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システムインテグレータ(3826)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

情報・通信業 情報通信・サービスその他

事業の概要

  • 自社開発と他社製品販売
    システムインテグレータは、自社で開発したソフトウェア製品の販売と、他社製のソフトウェア製品の販売を組み合わせて収益を上げています。これにより、顧客の多様なニーズに対応し、幅広いソリューションを提供できるのが特徴です。
  • 高利益率の自社製品
    データベース開発支援ツール「SI Object Browser」シリーズやプロジェクト管理ツール「OBPM Neo」といった自社製品は、仕入れが不要なため高い利益率を確保しています。これらの製品は主にIT業界の顧客を対象としており、開発効率向上に貢献しています。
  • カスタマイズと保守運用
    ERP製品など基幹業務に関わるソフトウェアは、顧客の業務に合わせてカスタマイズ開発を行うことで収益を得ています。導入後も保守契約を結び、継続的な技術サポートを提供することで、安定した収益源を確保し、顧客との長期的な関係を構築しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • Object Browser事業
    この事業は、データベース開発支援ツール「SI Object Browser」やプロジェクト管理ツール「OBPM Neo」を提供しています。主にIT業界の顧客を対象とし、自社開発製品のため利益率が高く、売上7.9億円に対し営業利益3.3億円と、収益性の高い事業セグメントです。
  • ERP事業
    この事業は、統合型Web-ERP「GRANDIT」やクラウドERP「SAP S/4HANA® Cloud Public Edition」、生産スケジューラー「Asprova」などを提供しています。売上拡大の牽引役であり、売上38.5億円、営業利益7.0億円と、システムインテグレータグループの中で最も規模の大きい事業セグメントです。
  • AI事業
    新規事業として、設計図面の検図業務を効率化するAIサービス「KENZ」を提供しています。まだ立ち上げ段階であり、売上0.9億円に対し営業利益は-0.2億円と赤字ですが、将来の成長を担う戦略的な事業セグメントとして位置づけられています。
2025-02 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
ObjectBrowser 事業 8 3 42.2%
ERP 事業 39 7 18.2%
AI 事業 1 -0 -24.0%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|3,664 文字
3【事業の内容】当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社及び連結子会社2社で構成されており、「Object Browser事業」「ERP事業」「AI事業」の3つの事業を行っております。 また、当社グループはそれぞれの事業において、自社ソフトウエアの開発・販売に加え、他社製品の販売も行い、お客様の業務や課題に合わせた最適な製品を提供しております。「Object Browser事業」は、データベース開発支援ツール「SI Object Browser」シリーズ及びプロジェクト管理パッケージ「OBPM Neo」といった、利益率の高い自社製品を取り扱っています。「ERP事業」は、売上拡大の牽引事業として、ERPパッケージの「GRANDIT」及び「SAP S/4HANA® Cloud Public Edition」、製造業向けに生産スケジューラー「Asprova」及び生産管理システム「mcframe」を取り扱い、お客様のニーズに合わせてカスタマイズを行っています。新規事業の「AI事業」では、設計図面の検図業務を大幅に効率化するAIサービス「KENZ」を取り扱っています。このように、当社グループは高収益事業、売上牽引事業及び新規事業の事業特性をバランスさせ、市場環境の変化に対応しております。 当社グループの事業内容における事業区分と取扱製品は、以下のとおりです。なお、事業区分と「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げる報告セグメント区分は同一です。事業区分主要な取扱製品製 品 内 容Object Browser事業データベース開発支援ツール ・SI Object Browser ・SI Object Browser ER「SI Object Browser」は、主にIT業界のユーザーを対象にしたデータベース開発支援ツールです。Oracle、SQL Serverなど主要なデータベースに対応しており、GUI操作でテーブルの閲覧、SQLの編集・実行やオブジェクトの生成を簡単に行うことができます。「SI Object Browser ER」は、主にIT業界のユーザーを対象にしたデータベース設計ツールです。GUI操作でER図を作成し、データベース連携によるテーブルの作成、ER図の逆生成などデータベース設計に必要な機能を提供します。Object Browser シリーズを利用することでデータベース開発の生産性が飛躍的に向上します。プロジェクト管理ツール ・OBPM Neo「OBPM Neo」は、主にIT業界のユーザーを対象にしたプロジェクト管理ツールです。PMBOKに準拠した統合管理機能で、プロジェクト毎の品質(Q)、コスト(C)、進捗(D)を管理することができます。また、全てのプロジェクトの状況を俯瞰的に把握する機能によりプロジェクトの異常値を早期に発見し改善することができます。「OBPM Neo」は現場から経営層まで、プロジェクトに関わる全てのメンバーの生産性を高めることができます。ERP事業統合型Web-ERP ・GRANDIT「GRANDIT」は、コンソーシアム方式により開発した国内初の「完全Web-ERP」製品です。全操作がブラウザのみで利用可能となっています。ワークフロー、BI(ビジネスインテリジェンス)、EC等の拡張機能を標準搭載、内部統制対応や多通貨機能、マルチカンパニー、柔軟な組織変更への対応など、企業活動に必要な機能を豊富に盛り込んだERPパッケージです。当社は、製造業向け生産管理アドオンモジュールや建設・ソフトウエア業向け工事管理アドオンモジュールなど、独自モジュールを開発し、コンソーシアムメンバーの中核として導入企業を拡大しています。ERP事業クラウドERPソリューション ・SAP S/4HANA® Cloud  Public Edition「SAP S/4HANA® Cloud Public Edition」は、SAPジャパン株式会社が提供している、業界別ベストプラクティスに沿って構築されたクラウド型ERPです。ベストプラクティスに合わせて導入する「Fit to Standard」の手法を採ることで不要な開発をなくし、短期間で業務効率化を実現できるだけでなく、組み込みの人工知能(AI)、機械学習(ML)、アナリティクスに関するイノベーションが継続的に提供されるため、少ないITリソースで事業の継続的な成長をサポートできます。生産スケジューラー ・Asprova「Asprova」は、アスプローバ株式会社が提供している、国内シェアトップの生産スケジューラーです。設備や人員の負荷を加味しながら、機械や作業員それぞれの稼働スケジュールを秒単位の高精度で素早く作成することで生産計画を最適化することが可能となります。当社は、2016年から「GRANDIT」と連携させたソリューションとして提供してきました。さらに、統合化BOMやMES、AI外観検査などのソリューションと組み合わせて、工場のスマート化を支援しております。生産管理システム ・mcframe「mcframe」は、ビジネスエンジニアリング株式会社が日本の製造業の業務ノウハウを結集して開発した、日本発の基幹ソリューションパッケージです。サプライチェーン管理(SCM:生産管理・販売管理)と原価管理(PCM)のモジュールで構成され、企業の規模に合わせて最適な導入が可能です。AI事業検図AI ・KENZ「KENZ」は、当社が開発・提供している、設計図面の検図業務を大幅に効率化するAIサービスです。図面や関連書類をアップロードするだけで、部品表と組図の整合性チェックや寸法の抜けなどをAIが自動で確認します。単純なチェック作業をAIに任せることで、設計者は本質的な業務に集中できるようになり、設計リードタイムの短縮と品質向上による製造ロスの削減に貢献します。  