有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|13,322 文字
3【事業等のリスク】 当社のリスク管理基本規程において「リスク」とは、「当社グループにおける事業目的の達成を阻害する要因すべて」と定義しております。また「リスク管理」とは、リスクの識別・評価を行い、リスクを低減する活動を行うとともに、その活動をモニタリングすることによって、継続的に改善を行う一連の措置(平常時のリスク管理)、及び経営に対する重大な障害・事故等の緊急事態への迅速な対応(緊急時のリスク管理)を指すと定めております。 この規程に基づいてリスクを適切に認識し、発生の可能性や影響度の評価を行い、優先度を定め、リスクへの対処を決定したうえで、リスク顕在化の可能性をできるだけ低減する活動を行っております。併せて、リスクが顕在化した場合には、発生する障害・事故へ迅速な対応を行い、人びとや社会をはじめとするステークホルダーへの影響を最小限に留めるべく、リスク管理を推進しております。(1)リスク管理体制 当社グループのリスク管理体制は、“リスク管理統括責任者(代表取締役社長執行役員)”、“企業倫理・リスク管理委員会の委員長(代表取締役副社長執行役員)”を基軸として、下図の通り、“企業倫理・リスク管理委員会(委員長が指名する委員による構成)”、また、企業倫理・リスク管理委員会の下部組織として、全社横断的な重要課題について活動方針策定やモニタリングを行う“リスク主管部署”、及び“リスク対応部会(企業倫理・リスク管理委員会が決定/設置)”、さらに、企業倫理・リスク管理委員会が定めるリスク管理(抽出、評価、対応、モニタリング)を行う“リスク管理組織”及び“リスク管理責任者”によって構成されております。 “企業倫理・リスク管理委員会”では、それぞれの“リスク管理組織”から抽出されたリスクについて、発生の可能性と影響度の観点から評価を実施し、当社グループの経営に重大な影響が想定されると評価したリスク項目を特定のうえ、毎年、“リスク管理統括責任者(代表取締役社長執行役員)”に提示し「グループ重要リスク」としての承認を踏まえております。その後、「グループ重要リスク」の項目ごとに、“リスク主管部署”、あるいは“リスク対応部会”を通してリスクを軽減化する対応策への取り組みを進め、併せて、“企業倫理・リスク管理委員会”を定期的(四半期ごと)、及び必要に応じて臨時に開催し「リスク管理体制」が有効に機能しているかどうかのモニタリングを行っております。 (2)事業等のリスク 当該有価証券報告書に記載している「第2 事業の状況」等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に、重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとその対策は後述のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 また、前述のとおり、“企業倫理・リスク管理委員会”では当社グループの経営に重大な影響が想定されると評価・特定したリスク項目を、“リスク管理統括責任者(代表取締役社長執行役員)”へ提示し承認を受けることによって「グループ重要リスク」を定めております。なお、下図の項印、★印は「経営環境・事業戦略」に関するリスク、■印は「事業運営上」のリスクであります。 (2)-1 経営環境・事業戦略に関するリスク市場の構造変化□ 発生の可能性:高□ 影響度:大● リスクの内容百貨店・量販店をはじめとする大規模小売店や商業施設の減少は、百貨店・量販店の売上シェアが高い当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。また、消費者接点(店舗)の減少はブランド認知率の低下、顧客の購入意欲の低下に波及するなど、この市場構造の変化は、既存業態の再編、営業政策の変更等をもたらし、グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策小売市場の構造変化(オンラインモールやフリマアプリの市場拡大)が進んでおり、旧来の百貨店、量販店及び専門店といった卸売店舗の売上シェアは漸減していくと予測しています。㈱ワコールでは商品ブランドの育成、及びEC事業拡大を目的に、9つの商品ブランド(⑴Wacoal ⑵Wing ⑶AMPHI ⑷CW-X ⑸Salute ⑹Yue ⑺WACOAL MEN ⑻WACOAL SIZE ORDER ⑼GOCOCi)にブランドマネージャーを配置して商品企画から販売、損益管理まで一貫したブランドマネジメントを行う体制に変更しました。また「ワコール」ブランドのリブランドを実施し、「ワコールコレクション」、「ワコールベーシック」、「ワコールプレミアム」の3つの商品構成に再編成して展開することでニーズにあわせた提案を行っております。一方、顧客ニーズの明確な商品を短いリードタイムで開発・提供するとともに、需要に応じて柔軟に生産・供給することで、売れ筋商品の店頭充足率を上げ、欠品による販売機会ロスを低減しています。また、「最適化された商品構成」と「需要連動型生産」を組み合わせることで、強い定番品を誕生させて、さらなる売上拡大と在庫効率の向上を目指しています。 調達価格の上昇□ 発生の可能性:高□ 影響度:大● リスクの内容サプライチェーンの構造変化が進行し、原材料の値上がりや生産地の人件費高騰、輸送コストの上昇等により仕入価格が上昇した結果、業績に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策材料の調達や製品の生産においては、適切に品質とコストの両面を照合しながら、ベトナムやミャンマーをはじめとするASEANの国々や地域での調達・生産の比重を増やしています。併せて、製品の企画・設計段階から、資材・カラー集約を前提に、可能な限り、材料品種を増やさない取り組みや、材料調達先を国内から海外に求める取り組み、廃棄に至る製品・材料の最少化への取り組み、省力化機器導入による生産効率化への取り組みなどを進めています。さらには、製品検査工程と材料品質基準のシンプル化・適正化、商品ブランド再編による生産ロット拡大と作業能率向上などにも努めています。他方、国内縫製会社においては、長崎雲仙ファクトリーと福井坂井ファクトリーの2工場に集約・再編し国内の高い縫製技術を継承しつつ、顧客ニーズや市場変化の変化に迅速に対応できる需要連動型生産体制を構築することにより、競争優位性強化と事業効率向上の両立を目指します。同時に、新技術や新設備のグループ内工場における汎用的活用の実現や技術支援といった役割を果たし、短納期・高難度・小ロット生産に対応できる生産体制を広く整備し、事業効果の強化に取り組んでいます。 競争・競合環境の変化□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容国内外の市場において、競合会社、低価格品、また、異業種からの新規参入者などにより、市場競争が激化する中、商品・サービス・宣伝販促・業態開発の適切な提案ができず、結果としてブランドの想起率・認知率が低下、販売シェアが奪われ、長期的に業績が低下する可能性があります。● 対応策競争激化は、価格の下落、広告宣伝費の増加、売上高及び市場シェアの減少等につながり、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な影響を及ぼします。㈱ワコールの収益力の改善と成長軌道への回帰を実現するためには、「顧客起点」を軸に、長年に亘り蓄積した顧客のデータベース、様々な体型にかかる研究・知見、心地よさを実現する製造技術、パーソナライズなニーズに寄り添いサービスを提供できる組織力といった「ワコールの強み」に、デジタル技術を用いて、顧客の「自分らしさ」を引き出しエンパワーメントする商品とサービスを提供し続けることが欠かせません。ハイプレミアム層、若年層、シニア層の3領域に成長戦略ディレクターを配置し、愛されるブランドを育成し信頼感を高め、顧客と「深く・広く・長く」関わっていただける絆づくりに努めています。さらに、海外事業においては、欧州では、地域ごとの消費者ニーズに合わせた商品展開の最適化を実施、米国ではインナーウェアのカジュアル化や快適性へのニーズに対応できる商品の開発、中国ではチャネルやエリア、ECプラットフォームごとの特徴に合わせた商品構成へと変更し、顧客起点の品揃えの徹底を進めています。 消費者の価値観変化□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容ブランド戦略、商品、サービスが消費者の価値観変化に合わずに、顧客を獲得できず、もしくは顧客を失って経営が悪化する可能性があります。また、ブランドマネジメント、マーケティングミックスの失敗により、若年層顧客の囲い込みが適わず、一方で既存顧客の離反が進み、ブランド価値を毀損する可能性があります。さらには、資源価格高騰、賃金の上昇、為替相場の変動を受けて原材料・製品の輸入価格が上昇する中、商品の価格に見合った顧客価値の提供が実現できないと、新規顧客の獲得の失敗や既存顧客の逸失を招く可能性があります。● 対応策顧客戦略においては、デジタルを活用し、最適な顧客体験の提供を進めています。また、顧客データ、顧客の声、店頭販売員の接客知見の活用や、オンラインをベースとしたデジタルコミュニケーションを強化することで、お客さまと深く広く長い関係性を構築しています。チャネル戦略においては、卸売チャネルの効率的な運用を構築するとともに、 自社EC・他社ECの強化や、新たな直営店業態の開発に取り組んでいます。ブランド戦略においては、9つの商品ブランドへの整理・集約、これと連動した、ブランドコミュニケーション、マーケティングコストの集中と選択を実施することで、お客さまに向けたメッセージの質と量、双方の拡充を進めています。併せて、サステナビリティ活動への取り組みを強化し、社会をはじめステークホルダーからのレピュテーション向上と確立にも力を入れています。 新しい市場・顧客の開拓□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容顧客の下着やファッションに対する相対的な関心の低下、日本の人口減少や少子高齢化による国内市場の縮小を踏まえて、当社グループは、海外市場の開拓や新業態・新分野への進出等、新規市場の開拓に取り組んでいるものの、この先、一層多様化するであろう消費者の価値観に応えきれず、計画した成果が出せないとグループ業績に影響を与える可能性があります。● 対応策国内では、当社ブランドとの接点が少ない潜在顧客、とりわけ若年層やアフォーダブル価格志向層に対し、購入意欲を喚起できる商品・マーケティング施策が打ち出せず、新規の顧客獲得に苦慮しています。一連の顧客体験や購買行動(カスタマージャーニー)を見極め、顧客に選ばれる必然の創出について、改めて見直す取り組みを進めるとともに、顧客への提供価値の明確化、若年層・アフォーダブル価格志向層を対象とした顧客層の拡大を強く意識したブランドポートフォリオの再設計を進めています。他方、既存の愛用者に向けたリテンションマーケティング強化の取り組みは着実に成果に結びついており、ロイヤルカスタマーとして、これまで以上に太い絆を築くことができています。ロイヤルカスタマーに対するワードローブの品揃えを拡充するなど、当社グループの提供価値として実現できるLTVの最大化に向けて、より一層、優先的に力を注いでいきます。一方、欧州では、Wacoalブランドに止まることなく、当社グループの一員に迎えたBravissimo Groupほか、当社グループが展開するブランドポートフォリオの事業成長をねらいに、デジタルマーケティングへの投資を積極的に実施することで、EC重視のビジネスモデルへの転換を加速させています。また、既存エリアの深耕とともに、大きな成長余地を有するドイツ、フランスなどの新規エリアでの営業活動を強化し、EC・実店舗を含めた販売網の拡大に加え、質やスピードをともなった成長の実現に向けて検討しております。米国では、自社ECにおいてCRMシステムの稼働をスタートさせたほか、UX改善やプロモーションの見直しにも着手しております。中国では、全方位的なチャネル戦略を見直し、ECを中心とした利益率の高い販売チャネルへの選択と集中を行っています。あわせて、販売・広告戦略と連動した商品MDを構築することで、確実に利益を確保する事業構造へと転換しています。 人材・人員の確保□ 発生の可能性:高□ 影響度:中● リスクの内容特にものづくり(企画力・技術力・研究開発力)、IT・デジタル、販売員、海外経営・物流において人材・人員の確保、育成ができないと、今後の成長や競合会社に対する優位性を作り出せず、グループの業績が低迷する可能性があります。また、販売員の効率的配置ができないと、人件費効率の低下やモチベーションの低下が起こり、業績の低迷を及ぼす可能性があります。● 対応策当社グループではジョブ型採用をはじめ、新しい採用手段の導入による人材確保に併せて、集団型講義やオンラインでの専門知識研修の実施やOJT、他社と合同で実施する異業種クロスラーニングの開催などといった、実地研修機会の充実によって人材の育成を行っています。また、キャリア採用の比重を拡大するほか、リファラル採用にも注力し多様な人材の確保による活性化も進めています。一方、市場の構造変化を受けて、販売員については、接客人数や顧客視点での満足度といった評価への見直しを進めています。また、退職後再雇用者は、再契約に際して責任と役割を高める職群を増やし、適材適所の異動を進めモチベーション向上を図っています。また、初任給の見直しや基本給ベースアップの実施をはじめ、職務・役割をベースとしたメリハリのある処遇(報酬体系)を実現すべく、職務価値・成果に応じた処遇、役割給の見直しなどといった人的資本への投資姿勢を鮮明にした制度改革を推し進め、事業の中核を担う人材、将来価値を生む人材の確保を図っています。 (2)-2 事業運営上のリスク情報システム可用性障害の発生□ 発生の可能性:高□ 影響度:大● リスクの内容システム開発のミスや遅延、また、重要な情報システムに障害が発生することで、事業継続が困難になってしまうと、得意先や顧客をはじめ、すべてのステークホルダーからの信頼を失う可能性があります。外部からの悪意ある攻撃、あるいは天災被害等により、基幹システムやWEB販売サイト等の稼働が不可能となった場合、ファイルサーバや従業員のPCから機密情報が流出した場合、事業への悪影響が出る可能性があります。● 対応策当社では「情報セキュリティ基本方針」、「情報セキュリティ規程」等を定め、すべての従業員に対して情報保護の必要性と責任についての理解促進を図っています。“企業倫理・リスク管理委員会”の傘下に「情報セキュリティ部会」を設置し、現状の情報管理体制の把握と改善、また、顧客情報や重要情報にかかる不正なアクセスによるデータの破壊や漏えい、ウイルスやランサムウェアによる事業運営そのものの阻害を狙ったサイバー攻撃などについて、情報の収集を行い、情報セキュリティ上のリスクを特定すべく、現状の調査、分析等を実施しインシデントの発生を回避あるいは発生時の影響を軽減するなどの体制を整えています。