結果等について顧客企業は当社のプラットフォーム上にあるレポートを通じて確認することができます。それに対して、AIQUA、AiDeal及びAIXONは、顧客企業が自ら利用できるプラットフォームを提供するものです。顧客企業は、そのニーズに応じて、当社グループのソリューションを1つだけ利用することも、複数利用することも可能ですが、各ソリューションが高度に連携・統合されていることから、組み合わせて使うことによって、時には、これまで想定していなかった知見や気づきを得ることができます。そして、当社ソリューションから得たデータや気づきを他の分野で活用することも可能です。 ① ユーザーのライフタイムバリュー(生涯価値)を予測し、最も価値の高いユーザーを獲得することを可能にすることで、マーケティング投資を予測可能なリターンに転換:ソリューション名 CrossX(クロスエックス)CrossXは、一般消費者を対象とする企業がマーケティングの最初の段階で直面する最大のチャレンジのひとつである、マーケティングのコストに見合う高いリターンが期待できるユーザーを獲得する、という課題を解決するためのもので、マーケティング・ファネル図の一番上の「潜在ユーザーの予測及び獲得」のためのソリューションです。従来のソリューションでは、コストと時間をかけてマニュアル作業によるA/Bテスト(注1)を繰り返すことも多い中、CrossXは、AIが最も生涯価値の高い潜在的ユーザーを高い精度で予測し、当該潜在的ユーザーのターゲティングにフォーカスすることが可能であることから、顧客企業は高い投資対効果を実現することが期待できます。 CrossXは2014年に提供を開始した当社初のソリューションであり、当社の売上収益への貢献度が最も大きいソリューションです。顧客企業がCrossXとの連携を開始すると、最初にユーザーデータの取り込みを行います。ユーザーのプロファイル、サイトデータ、ユーザー行動などの1万以上のデータの組み合わせが、当社グループのマルチタスク型ディープラーニングモデルに入力され、質の高いユーザーを見つけるだけでなく、「サイト訪問」「ユーザー登録」「購入」などの複数の重要な目標を達成するユーザーや、生涯価値などの将来の行動やパターンを予測し、顧客企業に最高のROI(注2)をもたらすユーザーを予測することができます。予測はこれで終わりではなく、獲得したデータに対して、繰り返し機械学習を行い、予測モデルの改善を継続し続けます。 そして、そのような生涯価値の高いユーザーを実際に取り込むために、当社グループは、Google、Facebook及びTwitter等の主要なマーケティング・プラットフォームと接続し、当社グループがマーケティング・プラットフォーム利用料を負担して、顧客企業に代わってマーケティングキャンペーンを実施すること等のマーケティング活動をAIが自動的に行います。 また、CrossXのソリューションの一環として、AIが推奨する様々なアクションを顧客企業自身が行うことができるユーザー獲得の自動化ツール「AIXPERT(アイエクスパート)」を発表しました。AIXPERTは、顧客企業のサービスを理解した上で、ターゲティングの候補となるユーザーを選定することができます。AIXPERTのAIは、予算の配分方法など、望ましい結果を得るためのパラメーターの調整方法を定期的に提案し、顧客企業が最終決定を下すことができます。これにより、AIの意思決定プロセスが顧客企業にも見えるようになります。すべての判断が自動的に適用される「マーケティングの自動運転」を行うことも可能です。 CrossXは、通常、特定のキャンペーンやマーケティング活動のために利用量ベースの価格体系で顧客企業に提供しています。その場合、当社グループに支払われる費用は、当該キャンペーンやマーケティング活動の結果として顧客企業が獲得したユーザーの数やアクティブユーザーの増加数に応じて算出されます。 ② あらゆるコミュニケーションチャネルを最適なタイミングで活用し、AIによって パーソナライズ化された、プロアクティブで効果的なメッセージを用いて、ユーザーとのエンゲージメントの質を向上:ソリューション名 AIQUA(アイコア)、BotBonnie(ボットボニー)一般消費者を対象とする企業は、ユーザーを獲得した次の段階として、マーケティング・ファネル図における上から2番目にあたる「ユーザーの維持及び関係構築」という課題に直面します。(1)複雑な内容のメッセージを作成し、複数のチャネルを管理するための手作業の負担が掛かる、(2)ユーザーに最適にパーソナライズされたメッセージを適切なタイミングで送ることができない、(3)ユーザーとの関係性構築のためのチャネルが不適切でロイヤルティの高いユーザーに変えることが出来ない、などが、一般消費者向けの事業を行う企業で良く見られるエンゲージメントの課題です。 従来のマーケティング・オートメーション・ソリューションは、ユーザーの行動を基にして事前に定めたルールに合致した場合に、例えば、所定のメッセージを自動で送信するというものです。このため、ユーザーにメッセージを届ける理想的なタイミングを逃してしまって無視されたり、もはや関心がなくなってしまったメッセージを送信しているということが生じています。AIQUAは、これを解決するために当社が提供するAIソリューションです。2018年にインドのベンチャー企業であるQuantumgraph Solutions Private Limitedを買収し、そのソリューションを再設計しAI機能を追加することでAIQUAを立ち上げました。従来のマーケティング・オートメーション・ソリューションと異なり、AIが組み込まれているAIQUAは、ユーザーの取りうる行動を予測し、ユーザーに最適にパーソナライズされたメッセージを最適なタイミングで提供することで、ユーザーとのエンゲージメントを強化することが可能です。AIQUAには以下の特徴があります。(1) Webプッシュ通知、Eメール、SMS、メッセンジャーアプリといった多様なコミュニケーションチャネルを簡単に利用することが可能です。(2) AIアルゴリズムが、当該ユーザーにとって最適にパーソナライズされたメッセージやお薦め情報を自動的に作成します。(3) AIアルゴリズムが、読まれる可能性が高いと予測されるチャネルから、かつ、高い成果を達成すると予測される最適な送信タイミングでメッセージを自動送信します。 当社グループは、AIQUAをサブスクリプション方式(顧客企業の利用量に拘わらず一定額の料金が支払われる方式)で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、アクティブユーザーの総数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。 更に、当社グループは、邦妮科技有限公司(BotBonnie Inc.)の買収に伴い、2021年6月にBotBonnieの提供を開始しました。BotBonnieの提供開始により、カスタマーエンゲージメントに関する製品ラインアップをメッセンジャー領域まで拡大しました。また、これにより当社グループは会話型コマースとカスタマーサポート領域に進出することとなり、これは当社グループのフルファネルマーケティングとビジネスソリューションに対する顧客中心のアプローチに沿った動きです。 BotBonnieは、オムニチャネルの会話型マーケティング・プラットフォームであり、メッセンジャープラットフォームにおける複雑なカスタマージャーニーを賢くナビゲートできるよう設計され、当社グループのAIを活用したソリューション群を強化しています。通常、企業がメッセンジャープラットフォームを通じてパーソナライズされた顧客サービスを生成し、顧客との望ましい関係を構築するためには、多大な労力が必要です。BotBonnieは、ビジュアルビルダーを使用して、パーソナライズされた顧客サービスを簡単に作成することができます。さらに、BotBonnieはInstagram、Facebook Messenger、LINEといった世界で最も人気のあるソーシャルメディアプラットフォームと統合しており、顧客エンゲージメントのカバー範囲を拡大するだけでなく、AIが会話データから得たインサイトよりアクションを強化することができます。当社グループは、BotBonnieをサブスクリプション方式(顧客企業の利用量に拘らず一定額の料金が支払われる方式)で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、顧客企業のソーシャルメディアアカウントの登録者数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いただいております。 ③ 購入を躊躇するユーザーを予測し、そのユーザーだけにインセンティブを付与し、収益性を維持しつつ売上の最大化を実現:ソリューション名 AiDeal(アイディール)既存ユーザーとのエンゲージメントが維持・強化された次の課題は、ユーザーに購入等の取引を行ってもらうことです。マーケティング・ファネル図における上から3番目の「購買・アクションへの動機付け」にあたります。 一般消費者を対象とするeコマース企業の大きな課題のひとつに、カートに入れられた商品の多くが最終的に購入されずに終わるという問題があります。その理由は、ECサイト間の切り替えに手間とコストがかからないため、一般消費者が実店舗での購買に比べて、躊躇することが多いからです。そのため、多くのECサイトではクーポン等を配布することが増えています。しかし、クーポン等の配布には2つの問題があります。一つは、クーポンが無差別に配られたり、間違ったユーザーセグメントに向けられたりすると、利益率が低下する一方で、全体の収益や利益が必ずしも増加するわけではないことです。また、クーポンを過度に配布すると、ブランドイメージを損なう可能性もあります。もう一つは、eコマース企業内の能力が限られているために非効率的な手作業が発生しており、適切なツールの活用や分析ができていないため、どのセグメントをターゲットにしてクーポンを配布すべきかを効果的に把握することができません。 AiDealは、この問題を解決するAIソリューションです。日本のEmotion Intelligence株式会社を買収し、同社のソリューションに最先端の機械学習技術を追加することで、購入をためらっているユーザーを特定し、売上の最大化と購入の動機付けをもたらすプラットフォームである「AiDeal」を立ち上げました。 AiDealは、AIによって、ユーザーのモバイル画面へのタッチやスワイプ方法、カーソルの位置、スクロールの量など、サイト全体でのユーザーのリアルタイムでの挙動に関するデータを処理し、ユーザーが製品やサービスの購入を決定するに至るトリガーを見つけ出し、購入をためらっているユーザーを検出します。