当社グループの主な取扱製品とサービス領域は以下のとおりです。(1)パッケージソフトウエアの企画・開発 当社グループは、独創的なパッケージソフトウエアを社内で企画・開発し、これを顧客に販売しています。これには時間も費用もかかりますが、自社製品であり仕入が不要であるため高い利益率を確保することができます。また、当社グループでは、顧客への直接販売と販売代理店を経由した間接販売とを併用しています。 (2)パッケージソフトウエアの導入コンサルティング 当社グループの取扱製品は、企業の基幹業務に関わるものが多いため、顧客が日常業務の中で製品をいかに使いこなして生産性・効率性を高められるかが重要になります。そのため、既存業務の課題や業務フロー、運用ルールなど、長年のノウハウに基づくコンサルティングを行っています。 (3)パッケージソフトウエアのカスタマイズ開発 当社グループは、顧客の要望に合わせてパッケージソフトウエアをカスタマイズ開発により変更することも行っております。純粋なオーダーメイド開発に比べると、パッケージに関連するノウハウを幅広く再利用でき、提案から設計、開発、導入に至るまで、コストを抑えることが可能です。 当社グループが取り扱っているパッケージソフトウエア製品は、いずれもカスタマイズがなくても利用可能ですが、基幹業務に関わるソフトウエアでは、顧客の業務に合わせたカスタマイズが発生するケースが大部分です。そのため、カスタマイズエンジニアを確保・組織化し、カスタマイズニーズに応える体制を構築しています。さらに、こうした体制がパッケージソフトウエア本体の営業力強化にもつながり、シナジー効果を生んでいます。 (4)パッケージソフトウエアの保守運用 カスタマイズ開発を行い顧客にシステムを導入した後は、顧客とソフトウエア保守契約を締結し、継続的な技術サポートを行っています。これにより、顧客との信頼関係を深め、新たな受注へとつなげております。 製品取扱開始時期企画・開発導入コンサルカスタマイズ開発保守運用SI Objecct Browser1997年8月○--○GRANDIT2004年5月※○○○OBPM Neo2008年11月○○○○Asprova2016年1月-○○○SAP S/4HANA® Cloud Public Edition2024年4月-○○○mcframe2025年1月-○○○KENZ2025年7月○○○○ ※「GRANDIT」は、コンソーシアム方式で開発され、当社は企画段階から参画しています。  以上の内容を事業系統図により示すと、以下のようになります。※当社グループには、連結子会社2社(KEYSTONE SOLUTIONS COMPANY LIMITED、株式会社システム開発研究所)が含まれており、当該連結子会社はERP事業に属します。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2026時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
利益率の高い自社製品(SI Object Browser、OBPM Neo)を取り扱っているため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
データベース開発支援ツール、プロジェクト管理、ERP、AIサービスといった専門性の高いソフトウェア開発。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 軽い(資本不要)
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 低い
会社が挙げる主要リスク:AI時代のビジネスモデル変革リスク / 特定製品・顧客への依存リスク / M&A・投資に係るリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 5 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

公開情報からは、特許やブランド力、規制ライセンスといった明確な無形資産の存在を示す具体的な情報は確認できませんでした。システムインテグレータという業態の性質上、個別の技術やノウハウは存在する可能性がありますが、それが持続的な競争優位に繋がるほどの強固な無形資産となっているかは不明です。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

顧客の基幹システムや業務システムを開発・保守する性質上、一度導入されたシステムは、その複雑性や運用コストから、他社への乗り換えには一定のハードルが存在すると推測されます。しかし、競合他社も同様のサービスを提供しており、乗り換えコストが決定的な優位性となるかは限定的です。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

同社の事業モデルは、特定のプラットフォームやサービス上でユーザーが増えることで価値が増大するネットワーク効果を生み出す構造にはありません。個々の顧客との個別契約に基づくシステム開発・提供が中心であり、顧客間のネットワーク効果は期待できません。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

システム開発・保守においては、効率的な開発プロセスや人材育成によるコスト管理が重要ですが、同社が他社に対して構造的なコスト優位を持っていることを示す具体的な証拠はありません。価格競争力は、プロジェクトごとの見積もりや交渉に依存する部分が大きいと考えられます。

規模の経済★★☆☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

システムインテグレータ業界は多数の企業が存在する競争環境ですが、同社が業界全体に対して圧倒的な規模の経済性を享受しているとは言えません。特定のニッチ市場や大手顧客との取引で一定の規模は確保している可能性がありますが、業界全体を寡占するほどの規模の優位性は見られません。

  • 高収益な自社製品群
    データベース開発支援ツール「SI Object Browser」やプロジェクト管理ツール「OBPM Neo」は、自社開発のため仕入れコストがかからず、高い利益率を誇ります。これにより、安定した収益基盤を築き、事業全体の収益性を高めています。
  • 多様な製品ラインナップ
    自社製品だけでなく、ERPパッケージの「GRANDIT」や「SAP S/4HANA® Cloud Public Edition」、生産スケジューラー「Asprova」など、他社製の幅広い製品を取り扱っています。これにより、顧客の様々な課題やニーズに合わせた最適なソリューションを提供できる点が強みです。
  • カスタマイズと保守による顧客ロックイン
    基幹業務に関わるソフトウェアの導入では、顧客の業務に合わせたカスタマイズ開発が大部分を占めます。これにより、顧客は一度導入すると他社製品への乗り換えが難しくなり(スイッチングコスト)、長期的な保守契約を通じて安定した収益と顧客関係を維持できます。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)会社の経営の基本方針 当社グループは、「時間を与えるソフトウエアを創り続ける」をミッションに掲げ、時代のニーズに合ったオリジナルのパッケージソフトウエアやサービスを開発・販売しています。社会の変化や顧客のニーズを捉え、最新の技術を活用しながら社員の自由な発想を活かし、新しい製品・サービスを事業化しています。自社で製品・サービスを開発することにより、市場ニーズの変化にすばやく対応し、高度な独自技術を蓄積することで収益性の高い事業とすることができます。 また、昨今の生成AIの急速な進化は、ソフトウエア業界に根本的な問いを突きつけています。「操作させるだけのソフトウエア」や「言われたことを正確にこなす仕事」が急速に価値を失いつつあり、旧来のビジネスモデルに依存し続けることは許されません。一方で、この変化は当社グループにとり大きなチャンスでもあります。製造業の業務プロセスに深く入り込み、上流工程から課題を本質的に解決する当社グループの強みは、AIが容易に代替できるものではなく、むしろAIを組み合わせることで付加価値がさらに高まると確信しています。 このような経営環境において、当社グループは「風通しの良い相互尊重の精神あふれる職場環境をみんなで作り、みんなが働きやすい雰囲気の中で創造力、技術力を常に磨き、品質の高いソリューションを提供し続ける。」