同時に、当社グループの活動方針や具体的対策の立案、関連規程の制定・改廃、戦略的な投資案件の討議を行い、サプライチェーンにおける情報セキュリティリスクの低減に努めています。具体的には、不慮のシステム障害・誤作動に備えて、システムやデバイスをリアルタイムで監視するセキュリティツールを運用する一方、重要なシステムは適切なハードウェアやネットワーク構成、クラウド化の選択ができているか、また、IT資産の適切なメンテナンスが実施されているかなど、適宜モニタリングを行っています。さらに、国内連結子会社を対象に、定期的な標的型メール訓練の実施や、昨今報道されているような情報事故事例などを用いた注意喚起を行うなど、従業員の意識向上と仕組みの構築による両面からリスクの軽減を行っています。 情報管理の不備□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容情報管理の不備により、機密情報や個人情報の漏えいや紛失が発生すると、事業活動上、不利益を被るばかりか、社会的信用の失墜、事業運営の停止といった重大な損失影響が出る可能性があります。● 対応策当社では「情報セキュリティ規程」、「個人情報保護規程」等を定め、取り扱うすべての情報を、機密性、一貫性及び可用性の観点から適切に分類するとともに、保護・漏えい防止を図っています。また、重要情報の保護・管理の徹底をねらいに、当社グループの重要情報一覧表を整備し、経営、事業・販売戦略、製品開発、自社ノウハウ、個人情報、情報システム等の区分から、具体的なインサイダー情報の事例を挙げて重要情報の保護対策に取り組んでいます。とりわけ、当社グループは事業活動上、多数の顧客に関わる個人情報を有しています。将来を見据え、㈱ワコールではデジタルを徹底的に活用し、一人ひとりにとっての最適な顧客体験を提供する「顧客戦略」を成長の柱と位置付け、収集した個人情報を含めたデジタルデータを基盤としたビジネスモデルの再構築を進めています。また、海外では顧客の個人情報を直接取得するEC事業を強化し、成長の柱とする計画を進めています。国内における改正個人情報保護法の施行対応に止まることなく、個人情報保護は当社グループ事業活動上の重要性が増しています。“企業倫理・リスク管理委員会”の傘下に設置した「情報セキュリティ部会」では個人情報の保護・管理の強化、関連法規制への対応、従業員への教育等を含め、個人情報を外部の脅威から守るために、外部の専門家も活用しながら、国内外の関係会社を対象に管理状況の調査を実施するとともに、更なるレベルアップを目指した個社別セキュリティ対策ロードマップの作成に着手しています。 債券相場・金利の変動□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容保有する上場株式や債券等の市場価値が下落し、減損が発生する可能性があります。他方、年金資産の評価減・積立不足は追加拠出や引当が必要となりグループ業績に影響を与える可能性があります。● 対応策当社及び当社の特定完全子会社の㈱ワコールが保有している株式の状況は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況」を参照ください。2023年11月に開示した中期経営計画(リバイズ)では、2026年3月期末までに保有する政策保有株式を300億円以上(2023年3月末時価)縮減し、連結純資産額の10%未満とする方針を示しています。2025年3月期は、取締役会にて、個別の銘柄ごとに保有によって実現している収益が当社資本コストを上回っているか、当社の企業価値向上につながっているかを検証した結果、保有意義が希薄化した5銘柄・約57億円(2023年3月末時価)の処分・縮減を進めました。これにより、2024年3月期及び2025年3月期における処分・縮減額の総額は、205億円(2023年3月末時価)となりました。他方、退職給付費用及び債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の仮定に基づき算出していますが、有価証券の相場並びに金利環境の変化等により、実際の結果が仮定と異なる場合、または仮定に変化があった場合には、退職給付費用及び債務が増加するリスクがあります。当社は国内社債の利回りに基づいて割引率を設定しています。割引率については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記23.従業員給付」を参照ください。企業年金のアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう、財務・人事・経理等の部門長らで構成する年金委員会を設置し、四半期単位で資産運用方針や政策的資産構成割合等を検討すると同時に、外部の運用コンサルティング会社を起用し専門能力・知見を補完しています。 自然災害・事故等の発生□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容地震などの自然災害や火災・爆発等が発生し事業所・生産拠点が被害を受ける、あるいは、従業員が被災する可能性があります。また、交通網の遮断や電力供給の停止、通信回線の不通等、大型小売店や直営店舗、通販サイトや物流網の被災により事業活動に支障が出る可能性があります。● 対応策首都直下型地震をはじめとする大規模事故の緊急事態に備え、“企業倫理・リスク管理委員会”の傘下に設置した「BCP・災害対策部会」では、主要な事業拠点が被災した際のBCP策定を順次整備するなど、予防・減災、応急・初動、復旧・復興の観点で事業継続マネジメントに取り組んでいます。具体的には建物の耐震化、データ関連サーバのクラウド化、災害発生時の従業員安否確認システム、テレワークなどといった環境整備に加え、社会的責任を踏まえて、緊急時においてもサービスや製品の安定供給ができるよう、販売事業所の業務バックアップ体制の確立や生産拠点の分散化配置によって、リスクの低減を図っています。 企業倫理・コンプライアンスの姿勢□ 発生の可能性:高□ 影響度:中● リスクの内容第三者から、サプライチェーンにおける人権、労働、環境問題等を指摘・公表され、事業活動に影響を与える、企業価値を毀損する可能性があります。また、企業倫理・コンプライアンスに反する行為が増加する、あるいは、ソーシャルメディアやブログ等のWEBサイト上を含めた広告表現や発言に問題が発生することによって、社会的な信頼を失い、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。● 対応策当社グループを取り巻く国内外の法令や規制等への違反、社会的要請に反する行為等があった場合は、処罰や社会的な信用の低下などにより、経済的・社会的な影響を受けるリスクがあります。「企業倫理・ワコールの行動指針」を定め、従業員に頒布し周知徹底を図るだけでなく、“企業倫理・リスク管理委員会”の傘下に設置した「コンプライアンス部会」の活動を通じて、従業員への啓発活動、内部通報制度、外部専門機関による法令ヘルスチェックなどの施策を拡充し、法令順守の強化に努めています。また、2025年3月期は「企業倫理・ワコール行動指針」の内容に焦点を当てた階層別の集合教育、e-ラーニングを実施したほか、グループコンプライアンス通信(こんぷらかわら版)の定期配信を継続するなどの啓発活動を進めました。また、当社グループの事業領域において特に注力すべき点として、サプライチェーンでの労務・人権問題が挙げられます。過去には人権NPOから連結子会社の発注先である海外縫製工場における労務・人権問題について指摘を受けたことや、国内において二次製造委託先の外国人技能実習生に対する超過勤務手当の未払いが発覚したことがありました。現在は“サステナビリティ委員会”の傘下に設置した「CSR調達部会」の活動を通じ、人権の尊重、環境・社会との調和、法令の順守、労働慣行、事業慣行の観点などから、製造委託先等の工場ごとに自己評価と現地監査を行い、是正・改善計画の策定とモニタリングを行う取り組みを高めています。当該年度においては、人権NPOと協業し、外国人技能実習生に対しアンケートを実施すると共に、インタビューアセスメントによる人権デューデリジェンスを実施しました。併せて、CSR調達活動の製造委託先一覧を当社ホームページで開示しています。 知的財産権の侵害・被侵害□ 発生の可能性:高□ 影響度:中● リスクの内容知的財産権を侵害されたり侵害したりすることで、訴訟や経済的損失が起きる可能性があります。また、近年、インターネット上で当社ブランドを詐称した「なりすまし広告・偽サイトへの誘導」が拡がっています。注意喚起や排除措置といった適切な対策を怠れば、消費者や市場からの信頼失墜を招きかねず、戦略的な知的財産権の保護や活用ができないでいると、事業に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策当社グループは知的財産権があらゆる事業活動に関わり、競争優位性を確保する重要な資産であると認識しています。ブランドや、独自の技術、デザイン、サービス等を、自社の競争力の源泉として知的財産権で保護・活用できるよう、一方で他社の知的財産権を尊重し侵害しないよう、従業員に対しセミナーによる教育や業界知財動向の共有を行い、正しい理解を促しています。また、外部専門家との連携を強化するなど、知的財産担当部門の知見を高めDXやCX戦略、新規事業における知的財産権の保護、活用を進めています。また、国内外における模倣商品の出現や、他社による商標、特許等の無断使用といった知的財産権の侵害には、侵害者に対して権利主張を行い、厳格に対応を行うこととしています。最近ではEC事業のボーダーレス化に伴ったブランド価値の棄損、とりわけ、SNSを中心とした当社ブランドを騙る「なりすまし」の広告・販売の出現について、消費者への注意喚起の実施、販路の追跡と監視、排除措置の実施等に力を注ぐとともに、日本国内に留まらない消費者保護、ブランド保護対策に努めています。 デジタルマーケティングの加速による表現訴求、品質表示・取扱表示等の記載□ 発生の可能性:高□ 影響度:中● リスクの内容デジタルマーケティングにおいて、従業員参加型を含むSNS上の発信内容、サステナビリティを巡るWEBサイト上の表現や発言に問題が発生することによって、ネガティブキャンペーンや発信者への誹謗中傷をはじめとする社会問題を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。他方、品質表示等の法令違反や機能性表示における不適切な表現は社会的な信用を損なう可能性があります。また、商品の回収・表示変更のコスト発生、販売中止によって経済的な損失影響が出る可能性があります。● 対応策消費者が適正に商品を選択し使用するための品質表示については、商品そのものに付帯させる法定表示に始まり、店頭やメディアでの広告・宣伝、販促表現、知的財産保護表示など多岐にわたっており、リスクが顕在化しやすい事案だと認識しています。また、加熱するデジタルマーケティングを背景に、SNSでの当社の発信や参加者の言動が社会的な批判に晒される、あるいは、昨今においては、その内容の真偽に関わらず拡散されるリスクも認識しています。“企業倫理・リスク管理委員会”傘下の「品質保証審議会」、「品質管理委員会」の活動を通して、表示内容を決定する部門でのダブルチェックを前提にした表示確認体制の整備、表示決定のプロセスにおける可能な限りのシステム化、表示ミス発生時の迅速な対応、問題発生後の再発防止のための徹底的な原因究明と対策の実施といった、一連のサイクルをルール化し運用しています。また、品質表示に関わる社内啓発活動と担当者教育を定期的に実施しています。サステナビリティを巡るWEBサイト上の表現や発言においても、“サステナビリティ委員会”や関連する部門でチェックを行う体制を整備し活動をすることで、社会的な使命を果たすよう努めています。併せて、国内外の関係会社ごとの事業環境に照らしたSNS運用規程を定めて周知徹底を行うとともに、マーケティングやコミュニケーション部門の従業員を対象に、訴求表現内容の事前確認・適否判断を行うための教育を推進しています。加えて当社ブランドを騙る「なりすまし」の広告・販売に対して、消費者への注意喚起の実施だけでなく、販路の追跡と監視、排除措置の実施等に毅然として注力しています。このほか、独禁法、景表法、薬機法などと絡めたガイドライン各種の制定と改訂、e-ラーニングによる従業員を対象にした教育の実施などによってリスクの軽減を図っています。また、機能・効能表現においては、商品化計画部門と研究部門、品質保証部門間の連携フローと併せて表記ルールの再整備を行い、外部の機関を交えたエビデンスデータの確認体制を整えています。 設計・製造上の品質保証□ 発生の可能性:中□ 影響度:中● リスクの内容不良品を販売することや商品が人体へ危害を及ぼすこと等により、お客さま等への補償や商品回収等のコストが発生する、当社が高品質の商品を提供するというレピュテーションが損なわれ社会的信用を失うといった、業績への悪影響を及ぼす可能性があります。● 対応策高品質な商品をグローバルに提供できることが、当社グループの強みの一つです。“企業倫理・リスク管理委員会”の傘下に「品質保証審議会」を設置し、安全性ガイドラインを整備すると同時に、製品企画・設計・開発時点での安全性確認ルールの順守、製造時の検査の徹底、問題発生時の原因追及と再発防止策の策定に取り組んでいます。併せて、こうした活動・情報内容については、グループの国内外関係会社へ水平展開・共有化を図ることによって、品質意識の高揚、全体での管理体制の底上げを行っています。また、「品質保証審議会」の傘下では、商品化計画を担う部門ごとのメンバー選出による「品質管理委員会」を運営し、個別課題への対策フォローアップ、品質管理全般に対する社内教育を実施しています。他方、生産拠点の現場では、定めた品質管理・検査の徹底のみならず、製品受入ロックシステム(材料基準達成製品のみの受け入れ)の運用による基準未達品の排除、検査人員の技量の標準化に取り組んでいます。 新興国の社会情勢変動□ 発生の可能性:中□ 影響度:中● リスクの内容新興国に事業拠点を構える当社グループは、政治的不安定状態、法改正や制度変更、ストライキの発生、人材の確保難などによって材料調達や生産が滞る、自国産業保護政策(輸入関税、外資規制等)が継続し事業効率の改善が遅れる、あるいは新規の多額投資を必要とするなど、事業業績に影響を与える可能性があります。● 対応策各国・地域の法律・規制の動向には常に十分な注意を払い、現地情報の収集・分析に努めています。現地の“リスク管理責任者”と連携し、地域の実情を把握し、必要に応じ外部の弁護士、コンサルタントなど、専門機関の協力を得て対応を行うよう整備と運用を図っています。軍事政権による掌握が続くミャンマーでは法律・規制の動向に加え、人権課題への対応についても注視しています。また、地政学的なリスクも見据え、適切な生産拠点の分散を行いリスクの軽減化に努めています。このほか、高い輸入関税が適用されるインドでは、国内における商品企画・生産比率を高めることで競争優位性を強化するよう努めています。 税務の管理□ 発生の可能性:中□ 影響度:中● リスクの内容税制改正や移転価格の調査等による多額の課税がなされた場合には、風評被害の他、当社グループの財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策繰延税金資産については、現行の会計基準に従い、将来の課税所得を合理的に見積もったうえで計上しています。将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼすリスクがあります。これを踏まえて、当社では、適宜、経営環境の変化等に照らし、将来の課税所得の見積もりに関する見直しを行い、回収可能性を合理的に判断しています。事業を展開する国・地域の法令、国際税務関連法規を順守し、透明性の高い税務管理を行い、ステークホルダーからの信頼を得ることをねらいに「税務行動指針」を策定しています。この指針では、国内外の連結子会社を対象に、税務の最新情報入手や研修による啓発活動を含めたグループ税務体制の構築をはじめ、不確実な税務ポジションへの対応、優遇税制の適用、グループ会社間取引、租税回避行為の禁止、税務に関するディスクロージャー等のガイドラインを示しています。また、同指針に記載したガイドラインの運用状況については、IFRIC23の指針に基づいた対応状況と併せて、国内外の連結子会社から、事業年度末に報告書を受けることによってモニタリングを行っています。このほか、税制改正やBEPSをはじめ国際税務に関する動向を把握し、適宜、国内外の連結子会社と最新情報を共有するなど、当社グループにおける税務体制の整備に努めています。
