事業の内容
フィックスターズは「Speed up your AI」をスローガンに、AI技術を活用したソフトウェア開発と高速化支援を行う企業です。半導体や自動車、製造業、医療、金融といった大量データ処理が必要な分野に注力しています。特に、NAND型フラッシュメモリのファームウェア開発や、自動運転、医療画像診断、ゲノム解析、金融の高速取引システムなど、多岐にわたる産業で最先端のハードウェア性能を最大限に引き出すソフトウェア技術を提供し、お客様のAI開発・活用を強力に支援することで収益を上げています。
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FY2025|4,505 文字|出典 docID: S100XAQJ
3【事業の内容】 当社グループは、「Speed up your AI」をスローガンに掲げ、これまで培ってきた高度なソフトウェア開発技術のAI領域への活用を進め、AI技術が急速に進展する現代においてお客様のAI開発及びAI活用を強力に支援すべく、各事業を展開しております。1990年代まで半導体業界及びコンピュータ業界においては、「デナード則※」や「ムーアの法則※」に従い、半導体微細化技術の進歩とともにクロック周波数向上等による高性能化を享受してきました。しかしながら、2000年代半ばには「デナード則」に終焉が訪れ、クロック周波数向上等による高性能化から、マルチコア化等による高性能化へとパラダイムシフトが起こりました。「Cell」はそうしたマルチコア時代を切り拓いたプロセッサであり、当社グループは「Cell」向けのソフトウェア開発を進めることで、マルチコア等の革新的なハードウェアの性能を最大限に引き出すソフトウェア技術を蓄積してきました。また近年においては、「ムーアの法則」の限界がささやかれ、マルチコア化にとどまらないパラダイムシフトが起きようとしています。GPU※やFPGA※といったアクセラレータ※の実用化が進み、加えて、特定の処理に特化した専用チップや、量子コンピュータに代表される、従来型コンピュータアーキテクチャ※とは全く異なる仕組みを採用したコンピュータの研究開発、実用化が進んでいます。当社グループは、これら多種多様なハードウェアの性能を引き出す高度なソフトウェア技術を通じて、先進的な取り組みを行う研究機関、企業様に対し、ソフトウェア高速化やAI開発・活用に対する支援を行っております。 (1)当社グループの注力分野について 当社グループは、大量データの高速処理が求められる下記の産業分野に注力して事業を推進しております。①Semiconductor モバイル機器やデータセンタ等で利用の進むNAND型フラッシュメモリを対象として、ファームウェア及びデバイスドライバの開発を行っております。また、次世代AIチップ向け開発環境基盤の研究開発や開発支援を進めております。②Mobility 自動車の安全運転を支援する標識認識や歩行者検知警報といった車載機器向けソフトウェア高速化や、自動運転の実現を企図した研究開発向けアルゴリズム開発や高速化支援を行っております。また、次世代パーソナルモビリティに関連する研究開発及び高速化支援を行っております。③Industrial 製造分野の製品製造過程で使われる検査装置や自動化制御装置向けのソフトウェア開発、スマートファクトリーやIndustry4.0と呼ばれる製造工程を中心とした高度化に向けた開発支援、ハードウェアの提供を行っております。④Life Science 医療画像診断装置における高精細画像のリアルタイム処理向け開発支援及びハードウェアの提供や、ゲノム解析に利用されるシステムの高速化支援を行っております。また、AIを用いた画像診断支援システムの研究開発を進めております。⑤Finance デリバティブやリスク評価に伴い行われる大量の計算をより短時間、より低コストで処理できるよう、アプリケーションシステムやハードウェアの構築及び開発支援を行っております。また、HFT※においては、半導体内部のデータパスレベルでの最適化を実現するため、ハードウェア開発や半導体アーキテクチャ毎の最適化支援を提供しております。(2)当社グループの事業セグメントについて①Solution事業Solution事業においては、大量データの高速処理を可能とするソフトウェア開発・高速化サービス及び関連するハードウェアを提供しています。顧客製品の開発フェーズに合わせて、コンサルティングから最終製品への組込み支援まで、一貫したトータルソリューションサービスを提供しております。研究開発フェーズにおいては、顧客課題に最適な技術仕様の策定支援や、最新論文や技術動向に即した解決手法の提案を行っております。研究開発フェーズから製品開発フェーズへの橋渡しとして、顧客の考案したアルゴリズムの実装、要求性能を加味したアルゴリズムの改善等を提供しております。加えて製品開発フェーズにおいては、ハードウェアの計算資源を最大限に活用できるよう、ソフトウェア最適化やアルゴリズムの改良を提供しております。また、各フェーズにおいて計算資源として使用するGPUやFPGAボード等のハードウェアについて、当社グループのソフトウェア開発に関する知見を活かして、お客様の要件に応じて最適なハードウェアの選定・提供を行っており、ソフトウェアとハードウェアの両面からお客様のビジネスを支援しております。 ②SaaS事業 SaaS※事業においては、Solution事業で蓄積した知見が社会により広く活用されることを目指し、複数のサービスをSaaSとして提供しております。 量子コンピューティングクラウド「Fixstars Amplify」においては、高い専門性が要求される量子コンピュータ向けプログラムを、より容易に取り扱うことが可能なサービスを提供し、組合せ最適化問題を中心としたお客様の課題解決に取り組んでおります。 乳がんAI画像診断支援事業においては、超音波画像に対しAIを用いて精密検査の要否を高速かつ高精度に判別する「METIS Eye」が薬事承認を取得し、複数の医療機関においてサービス導入に向けた試験運用が開始されております。 また、LLM※(大規模言語モデル)をはじめとしたAI開発・運用におけるパフォーマンスエンジニアリングプラットフォーム「Fixstars AIBooster」により、AIの開発に不可欠なハードウェアとなっているGPUの利用効率を継続的にモニタリングし、改善を行うサービスを提供しております。 [事業系統図] 当社グループの事業の系統図は、以下のとおりです。 [用語解説] 用語解説においては、「2 沿革」及び「3 事業の内容」の文章中において※で示した用語の本書内での意味を説明しており、一般的な内容を含むものとは限りません。(50音、アルファベット順となっております) 用語 解説・定義アクセラレータコンピュータの処理性能を高める目的で使用されるハードウェアやソフトウェアのことを指します。アーキテクチャコンピュータアーキテクチャを指し、コンピュータ(特にハードウェア)における基本設計や設計思想などの基本設計概念を意味します。デナード則ロバート・デナード氏により提唱された、微細化によりシリコン面積当たりのトランジスタ数を増やすことで、消費電力を上げずに処理速度を高めることができると示した法則。プロセッサコンピュータなどの中で、ソフトウェアプログラムに記述されたデータの転送、計算、加工、制御、管理などの命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、命令や情報を格納するレジスタ、周辺回路などから構成されます。マルチコア1つのプロセッサ・パッケージ内に複数のプロセッサ・コアを封入したもの。外見的には1つのプロセッサでありながら内部的には複数のプロセッサで構成されるため、主に並列処理を行わせる環境下においては、プロセッサ・チップ全体での処理能力を上げ、性能を向上させることができます。ミドルウェアOS上で動作し、アプリケーションソフトに対してOSよりも高度で具体的な機能を提供するソフトウェア。OSとアプリケーションソフトの中間的な性格を持っています。ムーアの法則世界最大の半導体メーカー・インテルの創設者の一人であるゴードン・ムーア博士が1965年に経験則として提唱した、「半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する」という法則。量子コンピュータ量子力学的な重ね合わせを用いて並列性を実現するコンピュータであり、その実現方法は、量子回路モデルと量子アニーリングの二つが主流となっています。このうち量子アニーリングにおいては、D-Wave Systems Inc.が世界初の商用量子コンピュータとされるD-Wave Oneを発表して以来大きな進展が見られ、「組み合わせ最適化問題」と称される膨大な選択肢から最良の選択肢を探索する問題において驚くべき性能を示しており、様々な産業分野での利用が期待されています。Cell異なる種類のプロセッサ・コアを1つのプロセッサに集積した「ヘテロジニアスマルチコア」と呼ばれるマルチコアプロセッサ。ソニー・東芝・IBMの3社によって共同開発されました。Cellは、家庭用ゲーム機PlayStation®3(2006年11月発売開始)に搭載する目的で開発されましたが、ハイビジョン対応のテレビやレコーダーなどのAV機器にも応用可能な汎用性のある設計がなされました。FPGAプログラミングすることができる大規模集積回路(LSI)のこと。マイクロプロセッサやASIC(特定用途向け集積回路)の設計図を送りこんでシミュレーションすることができます。ASICより動作が遅く高価ですが、ソフトウェアで回路のシミュレーションを行うよりは高速であり、研究用途から、一部業務用・組込み用に拡がりを見せています。GPUパーソナルコンピュータやワークステーション等の画像処理を担当する主要な部品のひとつ。個々のプロセッサの構造は単純でその機能はCPUに比べて限定されたものですが、大量のデータを複数のプロセッサで同時かつ並列処理することで、画像処理等を高速に処理できます。特にゲーム業界で多く利用されてきましたが、2000年代に入り、業務用途に特化して設計されたGPUが登場し、CAD、金融、CG映像、建築/設計、ディープラーニング、研究開発分野等において採用されています。HFTHigh Frequency Tradingの略称であり、ミリ秒単位のような極めて短い時間の間に、コンピュータを用いて自動的な金融資産の取引を行うことを指します。LLMLarge Language Model(大規模言語モデル)の略称であり、大量のテキストデータを学習することで高度な自然言語処理を可能にしたAI技術。文章の要約や翻訳、問い合わせへの自動応答などをはじめとして、様々な分野への活用が期待されています。NEDO国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(New Energy and Industrial Technology Development Organization)の略称。日本のエネルギー・環境分野と産業技術の一端を担う国立研究開発法人。SaaSSoftware as a Serviceの略称。インターネット等を通じて遠隔からソフトウェアを利用者に提供する方式。ソフトウェアは提供者側のコンピュータで稼働しており、ユーザはインターネット等を経由してそのソフトウェア機能を使用し、サービス料を支払います。
FY2024|4,500 文字|出典 docID: S100UYSB
3【事業の内容】 当社グループは、「Speed up your Business」をスローガンに掲げ、コンピュータの性能を最大限に引き出し大量データの高速処理を実現するソフトウェア開発・高速化サービス及び関連ハードウェア等を提供しております。ハードウェア技術におけるパラダイムシフトにいち早く対応し、顧客の求める機能やアプリケーションに合わせ、最新ハードウェアの性能を最大限に引き出すソフトウェア技術を蓄積しております。1990年代まで半導体業界及びコンピュータ業界においては、「デナード則※」や「ムーアの法則※」に従い、半導体微細化技術の進歩とともにクロック周波数向上等による高性能化を享受してきました。しかしながら、2000年代半ばには「デナード則」に終焉が訪れ、クロック周波数向上等による高性能化から、マルチコア化等による高性能化へとパラダイムシフトが起こりました。「Cell」はそうしたマルチコア時代を切り拓いたプロセッサであり、当社グループは「Cell」向けのソフトウェア開発を進めることで、マルチコア等の革新的なハードウェアの性能を最大限に引き出すソフトウェア技術を蓄積してきました。また近年においては、「ムーアの法則」の限界がささやかれ、マルチコア化にとどまらないパラダイムシフトが起きようとしています。GPU※やFPGA※といったアクセラレータ※の実用化が進み、加えて、特定の処理に特化した専用チップや、量子コンピュータに代表される、従来型コンピュータアーキテクチャ※とは全く異なる仕組みを採用したコンピュータの研究開発、実用化が進んでいます。当社グループは、これら多種多様なハードウェアの性能を引き出す高度なソフトウェア技術を通じて、最先端の技術・研究開発にチャレンジする研究機関、企業様を支援しております。 (1)当社グループの注力分野について 当社グループは、大量データの高速処理が求められる下記の産業分野に注力して事業を推進しております。①Semiconductor モバイル機器やデータセンタ等で利用の進むNAND型フラッシュメモリを対象として、ファームウェア及びデバイスドライバの開発を行っております。また、次世代AIチップ向け開発環境基盤の研究開発や開発支援を進めております。②Mobility 自動車の安全運転を支援する標識認識や歩行者検知警報といった車載機器向けソフトウェア高速化や、自動運転の実現を企図した研究開発向けアルゴリズム開発や高速化支援を行っております。また、次世代パーソナルモビリティに関連する研究開発及び高速化支援を行っております。③Industrial 製造分野の製品製造過程で使われる検査装置や自動化制御装置向けのソフトウェア開発、スマートファクトリーやIndustry4.0と呼ばれる製造工程を中心とした高度化に向けた開発支援、ハードウェアの提供を行っております。④Life Science 医療画像診断装置における高精細画像のリアルタイム処理向け開発支援及びハードウェアの提供や、ゲノム解析に利用されるシステムの高速化支援を行っております。また、AIを用いた画像診断支援システムの研究開発を進めております。