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堺化学工業(4078)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

化学 素材・化学

事業の概要

  • 多角的な化学製品製造
    堺化学工業は、電子材料、化粧品材料、有機化学品、衛生材料、酸化チタン・亜鉛製品、樹脂添加剤、触媒、無機材料、医療事業など、多岐にわたる化学工業製品の製造販売を主軸としています。グループ会社がそれぞれの専門分野を担当し、製品開発から製造、販売までを一貫して行っています。これにより、幅広い産業分野に製品を供給し、安定した収益基盤を構築しています。
  • グローバルな販売網
    同社は、日本国内だけでなく、米国、中国、台湾、タイ、ベトナム、インドネシアなど、世界各地に販売拠点を展開しています。連結子会社である堺商事株式会社やSAKAI TRADING NEW YORK INC.などが、各地域の市場ニーズに応じた製品販売や輸出入業務を担っています。これにより、地域ごとの需要変動リスクを分散し、グローバル市場での成長機会を追求しています。
  • グループ会社による専門性
    堺化学工業グループは、連結子会社15社と非連結子会社2社で構成されており、各社が特定の事業領域に特化しています。例えば、カイゲンファーマ株式会社が医療事業品を、共同薬品株式会社が樹脂添加剤を製造販売するなど、専門性の高い子会社がそれぞれの分野で事業を展開しています。これにより、各事業の効率化と専門技術の深化を図り、グループ全体の競争力を高めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 電子材料事業
    高純度誘電体粉末や高輝度無機発光材料などの製造販売を行っており、売上高100.14億円、営業利益14.93億円と、グループ内で最も高い営業利益を上げています。主に当社が製造し、堺商事株式会社などの国内外の販売子会社がグローバルに展開しています。この事業は、高機能材料分野における同社の技術力を象徴する稼ぎ頭と言えます。
  • 酸化チタン・亜鉛製品事業
    ルチル型酸化チタンや酸化亜鉛などの製造販売を手掛け、売上高131.18億円、営業利益14.79億円を計上しています。これは売上高、営業利益ともに電子材料事業に次ぐ規模であり、同社の主要な収益源の一つです。当社と常磐化成株式会社が製造し、堺商事株式会社などが国内外で販売しています。
  • 樹脂添加剤事業
    金属石鹸や錫系安定剤などの製造販売を行い、売上高130.61億円、営業利益13.93億円を達成しています。この事業も売上高、営業利益ともにグループの主要事業であり、当社、共同薬品株式会社、SAKAI CHEMICAL (VIETNAM) CO.,LTD.、SIAM STABILIZERS AND CHEMICALS CO., LTD.が製造販売を担い、堺商事株式会社などが販売しています。特にベトナムやタイでの製造拠点が、アジア市場での競争力強化に貢献しています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
ElectronicMaterialsReportableSegment 事業 100 15 14.9%
CosmeticsMaterialsReportableSegment 事業 27 3 10.9%
OrganicChemicalsReportableSegment 事業 66 8 11.6%
HygienicProductsReportableSegment 事業 56 4 7.6%
ContractProcessingReportableSegment 事業 64 6 9.7%
TitaniumDioxideAndZincProductsWithoutCosmeticsMaterialsReportableSegment 事業 131 15 11.3%
PlasticAdditivesReportableSegment 事業 131 14 10.7%
CatalystsReportableSegment 事業 32 0 0.6%
InorganicMaterialsReportableSegment 事業 52 8 16.0%
MedicalBusinessReportableSegment 地域 83 -0 -0.3%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|2,265 文字
3【事業の内容】当社の企業集団は、当社、連結子会社15社及び非連結子会社2社で構成され、化学工業製品の製造販売を主な事業とし、その他の関連事業を行っております。主な事業の内容と各事業における当社及び関係会社の位置付け等は次のとおりであります。なお、次の11事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一です。また、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。 ・電子材料…………………高純度誘電体粉末、高輝度無機発光材料等の製造販売をしております。当社が製造販売するほか、堺商事㈱、SAKAI TRADING NEW YORK INC.、堺商事貿易(上海)有限公司、台湾堺股份有限公司、SAKAI TRADING (THAILAND) CO.,LTD.で販売を行っております。 ・化粧品材料………………超微粒子酸化亜鉛、板状硫酸バリウム等の製造販売をしております。当社が製造販売するほか、堺商事㈱、SAKAI TRADING NEW YORK INC.、台湾堺股份有限公司で販売を行っております。 ・有機化学品………………有機イオウ化合物、医薬品原薬・中間体等の製造販売をしております。当社および㈱片山製薬所が製造販売するほか、堺商事㈱、台湾堺股份有限公司で販売を行っております。 ・衛生材料…………………高吸収性ポリマー、通気性フィルム等の製造販売をしております。PT. S&S HYGIENE SOLUTIONで製造販売するほか、堺商事㈱、SAKAI TRADING (THAILAND) CO.,LTD.で販売を行っております。 ・受託加工…………………カラー舗装・塗工剤等の受託加工をしております。レジノカラー工業㈱および日本カラー工業㈱で製造販売するほか、堺商事㈱で販売を行っております。 ・酸化チタン・亜鉛製品…ルチル型酸化チタン、酸化亜鉛等の製造販売をしております。当社および常磐化成㈱で製造販売するほか、堺商事㈱、SAKAI TRADING NEW YORK INC.、堺商事貿易(上海)有限公司で販売を行っております。 ・樹脂添加剤………………金属石鹸、錫系安定剤等の製造販売をしております。当社および共同薬品㈱、SAKAI CHEMICAL (VIETNAM) CO.,LTD.、SIAM STABILIZERS AND CHEMICALS CO., LTD.で製造販売するほか、堺商事㈱、台湾堺股份有限公司で販売を行っております。 ・触媒………………………脱硝触媒、還元ニッケル触媒等の製造販売をしております。当社で製造販売するほか、堺商事㈱、SAKAI TRADING NEW YORK INC.、堺商事貿易(上海)有限公司、SAKAI TRADING (THAILAND) CO.,LTD.で販売を行っております。 ・無機材料…………………硫酸バリウム、炭酸ストロンチウム等の製造販売をしております。当社で製造販売するほか、堺商事㈱、SAKAI TRADING NEW YORK INC.、堺商事貿易(上海)有限公司、台湾堺股份有限公司で販売を行っております。 ・医療事業…………………医療用医薬品、一般用医薬品、医療機器等の製造販売をしております。カイゲンファーマ㈱で製造販売するほか、堺商事㈱で販売を行っております。・その他……………………リン酸化合物等の販売、酢酸ニッケル、路面標示剤等の製造販売をしております。大崎工業㈱で製造販売するほか、堺商事㈱、SAKAI TRADING NEW YORK INC.、SAKAI AUSTRALIA PTY LTD.、堺商事貿易(上海)有限公司、台湾堺股份有限公司、SAKAI TRADING (THAILAND) CO.,LTD.で販売を行っております。 事業の系統図は次のとおりです。 子会社及び関連会社は、次のとおりです。連結子会社堺商事㈱電子材料をはじめとした化学工業製品の販売・輸出入カイゲンファーマ㈱医療事業品の製造・販売大崎工業㈱その他事業品の製造・販売レジノカラー工業㈱受託加工事業品の製造・販売共同薬品㈱樹脂添加剤事業品の製造・販売日本カラー工業㈱受託加工事業品の製造・販売SAKAI CHEMICAL (VIETNAM) CO.,LTD.樹脂添加剤事業品の製造・販売㈱片山製薬所有機化学品の製造・販売SIAM STABILIZERS AND CHEMICALS CO., LTD.樹脂添加剤事業品の製造・販売PT. S&S HYGIENE SOLUTION衛生材料事業品の製造・販売SAKAI TRADING NEW YORK INC.電子材料をはじめとした化学工業製品の販売・輸出入SAKAI AUSTRALIA PTY LTD.その他事業をはじめとした化学工業製品の販売・輸出入堺商事貿易(上海)有限公司触媒をはじめとした化学工業製品の販売・輸出入台湾堺股份有限公司樹脂添加剤をはじめとした化学工業製品の販売・輸出入SAKAI TRADING (THAILAND) CO.,LTD.衛生材料をはじめとした化学工業製品の販売・輸出入 非連結子会社常磐化成㈱酸化チタン・亜鉛製品の製造・販売韓国堺商事㈱グループ会社製品をはじめとした化学工業製品の販売・仲介事業