FY2024|13,207 文字
3【事業等のリスク】 当社のリスク管理基本規程において「リスク」とは、「当社グループにおける事業目的の達成を阻害する要因すべて」と定義しております。また「リスク管理」とは、リスクの識別・評価を行い、リスクを低減する活動を行うとともに、その活動をモニタリングすることによって、継続的に改善を行う一連の措置(平常時のリスク管理)、及び経営に対する重大な障害・事故等の緊急事態への迅速な対応(緊急時のリスク管理)を指すと定めております。 この規程に基づいてリスクを適切に認識し、発生の可能性や影響度の評価を行い、優先度を定め、リスクへの対処を決定したうえで、リスク顕在化の可能性をできるだけ低減する活動を行っております。併せて、リスクが顕在化した場合には、発生する障害・事故へ迅速な対応を行い、人びとや社会をはじめとするステークホルダーへの影響を最小限に留めるべく、リスク管理を推進しております。(1)リスク管理体制 当社グループのリスク管理体制は、“リスク管理統括責任者(代表取締役社長執行役員)”、“企業倫理・リスク管理委員会の委員長(代表取締役副社長執行役員)”を基軸として、下図の通り、“企業倫理・リスク管理委員会(委員長が指名する委員による構成)”、また、企業倫理・リスク管理委員会の下部組織として、全社横断的な重要課題について活動方針策定やモニタリングを行う“リスク主管部署”、及び“リスク対応部会(企業倫理・リスク管理委員会が決定/設置)”、さらに、企業倫理・リスク管理委員会が定めるリスク管理(抽出、評価、対応、モニタリング)を行う“リスク管理組織”及び“リスク管理責任者”によって構成されております。 “企業倫理・リスク管理委員会”では、それぞれの“リスク管理組織”から抽出されたリスクについて、発生の可能性と影響度の観点から評価を実施し、当社グループの経営に重大な影響が想定されると評価したリスク項目を特定のうえ、毎年、“リスク管理統括責任者(代表取締役社長執行役員)”に提示し「グループ重要リスク」としての承認を踏まえております。その後、「グループ重要リスク」の項目ごとに、“リスク主管部署”、あるいは“リスク対応部会”を通してリスクを軽減化する対応策への取り組みを進め、併せて、“企業倫理・リスク管理委員会”を定期的(四半期ごと)、及び必要に応じて臨時に開催し「リスク管理体制」が有効に機能しているかどうかのモニタリングを行っております。 (2)事業等のリスク 当該有価証券報告書に記載している「第2 事業の状況」等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に、重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとその対策は後述のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 また、前述のとおり、“企業倫理・リスク管理委員会”では当社グループの経営に重大な影響が想定されると評価・特定したリスク項目を、“リスク管理統括責任者(代表取締役社長執行役員)”へ提示し承認を受けることによって「グループ重要リスク」を定めております。なお、下図の項印、★印は「経営環境・事業戦略」に関するリスク、■印は「事業運営上」のリスクであります。 (2)-1 経営環境・事業戦略に関するリスク市場の構造変化□ 発生の可能性:高□ 影響度:大● リスクの内容百貨店・量販店をはじめとする大規模小売店や商業施設の減少は、百貨店・量販店の売上シェアが高い当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。また、消費者接点(店舗)の減少はブランド認知率の低下、顧客の購入意欲の低下に波及するなど、この市場構造の変化は、既存業態の再編、営業政策の変更等をもたらし、グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策小売市場の構造変化(オンラインモールやフリマアプリの市場拡大)が進んでおり、旧来の百貨店、量販店及び専門店といった卸売店舗の売上シェアは漸減していくと予測しています。国内では基幹ブランドの育成、及びEC事業拡大を目的に、顧客起点での製販一気通貫ブランドマネジメント体制を構築し、8つの基幹ブランド(⑴Wacoal ⑵Wing ⑶AMPHI ⑷CW-X ⑸Salute ⑹Yue ⑺WACOAL MEN ⑻ワコールサイズオーダー)に経営資源の投下を集中する一方、流通チャネル業態を横断した顧客データの一元管理を実現することで、いろいろな流通チャネル業態を活用いただくことのベネフィットを実感してもらい、それぞれのお客さまの求めに応じたLTV(ライフタイムバリュー)としての顧客体験価値を高めるCX戦略を推進しています。今後も、実店舗でのパーソナルサービスの強化と、WEB販売でのストレスフリーなパーソナル情報の連携の強化に、バランスよく取り組んでいきます。また、海外では、オフラインとオンラインを融合した独自のサービス展開によって、引き続き、個々の国や地域でブランド認知度を向上させる取り組みに注力する一方、競合他社には真似できないフィッティングにおける顧客体験の向上を目指しています。各々の国・地域でDXを加速させ、お客さまのLTVの向上を実現し2030年度(2031年3月期)にはEC売上比率を50%超に導くよう進めています。 調達価格の上昇□ 発生の可能性:高□ 影響度:大● リスクの内容サプライチェーンの構造変化が進行し、原材料の値上がりや生産地の人件費高騰、輸送コストの上昇等により仕入価格が上昇した結果、業績に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策材料の調達や製品の生産においては、適切に品質とコストの両面を照合しながら、ベトナムをはじめとするASEANの国々や地域での調達・生産の比重を増やしています。併せて、製品の企画・設計段階から、資材・カラー集約を前提に、可能な限り、材料品種を増やさない取り組みや、材料調達先を国内から海外に求める取り組み、廃棄に至る製品・材料の最少化への取り組み、省力化機器導入による生産効率化への取り組みなどを進めています。さらには、製品検査工程と材料品質基準のシンプル化・適正化、基幹ブランド再編による生産ロット拡大と作業能率向上などにも努めています。他方、2022年4月に1社に統合した国内縫製会社においては、引き続き、国内の高い縫製技術を継承しつつ、外部環境の変化に応じた柔軟な生産管理体制を構築することにより、競争優位性強化と事業効率向上の両立を目指します。同時に、新技術や新設備のグループ内工場における汎用的活用の実現や技術支援といった役割を果たし、短納期・高難度・小ロット生産に対応できる生産体制を広く整備し、事業効果の強化に取り組んでいます。 競争・競合環境の変化□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容国内外の市場において、競合会社、低価格品、また、異業種からの新規参入者などにより、市場競争が激化する中、商品・サービス・宣伝販促・業態開発の適切な提案ができず、結果としてブランドの想起率・認知率が低下、販売シェアが奪われ、長期的に業績が低下する可能性があります。● 対応策競争激化は、価格の下落、広告宣伝費の増加、売上高及び市場シェアの減少等につながり、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な影響を及ぼします。㈱ワコールの収益力の改善と成長軌道への回帰を実現するためには、「顧客起点」を軸に、長年に亘り蓄積した顧客のデータベース、様々な体型にかかる研究・知見、心地よさを実現する製造技術、パーソナライズなニーズに寄り添いサービスを提供できる組織力といった「ワコールの強み」に、デジタル技術を用いて、顧客の「自分らしさ」を引き出しエンパワーメントする商品とサービスを提供し続けることが欠かせません。ハイプレミアム市場、アフォーダブル市場、スポーツ市場といった注力セグメントへの集中、ECや直営店チャネルへの注力強化とともに、愛されるブランドを育成し信頼感を高め、顧客と「深く・広く・長く」関わっていただける絆づくりに努めています。さらに、海外事業においては、中国・アジア圏の市場分析をもとにした新製品の開発・販売を推し進め、新規顧客との接点拡大に取り組むほか、欧米市場では、顧客の多様な価値観に応えるグループ独自の特徴あるブランド展開・商品戦略を推進することによって、他社との差別化を実現すべく事業への成長投資を継続しています。併せて、当社グループにとって成長余地が確認できる新興地域に向けては、積極的な成長投資を進めています。 消費者の価値観変化□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容ブランド戦略、商品、サービスが消費者の価値観変化に合わずに、顧客を獲得できず、もしくは顧客を失って経営が悪化する可能性があります。また、ブランドマネジメント、マーケティングミックスの失敗により、若年層顧客の囲い込みが適わず、一方で既存顧客の離反が進み、ブランド価値を毀損する可能性があります。さらには、資源価格高騰、賃金の上昇、為替相場の変動を受けて原材料・製品の輸入価格が上昇する中、商品の価格に見合った顧客価値の提供が実現できないと、新規顧客の獲得の失敗や既存顧客の逸失を招く可能性があります。● 対応策顧客にとっての価値を創造する活動すべてを「マーケティング」と位置づけ、一連の顧客体験を通じてLTV(ライフタイムバリュー)を高め、顧客に選ばれるための必然を創造する取り組みを進めています。商品を購入いただくといった旧来型の志向から脱却し、オンラインとオフラインのすべての顧客との接点において、顧客情報が連携され、ブランドとのつながりが生まれる仕組みを築き、お客さまの一連の行動フローに対して価値を提供し、顧客の「自分らしさ」をエンパワーメントする商品とサービスを提供し続けることで、長い関係づくり、生涯顧客づくりに変えていく取り組みをスタートさせています。ブランドマネジメントの面では8つの基幹ブランドへの整理・集約、これと連動した、ブランドコミュニケーション、マーケティングコストの集中と選択を実施することで、お客さまに向けたメッセージの質と量、双方の拡充を進めています。併せて、サステナビリティ活動への取り組みを強化し、社会をはじめステークホルダーからのレピュテーション向上と確立にも力を入れています。 新しい市場・顧客の開拓□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容顧客の下着やファッションに対する相対的な関心の低下、日本の人口減少や少子高齢化による国内市場の縮小を踏まえて、当社グループは、海外市場の開拓や新業態・新分野への進出等、新規市場の開拓に取り組んでいるものの、この先、一層多様化するであろう消費者の価値観に応えきれず、計画した成果が出せないとグループ業績に影響を与える可能性があります。● 対応策国内では、当社ブランドとの接点が少ない潜在顧客、とりわけ若年層やアフォーダブル価格志向層に対し、購入意欲を喚起できる商品・マーケティング施策が打ち出せず、新規の顧客獲得に苦慮しています。一連の顧客体験や購買行動(カスタマージャーニー)を見極め、顧客に選ばれる必然の創出について、改めて見直す取り組みを進めるとともに、顧客への提供価値の明確化、若年層・アフォーダブル価格志向層を対象とした顧客層の拡大を強く意識したブランドポートフォリオの再設計を進めています。他方、既存の愛用者に向けたリテンションマーケティング強化の取り組みは着実に成果に結びついており、ロイヤルカスタマーとして、これまで以上に太い絆を築くことができています。ロイヤルカスタマーに対するワードローブの品揃えを拡充するなど、当社グループの提供価値として実現できるLTVの最大化に向けて、より一層、優先的に力を注いでいきます。一方、米国では、Wacoalブランドに止まることなく、引き続き、Elomiほか、当社グループが展開するブランドポートフォリオの事業成長をねらいに、デジタルマーケティングへの投資を積極的に実施することで、EC事業主体の成長を目指しています。当事業年度は、物流インフラなど今後のEC成長を支える体制の整備と強化を進めました。また、CRMの強化を行い購買履歴に基づいたパーソナライズ対応の向上を図るなど、新規顧客の獲得と同時に既存顧客のエンゲージメントを高める施策を行っています。中国では、中間層が購買の中心であるEC市場において、オフラインとオンラインの連携やCRM戦略の強化に取り組みながら、新規顧客の獲得と既存顧客のロイヤルカスタマー化を進めていきます。これらのほか、消費者に中間所得者層が多いにも関わらず、当社グループの事業規模がまだ小さいドイツやインドなどへは、今後の拡大余地が大きい市場と捉えて戦略的な投資を進めています。 人材の確保□ 発生の可能性:高□ 影響度:中● リスクの内容特にものづくり(企画力・技術力・研究開発力)、IT・デジタル、販売員、海外経営において人材の確保、育成ができないと、今後の成長や競合会社に対する優位性を作り出せず、グループの業績が低迷する可能性があります。● 対応策当社グループではジョブ型採用をはじめ、新しい採用手段の導入による人材確保に併せて、集団型講義やオンラインでの専門知識研修の実施やOJT、海外研修制度、他社と合同で実施する異業種クロスラーニングの開催などといった、実地研修機会の充実によって人材の育成を行っています。