その上で、当該ユーザーに対し、カスタマイズされた効果的なオファー(期間限定のディスカウントなど)を提案し、購入まで導くことで、購買の頻度及び確度の向上並びに収益性の向上を可能にします。また、カートの中に放置されていた商品を購入させるために、限られた時間内にクーポンの有効期限を設定する機能も提供しています。これにより、顧客企業は、クーポン等を提供すれば購入に至る可能性が高い、購入をためらっているユーザーを推定し、効率的にターゲットにすることができます。 このように、AiDealは、データに基づいて適切なオファーをすることで、ディスカウントやクーポンなどのコストを抑えながらも売上を増やすことを企図するものです。AiDealは、eコマース企業のみならず、何らかの登録や申込みのフォームを書きかけたままにしているユーザーに対して、それを仕上げるように促すことにも利用可能であり、他の領域での活用事例を拡げているところです。 当社グループは、AiDealをサブスクリプション方式で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、取引量に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。 ④ AI予測モデルを自動的かつ簡単に構築し、容易にオーディエンスの行動予測を行うことを可能にするデータサイエンスプラットフォーム:ソリューション名 AIXON(アイソン)、AIRIS(アイリス)一般消費者を対象とする企業は、ユーザーに対するデータ分析により得られる知見をビジネスに有効利用したいと考えた際に、(1)データは複数のソースや異なるフォーマットでバラバラに分断されていること、(2)正確なAIモデルを構築するには時間とコストがかかること、(3)行動に移せるような実用的な知見がデータサイエンティストからは提示されないこと、という課題に直面します。マーケティング・ファネル図の上から4番目の「オーディエンス・インテリジェンス」にあたります。 AIXONは、この3つの課題を解決するために設計された、導入しやすいデータサイエンス機能を持つAI搭載の予測分析プラットフォームです。これを用いることにより、顧客企業は、自社でデータサイエンティストを抱えることなく、膨大なユーザーデータを統合・強化して、機械学習モデルを用いたシナリオに基づいてターゲットとなるオーディエンス(注3)の行動予測を自動的に行うことが可能となります。また、AIXONは、AIが導き出した結論の論拠を、顧客企業に分かりやすく説明・表示することができます。 また、AIXONとAIQUAを同時に活用することで更に大きなシナジーがもたらされます。例えば、AIXONが予測するユーザーの潜在的な解約リスクや潜在的な購買行動などに対して、AIQUAを活用してユーザーに対するエンゲージメントをただちに実施することで、将来の損失を回避し、売上を増加させることが可能となります。このためAIQUAはAIXONと併売されることが多く、顧客に大きな価値をもたらすだけでなく、当社顧客の維持にも貢献しています。 AIXONには3つの独自性のある強みがあります。 データの統合と自動処理による導入の容易さ分かりやすいビジュアル化されたインターフェースを使うことで、簡単にデータをつなぎこむことができます。当社のディープラーニング技術により、異なるソースの異なるフォーマットのデータをリアルタイムで統合し、AI予測モデルが必要とするデータを自動的に抽出し処理することが可能です。 自動でのAI予測モデルの構築AIXONは、自動でシナリオベースのAI予測モデルを構築することができます。この予測を用いることで、データサイエンティストチームを介さずに、ユーザーの行動を予測することができ、実際のビジネスの問題解決に集中することができます。例えば解約予測などのシナリオを選択すると、AIXONが最適なAI予測モデルを自動的に選択し、更にモデルの強化のためのトレーニングを自動で行います。 AIXONの画面上で希望する予測精度等を簡単に設定することが可能であり、ニーズに応じて予測内容を調整することができます。そして、AIXONの予測結果は、顧客管理データベースやマーケティングオートメーションシステムなど、顧客が選択した先に即座に出力することができます。 説明可能なAIAIXONは、顧客が使用するためのプロファイルとAIの意思決定内容をテキストで表示し、AIモデルの中で最も重要な変数と、特定の選択と意思決定が行われる理由を示すことができます。AI分析の要因を説明できることは、AI技術への信頼を醸成し「ブラックボックス」とみなされることを避けるために重要です。 また、当社グループは米国のWoopra, Inc.を買収し、同社が保有していたソリューションとAIXONを組み合わせることにより、2022年12月にAIRISの提供を開始しました。AIRISは、AppierのAIによる予測アプローチと、Woopraの直感的なデータの可視化を組み合わせた、AIベースのカスタマーデータプラットフォーム(CDP)です。直感的なリアルタイムデータの可視化と予測により、インサイトを得るまでの時間を大幅に短縮することができます。 当社グループは、AIXON及びAIRISをサブスクリプション方式で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、このプラットフォームを使って顧客企業が行った予測の件数及びアクティブユーザーの総数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。 (注) 1.キャンペーンのバリエーションを複数用意し、それぞれにオーディエンスを振り分けて、結果が良くなるバリエーションを検証するマーケティング実験の手法2.マーケティングへの投資額に対して得た利益の額の比率3.マーケティングメッセージの受け手 [事業系統図]
FY2021|15,372 文字|出典 docID: S100NR3D
3 【事業の内容】(1) 当社グループの概要「将来の事象を予測する人工知能(AI)を用いて、データに基づく意思決定に従い、顧客企業の事業が成長・成功することを支援する」ことが当社グループのミッションです。 当社グループは、将来、全ての企業のソフトウェアにAIが搭載され、企業の意思決定がより正確で自動的にかつユーザーの行動を先回りするような形で実行されるようになると想定しています。当社グループは、デジタルマーケティングとセールスの領域のソフトウェアの変革から事業を開始しました。当社グループは、AIマーケティングのソリューションをSaaS(注1)モデルで提供するパイオニアを自負しています。AIによって自動的に消費者の行動を予測するという特徴をもった、マーケティング及びセールスの活動の全領域を支援するソリューションを提供しています。 現在、多くの組織は非常に価値があるデータを持っていながら、そのデータを有効に活用できていません。データの断片化、人材不足という課題があることが背景です。当社グループのAIプラットフォーム(当社グループが提供するソリューションの総体をいいます。以下同じ。)は、まず、深層学習(ディープラーニング)技術(注2)により、様々なソースから得られたフォーマットが異なるデータを統合することで、第一の課題であるデータの断片化という問題を解決します。続いて、この統合されたデータを活用して、最先端のAIモデルを自動的に構築するソフトウェアを提供することで、AI人材不足という第二の課題を解決します。さらに、当社のAIプラットフォームは、AIモデルを容易に利用することが可能であり、様々なアプリケーションと連携できるので、顧客企業のビジネスに好影響をもたらします。このような技術が、当社グループのAI SaaSソリューションに組み込まれています。 当社グループのAIプラットフォーム上で提供されるソリューションは、最先端のAIモデルによって将来予測を行うという特徴を持ち、データが真の価値を発揮することを可能にします。そして、マーケティング及びセールスの領域におけるファネル(注4)の各段階での課題に対応したものになっています。① 潜在ユーザーの予測及び獲得:CrossXユーザーのライフタイムバリュー(生涯価値)を予測し、最も価値の高いユーザーを獲得することを可能にすることで、マーケティング投資を予測可能なリターンに転換② ユーザーの維持及び関係構築:AIQUA、BotBonnieあらゆるコミュニケーションチャネルを最適なタイミングで活用し、AIによって パーソナライズ化された、プロアクティブで効果的なメッセージを用いて、ユーザーとのエンゲージメントの質を向上③ 購買・アクションへの動機付け:AiDeal購入を躊躇するユーザーを予測し、そのユーザーだけにインセンティブを付与し、収益性を維持しつつ売上の最大化を実現④ オーディエンス・インテリジェンス:AIXON様々なソースから得られる顧客企業自身が保有する消費者データを活用して、自動機械学習によって、ユーザーの行動を総合的に予測 当社グループは、顧客企業に次の価値を提供しています。第一に、最先端のAIを簡単に活用できるようにすることで、AIを業務プロセスに組み込むための開発時間とコストを大幅に圧縮することができます。第二に、後記「(4) 当社グループのソリューション」で述べるとおり、当社のAIソリューションを用いることで、デジタルマーケティングとセールスの領域の課題を一気通貫で解決することが期待できます。当社のソリューションは、ファネルの各段階で顧客企業の課題に簡単に対応することができます。また、他のファネル段階への展開を容易にするために、データは相互にリンクされています。最後に、将来予測を行う当社グループのAIソリューションを利用することによって、従来、過去データのみに基づいて実施されていたマーケティング上の意思決定を、ユーザーの行動を予測して先回りするものに変えることができ、顧客企業は、これによりビジネスの機会損失を最小限に抑えることが期待できます。 (注) 1.Software as a Serviceの略。インターネット等の通信ネットワークを通じて、利用者が必要なものを必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアまたはその提供形態。2.ニューラルネットワーク(注3)により機械学習技術を実装するための手法の一種3.生物の神経ネットワークの構造と機能を模倣するという観点から生まれた、脳機能に見られるいくつかの特性を計算機上のシミュレーションによって表現することを目指した数学モデル4.「じょうご」の意。後記「(4) 当社グループのソリューション」で述べるとおり、当社グループでは、潜在的なユーザーの予測及び獲得からユーザーの維持及び関係構築、販売に至るマーケティングのすべてのプロセスを「フル・ファネル」と表現しています。 (2) 当社グループの歴史当社グループは、2012年6月にAppier, Inc.が、米国のハーバード大学やスタンフォード大学在籍時に四足自立歩行ロボットや自動運転自動車の開発など、AI、データ分析、分散処理システム等分野での研究経験を有するAIサイエンティストとコンピュータプログラムのエンジニアメンバーによって、AIを活用した企業のマーケティングにおけるソリューションの研究開発を台湾で開始したことに始まります。マーケティングとセールスこそがユーザーとの最初の接点であり、全てのビジネスの出発点であると考えたからです。 当社グループは、機械学習やAIの研究で実績を残したAIサイエンティストが技術面を牽引しています。エンジニアの多くがAI、ビッグデータ又はコンピューターサイエンスの領域における博士号又は修士号を有しています。また、当社グループの役員又は従業員が執筆した300以上の論文が、トップジャーナル、カンファレンス、ワークショップ(アルバータ大学の定義に拠ります。)において発表されています。国際的かつ著名なデータ・マイニング・コンテストであるKDDカップにおいて、当社グループの従業員が参加したチームが7回優勝しております。これらのことから、当社グループは、フォーチュン誌から中国本土を除くアジアを拠点とする企業で唯一の「AI革命を牽引する50社(2017年)」(注1)及びガートナーから「AIクールベンダー(2017年)」(注2)に選出される等、AI企業として高い評価を受けて参りました。また、事業面でも経験豊富なメンバーが在籍しており、技術の強み、事業経験、顧客中心主義の文化が組み合わされたユニークな企業文化を有しています。 ・2014年に、当社グループ初のソリューションである「CrossX」の提供を開始しました。・2014年から2015年には、台湾だけでなく日本と韓国にも事業を拡大しました。北東アジア地域は、2021年12月期の当社グループの売上収益の66%を占めています。また、東南アジア各国の急激な経済成長を受け、各国への進出を進め、東南アジア地域は、2021年12月期の当社グループ売上収益の9%を占めています。・2018年には、インドのベンチャー企業であるQuantumgraph Solutions Private Limitedを買収し、そのソリューションを再設計しAI機能を追加することで、「AIQUA」を立ち上げました。・2019年には、日本のベンチャー企業であるEmotion Intelligence株式会社を買収しました。同社のソリューションにさらに最先端の機械学習技術を追加することで、「AiDeal」を立ち上げました。・2020年以降には、中国での事業活動を強化し、欧州、米国地域へと拡大しました。・2021年には、台湾のベンチャー企業である邦妮科技有限公司(BotBonnie Inc.)を買収し、会話型のエンゲージメント・マネジメント・プラットフォーム「BotBonnie」の提供を開始しました。 現在、当社グループは、東京の他、台北、シンガポール、シドニー、香港、ムンバイ、ニューデリー、ソウル、クアラルンプール、ホーチミン、マニラ、ジャカルタ、バンコク、大阪、北京、パリ及び米国カリフォルニア州といった15の国・地域に17のオフィス(2021年12月末時点)を構え、1,088の企業グループ(注3)に直接もしくは代理店経由にてサービスを提供しております。当社の本社は東京にありますが、当社グループの開発の拠点は台湾です。 主要な関係会社(AISaaS事業)開発の拠点:Appier, Inc.グループ会社の統括本社機能:Appier Pte. Ltd.販売を行っている子会社:Appier Japan株式会社、Appier, Inc.等 (注) 1.2017年にCBインサイツが多様な健全性・成長性指標に基づき選出した「世界で最も有望なAIスタートアップ企業100社」(「AI100」)の中から、資金調達額の多かった上位50社。なお、当社グループは2018年にもAI100に選出されている。2.東アジア地域で優れたAIソリューションを提供している企業として2017年にガートナーが選出したもの。3.2021年12月末時点で当社グループと契約しており、当社グループのソリューションを1種類以上利用している企業グループの総数。有償・無償のトライアル、デモ使用、M&Aにより獲得した顧客は含まない。複数のブランドで当社グループの同一のソリューションを利用している企業は、1社としてカウント。複数のブランドで当社グループの複数のソリューションを利用している企業は、利用している当社グループのソリューションの数ごとに個別の顧客企業としてカウント。 (3) 当社グループのAIプラットフォームができること近年の経済情勢を見ると、以下の3点を主な理由として、データを利活用したビジネスの需要が高まっており、ビッグデータ(注1)を収集・解析・活用し、経営判断に役立てることがますます重要になっていると当社グループは考えております。① デジタルデバイスの普及・浸透:スマートフォン、タブレット等を中心とした個人が所有するデジタルデバイスの普及② 技術革新:クラウドコンピューティング(注2)、ビッグデータ解析技術、深層学習(ディープラーニング)技術等におけるイノベーション③ データの利用可能性の拡大:検索エンジンやeコマースを通じたトランザクション・データ(注3)及びソーシャルメディア等を通じて生成された画像・動画等の非構造化データ(注4)の増加 とりわけ、マーケティング領域においては、ユーザーに関するビッグデータを分析、活用することにより、ウェブサイト又はモバイルアプリケーションを通したより効果的なマーケティングが可能となりました。また、AIソフトウェアを用いて企業が保有するカスタマーデータからより有意義な知見を抽出して理解を深めることや、既存の又は潜在的なカスタマー等とのマーケティング・コミュニケーションにAIソフトウェアを活用して、個人に対して最適にパーソナライズされた提案を行い、エンゲージメントを高める取り組みも進んでおります。 このようにデータの利活用の重要性やAIに対するニーズが高まる一方、現実のビジネスにおいては以下のような困難が待ち受けており、多くの組織ではデータを有効に活用できていないと当社グループは考えております。① データは複数のソースやデバイスに分断されており、大量の異なるデータを管理し、統合することは難しく調査対象の包括的な理解が得られない② AIを十分に活用し、ビジネスの意思決定にAIを役立てるには、高度な訓練を受けた専門家が必要③ AIやデータサイエンティストを組織に融合させることは容易ではなく、事業に良い影響をもたらすことは難しく、また、価値を生み出すAIアプリケーションを開発することには困難を伴う この点において、当社グループの開発したAIプラットフォームは、これらの社会的課題に以下のように対応します。① データ統合の自動化:ディープラーニング技術により、様々なソースやデバイスから得たフォーマットが異なるデータを統合してデータの価値を高め、広範に利用できるデータを自動的に生成します。② 機械学習を用いたAI予測モデルの自動構築:高度な機械学習(注5)を用いたAI予測モデルを自動的に構築し、企業は社内でデータ・サイエンスチームを立ち上げることなく、自社の課題解決に集中することが可能になります。③ 簡単に利用可能なSaaSプラットフォーム:システム環境に依らず利用可能なプラットフォームであるSaaSのプラットフォームとして提供することで、初期投資を抑えながらAIを用いてデータを直ちに利活用し、顧客企業の利用者が自分で分析を行うことを可能にしております。そして、当社グループでは、多数の顧客企業が進んだAIモデルに容易にアクセスできるSaaSのAIソリューションこそが、AIの潜在能力を最大限に引き出すと考えています。 このように様々なソースやデバイスから入手したデータを自動で統合することでユーザーのプロファイルを作成し、断片的な情報しかなかったデータから包括的なユーザーの情報を得ることを可能にしております。その際、ユーザーのウェブサイトの訪問履歴やアプリの使用履歴等を自然言語処理(注6)とディープラーニングにより解析することで、データがない領域があったとしても、周辺領域に対するユーザーの嗜好の理解を基に当該未開拓の領域に対する興味・関心の有無について予測することで、より広範なトピックに対するユーザーの行動を予測することを可能にしております。 当社グループのソリューションを使用して現実世界における企業の課題を解決した具体例な事例として以下が挙げられます。① データ統合の自動化:例えば、顧客企業である化粧品ブランドのアプリ・Webサイト、CRM(注7)からのストリーミングデータ(注8)を統合しユーザーのプロファイルを生成します。当該ユーザーの行動パターンと興味・関心といったデータを統合、更には商品の閲覧や購入等のユーザーのWebサイトやアプリ上での行動データ等を統合することで、包括的なユーザーのプロファイルを作成します。② 機械学習を用いたAI予測モデルの自動構築:包括的なユーザーのプロファイルに基づきユーザーがいつ、何を、どのように購入したいのかを予測する機械学習を用いたAI予測モデルを自動構築することで、例えばこの閲覧したユーザーは、例えば、日焼け止めUVカットのファンデーションを購入する可能性が高いと、高い精度で予測してマーケティングを実施することが可能になります。③ パーソナライズされた提案:最もユーザーにマッチする商品を自動的にWebサイトやアプリに表示させることによって提案します。 (注) 1.従来のデータベース管理システム等では記録や保管、解析が難しいような巨大なデータ群2.インターネット等のコンピューターネットワークを経由して、コンピューター資源をサービスの形で提供する利用形態3.業務に伴って発生した出来事の詳細を記録したデータ4.文書データ、電子メール、写真、動画等、定型的に扱えないデータ5.データから規則性や判断基準を学習し、それに基づき未知のものを予測、判断する技術6.人間が日常的に使っている自然言語をコンピューターに処理させる一連の技術7.顧客との良好な関係を構築し、顧客価値を高めるためのマネジメント8.多数のデータソースによって継続的に生成されるデータ (4) 当社グループのソリューション当社グループは、企業と価値あるエンドユーザーを結びつけるためのAIベースのソリューションを提供しています。当社の顧客の多くは消費者向けの企業であるため、潜在的なユーザーの予測及び獲得からユーザーの維持及び関係構築、販売に至るマーケティングのすべてのプロセスを一気通貫でサポートできるソリューションを揃えております。当社グループでは、このコンセプトをマーケティングとセールスのプロセスの「フル・ファネル」と呼んでいます。