ことを経営方針とし、働きやすい環境作りを目指しています。 当社グループが位置する業界では「人」が唯一の資産です。昨今、ITエンジニアの採用は競争が激しく非常に困難な状況が続いていますが、入社後の人材育成と早期戦力化が最も重要な成功要因です。当社グループでは、人材教育を積極的に行うとともに、社員が働きやすい環境作りに力を入れています。ヒトやコトに高い関心を持ち、良いものを評価し、相互に尊重し、自身の創造力や技術力をさらに磨くことで、優れた発想やアイデアを生むことができると考えています。また、そのためには自律・自立した社員の一人ひとりが働きやすい職場環境を創り出していくことが理想と考え、そのような仕組み作りが会社の責務だと認識し、これを経営方針としています。 (2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略 現在の世界経済は、依然として不安定な要素が散見されますが、IT業界においてはAIやクラウド、SaaSなどの最先端テクノロジーの活用が進み、デジタル化及び自動化の動きが加速しています。このため、企業システムの再構築や機能追加に対する需要が高まり、IT投資は引き続き増加傾向にあります。これらの新しいテクノロジーは、開発効率を飛躍的に向上させる一方で、顧客ニーズの高度化や多様化、さらには急増する需要が影響し、業界全体で深刻なエンジニア不足が顕在化しています。 当社グループは、「ものつくり企業のビジネスプロセスをITの力で本質的に変革する」という長期ビジョンを掲げ、「時間を与えるソフトウエアを創り続ける」「プロダクト指向からの脱皮、課題解決のためのシステムインテグレーション」を実現するため、2033年2月期に売上高120億円、営業利益20億円(営業利益率16.6%)を目指しています。 また、当社グループは、この長期ビジョン達成に向けた当面の短期目標を「2年経営計画」として策定しております。前「2年経営計画」(2025年度~2026年度)では、当社グループは既存事業の成長と収益力の改善を着実に進めてまいりました。一方で、生成AIの急速な進化により、当業界及び顧客企業の業務変革のスピードは一段と加速しております。こうした環境認識のもと、現「2年経営計画」(2026年度~2027年度)では、今後2年間を過去の延長線上での事業運営ではなく、将来の成長軌道を明確に切り替えるための重要な移行期間と位置付けております。なお、2026年度は売上高63億円、営業利益7億円(営業利益率11.1%)、2027年度は売上高71億円、営業利益8億円(営業利益率11.3%)を数値目標としております。  ①事業戦略  a. 収益基盤の多軸化とクロスセルによる成長加速   当社グループは、これまでの「GRANDIT」中心の収益構造から一歩進み、グローバル標準ERPである「SAP」及び製造業特化型ソリューションである「mcframe」を次なる成長の柱として育成してまいります。これにより、グローバル展開を進める企業や製造現場のDX需要を着実に取り込むとともに、ERP、製造業向けソリューション、AIソリューション、開発ツールを組み合わせたクロスセルを強化し、顧客単価及び顧客接点の拡大を図ってまいります。収益基盤の多軸化とクロスセルの推進により、「2年経営計画」を実現してまいります。   b. 「AIネイティブ」組織への進化と人的資本の最大化   当社グループは、全社員のAI活用能力を高め、「AIファースト」から、提案、設計、開発、品質管理などの業務そのものをAI前提でゼロから再設計する「AIネイティブ」な組織への進化を進めてまいります。具体的には、職種別AIスキルモデルの整備、社内AIアシスタントの活用、業務プロセスの見直し等を通じて、社員一人ひとりの生産性と付加価値創出力の向上を図ります。このような取り組みを通じ、収益成長を支える実行力と利益率向上の基盤を強化してまいります。   c. AIを軸にした新規事業の創出とアライアンスを通じた飛躍的な成長   当社グループは、既存事業による安定的な収益基盤を維持しつつ、将来の新たな収益の柱を構築するため、AIを軸とした新規事業の立ち上げを推進してまいります。また、合弁事業やM&Aを含むアライアンスを機動的に活用し、自社単独では獲得が難しい技術・顧客基盤・市場機会を取り込むことで、中長期的な成長余地の拡大を目指してまいります。「2年経営計画」では、このような将来成長に向けた種まきと事業化の加速を重点的に進めてまいります。  ②人材戦略   当社グループは、個人の成長と企業価値向上を両立させるため、一人ひとりが自ら考え、行動し、価値を創出できる「未来型人材」の育成を進めてまいります。問題発見力、予測力、創造力を備えた人材を育成するため、教育制度の整備と継続的な人材投資を実施するとともに、AIを実務で使いこなせる「一流の技術者」としての高度人材育成に取り組みます。   このように、人的資本経営として当社の成長に寄与して活躍する「未来型人材」の育成に投資を行い、「社員全員が一流の技術者」となることにより、社員が付加価値の高いサービスを高い生産性で提供できるようになることが、持続的な利益成長を実現する強固な収益基盤の構築、ひいては長期ビジョン達成の基盤になると考えております。  ③グループ戦略   当社グループは、親会社と子会社を単なる上下関係ではなく、それぞれが自立した競争力を持ちながら相互に知見を循環させる「自立型グループモデル」として進化させてまいります。当社が保有するERP技術、AI技術、業界業務知見をグループ各社へ展開し、グループ各社はそれを基盤として独自のナレッジやビジネスモデルを強化してまいります。   これにより、グループ全体として市場開拓力と収益力を高め、連結売上高及び利益の拡大につなげてまいります。  ④資本戦略   当社は、「業務システム×AI×開発ツール」の領域に経営資源を集中し、事業活動により獲得したキャッシュを、必要に応じて負債も活用しながら、次の成長に向けた戦略投資へ配分してまいります。具体的には、新規事業・製品開発、人材育成、業務効率化のための社内システムやオフィス環境の整備、並びに機能補完やシナジー創出が見込まれるM&Aに対し、継続的に投資を行ってまいります。投資判断にあたっては、資本コスト(WACC)を意識した投資効率(ROIC)の向上と、一株当たり利益(EPS)の持続的改善を重視いたします。   また、株主還元については、連結配当性向30%を下限とすることを基本方針としつつ、中長期的には累進配当を志向し、配当性向を35%、さらに40%の水準へ引き上げていくことを目指してまいります。  ⑤サステナビリティへの取り組み   当社グループは、企業の社会的責任を果たすため、さいたま、大阪、福岡の各拠点における地域社会への貢献活動への取り組みを推進します。サステナビリティへの取り組みに関する詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。  ⑥経営の透明性確保と適切なガバナンス体制の構築   当社グループは、社内の各種データを整備し、データ駆動経営を強化します。事業活動を定量化し、俯瞰的かつ客観的にモニタリングしております。社外役員による監督のもと少数株主の利益にも配慮しながら、適時適切な意思決定を行ってまいります。 (3)目標とする経営指標 当社グループは、成長性と収益性を重視しており、それぞれの指標として売上高成長率及び売上高営業利益率を重要な経営指標と位置付けています。これらの指標をバランスよく伸ばしながら企業価値を向上させることを経営課題としています。 また、事業別の運営実態や業績状況を視るものとして、主に次のような指標を注視しています。   ・事業別の売上高、売上総利益(率)及び事業利益(率)の推移   ・事業別の従業員一人当たり売上高及び売上総利益   ・事業別、部門別の稼働率 さらに、健全性や安定性を表すものとして、次のような指標も重視しています。   ・プロジェクト利益の計画・実績の推移   ・プロジェクト失敗件数の推移   ・販売費比率、管理費比率の推移   ・離職率、社員満足度の推移 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループは、2032年度に向けた長期ビジョンとして「ものつくり企業のビジネスプロセスをITの力で本質的に変革する」ことを掲げ、時間を奪うのではなく時間を与えるソフトウエアを創り続け、日常の課題解決のためのシステムインテグレータとなることを目指しております。また、「2年経営計画」(2026年度~2027年度)の数値目標の達成に向け、エンタープライズ領域をターゲットとし、「業務系システム」「AI」「開発ツール」の3つの事業ドメインに経営資源を集中し、以下の各項目を重要課題と認識して解決に向けて取り組んでおります。  ①AIネイティブ経営への転換   AIの急速な進化により、「操作させるだけのソフトウエア」や「言われたことを正確にこなす仕事」は急速に価値を失いつつあります。これは当社事業そのものが問い直される変化であり、過去の延長線上にある対応では不十分です。当社は、業務の発想をゼロから再設計する「AIネイティブ」な組織体制への転換を、この2年間の最重要課題と位置づけます。   全従業員がAIを自らの武器として使いこなし、提案・設計・開発・品質管理・顧客対応のあらゆる領域で業務を再設計します。職種別AIスキルモデルの導入と社内AIアシスタントの整備により、一人ひとりの生産性と付加価値を飛躍的に高めます。また、当社製品にAIを組み込んで顧客への提供価値を高めるとともに、AI活用を前提とした新しいビジネスモデルの創出を推進してまいります。  ②ERP事業の多軸化と新規事業の創出   当社の収益は特定製品への依存度が高く、業績が事業年度により大きく変動しやすい構造的課題を抱えてきました。今後の持続的な成長のためには、GRANDIT依存からの脱却と複数の収益軸の確立が不可欠です。   SAP・mcframe・KENZなどへの多軸展開を進め、ものつくり企業のビジネスプロセス全体を支えるERPポートフォリオを構築します。また、保守・運用・クラウドサービスによるストック型収益の比率を高め、単発プロジェクト依存からの脱却を図ります。これにより、外部環境の変化に左右されにくい、継続的で再現性の高い収益モデルを確立し、安定的な経営基盤を実現してまいります。  ③AI時代を見据えた新規事業の創出   当社グループの持続的成長のためには、現在の基盤事業に加え、AI時代に競争優位を持てる新たな収益の柱を育てることが必要です。ECM-SCM業務支援AI(検図AI)、図面・BOM・調達変更の自動化、ERP+AIを融合した設計ハブや経営管理ツールなど、製造業の現場課題をAIで解決する新規事業の立ち上げを加速します。   独自のステージゲート制度により、小規模実証から段階的に投資判断を行う規律あるプロセスを徹底し、リスクを管理しながら新規事業の成功確率を高めます。また、合弁事業やM&Aを機動的に活用し、社内リソースだけに頼らない事業展開を進めてまいります。  ④人材の採用・育成と早期戦力化   当社の事業競争力は、エンジニアをはじめとする人材の質と量に直接依存しています。AI時代においても、業務を深く理解し、顧客の課題を本質から解決できる「一流の技術者」を育て続けることが当社の最大の差別化要因です。   事業成長に合わせた計画的な採用を進めるとともに、採用した人材の早期戦力化をAIで加速します。AIによるコードレビューや技術スキル診断、パーソナライズされた学習プラン自動生成など、最先端の人材育成システムを構築し、若手社員の成長スピードを高めます。また、「挑戦して失敗した人を評価する」文化の醸成に加え、女性活躍をはじめとする人材の多様性の向上や、働きやすい環境づくりを推進します。こうした取り組みによる社員エンゲージメントの継続的な向上により、優秀な人材が定着し、会社とともに持続的に成長できる環境を整えてまいります。  ⑤計画的な資本政策と株主価値の向上   AI時代において事業上のポジションを確立するためには、機を逸せず積極的な成長投資を行うことが不可欠です。一方で、財務健全性を維持しながら株主への安定的な還元を続けることも経営の責任です。当社は、成長投資と株主還元を両立させる計画的な資本政策を推進してまいります。   合弁事業やM&Aへの投資、新規事業への種まき投資を戦略的に実行しつつ、事業投資効率(ROIC)の向上と継続的な1株当たり利益(EPS)の成長により株式価値の向上を図ります。配当性向30%以上を継続することを基本方針とし、投資と還元のバランスを投資家に対して透明性高く開示してまいります。  ⑥顧客中心の営業・提案力の強化   当社が持続的に成長するためには、製品を売るプロダクト志向から、顧客の経営課題を起点に最適なソリューションを提案する顧客中心のアプローチへの転換が必要です。業務プロセス理解・ERP実装力・AI技術の三位一体による差別化提案を実現し、顧客とともに成長するパートナーとしての地位を確立します。   顧客管理・営業支援ツールとAIを組み合わせ、マーケットと顧客動向の分析に基づく効果的な営業戦略を立案するとともに、AI活用による提案書作成や案件管理の効率化により、営業力と企画提案力を強化してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)会社の経営の基本方針 当社グループは、「時間を与えるソフトウエアを創り続ける」をミッションに掲げ、時代のニーズに合ったオリジナルのパッケージソフトウエアやサービスを開発・販売しています。社会の変化や顧客のニーズを捉え、最新の技術を活用しながら社員の自由な発想を活かし、新しい製品・サービスを事業化しています。自社で製品・サービスを開発することにより、市場ニーズの変化にすばやく対応し、高度な独自技術を蓄積することで収益性の高い事業とすることができます。 また、昨今の生成AIの急速な進化は、ソフトウエア業界に根本的な問いを突きつけています。「操作させるだけのソフトウエア」や「言われたことを正確にこなす仕事」が急速に価値を失いつつあり、旧来のビジネスモデルに依存し続けることは許されません。一方で、この変化は当社グループにとり大きなチャンスでもあります。製造業の業務プロセスに深く入り込み、上流工程から課題を本質的に解決する当社グループの強みは、AIが容易に代替できるものではなく、むしろAIを組み合わせることで付加価値がさらに高まると確信しています。 このような経営環境において、当社グループは「風通しの良い相互尊重の精神あふれる職場環境をみんなで作り、みんなが働きやすい雰囲気の中で創造力、技術力を常に磨き、品質の高いソリューションを提供し続ける。」ことを経営方針とし、働きやすい環境作りを目指しています。 当社グループが位置する業界では「人」が唯一の資産です。昨今、ITエンジニアの採用は競争が激しく非常に困難な状況が続いていますが、入社後の人材育成と早期戦力化が最も重要な成功要因です。当社グループでは、人材教育を積極的に行うとともに、社員が働きやすい環境作りに力を入れています。ヒトやコトに高い関心を持ち、良いものを評価し、相互に尊重し、自身の創造力や技術力をさらに磨くことで、優れた発想やアイデアを生むことができると考えています。また、そのためには自律・自立した社員の一人ひとりが働きやすい職場環境を創り出していくことが理想と考え、そのような仕組み作りが会社の責務だと認識し、これを経営方針としています。 (2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略 現在の世界経済は、依然として不安定な要素が散見されますが、IT業界においてはAIやクラウド、SaaSなどの最先端テクノロジーの活用が進み、デジタル化及び自動化の動きが加速しています。このため、企業システムの再構築や機能追加に対する需要が高まり、IT投資は引き続き増加傾向にあります。これらの新しいテクノロジーは、開発効率を飛躍的に向上させる一方で、顧客ニーズの高度化や多様化、さらには急増する需要が影響し、業界全体で深刻なエンジニア不足が顕在化しています。 当社グループは、「ものつくり企業のビジネスプロセスをITの力で本質的に変革する」という長期ビジョンを掲げ、「時間を与えるソフトウエアを創り続ける」「プロダクト指向からの脱皮、課題解決のためのシステムインテグレーション」を実現するため、2033年2月期に売上高120億円、営業利益20億円(営業利益率16.6%)を目指しています。 また、当社グループは、この長期ビジョン達成に向けた当面の短期目標を「2年経営計画」として策定しております。前「2年経営計画」(2025年度~2026年度)では、当社グループは既存事業の成長と収益力の改善を着実に進めてまいりました。一方で、生成AIの急速な進化により、当業界及び顧客企業の業務変革のスピードは一段と加速しております。こうした環境認識のもと、現「2年経営計画」(2026年度~2027年度)では、今後2年間を過去の延長線上での事業運営ではなく、将来の成長軌道を明確に切り替えるための重要な移行期間と位置付けております。なお、2026年度は売上高63億円、営業利益7億円(営業利益率11.1%)、2027年度は売上高71億円、営業利益8億円(営業利益率11.3%)を数値目標としております。  ①事業戦略  a. 