また、キャリア採用の比重を拡大するほか、リファラル採用にも注力し多様な人材の確保による活性化も進めています。また、初任給の見直しや基本給ベースアップの実施をはじめ、職務・役割をベースとしたメリハリのある処遇(報酬体系)を実現すべく、目標達成時の還元給の支給、職務価値・成果に応じた処遇、役割給の見直しなどといった人的資本への投資姿勢を鮮明にした制度改革を推し進め、事業の中核を担う人材、将来価値を生む人材の確保を図っています。 (2)-2 事業運営上のリスク情報システム可用性障害の発生□ 発生の可能性:高□ 影響度:大● リスクの内容システム開発のミスや遅延、また、重要なシステムに障害が発生することで、事業継続が困難になってしまうと、得意先・顧客はじめ、すべてのステークホルダーからの信頼を失う可能性があります。外部からの悪意ある攻撃、あるいは天災被害等により、基幹システムやWEB販売サイト等の稼働が不可能となった場合、ファイルサーバや従業員のPCから機密情報が流出した場合、事業への悪影響が出る可能性があります。● 対応策当社では「情報セキュリティ基本方針」、「情報セキュリティ関連組織と責任に関する規程」等を定め、すべての従業員に対して情報保護の必要性と責任についての理解促進を図っています。“企業倫理・リスク管理委員会”の傘下に「情報セキュリティ部会」を設置し、現状の情報管理体制の把握と改善、また、顧客情報や重要情報にかかる不正なアクセスによるデータの破壊や漏えい、ウイルスやランサムウェアによる事業運営そのものの阻害を狙ったサイバー攻撃などについて、情報の収集を行い、情報セキュリティ上のリスクを特定すべく、現状の調査、分析等を実施しインシデントの発生を回避あるいは発生時の影響を軽減するなどの体制を整えています。同時に、当社グループの活動方針や具体的対策の立案、関連規程の制定・改廃、戦略的な投資案件の討議を行い、サプライチェーンにおける情報セキュリティリスクの低減に努めています。具体的には、不慮のシステム障害・誤作動に備えて、システムやデバイスをリアルタイムで監視するセキュリティツールの導入と運用を開始する一方、重要なシステムは適切なハードウェアやネットワーク構成、クラウド化の選択ができているか、また、IT資産の適切なメンテナンスが実施されているかなど、適宜モニタリングを行っています。さらに、定期的な標的型メール訓練の実施や、昨今報道されているような情報事故事例などを用いた注意喚起を行うなど、従業員の意識向上と仕組みの構築による両面からリスクの軽減を行っています。 情報管理の不備□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容情報管理の不備により、機密情報や個人情報の漏えいや紛失が発生すると、事業活動上、不利益を被るばかりか、社会的信用の失墜、事業運営の停止といった重大な損失影響が出る可能性があります。● 対応策当社では「情報分類規程」、「秘密情報取扱規程」、「個人情報保護規程」等を定め、取り扱うすべての情報を、機密性、一貫性及び可用性の観点から適切に分類するとともに、保護・漏えい防止を図っています。また、重要情報の保護・管理の徹底をねらいに、当社グループの重要情報一覧表を整備し、経営、事業・販売戦略、製品開発、自社ノウハウ、個人情報、情報システム等の区分から、具体的なインサイダー情報の事例を挙げて重要情報の保護対策に取り組んでいます。とりわけ、当社グループは事業活動上、多数の顧客に関わる個人情報を有しています。将来を見据え、㈱ワコールでは「CX戦略」を成長の柱と位置付け、収集した個人情報を含めたデジタルデータを基盤としたビジネスモデルの再構築を進めています。また、海外では顧客の個人情報を直接取得するEC事業を強化し、成長の柱とする計画を進めています。国内における改正個人情報保護法の施行対応に止まることなく、個人情報保護は当社グループ事業活動上の重要性が増しています。“企業倫理・リスク管理委員会”の傘下に設置した「情報セキュリティ部会」では個人情報の保護・管理の強化、関連法規制への対応、従業員への教育等を含め、個人情報を外部の脅威から守るために、国内外の関係会社を対象に管理状況の調査と対策指導・助言等を進めています。 債券相場・金利の変動□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容保有する上場株式や債券等の市場価値が下落し、減損が発生する可能性があります。他方、年金資産の評価減・積立不足は追加拠出や引当が必要となりグループ業績に影響を与える可能性があります。● 対応策当社及び当社の特定完全子会社の㈱ワコールが保有している株式の状況は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況」を参照ください。2023年11月に開示した中期経営計画(リバイズ)では、2026年3月期末までに保有する政策保有株式を300億円以上(前事業年度末(2023年3月末)時価ベース)縮減し、連結純資産額の10%未満とする方針を示しています。当事業年度は、取締役会にて、個別の銘柄ごとに保有によって実現している収益が当社資本コストを上回っているか、当社の企業価値向上につながっているかを検証した結果、保有意義が希薄化した10銘柄・約148億円(前事業年度末時価ベース)の処分・縮減を進めました。他方、退職給付費用及び債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の仮定に基づき算出していますが、有価証券の相場並びに金利環境の変化等により、実際の結果が仮定と異なる場合、または仮定に変化があった場合には、退職給付費用及び債務が増加するリスクがあります。当社は国内社債の利回りに基づいて割引率を設定しています。割引率については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記22.従業員給付」を参照ください。企業年金のアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう、財務・人事・経理等の部門長らで構成する年金委員会を設置し、四半期単位で資産運用方針や政策的資産構成割合等を検討すると同時に、外部の運用コンサルティング会社を起用し専門能力・知見を補完しています。 自然災害・事故等の発生□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容地震などの自然災害や火災・爆発等が発生し事業所・生産拠点が被害を受ける、あるいは、従業員が被災する可能性があります。また、交通網の遮断や電力供給の停止、通信回線の不通等、大型小売店や直営店舗、通販サイトや物流網の被災により事業活動に支障が出る可能性があります。● 対応策首都直下型地震をはじめとする大規模事故の緊急事態に備え、“企業倫理・リスク管理委員会”の傘下に設置した「BCP・災害対策部会」では、主要な事業拠点が被災した際のBCP策定を順次整備するなど、予防・減災、応急・初動、復旧・復興の観点で事業継続マネジメントに取り組んでいます。具体的には建物の耐震化、データ関連サーバのクラウド化、災害発生時の従業員安否確認システム、モバイルワークなどといった環境整備に加え、社会的責任を踏まえて、緊急時においてもサービスや製品の安定供給ができるよう、販売事業所の業務バックアップ体制の確立や生産拠点の分散化配置によって、リスクの低減を図っています。 企業倫理・コンプライアンスの姿勢□ 発生の可能性:高□ 影響度:中● リスクの内容第三者から、サプライチェーンにおける人権、労働、環境問題等を指摘・公表され、事業活動に影響を与える、企業価値を毀損する可能性があります。また、企業倫理・コンプライアンスに反する行為が増加する、あるいは、ソーシャルメディアやブログ等のWEBサイト上を含めた広告表現や発言に問題が発生することによって、社会的な信頼を失い、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。● 対応策当社グループを取り巻く国内外の法令や規制等への違反、社会的要請に反する行為等があった場合は、処罰や社会的な信用の低下などにより、経済的・社会的な影響を受けるリスクがあります。「企業倫理・ワコールの行動指針」を定め、従業員に頒布し周知徹底を図るだけでなく、“企業倫理・リスク管理委員会”の下に設置した「コンプライアンス部会」の活動を通じて、従業員への啓発活動、内部通報制度、外部専門機関による法令ヘルスチェックなどの施策を拡充し、法令順守の強化に努めています。また、当事業年度においては、当社グループの経営理念の枠組みの見直しや事業を取り巻く環境変化を受けて「企業倫理・ワコールの行動指針」の改訂版をとりまとめ、2024年4月から、第7版としての運用を開始しました。また、当社グループの事業領域において特に注力すべき点として、サプライチェーンでの労務・人権問題が挙げられます。過去には人権NPOから連結子会社の発注先である海外縫製工場における労務・人権問題について指摘を受けたことや、国内において二次製造委託先の外国人技能実習生に対する超過勤務手当の未払いが発覚したことがありました。2018年4月に立ち上げた「CSR調達部会」を、現在は“サステナビリティ委員会”の傘下に移管し、人権の尊重、環境・社会との調和、法令の順守、労働慣行、事業慣行の観点などから、製造委託先等の工場ごとに自己評価と現地監査を行い、是正・改善計画の策定とモニタリングを行う取り組みを高めています。併せて、CSR調達活動の対象先を、製造委託先を超えて漸次拡大を図るとともに、仕入先一覧を当社ホームページで開示しています。 知的財産権の侵害・被侵害□ 発生の可能性:高□ 影響度:中● リスクの内容知的財産権を侵害されたり侵害したりすることで、訴訟や経済的損失が起きる可能性があります。また、近年、インターネット上で当社ブランドを詐称した「なりすまし広告・偽サイトへの誘導」が拡がっています。注意喚起や排除措置といった適切な対策を怠れば、消費者や市場からの信頼失墜を招きかねず、戦略的な知的財産権の保護や活用ができないでいると、事業に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策当社グループは知的財産権があらゆる事業活動に関わり、競争優位性を確保する重要な資産であると認識しています。ブランドや、独自の技術、デザイン、サービス等を、自社の競争力の源泉として知的財産権で保護・活用できるよう、一方で他社の知的財産権を尊重し侵害しないよう、従業員に対しセミナーによる教育や業界知財動向の共有を行い、正しい理解を促しています。また、外部専門家との連携を強化するなど、知的財産担当部門の知見を高めDXやCX戦略、新規事業における知的財産権の保護、活用を進めています。また、国内外における模倣商品の出現や、他社による商標、特許等の無断使用といった知的財産権の侵害には、侵害者に対して権利主張を行い、厳格に対応を行うこととしています。最近ではEC事業のボーダーレス化に伴ったブランド価値の棄損、とりわけ、SNSを中心とした当社ブランドを騙る「なりすまし」の広告・販売の出現について、消費者への注意喚起の実施、販路の追跡と監視、排除措置の実施等に力を注ぐとともに、日本国内に留まらない消費者保護、ブランド保護対策に努めています。 デジタルマーケティングの加速による表現訴求、品質表示・取扱表示等の記載□ 発生の可能性:高□ 影響度:中● リスクの内容主流になりつつあるデジタルマーケティングにおいて、従業員参加型を含むSNS上の発信内容、サステナビリティを巡る国際基準に逆らう概念での訴求表現によって、ネガティブキャンペーンや発信者への誹謗中傷をはじめとする社会問題を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。他方、品質表示等の法令違反や機能性表示における不適切な表現は社会的な信用を損なう可能性があります。また、商品の回収・表示変更のコスト発生、販売中止によって経済的な損失影響が出る可能性があります。● 対応策消費者が適正に商品を選択し使用するための品質表示については、商品そのものに付帯させる法定表示に始まり、店頭やメディアでの広告・宣伝、販促表現、知的財産保護表示など多岐にわたっており、リスクが顕在化しやすい事案だと認識しています。また、加熱するデジタルマーケティングを背景に、SNSでの当社の発信や参加者の言動が社会的な批判に晒される、あるいは、昨今においては、その内容の真偽に関わらず拡散されるリスクも認識しています。“企業倫理・リスク管理委員会”傘下の「品質保証審議会」、「品質管理委員会」の活動を通して、表示内容を決定する部門でのダブルチェックを前提にした表示確認体制の整備、表示決定のプロセスにおける可能な限りのシステム化、表示ミス発生時の迅速な対応、問題発生後の再発防止のための徹底的な原因究明と対策の実施といった、一連のサイクルをルール化し運用しています。また、品質表示に関わる社内啓発活動と担当者教育を定期的に実施しています。併せて、国内外の関係会社ごとの事業環境に照らしたSNS運用規程を定めて周知徹底を行うとともに、マーケティングやコミュニケーション部門の従業員を対象に、訴求表現内容の事前確認・適否判断を行うための教育を推進しています。加えて当社ブランドを騙る「なりすまし」の広告・販売に対して、消費者への注意喚起の実施だけでなく、販路の追跡と監視、排除措置の実施等に毅然として注力しています。このほか、独禁法、景表法、薬機法などと絡めたガイドライン各種の制定と改訂、e-ラーニングによる従業員を対象にした教育の実施などによってリスクの軽減を図っています。また、機能・効能表現においては、商品化計画部門と研究部門、品質保証部門間の連携フローと併せて表記ルールの再整備を行い、外部の機関を交えたエビデンスデータの確認体制を整えています。 設計・製造上の品質保証□ 発生の可能性:中□ 影響度:中● リスクの内容不良品を販売することや商品が人体へ危害を及ぼすこと等により、商品回収等のコストが発生する、当社が高品質の商品を提供するというレピュテーションが損なわれ社会的信用を失うといった、業績への悪影響を及ぼす可能性があります。● 対応策高品質な商品をグローバルに提供できることが、当社グループの強みの一つです。“企業倫理・リスク管理委員会”の下に「品質保証審議会」を設置し、安全性ガイドラインを整備すると同時に、製品企画・設計・開発時点での安全性確認ルールの順守、製造時の検査の徹底、問題発生時の原因追及と再発防止策の策定に取り組んでいます。併せて、こうした活動・情報内容については、グループの国内外関係会社へ水平展開・共有化を図ることによって、品質意識の高揚、全体での管理体制の底上げを行っています。また、「品質保証審議会」の傘下では、商品化計画を担う部門ごとのメンバー選出による「品質管理委員会」を運営し、個別課題への対策フォローアップ、品質管理全般に対する社内教育を実施しています。他方、生産拠点の現場では、定めた品質管理・検査の徹底のみならず、製品受入ロックシステム(材料基準達成製品のみの受け入れ)の運用による基準未達品の排除、検査人員の技量の標準化、品質優秀表彰制度による従業員のモチベーションアップに取り組んでいます。 