このアプローチにより、マーケティングとセールスの各段階で、顧客企業の課題解決を支援することができると考えています。また、SaaSのプラットフォームとして提供することで、AIでこれらの課題を解決するために必要な開発時間とコストを大幅に削減することができます。当社グループのソリューションは、顧客企業に以下のような価値を提供しています。① 企業レベルでは、完全に自動化されたデータの統合とAIモデルの自動構築の技術により、AIの導入を容易にします。② CMO(Chief Marketing Officer)やマーケティング責任者には、将来のユーザー行動を予測し、そこから得られる知見を提供します。これにより、従来、過去データのみに基づいて実施されてきたマーケティング上の意思決定を、ユーザーの行動を予測して先回りするものに変えることができます。また、投資額に対してどれだけのリターンがあったかを測定可能なものにします。 ③ マーケティング実務者には、日々の業務課題に合わせたフル・ファネルのソリューションを提供します。当社グループのAIソリューションは、デジタルマーケティングに伴う様々な手作業を自動化し、マーケティング実務者がより戦略的な意思決定に集中することを可能にします。そして、顧客企業が当社のソリューションを使用すればするほど、顧客企業はより多くの価値を得て、当社グループはより多くのロイヤルティを得ることができると考えています。また、CrossXは、AIが自動的にユーザー獲得のためのマーケティングキャンペーンを実施し、その実施結果等について顧客企業は当社のプラットフォーム上にあるレポートを通じて確認することができます。それに対して、AIQUA、AiDeal及びAIXONは、顧客企業が自ら利用できるプラットフォームを提供するものです。顧客企業は、そのニーズに応じて、当社グループのソリューションを1つだけ利用することも、複数利用することも可能ですが、各ソリューションが高度に連携・統合されていることから、組み合わせて使うことによって、時には、これまで想定していなかった知見や気づきを得ることができます。そして、当社ソリューションから得たデータや気づきを他の分野で活用することも可能です。 ① ユーザーのライフタイムバリュー(生涯価値)を予測し、最も価値の高いユーザーを獲得することを可能にすることで、マーケティング投資を予測可能なリターンに転換:ソリューション名 CrossX(クロスエックス)CrossXは、一般消費者を対象とする企業がマーケティングの最初の段階で直面する最大のチャレンジのひとつである、マーケティングのコストに見合う高いリターンが期待できるユーザーを獲得する、という課題を解決するためのもので、マーケティング・ファネル図の一番上の「潜在ユーザーの予測及び獲得」のためのソリューションです。従来のソリューションでは、コストと時間をかけてマニュアル作業によるA/Bテスト(注1)を繰り返すことも多い中、CrossXは、AIが最も生涯価値の高い潜在的ユーザーを高い精度で予測し、当該潜在的ユーザーのターゲティングにフォーカスすることが可能であることから、顧客企業は高い投資対効果を実現することが期待できます。 CrossXは2014年に提供を開始した当社初のソリューションであり、当社の売上収益への貢献度が最も大きいソリューションです。顧客企業がCrossXとの連携を開始すると、最初にユーザーデータの取り込みを行います。ユーザーのプロファイル、サイトデータ、ユーザー行動などの1万以上のデータの組み合わせが、当社グループのマルチタスク型ディープラーニングモデルに入力され、質の高いユーザーを見つけるだけでなく、「サイト訪問」「ユーザー登録」「購入」などの複数の重要な目標を達成するユーザーや、生涯価値などの将来の行動やパターンを予測し、顧客企業に最高のROI(注2)をもたらすユーザーを予測することができます。予測はこれで終わりではなく、獲得したデータに対して、繰り返し機械学習を行い、予測モデルの改善を継続し続けます。 そして、そのような生涯価値の高いユーザーを実際に取り込むために、当社グループは、Google、Facebook及びTwitter等の主要なマーケティング・プラットフォームと接続し、当社グループがマーケティング・プラットフォーム利用料を負担して、顧客企業に代わってマーケティングキャンペーンを実施すること等のマーケティング活動をAIが自動的に行います。 また、CrossXのソリューションの一環として、AIが推奨する様々なアクションを顧客企業自身が行うことができるユーザー獲得の自動化ツール「AIXPERT(アイエクスパート)」を発表しました。AIXPERTは、顧客企業のサービスを理解した上で、ターゲティングの候補となるユーザーを選定することができます。AIXPERTのAIは、予算の配分方法など、望ましい結果を得るためのパラメーターの調整方法を定期的に提案し、顧客企業が最終決定を下すことができます。これにより、AIの意思決定プロセスが顧客企業にも見えるようになります。すべての判断が自動的に適用される「マーケティングの自動運転」を行うことも可能です。 CrossXは、通常、特定のキャンペーンやマーケティング活動のために利用量ベースの価格体系で顧客企業に提供しています。その場合、当社グループに支払われる費用は、当該キャンペーンやマーケティング活動の結果として顧客企業が獲得したユーザーの数やアクティブユーザーの増加数に応じて算出されます。 ② あらゆるコミュニケーションチャネルを最適なタイミングで活用し、AIによって パーソナライズ化された、プロアクティブで効果的なメッセージを用いて、ユーザーとのエンゲージメントの質を向上:ソリューション名 AIQUA(アイコア)、BotBonnie(ボットボニー)一般消費者を対象とする企業は、ユーザーを獲得した次の段階として、マーケティング・ファネル図における上から2番目にあたる「ユーザーの維持及び関係構築」という課題に直面します。(1)複雑な内容のメッセージを作成し、複数のチャネルを管理するための手作業の負担が掛かる、(2)ユーザーに最適にパーソナライズされたメッセージを適切なタイミングで送ることができない、(3)ユーザーとの関係性構築のためのチャネルが不適切でロイヤルティの高いユーザーに変えることが出来ない、などが、一般消費者向けの事業を行う企業で良く見られるエンゲージメントの課題です。 従来のマーケティング・オートメーション・ソリューションは、ユーザーの行動を基にして事前に定めたルールに合致した場合に、例えば、所定のメッセージを自動で送信するというものです。このため、ユーザーにメッセージを届ける理想的なタイミングを逃してしまって無視されたり、もはや関心がなくなってしまったメッセージを送信しているということが生じています。AIQUAは、これを解決するために当社が提供するAIソリューションです。2018年にインドのベンチャー企業であるQuantumgraph Solutions Private Limitedを買収し、そのソリューションを再設計しAI機能を追加することでAIQUAを立ち上げました。従来のマーケティング・オートメーション・ソリューションと異なり、AIが組み込まれているAIQUAは、ユーザーの取りうる行動を予測し、ユーザーに最適にパーソナライズされたメッセージを最適なタイミングで提供することで、ユーザーとのエンゲージメントを強化することが可能です。AIQUAには以下の特徴があります。(1) Webプッシュ通知、Eメール、SMS、メッセンジャーアプリといった多様なコミュニケーションチャネルを簡単に利用することが可能です。(2) AIアルゴリズムが、当該ユーザーにとって最適にパーソナライズされたメッセージやお薦め情報を自動的に作成します。(3) AIアルゴリズムが、読まれる可能性が高いと予測されるチャネルから、かつ、高い成果を達成すると予測される最適な送信タイミングでメッセージを自動送信します。 当社グループは、AIQUAをサブスクリプション方式(顧客企業の利用量に拘わらず一定額の料金が支払われる方式)で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、アクティブユーザーの総数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。 更に、当社グループは、邦妮科技有限公司(BotBonnie Inc.)の買収に伴い、2021年6月にBotBonnieの提供を開始しました。BotBonnieの提供開始により、カスタマーエンゲージメントに関する製品ラインアップをメッセンジャー領域まで拡大しました。また、これにより当社グループは会話型コマースとカスタマーサポート領域に進出することとなり、これは当社グループのフルファネルマーケティングとビジネスソリューションに対する顧客中心のアプローチに沿った動きです。 BotBonnieは、オムニチャネルの会話型マーケティング・プラットフォームであり、メッセンジャープラットフォームにおける複雑なカスタマージャーニーを賢くナビゲートできるよう設計され、当社グループのAIを活用したソリューション群を強化しています。通常、企業がメッセンジャープラットフォームを通じてパーソナライズされた顧客サービスを生成し、顧客との望ましい関係を構築するためには、多大な労力が必要です。BotBonnieは、ビジュアルビルダーを使用して、パーソナライズされた顧客サービスを簡単に作成することができます。さらに、BotBonnieはInstagram、Facebook Messenger、LINEといった世界で最も人気のあるソーシャルメディアプラットフォームと統合しており、顧客エンゲージメントのカバー範囲を拡大するだけでなく、AIが会話データから得たインサイトよりアクションを強化することができます。当社グループは、BotBonnieをサブスクリプション方式(顧客企業の利用量に拘らず一定額の料金が支払われる方式)で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、顧客企業のソーシャルメディアアカウントの登録者数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いただいております。 ③ 購入を躊躇するユーザーを予測し、そのユーザーだけにインセンティブを付与し、収益性を維持しつつ売上の最大化を実現:ソリューション名 AiDeal(アイディール)既存ユーザーとのエンゲージメントが維持・強化された次の課題は、ユーザーに購入等の取引を行ってもらうことです。マーケティング・ファネル図における上から3番目の「購買・アクションへの動機付け」にあたります。 