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
粉体プロセシング技術を核とした機能性材料の開発、高周波伝送向け誘電体、超微粒子酸化亜鉛などの開発。
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:資材等の調達価格高騰、供給逼迫・遅延 / 公的規制・コンプライアンス違反 / 環境規制強化による設備投資の必要性
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 7 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

特定の高機能化学品分野での長年の経験とノウハウは存在するが、特許やブランド力が決定的な競争優位に繋がっているとは言えない。研究開発投資は継続しているものの、他社との差別化が明確な無形資産の存在は限定的。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

顧客は特定の用途向けに堺化学工業の製品を採用している場合があるが、代替品の存在や、顧客側の仕様変更の可能性も否定できない。完全に乗り換えコストが高いとは言えず、限定的なスイッチング・コスト。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ネットワーク効果が働くビジネスモデルではない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

一部の製品において、長年の生産経験による効率化でコスト競争力を持つ可能性はあるが、業界全体で見て構造的なコスト優位性は確立されていない。原料調達や製造プロセスにおける特筆すべきコスト削減策は見られない。

規模の経済★★☆☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

特定のニッチ市場では一定のシェアを持つ可能性があるが、業界全体を俯瞰すると、規模の経済による圧倒的な優位性は見られない。グローバルな競争環境においては、規模の面で不利な場面も想定される。

  • 多様な製品ポートフォリオ
    堺化学工業は、電子材料から医薬品まで幅広い化学製品を手掛けており、特定の市場変動に左右されにくい強みがあります。高純度誘電体粉末や超微粒子酸化亜鉛など、ニッチながらも需要の高い製品群を保有し、多様な顧客ニーズに対応することで安定した収益を確保しています。
  • グローバルな供給体制
    同社は、国内外に製造・販売拠点を持ち、特にアジア地域に強固な基盤を築いています。これにより、原料調達から製品供給までを効率的に行い、国際的なサプライチェーンを構築しています。海外子会社が現地での製造や販売を担うことで、地域ごとの市場特性に合わせた柔軟な事業展開が可能です。
  • 研究開発力と技術蓄積
    長年にわたる化学工業製品の製造を通じて培われた技術力と研究開発力が、同社の競争優位性の源泉です。特に高機能な電子材料や化粧品材料、医薬品原薬など、高度な技術を要する製品分野で強みを発揮しています。これにより、高品質な製品を提供し、顧客からの信頼を獲得しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営方針当社グループは『グループの総合力を最大限に高め、社会のニーズにタイムリーに応える事業活動を展開する。以て盤石な経営基盤を構築し社会的貢献を希求する』ことを経営理念としております。当社の創業は、鉛含有の白粉(おしろい)による健康被害が問題視されていた中、無鉛白粉の原料である酸化亜鉛の製造法の開発に成功したことから始まります。以来、思いやりの心と技術革新で社会の快適と安心を支える素材(マテリアル)づくりにこだわってきました。培った化学技術により生まれる素材(マテリアル)をベースとし、各ステークホルダーとともに持続可能なやさしい未来社会を実現する、この目的に向かって創造を続ける会社であることが私たちのミッションです。このミッションを実現するために、社員が日々ワクワクして働いてこそ、価値ある創造が継続できるとの考えより、働く社員が能動的で躍動感に溢れる「わくわくカンパニー」を目指しています。 (2)経営環境当社グループは、国内連結子会社7社、国内非連結子会社1社、海外連結子会社8社、海外非連結子会社1社からなります。堺商事および堺商事傘下の海外子会社(PT. S&S HYGIENE SOLUTIONを除く)5社以外は製造子会社です。堺化学および各製造子会社は、特徴のある製品・技術ノウハウを保有し、そのビジネスモデル・ビジネス領域も多種多様です。各社の特徴を伸ばしていくとともにグループガバナンスの強化を行い、グループ間シナジーの発現、業務の効率化など最大のパフォーマンスが発揮できるよう努めています。成長事業においては、中国経済の不透明感が残る中で、電子材料は、コンデンサ市場の回復を受け、特に誘電体材料の販売数量が前年から伸びました。また、価格是正も浸透し、収益が改善しました。一方の、UVケアおよびメイク関連向けの化粧品材料は、中国経済低迷の影響を受け、販売数量が伸び悩みました。また、医薬品原薬・中間体、プラスチックレンズ向け製品などの有機化学品は、景気後退の影響を受けにくいものの、一部の顧客で在庫調整があり、売上高が伸び悩みました。効率化検討事業においては、販売数量は前年から減少しましたが、価格是正が浸透し、収益性が大きく改善しました。医療事業については、品質問題による販売への影響は最小限にとどまったものの、薬価改定や原燃料高騰の影響を受け、昨年同様の厳しい業績となりました。当社グループ全体では、成長事業である化粧品材料や有機化学品が伸び悩み、一方で、電子材料の数量回復、価格是正の浸透により、前年から利益が大きく改善しました。 (3)中期的な経営戦略と目標とする経営指標当社グループは上記経営環境を認識し、2024年にスタートさせたグループ中期経営計画『変革・BEYOND2030』において変革を通じて弊社のミッションである「化学でやさしい未来づくり」 をこれまで以上に体現すべく、強い決意を以て取り組んでおります。『変革・BEYOND2030』で重点的に取り組む項目は以下のとおりとし、中長期的には「Smart Material®で社会に貢献できるエクセレントカンパニー」を目指します。 ①高付加価値品シフトを企図した事業ポートフォリオ入替え顔料級酸化チタンの事業終了を皮切りに、他製品の安定・成長事業化も進め、「変革・BEYOND2030」において効率化を検討する事業はなくします。 1.顔料級酸化チタン事業終了と構造改革・顔料級酸化チタンは設備投資効率が低く、生産工程における環境負荷も高い事業のため、2026年3月期に事業を終了します・顔料級酸化チタンの事業終了に向けて、構造改革(固定費削減、価格是正など)を進めます 2.成長事業へのリソース集中、M&Aによる事業拡大・電子材料、化粧品材料に加えて、有機化学品を新たな成長ドライバーと位置づけ、既存事業の成長投資とM&A活用で、更なる利益成長を目指します 電子材料は、収益性の高いハイエンド品の更なる拡販と収益拡大が見込めるミドルエンド品のシェアを取り込むことで市場成長を超えた成長を実現していきます。化粧品材料は、サンスクリーン剤の増産投資は一巡したことから、超微粒子酸化亜鉛で海外(特に欧州化粧品メーカー)の需要を取り込み、利益成長を目指します。さらに将来における収益貢献に向けたメイク用途材料の先行投資を実施します。有機化学品は、市場内でも特に高い成長率が見込まれる高屈折タイプのメガネレンズ材料に対し、トップシェアポジションの強化に向けたリソース投入を行います。また、医薬品原薬・中間体は、増設による既存受託品の更なる拡販で、利益成長を目指します。 3.ベストオーナーの見極め、将来への種蒔きグループ会社を含め、各事業のベストオーナーが当社であるかを見極めます。また、将来に向けた種蒔きのため、R&D活動を積極的に進めます。医療事業は、品質問題を受け、GQP・GMP体制の立て直し、組織文化の変革を目指します。また、薬価改定の影響を受けない新規事業の育成、推進を進めます。 4.研究開発活動当社グループではSmart Material®認定製品・サービスを2030年度までに5件上市することを目標としています。「自然を守る」、「高度情報化社会の発展を支える」、「人々の健康を支える」ために、環境・エネルギー、エレクトロニクス、ライフサイエンス・ヘルスケア分野において、Smart Material®認定製品・サービスで社会に貢献することを目指します。そのために、継続的な研究開発への投資を行っていきます。 ②資本コストを上回るROEの達成・PBR改善2027年3月期のROE目標8%の達成に向けて、事業ポートフォリオ変革による高付加価値品へのシフト、資産の圧縮、資本効率の向上を進め、PBRの改善へつなげます。 1.事業ポートフォリオ変革により高付加価値品へのシフト成長事業への展開を加速し、顔料級酸化チタンの事業を2026年3月期に終了します。 2.資産の圧縮(キャッシュ・フロー改善)キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)の改善をすることで、中期経営計画期間(3年間)で運転資金70億円の圧縮を実現します。