収益基盤の多軸化とクロスセルによる成長加速   当社グループは、これまでの「GRANDIT」中心の収益構造から一歩進み、グローバル標準ERPである「SAP」及び製造業特化型ソリューションである「mcframe」を次なる成長の柱として育成してまいります。これにより、グローバル展開を進める企業や製造現場のDX需要を着実に取り込むとともに、ERP、製造業向けソリューション、AIソリューション、開発ツールを組み合わせたクロスセルを強化し、顧客単価及び顧客接点の拡大を図ってまいります。収益基盤の多軸化とクロスセルの推進により、「2年経営計画」を実現してまいります。   b. 「AIネイティブ」組織への進化と人的資本の最大化   当社グループは、全社員のAI活用能力を高め、「AIファースト」から、提案、設計、開発、品質管理などの業務そのものをAI前提でゼロから再設計する「AIネイティブ」な組織への進化を進めてまいります。具体的には、職種別AIスキルモデルの整備、社内AIアシスタントの活用、業務プロセスの見直し等を通じて、社員一人ひとりの生産性と付加価値創出力の向上を図ります。このような取り組みを通じ、収益成長を支える実行力と利益率向上の基盤を強化してまいります。   c. AIを軸にした新規事業の創出とアライアンスを通じた飛躍的な成長   当社グループは、既存事業による安定的な収益基盤を維持しつつ、将来の新たな収益の柱を構築するため、AIを軸とした新規事業の立ち上げを推進してまいります。また、合弁事業やM&Aを含むアライアンスを機動的に活用し、自社単独では獲得が難しい技術・顧客基盤・市場機会を取り込むことで、中長期的な成長余地の拡大を目指してまいります。「2年経営計画」では、このような将来成長に向けた種まきと事業化の加速を重点的に進めてまいります。  ②人材戦略   当社グループは、個人の成長と企業価値向上を両立させるため、一人ひとりが自ら考え、行動し、価値を創出できる「未来型人材」の育成を進めてまいります。問題発見力、予測力、創造力を備えた人材を育成するため、教育制度の整備と継続的な人材投資を実施するとともに、AIを実務で使いこなせる「一流の技術者」としての高度人材育成に取り組みます。   このように、人的資本経営として当社の成長に寄与して活躍する「未来型人材」の育成に投資を行い、「社員全員が一流の技術者」となることにより、社員が付加価値の高いサービスを高い生産性で提供できるようになることが、持続的な利益成長を実現する強固な収益基盤の構築、ひいては長期ビジョン達成の基盤になると考えております。  ③グループ戦略   当社グループは、親会社と子会社を単なる上下関係ではなく、それぞれが自立した競争力を持ちながら相互に知見を循環させる「自立型グループモデル」として進化させてまいります。当社が保有するERP技術、AI技術、業界業務知見をグループ各社へ展開し、グループ各社はそれを基盤として独自のナレッジやビジネスモデルを強化してまいります。   これにより、グループ全体として市場開拓力と収益力を高め、連結売上高及び利益の拡大につなげてまいります。  ④資本戦略   当社は、「業務システム×AI×開発ツール」の領域に経営資源を集中し、事業活動により獲得したキャッシュを、必要に応じて負債も活用しながら、次の成長に向けた戦略投資へ配分してまいります。具体的には、新規事業・製品開発、人材育成、業務効率化のための社内システムやオフィス環境の整備、並びに機能補完やシナジー創出が見込まれるM&Aに対し、継続的に投資を行ってまいります。投資判断にあたっては、資本コスト(WACC)を意識した投資効率(ROIC)の向上と、一株当たり利益(EPS)の持続的改善を重視いたします。   また、株主還元については、連結配当性向30%を下限とすることを基本方針としつつ、中長期的には累進配当を志向し、配当性向を35%、さらに40%の水準へ引き上げていくことを目指してまいります。  ⑤サステナビリティへの取り組み   当社グループは、企業の社会的責任を果たすため、さいたま、大阪、福岡の各拠点における地域社会への貢献活動への取り組みを推進します。サステナビリティへの取り組みに関する詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。  ⑥経営の透明性確保と適切なガバナンス体制の構築   当社グループは、社内の各種データを整備し、データ駆動経営を強化します。事業活動を定量化し、俯瞰的かつ客観的にモニタリングしております。社外役員による監督のもと少数株主の利益にも配慮しながら、適時適切な意思決定を行ってまいります。 (3)目標とする経営指標 当社グループは、成長性と収益性を重視しており、それぞれの指標として売上高成長率及び売上高営業利益率を重要な経営指標と位置付けています。これらの指標をバランスよく伸ばしながら企業価値を向上させることを経営課題としています。 また、事業別の運営実態や業績状況を視るものとして、主に次のような指標を注視しています。   ・事業別の売上高、売上総利益(率)及び事業利益(率)の推移   ・事業別の従業員一人当たり売上高及び売上総利益   ・事業別、部門別の稼働率 さらに、健全性や安定性を表すものとして、次のような指標も重視しています。   ・プロジェクト利益の計画・実績の推移   ・プロジェクト失敗件数の推移   ・販売費比率、管理費比率の推移   ・離職率、社員満足度の推移 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループは、2032年度に向けた長期ビジョンとして「ものつくり企業のビジネスプロセスをITの力で本質的に変革する」ことを掲げ、時間を奪うのではなく時間を与えるソフトウエアを創り続け、日常の課題解決のためのシステムインテグレータとなることを目指しております。また、「2年経営計画」(2026年度~2027年度)の数値目標の達成に向け、エンタープライズ領域をターゲットとし、「業務系システム」「AI」「開発ツール」の3つの事業ドメインに経営資源を集中し、以下の各項目を重要課題と認識して解決に向けて取り組んでおります。  ①AIネイティブ経営への転換   AIの急速な進化により、「操作させるだけのソフトウエア」や「言われたことを正確にこなす仕事」は急速に価値を失いつつあります。これは当社事業そのものが問い直される変化であり、過去の延長線上にある対応では不十分です。当社は、業務の発想をゼロから再設計する「AIネイティブ」な組織体制への転換を、この2年間の最重要課題と位置づけます。   全従業員がAIを自らの武器として使いこなし、提案・設計・開発・品質管理・顧客対応のあらゆる領域で業務を再設計します。職種別AIスキルモデルの導入と社内AIアシスタントの整備により、一人ひとりの生産性と付加価値を飛躍的に高めます。また、当社製品にAIを組み込んで顧客への提供価値を高めるとともに、AI活用を前提とした新しいビジネスモデルの創出を推進してまいります。  ②ERP事業の多軸化と新規事業の創出   当社の収益は特定製品への依存度が高く、業績が事業年度により大きく変動しやすい構造的課題を抱えてきました。今後の持続的な成長のためには、GRANDIT依存からの脱却と複数の収益軸の確立が不可欠です。   SAP・mcframe・KENZなどへの多軸展開を進め、ものつくり企業のビジネスプロセス全体を支えるERPポートフォリオを構築します。また、保守・運用・クラウドサービスによるストック型収益の比率を高め、単発プロジェクト依存からの脱却を図ります。これにより、外部環境の変化に左右されにくい、継続的で再現性の高い収益モデルを確立し、安定的な経営基盤を実現してまいります。  ③AI時代を見据えた新規事業の創出   当社グループの持続的成長のためには、現在の基盤事業に加え、AI時代に競争優位を持てる新たな収益の柱を育てることが必要です。ECM-SCM業務支援AI(検図AI)、図面・BOM・調達変更の自動化、ERP+AIを融合した設計ハブや経営管理ツールなど、製造業の現場課題をAIで解決する新規事業の立ち上げを加速します。   独自のステージゲート制度により、小規模実証から段階的に投資判断を行う規律あるプロセスを徹底し、リスクを管理しながら新規事業の成功確率を高めます。また、合弁事業やM&Aを機動的に活用し、社内リソースだけに頼らない事業展開を進めてまいります。  ④人材の採用・育成と早期戦力化   当社の事業競争力は、エンジニアをはじめとする人材の質と量に直接依存しています。AI時代においても、業務を深く理解し、顧客の課題を本質から解決できる「一流の技術者」を育て続けることが当社の最大の差別化要因です。   事業成長に合わせた計画的な採用を進めるとともに、採用した人材の早期戦力化をAIで加速します。