新興国の社会情勢変動□ 発生の可能性:中□ 影響度:中● リスクの内容新興国に事業拠点を構える当社グループは、政治的不安定状態、法改正や制度変更、ストライキの発生、人材の確保難などによって材料調達や生産が滞る、自国産業保護政策(輸入関税、外資規制等)が継続し事業効率の改善が遅れる、あるいは新規の多額投資を必要とするなど、事業業績に影響を与える可能性があります。● 対応策各国・地域の法律・規制の動向には常に十分な注意を払い、現地情報の収集・分析に努めています。現地の“リスク管理責任者”と連携し、地域の実情を把握し、必要に応じ外部の弁護士、コンサルタントなど、専門機関の協力を得て対応を行うよう整備と運用を図っています。軍事政権による掌握が続くミャンマーでは法律・規制の動向に加え、人権課題への対応についても注視しています。また、地政学的なリスクも見据え、適切な生産拠点の分散を行いリスクの軽減化に努めています。このほか、高い輸入関税が適用されるインドでは、国内における商品企画・生産比率を高めることで競争優位性を強化するよう努めています。 税務の管理□ 発生の可能性:中□ 影響度:中● リスクの内容税制改正や移転価格の調査等による多額の課税がなされた場合には、風評被害の他、当社グループの財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策繰延税金資産については、現行の会計基準に従い、将来の課税所得を合理的に見積もったうえで計上しています。将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼすリスクがあります。これを踏まえて、当社では、適宜、経営環境の変化等に照らし、将来の課税所得の見積もりに関する見直しを行い、回収可能性を合理的に判断しています。事業を展開する国・地域の法令、国際税務関連法規を順守し、透明性の高い税務管理を行い、ステークホルダーからの信頼を得ることをねらいに「税務行動指針」を策定しています。この指針では、国内外の連結子会社を対象に、税務の最新情報入手や研修による啓発活動を含めたグループ税務体制の構築をはじめ、不確実な税務ポジションへの対応、優遇税制の適用、グループ会社間取引、租税回避行為の禁止、税務に関するディスクロージャー等のガイドラインを示しています。加えて、定期的に国内連結子会社を対象にした税務研修会を運営しています。当該研修会では、インボイス制度など、時事の税制改正に適切な対応を進める確認を行う一方、「税務行動指針」の周知・徹底を行っています。また、同指針に記載したガイドラインの運用状況については、IFRIC23の指針に基づいた対応状況と併せて、国内外の連結子会社から、事業年度末に報告書を受けることによってモニタリングを行っています。このほか、BEPSをはじめ国際税務に関する動向を把握し、適宜、海外連結子会社と最新情報を共有するなど、当社グループにおける税務体制の整備に努めています。
FY2023|13,849 文字
3【事業等のリスク】 当社のリスク管理基本規程において、「リスク」とは、「当社グループにおける事業目的の達成を阻害する要因すべて」と定義しております。これらのリスクを適切に認識し、発生の可能性や影響度の評価を行い、優先度を定め、リスクへの対処を決定したうえで、リスク顕在化の可能性をできるだけ低減するための活動を行っております。同時に、その活動をモニタリングすることにより、継続的に活動内容の改善に努めております。併せて、リスクが顕在化した場合には、発生する障害・事故へ迅速な対応を行い、人びとや社会をはじめとするステークホルダーへの影響を最小限に留めるべく、リスク管理を推進しております。(1)リスク管理体制 当社グループのリスク管理体制は、“リスク管理統括責任者(代表取締役社長執行役員)”、“企業倫理・リスク管理委員会の委員長(代表取締役副社長執行役員)”を基軸として、下図のとおり、“企業倫理・リスク管理委員会(委員長が指名する委員による構成)”、また、企業倫理・リスク管理委員会の下部組織として、全社横断的な重要課題について活動方針策定やモニタリングを行う“リスク主管部署”及び“リスク対応部会(企業倫理・リスク管理委員会が決定/設置)”、さらに、企業倫理・リスク管理委員会が定めるリスク管理(抽出、評価、対応、モニタリング)を行う“リスク管理組織”及び“リスク管理責任者”によって構成されております。 “企業倫理・リスク管理委員会”では、それぞれの“リスク管理組織”から抽出されたリスクについて、発生の可能性と影響度の観点から評価を実施し、当社グループの経営に重大な影響が想定されると評価したリスク項目を、毎年、取締役会に上程し「グループ重要リスク」としての決定を踏まえております。その後、「グループ重要リスク」の項目ごとに、“リスク主管部署”、あるいは“リスク対応部会”を通してリスクを軽減化する対応策への取り組みを進め、併せて、“企業倫理・リスク管理委員会”を定期的(四半期ごと)及び必要に応じて臨時に開催し「リスク管理体制」が有効に機能しているかどうかのモニタリングを行っております。 (2)事業等のリスク 有価証券報告書に記載した事業の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に、重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとその対策は後述のとおりであります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 “企業倫理・リスク管理委員会”が当社グループの経営に重大な影響が想定されると評価・選定したリスク項目を、取締役会で討議し「グループ重要リスク」を定めております。なお、★印は「経営環境・事業戦略」に関するリスク、■印は「事業運営上」のリスクであります。 (2)-1 経営環境・事業戦略に関するリスク市場の構造変化□ 発生の可能性:高□ 影響度:大● リスクの内容百貨店・量販店をはじめとする大規模小売店や商業施設の減少は、百貨店・量販店の売上シェアが高い当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。また、消費者接点(店舗)の減少はブランド認知率の低下、顧客の購入意欲の低下に波及するなど、この市場構造の変化は、既存業態の再編、営業政策の変更等をもたらし、グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策小売市場の構造変化(オンラインモールやフリマアプリの市場拡大)が進んでおり、旧来の百貨店、量販店及び専門店といった卸売店舗の売上シェアは漸減していくと予測しています。国内ではブランドや流通チャンネル業態を横断したエリア販売・マーケティング体制へ移行を進め、顧客データの一元管理を実現すると同時に、いろいろな流通チャネル業態を活用いただくことによって、それぞれのお客さまの求めに応じたLTV(ライフタイムバリュー)としての顧客体験価値を高めるCX戦略を推進しています。今後も、実店舗でのパーソナルサービスの強化と、WEB販売でのストレスフリーなパーソナル情報の連携の強化に、バランスよく取り組んでいきます。また、海外では、オフラインとオンラインを融合した独自のサービスの展開によって、引き続き、個々の国や地域でブランド認知度を向上させる取り組みに注力する一方、競合他社には真似できないフィッティングにおける顧客体験の向上を目指しています。当社グループのグローバル展開におけるミレニアル世代の獲得、EC事業での成長機会創出・競争力強化をねらいに買収した米国のIntimates Online, Inc.をはじめとして、各々の国・地域でDXを加速させ、お客さまのLTVの向上を実現し2030年度にはEC売上比率を50%超に導くよう進めています。 事業構造の改革(人件費率、過剰在庫、直営店・WEB販売等)□ 発生の可能性:高□ 影響度:大● リスクの内容卸売中心の事業構造の変革途上において、人件費比率が高止まりする、また、SKUの増大や総在庫総販売総生産管理の失敗による在庫の増大が、物流コストの増加や値引き評価替えを誘発するなど、収益業績に悪影響を与える可能性があります。一方、直営店やWEB販売での成長戦略を、エリア販売力の強化と併せて、迅速かつ効果的に進められないでいると流通チャネル構造の変化に抗えず、業績が低迷する可能性があります。● 対応策急速に進む市場の構造変化に中長期の経営戦略を重ねて、適正な人員体制を実現するための要員計画・組織改革を推進しています。当連結会計年度においては、㈱ワコールでフレックス定年制度の特別運用を実施し、人員及び人員構成の早期適正化、国内事業の収益力向上と事業構造改革のスピードアップ、また、従業員の今後のキャリア形成の支援を進めました。引き続き、従業員一人ひとりの会社への貢献度が見える化できる成果評価の制度整備を行い、自分たちが会社の未来を創っていることが実感できる組織風土づくりに取り組んでいきます。他方、従前のブランド戦略は流通チャネル業態の特性に沿って、細やかな対応を進めてきた結果、近年、約60ものブランド(サブブランド含む)を展開するまでに至りました。現在、お客さまの購買行動(カスタマージャーニー)はオンライン・オフラインを問わないシームレスなものに変化し、加えてグローバルSPA型のブランドとの競争が激しさを増しています。ブランド編成を大胆に見直し、9つの基幹ブランドに集約すると同時に、その下に30程度の構成ブランドを配置する「基幹ブランド戦略」を定めました。ブランドや商品に重複がないかなど、顧客視点で全体最適に向けた整理に取り組んでいます。顧客中心の価値創造プロセスを構築し、顧客視点で発想し「必要とされる」・「期待を超える」商品とサービスが提供できるよう、加えて、基幹ブランド戦略のベースとなるファンづくりにつながるよう、成長戦略を描き、投資領域を絞り込んでいきます。 調達価格の上昇□ 発生の可能性:高□ 影響度:大● リスクの内容サプライチェーンの構造変化が進行し、原材料の値上がりや生産地の人件費高騰、輸送コストの上昇等により仕入価格が上昇した結果、業績に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策材料の調達や製品の生産においては、適切に品質とコストの両面を照合しながら、アジアの国々や地域での調達・生産の比重を増やしています。また、近年では、社会・労働環境の変化に対応し、海外生産の軸足は中国からベトナムをはじめとするASEANに移行しています。併せて、製品の企画・設計段階から、可能な限り、材料品種を増やさない集約化の取り組み、材料調達先を国内から海外に求める取り組み、廃棄に至る製品・材料の最少化への取り組みなども進めています。他方、当社グループでは、国内の縫製会社3社を2022年4月から1社に統合しました。国内の高い縫製技術を継承しつつ、外部環境の変化に応じた柔軟な生産管理体制を構築することにより、競争優位性強化と事業効率向上の両立を目指します。同時に、製品の研究・開発を担う部門と縫製現場の連携を、統合した縫製会社の下で一元化し、短納期・高難度・小ロット生産に対応できる生産体制を高め、事業効果の強化に取り組んでいます。 競争・競合環境の変化□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容国内外の市場において、競合会社、低価格品、また、異業種からの新規参入者などにより、市場競争が激化し、販売シェアが奪われ、長期的に業績が低下する可能性があります。● 対応策競争激化は、価格の下落、広告宣伝費の増加、売上高及び市場シェアの減少等につながり、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な影響を及ぼします。㈱ワコールの収益力の改善と成長軌道への回帰を実現するためには、「顧客中心戦略」を軸に、競争優位性の強化に照準を絞った取り組みが欠かせないと考えています。デジタル技術を用いてパーソナライズ化された情報を顧客に提供し、流通チャネル業態やブランドを横断してお客さま一人ひとりとのつながりをさらに深める「CX戦略」を推進することによって、一層の「顧客起点」を実現いたします。また、パーソナライズアプリ「Wacoal Carnet」や、「Wacoal 3D smart & try」を通して、お客さまに、科学的に先進的に、そして、わかりやすく情報をお届けすることで、ブランドへの信頼感を高め、ロイヤルカスタマーとして「深く・広く・長く」関わっていただける絆づくりに努めています。さらに、米国・欧州・中国の主要3法人では、グループ独自の特徴あるブランド展開・商品戦略を高めることによって、他社との差別化を実現すべく事業への成長投資を継続しています。併せて、新興国においては先駆的な利点を獲得すべく、インド市場での出店加速と積極的な広告宣伝投資を進めています。 消費者の価値観変化□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容ブランド戦略、商品、サービスが消費者の価値観変化に合わずに、顧客を獲得できず、もしくは顧客を失って経営が悪化する可能性があります。また、ブランドマネジメント、マーケティングミックスの失敗により、若年層顧客の囲い込みが適わず、一方で既存顧客の離反が進み、ブランド価値を毀損する可能性があります。● 対応策顧客にとっての価値を創造する活動すべてを「マーケティング」と位置づけ、一連の顧客体験を描き、顧客に選ばれるための必然を創造する取り組みを高めています。商品を購入いただくといった旧来型の志向から脱却し、オンラインとオフラインのすべての顧客との接点において、顧客情報が連携され、ブランドとのつながりが生まれる仕組みを築き、お客さまの一連の行動フローに対して価値を提供し、長い関係づくり、生涯顧客づくりに変えていく取り組みをスタートしました。ブランドマネジメントの面では9つの基幹ブランドへの整理・集約、これと連動した、ブランドコミュニケーション、マーケティングコストの集中と選択を実施することで、お客さまに向けたメッセージの質と量、双方の拡充を進めています。併せて、サステナビリティ活動への取り組みを強化し、社会をはじめステークホルダーからのレピュテーション向上と確立にも力を入れています。 新しい市場・顧客の開拓□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容日本の人口減少や少子高齢化による国内市場の縮小に向けて、当社グループは、海外市場の開拓や新業態・新分野への進出等、新規市場の開拓に取り組んでいますが、一方、多様化する消費者の価値観に応えきれず、計画した成果が出せないとグループ業績に影響を与える可能性があります。● 対応策国内では、当社ブランドとの接点が少ない潜在顧客に対し、購入意欲を喚起できる商品・マーケティング施策が打ち出せず、新規の顧客獲得に苦慮しています。一連の顧客体験や購買行動(カスタマージャーニー)を見極め、顧客に選ばれる必然の創出について、改めて見直す取り組みを進めています。