また、有効活用されていない固定資産の売却を実施します。 3.資本効率の向上成長事業へのM&Aを含む積極投資を行います。また、DOE3%を目安として、安定的、継続的な配当を行うとともに、機動的な自己株買いを実施します。 ③マテリアリティ推進・非財務面の取り組み加速1.品質・安全問題の再発防止策の徹底子会社のカイゲンファーマにおける薬機法違反、湯本工場の爆発火災事故、小名浜事業所の火災等、重大な品質・安全問題が発生した事を重く受け止め、現在グループ全体で再発防止に向けた取り組みを進めております。 2.人的資本経営の取り組みの推進2024年4月にサスティナビリティ委員会の傘下に人的資本部会を設置しました。当社は、社員が個人・組織課題の解決に向けて主体的に動くことで、社員一人ひとりが自分・仲間を信頼し、持続的に成長できる強い企業になることを目指します。 ④キャピタル・アロケーション ⑤主要なKPI一覧 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「変革・BEYOND2030」を2024年にスタートさせました。当計画は、2030年から更にその先の将来に向けた「変革」のステージの3年間と位置づけております。今後は、収益性、投資効率が高い事業へ設備投資や人的資源を集中的に投下し、事業ポートフォリオを組み換え、高収益な企業へ変革するための構造改革を実施します。また、成長事業として位置づけております化粧品材料事業につきましては、海外、特に欧州を中心に化粧品トップメーカーに対し販売を強化するとともに、UVケア商材だけではなくメイクアップ商材への先行投資を行ってまいります。また電子材料事業につきましては誘電体のハイエンド品やミドルエンド品のシェアアップによって、電子材料市場の市場成長を超える成長を目指します。なお、2025年3月期末時点においても十分な自己資本を維持しております。加えて、長期借入やコミットメントライン等、金融機関から十分な支援を受けられていることから、当連結会計年度以降の営業キャッシュ・フローを含め、当面の資金繰りについても盤石な体制を維持できると考えております。経営環境の激変に備え全社的なコスト削減、棚卸資産の圧縮、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ資金の運用効率化等の対策を打ち、財務の健全性確保に努めると同時に、今後のビジネス環境の変化を注意深く見極め、適切に対応してまいります。中国における景気低迷、ロシアのウクライナ侵攻によるサプライチェーンの混乱とそれに伴う景気の停滞が継続していることに加え、アメリカ政権が各国・地域に課した相互関税によるインフレ進行や景気後退が懸念されております。現状は、幅広い用途に使用されている酸化チタンやバリウム製品等がこれらの影響を大きく受けております。加えて、原燃料高騰と円安がもたらす製造コストの上昇は、主要な原料鉱石を輸入している当社にとって免れ得ないものと認識しており、適正な販売価格の設定、収率の改善、製造設備の集約等、更なる製造コスト削減により業績の維持向上に努めてまいります。 電子材料(成長事業)積層セラミックコンデンサ(MLCC)市場は、中国の景気低迷や車載機器関連市場の減速による影響はあるものの、市場全体としては徐々に回復しております。一方で、誘電体は、ハイエンドからローエンドまで全般的に販売数量が伸び悩みましたが、誘電体材料は、販売数量が増加しました。今後は、誘電体材料では引き続き価格改定による採算是正に取り組み、誘電体では、新製品によるハイエンド・ミドルエンド市場でのシェア拡大を図ってまいります。 化粧品材料(成長事業)日焼け止め製品市場は、全体としては成長しているものの、中国市場は同国の景気軟化を受け、消費が落ち込んでおります。当社主力のUVケア化粧品材料向け超微粒子酸化亜鉛・酸化チタンも間接的にその影響を受けており、販売数量が落ち込んでいます。そのため、UVケア化粧品材料については、当社酸化亜鉛の高透明性等の特性を活かす処方提案力を訴求し、欧米中心に海外の化粧品メーカーへの拡販に努めてまいります。また新たな柱として、メイクアップ、スキンケア市場に本格進出するために、新たな工場を建設中です。同市場向けに有効な、機能性や意匠性に優れた無機素材を提供し、新工場の早期貢献を実現すべく、立ち上げ準備を進めてまいります。また、引き続き新規材料や処方の開発にも取り組んでまいります。 有機化学品(成長事業)有機イオウ製品は、伸長が予想されるレンズ市場への投資戦略の最適化、電子デバイス用接着剤向け等の開発品の量産化と拡販に注力してまいります。医薬品原薬・中間体の生産受託は、製薬会社がプロセス開発を含め外部機関に委託するケースが増えており、製薬会社と協働できるような開発体制が必要となっております。数年来、CDMO(開発製造受託)の体制整備、人員、装置、ソフト面の強化を進めてきましたが、2024年9月に新研究所が稼働し、本格的に活動を開始しました。今後は増加する開発案件の引き合いを確実に受託するための設備充実を図ってまいります。 衛生材料(安定事業)円安により輸入商材の日本国内での販売が低迷したほか、インドネシアで製造販売している通気性フィルムは、主要顧客の生産数量の伸び悩み、中国品の価格攻勢、インドネシア国内のインフレによる節約志向、少子化による日本国内の子ども向け市場の縮小等の影響を受けております。そのため、輸入商材は、品質とサービス向上による差別化、大人向けやフェミニンケア、ペットケア向け製品の拡販、通気性フィルムについても、環境配慮型製品等の付加価値の高い製品の開発および拡販に取り組んでおります。今後の取り組みとして、中東市場への販売強化、欧州やアフリカ等の未開拓市場への展開、特に通気性フィルムについては、コストダウンを進めてまいります。 受託加工(安定事業)顧客からのニーズは、多種多様でより高度なものになってきており、かつ要求事項を超える提案も求められています。これらに確実に対応できるよう、保有設備の拡充、生産管理の高度化、高い技術力の保有を図り、より信頼される受託体制を構築しております。また、新規案件獲得に向け、高い技術力を訴求する製品群をラインアップし、営業活動を進めております。混合、ろ過水洗、乾燥、焼成等の工程受託においても、研究開発から事業化への加速、投資リスク低減のため、多様な分野においてニーズが高まっており、潜在的な顧客も多数存在すると考えられます。ウェブサイトやオウンドメディア(自社媒体)の活用により設備や技術力を幅広くアピールしており、さらにウェブマーケティングを強化し、新規顧客の掘り起こしを図ってまいります。 酸化チタン・亜鉛製品(効率化検討事業)酸化チタンは、安価な輸入品が流入し国内の市場環境は悪化しております。汎用性の高さ、収益性の低さに加え、生産による環境への負荷や影響も大きいことから、2026年3月期をもって顔料級酸化チタンについては事業終了とすることを計画しております。亜鉛製品は、一定の堅調な市場環境が継続すると想定しております。一部では安価な輸入品の国内市場への流入、主要用途であるタイヤ市場において環境配慮型仕様への移行もあり、将来的には徐々に販売数量が減少することも想定し、操業の安定化と効率化に継続的に取り組んでまいります。 樹脂添加剤(効率化検討事業)塩ビ安定剤は、環境に優しい非鉛系安定剤を日本、ベトナムおよびタイの3拠点から需要の拡大が期待できる海外市場(特に東南アジア地域)へ展開してまいります。得意とする配合技術を駆使し、グローバル市場での新規採用、シェア拡大に努め、安定事業への移行を図ります。海外展開での課題は現地での迅速な試作対応であり、現地スタッフへの教育をはじめ、技術支援体制を強化してまいります。一方、国内取引の課題は収益性の改善であり、鉛系安定剤の終売、原材料の高騰に対応した適正価格への値上げを推進してまいります。 触 媒(効率化検討事業)光学フィルムや紙おむつ向け接着剤等で用いられる水添石油樹脂は、堅調な需要が見込まれており、その製造工程で使用されるニッケル触媒は、拠点の集約化を進め、生産体制の効率化を図っております。今後は、集約化した拠点での稼働を高め、販売構成にも留意し、高品質な製品の販売割合を増やしながら、収益確保に努めてまいります。脱硝触媒は、火力発電所やごみ焼却施設で長年使用されており、クリーンな環境の実現に貢献しております。積み上げてきた実績や知見を活かし、排出ガス規制が厳しくなることが想定される東アジア等の海外市場での営業活動を進めてまいります。その他、低炭素化社会の実現のためカーボンニュートラル関連事業に取り組む企業と協業し、新規触媒の開発と拡販にも注力してまいります。 無機事業(効率化検討事業)塗料やインキなどに使用される硫酸バリウム製品は、中国品の価格攻勢を受け、国内の市場環境は厳しさを増しております。化学合成で製造する沈降性硫酸バリウム製品は、国内で唯一のメーカーであること、複数の製法および製造ノウハウを保有していること等を強みとし、特に製品供給の安定化、コストダウン、価格是正を進めながら、新たな用途展開に取り組んでおります。 医療事業医療事業は、品質問題を受けてGQP・GMP体制の立て直し、組織文化の変革を目指した業務改善を最優先事項として推進しております。また、健診領域、消化器領域、美容領域を重点領域として取扱商品の拡充に努めるとともに、薬価改定の影響を受けない新規事業の育成、推進に努めてまいります。医療用医薬品については、一部バリウム造影剤の薬価引き上げがあったものの、治療薬の大幅な薬価引き下げのトレンド、原材料価格の高騰による利益の減少が続いており、価格転嫁や業務の効率化を図り、利益確保を目指しております。