⑤Finance デリバティブやリスク評価に伴い行われる大量の計算をより短時間、より低コストで処理できるよう、アプリケーションシステムやハードウェアの構築及び開発支援を行っております。また、HFT※においては、半導体内部のデータパスレベルでの最適化を実現するため、ハードウェア開発や半導体アーキテクチャ毎の最適化支援を提供しております。(2)当社グループの事業セグメントについて①Solution事業Solution事業においては、大量データの高速処理を可能とするソフトウェア開発・高速化サービス及び関連するハードウェアを提供しています。顧客製品の開発フェーズに合わせて、コンサルティングから最終製品への組込み支援まで、一貫したトータルソリューションサービスを提供しております。研究開発フェーズにおいては、顧客課題に最適な技術仕様の策定支援や、最新論文や技術動向に即した解決手法の提案を行っております。研究開発フェーズから製品開発フェーズへの橋渡しとして、顧客の考案したアルゴリズムの実装、要求性能を加味したアルゴリズムの改善等を提供しております。加えて製品開発フェーズにおいては、ハードウェアの計算資源を最大限に活用できるよう、ソフトウェア最適化やアルゴリズムの改良を提供しております。また、各フェーズにおいて計算資源として使用するGPUやFPGAボード等のハードウェアについて、当社グループのソフトウェア開発に関する知見を活かして、お客様の要件に応じて最適なハードウェアの選定・提供を行っており、ソフトウェアとハードウェアの両面からお客様のビジネスを支援しております。 ②SaaS事業 SaaS※事業においては、Solution事業で蓄積した知見が社会により広く活用されることを目指し、複数のサービスをSaaSとして提供しております。 量子コンピュータ向けプログラムの開発・実行プラットフォーム「Fixstars Amplify」においては、高い専門性が要求される量子コンピュータ向けプログラムを、より容易に取り扱うことが可能なサービスを提供しております。 乳がんAI画像診断支援事業においては、超音波画像に対しAIを用いて精密検査の要否を高速かつ高精度に判別するサービス「METIS Eye」を開発しており、早期のサービス提供に向け手続きを進めております。 また、LLM※(大規模言語モデル)の開発プロセス高速化基盤「Fixstars K4」により、AIの開発に不可欠なハードウェアとなっているGPUをより容易に、効率的に取り扱うことが可能なサービスを提供しております。 [事業系統図] 当社グループの事業の系統図は、以下のとおりです。 [用語解説] 用語解説においては、「2 沿革」及び「3 事業の内容」の文章中において※で示した用語の本書内での意味を説明しており、一般的な内容を含むものとは限りません。(50音、アルファベット順となっております) 用語 解説・定義アクセラレータコンピュータの処理性能を高める目的で使用されるハードウェアやソフトウェアのことを指します。アーキテクチャコンピュータアーキテクチャを指し、コンピュータ(特にハードウェア)における基本設計や設計思想などの基本設計概念を意味します。デナード則ロバート・デナード氏により提唱された、微細化によりシリコン面積当たりのトランジスタ数を増やすことで、消費電力を上げずに処理速度を高めることができると示した法則。プロセッサコンピュータなどの中で、ソフトウェアプログラムに記述されたデータの転送、計算、加工、制御、管理などの命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、命令や情報を格納するレジスタ、周辺回路などから構成されます。マルチコア1つのプロセッサ・パッケージ内に複数のプロセッサ・コアを封入したもの。外見的には1つのプロセッサでありながら内部的には複数のプロセッサで構成されるため、主に並列処理を行わせる環境下においては、プロセッサ・チップ全体での処理能力を上げ、性能を向上させることができます。ミドルウェアOS上で動作し、アプリケーションソフトに対してOSよりも高度で具体的な機能を提供するソフトウェア。OSとアプリケーションソフトの中間的な性格を持っています。ムーアの法則世界最大の半導体メーカー・インテルの創設者の一人であるゴードン・ムーア博士が1965年に経験則として提唱した、「半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する」という法則。量子コンピュータ量子力学的な重ね合わせを用いて並列性を実現するコンピュータであり、その実現方法は、量子回路モデルと量子アニーリングの二つが主流となっています。このうち量子アニーリングにおいては、D-Wave Systems Inc.が世界初の商用量子コンピュータとされるD-Wave Oneを発表して以来大きな進展が見られ、「組み合わせ最適化問題」と称される膨大な選択肢から最良の選択肢を探索する問題において驚くべき性能を示しており、様々な産業分野での利用が期待されています。Cell異なる種類のプロセッサ・コアを1つのプロセッサに集積した「ヘテロジニアスマルチコア」と呼ばれるマルチコアプロセッサ。ソニー・東芝・IBMの3社によって共同開発されました。Cellは、家庭用ゲーム機PlayStation®3(2006年11月発売開始)に搭載する目的で開発されましたが、ハイビジョン対応のテレビやレコーダーなどのAV機器にも応用可能な汎用性のある設計がなされました。FPGAプログラミングすることができる大規模集積回路(LSI)のこと。マイクロプロセッサやASIC(特定用途向け集積回路)の設計図を送りこんでシミュレーションすることができます。ASICより動作が遅く高価ですが、ソフトウェアで回路のシミュレーションを行うよりは高速であり、研究用途から、一部業務用・組込み用に拡がりを見せています。GPUパーソナルコンピュータやワークステーション等の画像処理を担当する主要な部品のひとつ。個々のプロセッサの構造は単純でその機能はCPUに比べて限定されたものですが、大量のデータを複数のプロセッサで同時かつ並列処理することで、画像処理等を高速に処理できます。特にゲーム業界で多く利用されてきましたが、2000年代に入り、業務用途に特化して設計されたGPUが登場し、CAD、金融、CG映像、建築/設計、ディープラーニング、研究開発分野等において採用されています。HFTHigh Frequency Tradingの略称であり、ミリ秒単位のような極めて短い時間の間に、コンピュータを用いて自動的な金融資産の取引を行うことを指します。LLMLarge Language Model(大規模言語モデル)の略称であり、大量のテキストデータを学習することで高度な自然言語処理を可能にしたAI技術。文章の要約や翻訳、問い合わせへの自動応答などをはじめとして、様々な分野への活用が期待されています。NEDO国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(New Energy and Industrial Technology Development Organization)の略称。日本のエネルギー・環境分野と産業技術の一端を担う国立研究開発法人。SaaSSoftware as a Serviceの略称。インターネット等を通じて遠隔からソフトウェアを利用者に提供する方式。ソフトウェアは提供者側のコンピュータで稼働しており、ユーザはインターネット等を経由してそのソフトウェア機能を使用し、サービス料を支払います。
FY2023|4,376 文字|出典 docID: S100SI1E
3【事業の内容】 当社グループは、「Speed up your Business」をスローガンに掲げ、コンピュータの性能を最大限に引き出し大量データの高速処理を実現するソフトウェア開発・高速化サービス及び関連ハードウェア等を提供しております。ハードウェア技術におけるパラダイムシフトにいち早く対応し、顧客の求める機能やアプリケーションに合わせ、最新ハードウェアの性能を最大限に引き出すソフトウェア技術を蓄積しております。1990年代まで半導体業界及びコンピュータ業界においては、「デナード則※」や「ムーアの法則※」に従い、半導体微細化技術の進歩とともにクロック周波数向上等による高性能化を享受してきました。しかしながら、2000年代半ばには「デナード則」に終焉が訪れ、クロック周波数向上等による高性能化から、マルチコア化等による高性能化へとパラダイムシフトが起こりました。「Cell」はそうしたマルチコア時代を切り拓いたプロセッサであり、当社グループは「Cell」向けのソフトウェア開発を進めることで、マルチコア等の革新的なハードウェアの性能を最大限に引き出すソフトウェア技術を蓄積してきました。また近年においては、「ムーアの法則」の限界がささやかれ、マルチコア化にとどまらないパラダイムシフトが起きようとしています。GPU※やFPGA※といったアクセラレータ※の実用化が進み、加えて、特定の処理に特化した専用チップや、量子コンピュータに代表される、従来型コンピュータアーキテクチャ※とは全く異なる仕組みを採用したコンピュータの研究開発、実用化が進んでいます。当社グループは、これら多種多様なハードウェアの性能を引き出す高度なソフトウェア技術を通じて、最先端の技術・研究開発にチャレンジする研究機関、企業様を支援しております。 (1)当社グループの注力分野について 当社グループは、大量データの高速処理が求められる下記の産業分野に注力して事業を推進しております。①Semiconductor モバイル機器やデータセンタ等で利用の進むNAND型フラッシュメモリを対象として、ファームウェア及びデバイスドライバの開発を行っております。また、次世代AIチップ向け開発環境基盤の研究開発や開発支援を進めております。②Mobility 自動車の安全運転を支援する標識認識や歩行者検知警報といった車載機器向けソフトウェア高速化や、自動運転の実現を企図した研究開発向けアルゴリズム開発や高速化支援を行っております。また、次世代パーソナルモビリティに関連する研究開発及び高速化支援を行っております。③Industrial 製造分野の製品製造過程で使われる検査装置や自動化制御装置向けソフトウェア開発や、スマートファクトリーやIndustry4.0と呼ばれる製造工程を中心とした高度化に向けた開発支援やハードウェアの提供を行っております。④Life Science 医療画像診断装置における高精細画像のリアルタイム処理向け開発支援及びハードウェアの提供や、ゲノム解析に利用されるシステムの高速化支援を行っております。また、AIを用いた画像診断支援システムの研究開発を進めております。⑤Finance デリバティブやリスク評価に伴い行われる大量の計算をより短時間、より低コストで処理できるよう、アプリケーションシステムやハードウェアの構築及び開発支援を行っております。また、HFT※においては、半導体内部のデータパスレベルでの最適化を実現するため、ハードウェア開発や半導体アーキテクチャ毎の最適化支援を提供しております。(2)当社グループの事業セグメントについて①Solution事業Solution事業においては、大量データの高速処理を可能とするソフトウェア開発・高速化サービス及び関連するハードウェアを提供しています。顧客製品の開発フェーズに合わせて、コンサルティングから最終製品への組込み支援まで、一貫したトータルソリューションサービスを提供しております。研究開発フェーズにおいては、顧客課題に最適な技術仕様の策定支援や、最新論文や技術動向に即した解決手法の提案を行っております。研究開発フェーズから製品開発フェーズへの橋渡しとして、顧客の考案したアルゴリズムの実装、要求性能を加味したアルゴリズムの改善等を提供しております。加えて製品開発フェーズにおいては、ハードウェアの計算資源を最大限に活用できるよう、ソフトウェア最適化やアルゴリズムの改良を提供しております。また、各フェーズにおいて計算資源として使用するGPUやFPGAボード等のハードウェアについて、当社グループのソフトウェア開発に関する知見を活かして、お客様の要件に応じて最適なハードウェアの選定・提供を行っており、ソフトウェアとハードウェアの両面からお客様のビジネスを支援しております。 ②SaaS事業 SaaS※事業においては、Solution事業で蓄積した知見が社会により広く活用されることを目指し、複数のサービスをSaaSとして提供しております。 量子コンピュータ向けプログラムの開発・実行プラットフォーム「Fixstars Amplify」は、高い専門性が要求される量子コンピュータ向けプログラムを、より容易に取り扱うことが可能なサービスを提供しております。 コピペコード管理ツール「CloneTracker」は、ソフトウェア開発の現場において発生しがちな「コピペ」等による重複したプログラムコードを管理することで、ソフトウェアの品質向上に繋げるサービスを提供しております。 乳がんAI画像診断支援事業においては、超音波画像に対しAIを用いて精密検査の要否を高速かつ高精度に判別するサービスを開発しており、早期のサービス提供に向け公的機関の許認可手続きを進めております。 [事業系統図] 当社グループの事業の系統図は、以下のとおりです。 [用語解説] 用語解説においては、「2 沿革」及び「3 事業の内容」の文章中において※で示した用語の本書内での意味を説明しており、一般的な内容を含むものとは限りません。(50音、アルファベット順となっております) 用語 解説・定義アクセラレータコンピュータの処理性能を高める目的で使用されるハードウェアやソフトウェアのことを指します。アーキテクチャコンピュータアーキテクチャを指し、コンピュータ(特にハードウェア)における基本設計や設計思想などの基本設計概念を意味します。デナード則ロバート・デナード氏により提唱された、微細化によりシリコン面積当たりのトランジスタ数を増やすことで、消費電力を上げずに処理速度を高めることができると示した法則。プロセッサコンピュータなどの中で、ソフトウェアプログラムに記述されたデータの転送、計算、加工、制御、管理などの命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、命令や情報を格納するレジスタ、周辺回路などから構成されます。マルチコア1つのプロセッサ・パッケージ内に複数のプロセッサ・コアを封入したもの。外見的には1つのプロセッサでありながら内部的には複数のプロセッサで構成されるため、主に並列処理を行わせる環境下においては、プロセッサ・チップ全体での処理能力を上げ、性能を向上させることができます。