AIによるコードレビューや技術スキル診断、パーソナライズされた学習プラン自動生成など、最先端の人材育成システムを構築し、若手社員の成長スピードを高めます。また、「挑戦して失敗した人を評価する」文化の醸成に加え、女性活躍をはじめとする人材の多様性の向上や、働きやすい環境づくりを推進します。こうした取り組みによる社員エンゲージメントの継続的な向上により、優秀な人材が定着し、会社とともに持続的に成長できる環境を整えてまいります。  ⑤計画的な資本政策と株主価値の向上   AI時代において事業上のポジションを確立するためには、機を逸せず積極的な成長投資を行うことが不可欠です。一方で、財務健全性を維持しながら株主への安定的な還元を続けることも経営の責任です。当社は、成長投資と株主還元を両立させる計画的な資本政策を推進してまいります。   合弁事業やM&Aへの投資、新規事業への種まき投資を戦略的に実行しつつ、事業投資効率(ROIC)の向上と継続的な1株当たり利益(EPS)の成長により株式価値の向上を図ります。配当性向30%以上を継続することを基本方針とし、投資と還元のバランスを投資家に対して透明性高く開示してまいります。  ⑥顧客中心の営業・提案力の強化   当社が持続的に成長するためには、製品を売るプロダクト志向から、顧客の経営課題を起点に最適なソリューションを提案する顧客中心のアプローチへの転換が必要です。業務プロセス理解・ERP実装力・AI技術の三位一体による差別化提案を実現し、顧客とともに成長するパートナーとしての地位を確立します。   顧客管理・営業支援ツールとAIを組み合わせ、マーケットと顧客動向の分析に基づく効果的な営業戦略を立案するとともに、AI活用による提案書作成や案件管理の効率化により、営業力と企画提案力を強化してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下のとおりです。 ①財政状態(資産)当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ382,106千円増加し4,845,069千円となりました。これは主に、現金及び預金の増加257,098千円、契約資産の増加90,209千円などによるものです。当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ317,405千円増加し836,434千円となりました。これは主に、株式会社システム開発研究所を取得したことに伴うのれんの増加122,556千円、投資有価証券の増加113,335千円などによるものです。この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ699,512千円増加し、5,681,503千円となりました。 (負債)当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ310,582千円増加し1,166,093千円となりました。これは主に、未払消費税等の増加95,158千円、賞与引当金の増加63,114千円、未払費用の増加40,497千円などによるものです。当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ40,586千円増加し50,407千円となりました。これは主に、株式会社システム開発研究所を取得したことに伴う退職給付に係る負債の計上29,727千円、業績連動報酬引当金の減少9,820千円などによるものです。この結果、負債は、前連結会計年度末に比べ351,168千円増加し、1,216,500千円となりました。 (純資産)当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ348,343千円増加し4,465,003千円となりました。これは主に、利益剰余金の増加349,270千円などによるものです。 ②経営成績当連結会計年度の業績は、売上高5,558,183千円(前年同期比16.5%増)、売上総利益1,922,997千円(同24.1%増)、営業利益595,411千円(同119.3%増)、経常利益569,088千円(同88.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益458,447千円(同21.4%減)となりました。セグメント別の業績は、次のとおりです。Object Browser事業の売上高は831,722千円(前年同期比5.2%増)、セグメント利益は327,492千円(同1.8%減)となりました。ERP事業の売上高は4,649,893千円(前年同期比20.7%増)、セグメント利益は987,379千円(同40.7%増)となりました。AI事業の売上高は76,568千円(前年同期比16.9%減)、セグメント損失は3,242千円(前年同期は22,128千円のセグメント損失)となりました。 ③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、2,351,453千円となりました。主な要因は以下のとおりです。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、693,432千円のプラス(前連結会計年度は360,375千円のマイナス)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上648,388千円、減価償却費の計上115,273千円などの資金増加要因が、法人税等の支払額189,703千円、売上債権及び契約資産の増加82,545千円、持分変動利益の計上79,300千円などの資金減少要因を上回ったことによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、688,894千円のマイナス(前連結会計年度は69,814千円のマイナス)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出801,340千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出172,910千円、無形固定資産の取得による支出138,049千円などの資金減少要因が、定期預金の払戻による収入500,000千円などの資金増加要因を上回ったことによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、111,517千円のマイナス(前連結会計年度は131,012千円のマイナス)となりました。これは主に、配当金の支払額109,177千円などによるものです。 ④生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(千円)前期比(%)Object Browser事業333,045114.2ERP事業2,640,694109.7AI事業88,999225.8報告セグメント計3,062,739111.9その他5,05434.5合計3,067,793111.5(注)金額は、当期総制作費用であります。 b.受注実績 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(千円)前期比(%)受注残高(千円)前期比(%)Object Browser 事業829,533106.610,25882.4ERP事業4,883,516141.71,202,488124.1AI事業76,56899.7--報告セグメント計5,789,618134.61,212,746123.6その他----合計5,789,618133.51,212,746123.6 c.販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(千円)前期比(%)Object Browser 事業831,722105.2ERP事業4,649,893120.7AI事業76,56883.1報告セグメント計5,558,183117.4その他--合計5,558,183116.5(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、いずれの販売先についても当該販売実績の   総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる可能性があります。なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。 ②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討の内容当社は「時間を与えるソフトウエアを創り続ける」というミッションのもと、社会や産業の変化に即した自社開発プロダクトを通じて、お客様の生産性と創造性を最大化することを目指しています。