今後は、注力分野である健診領域の取扱製品の拡充に努め、売上と利益の増加を目指してまいります。内視鏡洗浄消毒器は、市場での周知を図るため講演を行う等の啓発活動に取り組んでおります。また、耳鼻咽喉科領域等新たな領域への展開を開始しており、自動視野計「アイモscan」は、視野検査の認知向上を推進しながら、拡販を目指しております。さらに、協業先の医療機器の拡販、診断支援AIの取り扱いを開始しております。 その他、入浴剤やのど飴、しょうが湯、中高年の方の記憶力、注意力を維持する機能性表示食品「メモエル」等は、Amazonのカイゲンファーマオンラインショップでも展開しております。製品ごとに新たな販路を開拓し、バラエティショップやスーパーマーケットで展開しております。美容医療向け製品においても、さらなる利益確保と業務効率化のため、特定の医薬品卸を経由した販売ルート構築の検討、「ソルプロ」ブランドで展開する紫外線対策サプリメント等の商品ラインアップ拡充を目指した開発に注力しております。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営方針当社グループは『グループの総合力を最大限に高め、社会のニーズにタイムリーに応える事業活動を展開する。以て盤石な経営基盤を構築し社会的貢献を希求する』ことを経営理念としております。当社の創業は、鉛含有の白粉(おしろい)による健康被害が問題視されていた中、無鉛白粉の原料である酸化亜鉛の製造法の開発に成功したことから始まります。以来、思いやりの心と技術革新で社会の快適と安心を支える素材(マテリアル)づくりにこだわってきました。培った化学技術により生まれる素材(マテリアル)をベースとし、各ステークホルダーとともに持続可能なやさしい未来社会を実現する、この目的に向かって創造を続ける会社であることが私たちのミッションです。このミッションを実現するために、社員が日々ワクワクして働いてこそ、価値ある創造が継続できるとの考えより、働く社員が能動的で躍動感に溢れる「わくわくカンパニー」を目指しています。 (2)経営環境当社グループは、国内連結子会社7社、国内非連結子会社1社、海外連結子会社8社、海外非連結子会社1社からなります。堺商事および堺商事傘下の海外子会社(PT. S&S HYGIENE SOLUTIONを除く)5社以外は製造子会社です。堺化学および各製造子会社は、特徴のある製品・技術ノウハウを保有し、そのビジネスモデル・ビジネス領域も多種多様です。各社の特徴を伸ばしていくとともにグループガバナンスの強化を行い、グループ間シナジーの発現、業務の効率化など最大のパフォーマンスが発揮できるよう努めています。成長事業においては、中国経済の不透明感が残る中で、電子材料は、コンデンサ市場の回復を受け、特に誘電体材料の販売数量が前年から伸びました。また、価格是正も浸透し、収益が改善しました。一方の、UVケアおよびメイク関連向けの化粧品材料は、中国経済低迷の影響を受け、販売数量が伸び悩みました。また、医薬品原薬・中間体、プラスチックレンズ向け製品などの有機化学品は、景気後退の影響を受けにくいものの、一部の顧客で在庫調整があり、売上高が伸び悩みました。効率化検討事業においては、販売数量は前年から減少しましたが、価格是正が浸透し、収益性が大きく改善しました。医療事業については、品質問題による販売への影響は最小限にとどまったものの、薬価改定や原燃料高騰の影響を受け、昨年同様の厳しい業績となりました。当社グループ全体では、成長事業である化粧品材料や有機化学品が伸び悩み、一方で、電子材料の数量回復、価格是正の浸透により、前年から利益が大きく改善しました。 (3)中期的な経営戦略と目標とする経営指標当社グループは上記経営環境を認識し、2024年にスタートさせたグループ中期経営計画『変革・BEYOND2030』において変革を通じて弊社のミッションである「化学でやさしい未来づくり」 をこれまで以上に体現すべく、強い決意を以て取り組んでおります。『変革・BEYOND2030』で重点的に取り組む項目は以下のとおりとし、中長期的には「Smart Material®で社会に貢献できるエクセレントカンパニー」を目指します。 ①高付加価値品シフトを企図した事業ポートフォリオ入替え顔料級酸化チタンの事業終了を皮切りに、他製品の安定・成長事業化も進め、「変革・BEYOND2030」において効率化を検討する事業はなくします。 1.顔料級酸化チタン事業終了と構造改革・顔料級酸化チタンは設備投資効率が低く、生産工程における環境負荷も高い事業のため、2026年3月期に事業を終了します・顔料級酸化チタンの事業終了に向けて、構造改革(固定費削減、価格是正など)を進めます 2.成長事業へのリソース集中、M&Aによる事業拡大・電子材料、化粧品材料に加えて、有機化学品を新たな成長ドライバーと位置づけ、既存事業の成長投資とM&A活用で、更なる利益成長を目指します 電子材料は、収益性の高いハイエンド品の更なる拡販と収益拡大が見込めるミドルエンド品のシェアを取り込むことで市場成長を超えた成長を実現していきます。化粧品材料は、サンスクリーン剤の増産投資は一巡したことから、超微粒子酸化亜鉛で海外(特に欧州化粧品メーカー)の需要を取り込み、利益成長を目指します。さらに将来における収益貢献に向けたメイク用途材料の先行投資を実施します。有機化学品は、市場内でも特に高い成長率が見込まれる高屈折タイプのメガネレンズ材料に対し、トップシェアポジションの強化に向けたリソース投入を行います。また、医薬品原薬・中間体は、増設による既存受託品の更なる拡販で、利益成長を目指します。 3.ベストオーナーの見極め、将来への種蒔きグループ会社を含め、各事業のベストオーナーが当社であるかを見極めます。また、将来に向けた種蒔きのため、R&D活動を積極的に進めます。医療事業は、品質問題を受け、GQP・GMP体制の立て直し、組織文化の変革を目指します。また、薬価改定の影響を受けない新規事業の育成、推進を進めます。 4.研究開発活動当社グループではSmart Material®認定製品・サービスを2030年度までに5件上市することを目標としています。「自然を守る」、「高度情報化社会の発展を支える」、「人々の健康を支える」ために、環境・エネルギー、エレクトロニクス、ライフサイエンス・ヘルスケア分野において、Smart Material®認定製品・サービスで社会に貢献することを目指します。そのために、継続的な研究開発への投資を行っていきます。 ②資本コストを上回るROEの達成・PBR改善2027年3月期のROE目標8%の達成に向けて、事業ポートフォリオ変革による高付加価値品へのシフト、資産の圧縮、資本効率の向上を進め、PBRの改善へつなげます。 1.事業ポートフォリオ変革により高付加価値品へのシフト成長事業への展開を加速し、顔料級酸化チタンの事業を2026年3月期に終了します。 2.資産の圧縮(キャッシュ・フロー改善)キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)の改善をすることで、中期経営計画期間(3年間)で運転資金70億円の圧縮を実現します。また、有効活用されていない固定資産の売却を実施します。 3.資本効率の向上成長事業へのM&Aを含む積極投資を行います。また、DOE3%を目安として、安定的、継続的な配当を行うとともに、機動的な自己株買いを実施します。 ③マテリアリティ推進・非財務面の取り組み加速1.品質・安全問題の再発防止策の徹底子会社のカイゲンファーマにおける薬機法違反、湯本工場の爆発火災事故、小名浜事業所の火災等、重大な品質・安全問題が発生した事を重く受け止め、現在グループ全体で再発防止に向けた取り組みを進めております。 2.人的資本経営の取り組みの推進2024年4月にサスティナビリティ委員会の傘下に人的資本部会を設置しました。当社は、社員が個人・組織課題の解決に向けて主体的に動くことで、社員一人ひとりが自分・仲間を信頼し、持続的に成長できる強い企業になることを目指します。 ④キャピタル・アロケーション ⑤主要なKPI一覧 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「変革・BEYOND2030」を2024年にスタートさせました。当計画は、2030年から更にその先の将来に向けた「変革」のステージの3年間と位置づけております。今後は、収益性、投資効率が高い事業へ設備投資や人的資源を集中的に投下し、事業ポートフォリオを組み換え、高収益な企業へ変革するための構造改革を実施します。また、成長事業として位置づけております化粧品材料事業につきましては、海外、特に欧州を中心に化粧品トップメーカーに対し販売を強化するとともに、UVケア商材だけではなくメイクアップ商材への先行投資を行ってまいります。また電子材料事業につきましては誘電体のハイエンド品やミドルエンド品のシェアアップによって、電子材料市場の市場成長を超える成長を目指します。なお、2025年3月期末時点においても十分な自己資本を維持しております。加えて、長期借入やコミットメントライン等、金融機関から十分な支援を受けられていることから、当連結会計年度以降の営業キャッシュ・フローを含め、当面の資金繰りについても盤石な体制を維持できると考えております。経営環境の激変に備え全社的なコスト削減、棚卸資産の圧縮、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ資金の運用効率化等の対策を打ち、財務の健全性確保に努めると同時に、今後のビジネス環境の変化を注意深く見極め、適切に対応してまいります。