一般消費者を対象とするeコマース企業の大きな課題のひとつに、カートに入れられた商品の多くが最終的に購入されずに終わるという問題があります。その理由は、ECサイト間の切り替えに手間とコストがかからないため、一般消費者が実店舗での購買に比べて、躊躇することが多いからです。そのため、多くのECサイトではクーポン等を配布することが増えています。しかし、クーポン等の配布には2つの問題があります。一つは、クーポンが無差別に配られたり、間違ったユーザーセグメントに向けられたりすると、利益率が低下する一方で、全体の収益や利益が必ずしも増加するわけではないことです。また、クーポンを過度に配布すると、ブランドイメージを損なう可能性もあります。もう一つは、eコマース企業内の能力が限られているために非効率的な手作業が発生しており、適切なツールの活用や分析ができていないため、どのセグメントをターゲットにしてクーポンを配布すべきかを効果的に把握することができません。 AiDealは、この問題を解決するAIソリューションです。日本のEmotion Intelligence株式会社を買収し、同社のソリューションに最先端の機械学習技術を追加することで、購入をためらっているユーザーを特定し、売上の最大化と購入の動機付けをもたらすプラットフォームである「AiDeal」を立ち上げました。 AiDealは、AIによって、ユーザーのモバイル画面へのタッチやスワイプ方法、カーソルの位置、スクロールの量など、サイト全体でのユーザーのリアルタイムでの挙動に関するデータを処理し、ユーザーが製品やサービスの購入を決定するに至るトリガーを見つけ出し、購入をためらっているユーザーを検出します。その上で、当該ユーザーに対し、カスタマイズされた効果的なオファー(期間限定のディスカウントなど)を提案し、購入まで導くことで、購買の頻度及び確度の向上並びに収益性の向上を可能にします。また、カートの中に放置されていた商品を購入させるために、限られた時間内にクーポンの有効期限を設定する機能も提供しています。これにより、顧客企業は、クーポン等を提供すれば購入に至る可能性が高い、購入をためらっているユーザーを推定し、効率的にターゲットにすることができます。 このように、AiDealは、データに基づいて適切なオファーをすることで、ディスカウントやクーポンなどのコストを抑えながらも売上を増やすことを企図するものです。AiDealは、eコマース企業のみならず、何らかの登録や申込みのフォームを書きかけたままにしているユーザーに対して、それを仕上げるように促すことにも利用可能であり、他の領域での活用事例を拡げているところです。 当社グループは、AiDealをサブスクリプション方式で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、取引量に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。 ④ AI予測モデルを自動的かつ簡単に構築し、容易にオーディエンスの行動予測を行うことを可能にするデータサイエンスプラットフォーム:ソリューション名 AIXON(アイソン)一般消費者を対象とする企業は、ユーザーに対するデータ分析により得られる知見をビジネスに有効利用したいと考えた際に、(1)データは複数のソースや異なるフォーマットでバラバラに分断されていること、(2)正確なAIモデルを構築するには時間とコストがかかること、(3)行動に移せるような実用的な知見がデータサイエンティストからは提示されないこと、という課題に直面します。マーケティング・ファネル図の上から4番目の「オーディエンス・インテリジェンス」にあたります。 AIXONは、この3つの課題を解決するために設計された、導入しやすいデータサイエンス機能を持つAI搭載の予測分析プラットフォームです。これを用いることにより、顧客企業は、自社でデータサイエンティストを抱えることなく、膨大なユーザーデータを統合・強化して、機械学習モデルを用いたシナリオに基づいてターゲットとなるオーディエンス(注3)の行動予測を自動的に行うことが可能となります。また、AIXONは、AIが導き出した結論の論拠を、顧客企業に分かりやすく説明・表示することができます。 また、AIXONとAIQUAを同時に活用することで更に大きなシナジーがもたらされます。例えば、AIXONが予測するユーザーの潜在的な解約リスクや潜在的な購買行動などに対して、AIQUAを活用してユーザーに対するエンゲージメントをただちに実施することで、将来の損失を回避し、売上を増加させることが可能となります。このためAIQUAはAIXONと併売されることが多く、顧客に大きな価値をもたらすだけでなく、当社顧客の維持にも貢献しています。 AIXONには3つの独自性のある強みがあります。 データの統合と自動処理による導入の容易さ分かりやすいビジュアル化されたインターフェースを使うことで、簡単にデータをつなぎこむことができます。当社のディープラーニング技術により、異なるソースの異なるフォーマットのデータをリアルタイムで統合し、AI予測モデルが必要とするデータを自動的に抽出し処理することが可能です。 自動でのAI予測モデルの構築AIXONは、自動でシナリオベースのAI予測モデルを構築することができます。この予測を用いることで、データサイエンティストチームを介さずに、ユーザーの行動を予測することができ、実際のビジネスの問題解決に集中することができます。例えば解約予測などのシナリオを選択すると、AIXONが最適なAI予測モデルを自動的に選択し、更にモデルの強化のためのトレーニングを自動で行います。 AIXONの画面上で希望する予測精度等を簡単に設定することが可能であり、ニーズに応じて予測内容を調整することができます。そして、AIXONの予測結果は、顧客管理データベースやマーケティングオートメーションシステムなど、顧客が選択した先に即座に出力することができます。 説明可能なAIAIXONは、顧客が使用するためのプロファイルとAIの意思決定内容をテキストで表示し、AIモデルの中で最も重要な変数と、特定の選択と意思決定が行われる理由を示すことができます。AI分析の要因を説明できることは、AI技術への信頼を醸成し「ブラックボックス」とみなされることを避けるために重要です。 当社グループは、AIXONをサブスクリプション方式で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、このプラットフォームを使って顧客企業が行った予測の件数及びアクティブユーザーの総数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。 2021年12月におけるARR(注4)は13,806百万円となり、2020年12月の9,436百万円からの成長率は46.3%となっています。2021年下半期におけるリカーリング売上収益比率(注6)は95.7%であり、2021年12月期のNRR(注7)は123.8%であることから、継続利用する顧客による当社グループのソリューションの利用の拡大が示されています。2021年12月期の売上収益は12,661百万円(前期比41.1%増)となっています。これは営業体制の強化を行い、かつ、継続的にソリューションの改善に努めたことにより、全地域において新規顧客獲得が進み、かつ、既存顧客からの取引規模が拡大したことによるものであります。また、同期の売上総利益は6,239百万円(前期比51.2%増)となっています。これは、CrossXのアルゴリズムの正確性が増したことに伴いより効率的なマーケティングキャンペーンの実施が可能になったこと、かつ、売上総利益率の高いAIQUA、AiDeal及びAIXONからの売上が増えたため、売上総利益率が改善したことによるものです。その結果、売上総利益率の前期比増加率は、売上収益の前期比増加率を上回っています。 (注) 1.キャンペーンのバリエーションを複数用意し、それぞれにオーディエンスを振り分けて、結果が良くなるバリエーションを検証するマーケティング実験の手法2.マーケティングへの投資額に対して得た利益の額の比率3.マーケティングメッセージの受け手4.Annual Recurring Revenueの略。年間経常収益。利用量ベースの価格体系で提供するソリューションについては、関連する期間における1か月平均のリカーリング売上収益(注5)を12倍し、サブスクリプション方式で提供するソリューションについては、関連する期間の最終月のリカーリング売上収益を12倍することで年換算して得られた金額です。2021年12月のARRは、利用量ベースの価格体系で提供するソリューションについては2021年7月から12月のリカーリング売上収益の1か月平均を12倍し、サブスクリプション方式で提供するソリューションについては2020年12月のリカーリング売上収益を12倍して算出しております。5.リカーリング顧客(利用量ベースの価格体系で提供するソリューションについては、①当社グループのソリューションを4四半期以上連続で使用している顧客企業及び②直近1年以内の新規顧客企業で当社グループのソリューションを3カ月以上連続で使用している顧客企業を、サブスクリプション方式で提供するソリューションについては、当社グループと1年以上の契約を締結している顧客企業をいいます。)からの売上収益6.リカーリング売上収益÷売上収益7.Net revenue retention rateの略。該当年度におけるその前年度以前に獲得した顧客企業から生じた売上収益÷前年度における当該顧客企業から生じた売上収益8.上記に記載の2021年12月期に係る売上収益及び売上総利益以外の数値は未監査のものです。 [事業系統図]
FY2020|14,298 文字|出典 docID: S100L3DY