ミドルウェアOS上で動作し、アプリケーションソフトに対してOSよりも高度で具体的な機能を提供するソフトウェア。OSとアプリケーションソフトの中間的な性格を持っています。ムーアの法則世界最大の半導体メーカー・インテルの創設者の一人であるゴードン・ムーア博士が1965年に経験則として提唱した、「半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する」という法則。量子コンピュータ量子力学的な重ね合わせを用いて並列性を実現するコンピュータであり、その実現方法は、量子回路モデルと量子アニーリングの二つが主流となっています。このうち量子アニーリングにおいては、D-Wave Systems Inc.が世界初の商用量子コンピュータとされるD-Wave Oneを発表して以来大きな進展が見られ、「組み合わせ最適化問題」と称される膨大な選択肢から最良の選択肢を探索する問題において驚くべき性能を示しており、様々な産業分野での利用が期待されています。Cell異なる種類のプロセッサ・コアを1つのプロセッサに集積した「ヘテロジニアスマルチコア」と呼ばれるマルチコアプロセッサ。ソニー・東芝・IBMの3社によって共同開発されました。Cellは、家庭用ゲーム機PlayStation®3(2006年11月発売開始)に搭載する目的で開発されましたが、ハイビジョン対応のテレビやレコーダーなどのAV機器にも応用可能な汎用性のある設計がなされました。FPGAプログラミングすることができる大規模集積回路(LSI)のこと。マイクロプロセッサやASIC(特定用途向け集積回路)の設計図を送りこんでシミュレーションすることができます。ASICより動作が遅く高価ですが、ソフトウェアで回路のシミュレーションを行うよりは高速であり、研究用途から、一部業務用・組込み用に拡がりを見せています。GPUパーソナルコンピュータやワークステーション等の画像処理を担当する主要な部品のひとつ。個々のプロセッサの構造は単純でその機能はCPUに比べて限定されたものですが、大量のデータを複数のプロセッサで同時かつ並列処理することで、画像処理等を高速に処理できます。特にゲーム業界で多く利用されてきましたが、2000年代に入り、業務用途に特化して設計されたGPUが登場し、CAD、金融、CG映像、建築/設計、ディープラーニング、研究開発分野等において採用されています。HFTHigh Frequency Tradingの略称であり、ミリ秒単位のような極めて短い時間の間に、コンピュータを用いて自動的な金融資産の取引を行うことを指します。NEDO国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(New Energy and Industrial Technology Development Organization)の略称。日本のエネルギー・環境分野と産業技術の一端を担う国立研究開発法人。 用語 解説・定義SaaSSoftware as a Serviceの略称。インターネット等を通じて遠隔からソフトウェアを利用者に提供する方式。ソフトウェアは提供者側のコンピュータで稼働しており、ユーザはインターネット等を経由してそのソフトウェア機能を使用し、サービス料を支払います。
FY2022|4,512 文字|出典 docID: S100PU8Z
3【事業の内容】 当社グループは、「Speed up your Business」をスローガンに掲げ、コンピュータの性能を最大限に引き出し大量データの高速処理を実現するソフトウェア開発・高速化サービス及び関連ハードウェア等を提供しております。ハードウェア技術におけるパラダイムシフトにいち早く対応し、顧客の求める機能やアプリケーションに合わせ、最新ハードウェアの性能を最大限に引き出すソフトウェア技術を蓄積しております。1990年代まで半導体業界及びコンピュータ業界においては、「デナード則※」や「ムーアの法則※」に従い、半導体微細化技術の進歩とともにクロック周波数向上等による高性能化を享受してきました。しかしながら、2000年代半ばには「デナード則」に終焉が訪れ、クロック周波数向上等による高性能化から、マルチコア化等による高性能化へとパラダイムシフトが起こりました。「Cell」はそうしたマルチコア時代を切り拓いたプロセッサであり、当社グループは「Cell」向けのソフトウェア開発を進めることで、マルチコア等の革新的なハードウェアの性能を最大限に引き出すソフトウェア技術を蓄積してきました。また近年においては、「ムーアの法則」の限界がささやかれ、マルチコア化にとどまらないパラダイムシフトが起きようとしています。GPU※やFPGA※といったアクセラレータ※の実用化が進み、加えて、特定の処理に特化した専用チップや、量子コンピュータに代表される、従来型コンピュータアーキテクチャ※とは全く異なる仕組みを採用したコンピュータの研究開発、実用化が進んでいます。当社グループは、これら多種多様なハードウェアの性能を引き出す高度なソフトウェア技術を通じて、最先端の技術・研究開発にチャレンジする研究機関、企業様を支援しております。 (1)当社グループの注力分野について 当社グループは、大量データの高速処理が求められる下記の産業分野に注力して事業を推進しております。①Semiconductor モバイル機器やデータセンタ等で利用の進むNAND型フラッシュメモリを対象として、ファームウェア及びデバイスドライバの開発を行っております。また、次世代AIチップ向け開発環境基盤の研究開発や開発支援を進めております。②Mobility 自動車の安全運転を支援する標識認識や歩行者検知警報といった車載機器向けソフトウェア高速化や、自動運転の実現を企図した研究開発向けアルゴリズム開発や高速化支援を行っております。また、次世代パーソナルモビリティに関連する研究開発及び高速化支援を行っております。③Industrial 製造分野の製品製造過程で使われる検査装置や自動化制御装置向けソフトウェア開発や、スマートファクトリーやIndustry4.0と呼ばれる製造工程を中心とした高度化に向けた開発支援やハードウェアの提供を行っております。④Life Science 医療画像診断装置における高精細画像のリアルタイム処理向け開発支援及びハードウェアの提供や、ゲノム解析に利用されるシステムの高速化支援を行っております。また、AIを用いた画像診断支援システムの研究開発を進めております。⑤Finance デリバティブやリスク評価に伴い行われる大量の計算をより短時間、より低コストで処理できるよう、アプリケーションシステムやハードウェアの構築及び開発支援を行っております。また、HFT※においては、半導体内部のデータパスレベルでの最適化を実現するため、ハードウェア開発や半導体アーキテクチャ毎の最適化支援を提供しております。(2)当社グループの事業セグメントについて 2022年7月1日より、会社組織の変更に伴い、GENESIS事業の報告セグメントを「SaaS事業」から「Solution事業」に変更しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載しております。 ①Solution事業Solution事業においては、大量データの高速処理を可能とするソフトウェア開発・高速化サービス及び関連するハードウェアを提供しています。顧客製品の開発フェーズに合わせて、コンサルティングから最終製品への組込み支援まで、一貫したトータルソリューションサービスを提供しております。研究開発フェーズにおいては、顧客課題に最適な技術仕様の策定支援や、最新論文や技術動向に即した解決手法の提案を行っております。研究開発フェーズから製品開発フェーズへの橋渡しとして、顧客の考案したアルゴリズムの実装、要求性能を加味したアルゴリズムの改善等を提供しております。加えて製品開発フェーズにおいては、ハードウェアの計算資源を最大限に活用できるよう、ソフトウェア最適化やアルゴリズムの改良を提供しております。また、各フェーズにおいて計算資源として使用するGPUやFPGAボード等のハードウェアについて、当社グループのソフトウェア開発に関する知見を活かして、お客様の要件に応じて最適なハードウェアの選定・提供を行っており、ソフトウェアとハードウェアの両面からお客様のビジネスを支援しております。 ②SaaS事業 SaaS※事業においては、Solution事業で蓄積した知見が社会により広く活用されることを目指し、複数のサービスをSaaSとして提供しております。 量子コンピュータ向けプログラムの開発・実行プラットフォーム「Fixstars Amplify」は、高い専門性が要求される量子コンピュータ向けプログラムを、より容易に取り扱うことが可能なサービスを提供しております。 AIコードレビュー「Sider」は、ソフトウェア開発において必要不可欠な「コードレビュー」を自動で実施することで、エンジニアの負荷を低減させるとともに、ソフトウェアの品質向上に繋げるサービスを提供しております。 乳がんAI画像診断支援事業においては、超音波画像に対しAIを用いて精密検査の要否を高速かつ高精度に判別するサービスを開発しており、早期のサービス提供に向け公的機関の許認可手続きを進めております。 [事業系統図] 当社グループの事業の系統図は、以下のとおりです。 [用語解説] 用語解説においては、「2 沿革」及び「3 事業の内容」の文章中において※で示した用語の本書内での意味を説明しており、一般的な内容を含むものとは限りません。(50音、アルファベット順となっております) 用語 解説・定義アクセラレータコンピュータの処理性能を高める目的で使用されるハードウェアやソフトウェアのことを指します。アーキテクチャコンピュータアーキテクチャを指し、コンピュータ(特にハードウェア)における基本設計や設計思想などの基本設計概念を意味します。デナード則ロバート・デナード氏により提唱された、微細化によりシリコン面積当たりのトランジスタ数を増やすことで、消費電力を上げずに処理速度を高めることができると示した法則。プロセッサコンピュータなどの中で、ソフトウェアプログラムに記述されたデータの転送、計算、加工、制御、管理などの命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、命令や情報を格納するレジスタ、周辺回路などから構成されます。マルチコア1つのプロセッサ・パッケージ内に複数のプロセッサ・コアを封入したもの。外見的には1つのプロセッサでありながら内部的には複数のプロセッサで構成されるため、主に並列処理を行わせる環境下においては、プロセッサ・チップ全体での処理能力を上げ、性能を向上させることができます。ミドルウェアOS上で動作し、アプリケーションソフトに対してOSよりも高度で具体的な機能を提供するソフトウェア。OSとアプリケーションソフトの中間的な性格を持っています。ムーアの法則世界最大の半導体メーカー・インテルの創設者の一人であるゴードン・ムーア博士が1965年に経験則として提唱した、「半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する」という法則。量子コンピュータ量子力学的な重ね合わせを用いて並列性を実現するコンピュータであり、その実現方法は、量子回路モデルと量子アニーリングの二つが主流となっています。このうち量子アニーリングにおいては、D-Wave Systems Inc.が世界初の商用量子コンピュータとされるD-Wave Oneを発表して以来大きな進展が見られ、「組み合わせ最適化問題」と称される膨大な選択肢から最良の選択肢を探索する問題において驚くべき性能を示しており、様々な産業分野での利用が期待されています。Cell異なる種類のプロセッサ・コアを1つのプロセッサに集積した「ヘテロジニアスマルチコア」と呼ばれるマルチコアプロセッサ。ソニー・東芝・IBMの3社によって共同開発されました。Cellは、家庭用ゲーム機PlayStation®3(2006年11月発売開始)に搭載する目的で開発されましたが、ハイビジョン対応のテレビやレコーダーなどのAV機器にも応用可能な汎用性のある設計がなされました。FPGAプログラミングすることができる大規模集積回路(LSI)のこと。マイクロプロセッサやASIC(特定用途向け集積回路)の設計図を送りこんでシミュレーションすることができます。ASICより動作が遅く高価ですが、ソフトウェアで回路のシミュレーションを行うよりは高速であり、研究用途から、一部業務用・組込み用に拡がりを見せています。GPUパーソナルコンピュータやワークステーション等の画像処理を担当する主要な部品のひとつ。個々のプロセッサの構造は単純でその機能はCPUに比べて限定されたものですが、大量のデータを複数のプロセッサで同時かつ並列処理することで、画像処理等を高速に処理できます。特にゲーム業界で多く利用されてきましたが、2000年代に入り、業務用途に特化して設計されたGPUが登場し、CAD、金融、CG映像、建築/設計、ディープラーニング、研究開発分野等において採用されています。HFTHigh Frequency Tradingの略称であり、ミリ秒単位のような極めて短い時間の間に、コンピュータを用いて自動的な金融資産の取引を行うことを指します。NEDO国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(New Energy and Industrial Technology Development Organization)の略称。日本のエネルギー・環境分野と産業技術の一端を担う国立研究開発法人。 用語 解説・定義SaaSSoftware as a Serviceの略称。インターネット等を通じて遠隔からソフトウェアを利用者に提供する方式。ソフトウェアは提供者側のコンピュータで稼働しており、ユーザはインターネット等を経由してそのソフトウェア機能を使用し、サービス料を支払います。
FY2021|4,455 文字|出典 docID: S100N4FY