中国における景気低迷、ロシアのウクライナ侵攻によるサプライチェーンの混乱とそれに伴う景気の停滞が継続していることに加え、アメリカ政権が各国・地域に課した相互関税によるインフレ進行や景気後退が懸念されております。現状は、幅広い用途に使用されている酸化チタンやバリウム製品等がこれらの影響を大きく受けております。加えて、原燃料高騰と円安がもたらす製造コストの上昇は、主要な原料鉱石を輸入している当社にとって免れ得ないものと認識しており、適正な販売価格の設定、収率の改善、製造設備の集約等、更なる製造コスト削減により業績の維持向上に努めてまいります。 電子材料(成長事業)積層セラミックコンデンサ(MLCC)市場は、中国の景気低迷や車載機器関連市場の減速による影響はあるものの、市場全体としては徐々に回復しております。一方で、誘電体は、ハイエンドからローエンドまで全般的に販売数量が伸び悩みましたが、誘電体材料は、販売数量が増加しました。今後は、誘電体材料では引き続き価格改定による採算是正に取り組み、誘電体では、新製品によるハイエンド・ミドルエンド市場でのシェア拡大を図ってまいります。 化粧品材料(成長事業)日焼け止め製品市場は、全体としては成長しているものの、中国市場は同国の景気軟化を受け、消費が落ち込んでおります。当社主力のUVケア化粧品材料向け超微粒子酸化亜鉛・酸化チタンも間接的にその影響を受けており、販売数量が落ち込んでいます。そのため、UVケア化粧品材料については、当社酸化亜鉛の高透明性等の特性を活かす処方提案力を訴求し、欧米中心に海外の化粧品メーカーへの拡販に努めてまいります。また新たな柱として、メイクアップ、スキンケア市場に本格進出するために、新たな工場を建設中です。同市場向けに有効な、機能性や意匠性に優れた無機素材を提供し、新工場の早期貢献を実現すべく、立ち上げ準備を進めてまいります。また、引き続き新規材料や処方の開発にも取り組んでまいります。 有機化学品(成長事業)有機イオウ製品は、伸長が予想されるレンズ市場への投資戦略の最適化、電子デバイス用接着剤向け等の開発品の量産化と拡販に注力してまいります。医薬品原薬・中間体の生産受託は、製薬会社がプロセス開発を含め外部機関に委託するケースが増えており、製薬会社と協働できるような開発体制が必要となっております。数年来、CDMO(開発製造受託)の体制整備、人員、装置、ソフト面の強化を進めてきましたが、2024年9月に新研究所が稼働し、本格的に活動を開始しました。今後は増加する開発案件の引き合いを確実に受託するための設備充実を図ってまいります。 衛生材料(安定事業)円安により輸入商材の日本国内での販売が低迷したほか、インドネシアで製造販売している通気性フィルムは、主要顧客の生産数量の伸び悩み、中国品の価格攻勢、インドネシア国内のインフレによる節約志向、少子化による日本国内の子ども向け市場の縮小等の影響を受けております。そのため、輸入商材は、品質とサービス向上による差別化、大人向けやフェミニンケア、ペットケア向け製品の拡販、通気性フィルムについても、環境配慮型製品等の付加価値の高い製品の開発および拡販に取り組んでおります。今後の取り組みとして、中東市場への販売強化、欧州やアフリカ等の未開拓市場への展開、特に通気性フィルムについては、コストダウンを進めてまいります。 受託加工(安定事業)顧客からのニーズは、多種多様でより高度なものになってきており、かつ要求事項を超える提案も求められています。これらに確実に対応できるよう、保有設備の拡充、生産管理の高度化、高い技術力の保有を図り、より信頼される受託体制を構築しております。また、新規案件獲得に向け、高い技術力を訴求する製品群をラインアップし、営業活動を進めております。混合、ろ過水洗、乾燥、焼成等の工程受託においても、研究開発から事業化への加速、投資リスク低減のため、多様な分野においてニーズが高まっており、潜在的な顧客も多数存在すると考えられます。ウェブサイトやオウンドメディア(自社媒体)の活用により設備や技術力を幅広くアピールしており、さらにウェブマーケティングを強化し、新規顧客の掘り起こしを図ってまいります。 酸化チタン・亜鉛製品(効率化検討事業)酸化チタンは、安価な輸入品が流入し国内の市場環境は悪化しております。汎用性の高さ、収益性の低さに加え、生産による環境への負荷や影響も大きいことから、2026年3月期をもって顔料級酸化チタンについては事業終了とすることを計画しております。亜鉛製品は、一定の堅調な市場環境が継続すると想定しております。一部では安価な輸入品の国内市場への流入、主要用途であるタイヤ市場において環境配慮型仕様への移行もあり、将来的には徐々に販売数量が減少することも想定し、操業の安定化と効率化に継続的に取り組んでまいります。 樹脂添加剤(効率化検討事業)塩ビ安定剤は、環境に優しい非鉛系安定剤を日本、ベトナムおよびタイの3拠点から需要の拡大が期待できる海外市場(特に東南アジア地域)へ展開してまいります。得意とする配合技術を駆使し、グローバル市場での新規採用、シェア拡大に努め、安定事業への移行を図ります。海外展開での課題は現地での迅速な試作対応であり、現地スタッフへの教育をはじめ、技術支援体制を強化してまいります。一方、国内取引の課題は収益性の改善であり、鉛系安定剤の終売、原材料の高騰に対応した適正価格への値上げを推進してまいります。 触 媒(効率化検討事業)光学フィルムや紙おむつ向け接着剤等で用いられる水添石油樹脂は、堅調な需要が見込まれており、その製造工程で使用されるニッケル触媒は、拠点の集約化を進め、生産体制の効率化を図っております。今後は、集約化した拠点での稼働を高め、販売構成にも留意し、高品質な製品の販売割合を増やしながら、収益確保に努めてまいります。脱硝触媒は、火力発電所やごみ焼却施設で長年使用されており、クリーンな環境の実現に貢献しております。積み上げてきた実績や知見を活かし、排出ガス規制が厳しくなることが想定される東アジア等の海外市場での営業活動を進めてまいります。その他、低炭素化社会の実現のためカーボンニュートラル関連事業に取り組む企業と協業し、新規触媒の開発と拡販にも注力してまいります。 無機事業(効率化検討事業)塗料やインキなどに使用される硫酸バリウム製品は、中国品の価格攻勢を受け、国内の市場環境は厳しさを増しております。化学合成で製造する沈降性硫酸バリウム製品は、国内で唯一のメーカーであること、複数の製法および製造ノウハウを保有していること等を強みとし、特に製品供給の安定化、コストダウン、価格是正を進めながら、新たな用途展開に取り組んでおります。 医療事業医療事業は、品質問題を受けてGQP・GMP体制の立て直し、組織文化の変革を目指した業務改善を最優先事項として推進しております。また、健診領域、消化器領域、美容領域を重点領域として取扱商品の拡充に努めるとともに、薬価改定の影響を受けない新規事業の育成、推進に努めてまいります。医療用医薬品については、一部バリウム造影剤の薬価引き上げがあったものの、治療薬の大幅な薬価引き下げのトレンド、原材料価格の高騰による利益の減少が続いており、価格転嫁や業務の効率化を図り、利益確保を目指しております。今後は、注力分野である健診領域の取扱製品の拡充に努め、売上と利益の増加を目指してまいります。内視鏡洗浄消毒器は、市場での周知を図るため講演を行う等の啓発活動に取り組んでおります。また、耳鼻咽喉科領域等新たな領域への展開を開始しており、自動視野計「アイモscan」は、視野検査の認知向上を推進しながら、拡販を目指しております。さらに、協業先の医療機器の拡販、診断支援AIの取り扱いを開始しております。 その他、入浴剤やのど飴、しょうが湯、中高年の方の記憶力、注意力を維持する機能性表示食品「メモエル」等は、Amazonのカイゲンファーマオンラインショップでも展開しております。製品ごとに新たな販路を開拓し、バラエティショップやスーパーマーケットで展開しております。美容医療向け製品においても、さらなる利益確保と業務効率化のため、特定の医薬品卸を経由した販売ルート構築の検討、「ソルプロ」ブランドで展開する紫外線対策サプリメント等の商品ラインアップ拡充を目指した開発に注力しております。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要① 経営成績当連結会計年度における当社グループの経営成績は次のとおりであります。 2025年3月期前連結会計年度比 増減売上高(百万円)84,4092.8%営業利益(百万円)6,093107.1%経常利益(百万円)6,279104.7%親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)5,013- 当社グループは新中期経営計画『変革・BEYOND2030』の数値目標達成と持続的成長を目指して取り組んでおります。初年度となる当連結会計年度は販売価格是正による売上高増加により利益が好調に推移しました。電子材料事業では中国経済の不透明感が残る中でコンデンサ市場の回復を受け、特に誘電体材料の販売数量が前年から伸びました。中期経営計画において効率化検討事業に位置付けている事業では販売数量は減少したものの、価格是正により収益が改善しました。一方、化粧品材料事業では中国経済低迷の影響を受け販売数量が伸び悩みました。加えて有機化学品事業では景気後退の影響を受けにくいものの顧客の在庫調整の影響もあり売上高が伸び悩みました。