3 【事業の内容】(1) 当社グループの概要「将来の事象を予測する人工知能(AI)を用いて、データに基づく意思決定に従い、顧客企業の事業が成長・成功することを支援する」ことが当社グループのミッションです。 当社グループは、将来、全ての企業のソフトウェアにAIが搭載され、企業の意思決定がより正確で自動的にかつユーザーの行動を先回りするような形で実行されるようになると想定しています。当社グループは、デジタルマーケティングとセールスの領域のソフトウェアの変革から事業を開始しました。当社グループは、AIマーケティングのソリューションをSaaS(注1)モデルで提供するパイオニアを自負しています。AIによって自動的に消費者の行動を予測するという特徴をもった、マーケティング及びセールスの活動の全領域を支援するソリューションを提供しています。 現在、多くの組織は非常に価値があるデータを持っていながら、そのデータを有効に活用できていません。データの断片化、人材不足という課題があることが背景です。当社グループのAIプラットフォーム(当社グループが提供するソリューションの総体をいいます。以下同じ。)は、まず、深層学習(ディープラーニング)技術(注2)により、様々なソースから得られたフォーマットが異なるデータを統合することで、第一の課題であるデータの断片化という問題を解決します。続いて、この統合されたデータを活用して、最先端のAIモデルを自動的に構築するソフトウェアを提供することで、AI人材不足という第二の課題を解決します。さらに、当社のAIプラットフォームは、AIモデルを容易に利用することが可能であり、様々なアプリケーションと連携できるので、顧客企業のビジネスに好影響をもたらします。このような技術が、当社グループのAI SaaSソリューションに組み込まれています。 当社グループのAIプラットフォーム上で提供されるソリューションは、最先端のAIモデルによって将来予測を行うという特徴を持ち、データが真の価値を発揮することを可能にします。そして、マーケティング及びセールスの領域におけるファネル(注4)の各段階での課題に対応したものになっています。① 潜在ユーザーの予測及び獲得:CrossXAIが最も生涯価値の高いユーザーを予測し最適なチャネルで獲得することで望ましい投資対効果を実現② ユーザーの維持及び関係構築:AIQUAAIによるユーザーの将来行動予測に基づき、ユーザーとのエンゲージメントをAIによって個人に対して最適にパーソナライズされた形で効率的にあらゆるチャネルを通じて実行③ 購買・アクションへの動機付け:AiDeal購入をためらっているユーザーをAIが発見し、当該ユーザーに対し効果的なオファー(期間限定のディスカウントなど)を提案し購入まで導くことで、収益性の向上を実現④ オーディエンス・インテリジェンス:AIXON導入しやすいデータサイエンス機能を持つAI搭載の予測分析プラットフォーム。ユーザーの行動を予測する最先端のAIを活用した予測モデルを自動で構築することが可能 当社グループは、顧客企業に次の価値を提供しています。第一に、最先端のAIを簡単に活用できるようにすることで、AIを業務プロセスに組み込むための開発時間とコストを大幅に圧縮することができます。第二に、後記「(4) 当社グループのソリューション」で述べるとおり、当社のAIソリューションを用いることで、デジタルマーケティングとセールスの領域の課題を一気通貫で解決することが期待できます。当社のソリューションは、ファネルの各段階で顧客企業の課題に簡単に対応することができます。また、他のファネル段階への展開を容易にするために、データは相互にリンクされています。最後に、将来予測を行う当社グループのAIソリューションを利用することによって、従来、過去データのみに基づいて実施されていたマーケティング上の意思決定を、ユーザーの行動を予測して先回りするものに変えることができ、顧客企業は、これによりビジネスの機会損失を最小限に抑えることが期待できます。 (注) 1.Software as a Serviceの略。インターネット等の通信ネットワークを通じて、利用者が必要なものを必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアまたはその提供形態。2.ニューラルネットワーク(注3)により機械学習技術を実装するための手法の一種3.生物の神経ネットワークの構造と機能を模倣するという観点から生まれた、脳機能に見られるいくつかの特性を計算機上のシミュレーションによって表現することを目指した数学モデル4.「じょうご」の意。後記「(4) 当社グループのソリューション」で述べるとおり、当社グループでは、潜在的なユーザーの予測及び獲得からユーザーの維持及び関係構築、販売に至るマーケティングのすべてのプロセスを「フル・ファネル」と表現しています。 (2) 当社グループの歴史当社グループは、2012年6月にAppier, Inc.が、米国のハーバード大学やスタンフォード大学在籍時に四足自立歩行ロボットや自動運転自動車の開発など、AI、データ分析、分散処理システム等分野での研究経験を有するAIサイエンティストとコンピュータプログラムのエンジニアメンバーによって、AIを活用した企業のマーケティングにおけるソリューションの研究開発を台湾で開始したことに始まります。マーケティングとセールスこそがユーザーとの最初の接点であり、全てのビジネスの出発点であると考えたからです。 当社グループは、機械学習やAIの研究で実績を残したAIサイエンティストが技術面を牽引しています。全エンジニアの約70%(2021年1月末時点)がAI又はビッグデータの領域における博士号又は修士号を有しています。また、当社グループの役員又は従業員が執筆した300以上の論文が、トップジャーナル、カンファレンス、ワークショップ(アルバータ大学の定義に拠ります。)において発表されています。国際的かつ著名なデータ・マイニング・コンテストであるKDDカップにおいて、当社グループの従業員が参加したチームが7回優勝しております。これらのことから、当社グループは、フォーチュン誌から中国本土を除くアジアを拠点とする企業で唯一の「AI革命を牽引する50社(2017年)」(注1)及びガートナーから「AIクールベンダー(2017年)」(注2)に選出される等、AI企業として高い評価を受けて参りました。また、事業面でも経験豊富なメンバーが在籍しており、技術の強み、事業経験、顧客中心主義の文化が組み合わされたユニークな企業文化を有しています。 ・2014年に、当社グループ初のソリューションである「CrossX」の提供を開始しました。・2014年から2015年には、台湾だけでなく日本と韓国にも事業を拡大しました。北東アジア地域は、2020年12月期の当社グループの売上収益の68%を占めています。また、東南アジア各国の急激な経済成長を受け、各国への進出を進め、東南アジア地域は、2020年12月期の当社グループ売上収益の10%を占めています。・2018年には、インドのベンチャー企業であるQuantumgraph Solutions Private Limitedを買収し、そのソリューションを再設計しAI機能を追加することで、「AIQUA」を立ち上げました。・2019年には、日本のベンチャー企業であるEmotion Intelligence株式会社を買収しました。同社のソリューションにさらに最先端の機械学習技術を追加することで、「AiDeal」を立ち上げました。・2020年以降には、中国での事業活動を強化し、欧州、米国地域へと拡大しました。 現在、当社グループは、東京の他、台北、シンガポール、シドニー、香港、ムンバイ、ニューデリー、ソウル、クアラルンプール、ホーチミン、マニラ、ジャカルタ、バンコク、大阪、北京、パリ及び米国カリフォルニア州といった15の国・地域に17のオフィス(2021年1月末時点)を構え、827の企業グループ(注3)に直接もしくは代理店経由にてサービスを提供しております。当社の本社は東京にありますが、当社グループの開発の拠点は台湾です。 主要な関係会社(AISaaS事業)開発の拠点:Appier, Inc.グループ会社の統括本社機能:Appier Pte. Ltd.販売を行っている子会社:Appier Japan株式会社、Appier, Inc.等 (注) 1.2017年にCBインサイツが多様な健全性・成長性指標に基づき選出した「世界で最も有望なAIスタートアップ企業100社」(「AI100」)の中から、資金調達額の多かった上位50社。なお、当社グループは2018年にもAI100に選出されている。2.東アジア地域で優れたAIソリューションを提供している企業として2017年にガートナーが選出したもの。3.2020年12月末時点で当社グループと契約しており、当社グループのソリューションを1種類以上利用している企業グループの総数。複数のブランドで当社グループの同一のソリューションを利用している企業は、1社としてカウント。複数のブランドで当社グループの複数のソリューションを利用している企業は、利用している当社グループのソリューションの数ごとに個別の顧客企業としてカウント。 (3) 当社グループのAIプラットフォームができること近年の経済情勢を見ると、以下の3点を主な理由として、データを利活用したビジネスの需要が高まっており、ビッグデータ(注1)を収集・解析・活用し、経営判断に役立てることがますます重要になっていると当社グループは考えております。① デジタルデバイスの普及・浸透:スマートフォン、タブレット等を中心とした個人が所有するデジタルデバイスの普及② 技術革新:クラウドコンピューティング(注2)、ビッグデータ解析技術、深層学習(ディープラーニング)技術等におけるイノベーション③ データの利用可能性の拡大:検索エンジンやeコマースを通じたトランザクション・データ(注3)及びソーシャルメディア等を通じて生成された画像・動画等の非構造化データ(注4)の増加 とりわけ、マーケティング領域においては、ユーザーに関するビッグデータを分析、活用することにより、ウェブサイト又はモバイルアプリケーションを通したより効果的なマーケティングが可能となりました。また、AIソフトウェアを用いて企業が保有するカスタマーデータからより有意義な知見を抽出して理解を深めることや、既存の又は潜在的なカスタマー等とのマーケティング・コミュニケーションにAIソフトウェアを活用して、個人に対して最適にパーソナライズされた提案を行い、エンゲージメントを高める取り組みも進んでおります。 このようにデータの利活用の重要性やAIに対するニーズが高まる一方、現実のビジネスにおいては以下のような困難が待ち受けており、多くの組織ではデータを有効に活用できていないと当社グループは考えております。① データは複数のソースやデバイスに分断されており、大量の異なるデータを管理し、統合することは難しく調査対象の包括的な理解が得られない② AIを十分に活用し、ビジネスの意思決定にAIを役立てるには、高度な訓練を受けた専門家が必要③ AIやデータサイエンティストを組織に融合させることは容易ではなく、事業に良い影響をもたらすことは難しく、また、価値を生み出すAIアプリケーションを開発することには困難を伴う この点において、当社グループの開発したAIプラットフォームは、これらの社会的課題に以下のように対応します。① データ統合の自動化:ディープラーニング技術により、様々なソースやデバイスから得たフォーマットが異なるデータを統合してデータの価値を高め、広範に利用できるデータを自動的に生成します。② 機械学習を用いたAI予測モデルの自動構築:高度な機械学習(注5)を用いたAI予測モデルを自動的に構築し、企業は社内でデータ・サイエンスチームを立ち上げることなく、自社の課題解決に集中することが可能になります。