3【事業の内容】 当社グループは、「Speed up your Business」をスローガンに掲げ、コンピュータの性能を最大限に引き出し大量データの高速処理を実現するソフトウェア開発・高速化サービス及び関連ハードウェア等を提供しております。ハードウェア技術におけるパラダイムシフトにいち早く対応し、顧客の求める機能やアプリケーションに合わせ、最新ハードウェアの性能を最大限に引き出すソフトウェア技術を蓄積しております。1990年代まで半導体業界及びコンピュータ業界においては、「デナード則※」や「ムーアの法則※」に従い、半導体微細化技術の進歩とともにクロック周波数向上等による高性能化を享受してきました。しかしながら、2000年代半ばには「デナード則」に終焉が訪れ、クロック周波数向上等による高性能化から、マルチコア化等による高性能化へとパラダイムシフトが起こりました。「Cell」はそうしたマルチコア時代を切り拓いたプロセッサであり、当社グループは「Cell」向けのソフトウェア開発を進めることで、マルチコア等の革新的なハードウェアの性能を最大限に引き出すソフトウェア技術を蓄積してきました。また近年においては、「ムーアの法則」の限界がささやかれ、マルチコア化にとどまらないパラダイムシフトが起きようとしています。GPU※やFPGA※といったアクセラレータ※の実用化が進み、加えて、特定の処理に特化した専用チップや、量子コンピュータに代表される、従来型コンピュータアーキテクチャ※とは全く異なる仕組みを採用したコンピュータの研究開発、実用化が進んでいます。当社グループは、これら多種多様なハードウェアの性能を引き出す高度なソフトウェア技術を通じて、最先端の技術・研究開発にチャレンジする研究機関、企業様を支援しております。 (1)当社グループの注力分野について 当社グループは、大量データの高速処理が求められる下記の産業分野に注力して事業を推進しております。①Semiconductor モバイル機器やデータセンタ等で利用の進むNAND型フラッシュメモリを対象として、ファームウェア及びデバイスドライバの開発を行っております。また、次世代AIチップ向け開発環境基盤の研究開発や開発支援を進めております。②Mobility 自動車の安全運転を支援する標識認識や歩行者検知警報といった車載機器向けソフトウェア高速化や、自動運転の実現を企図した研究開発向けアルゴリズム開発や高速化支援を行っております。また、次世代パーソナルモビリティに関連する研究開発及び高速化支援を行っております。③Industrial 製造分野の製品製造過程で使われる検査装置や自動化制御装置向けソフトウェア開発や、スマートファクトリーやIndustry4.0と呼ばれる製造工程を中心とした高度化に向けた開発支援やハードウェアの提供を行っております。④Life Science 医療画像診断装置における高精細画像のリアルタイム処理向け開発支援及びハードウェアの提供や、ゲノム解析に利用されるシステムの高速化支援を行っております。また、AIを用いた画像診断支援システムの研究開発を進めております。⑤Finance デリバティブやリスク評価に伴い行われる大量の計算をより短時間、より低コストで処理できるよう、アプリケーションシステムやハードウェアの構築及び開発支援を行っております。また、HFT※においては、半導体内部のデータパスレベルでの最適化を実現するため、ハードウェア開発や半導体アーキテクチャ毎の最適化支援を提供しております。(2)当社グループの事業セグメントについて①Solution事業Solution事業においては、大量データの高速処理を可能とするソフトウェア開発・高速化サービス及び関連するハードウェアを提供しています。顧客製品の開発フェーズに合わせて、コンサルティングから最終製品への組込み支援まで、一貫したトータルソリューションサービスを提供しております。研究開発フェーズにおいては、顧客課題に最適な技術仕様の策定支援や、最新論文や技術動向に即した解決手法の提案を行っております。研究開発フェーズから製品開発フェーズへの橋渡しとして、顧客の考案したアルゴリズムの実装、要求性能を加味したアルゴリズムの改善等を提供しております。加えて製品開発フェーズにおいては、ハードウェアの計算資源を最大限に活用できるよう、ソフトウェア最適化やアルゴリズムの改良を提供しております。また、各フェーズにおいて計算資源として使用するGPUやFPGAボード等のハードウェアについて、当社グループのソフトウェア開発に関する知見を活かして、お客様の要件に応じて最適なハードウェアの選定・提供を行っており、ソフトウェアとハードウェアの両面からお客様のビジネスを支援しております。 ②SaaS事業 SaaS※事業においては、Solution事業で蓄積した知見が社会により広く活用されることを目指し、複数のサービスをSaaSとして提供しております。 エッジビジョンAI/IoT向けクラウド評価環境「GENESIS」は、クラウド上で主に車載用途向けのチップ性能評価等を行うことが可能なサービスを提供しております。 量子コンピュータ向けプログラムの開発・実行プラットフォーム「Fixstars Amplify」は、高い専門性が要求される量子コンピュータ向けプログラムを、より容易に取り扱うことが可能なサービスを提供しております。 AIコードレビュー「Sider」は、ソフトウェア開発において必要不可欠な「コードレビュー」を自動で実施することで、エンジニアの負荷を低減させるとともに、ソフトウェアの品質向上に繋げるサービスを提供しております。 乳がんAI画像診断支援事業においては、超音波画像に対しAIを用いて精密検査の要否を高速かつ高精度に判別するサービスを開発しており、早期のサービス提供に向け公的機関の許認可手続きを進めております。 [事業系統図] 当社グループの事業の系統図は、以下のとおりです。 [用語解説] 用語解説においては、「2 沿革」及び「3 事業の内容」の文章中において※で示した用語の本書内での意味を説明しており、一般的な内容を含むものとは限りません。(50音、アルファベット順となっております) 用語 解説・定義アクセラレータコンピュータの処理性能を高める目的で使用されるハードウェアやソフトウェアのことを指します。アーキテクチャコンピュータアーキテクチャを指し、コンピュータ(特にハードウェア)における基本設計や設計思想などの基本設計概念を意味します。デナード則ロバート・デナード氏により提唱された、微細化によりシリコン面積当たりのトランジスタ数を増やすことで、消費電力を上げずに処理速度を高めることができると示した法則。プロセッサコンピュータなどの中で、ソフトウェアプログラムに記述されたデータの転送、計算、加工、制御、管理などの命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、命令や情報を格納するレジスタ、周辺回路などから構成されます。マルチコア1つのプロセッサ・パッケージ内に複数のプロセッサ・コアを封入したもの。外見的には1つのプロセッサでありながら内部的には複数のプロセッサで構成されるため、主に並列処理を行わせる環境下においては、プロセッサ・チップ全体での処理能力を上げ、性能を向上させることができます。ミドルウェアOS上で動作し、アプリケーションソフトに対してOSよりも高度で具体的な機能を提供するソフトウェア。OSとアプリケーションソフトの中間的な性格を持っています。ムーアの法則世界最大の半導体メーカー・インテルの創設者の一人であるゴードン・ムーア博士が1965年に経験則として提唱した、「半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する」という法則。量子コンピュータ量子力学的な重ね合わせを用いて並列性を実現するコンピュータであり、その実現方法は、量子回路モデルと量子アニーリングの二つが主流となっています。このうち量子アニーリングにおいては、D-Wave Systems Inc.が世界初の商用量子コンピュータとされるD-Wave Oneを発表して以来大きな進展が見られ、「組み合わせ最適化問題」と称される膨大な選択肢から最良の選択肢を探索する問題において驚くべき性能を示しており、様々な産業分野での利用が期待されています。Cell異なる種類のプロセッサ・コアを1つのプロセッサに集積した「ヘテロジニアスマルチコア」と呼ばれるマルチコアプロセッサ。ソニー・東芝・IBMの3社によって共同開発されました。Cellは、家庭用ゲーム機PlayStation®3(2006年11月発売開始)に搭載する目的で開発されましたが、ハイビジョン対応のテレビやレコーダーなどのAV機器にも応用可能な汎用性のある設計がなされました。FPGAプログラミングすることができる大規模集積回路(LSI)のこと。マイクロプロセッサやASIC(特定用途向け集積回路)の設計図を送りこんでシミュレーションすることができます。ASICより動作が遅く高価ですが、ソフトウェアで回路のシミュレーションを行うよりは高速であり、研究用途から、一部業務用・組込み用に拡がりを見せています。GPUパーソナルコンピュータやワークステーション等の画像処理を担当する主要な部品のひとつ。個々のプロセッサの構造は単純でその機能はCPUに比べて限定されたものですが、大量のデータを複数のプロセッサで同時かつ並列処理することで、画像処理等を高速に処理できます。特にゲーム業界で多く利用されてきましたが、2000年代に入り、業務用途に特化して設計されたGPUが登場し、CAD、金融、CG映像、建築/設計、ディープラーニング、研究開発分野等において採用されています。HFTHigh Frequency Tradingの略称であり、ミリ秒単位のような極めて短い時間の間に、コンピュータを用いて自動的な金融資産の取引を行うことを指します。NEDO国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(New Energy and Industrial Technology Development Organization)の略称。日本のエネルギー・環境分野と産業技術の一端を担う国立研究開発法人。 用語 解説・定義SaaSSoftware as a Serviceの略称。インターネット等を通じて遠隔からソフトウェアを利用者に提供する方式。ソフトウェアは提供者側のコンピュータで稼働しており、ユーザはインターネット等を経由してそのソフトウェア機能を使用し、サービス料を支払います。
FY2020|4,438 文字|出典 docID: S100KDZR
3【事業の内容】 当社グループは、「Speed up your Business」をスローガンに掲げ、コンピュータの性能を最大限に引き出し大量データの高速処理を実現するソフトウェア開発・高速化サービス、及び関連ハードウェア等を提供しております。ハードウェア技術におけるパラダイムシフトにいち早く対応し、顧客の求める機能やアプリケーションに合わせ、最新ハードウェアの性能を最大限に引き出すソフトウェア技術を蓄積しております。1990年代まで半導体業界及びコンピュータ業界においては、「デナード則※」や「ムーアの法則※」に従い、半導体微細化技術の進歩とともにクロック周波数向上等による高性能化を享受してきました。しかしながら、2000年代半ばには「デナード則」に終焉が訪れ、クロック周波数向上等による高性能化から、マルチコア化等による高性能化へとパラダイムシフトが起こりました。「Cell」はそうしたマルチコア時代を切り拓いたプロセッサであり、当社グループは「Cell」向けのソフトウェア開発を進めることで、マルチコア等の革新的なハードウェアの性能を最大限に引き出すソフトウェア技術を蓄積してきました。また近年においては、「ムーアの法則」の限界がささやかれ、マルチコア化にとどまらないパラダイムシフトが起きようとしています。GPU※やFPGA※といったアクセラレータ※の実用化が進み、加えて、特定の処理に特化した専用チップや、量子コンピュータに代表される、従来型コンピュータアーキテクチャとは全く異なる仕組みを採用したコンピュータの研究開発、実用化が進んでいます。当社グループは、これら多種多様なハードウェアの性能を引き出す高度なソフトウェア技術を通じて、最先端の技術・研究開発にチャレンジする研究機関、企業様を支援しております。 (1)当社グループの注力分野について 当社グループは、大量データの高速処理が求められる下記の産業分野に注力して事業を推進しております。①Semiconductor: モバイル機器やデータセンタ等で利用の進むNAND型フラッシュメモリを対象として、ファームウェア及びデバイスドライバの開発を行っております。また、次世代AIチップ向け開発環境基盤の研究開発や開発支援を進めております。②Mobility: 自動車の安全運転を支援する標識認識や歩行者検知警報といった車載機器向けソフトウェア高速化や、自動運転の実現を企図した研究開発向けアルゴリズム開発や高速化支援を行っております。また、次世代パーソナルモビリティに関連する研究開発及び高速化支援を行っております。③Industrial: 製造分野の製品製造過程で使われる検査装置や自動化制御装置向けソフトウェア開発や、スマートファクトリーやIndustry4.0と呼ばれる製造工程を中心とした高度化に向けた開発支援やハードウェアの提供を行っております。④Life Science: 医療画像診断装置における高精細画像のリアルタイム処理向け開発支援及びハードウェアの提供や、ゲノム解析に利用されるシステムの高速化支援を行っております。また、AIを用いた画像診断支援システムの研究開発を進めております。⑤Finance: デリバティブやリスク評価に伴い行われる大量の計算をより短時間、より低コストで処理できるよう、アプリケーションシステムやハードウェアの構築及び開発支援を行っております。また、HFT※においては、半導体内部のデータパスレベルでの最適化を実現するため、ハードウェア開発や半導体アーキテクチャ毎の最適化支援を提供しております。(2)当社グループの事業セグメントについて①ソフトウェア・サービス事業ソフトウェア・サービス事業においては、大量データの高速処理を可能とする、ソフトウェア開発・高速化サービスを提供しています。顧客製品の開発フェーズに合わせて、コンサルティングから最終製品への組込み支援まで、一貫したトータルソリューションサービスを提供しております。研究開発フェーズにおいては、顧客課題に最適な技術仕様の策定支援や、最新論文や技術動向に即した解決手法の提案を行っております。研究開発フェーズから製品開発フェーズへの橋渡しとして、顧客の考案したアルゴリズムの実装、要求性能を加味したアルゴリズムの改善等を提供しております。加えて製品開発フェーズにおいては、ハードウェアの計算資源を最大限に活用できるよう、ソフトウェア最適化やアルゴリズムの改良を提供しております。また、SaaS※として世界中の人々にサービスを提供できる事業を中心に、新規事業の立ち上げに取り組んでおります。 ②ハードウェア基盤事業 ハードウェア基盤事業においては、お客様の製品及びビジネスに最適なハードウェアの選定・提供を行っております。主な取り扱い製品には、(ⅰ)自社製品である画像処理プロセッサ搭載演算ボード「EigerEG-2S」及び周辺デバイス、(ⅱ)GPUやマルチコア搭載サーバー等の汎用機器、(ⅲ)大容量高速ストレージ・サーバがあります。 画像処理プロセッサ搭載の演算ボードが、お客様の量産品の組込み部品として納入が長期継続中であり、加えて、大容量高速ストレージ・サーバの販売に注力しております。 お客様にとっては、当社グループのソフトウェア開発能力に裏付けられたハードウェア製品サポートが期待でき、IT機器・デバイスメーカーにとっては、当社グループがお客様への導入サポートを提供することによって、最適なハードウェアの供給を行うことが可能となっております。 [事業系統図] 当社グループの事業の系統図は、以下のとおりです。 なお、2021年9月期連結会計年度から、セグメント区分を変更しております。変更の内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な後発事象」に記載しております。 [用語解説] 用語解説においては、「2 沿革」及び「3 事業の内容」の文章中において※で示した用語の本書内での意味を説明しており、一般的な内容を含むものとは限りません。(50音、アルファベット順となっております) 用語 解説・定義アクセラレータコンピュータの処理性能を高める目的で使用されるハードウェアやソフトウェアのことを指します。アーキテクチャアーキテクチャは、コンピュータアーキテクチャを指し、コンピュータ(特にハードウェア)における基本設計や設計思想などの基本設計概念を意味します。デナード則ロバート・デナード氏により提唱された、微細化によりシリコン面積当たりのトランジスタ数を増やすことで、消費電力を上げずに処理速度を高めることができると示した法則。プロセッサコンピュータなどの中で、ソフトウェアプログラムに記述されたデータの転送、計算、加工、制御、管理などの命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、命令や情報を格納するレジスタ、周辺回路などから構成されます。マルチコア1つのプロセッサ・パッケージ内に複数のプロセッサ・コアを封入したもの。外見的には1つのプロセッサでありながら内部的には複数のプロセッサで構成されるため、主に並列処理を行わせる環境下においては、プロセッサ・チップ全体での処理能力を上げ、性能を向上させることができます。ミドルウェアOS上で動作し、アプリケーションソフトに対してOSよりも高度で具体的な機能を提供するソフトウェア。OSとアプリケーションソフトの中間的な性格を持っています。ムーアの法則世界最大の半導体メーカー・インテルの創設者の一人であるゴードン・ムーア博士が1965年に経験則として提唱した、「半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する」という法則。量子コンピュータ量子コンピュータとは、量子力学的な重ね合わせを用いて並列性を実現するコンピュータであり、その実現方法は、量子回路モデルと量子アニーリングの二つが主流となっています。このうち量子アニーリングにおいては、D-Wave Systems, Inc.が世界初の商用量子コンピュータとされるD-Wave Oneを発表して以来大きな進展が見られ、「組み合わせ最適化問題」と称される膨大な選択肢からベストな選択肢を探索する問題において驚くべき性能を示しており、様々な産業分野での利用が期待されています。Cell異なる種類のプロセッサ・コアを1つのプロセッサに集積した「ヘテロジニアスマルチコア」と呼ばれるマルチコアプロセッサ。ソニー・東芝・IBMの3社によって共同開発されました。Cellは、家庭用ゲーム機PlayStation®3(2006年11月発売開始)に搭載する目的で開発されましたが、ハイビジョン対応のテレビやレコーダーなどのAV機器にも応用可能な汎用性のある設計がなされました。FPGAプログラミングすることができる大規模集積回路(LSI)のこと。マイクロプロセッサやASIC(特定用途向け集積回路)の設計図を送りこんでシミュレーションすることができます。ASICより動作が遅く高価ですが、ソフトウェアで回路のシミュレーションを行うよりは高速であり、研究用途から、一部業務用・組込み用に拡がりを見せています。GPUGPU(Graphics Processing Unit)は、パーソナルコンピュータやワークステーション等の画像処理を担当する主要な部品のひとつ。個々のプロセッサの構造は単純でその機能はCPUに比べて限定されたものですが、大量のデータを複数のプロセッサで同時かつ並列処理することで、画像処理等を高速に処理できます。特にゲーム業界で多く利用されてきましたが、2000年代に入り、業務用途に特化して設計されたGPUが登場し、CAD、金融、CG映像、建築/設計、ディープラーニング、研究開発分野等において採用されています。HFTHFT(High Frequency Trading)とは、ミリ秒単位のような極めて短い時間の間に、コンピュータを用いて自動的な金融資産の取引を行うことを指します。NEDO国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構は、日本のエネルギー・環境分野と産業技術の一端を担う国立研究開発法人。NEDO(New Energy and Industrial Technology Development Organization)が略称。 用語 解説・定義SaaSSaaS(Software as a Service)とは、ソフトウェアをインターネット等を通じて遠隔から利用者に提供する方式。ソフトウェアは提供者側のコンピュータで稼働し、ユーザはそのソフトウェア機能をインターネット等を経由して使用し、サービス料を支払います。
FY2019|4,336 文字|出典 docID: S100HM9Q
3【事業の内容】 当社グループは、「Speed up your Business」をスローガンに掲げ、コンピュータの性能を最大限に引き出し大量データの高速処理を実現するソフトウェア開発・高速化サービス、及び関連ハードウェア等を提供しております。ハードウェア技術におけるパラダイムシフトにいち早く対応し、顧客の求める機能やアプリケーションに合わせ、最新ハードウェアの性能を最大限に引き出すソフトウェア技術を蓄積しております。1990年代まで半導体業界及びコンピュータ業界においては、「デナード則※」や「ムーアの法則※」に従い、半導体微細化技術の進歩とともにクロック周波数向上等による高性能化を享受してきました。しかしながら、2000年代半ばには「デナード則」に終焉が訪れ、クロック周波数向上等による高性能化から、マルチコア化等による高性能化へとパラダイムシフトが起こりました。「Cell」はそうしたマルチコア時代を切り拓いたプロセッサであり、当社グループは「Cell」向けのソフトウェア開発を進めることで、マルチコア等の革新的なハードウェアの性能を最大限に引き出すソフトウェア技術を蓄積してきました。また近年においては、「ムーアの法則」の限界がささやかれ、マルチコア化にとどまらないパラダイムシフトが起きようとしています。GPU※やFPGA※といったアクセラレータ※の実用化が進み、加えて、特定の処理に特化した専用チップや、量子コンピュータに代表される、従来型コンピュータアーキテクチャとは全く異なる仕組みを採用したコンピュータの研究開発、実用化が進んでいます。当社グループは、これら多種多様なハードウェアの性能を引き出す高度なソフトウェア技術を通じて、最先端の技術・研究開発にチャレンジする研究機関、企業様を支援しております。 (1)当社グループの注力分野について 当社グループは、大量データの高速処理が求められる下記の産業分野に注力して事業を推進しております。①Semiconductor: モバイル機器やデータセンタ等で利用の進むNAND型フラッシュメモリを対象として、ファームウェア及びデバイスドライバの開発を行っております。また、次世代AIチップ向け開発環境基盤の研究開発や開発支援を進めております。②Mobility: 自動車の安全運転を支援する標識認識や歩行者検知警報といった車載機器向けソフトウェア高速化や、自動運転の実現を企図した研究開発向けアルゴリズム開発や高速化支援を行っております。また、次世代パーソナルモビリティに関連する研究開発及び高速化支援を行っております。③Industrial: 製造分野の製品製造過程で使われる検査装置や自動化制御装置向けソフトウェア開発や、スマートファクトリーやIndustry4.0と呼ばれる製造工程を中心とした高度化に向けた開発支援やハードウェアの提供を行っております。④Life Science: 医療画像診断装置における高精細画像のリアルタイム処理向け開発支援及びハードウェアの提供や、ゲノム解析に利用されるシステムの高速化支援を行っております。また、AIを用いた画像診断支援システムの研究開発を進めております。⑤Finance: デリバティブやリスク評価に伴い行われる大量の計算をより短時間、より低コストで処理できるよう、アプリケーションシステムやハードウェアの構築及び開発支援を行っております。また、HFT※においては、半導体内部のデータパスレベルでの最適化を実現するため、ハードウェア開発や半導体アーキテクチャ毎の最適化支援を提供しております。(2)当社グループの事業セグメントについて①ソフトウェア・サービス事業ソフトウェア・サービス事業においては、大量データの高速処理を可能とする、ソフトウェア開発・高速化サービスを提供しています。顧客製品の開発フェーズに合わせて、コンサルティングから最終製品への組込み支援まで、一貫したトータルソリューションサービスを提供しております。研究開発フェーズにおいては、顧客課題に最適な技術仕様の策定支援や、最新論文や技術動向に即した解決手法の提案を行っております。研究開発フェーズから製品開発フェーズへの橋渡しとして、顧客の考案したアルゴリズムの実装、要求性能を加味したアルゴリズムの改善等を提供しております。加えて製品開発フェーズにおいては、ハードウェアの計算資源を最大限に活用できるよう、ソフトウェア最適化やアルゴリズムの改良を提供しております。また、SaaS※として世界中の人々にサービスを提供できる事業を中心に、新規事業の立ち上げに取り組んでおります。 ②ハードウェア基盤事業 ハードウェア基盤事業においては、お客様の製品及びビジネスに最適なハードウェアの選定・提供を行っております。主な取り扱い製品には、(ⅰ)自社製品である画像処理プロセッサ搭載演算ボード「EigerEG-2S」及び周辺デバイス、(ⅱ)GPUやマルチコア搭載サーバー等の汎用機器、(ⅲ)大容量高速ストレージ・サーバがあります。 画像処理プロセッサ搭載の演算ボードが、お客様の量産品の組込み部品として納入が長期継続中であり、加えて、大容量高速ストレージ・サーバの販売に注力しております。 お客様にとっては、当社グループのソフトウェア開発能力に裏付けられたハードウェア製品サポートが期待でき、IT機器・デバイスメーカーにとっては、当社グループがお客様への導入サポートを提供することによって、最適なハードウェアの供給を行うことが可能となっております。 [事業系統図] 当社グループの事業の系統図は、以下のとおりです。 [用語解説] 用語解説においては、「2 沿革」及び「3 事業の内容」の文章中において※で示した用語の本書内での意味を説明しており、一般的な内容を含むものとは限りません。(50音、アルファベット順となっております) 用語 解説・定義アクセラレータコンピュータの処理性能を高める目的で使用されるハードウェアやソフトウェアのことを指します。アーキテクチャアーキテクチャは、コンピュータアーキテクチャを指し、コンピュータ(特にハードウェア)における基本設計や設計思想などの基本設計概念を意味します。デナード則ロバート・デナード氏により提唱された、微細化によりシリコン面積当たりのトランジスタ数を増やすことで、消費電力を上げずに処理速度を高めることができると示した法則。プロセッサコンピュータなどの中で、ソフトウェアプログラムに記述されたデータの転送、計算、加工、制御、管理などの命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、命令や情報を格納するレジスタ、周辺回路などから構成されます。マルチコア1つのプロセッサ・パッケージ内に複数のプロセッサ・コアを封入したもの。外見的には1つのプロセッサでありながら内部的には複数のプロセッサで構成されるため、主に並列処理を行わせる環境下においては、プロセッサ・チップ全体での処理能力を上げ、性能を向上させることができます。ミドルウェアOS上で動作し、アプリケーションソフトに対してOSよりも高度で具体的な機能を提供するソフトウェア。OSとアプリケーションソフトの中間的な性格を持っています。ムーアの法則世界最大の半導体メーカー・インテルの創設者の一人であるゴードン・ムーア博士が1965年に経験則として提唱した、「半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する」という法則。量子コンピュータ量子コンピュータとは、量子力学的な重ね合わせを用いて並列性を実現するコンピュータであり、その実現方法は、量子回路モデルと量子アニーリングの二つが主流となっています。このうち量子アニーリングにおいては、D-Wave Systems, Inc.が世界初の商用量子コンピュータとされるD-Wave Oneを発表して以来大きな進展が見られ、「組み合わせ最適化問題」と称される膨大な選択肢からベストな選択肢を探索する問題において驚くべき性能を示しており、様々な産業分野での利用が期待されています。Cell異なる種類のプロセッサ・コアを1つのプロセッサに集積した「ヘテロジニアスマルチコア」と呼ばれるマルチコアプロセッサ。ソニー・東芝・IBMの3社によって共同開発されました。Cellは、家庭用ゲーム機PlayStation®3(2006年11月発売開始)に搭載する目的で開発されましたが、ハイビジョン対応のテレビやレコーダーなどのAV機器にも応用可能な汎用性のある設計がなされました。FPGAプログラミングすることができる大規模集積回路(LSI)のこと。マイクロプロセッサやASIC(特定用途向け集積回路)の設計図を送りこんでシミュレーションすることができます。ASICより動作が遅く高価ですが、ソフトウェアで回路のシミュレーションを行うよりは高速であり、研究用途から、一部業務用・組込み用に拡がりを見せています。GPUGPU(Graphics Processing Unit)は、パーソナルコンピュータやワークステーション等の画像処理を担当する主要な部品のひとつ。個々のプロセッサの構造は単純でその機能はCPUに比べて限定されたものですが、大量のデータを複数のプロセッサで同時かつ並列処理することで、画像処理等を高速に処理できます。特にゲーム業界で多く利用されてきましたが、2000年代に入り、業務用途に特化して設計されたGPUが登場し、CAD、金融、CG映像、建築/設計、ディープラーニング、研究開発分野等において採用されています。HFTHFT(High Frequency Trading)とは、ミリ秒単位のような極めて短い時間の間に、コンピュータを用いて自動的な金融資産の取引を行うことを指します。NEDO国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構は、日本のエネルギー・環境分野と産業技術の一端を担う国立研究開発法人。NEDO(New Energy and Industrial Technology Development Organization)が略称。 用語 解説・定義SaaSSaaS(Software as a Service)とは、ソフトウェアをインターネット等を通じて遠隔から利用者に提供する方式。ソフトウェアは提供者側のコンピュータで稼働し、ユーザはそのソフトウェア機能をインターネット等を経由して使用し、サービス料を支払います。