医療事業では品質問題による販売への影響は最小限にとどまったものの、薬価改定の影響を受け昨年同様の厳しい業績となりました。この結果、売上高は前連結会計年度比2.8%増の84,409百万円、営業利益は前連結会計年度比107.1%増の6,093百万円、経常利益は前連結会計年度比104.7%増の6,279百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は5,013百万円となりました。セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。また、各セグメントの営業利益は全社費用等調整前の金額であります。 電子材料(成長事業)売上高は前連結会計年度比27.4%増の10,014百万円となり、営業利益は前連結会計年度比142.2%増の1,493百万円となりました。誘電体は、車載関連の荷動きが鈍化した影響を受け、売上高は減少しましたが、価格改定による収益改善の効果が徐々にあらわれました。誘電体材料は、市況の回復による販売数量の増加に価格改定の効果も加わり、売上高・利益ともに増加しました。 化粧品材料(成長事業)売上高は前連結会計年度比7.2%増の2,676百万円となり、営業利益は前連結会計年度比144.5%増の293百万円となりました。UVケア化粧品材料の超微粒子酸化亜鉛・酸化チタンは、中国の景気後退の影響により一部の主要顧客向けの販売は伸び悩みましたが、一方、中国の現地メーカー向けの出荷については増加しました。併せて、前連結会計年度においては、操業度低下に伴う工程休止費用や評価損等の一時的な費用を計上していたこともあり、売上高・利益ともに増加しました。 有機化学品(成長事業)売上高は前連結会計年度比14.9%減の6,638百万円となり、営業利益は前連結会計年度比40.4%減の770百万円となりました。有機イオウ製品は、主力のレンズ向けや中国・欧州のセメント添加剤向けの販売数量が減少し、売上高・利益ともに減少しました。医薬品原薬・中間体の生産受託は、受託数量の減少、片山製薬所の新本社および新研究所の稼働に伴う一時的な費用の増加により、売上高・利益ともに減少しました。 衛生材料(安定事業)売上高は前連結会計年度比5.3%増の5,623百万円となり、営業利益は前連結会計年度比4.7%減の427百万円となりました。輸入商材の販売は円安による低迷が継続し苦戦しましたが、同じく円安による海外売上高の円換算額は伸長しましたため、売上高は増加しました。一方で、上記輸入商材の低迷と利益率の低下およびインドネシア紙おむつ市場のコモディティ化による伸び悩みやインフレによる経費の高騰により営業利益は減少しました。 受託加工(安定事業)売上高は前連結会計年度比3.7%増の6,422百万円となり、営業利益は前連結会計年度比10.2%増の620百万円となりました。加工顔料は、国内の住宅着工件数の低下により建材用途の需要は減少しましたが、その他の分野は総じて堅調に推移し、新規提案や採算是正を進めたことにより、売上高・利益ともに増加しました。工程受託においても、主要顧客向けの安定した生産および販売、新規案件の獲得や継続案件の成長により、売上高・利益ともに増加しました。 酸化チタン・亜鉛製品(効率化検討事業)売上高は前連結会計年度比5.8%減の13,118百万円となり、営業利益は1,479百万円となりました。酸化チタンは、販売数量の減少により売上高は減少しましたが、価格是正や生産能力の縮小による省力化および稼働率の向上、前連結会計年度に減損損失を計上したことに伴う償却負担の軽減もあり、利益は増加しました。亜鉛製品についても、販売数量の減少により売上高は減少しましたが、価格是正および安定操業により、利益は増加しました。 樹脂添加剤(効率化検討事業)売上高は前連結会計年度比2.1%減の13,061百万円となり、営業利益は前連結会計年度比82.9%増の1,393百万円となりました。国内向けは、塩化ビニール樹脂の需要低迷により塩ビ安定剤の売上高は減少しましたが、原材料高騰に対応する価格改定により、利益は増加しました。海外市場においては、中国向けは住宅関連市場の低迷により売上高は減少しましたが、東南アジア向けは、新規拡販により販売数量が増加し、価格改定の効果もあり、売上高・利益ともに増加しました。 触 媒(効率化検討事業)売上高は、一部試作品の寄与もあり、前連結会計年度比0.8%増の3,186百万円となりましたが、営業利益は前連結会計年度比94.6%減の18百万円となりました。ニッケル触媒は、主要顧客の定期修理の影響もあり売上高・利益ともに減少しました。脱硝触媒は、海外のごみ焼却施設向けの販売数量が減少し、設備更新に伴う生産停止による一部製品の一時的な原価高もあり、売上高・利益ともに減少しました。 無機材料(効率化検討事業)売上高は前連結会計年度比4.2%増の5,175百万円となり、営業利益は前連結会計年度比364.9%増の826百万円となりました。価格是正、稼働率の向上、前連結会計年度に減損損失を計上したことに伴う償却負担の軽減に加え、高付加価値製品である酸化ジルコニウム分散液も寄与し、売上高・利益ともに増加しました。 医療事業売上高は前連結会計年度比3.3%増の8,321百万円となり、営業損失は24百万円となりました。医療用医薬品については、バリウム造影剤は、海外向けは販売数量は減少したものの、一部品目の薬価改定による値上げがあり売上高は増加しましたが、原材料高騰等の影響により利益は減少しました。また、消化性潰瘍治療薬「アルロイドG 内用液5%」は、薬価引き下げの影響や販売数量の減少、加えて原材料高騰の影響を受け、売上高・利益ともに減少しました。医療機器については、内視鏡治療用粘膜下注入材「リフタルK」は販売数量が減少しましたが、内視鏡洗浄消毒器「KD-1」の販売数量の増加や消耗品・検査食の値上げ、骨充填材「レボシス」の受託生産数量の増加等により、売上高・利益ともに増加しました。一般用医薬品は、オーバードーズ(過剰摂取)対策の影響を受けて風邪薬「改源」や咳止め薬の販売数量が落ち込み、売上高・利益ともに減少しました。その他、美容製品は、美容医療機関向けのサプリメント等の値上げや販売数量の増加により、売上高・利益ともに増加しました。また、受託品は、中高年の方の記憶力、注意力を維持する機能性表示食品素材「タモギ茸エキス(機能性関与成分:エルゴチオネイン)」の売上高が増加しました。 ② 財政状態当連結会計年度における当社グループの財政状態は次のとおりであります。 当連結会計年度末2025年3月末前連結会計年度末 増減総資産(百万円)123,319△2,125負債合計(百万円)43,933△6,045純資産合計(百万円)79,3863,919自己資本比率63.5%4.2ポイント (資産)当連結会計年度末における総資産は123,319百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,125百万円減少いたしました。主な増減項目として、流動資産においては、受取手形及び売掛金が2,696百万円、原材料及び貯蔵品が1,292百万円それぞれ減少いたしました。また、固定資産においては建設仮勘定2,306百万円増加した一方で、投資有価証券が1,085百万円減少いたしました。・売上債権及び棚卸資産の減少は、中期経営計画の目標でもあるCCC改善に向けた取り組みによるものです。・建設仮勘定の増加は当社の触媒工場の建設に関するものです。・投資有価証券の減少は政策保有株式の売却によるものです。 (負債)当連結会計年度末における負債合計は43,933百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,045百万円減少いたしました。主な増減項目として、支払手形及び買掛金が505百万円、短期借入金が3,595百万円、長期借入金が1,523百万円、繰延税金負債が494百万円それぞれ減少いたしました。・支払手形および買掛金の減少はSC有機化学株式会社を吸収合併したことによる支払いサイトの短期化によるものです。・短期借入金の減少は、運転資金の返済によるものです。・繰延税金負債の減少は、その他有価証券評価差額金に係る法人税等及び税効果額が減少したことによるものです。・長期借入金の減少は、新規借入を3,100百万円行ったことおよび、3,745百万円の返済および短期借入金へ892百万円振替を行ったことによるものです。 (純資産)当連結会計年度末における純資産合計は79,386百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,919百万円増加いたしました。この結果、自己資本比率は63.5%(前連結会計年度末は59.3%)となりました。主な増減項目として、利益剰余金が3,432百万円増加し、その他有価証券評価差額金が116百万円減少いたしました。・利益剰余金の主な増加は、親会社株主に帰属する当期純利益5,013百万円および剰余金の配当1,580百万円によるものです。・その他有価証券評価差額金の減少は、投資有価証券売却によるものです。 ③ キャッシュ・フロー当連結会計年度における当社グループのキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。 