他方、既存の愛用者に向けたリテンションマーケティング強化の取り組みは着実に成果に結びついており、ロイヤルカスタマーとして、これまで以上に太い絆を築くことができています。ロイヤルカスタマーに対するワードローブの品揃えを拡充するなど、当社グループの提供価値として実現できるLTVの最大化に向けて、より一層、優先的に力を注いでいきます。一方、米国では、引き続き、デジタルマーケティングへの投資を積極的に実施することで、EC事業主体の成長を目指しています。自社EC事業強化の一環として導入したデジタルフィッティングアプリ「Wacoal-mybraFit」の利便性を向上することなどによって、現状は46%程度のEC売上比率を長期的には70%程度まで高めたいと取り組んでいます。加えて、物流インフラなど今後のEC成長を支える体制についても強化を行っています。中国では、感染症の影響からの回復を加速すべく、商品開発とWEB販売の組織体制強化を図りました。百貨店において20%程度のシェアを持つものの、下着市場全体では1%未満に留まっているため、中間層が購買の中心であるEC市場において、オフラインとオンラインの連携やCRM戦略の強化に取り組みながら、新規顧客の獲得と既存顧客のロイヤルカスタマー化を進めていきます。これらのほか、消費者に中間所得者層が多いにも関わらず、当社グループの事業規模がまだ小さいドイツやインドなどは、今後の拡大余地が大きい市場と捉えて戦略的な投資を進めています。 人材の確保□ 発生の可能性:高□ 影響度:中● リスクの内容特に、ものづくり(企画力・技術力)、IT・デジタル、販売員、海外経営において人材の確保、育成ができないと、今後の成長や競合会社に対する優位性を作り出せず、グループの業績が低迷する可能性があります。また、販売員、退職後再雇用者の効率的配置ができないと、人件費効率の低下やモチベーションの低下が起こり業績の低迷を及ぼす可能性があります。● 対応策当社グループではジョブ型採用をはじめ、新しい採用手段の導入による人材確保に併せて、集団型講義やオンラインでの専門知識研修の実施やOJT、海外研修制度、他社と合同で実施する異業種クロスラーニングの開催などといった、実地研修機会の充実によって人材の育成を行っています。また、キャリア採用の比重を拡大するほか、リファラル採用にも注力し多様な人材の確保による活性化も進めています。一方、市場の構造変化を受けて、販売員の評価については、接客人数や顧客視点での満足度(LTV=生涯顧客価値)といった成果へ見直しを進めています。また、退職後再雇用者は、再契約に際して責任と役割を高める職群を増やし、適材適所の異動を進めると同時に、目標管理評価を運用した成果配分給の採用によってモチベーション向上を図っています。 (2)-2 事業運営上のリスク情報システム可用性障害の発生□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容システム開発のミスや遅延、また、重要なシステムに障害が発生することで、事業継続が困難になってしまうと、得意先・顧客はじめ、すべてのステークホルダーからの信頼を失う可能性があります。外部からの悪意ある攻撃、あるいは天災被害等により、基幹システムやWEB販売サイト等の稼働が不可能となった場合、ファイルサーバや従業員のPCから機密情報が流出した場合、事業への悪影響が出る可能性があります。● 対応策当社では「情報セキュリティ基本方針」、「情報セキュリティ関連組織と責任に関する規程」を定め、すべての従業員に対して情報保護の必要性と責任についての理解促進を図っています。“企業倫理・リスク管理委員会”の傘下に「情報セキュリティ部会」を設置し、現状の管理体制の把握と改善、また、顧客情報や重要技術情報にかかる不正なアクセスによるデータの破壊や漏えい、ウイルスやランサムウェアによる事業運営そのものの阻害を狙ったサイバー攻撃などについて、情報の収集、現状の調査、分析等を実施しています。同時に、当社グループの活動方針や具体的対策の立案、関連規程の制定・改廃、戦略的な投資案件の討議を行い、情報セキュリティリスクの低減に努めています。具体的には、不慮のシステム障害・誤作動に備えて、システムやデバイスをリアルタイムで監視するセキュリティツールの導入と運用を開始する一方、重要なシステムは適切なハードウェアやネットワーク構成、クラウド化の選択ができているか、また、IT資産の適切なメンテナンスが実施されているかなど、適宜モニタリングを行っています。さらに、国内連結子会社を対象に、定期的な標的型メール訓練の実施や、昨今報道されているような情報事故事例などを用いた注意喚起を行うなど、従業員の意識向上と仕組みの構築による両面からリスクの軽減を行っています。 情報管理の不備□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容情報管理の不備により、機密情報や個人情報の漏えいや紛失が発生すると、活動上、不利益を被るばかりか、社会的信用の失墜、事業運営の停止といった重大な損失影響が出る可能性があります。● 対応策当社では「情報分類規程」、「秘密情報取扱規程」、「個人情報保護規程」を定め、取り扱うすべての情報を、機密性、一貫性及び可用性の観点から適切に分類するとともに、保護・漏えい防止を図っています。また、重要情報の保護・管理の徹底をねらいに、当社グループの重要情報一覧表を整備し、経営、事業・販売戦略、製品開発、自社ノウハウ、個人情報、情報システム等の区分から、具体的なインサイダー情報事例を挙げて対策に取り組んでいます。とりわけ、当社グループは事業活動上、多数の顧客に関わる個人情報を有しています。将来を見据え、㈱ワコールでは「CX戦略」を成長の柱と位置付け、収集した個人情報を含めたデジタルデータを基盤としたビジネスモデルの再構築を進めています。また、海外では顧客の個人情報を直接取得するEC事業を強化し、成長の柱とする計画を進めています。国内における改正個人情報保護法の施行対応に止まることなく、個人情報保護は当社グループ事業活動上の重要性が増しています。“企業倫理・リスク管理委員会”の傘下に設置した「情報セキュリティ部会」では個人情報の保護・管理の強化、関連法規制への対応、従業員への教育等を含め、個人情報を外部の脅威から守るために、国内外の関係会社を対象に管理状況の調査と対策指導・助言等を進めています。 新しい疫病の蔓延□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容新疫病の蔓延による、政府・地方自治体からの外出自粛要請や店舗休業要請等を受けて、売上が低下しグループ業績に大きな影響を与える可能性があります。また、事業所内で感染者が拡大することで、従業員の出勤停止や事業所閉鎖により事業運営に支障をきたす可能性があります。● 対応策新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、顧客・取引先及び当社従業員の安全確保を第一に考え、いかに合理的に事業活動を継続すべきか、“企業倫理・リスク管理委員会”の下に「新型コロナウイルス感染症対策本部」(本部長:代表取締役副社長執行役員)を設置し、国内外の感染状況を注視しながら対策を講じました。具体的には、感染状況に応じて、店頭販売員の勤務やサービスの方法、店舗の営業体制を決定するほか、内勤者には国や地域状況にあわせた勤務体制(リモート会議や在宅勤務の推進、出張・会議等の制限や緩和など)を臨機応変に示してきました。こうした対応を踏まえて、新しい疫病の蔓延に備えた指針、行動計画の見直しを進めております。また、感染症と共生する個人消費行動の変化を見通し、通販サイトの利便性向上や感染の予防をしながら行動範囲を広げるワードローブの提案など、お客さまが求めるサービスの強化や新たな商品の開発を行い、競争優位の確保に努めます。生活必需品を扱う企業として衛生的で快適な生活を守り、お客さまに安心を提供し続ける責任を果たします。 債券相場・金利の変動□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容保有する上場株式や債券等の市場価値が下落し、減損が発生する可能性があります。他方、年金資産の評価減・積立不足は追加拠出や引当が必要となりグループ業績に影響を与える可能性があります。● 対応策当社及び当社の特定完全子会社の㈱ワコールが保有している株式の状況は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況」を参照ください。当連結会計年度を初年度とする中期経営計画では、2025年3月期末までに保有する政策保有株式を150億円以上縮減する方針を示しています。当連結会計年度は、取締役会にて、個別の銘柄ごとに保有によって実現している収益が当社資本コストを上回っているか、当社の企業価値向上につながっているかを検証した結果、保有意義が希薄化した7銘柄・約40億円の処分・縮減を進めました。他方、退職給付費用及び債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の仮定に基づき算出していますが、有価証券の相場並びに金利環境の変化等により、実際の結果が仮定と異なる場合、または仮定に変化があった場合には、退職給付費用及び債務が増加するリスクがあります。当社は国内社債の利回りに基づいて割引率を設定しています。割引率については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 21.従業員給付」を参照ください。企業年金のアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう、財務・人事・経理等の部門長らで構成する年金委員会を設置し、四半期単位で資産運用方針や政策的資産構成割合等を検討すると同時に、外部の運用コンサルティング会社を起用し専門能力・知見を補完しています。 自然災害・事故等の発生□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容地震などの自然災害や火災・爆発等が発生し事業所・生産拠点が被害を受ける、あるいは、従業員が被災する可能性があります。また、交通網の遮断や電力供給の停止、通信回線の不通等、大型小売店や直営店舗、通販サイトや物流網の被災により事業活動に支障が出る可能性があります。● 対応策首都直下型地震をはじめとする大規模事故の緊急事態に備え、“企業倫理・リスク管理委員会”の傘下に設置した「BCP・災害対策部会」では、主要な事業拠点が被災した際のBCP策定を順次整備するなど、予防・減災、応急・初動、復旧・復興の観点で事業継続マネジメントに取り組んでいます。具体的には建物の耐震化、データ関連サーバのクラウド化、災害発生時の従業員安否確認システム、モバイルワークなどといった環境整備に加え、社会的責任を踏まえて、緊急時においてもサービスや製品の安定供給ができるよう、販売事業所の業務バックアップ体制の確立や生産拠点の分散化配置によって、リスクの低減を図っています。また、当連結会計年度においては、首都直下型地震による被災を想定したBCPが合理的に機能するかの検証訓練を行いました。 企業倫理・コンプライアンスの姿勢□ 発生の可能性:高□ 影響度:中● リスクの内容第三者から、サプライチェーンにおける人権、労働、環境問題等を指摘・公表され、事業活動に影響を与える、企業価値を毀損する可能性があります。また、企業倫理・コンプライアンスに反する行為が増加する、あるいは、ソーシャルメディアやブログ等のWEBサイト上を含めた広告表現や発言に問題が発生することによって、社会的な信頼を失い、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。● 対応策当社グループを取り巻く国内外の法令や規制等への違反、社会的要請に反する行為等があった場合は、処罰や社会的な信用の低下などにより、経済的・社会的な影響を受けるリスクがあります。「企業倫理・ワコールの行動指針」を定め、従業員に頒布し周知徹底を図るだけでなく、“企業倫理・リスク管理委員会”の下に設置した「コンプライアンス部会」の活動を通じて、従業員への啓発活動、内部通報制度、外部専門機関による法令ヘルスチェックなどの施策を拡充し、法令順守の強化に努めています。また、当社グループの事業領域において特に注力すべき点として、サプライチェーンでの労務・人権問題が挙げられます。過去には人権NPOから連結子会社の発注先である海外縫製工場における労務・人権問題について指摘を受けたことや、国内において二次製造委託先の外国人技能実習生に対する超過勤務手当の未払いが発覚したことがありました。2018年4月に立ち上げた「CSR調達部会」を、現在は“サステナビリティ委員会”の傘下に移管し、人権の尊重、環境・社会との調和、法令の順守、労働慣行、事業慣行の観点などから、製造委託先等の工場ごとに自己評価と現地監査を行い、是正・改善計画の策定とモニタリングを行う取り組みを高めています。併せて、CSR調達活動の対象先を、製造委託先を超えて漸次拡大を図るとともに、仕入先一覧を開示しています。 知的財産権の侵害・被侵害□ 発生の可能性:高□ 影響度:中● リスクの内容知的財産権を侵害されたり侵害したりすることで、訴訟や経済的損失が起きる可能性があります。また、近年、インターネット上で当社ブランドを詐称した「なりすまし広告・偽サイトへの誘導」が拡がっています。注意喚起や排除措置といった適切な対策を怠れば、消費者や市場からの信頼失墜を招きかねず、戦略的な知的財産権の保護や活用ができないでいると、事業に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策当社グループは知的財産権があらゆる事業活動に関わり、競争優位性を確保する重要な資産であると認識しています。ブランドや、独自の技術、デザイン、サービス等を、自社の競争力の源泉として知的財産権で保護・活用できるよう、一方で他社の知的財産権を尊重し侵害しないよう、従業員に対しセミナーによる教育や業界知財動向の共有を行い、正しい理解を促しています。また、外部専門家との連携を強化するなど、知的財産担当部門の知見を高めDXやCX戦略、新規事業における知的財産権の保護、活用を進めています。また、国内外における模倣商品の出現や、他社による商標、特許等の無断使用といった知的財産権の侵害には、侵害者に対して権利主張を行い、厳格に対応を行うこととしております。最近では、EC事業のボーダーレス化に伴ったブランド価値の毀損、とりわけ、SNSを中心とした当社ブランドを騙る「なりすまし」の広告・販売の出現については、消費者への注意喚起の実施、販路の追跡と監視、排除措置の実施等に力を注ぐとともに、日本国内に留まらない消費者保護、ブランド保護対策に努めています。 デジタルマーケティングの加速による表現訴求、品質表示・取扱表示等の記載□ 発生の可能性:高□ 影響度:中● リスクの内容主流になりつつあるデジタルマーケティングにおいて、従業員参加型を含むSNS上の発信内容、サステナビリティを巡る国際基準に逆らう概念での訴求表現によって、ネガティブキャンペーンや発信者への誹謗中傷をはじめとする社会問題を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。