FY2018|5,834 文字|出典 docID: S100ER1X
3【事業の内容】 当社グループは、当社、子会社Fixstars Solutions, Inc.(米国カリフォルニア州)及び子会社株式会社Fixstars Autonomous Technologies等で構成され、「Speed up your Business」をスローガンに掲げ、マルチコアプログラミング※やストレージの入出力の高速化など、最先端のソフトウェア技術及び高性能なハードウェアを活用し、ビジネスのスピードアップを図りたいというお客様のニーズに応える、トータルソリューションを提供しております。当社グループでは、平成16年からPlayStation®3のメインプロセッサ※にも用いられているマルチコア「Cell」を使ったソフトウェアの開発に取り組み、マルチコア向けのソフトウェア開発分野における先駆けとして、必要な技術及び開発実績を蓄積しております。平成16年当時は「ムーアの法則※」に基づき、半導体業界及びコンピュータ産業ではクロック数の向上等、シングルコアの半導体そのものの性能向上に注力する時代でした。しかしながら、情報化が進む現代社会においては、取り扱うデータ量の増加や処理スピードへの高速化のニーズは留まるところが無く、ムーアの法則の限界を超えた、ポスト・ムーア※の技術が求められております。そういった時代の流れの中で、半導体業界及びコンピュータ産業においては、従来のシングルコアによる技術革新からパラダイムシフトをし、マルチコアによる技術革新が進められる様になりました。Cellはそうしたマルチコア時代の先駆けとなった、従来の概念を覆す商品であり、Cellの発売以降、続々とマルチコアを搭載する革新的なハードウェア※が開発、販売されております。また、当社グループは、平成25年3月からは、ストレージの高速処理に着目し、従来から取り組んでいるマルチコアに加え、ビッグデータ※時代を見据えた新たな基盤技術の開発に取り組んでおります。今後は、マルチコアとストレージを両輪として、最先端のソフトウェア技術でお客様の製品やビジネスを高速化する取組みを推進して参ります。なお、当社グループが行うソフトウェア開発に派生して生じるOS※やミドルウェア※、及び基盤となるハードウェアの開発、提供も行っております。 (1)当社グループの注力分野について 当社グループは、マルチコアとストレージの高速化技術が活きる下記の産業分野に注力して事業を推進しております。①車載機器:ADAS、自動運転 自動車の安全運転を支援する標識認識や歩行者検知警報といった車載機器向けソフトウェア高速化や、自動運転の実現を企図した研究開発向けアルゴリズム開発や高速化支援を行っております。②モバイル組込み機器:ストレージ・メモリ、イメージセンサー スマートフォンやタブレット端末に搭載される次世代フラッシュストレージを最適に制御するためのファームウェア及びデバイスドライバの開発を行っております。③産業機器:検査装置、スマートファクトリー化 製造分野の製品製造過程で使われる検査装置や自動化制御装置向けソフトウェア開発や、スマートファクトリーやIndustry4.0と呼ばれる製造工程を中心とした高度化に向けた開発支援やハードウェアの提供を行っております。④ヘルスケア:医療画像診断装置、ゲノム解析 医療画像診断装置における高精細画像のリアルタイム処理向け開発支援及びハードウェアの提供や、ゲノム解析に利用されるシステムの高速化支援を行っております。⑤金融:デリバティブ、リスク計量、HFT※ 大量の計算をより短時間で処理するために、並列計算処理技術を駆使し、より低コストで高速演算を可能とする競争優位性の高いアプリケーションシステムやハードウェアの構築及び開発支援を行っております。(2)当社グループの事業セグメントについて①ソフトウェア・サービス事業ソフトウェア・サービス事業においては、マルチコアが特に性能を発揮する、車載機器やヘルスケアを対象とした画像処理・認識の分野、モバイル機器や産業機器向け組込みシステムの分野及び金融向けのリスク計量化の分野を中心に、ソフトウェア開発を行っております。マルチコア搭載ハードウェアのそれぞれの特性によって、最終的な製品及びサービスの質が左右されることが多いこと、またお客様のソフトウェアの元々のソースコードの特性によってマルチコア化のメリットが異なることから、利用目的にあったハードウェアの選定、マルチコア化による性能向上の見積もり、マルチコア化に対するボトルネックの特定等のコンサルティングサービスを提供しております。コンサルティングサービスを実施した結果として選定された適切なマルチコア搭載ハードウェア環境の下、ソフトウェア開発、ソフトウェアの移植及び最適化を行っております。お客様の最終的な製品への組込み支援や運用のサポート等を通じて、お客様の製品性能やシステム性能の向上を実現し、お客様がマルチコアを利用するメリットを享受する、一貫したトータルソリューションサービスを提供しております。更に、平成29年6月には、量子コンピュータ※の開発・販売を手掛けるD-Wave Systems, Inc.との協業を開始し、量子コンピュータ関連のソリューションを提供しております。 ②ハードウェア基盤事業 ハードウェア基盤事業においては、お客様の製品及びビジネスに最適なマルチコアプロセッサや演算ボードの選定・提供及び大容量高速ストレージ・サーバの開発・販売を行っております。主な取り扱い製品には、(ⅰ)自社製品である画像処理プロセッサ搭載演算ボード「EigerEG-2S」及び周辺デバイス、(ⅱ)GPUやマルチコア搭載サーバー等の汎用機器、(ⅲ)大容量高速ストレージ・サーバがあります。 画像処理プロセッサ搭載の演算ボードが、お客様の量産品の組込み部品として納入が長期継続中であり、加えて、大容量高速ストレージ・サーバの販売に注力しております。 お客様にとっては、当社グループのソフトウェア開発能力に裏付けられたハードウェア製品サポートが期待でき、IT機器・デバイスメーカーにとっては、当社グループがお客様への導入サポートを提供することによって、最適なハードウェアの供給を行うことが可能となっております。 [事業系統図] 当社グループの事業の系統図は、以下のとおりです。 [用語解説] 用語解説においては、「2 沿革」及び「3 事業の内容」の文章中において※で示した用語の本書内での意味を説明しており、一般的な内容を含むものとは限りません。(50音、アルファベット順となっております) 用語 解説・定義アーキテクチャコンピュータ・アーキテクチャは、コンピュータ(特にハードウェア)における基本設計や設計思想などの基本設計概念を意味します。革新的なハードウェア1990年代のプロセッサは、インテルのシングルコアプロセッサが主流でしたが、2000年代に入りマルチコアが登場し、かつ用途が多様化したこともあり従来にないアーキテクチャのプロセッサが登場しました。その代表がモバイル機器に使われるARMアーキテクチャの製品や、多数のコアを搭載したGPU※や、プログラミング可能なFPGA※などです。組込みシステム組込みシステム(あるいはエンベデッドシステム) とは、特定の機能を実現するために家電製品や機械等に組み込まれるコンピュータシステムのこと。プロセッサ等の製造技術の進歩や生産効率の向上などとともに、組込みシステムのハード部分にかかるコストが低減し、機能の追加や変更に際しては、ソフトウェアを書き換えるのみで回路の変更は最小限に抑さえられ、全体的なコストが低減出来ることなどから、ソフトウェアの比重が高まっています。ストレージデータやプログラムを記憶する装置。ハードディスクやフロッピーディスク、光磁気ディスク、コンパクトディスク(CD-R)などが該当します。磁気的に記録を行うものが多いため、記憶容量が大きく、電源を供給しなくても記録が消えないという特徴があります。ビッグデータ時代を迎えストレージへのニーズが高まるとともに、さらに大きな容量、入出力の高速化、低消費電力、省スペース等の多様なニーズが生じてきています。ビッグデータ従来のデータベース管理システムなどでは記録や保管、解析が難しいような巨大なデータ群のこと。今までは管理しきれないため見過ごされてきた巨大なデータ群を記録・保管してリアルタイムに解析することで、ビジネスや社会に有用な知見を得たり、新たな仕組みやシステムを産み出す可能性が高まるとされていて注目を集めています。プロセッサコンピュータなどの中で、ソフトウェアプログラムに記述されたデータの転送、計算、加工、制御、管理などの命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、命令や情報を格納するレジスタ、周辺回路などから構成されます。ポスト・ムーアムーアの法則は半導体の微細加工技術の発展を根拠としていましたが、2010年代には微細化が原子レベルにまで到達してしまい、ムーアの法則は通用しなくなると予想されました。ムーアの法則どおりの性能向上が期待できなくなったため、それに代わる現実的かつ有力な解決策としてマルチコア化が登場、急速に普及しました。マルチコア1つのプロセッサ・パッケージ内に複数のプロセッサ・コアを封入したもの。外見的には1つのプロセッサでありながら内部的には複数のプロセッサで構成されるため、主に並列処理を行わせる環境下においては、プロセッサ・チップ全体での処理能力を上げ、性能を向上させることができます。マルチコアプログラミング複数のプロセッサ・コアを有効活用するため、同時に複数の演算処理を実行すること(並列計算)によって処理の単位時間当たりの処理能力を上げるプログラミング手法であり、並列化プログラミングとも言います。その主な内容は全体の問題をいくつかの独立した処理単位に分割し、処理単位毎にプロセッサを割り当て、それらの処理を同調させて最終結果を得ることであります。ミドルウェアOS上で動作し、アプリケーションソフトに対してOSよりも高度で具体的な機能を提供するソフトウェア。OSとアプリケーションソフトの中間的な性格を持っています。 用語 解説・定義ムーアの法則世界最大の半導体メーカー・インテルの創設者の一人であるゴードン・ムーア博士が1965年に経験則として提唱した、「半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する」という法則。量子コンピュータ量子コンピュータとは、量子力学的な重ね合わせを用いて並列性を実現するコンピュータであり、その実現方法は、量子回路モデルと量子アニーリングの二つが主流となっています。このうち量子アニーリングにおいては、D-Wave Systems, Inc.が世界初の商用量子コンピュータとされるD-Wave Oneを発表して以来大きな進展が見られ、「組み合わせ最適化問題」と称される膨大な選択肢からベストな選択肢を探索する問題において驚くべき性能を示しており、様々な産業分野での利用が期待されています。リスク計量化市場、信用、オペレーションそれぞれの分野で統計的な手法や金利の概念を用いて、最大・最悪の場合どのくらいの損失が想定されるかを金額の形で示すこと。金融機関では、大規模シミュレーションを行って、リスクを軽量化することが経営において不可欠となっています。Cell異なる種類のプロセッサ・コアを1つのプロセッサに集積した「ヘテロジニアスマルチコア」と呼ばれるマルチコアプロセッサ。ソニー・東芝・IBMの3社によって共同開発されました。Cellは、家庭用ゲーム機PlayStation®3(2006年11月発売開始)に搭載する目的で開発されましたが、ハイビジョン対応のテレビやレコーダーなどのAV機器にも応用可能な汎用性のある設計がなされており、2009年に東芝からCellを搭載したテレビが発売されたほか、2009年8月時点で世界最速のスーパーコンピューターRoadrunnerには12,240基の改良型Cellである、IBM PowerXCell 8iが搭載されています。FPGAプログラミングすることができる大規模集積回路(LSI)のこと。マイクロプロセッサやASIC(特定用途向け集積回路)の設計図を送りこんでシミュレーションすることができます。ASICより動作が遅く高価ですが、ソフトウェアで回路のシミュレーションを行うよりは高速であり、研究用途から、一部業務用・組込み用に拡がりを見せています。GPUGPU(Graphics Processing Unit)は、パーソナルコンピュータやワークステーション等の画像処理を担当する主要な部品のひとつ。個々のプロセッサの構造は単純でその機能はCPUに比べて限定されたものですが、大量のデータを複数のプロセッサで同時かつ並列処理することで、画像処理等を高速に処理できます。特にゲーム業界で多く利用されてきましたが、2000年代に入り、業務用途に特化して設計されたGPUが登場し、CAD、金融、CG映像、建築/設計、研究開発分野等において採用されています。HFTHFT(High Frequency Trading)とは、ミリ秒単位のような極めて短い時間の間に、コンピュータを用いて自動的な金融資産の取引を行うことを指します。OSオペレーティングシステム(Operating System)は、キーボード入力や画面出力といった入出力機能やメモリの管理など、多くのアプリケーションソフトから共通して利用される基本的な機能を提供し、コンピュータシステム全体を管理するソフトウェア。パソコン向けとして広く利用されているものにマイクロソフトのWindowsシリーズやアップルのMac OS などがあり、企業などが使うサーバ向けとしてはLinuxなどがあります。当社のYDL(Yellow Dog Linux)はLinuxのディストリビューション(Linuxを、ユーザーが利用できる形にまとめ上げたもの)の一つ。