2025年3月期前連結会計年度増減営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)12,0055,139投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)△5,714△1,751財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)△6,879△8,139現金及び現金同等物の増減額(百万円)△322△4,609 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローの収入は12,005百万円となり、前連結会計年度に比べ5,139百万円増加いたしました。これは、主に減損損失が6,198百万円、仕入債務の増減額が1,036百万円減少したことのほか、税金等調整前当期純利益が9,676百万円、売上債権の増減額が4,468百万円増加したことによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローの支出は5,714百万円となり、前連結会計年度に比べ支出額は1,751百万円増加いたしました。これは、主に投資有価証券売却による収入が1,211百万円増加したことと、有形固定資産取得による支出が2,924百万円増加したことによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローの支出は6,879百万円(前連結会計年度は1,259百万円の収入)となりました。これは、主に短期借入金純増減額が5,488百万円、新株予約権付社債の発行による収入が3,000百万円減少したことによるものです。 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は16,153百万円となりました。 ④ 生産、受注及び販売の実績(生産実績)当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比増減(%)電子材料7,23121.6化粧品材料2,6697.0有機化学品6,665△11.6衛生材料3,0629.8受託加工6,1843.1酸化チタン・亜鉛製品11,198△1.3樹脂添加剤10,299△1.1触媒3,082△9.7無機材料4,079△11.9医療事業6,3375.4その他4,96017.7合計65,7715.8(注)1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。2 セグメント別の生産高を正確に把握することは困難なため、概算値で表示しております。3 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成しております。(受注実績) 当社グループの主要製品については主に見込み生産を行っております。 (販売実績) 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比増減(%)電子材料10,01427.4化粧品材料2,6767.2有機化学品6,638△14.9衛生材料5,6235.3受託加工6,4223.7酸化チタン・亜鉛製品13,118△5.8樹脂添加剤13,061△2.1触媒3,1860.8無機材料5,1754.2医療事業8,3213.3その他10,16913.5合計84,4092.8(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、いずれの相手先についても当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。3 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 経営成績の分析経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載しています。 ② 財政状態の分析財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態」に記載しています。 ③ キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フロー」に記載しています。グループの資金調達については堺商事及び一部の借り入れを除き、当社にて一括調達し、グループファイナンスにて関係会社へ必要な資金を供与しています。調達方法は取引金融機関が組成するシンジケート団によるコミットメントラインからの短期運転資金と個別取引金融機関からの長期設備資金融資の2種類であります。近時は旺盛な設備投資によるキャッシュ・フロー不足分を補うための長期借り入れを増やしており、当面この傾向は続くものと考えます。現時点では、安定的な財務基盤を背景に取引金融機関の当社に対する融資姿勢に変化なく、スムーズな資金調達を実施しております。一方、堺商事及び海外子会社を除く国内関係会社を結んだキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ各社の流動預金を当社に集中、グループとしての資金効率アップに取り組んでおります。また、当連結会計年度末における短期借入金の残高は11,512百万円、長期借入金の残高は7,406百万円、現金及び現金同等物の残高は16,153百万円となっております。 ④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。1.棚卸資産の評価当社グループでは棚卸資産の評価に関して、取得原価を基礎としながら、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。正味売却価額は、直近の販売実績による単価が当面継続すると仮定し、販売単価から販売に要する経費を控除した金額として見積もっております。また、営業循環過程から外れた滞留棚卸資産については、滞留品の処分・販売状況がこれまでと大きく変わらないと仮定し、過去の処分・販売実績をもとに見込まれる損失額を見積もっております。随時販売状況を見ながら生産調整を行っておりますので、滞留棚卸資産が急激に増加することはないと考えております。販売単価の下落に関しても、当社グループは多岐にわたる製品を製造販売しており、影響は限定的であると考えております。 2.固定資産の減損会計当社グループでは資産又は資産グループの収益性が低下し、帳簿価額が回収不能となるような兆候がある場合に、当該資産又は資産グループの回収可能価額(正味売却価額と使用価値のいずれか高い方)を見積り、回収可能価額が帳簿価額を下回っていた場合は、減損損失を計上しております。回収可能価額は、事業計画や市場環境の変化により、その見積り金額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、追加の減損処理が必要になる可能性があります。 3.繰延税金資産の回収可能性当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して、翌事業年度予算及び中期事業計画に基づいて将来獲得しうる課税所得の時期及びその金額を見積り算定しております。従って、将来獲得しうる課税所得の見積額や時期が変更された場合は、繰延税金資産が増額又は減額される可能性があります。 4.退職給付引当金当社では退職給付引当金は、退職金制度ごとに退職給付債務の期末残高から年金資産の期末残高を控除して計算しております。退職給付債務及び費用は、割引率、退職率などの計算基礎を見積り、年金数理計算により計算しております。割引率は、期末における優良社債の利回りに基づき決定しております。割引率が低下した場合、退職給付債務が増加しますが、数理計算上の差異として発生の翌連結会計年度から一定の年数(5年)による定額法で費用処理されます。また、退職率、予想昇給率は当社の過去の実績をもとに、今後も同様の推移が継続すると仮定して決定しております。年金資産は期待運用収益率を見積り、退職給付費用の計算に反映させております。期待運用収益率は、金融市場が比較的安定しており、過去の運用実績が今後も継続すると仮定して決定しております。実際の運用実績が期待運用収益率を下回った場合、割引率の低下と同様、数理計算上の差異が発生しますが、発生の翌連結会計年度から一定の年数(5年)による定額法で費用処理されます。 (3)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当連結会計年度における中期経営計画『変革・BEYOND2030』の達成状況は次のとおりであります。 2027年3月期目標2025年3月期実績目標との差額営業利益(百万円)9,0006,093△2,906ROE(%)8.06.6△1.4

事業リスク

  • 原材料価格の変動リスク
    重油や非鉄金属などの原燃料、酸化チタンやバリウム製品の原料価格が高騰した場合、製造コストが増加し、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。特にカントリーリスクの高い地域からの輸入に頼る原料もあり、供給の逼迫や遅延も懸念されます。同社は複数の調達先を確保し、在庫量を調整することでリスク軽減を図っています。
  • 海外事業におけるカントリーリスク
    同社は広範な国・地域で事業を展開しており、特に新興国における法令・規制の変化、政治・経済的混乱、テロ、戦争などが事業活動を制限する可能性があります。文化や習慣の違いによるトラブルも発生し得るため、事業運営に悪影響を及ぼすリスクがあります。比較的カントリーリスクの低い国への進出や現地パートナーとの合弁事業でリスク低減に努めています。
  • 製造物責任と品質問題