2026年2月期からの2年間は、既存事業の安定基盤を一層強化するとともに、AIを活用した新しい価値創造に本格的に踏み出す「進化と挑戦のフェーズ」と位置づけております。主力ERP「GRANDIT」をはじめとする業務系システム事業、開発ツール事業の深化に加え、AI事業の拡大によって、当社はお客様の業務高度化と日本の製造業の競争力強化に貢献してまいります。また、事業ポートフォリオの拡充に向けて、2025年3月には製造業向け生産管理システムの開発に強みを持つ株式会社システム開発研究所を完全子会社化しております。さらに、2025年5月には株式会社BizSaaSを設立し、同年6月に富士ソフト株式会社等から出資を受け、共同で事業を推進しております。これらの取り組みは直近業績に与える影響は限定的ですが、今後の中長期的な成長基盤を支える重要な布石と考えております。当社は引き続き、「業務系システム」「開発ツール」「AI」の3つの事業ドメインに経営資源を集中させ、次の成長ステージに向けて確実に歩みを進めてまいります。当連結会計年度の業績は、売上高5,558,183千円(前年同期比16.5%増)、売上総利益1,922,997千円(同24.1%増)、営業利益595,411千円(同119.3%増)、経常利益569,088千円(同88.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益458,447千円(同21.4%減)となりました。当連結会計年度は、主要事業であるERP事業がDX推進や自動化の強いニーズを受けて好調な業績が続いており、本業の業績は前連結会計年度と比べて増収増益となっております。一方、前連結会計年度は関係会社株式売却益547,508千円があったところ、当連結会計年度は持分変動利益79,300千円を計上し、特別利益が差し引き470,981千円減少したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は減少しております。 セグメント別の業績の状況は次のとおりです。(Object Browser事業)Object Browser事業は、データベース開発支援ツール「SI Object Browser」、データベース設計支援ツール「SI Object Browser ER」及び統合型プロジェクト管理ツール「OBPM Neo」の3製品で構成されています。「SI Object Browser」と「SI Object Browser ER」はソフトウエア開発の生産性向上ツールとして、「OBPM Neo」はプロジェクト管理の合理化ツールとしてIT業界を中心に多くのお客様にご利用いただいております。Object Browser事業は、Oracleだけでなく「Microsoft SQL Server」、「Postgre SQL」などの主要なデータベースへの対応や、買取型からクラウドサービスへの移行など、お客様の要望を取り入れながら利便性の向上を続けています。当連結会計年度では、「OBPM Neo」の新規顧客開拓及び既存顧客へのアップセルが順調に進捗した結果、MRR(Monthly Recurring Revenue:月次経常収益)は、前連結会計年度末の36,887千円から10.7%増の40,820千円となり、ストック収益の基盤を着実に拡大させております。また、新規クラウド契約数の伸長に伴い、導入支援や研修サービスといった関連収益も堅調に推移いたしました。今後は「AIエージェント機能」の実装をはじめとするプロダクト力強化により、新規獲得の加速を図ります。併せて、プロフェッショナルサービスやカスタマーサクセスの体制を拡充することで、既存顧客のLTV(顧客生涯価値)最大化と解約率の低減に努め、持続的な成長を実現してまいります。「SI Object Browser」については、お客様からのニーズに応えるべく「SI Object Browser」シリーズの製品がすべて利用できる「コンプリートサブスクリプションライセンス」をリリースいたしました。さらに、2025年10月には、生成AI機能を組み込んでデータベース開発作業の生産性を大幅に向上させる自動化機能(特許第7763432号)を多数実装し、2026年2月に機能強化のバージョンアップも実施しました。当連結会計年度の売上高は831,722千円(前年同期比5.2%増)、セグメント利益は327,492千円(同1.8%減)となりました。「OBPM Neo」のMRRが増加したことで増収となったものの、オープンソースデータベースMySQLに対応した「SI Object Browser」製品の開発投資に伴い減益となりました。「OBPM Neo」は、今回のメジャーバージョンアップを通じてプロダクト競争力を一層向上させてまいります。並行して、2026年3月には新たに受講コースを追加してカリキュラムを充実させる予定の「プロジェクト管理研修サービス」との連携を深め、その相乗効果を新規顧客の獲得と既存顧客へのアップセル拡大につなげてまいります。また、「SI Object Browser」は、マルチデータベースに対応した幅広いエンジニア向けの開発支援ツールとして、AI機能の強化なども行い開発生産性を更に高める製品として販売数を伸ばしてまいります。 (ERP事業)ERP事業は、Web-ERP「GRANDIT」を中核に、製造・建設・IT・卸売など主要産業向けに業種特化型の基幹業務システムを提供しています。2024年4月にはクラウド型「SAP Cloud ERP」の提供を開始し、2025年1月には国内で多くの導入実績を持つSCMパッケージ「mcframe」の取り扱いを開始しました。独自要件への適合やアドオン開発を重視する企業には「GRANDIT」、グローバル標準や業界ベストプラクティスを活用したグループ経営・業務変革を志向する企業には「SAP Cloud ERP」、プロセス系や見込生産など生産や物流に競争優位性を持つ企業には「mcframe」をそれぞれ提案します。これにより、お客様は自社・業界の要件に適したソリューションを選択しやすくなるとともに、当社は短期によりコストパフォーマンスのよいシステム導入を提供することができます。これら3つのソリューション展開により新規顧客からの引き合いは堅調に推移し、受注は期初計画を上回りました。導入案件の順調な進捗に加え、周辺インフラの同時導入も伸長した結果、当連結会計年度の売上高は4,649,893千円(前年同期比20.7%増)、セグメント利益は987,379千円(同40.7%増)となり、増収増益を確保しました。今後も各製品の戦略的棲み分けを明確にしつつ、販売面では提案書作成や要件整理等へのAI活用を進め、開発・導入面では設計、プログラム開発、テスト等における生産性向上を図るとともに、当社グループ連携による開発力強化を進めてまいります。 (AI事業)AI事業は、ディープラーニング異常検知システム「AISIA Anomaly Detection(アイシアAD)」をベースに、AIの画像認識技術を使って外観検査作業を自動化するビジネスを行ってまいりましたが、第1四半期連結会計期間から生成AIを用いたサービス提供に事業リソースを段階的にシフトしております。2025年4月にはAIエージェント事業を開始し、同年5月には検図AI「KENZ」のリリースを発表しました。両サービスとも製造業のエンジニアリング領域を起点に自動化や属人知の継承を実現するサービスとして多くの引き合いをいただいており、第3四半期連結会計期間から本格的な営業活動を開始し、引き続き開発体制の強化も進めてまいります。なお、本件による当連結会計年度の業績への影響は軽微ですが、翌連結会計年度からの本格的な収益貢献を見込んでおります。当連結会計年度の売上高は76,568千円(前年同期比16.9%減)、セグメント損失は3,242千円(前年同期は22,128千円のセグメント損失)となりました。 (3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、2,351,453千円となりました。税金等調整前当期純利益の計上などがあった一方、株式会社システム開発研究所の株式取得による支出、定期預金の預入による支出、無形固定資産の取得による支出、法人税等及び配当金の支払いによる支出などが発生しました。当社は、今後の事業拡大のための新規の製品・サービスの研究開発、既存製品の機能拡充、AIビジネス拡大の研究開発、社員教育及び人材採用等の人材開発などの投資を行ってまいります。投資資金の財源としては、まずは自己資金を充当し、一時的に多額の資金が必要となる場合には、必要に応じ金融機関からの借入れを行う考えです。当連結会計年度末における手元資金は3,225,688千円と資産合計の56.8%を占めており、現時点では借入れを要する多額の投資等の予定はありません。 (4)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおりです。