③ 簡単に利用可能なSaaSプラットフォーム:システム環境に依らず利用可能なプラットフォームであるSaaSのプラットフォームとして提供することで、初期投資を抑えながらAIを用いてデータを直ちに利活用し、顧客企業の利用者が自分で分析を行うことを可能にしております。そして、当社グループでは、多数の顧客企業が進んだAIモデルに容易にアクセスできるSaaSのAIソリューションこそが、AIの潜在能力を最大限に引き出すと考えています。 このように様々なソースやデバイスから入手したデータを自動で統合することでユーザーのプロファイルを作成し、断片的な情報しかなかったデータから包括的なユーザーの情報を得ることを可能にしております。その際、ユーザーのウェブサイトの訪問履歴やアプリの使用履歴等を自然言語処理(注6)とディープラーニングにより解析することで、データがない領域があったとしても、周辺領域に対するユーザーの嗜好の理解を基に当該未開拓の領域に対する興味・関心の有無について予測することで、より広範なトピックに対するユーザーの行動を予測することを可能にしております。 2021年2月時点において、当社グループのAIプラットフォームでは、1日当たり、約290億件の将来予測を行い、約18億件のトレーニングデータを学習し、3,000種類超のAI予測モデルの構築を行っております。 当社グループのソリューションを使用して現実世界における企業の課題を解決した具体例な事例として以下が挙げられます。① データ統合の自動化:例えば、顧客企業である化粧品ブランドのアプリ・Webサイト、CRM(注7)からのストリーミングデータ(注8)を統合しユーザーのプロファイルを生成します。当該ユーザーの行動パターンと興味・関心といったデータを統合、更には商品の閲覧や購入等のユーザーのWebサイトやアプリ上での行動データ等を統合することで、包括的なユーザーのプロファイルを作成します。② 機械学習を用いたAI予測モデルの自動構築:包括的なユーザーのプロファイルに基づきユーザーがいつ、何を、どのように購入したいのかを予測する機械学習を用いたAI予測モデルを自動構築することで、例えばこの閲覧したユーザーは、例えば、日焼け止めUVカットのファンデーションを購入する可能性が高いと、高い精度で予測してマーケティングを実施することが可能になります。③ パーソナライズされた提案:最もユーザーにマッチする商品を自動的にWebサイトやアプリに表示させることによって提案します。 (注) 1.従来のデータベース管理システム等では記録や保管、解析が難しいような巨大なデータ群2.インターネット等のコンピューターネットワークを経由して、コンピューター資源をサービスの形で提供する利用形態3.業務に伴って発生した出来事の詳細を記録したデータ4.文書データ、電子メール、写真、動画等、定型的に扱えないデータ5.データから規則性や判断基準を学習し、それに基づき未知のものを予測、判断する技術6.人間が日常的に使っている自然言語をコンピューターに処理させる一連の技術7.顧客との良好な関係を構築し、顧客価値を高めるためのマネジメント8.多数のデータソースによって継続的に生成されるデータ (4) 当社グループのソリューション当社グループは、企業と価値あるエンドユーザーを結びつけるためのAIベースのソリューションを提供しています。当社の顧客の多くは消費者向けの企業であるため、潜在的なユーザーの予測及び獲得からユーザーの維持及び関係構築、販売に至るマーケティングのすべてのプロセスを一気通貫でサポートできるソリューションを揃えております。当社グループでは、このコンセプトをマーケティングとセールスのプロセスの「フル・ファネル」と呼んでいます。このアプローチにより、マーケティングとセールスの各段階で、顧客企業の課題解決を支援することができると考えています。また、SaaSのプラットフォームとして提供することで、AIでこれらの課題を解決するために必要な開発時間とコストを大幅に削減することができます。当社グループのソリューションは、顧客企業に以下のような価値を提供しています。① 企業レベルでは、完全に自動化されたデータの統合とAIモデルの自動構築の技術により、AIの導入を容易にします。② CMO(Chief Marketing Officer)やマーケティング責任者には、将来のユーザー行動を予測し、そこから得られる知見を提供します。これにより、従来、過去データのみに基づいて実施されてきたマーケティング上の意思決定を、ユーザーの行動を予測して先回りするものに変えることができます。また、投資額に対してどれだけのリターンがあったかを測定可能なものにします。 ③ マーケティング実務者には、日々の業務課題に合わせたフル・ファネルのソリューションを提供します。当社グループのAIソリューションは、デジタルマーケティングに伴う様々な手作業を自動化し、マーケティング実務者がより戦略的な意思決定に集中することを可能にします。そして、顧客企業が当社のソリューションを使用すればするほど、顧客企業はより多くの価値を得て、当社グループはより多くのロイヤルティを得ることができると考えています。また、CrossXは、AIが自動的にユーザー獲得のためのマーケティングキャンペーンを実施し、その実施結果等について顧客企業は当社のプラットフォーム上にあるレポートを通じて確認することができます。それに対して、AIQUA、AiDeal及びAIXONは、顧客企業が自ら利用できるプラットフォームを提供するものです。顧客企業は、そのニーズに応じて、当社グループのソリューションを1つだけ利用することも、複数利用することも可能ですが、各ソリューションが高度に連携・統合されていることから、組み合わせて使うことによって、時には、これまで想定していなかった知見や気づきを得ることができます。そして、当社ソリューションから得たデータや気づきを他の分野で活用することも可能です。 ① 最も生涯価値の高いユーザーを予測し、高い投資対効果を実現することができるユーザー獲得のプラットフォーム:ソリューション名 CrossX(クロスエックス)CrossXは、一般消費者を対象とする企業がマーケティングの最初の段階で直面する最大のチャレンジのひとつである、マーケティングのコストに見合う高いリターンが期待できるユーザーを獲得する、という課題を解決するためのもので、マーケティング・ファネル図の一番上の「潜在ユーザーの予測及び獲得」のためのソリューションです。従来のソリューションでは、コストと時間をかけてマニュアル作業によるA/Bテスト(注1)を繰り返すことも多い中、CrossXは、AIが最も生涯価値の高い潜在的ユーザーを高い精度で予測し、当該潜在的ユーザーのターゲティングにフォーカスすることが可能であることから、顧客企業は高い投資対効果を実現することが期待できます。 CrossXは2014年に提供を開始した当社初のソリューションであり、当社の売上収益への貢献度が最も大きいソリューションです。顧客企業がCrossXとの連携を開始すると、最初にユーザーデータの取り込みを行います。ユーザーのプロファイル、サイトデータ、ユーザー行動などの1万以上のデータの組み合わせが、当社グループのマルチタスク型ディープラーニングモデルに入力され、質の高いユーザーを見つけるだけでなく、「サイト訪問」「ユーザー登録」「購入」などの複数の重要な目標を達成するユーザーや、生涯価値などの将来の行動やパターンを予測し、顧客企業に最高のROI(注2)をもたらすユーザーを予測することができます。予測はこれで終わりではなく、獲得したデータに対して、繰り返し機械学習を行い、予測モデルの改善を継続し続けます。 そして、そのような生涯価値の高いユーザーを実際に取り込むために、当社グループは、Google、Facebook及びTwitter等の主要なマーケティング・プラットフォームと接続し、当社グループがマーケティング・プラットフォーム利用料を負担して、顧客企業に代わってマーケティングキャンペーンを実施すること等のマーケティング活動をAIが自動的に行います。 CrossXは、通常、特定のキャンペーンやマーケティング活動のために利用量ベースの価格体系で顧客企業に提供しています。その場合、当社グループに支払われる費用は、当該キャンペーンやマーケティング活動の結果として顧客企業が獲得したユーザーの数やアクティブユーザーの増加数に応じて算出されます。 ② AIを活用して、ユーザーにパーソナライズされたメッセージを作成し、最も効率的にあらゆるチャネルを通じて、ユーザーとのエンゲージメントを実行するプラットフォーム:ソリューション名 AIQUA(アイコア)一般消費者を対象とする企業は、ユーザーを獲得した次の段階として、マーケティング・ファネル図における上から2番目にあたる「ユーザーの維持及び関係構築」という課題に直面します。(1)複雑な内容のメッセージを作成し、複数のチャネルを管理するための手作業の負担が掛かる、(2)ユーザーに最適にパーソナライズされたメッセージを適切なタイミングで送ることができない、(3)ユーザーとの関係性構築のためのチャネルが不適切でロイヤルティの高いユーザーに変えることが出来ない、などが、一般消費者向けの事業を行う企業で良く見られるエンゲージメントの課題です。 従来のマーケティング・オートメーション・ソリューションは、ユーザーの行動を基にして事前に定めたルールに合致した場合に、例えば、所定のメッセージを自動で送信するというものです。このため、ユーザーにメッセージを届ける理想的なタイミングを逃してしまって無視されたり、もはや関心がなくなってしまったメッセージを送信しているということが生じています。 AIQUAは、これを解決するために当社が提供するAIソリューションです。2018年にインドのベンチャー企業であるQuantumgraph Solutions Private Limitedを買収し、そのソリューションを再設計しAI機能を追加することでAIQUAを立ち上げました。従来のマーケティング・オートメーション・ソリューションと異なり、AIが組み込まれているAIQUAは、ユーザーの取りうる行動を予測し、ユーザーに最適にパーソナライズされたメッセージを最適なタイミングで提供することで、ユーザーとのエンゲージメントを強化することが可能です。AIQUAには以下の特徴があります。(1) Webプッシュ通知、Eメール、SMS、メッセンジャーアプリといった多様なコミュニケーションチャネルを簡単に利用することが可能です。(2) AIアルゴリズムが、当該ユーザーにとって最適にパーソナライズされたメッセージやお薦め情報を自動的に作成します。(3) AIアルゴリズムが、読まれる可能性が高いと予測されるチャネルから、かつ、高い成果を達成すると予測される最適な送信タイミングでメッセージを自動送信します。 