    自動車部品、電子機器、医薬品など、多岐にわたる製品を提供しているため、製品品質に問題が生じた場合、販売中止や製品回収、社会的信頼の失墜につながる可能性があります。特に医薬品分野ではGQP、GMP違反が重大な影響を及ぼします。同社はサプライチェーン全体での品質管理と製造物責任保険への加入、品質連絡会を通じてリスク軽減を図っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|3,632 文字
3【事業等のリスク】当社グループの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載いたします。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。また、本項においては、将来に関する事項も含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断しております。 (1)資材等の調達重油や非鉄金属などの原燃料、カントリーリスクの比較的高い地域からの輸入に頼っている酸化チタンまたはバリウム製品の原料、国内においても調達先が限られる特殊な原料・資材等の価格高騰、供給の逼迫・遅延等が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これらリスクに対し、特に輸入原料については極力複数の国、調達先を確保するように努めております。また、在庫量についても、仕入れの難易度、必要期間を考慮し、余裕を持った運用を実施しております。(2)資金の調達金融危機により金融機関からの調達が困難になる、または、金利高騰で支払い金利が増大することにより当社グループの事業継続に影響を及ぼす可能性があります。これらリスクに対し、取引金融機関のシンジケーションによるコミットメントラインで金融サポート体制を強固なものにする、長期借り入れについては極力固定金利を採用し将来の支払金利負担を固定化する、キャッシュ・マネジメント・システムによりグループ内の資金効率を高めるなどの対応を実施しております。(3)公的規制・コンプライアンス当社グループは事業の遂行にあたって、様々な法令、規制の適用を受けております。加えて、事業活動を行っている国および地域が多岐にわたることから、それぞれ投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用が異なる場合があります。これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰、訴訟の提起、社会的制裁を受ける、顧客からの信頼を失うことで、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これらに対し、当社ではコンプライアンスを「当社が行うあらゆる活動の局面において、関連する法令・条例・契約・社内規程等、明確に文書化されたルールを遵守するとともに法令の目的である社会的要請、社会通念および社会倫理等を尊重して行動すること」と定義し、コンプライアンス研修やコンプライアンスハンドブックの配付を通じ従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。また、公認会計士、弁護士、弁理士等の専門家とのコミュニケーションを適切に実施することで、これらリスクへの早期かつ的確な対応を心掛けております。(4)環境規制当社グループでは化学素材が事業の主体となっていることから、資源やエネルギーの大量消費による環境負荷が大きな問題の1つであります。よって環境負荷低減のための設備や管理体制の整備を図る一方、生産効率すなわち資源やエネルギーの原単位向上など、環境負荷の低減に取り組んでおります。当社グループのすべての製造拠点における排水規制(水質汚濁防止法等)に対して各拠点において専用設備を設置して窒素酸化物、リン等の排出物濃度モニタリングを実施し適切な管理を実施していますが、今後、環境税の導入や、環境関連規制の強化により大規模な設備投資等の必要が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。(5)為替レートの変動当社グループの海外における事業展開に伴い、外貨建取引から発生する資産等の日本円換算額が影響を受ける可能性があり、換算時の為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは輸出入取引にかかる為替変動リスクを低減するため、リスク管理方針に基づいた為替予約を行っております。 (6)株式相場の変動政策保有株式の多くは、市場価格のある有価証券であるため、株式相場が大幅に下落した場合、減損が発生し、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、当社コーポレートガバナンス基本方針において銘柄毎にその保有の目的や保有リスク・時価、配当利回り等を精査の上保有継続の合理性の確認および株式数の見直しを行っております。見直しの結果、継続して保有する必要が無いと判断した株式は売却を進めるなど、政策保有株式の縮減に努めております。(7)海外における事業当社グループが事業活動を行う国・地域は広範であり、特に新興国における法令・規制等の変化、テロ・戦争やその他の要因による政治・経済・社会的混乱、文化や習慣の違いに起因するトラブル発生等が予想されますが、こうしたカントリーリスクが顕在化する場合、当社グループの事業活動が制限される、一時的な業務停止などの悪影響が発生する可能性があります。これに対し、比較的カントリーリスクの低い国への進出を選択していることに加え、インドネシアにおいては、現地事情に詳しいパートナーとの合弁事業とすることによりリスクの低減を図っております。(8)製造物責任当社グループの製品は、自動車関連部品、電子機器、建材、化粧品、医薬品等の暮らしに身近なものから、社会インフラまで多くの分野で使われています。そのため何らかの原因で製品品質に問題が生じた場合、特に医薬品等においてはGQP、GMPにおいて不正逸脱等の問題が発生した場合には、販売中止・製品の回収や社会的信頼の喪失などにより、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。これらに対し、原料調達から生産、お客様に製品をお届けするまでサプライチェーン全体を管理することで品質を保証し、より一層の顧客満足向上に努めるとともに、万が一に備え製造物責任保険に加入しています。また当社グループでは品質担当部門による「品質連絡会」を実施、品質に関する情報を共有し、製品品質の問題発生の予防に努めています。(9)訴訟国内および海外事業に関連して、訴訟の対象となるリスクがあり、多額の損害賠償請求訴訟等が提起された場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社では契約書を締結する前に必ず法務担当部門が契約審査を行い取引先との協議により当社リスクの低減を図り、社内手続きを経たうえで契約締結を進めております。(10)自然災害・事故災害の影響地震・台風・津波・風水害・火災・有害物質の流出等の災害により事業所等の閉鎖や事業活動を停止する可能性があります。これに対し、当社では事業継続管理システム規程を制定し事業活動の復旧・継続に関する基本方針、基本的事項を定めております。また、安否確認システムにより従業員およびその家族の安否を迅速に確認出来る体制を構築しております。さらに、過去に起こした湯本工場爆発火災事故を教訓に、5月11日を「安全への誓い」として毎年講演会や安全教育を実施し啓発活動に取り組んでいます。生産活動の中断によって生じる悪影響を最小限に抑えるため、全設備において定期的な防災点検および設備保守を行っておりますが、想定外の大規模災害(大地震・津波、停電またはその他の混乱を含む)が発生した場合、その影響を完全に予防または軽減することはできません。また、製品によっては、代替生産できないものもあり、一時的または長期にわたる生産の中断があった場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。(11)システム障害の影響社内および当社グループ間のネットワークシステムについては、情報セキュリティ規程に則りシステムの更新、EDR(Endpoint Detection and Response)等ウイルスやハッカーの侵入・攻撃に対する防御システムの導入のほか、定期的な保守点検を実施しております。しかし、未知のコンピュータウィルスの侵入や情報への不正アクセス、突発的な事故等により、ハードまたはソフトウエア障害もしくはネットワーク障害等が発生し、長期間にわたり正常に機能しなくなった場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 (12)情報漏洩営業、技術、研究など事業に関連する機密情報については、情報管理規程に基づき適切な運用に努めるとともに、情報漏えい事故に至る可能性があった事例を共有する等の予防活動を行っています。また、当社グループ全従業員に対し情報管理についての研修を実施しております。しかし、予期せぬ事態により情報が流失した場合、被害を受けた企業および個人に対して損害賠償責任を負うとともに、社会的信用の失墜を招き、当社グループの事業やイメージに影響を及ぼす可能性があります。

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