FY2017|5,810 文字|出典 docID: S100BYI2
3【事業の内容】 当社グループは、当社、子会社Fixstars Solutions, Inc.(米国カリフォルニア州)及び子会社株式会社アイ・イー・テックで構成され、「Speed up your Business」をスローガンに掲げ、マルチコアプログラミング※やストレージの入出力の高速化など、最先端のソフトウェア技術及び高性能なハードウェアを活用し、ビジネスのスピードアップを図りたいというお客様のニーズに応える、トータルソリューションを提供しております。当社グループでは、平成16年からPlayStation®3のメインプロセッサ※にも用いられているマルチコア「Cell」を使ったソフトウェアの開発に取り組み、マルチコア向けのソフトウェア開発分野における先駆けとして、必要な技術及び開発実績を蓄積しております。平成16年当時は「ムーアの法則※」に基づき、半導体業界及びコンピュータ産業ではクロック数の向上等、シングルコアの半導体そのものの性能向上に注力する時代でした。しかしながら、情報化が進む現代社会においては、取り扱うデータ量の増加や処理スピードへの高速化のニーズは留まるところが無く、ムーアの法則の限界を超えた、ポスト・ムーア※の技術が求められております。そういった時代の流れの中で、半導体業界及びコンピュータ産業においては、従来のシングルコアによる技術革新からパラダイムシフトをし、マルチコアによる技術革新が進められる様になりました。Cellはそうしたマルチコア時代の先駆けとなった、従来の概念を覆す商品であり、Cellの発売以降、続々とマルチコアを搭載する革新的なハードウェア※が開発、販売されております。また、当社グループは、平成25年3月からは、ストレージの高速処理に着目し、従来から取り組んでいるマルチコアに加え、ビッグデータ※時代を見据えた新たな基盤技術の開発に取り組んでおります。今後は、マルチコアとストレージを両輪として、最先端のソフトウェア技術でお客様の製品やビジネスを高速化する取組みを推進して参ります。なお、当社グループが行うソフトウェア開発に派生して生じるOS※やミドルウェア※、及び基盤となるハードウェアの開発、提供も行っております。 (1)当社グループの注力分野について 当社グループは、マルチコアとストレージの高速化技術が活きる下記の産業分野に注力して事業を推進しております。①車載機器:ADAS、自動運転 自動車の安全運転を支援する標識認識や歩行者検知警報といった車載機器向けソフトウェア高速化や、自動運転の実現を企図した研究開発向けアルゴリズム開発や高速化支援を行っております。②モバイル組込み機器:ストレージ・メモリ、イメージセンサー スマートフォンやタブレット端末に搭載される次世代フラッシュストレージを最適に制御するためのファームウェア及びデバイスドライバの開発を行っております。③産業機器:検査装置、スマートファクトリー化 製造分野の製品製造過程で使われる検査装置や自動化制御装置向けソフトウェア開発や、スマートファクトリーやIndustry4.0と呼ばれる製造工程を中心とした高度化に向けた開発支援やハードウェアの提供を行っております。④ヘルスケア:医療画像診断装置、ゲノム解析 医療画像診断装置における高精細画像のリアルタイム処理向け開発支援及びハードウェアの提供や、ゲノム解析に利用されるシステムの高速化支援を行っております。⑤金融:デリバティブ、リスク計量、HFT※ 大量の計算をより短時間で処理するために、並列計算処理技術を駆使し、より低コストで高速演算を可能とする競争優位性の高いアプリケーションシステムやハードウェアの構築及び開発支援を行っております。(2)当社グループの事業セグメントについて①ソフトウェア・サービス事業ソフトウェア・サービス事業においては、マルチコアが特に性能を発揮する、車載機器やヘルスケアを対象とした画像処理・認識の分野、モバイル機器や産業機器向け組込みシステムの分野及び金融向けのリスク計量化の分野を中心に、ソフトウェア開発を行っております。マルチコア搭載ハードウェアのそれぞれの特性によって、最終的な製品及びサービスの質が左右されることが多いこと、またお客様のソフトウェアの元々のソースコードの特性によってマルチコア化のメリットが異なることから、利用目的にあったハードウェアの選定、マルチコア化による性能向上の見積もり、マルチコア化に対するボトルネックの特定等のコンサルティングサービスを提供しております。コンサルティングサービスを実施した結果として選定された適切なマルチコア搭載ハードウェア環境の下、ソフトウェア開発、ソフトウェアの移植及び最適化を行っております。お客様の最終的な製品への組込み支援や運用のサポート等を通じて、お客様の製品性能やシステム性能の向上を実現し、お客様がマルチコアを利用するメリットを享受する、一貫したトータルソリューションサービスを提供しております。更に、平成29年6月には、量子コンピュータ※の開発・販売を手掛けるD-Wave Systems, Inc.との協業を開始し、量子コンピュータ関連のソリューションを提供しております。 ②ハードウェア基盤事業 ハードウェア基盤事業においては、お客様の製品及びビジネスに最適なマルチコアプロセッサや演算ボードの選定・提供及び大容量高速ストレージ・サーバの開発・販売を行っております。主な取り扱い製品には、(ⅰ)自社製品である画像処理プロセッサ搭載演算ボード「EigerEG-2S」及び周辺デバイス、(ⅱ)GPUやマルチコア搭載サーバー等の汎用機器、(ⅲ)大容量高速ストレージ・サーバがあります。 画像処理プロセッサ搭載の演算ボードが、お客様の量産品の組込み部品として納入が長期継続中であり、加えて、大容量高速ストレージ・サーバの販売に注力しております。 お客様にとっては、当社グループのソフトウェア開発能力に裏付けられたハードウェア製品サポートが期待でき、IT機器・デバイスメーカーにとっては、当社グループがお客様への導入サポートを提供することによって、最適なハードウェアの供給を行うことが可能となっております。 [事業系統図] 当社グループの事業の系統図は、以下のとおりです。 [用語解説] 用語解説においては、「2 沿革」及び「3 事業の内容」の文章中において※で示した用語の本書内での意味を説明しており、一般的な内容を含むものとは限りません。(50音、アルファベット順となっております) 用語 解説・定義アーキテクチャコンピュータ・アーキテクチャは、コンピュータ(特にハードウェア)における基本設計や設計思想などの基本設計概念を意味します。革新的なハードウェア1990年代のプロセッサは、インテルのシングルコアプロセッサが主流でしたが、2000年代に入りマルチコアが登場し、かつ用途が多様化したこともあり従来にないアーキテクチャのプロセッサが登場しました。その代表がモバイル機器に使われるARMアーキテクチャの製品や、多数のコアを搭載したGPU※や、プログラミング可能なFPGA※などです。組込みシステム組込みシステム(あるいはエンベデッドシステム) とは、特定の機能を実現するために家電製品や機械等に組み込まれるコンピュータシステムのこと。プロセッサ等の製造技術の進歩や生産効率の向上などとともに、組込みシステムのハード部分にかかるコストが低減し、機能の追加や変更に際しては、ソフトウェアを書き換えるのみで回路の変更は最小限に抑さえられ、全体的なコストが低減出来ることなどから、ソフトウェアの比重が高まっています。ストレージデータやプログラムを記憶する装置。ハードディスクやフロッピーディスク、光磁気ディスク、コンパクトディスク(CD-R)などが該当します。磁気的に記録を行うものが多いため、記憶容量が大きく、電源を供給しなくても記録が消えないという特徴があります。ビッグデータ時代を迎えストレージへのニーズが高まるとともに、さらに大きな容量、入出力の高速化、低消費電力、省スペース等の多様なニーズが生じてきています。ビッグデータ従来のデータベース管理システムなどでは記録や保管、解析が難しいような巨大なデータ群のこと。今までは管理しきれないため見過ごされてきた巨大なデータ群を記録・保管してリアルタイムに解析することで、ビジネスや社会に有用な知見を得たり、新たな仕組みやシステムを産み出す可能性が高まるとされていて注目を集めています。プロセッサコンピュータなどの中で、ソフトウェアプログラムに記述されたデータの転送、計算、加工、制御、管理などの命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、命令や情報を格納するレジスタ、周辺回路などから構成されます。ポスト・ムーアムーアの法則は半導体の微細加工技術の発展を根拠としていましたが、2010年代には微細化が原子レベルにまで到達してしまい、ムーアの法則は通用しなくなると予想されました。ムーアの法則どおりの性能向上が期待できなくなったため、それに代わる現実的かつ有力な解決策としてマルチコア化が登場、急速に普及しました。マルチコア1つのプロセッサ・パッケージ内に複数のプロセッサ・コアを封入したもの。外見的には1つのプロセッサでありながら内部的には複数のプロセッサで構成されるため、主に並列処理を行わせる環境下においては、プロセッサ・チップ全体での処理能力を上げ、性能を向上させることができます。マルチコアプログラミング複数のプロセッサ・コアを有効活用するため、同時に複数の演算処理を実行すること(並列計算)によって処理の単位時間当たりの処理能力を上げるプログラミング手法であり、並列化プログラミングとも言います。その主な内容は全体の問題をいくつかの独立した処理単位に分割し、処理単位毎にプロセッサを割り当て、それらの処理を同調させて最終結果を得ることであります。ミドルウェアOS上で動作し、アプリケーションソフトに対してOSよりも高度で具体的な機能を提供するソフトウェア。OSとアプリケーションソフトの中間的な性格を持っています。 用語 解説・定義ムーアの法則世界最大の半導体メーカー・インテルの創設者の一人であるゴードン・ムーア博士が1965年に経験則として提唱した、「半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する」という法則。量子コンピュータ量子コンピュータとは、量子力学的な重ね合わせを用いて並列性を実現するコンピュータであり、その実現方法は、量子回路モデルと量子アニーリングの二つが主流となっています。このうち量子アニーリングにおいては、D-Wave Systems, Inc.が世界初の商用量子コンピュータとされるD-Wave Oneを発表して以来大きな進展が見られ、「組み合わせ最適化問題」と称される膨大な選択肢からベストな選択肢を探索する問題において驚くべき性能を示しており、様々な産業分野での利用が期待されています。リスク計量化市場、信用、オペレーションそれぞれの分野で統計的な手法や金利の概念を用いて、最大・最悪の場合どのくらいの損失が想定されるかを金額の形で示すこと。金融機関では、大規模シミュレーションを行って、リスクを軽量化することが経営において不可欠となっています。Cell異なる種類のプロセッサ・コアを1つのプロセッサに集積した「ヘテロジニアスマルチコア」と呼ばれるマルチコアプロセッサ。ソニー・東芝・IBMの3社によって共同開発されました。Cellは、家庭用ゲーム機PlayStation®3(2006年11月発売開始)に搭載する目的で開発されましたが、ハイビジョン対応のテレビやレコーダーなどのAV機器にも応用可能な汎用性のある設計がなされており、2009年に東芝からCellを搭載したテレビが発売されたほか、2009年8月時点で世界最速のスーパーコンピューターRoadrunnerには12,240基の改良型Cellである、IBM PowerXCell 8iが搭載されています。FPGAプログラミングすることができる大規模集積回路(LSI)のこと。マイクロプロセッサやASIC(特定用途向け集積回路)の設計図を送りこんでシミュレーションすることができます。ASICより動作が遅く高価ですが、ソフトウェアで回路のシミュレーションを行うよりは高速であり、研究用途から、一部業務用・組込み用に拡がりを見せています。GPUGPU(Graphics Processing Unit)は、パーソナルコンピュータやワークステーション等の画像処理を担当する主要な部品のひとつ。個々のプロセッサの構造は単純でその機能はCPUに比べて限定されたものですが、大量のデータを複数のプロセッサで同時かつ並列処理することで、画像処理等を高速に処理できます。特にゲーム業界で多く利用されてきましたが、2000年代に入り、業務用途に特化して設計されたGPUが登場し、CAD、金融、CG映像、建築/設計、研究開発分野等において採用されています。HFTHFT(High Frequency Trading)とは、ミリ秒単位のような極めて短い時間の間に、コンピュータを用いて自動的な金融資産の取引を行うことを指します。OSオペレーティングシステム(Operating System)は、キーボード入力や画面出力といった入出力機能やメモリの管理など、多くのアプリケーションソフトから共通して利用される基本的な機能を提供し、コンピュータシステム全体を管理するソフトウェア。パソコン向けとして広く利用されているものにマイクロソフトのWindowsシリーズやアップルのMac OS などがあり、企業などが使うサーバ向けとしてはLinuxなどがあります。当社のYDL(Yellow Dog Linux)はLinuxのディストリビューション(Linuxを、ユーザーが利用できる形にまとめ上げたもの)の一つ。