他方、品質表示等の法令違反や機能性表示における不適切な表現は社会的な信用を損なう可能性があります。また、商品の回収・表示変更のコスト発生、販売中止によって損失影響が出る可能性があります。● 対応策消費者が適正に商品を選択し使用するための品質表示については、商品そのものに付帯させる法定表示に始まり、店頭やメディアでの広告・宣伝での訴求、販促表現、知的財産保護表示など多岐にわたっており、リスクが顕在化しやすい事案だと認識しています。また、インフルエンサーや従業員参加型の積極的なデジタルマーケティング活動を通した、当社の発信や参加者の言動に対する社会的な批判が、昨今においては、その内容の真偽に関わらず拡散されるリスクも認識しています。“企業倫理・リスク管理委員会”傘下の「品質保証審議会」、「品質管理委員会」の活動を通して、表示内容を決定する部門でのダブルチェックを前提にした表示確認体制の整備、表示決定のプロセスにおける可能な限りのシステム化、表示ミス発生時の迅速な対応、問題発生後の再発防止のための徹底的な原因究明と対策の実施といった、一連のサイクルをルール化し運用しています。また、品質表示に関わる社内啓発活動と担当者教育を、定期的に実施しています。併せて、国内外の関係会社ごとの事業環境に照らしたSNS運用規程を定めて周知徹底を行うとともに、マーケティングやコミュニケーション部門の従業員を対象に、訴求表現内容の事前確認・適否判断を行うための教育を推進しています。このほか、独禁法、景表法、薬機法などと絡めたガイドライン各種の制定と改訂、e-ラーニングによる従業員を対象にした教育の実施などによって、リスクの軽減を図っています。また、機能・効能表現においては、商品化計画部門と研究部門、品質保証部門間の連携フローと併せて表記ルールの再整備を行い、外部の機関を交えたエビデンスデータの確認体制を整えています。 設計・製造上の品質保証□ 発生の可能性:中□ 影響度:中● リスクの内容不良品を販売することや商品が人体へ危害を及ぼすこと等により、商品回収等のコストが発生する、当社が高品質の商品を提供するというレピュテーションが損なわれ社会的信用を失うといった、業績への悪影響を及ぼす可能性があります。● 対応策高品質な商品をグローバルに提供できることが、当社グループの強みの一つです。“企業倫理・リスク管理委員会”の下に「品質保証審議会」を設置し、安全性ガイドラインを整備すると同時に、製品企画・設計・開発時点での安全性確認ルールの順守、製造時の検査の徹底、問題発生時の原因追及と再発防止策の策定に取り組んでいます。併せて、こうした活動・情報内容については、グループの国内外関係会社へ水平展開・共有化を図ることによって、品質意識の高揚、全体での管理体制の底上げを行っています。また、「品質保証審議会」の傘下では、商品化計画を担う部門ごとのメンバー選出による「品質管理委員会」を運営し、個別課題への対策フォローアップ、品質管理全般に対する社内教育を実施しています。他方、生産拠点の現場では、定めた品質管理・検査の徹底のみならず、製品受入ロックシステム(材料基準達成製品のみの受け入れ)の運用による基準未達品の排除、検査人員の技量の標準化、品質優秀表彰制度による従業員のモチベーションアップに取り組んでいます。 新興国の社会情勢変動□ 発生の可能性:中□ 影響度:中● リスクの内容新興国に生産拠点を構える当社グループは、政治的不安定状態、法改正や制度変更、ストライキの発生、人材の確保難などによって材料調達や生産が滞り、業績に影響を与える可能性があります。● 対応策各国・地域の法律・規制の動向には常に十分な注意を払い、現地情報の収集・分析に努めています。現地の“リスク管理責任者”と連携し、地域の実情を把握し、必要に応じ外部の弁護士、コンサルタントなど、専門機関の協力を得て対応を行うよう整備と運用を図っています。軍事政権による掌握が続くミャンマーでは法律・規制の動向に加え、人権課題への対応についても注視しています。地政学的なリスクも見据え、適切な生産拠点の分散を行いリスクの軽減化に努めています。 税務の管理□ 発生の可能性:中□ 影響度:中● リスクの内容税制改正や移転価格の調査等による多額の課税がなされた場合には、風評被害の他、当社グループの財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策繰延税金資産については、現行の会計基準に従い、将来の課税所得を合理的に見積もったうえで計上しています。将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼすリスクがあります。これを踏まえて、当社では、適宜、経営環境の変化等に照らし、将来の課税所得の見積もりに関する見直しを行い、回収可能性を合理的に判断しています。2021年1月には、事業を展開する国・地域の法令、国際税務関連法規を順守し、透明性の高い税務管理を行い、ステークホルダーからの信頼を得ることをねらいに「税務行動指針」を策定し開示しました。この指針では、国内外の連結子会社を対象に、税務の最新情報入手や研修による啓発活動を含めたグループ税務体制の構築をはじめ、不確実な税務ポジションへの対応、優遇税制の適用、グループ会社間取引、租税回避行為の禁止、税務に関するディスクロージャー等のガイドラインを示しています。加えて、当連結会計年度より、国内連結子会社を対象にした定期的な税務研修会を運営しています。当該研修会では、インボイス制度など、時事の税制改正に適切な対応を進める確認を行う一方、「税務行動指針」の周知・徹底を行っています。また、同指針に記載したガイドラインの運用状況については、IFRIC23の指針に基づいた対応状況と併せて、国内外の連結子会社から、事業年度末に報告書を受けることによってモニタリングを行っています。このほか、BEPSをはじめ国際税務に関する動向を把握し、適宜、海外連結子会社と最新情報を共有するなど、当社グループにおける税務体制の整備に努めています。
FY2022|12,860 文字
2【事業等のリスク】 当社のリスク管理基本規程において、「リスク」とは、「当社グループにおける事業目的の達成を阻害する要因すべて」と定義しております。これらのリスクを適切に認識し、発生の可能性や影響度の評価を行い、優先度を定めリスクへの対処を決定したうえで、リスク顕在化の可能性をできるだけ低減するための活動を行い、同時に、その活動をモニタリングすることにより、継続的に活動内容の改善に努めております。併せて、リスクが顕在化した場合には、発生する障害・事故へ迅速な対応を行い、人びとや社会をはじめとするステークホルダーへの影響を最小限に留めるべく、「リスク管理」を推進しております。(1)「リスク管理」体制 当社グループの「リスク管理」体制は、“リスク管理統括責任者(代表取締役社長執行役員)”、“企業倫理・リスク管理委員会の委員長(取締役常務執行役員)”を基軸として、下図の通り、“企業倫理・リスク管理委員会(委員長が指名する委員による構成)”、また、企業倫理・リスク管理委員会の下部組織として全社横断的な重要課題について活動方針策定やモニタリングを行う“リスク主管部署及びリスク対応委員会(企業倫理・リスク管理委員会が決定/設置)”、さらに、企業倫理・リスク管理委員会が定めるリスク管理(抽出、評価、対応、モニタリング)を行う“リスク管理組織”及び“リスク管理責任者”によって構成されております。 “企業倫理・リスク管理委員会”では、それぞれの“リスク管理組織”から抽出されたリスクについて、発生の可能性と影響度の観点から評価を実施し、当社グループの経営に重大な影響が想定されると評価したリスク項目を、毎年、取締役会に上程し「グループ重要リスク」としての決定を踏まえております。その後、「グループ重要リスク」の項目ごとに、“リスク主管部署”、あるいは“リスク対応委員会”を通して、リスクを軽減化する対応策への取り組みを進め、併せて、“企業倫理・リスク管理委員会”を定期的(四半期ごと)及び必要に応じて臨時に開催し「リスク管理体制」が有効に機能しているかどうかのモニタリングを行っております。 (2)事業等のリスク 有価証券報告書に記載した事業の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に、重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとその対策は後述のとおりであります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 “企業倫理・リスク管理委員会”が当社グループの経営に重大な影響が想定されると評価・選定したリスク項目を、取締役会で討議し「グループ重要リスク」を定めております。なお、★印は「経営環境・事業戦略」に関するリスク、■印は「事業運営上」のリスクであります。 (2)-1 経営環境・事業戦略に関するリスク市場構造の変化□ 発生の可能性:高□ 影響度:大● リスクの内容百貨店・量販店をはじめとする大規模小売店や商業施設の減少および新業態の拡大は、百貨店・量販店の売上シェアが高い当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、この市場構造の変化は、既存業態の再編、営業政策の変更等をもたらし、グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策小売市場の構造変化(店舗数減少)が進んでおり、百貨店、量販店及び専門店といった卸売店舗の売上シェアは漸減していくと予測しています。国内ではブランドや業態を跨いだエリア販売・マーケティング体制へ移行を進め、顧客データの一元管理を含めた、お客さまの利便性を高めるCX戦略を推進しながら、直営店・WEB販売の強化を行い対応しています。また、海外では、オフラインとオンラインを融合した独自のサービスの展開により顧客体験の向上を目指しています。2019年7月には、当社グループのグローバル展開におけるミレニアル世代の獲得、EC事業での成長機会創出・競争力強化をねらいに、米国のIntimates Online, Inc.を買収しました。各々の国・地域でDXを加速させ、お客さまのLTVの向上を実現し10年以内にEC売上比率を50%超に導くよう進めています。他方、店舗閉鎖や倒産に伴い売掛債権が回収できなくなるリスクに対応するため、国内外ともに常に与信管理を徹底し店舗における在庫を適正水準に維持しています。 事業構造の改革□ 発生の可能性:高□ 影響度:大● リスクの内容卸売中心の事業構造の変革途上で人件費比率が高止まりする、また、SKUの増大や総在庫総販売総生産管理の失敗による在庫の増大が、物流コストの増加や値引き評価替えを誘発するなど、収益業績に悪影響を与える可能性があります。● 対応策急速に進む市場構造の変化、中長期の経営戦略を重ねて、適正な人員体制を実現するための要員計画・組織改革を推進しています。また、要員計画マネジメントを通して生まれる人員や時間は、新しい事業、強化すべき事業領域に投下し、従業員一人ひとりの会社への貢献度の見える化を行い、自分たちが会社の未来を創っていることを実感できる組織風土づくりを進めています。他方、従前のブランド戦略は流通チャネル構造の特性を受けて構築し、細やかな対応を進めてきた結果、約60ものブランド(サブブランド含む)を展開するまでに至りました。現在、お客さまの購買行動はオンライン・オフラインを問わないシームレスなものに変化し、加えてグローバルSPA型のブランドとの競争が激しさを増しています。ブランド編成を大胆に見直し、9つの基幹ブランドと27の構成ブランドに集約することを定め、投資効率を高める新しいブランド戦略を2021年秋冬シーズンから推進しています。 競争・競合環境の変化□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容国内外の市場において、競合会社、低価格品、また、異業種からの新規参入者などにより、市場競争が激化し、販売シェアが奪われ業績が低下する可能性があります。● 対応策競争激化は、価格の下落、広告宣伝費の増加、売上高及び市場シェアの減少等につながり、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な影響を及ぼします。当連結会計年度を最終年度とする中期経営計画では、㈱ワコールの再成長と収益力向上を掲げ、差別化戦略としてパーソナライズされた情報を顧客に提供し、お客さま一人ひとりとのつながりをさらに深め、より「顧客起点」を反映した戦略を推進する「CX戦略」を推進してきました。これはワコールが長年培ってきた接客販売の強みを、デジタル技術でさらに革新させ、店舗とWEBを連携させながら、最適な商品とそのお届け方法を提案し、顧客が自由に買い回ることができる利便性を高めるものです。また、新規顧客の獲得施策として電子カルテの活用、パーソナライズアプリの導入促進に加え、ブラサイズ無料診断の拡充、次世代ツール「Wacoal 3D smart & try」の導入店舗の拡大を実施し、「深く・広く・長く」つながる関係の構築に努めてきました。「Wacoal 3D smart & try」は、百貨店を中心に当連結会計年度末までに20店舗の設置を終え、今後さらに拡大する予定です。さらに、米国・欧州・中国の主要3法人では、グループ独自の特徴あるブランド展開・商品戦略を高めることによって他社との差別化を実現すべく、事業への成長投資を継続しています。併せて、新興国においては先駆的な利点を獲得すべく、インド市場での出店加速と積極的な広告宣伝投資を進めています。消費者の価値観変化□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容ブランド戦略、商品、サービスが消費者の価値観変化に合わずに、顧客を獲得できず、もしくは顧客を失って経営が悪化する可能性があります。また、ブランドマネジメント、マーケティングミックスの失敗により、若年層顧客の囲い込みが適わず、一方で既存顧客の離反が進み、ブランド価値を毀損する可能性があります。● 対応策当社グループでは、商品政策の面では、消費者ターゲット別の商品化計画を進めるとともに、「マッチミーブラ」をはじめ快適系商品の機能優位性向上、デザイン性での差別化、また、「ルーピング(ブラ・ショーツ)」による環境配慮型の高品質・高付加価値商品の展開など、継続的な顧客ニーズへの対応と新しい価値の創出・提供に努めています。ブランドマネジメント、マーケティング戦略の面では9つの基幹ブランドへの整理・集約、これと連動した、ブランドコミュニケーション、マーケティングコストの集中と選択を実施することで、消費者ターゲットに向けたメッセージの質と量、双方の拡充を進めています。併せて、サステナビリティ活動への取り組みを強化し、社会をはじめステークホルダーからのレピュテーション向上と確立にも力を入れています。さらにCX戦略の面ではブラサイズ無料診断施策や、電子カルテ、パーソナライズアプリ、3Dボディスキャナーを組み合わせ、個々人のニーズに寄り添った顧客との関係づくりを強化しています。 