当社グループは、AIQUAをサブスクリプション方式(顧客企業の利用量に拘わらず一定額の料金が支払われる方式)で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、アクティブユーザーの総数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。 ③ 購入をためらっているユーザーを特定し、売上の最大化と購入の動機付けをもたらすプラットフォーム:ソリューション名 AiDeal(アイディール)既存ユーザーとのエンゲージメントが維持・強化された次の課題は、ユーザーに購入等の取引を行ってもらうことです。マーケティング・ファネル図における上から3番目の「購買・アクションへの動機付け」にあたります。 一般消費者を対象とするeコマース企業の大きな課題のひとつに、カートに入れられた商品の多くが最終的に購入されずに終わるという問題があります。その理由は、ECサイト間の切り替えに手間とコストがかからないため、一般消費者が実店舗での購買に比べて、躊躇することが多いからです。そのため、多くのECサイトではクーポン等を配布することが増えています。しかし、クーポン等の配布には2つの問題があります。一つは、クーポンが無差別に配られたり、間違ったユーザーセグメントに向けられたりすると、利益率が低下する一方で、全体の収益や利益が必ずしも増加するわけではないことです。また、クーポンを過度に配布すると、ブランドイメージを損なう可能性もあります。もう一つは、eコマース企業内の能力が限られているために非効率的な手作業が発生しており、適切なツールの活用や分析ができていないため、どのセグメントをターゲットにしてクーポンを配布すべきかを効果的に把握することができません。 AiDealは、この問題を解決するAIソリューションです。日本のEmotion Intelligence株式会社を買収し、同社のソリューションに最先端の機械学習技術を追加することで、購入をためらっているユーザーを特定し、売上の最大化と購入の動機付けをもたらすプラットフォームである「AiDeal」を立ち上げました。 AiDealは、AIによって、ユーザーのモバイル画面へのタッチやスワイプ方法、カーソルの位置、スクロールの量など、サイト全体でのユーザーのリアルタイムでの挙動に関するデータを処理し、ユーザーが製品やサービスの購入を決定するに至るトリガーを見つけ出し、購入をためらっているユーザーを検出します。その上で、当該ユーザーに対し、カスタマイズされた効果的なオファー(期間限定のディスカウントなど)を提案し、購入まで導くことで、購買の頻度及び確度の向上並びに収益性の向上を可能にします。また、カートの中に放置されていた商品を購入させるために、限られた時間内にクーポンの有効期限を設定する機能も提供しています。 これにより、顧客企業は、クーポン等を提供すれば購入に至る可能性が高い、購入をためらっているユーザーを推定し、効率的にターゲットにすることができます。 このように、AiDealは、データに基づいて適切なオファーをすることで、ディスカウントやクーポンなどのコストを抑えながらも売上を増やすことを企図するものです。AiDealは、eコマース企業のみならず、何らかの登録や申込みのフォームを書きかけたままにしているユーザーに対して、それを仕上げるように促すことにも利用可能であり、他の領域での活用事例を拡げているところです。 当社グループは、AiDealをサブスクリプション方式で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、取引量に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。 ④ AI予測モデルを自動的かつ簡単に構築し、容易にオーディエンスの行動予測を行うことを可能にするデータサイエンスプラットフォーム:ソリューション名 AIXON(アイソン)一般消費者を対象とする企業は、ユーザーに対するデータ分析により得られる知見をビジネスに有効利用したいと考えた際に、(1)データは複数のソースや異なるフォーマットでバラバラに分断されていること、(2)正確なAIモデルを構築するには時間とコストがかかること、(3)行動に移せるような実用的な知見がデータサイエンティストからは提示されないこと、という課題に直面します。マーケティング・ファネル図の上から4番目の「オーディエンス・インテリジェンス」にあたります。 AIXONは、この3つの課題を解決するために設計された、導入しやすいデータサイエンス機能を持つAI搭載の予測分析プラットフォームです。これを用いることにより、顧客企業は、自社でデータサイエンティストを抱えることなく、膨大なユーザーデータを統合・強化して、機械学習モデルを用いたシナリオに基づいてターゲットとなるオーディエンス(注3)の行動予測を自動的に行うことが可能となります。また、AIXONは、AIが導き出した結論の論拠を、顧客企業に分かりやすく説明・表示することができます。 また、AIXONとAIQUAを同時に活用することで更に大きなシナジーがもたらされます。例えば、AIXONが予測するユーザーの潜在的な解約リスクや潜在的な購買行動などに対して、AIQUAを活用してユーザーに対するエンゲージメントをただちに実施することで、将来の損失を回避し、売上を増加させることが可能となります。このためAIQUAはAIXONと併売されることが多く、顧客に大きな価値をもたらすだけでなく、当社顧客の維持にも貢献しています。 AIXONには3つの独自性のある強みがあります。 データの統合と自動処理による導入の容易さ分かりやすいビジュアル化されたインターフェースを使うことで、簡単にデータをつなぎこむことができます。当社のディープラーニング技術により、異なるソースの異なるフォーマットのデータをリアルタイムで統合し、AI予測モデルが必要とするデータを自動的に抽出し処理することが可能です。 自動でのAI予測モデルの構築AIXONは、自動でシナリオベースのAI予測モデルを構築することができます。この予測を用いることで、データサイエンティストチームを介さずに、ユーザーの行動を予測することができ、実際のビジネスの問題解決に集中することができます。例えば解約予測などのシナリオを選択すると、AIXONが最適なAI予測モデルを自動的に選択し、更にモデルの強化のためのトレーニングを自動で行います。 AIXONの画面上で希望する予測精度等を簡単に設定することが可能であり、ニーズに応じて予測内容を調整することができます。そして、AIXONの予測結果は、顧客管理データベースやマーケティングオートメーションシステムなど、顧客が選択した先に即座に出力することができます。 説明可能なAIAIXONは、顧客が使用するためのプロファイルとAIの意思決定内容をテキストで表示し、AIモデルの中で最も重要な変数と、特定の選択と意思決定が行われる理由を示すことができます。AI分析の要因を説明できることは、AI技術への信頼を醸成し「ブラックボックス」とみなされることを避けるために重要です。 当社グループは、AIXONをサブスクリプション方式で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、このプラットフォームを使って顧客企業が行った予測の件数及びアクティブユーザーの総数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。 2020年12月におけるARR(注4)は9,438百万円となり、2019年3月の5,551百万円からの年換算複利成長率は35.4%となっています。2020年12月におけるリカーリング売上収益比率(注6)は95.8%(前年同月比5.3%増)となり継続利用する顧客からの収益割合が高まっているだけでなく、2020年12月期のNRR(注7)は118%であることから、継続利用する顧客による当社グループのソリューションの利用の拡大が示されています。2020年12月期の売上収益は8,970百万円(前期比24.2%増)となっています。これは営業体制の強化を行い、かつ、継続的にソリューションの改善に努めたことにより、全地域において新規顧客獲得が進み、かつ、既存顧客からの取引規模が拡大したことによるものであります。なお、2020年12月期第4四半期(2020年10月から2020年12月)の売上収益を4倍して年換算した売上収益ランレートは11,175百万円となっています。また、同期の売上総利益は4,125百万円(前期比41.5%増)となっています。これは、CrossXのアルゴリズムの正確性が増したことに伴いより効率的なマーケティングキャンペーンの実施が可能になったこと、かつ、売上総利益率の高いAIQUA、AiDeal及びAIXONからの売上が増えたため、売上総利益率が改善したことによるものです。その結果、売上総利益率の前年同期比増加率は、売上収益の前年同期比増加率を上回っています。 (注) 1.キャンペーンのバリエーションを複数用意し、それぞれにオーディエンスを振り分けて、結果が良くなるバリエーションを検証するマーケティング実験の手法2.マーケティングへの投資額に対して得た利益の額の比率3.マーケティングメッセージの受け手4.Annual Recurring Revenueの略。年間経常収益。利用量ベースの価格体系で提供するソリューションについては、関連する期間における1か月平均のリカーリング売上収益(注5)を12倍し、サブスクリプション方式で提供するソリューションについては、関連する期間の最終月のリカーリング売上収益を12倍することで年換算して得られた金額です。2020年12月のARRは、利用量ベースの価格体系で提供するソリューションについては2020年7月から12月のリカーリング売上収益の1か月平均を12倍し、サブスクリプション方式で提供するソリューションについては2020年12月のリカーリング売上収益を12倍して算出しております。5.リカーリング顧客(利用量ベースの価格体系で提供するソリューションについては、①当社グループのソリューションを4四半期以上連続で使用している顧客企業及び②直近1年以内の新規顧客企業で当社グループのソリューションを3カ月以上連続で使用している顧客企業を、サブスクリプション方式で提供するソリューションについては、当社グループと1年以上の契約を締結している顧客企業をいいます。)からの売上収益6.リカーリング売上収益÷売上収益7.Net revenue retention rateの略。該当年度におけるその前年度以前に獲得した顧客企業から生じた売上収益÷前年度における当該顧客企業から生じた売上収益8.上記に記載の2020年12月期に係る売上収益及び売上総利益以外の数値は未監査のものです。 [事業系統図]