FY2016|6,192 文字|出典 docID: S1009B4O
3【事業の内容】 当社グループは、当社、子会社Fixstars Solutions, Inc.(米国カリフォルニア州)及び子会社株式会社アイ・イー・テック等で構成され、「Speed up your Business」をスローガンに掲げ、マルチコアプログラミング※やストレージの入出力の高速化など、最先端のソフトウェア技術及び高性能なハードウェアを活用し、ビジネスのスピードアップを図りたいというお客様のニーズに応える、トータルソリューションを提供しております。当社グループでは、平成16年からPlayStation®3のメインプロセッサ※にも用いられているマルチコア「Cell」を使ったソフトウェアの開発に取り組み、マルチコア向けのソフトウェア開発分野における先駆けとして、必要な技術及び開発実績を蓄積しております。平成16年当時は「ムーアの法則※」に基づき、半導体業界及びコンピュータ産業ではクロック数の向上等、シングルコアの半導体そのものの性能向上に注力する時代でした。しかしながら、情報化が進む現代社会においては、取り扱うデータ量の増加や処理スピードへの高速化のニーズは留まるところが無く、ムーアの法則の限界を超えた、ポスト・ムーア※の技術が求められております。そういった時代の流れの中で、半導体業界及びコンピュータ産業においては、従来のシングルコアによる技術革新からパラダイムシフトをし、マルチコアによる技術革新が進められる様になりました。Cellはそうしたマルチコア時代の先駆けとなった、従来の概念を覆す商品であり、Cellの発売以降、続々とマルチコアを搭載する革新的なハードウェア※が開発、販売されております。また、当社グループは、平成25年3月からは、ストレージの高速処理に着目し、従来から取り組んでいるマルチコアに加え、ビッグデータ※時代を見据えた新たな基盤技術の開発に取り組んでおります。今後は、マルチコアとストレージを両輪として、最先端のソフトウェア技術でお客様の製品やビジネスを高速化する取組みを推進して参ります。なお、当社グループが行うソフトウェア開発に派生して生じるOS※やミドルウェア※、及び基盤となるハードウェアの開発、提供も行っております。 (1)当社グループの注力分野について 当社グループは、マルチコアとストレージの高速化技術が活きる下記の産業分野に注力して事業を推進しております。①ヘルスケア:MRI、CTスキャン、レントゲン 様々な医療画像診断装置向けに、ハイエンド機からモバイル端末まで、マルチコアプロセッサと高速ストレージを活用した高精細画像のリアルタイム処理ソリューションを提供しております。②モバイル:ストレージ・メモリ、イメージセンサー スマートフォンやタブレット端末に搭載される次世代フラッシュストレージを最適に制御するためのファームウェア及びデバイスドライバの開発を行っております。③産業機器:車載機器、検査装置 自動車の安全運転を支援する標識認識や歩行者検知警報といった車載機器、製造分野の製品製造過程で使われる検査装置や自動化制御装置向けに、高精細・高解像度画像のリアルタイム処理ソリューションを提供しております。④金融:デリバティブ、リスク計量 大量の計算をより短時間で処理するために、並列計算処理技術を駆使し、より低コストで高速演算を可能とする競争優位性の高いアプリケーションシステムの構築及び開発支援を行っております。⑤ビッグデータ:マーケティング分析、ゲノム解析、機械学習 SNSやショッピングサイトのマーケティング分析、ゲノム解析や機械学習による不具合データ分析といった大量のデータを用いた大量計算によるデータ分析に特化した、ビッグデータ解析システムソリューションを提供しております。(2)当社グループの事業セグメントについて①ソフトウェア・サービス事業ソフトウェア・サービス事業においては、マルチコアが特に性能を発揮する、製造業向けの組込みシステム※の分野及び金融業向けのリスク計量化※、グリッド・フレームワーク※等の分野を中心に、ソフトウェア開発を行っております。マルチコア搭載ハードウェアのそれぞれの特性によって、最終的な製品及びサービスの質が左右されることが多いこと、またお客様のソフトウェアの元々のソースコードの特性によってマルチコア化のメリットが異なることから、利用目的にあったハードウェアの選定、マルチコア化による性能向上の見積もり、マルチコア化に対するボトルネックの特定等のコンサルティングサービスを提供しております。コンサルティングサービスを実施した結果として選定された適切なマルチコア搭載ハードウェア環境の下、ソフトウェア開発、ソフトウェアの移植及び最適化を行っております。お客様の最終的な製品への組み込み支援や運用のサポート等を通じて、お客様の製品性能やシステム性能の向上を実現し、お客様がマルチコアを利用するメリットを享受する、一貫したトータルソリューションサービスを提供しております。更に、ストレージ市場における主要なデバイスが、従来のハードディスクを使用したストレージからフラッシュメモリ※を使用したストレージへと変化し、フラッシュメモリがビッグデータ時代の主要なデバイスになろうとする技術革新に着目し、平成25年3月からは、フラッシュメモリを制御するソフトウェア開発に注力しております。 ②ハードウェア基盤事業 ハードウェア基盤事業においては、お客様の製品及びビジネスに最適なマルチコアプロセッサや演算ボードの選定・提供及び大容量高速ストレージ・サーバの開発・販売を行っております。主な取り扱い製品には、(ⅰ)自社製品である画像処理プロセッサ搭載演算ボード「EigerEG-2S」及び周辺デバイス、(ⅱ)GPUやマルチコア搭載サーバー等の汎用機器、(ⅲ)次期戦略製品と位置づけている大容量高速ストレージ・サーバがあります。 画像処理プロセッサ搭載の演算ボードが、お客様の量産品の組み込み部品として納入が長期継続中であり、加えて、大容量高速ストレージ・サーバの販売に注力しております。 お客様にとっては、当社グループのソフトウェア開発能力に裏付けられたハードウェア製品サポートが期待でき、IT機器・デバイスメーカーにとっては、当社グループがお客様への導入サポートを提供することによって、最適なハードウェアの供給を行うことが可能となっております。 [事業系統図] 当社グループの事業の系統図は、以下のとおりです。 [用語解説] 用語解説においては、「2 沿革」及び「3 事業の内容」の文章中において※で示した用語の本書内での意味を説明しており、一般的な内容を含むものとは限りません。(50音、アルファベット順となっております) 用語 解説・定義アーキテクチャコンピュータ・アーキテクチャは、コンピュータ(特にハードウェア)における基本設計や設計思想などの基本設計概念を意味します。革新的なハードウェア1990年代のプロセッサは、インテルのシングルコアプロセッサが主流でしたが、2000年代に入りマルチコアが登場し、かつ用途が多様化したこともあり従来にないアーキテクチャのプロセッサが登場しました。その代表がモバイル機器に使われるARMアーキテクチャの製品や、多数のコアを搭載したGPU※や、プログラミング可能なFPGA※などです。組込みシステム組込みシステム(あるいはエンベデッドシステム) とは、特定の機能を実現するために家電製品や機械等に組み込まれるコンピュータシステムのこと。プロセッサ等の製造技術の進歩や生産効率の向上などとともに、組込みシステムのハード部分にかかるコストが低減し、機能の追加や変更に際しては、ソフトウェアを書き換えるのみで回路の変更は最小限に抑さえられ、全体的なコストが低減出来ることなどから、ソフトウェアの比重が高まっています。グリッド処理やリスクを分散する観点から、散在した複数台のコンピュータ資源をまとめて、大規模な一つのコンピュータと見なして扱えるようにしたもの。ストレージデータやプログラムを記憶する装置。ハードディスクやフロッピーディスク、光磁気ディスク、コンパクトディスク(CD-R)などが該当します。磁気的に記録を行うものが多いため、記憶容量が大きく、電源を供給しなくても記録が消えないという特徴があります。ビッグデータ時代を迎えストレージへのニーズが高まるとともに、さらに大きな容量、入出力の高速化、低消費電力、省スペース等の多様なニーズが生じてきています。ビッグデータ従来のデータベース管理システムなどでは記録や保管、解析が難しいような巨大なデータ群のこと。今までは管理しきれないため見過ごされてきた巨大なデータ群を記録・保管してリアルタイムに解析することで、ビジネスや社会に有用な知見を得たり、新たな仕組みやシステムを産み出す可能性が高まるとされていて注目を集めています。フラッシュメモリ軽量で読み書き速度が速いなどの特徴から近年急速に普及しています。代表的な製品にSSD※やUSBメモリなどがあります。中でもNAND型は1987年に東芝が開発したフラッシュメモリ技術。消去や書き込みの速度が速く大容量化に適した仕様となっていて、各種メモリカードや応用機器に採用され、その市場は急速に拡大しています。フレームワークプログラミングにおいて、一般的な機能をもつ共通コードをユーザーが選択的に上書きしたり特化させたりすることにより、ある特定の機能をもたせようとすること。システム構築に必須な標準的かつ低レベルの詳細を設計者やプログラマが検討する時間を省き、要求仕様の実現に多くの時間を割けるようにし、ソフトウェア開発を容易にすることを目指しています。プロセッサコンピュータなどの中で、ソフトウェアプログラムに記述されたデータの転送、計算、加工、制御、管理などの命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、命令や情報を格納するレジスタ、周辺回路などから構成されます。ポスト・ムーアムーアの法則は半導体の微細加工技術の発展を根拠としていましたが、2010年代には微細化が原子レベルにまで到達してしまい、ムーアの法則は通用しなくなると予想されました。ムーアの法則どおりの性能向上が期待できなくなったため、それに代わる現実的かつ有力な解決策としてマルチコア化が登場、急速に普及しました。 用語 解説・定義マルチコア1つのプロセッサ・パッケージ内に複数のプロセッサ・コアを封入したもの。外見的には1つのプロセッサでありながら内部的には複数のプロセッサで構成されるため、主に並列処理を行わせる環境下においては、プロセッサ・チップ全体での処理能力を上げ、性能を向上させることができます。マルチコアプログラミング複数のプロセッサ・コアを有効活用するため、同時に複数の演算処理を実行すること(並列計算)によって処理の単位時間当たりの処理能力を上げるプログラミング手法であり、並列化プログラミングとも言います。その主な内容は全体の問題をいくつかの独立した処理単位に分割し、処理単位毎にプロセッサを割り当て、それらの処理を同調させて最終結果を得ることであります。ミドルウェアOS上で動作し、アプリケーションソフトに対してOSよりも高度で具体的な機能を提供するソフトウェア。OSとアプリケーションソフトの中間的な性格を持っています。ムーアの法則世界最大の半導体メーカー・インテルの創設者の一人であるゴードン・ムーア博士が1965年に経験則として提唱した、「半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する」という法則。リスク計量化市場、信用、オペレーションそれぞれの分野で統計的な手法や金利の概念を用いて、最大・最悪の場合どのくらいの損失が想定されるかを金額の形で示すこと。金融機関では、大規模シミュレーションを行って、リスクを軽量化することが経営において不可欠となっています。Cell異なる種類のプロセッサ・コアを1つのプロセッサに集積した「ヘテロジニアスマルチコア」と呼ばれるマルチコアプロセッサ。ソニー・東芝・IBMの3社によって共同開発されました。Cellは、家庭用ゲーム機PlayStation®3(2006年11月発売開始)に搭載する目的で開発されましたが、ハイビジョン対応のテレビやレコーダーなどのAV機器にも応用可能な汎用性のある設計がなされており、2009年に東芝からCellを搭載したテレビが発売されたほか、2009年8月時点で世界最速のスーパーコンピューターRoadrunnerには12,240基の改良型Cellである、IBM PowerXCell 8iが搭載されています。FPGAプログラミングすることができる大規模集積回路(LSI)のこと。マイクロプロセッサやASIC(特定用途向け集積回路)の設計図を送りこんでシミュレーションすることができます。ASICより動作が遅く高価ですが、ソフトウェアで回路のシミュレーションを行うよりは高速であり、研究用途から、一部業務用・組込み用に拡がりを見せています。GPUGPU(Graphics Processing Unit)は、パーソナルコンピュータやワークステーション等の画像処理を担当する主要な部品のひとつ。個々のプロセッサの構造は単純でその機能はCPUに比べて限定されたものですが、大量のデータを複数のプロセッサで同時かつ並列処理することで、画像処理等を高速に処理できます。特にゲーム業界で多く利用されてきましたが、2000年代に入り、業務用途に特化して設計されたGPUが登場し、CAD、金融、CG映像、建築/設計、研究開発分野等において採用されています。OSオペレーティングシステム(Operating System)は、キーボード入力や画面出力といった入出力機能やメモリの管理など、多くのアプリケーションソフトから共通して利用される基本的な機能を提供し、コンピュータシステム全体を管理するソフトウェア。パソコン向けとして広く利用されているものにマイクロソフトのWindowsシリーズやアップルのMac OS などがあり、企業などが使うサーバ向けとしてはLinuxなどがあります。当社のYDL(Yellow Dog Linux)はLinuxのディストリビューション(Linuxを、ユーザーが利用できる形にまとめ上げたもの)の一つ。SSDSSD(Solid State Drive(ソリッド・ステート・ドライブ))とは記憶媒体としてフラッシュメモリを用いるドライブ装置。ハードディスクドライブ(HDD)の代替として利用が拡大しています。SSDはハードディスクのようにディスクを持たないため、高速に読み書きでき、モーターが無いため消費電力も少なく、機械的に駆動する部品が無いため衝撃にも強くなっています。一方、同じ容量のHDDと比べた場合、SSDは高単価ですが、その差は急速に縮まってきています。