事業リスク

  • AIによるビジネスモデル変革
    AI技術の急速な進化により、既存のソフトウェア製品やサービスが市場価値を失う可能性があります。競合他社がAIを活用してより優れた価値を提供した場合、システムインテグレータの競争力が低下し、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。
  • 特定製品への依存
    売上の大部分を特定のERP製品「GRANDIT」に依存しているため、この製品の市場動向の変化や競合の台頭、または主要顧客との取引条件の変更があった場合、収益が大きく減少する可能性があります。これにより、事業の安定性が損なわれるリスクがあります。
  • 人材の確保と育成
    AI時代に対応できる高度なAIスキルと業務知識を持つエンジニアの採用競争が激化しており、優秀な人材を確保・維持・育成できない場合、開発力や提案力が低下し、成長計画に支障をきたす可能性があります。これは、企業の競争力に直接影響する重要なリスクです。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|2,971 文字
3【事業等のリスク】 当社グループは、主に以下の事項について事業展開上のリスク要因となる可能性があるものと考えております。これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要と考えられる事項については、情報開示の観点から積極的に開示しております。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)AI時代のビジネスモデル変革リスク AIの急速な進化は、ソフトウエア業界のビジネスモデルそのものを根底から変えつつあります。「操作させるだけのソフトウエア」や定型業務の自動化に留まる製品・サービスは急速に市場での価値を失い、顧客が期待する提供価値の水準も急速に高まっています。当社が現在提供する製品・サービスがAIの進化によって競争力を失うリスク、また、競合他社がAI活用でより高い提供価値を実現するリスクは、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。 当社グループは、AI技術を自社製品・サービスに積極的に組み込むとともに、全従業員が「AIネイティブ」な働き方へ転換することで対応してまいります。また、AI活用に伴う情報漏洩・知的財産権侵害・品質劣化等のリスクに対しては、AIガイドラインの整備とリスクマネジメント体制の強化により安全な活用を推進します。 (2)特定製品・顧客への依存リスク 当社グループの売上の相当部分を特定のERP製品(GRANDIT)に依存する構造にあります。この製品の市場動向の変化、競合製品の台頭、または特定顧客との取引条件の変化等が生じた場合、当社グループの収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、SAP・mcframe・KENZなどへの多軸展開を進め、製品ポートフォリオの分散を図るとともに、ストック型ビジネス(保守・運用・クラウドサービス)の比率を高め、特定製品・顧客への依存度を段階的に低下させてまいります。 (3)M&A・投資に係るリスク 当社グループは、事業成長の加速のためM&A・合弁事業を常に検討しております。投資対象の選定や事後の統合(PMI)が想定どおりに進まない場合、期待したシナジーが実現せず、投資資金の回収が困難となるリスクがあります。また、借入を活用した投資を行う場合には、財務的な負担が生じる可能性もあります。 当社グループは、独自のステージゲート制度に基づく規律ある投資判断プロセスを徹底するとともに、ドメイン外への分散投資は行わず「業務システム×AI×開発ツール」という中核領域への集中投資を原則とします。また、投資規律と財務健全性を厳格に管理してまいります。 (4)失敗プロジェクトの発生リスク 当社グループは、自社製品「OBPM Neo」を活用しプロジェクト管理を徹底しておりますが、システム開発の性質上、要件の複雑化・スコープの変化等により、一定の確率で採算悪化プロジェクトが発生するリスクがあります。特に大規模プロジェクトにおいては、損失が当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。 当社グループは、PMO(Project Management Office)機能の強化と、AIを活用したプロジェクト進捗監視・リスク早期検知の仕組みの構築により、潜在的なリスクの早期発見と対処に努めてまいります。 (5)人材の確保・維持・育成リスク 当社グループの事業競争力は、エンジニアをはじめとする人材の質と量に直接依存しています。AI時代において必要な人材像は急速に変化しており、高度なAIスキルと業務知識を兼ね備えた人材の採用競争は激化しています。優秀な人材の採用が計画通り進まない場合、または既存人材の社外流出が生じた場合には、開発力・提案力の低下を招き、当社グループの成長計画に支障をきたす可能性があります。 当社グループは、AIを活用した人材育成システム(学習コンテンツ自動推薦・パーソナライズ学習プラン等)の整備による早期戦力化、企業ブランドの強化による採用競争力の向上、社員エンゲージメントの継続的なモニタリングと改善により、人材の確保・定着・育成を一体的に強化してまいります。 (6)新製品・新サービスの開発リスク 当社グループは、AI時代に対応した新規製品・サービスの開発・投入を積極的に進めております。しかし、新たに投入した製品・サービスが市場ニーズに合致しない場合、または競合製品・サービスとの競争に敗れた場合には、開発に投じた資金を回収できず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、顧客の業務課題起点でのアプローチにより市場ニーズの見誤りを防ぐとともに、ステージゲート制度による段階的投資判断とオープンイノベーションの活用により、新規事業の成功確率を高めてまいります。 (7)製品品質・信頼性リスク 当社グループの製品・サービスに予期し得ない重大な不具合が発生した場合、顧客の業務に支障をきたし、当社グループへの信頼が損なわれるとともに、損害賠償責任を問われる可能性があります。特に、AIを組み込んだ製品においては、AIの出力品質の担保が新たな課題となっています。 当社グループは、AIを活用した自動テスト・コードレビューにより品質保証プロセスそのものを高度化するとともに、AI出力の検証・改善サイクルを確立し、製品・サービスの信頼性向上に継続的に取り組んでまいります。 (8)知的財産権に関するリスク 当社グループが開発した製品・サービスが第三者の知的財産権を侵害していると主張される場合、または当社グループが保有する知的財産権が侵害される場合、訴訟対応コストの発生や製品販売の中止を余儀なくされる可能性があります。また、AI生成コンテンツの権利関係については法整備が途上にあり、新たなリスクが顕在化する可能性もあります。 当社グループは、事業展開における事前審査・権利確認の徹底に加え、AI活用に伴う知財リスクへの対応を含むコンプライアンス教育を継続的に実施してまいります。 (9)開発体制について 当社グループ独自の製品・サービスは、新規のテクノロジーを取り入れながら企画・開発しております。そのため、高い技術力や専門性を有する人材の確保が想定どおりに進まない場合、技術の移り変わりが激しくエンジニアの育成が間に合わない場合、又は労働環境の悪化等によりエンジニアの社外流出が生じた場合は、開発作業に重大な影響を及ぼし、競争力のある製品をリリースできなくなる可能性があります。 このような事態が生じると、収益機会を失い投資の回収も困難になることから、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、資格取得制度やチューター制度、社員研修制度、社内勉強会等の社員教育に力を入れ、育成と評価が適切になされるよう人事評価制度の改良にも取り組んでいます。また、定期的に離職率や社員満足度の状況を把握し、大量離職の未然防止にも努めております。

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