新しい市場・顧客の開拓□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容日本の人口減少や少子高齢化による国内市場の縮小に向けて、当社グループは、海外市場の開拓や新業態・新分野への進出等、新規市場の開拓に取り組んでいますが、一方、多様化する消費者の価値観に応えきれず、計画した成果が出せないとグループ業績に影響を与える可能性があります。● 対応策国内では、当社グループが強みとするキャリア世代に加えて、導入世代・マチュア/シニア世代対策としてのマーケティング強化を進め、生涯顧客やロイヤルカスタマーづくりに取り組んでいます。㈱ワコールにおいて、流通チャネル構造や顧客の購買行動の変化に向き合い、オンラインとオフラインの垣根のない販売体制を進化させる新しいブランド戦略を、2021年7月に打ち出しました。9つの基幹ブランドに絞り、経営資源を集中することで個々のブランドによる提供価値の最大化を目指しています。また、ブランドの存在意義を再定義するとともに、商品構成も含めてリニューアルし、実店舗・ECなどのチャネルを問わずシームレスに行動されるお客さまの変化に柔軟に対応できるブランド体制の確立に努めています。併せて、ピーチ・ジョンは年齢層の異なる3ブランド(PJ、SL、GLRS)を成長させることで、ターゲット層の拡大を行いながら、定期的な話題性の提供、顧客サービスの向上を進めています。他方、米国では、デジタルマーケティングへの投資を積極的に実施することで、EC事業主体の成長を目指しています。自社EC事業強化の一環として2021年5月にデジタルフィッテングアプリ「my fit bra」を導入しました。スマートフォンでの体型計測を通じてお客さまのニーズに適した商品を提案する、このアプリの浸透を促すことなどによって、現状は40%程度のEC売上比率を長期的には70%程度まで高めたいと取り組んでいます。加えて、マーケティング強化だけでなく、物流インフラなど今後のEC成長を支える体制についても強化を行っています。中国では、百貨店において20%程度のシェアを持つものの、下着市場全体では1%未満に留まっているため、中国国内での認知度はまだ低い状況です。中間層が購買の中心であるEC市場では、オフラインとオンラインの連携やCRM戦略の強化に取り組みながら、新規顧客の獲得と既存顧客のロイヤルカスタマー化を進めています。新しい商品戦略を展開しEC市場での再成長を目指すと同時に、中間層との接点を拡大するモール等への直営店出店も強化しています。これらのほか、消費者に中間所得者層が多いにも関わらず、当社グループの事業規模がまだ小さいドイツやインドなどは、今後の拡大余地が大きい市場と捉えて戦略的な投資を進めています。 調達価格の上昇□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容サプライチェーンの構造変化が進行し、原材料の値上がりや生産地の人件費高騰、輸送コストの上昇等により仕入価格が上昇した結果、業績に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策材料の調達や製品の生産においては、適切に品質とコストの両面を照合しながら、国内に偏重することなくアジアの国々や地域での調達・生産の比重を増やしています。また、近年では、社会・労働環境の変化に対応し、海外生産の軸足を中国からベトナムをはじめとするASEANに移行しつつあります。併せて、製品の企画・設計段階では可能な限り材料品種を増やさないための集約化の取り組み、材料の調達先を国内から海外に求める取り組み、廃棄に至る製品・材料の最少化への取り組みなどを進めています。他方、当社は、国内の縫製会社3社を2022年4月から1社に統合することとしました。国内の高い縫製技術を継承しつつ、外部環境の変化に応じた柔軟な生産管理体制を構築することにより、競争優位性の強化と事業効率の向上の両立を目指します。さらに、製品の研究・開発を担う部門と縫製現場の連携を、統合した縫製会社の下で一元化し、短納期・高難度・小ロット生産に対応できる生産体制を高め、事業効果の強化に取り組んでいます。 人材の確保□ 発生の可能性:高□ 影響度:中● リスクの内容特にものづくり、販売員、海外経営において人材の確保、育成ができないと、今後の成長や競合会社に対する優位性を作り出せず、グループの業績が低迷する可能性があります。また、販売員、退職後再雇用者の効率的配置ができないと、人件費効率の低下やモチベーションの低下が起こり業績の低迷を及ぼす可能性があります。● 対応策当社グループではジョブ型採用をはじめ、新しい採用手段導入による人材確保と、集団型講義やオンラインなどによる専門知識研修やOJT・海外研修制度、他社と合同で実施する異業種クロスラーニングの開催などの実地研修の充実を図り、人材の育成を行っています。また、キャリア採用の比重を拡大するほか、リファラル採用にも注力し多様な人材の確保による活性化を図っています。一方、市場構造の変化を受けて、販売員の評価は、接客人数や顧客視点での満足度(生涯顧客価値)といった成果への見直しを進めています。また、退職後再雇用者は、再契約に際して責任と役割を高める職群を増やし適材適所の異動を進めると同時に、目標管理評価を運用した成果配分給の採用によってモチベーション向上を図っています。 (2)-2 事業運営上のリスク新型コロナウイルス感染症の影響□ 発生の可能性:高□ 影響度:大● リスクの内容新疫病の蔓延、または、新型コロナウイルス感染症の更なる拡大や長期化による、政府・地方自治体からの外出自粛要請や店舗休業要請等を受けて、売上が低下しグループ業績に大きな影響を与える可能性があります。また、事業所内で感染者が拡大することで、従業員の出勤停止や事業所閉鎖により事業運営に支障をきたす可能性があります。● 対応策グループ業績や財政状態への影響を抑えるべく、感染症と共生する個人消費行動の変化を見通し、WEB販売などのお客さまが求めるサービスの強化や新たな商品の開発に努めるとともに、引き続き経費の削減に努め、新規投資も慎重に見極めるなど、経営の健全性確保に取り組んでいます。また、顧客・取引先及び当社従業員の安全を第一に考え、感染拡大を防ぐために“企業倫理・リスク管理委員会”の下に「新型コロナウイルス感染症対策本部」(本部長:取締役常務執行役員)を設置し、国内外の感染状況を注視しながら対策を講じています。具体的には、感染状況に応じて、店頭販売員の勤務やサービスの方法、店舗の営業体制を決定するほか、内勤者には国や地域状況にあわせた勤務体制(リモート会議や在宅勤務の推進、出張・会議等の制限など)を臨機応変に示しています。生活必需品を扱う企業として衛生的で快適な生活を守り、お客さまに安心を提供し続ける責任を果たします。 債券相場・金利の変動□ 発生の可能性:高□ 影響度:大● リスクの内容保有する上場株式や債券等の市場価値が下落し、減損が発生する可能性があります。他方、年金資産の評価減・積立不足は追加拠出や引当が必要となりグループ業績に影響を与える可能性があります。● 対応策当社は米国会計基準を採用しているため、保有有価証券の価格が変動した場合、その変動損益を連結損益計算書で認識する必要があります。当連結会計年度においては、有価証券の評価額下落により「有価証券・投資評価損益(純額)」として641百万円の損失を計上しました。(※翌連結会計年度(2023年3月期)より、当社は、財務情報の国際的な比較可能性の向上や開示の充実を目的にIFRSを任意適用します)当連結会計年度を最終年度とする中期経営計画では、当年度末までに保有する政策保有株式を2019年3月期の時価ベースで3割(200億円以上)縮減する方針を示しました。取締役会にて、個別の銘柄ごとに保有によって実現している収益が当社資本コストを上回っているか、当社の企業価値向上につながっているかを検証いたしました。検証の結果、保有意義が希薄化した銘柄について、この中期経営計画期間(2019年4月~2022年3月)合計で35銘柄、197億円の処分・縮減を進めました。他方、退職給付費用及び債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の仮定に基づき算出していますが、有価証券の相場並びに金利環境の変化等により、実際の結果が仮定と異なる場合、または仮定に変化があった場合には、退職給付費用及び債務が増加するリスクがあります。当社は国内社債の利回りに基づいて割引率を設定しています。割引率については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」を参照ください。企業年金のアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう、財務・人事・経理等の部門長らで構成する年金委員会を設置し、四半期単位で資産運用方針や政策的資産構成割合等を検討するのに併せて、外部の運用コンサルティング会社を起用し専門能力・知見を補完しています。 企業倫理・コンプライアンスの姿勢□ 発生の可能性:高□ 影響度:大● リスクの内容第三者から、サプライチェーンにおける人権、労働、環境問題等が指摘・公表され、事業活動に影響を与える、企業価値を毀損する可能性があります。また、企業倫理・コンプライアンスに反する行為が増加する、あるいは、ソーシャルメディアやブログ等のWEBサイト上を含めた広告表現や発言に問題が発生することによって、社会的な信頼を失い、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。● 対応策当社グループを取り巻く国内外の法令や規制等への違反、社会的要請に反する行為等があった場合は、処罰や社会的な信用の低下などにより、経済的・社会的な影響を受けるリスクがあります。当連結会計年度を最終年度とした中期経営計画においては、「ESG課題の取り組み」の中でも企業倫理・コンプライアンスを重要課題として位置づけています。 “企業倫理・リスク管理委員会”の下に設置した「コンプライアンス委員会」の活動通じて、従業員への啓蒙活動、内部通報制度、外部専門機関による法令ヘルスチェックなどの施策を拡充すると同時に、「企業倫理・ワコールの行動指針」を定め、従業員に頒布し、法令遵守の強化に努めています。また、当社グループの事業領域において特に注力すべき点として、サプライチェーンでの労務・人権問題が挙げられます。実際に過去には人権NPOから連結子会社の発注先である海外縫製工場における労務・人権問題について指摘を受けたことがあり、これを契機にこの課題への取り組みを開始しました。2018年4月から“企業倫理・リスク管理委員会”の下に「CSR調達委員会」を立ち上げ、自己評価と現地監査、是正・改善計画の策定とモニタリング、仕入先一覧の開示等の積極的な取り組みを進めています。 自然災害・事故等の発生□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容地震などの自然災害や火災・爆発等が発生し事業所・生産拠点が被害を受ける、あるいは、従業員が被災する可能性があります。また、交通網の遮断や電力供給の停止、電話回線の不通等により事業活動に支障が出る可能性があります。● 対応策「首都直下型地震」など、大規模事故の緊急事態に備え、事故・災害対策委員会では主要な事業拠点が被災した際のBCP策定を順次整備するなど、予防・減災、応急・初動、復旧・復興の観点で事業継続マネジメントに取り組んでいます。具体的には建物の耐震化、データ関連サーバのクラウド化、安否確認システム、モバイルワークなどといった環境整備に加え、社会的責任を踏まえて、緊急時においてもサービスや製品の安定供給ができるよう、販売事業所の業務バックアップ体制の確立や生産拠点の分散化によってリスクの低減を図っています。 情報システム可用性障害の発生□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容システム開発のミスや遅延、また、重要なシステムに障害が発生することで、事業継続が困難になってしまうと、得意先・顧客はじめ、すべてのステークホルダーからの信頼を失う可能性があります。外部からの悪意ある攻撃、あるいは天災被害等により、基幹システムやWEB販売サイト等の稼働が不可能となった場合、あるいは、ファイルサーバや従業員のPCから機密情報が流出した場合、事業への悪影響が出る可能性があります。● 対応策当社では「情報セキュリティ基本方針」、「情報セキュリティ関連組織と責任に関する規程」を定め、すべての従業員に対して情報保護の必要性と責任についての理解促進を図っています。“企業倫理・リスク管理委員会”の下で「コンプライアンス委員会」が「ITセキュリティ分科会」を運営し、ITガバナンス部と連携を取って、現状の管理体制の把握と改善、ウェブサイトの脆弱性の特定をはじめとする情報セキュリティ全般の改善指導・助言等を行っています。同時に、顧客情報や重要技術情報にかかる不正なITネットワーク侵入によるデータ破壊や、ウイルス感染による事業運営そのものの阻害を狙ったサイバー攻撃などの情報収集、現状調査、分析等を実施し、当社グループの活動方針や具体的対策の立案、関連規程の制定・改廃、戦略的な投資案件を討議し、情報セキュリティリスクの低減に努めています。具体的には、不慮のシステム障害・誤作動に備えて、重要なシステムはデータの二重化や縮退運転の準備や、WEB販売では負荷に見合った適切なハードウェアやネットワーク構成の選択ができているか、適宜モニタリングを行っています。さらに、不定期な標的型メール訓練などを行う一方、最新のセキュリティプラットフォーム導入を進めるなど、従業員の意識向上と仕組みの構築による両面からリスクの軽減化を行っています。 情報管理の不備□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容情報管理の不備により、機密情報や個人情報の漏洩や紛失が発生すると、活動上、不利益を被るばかりか、社会的信用の失墜、事業運営の停止といった重大な損失影響が出る可能性があります。● 対応策当社では「情報分類規程」、「秘密情報取扱規程」、「個人情報保護規程」を定め、取り扱うすべての情報を、機密性、一貫性及び可用性の観点から適切に分類するとともに、保護・漏洩防止を図っています。また、重要情報の保護・管理の徹底をねらいに、当社グループの重要情報一覧表を整備し、経営、事業・販売戦略、製品開発、自社ノウハウ、個人情報、情報システム等の区分から、具体的なインサイダー情報事例を挙げて対策に取り組んでいます。とりわけ、当社グループは事業活動上、多数の顧客に関わる個人情報を有しています。将来を見据え、㈱ワコールでは「CX戦略」を成長の柱と位置付け、収集した個人情報を含めたデジタルデータを基盤としたビジネスモデルの再構築を進めています。また、海外では顧客の個人情報を直接取得するEC事業を強化し、成長の柱とする計画を進めています。国内における改正個人情報保護法の施行対応に止まることなく、個人情報保護は当社グループ事業活動上の重要性が増しています。2020年4月に新設したITガバナンス部では個人情報の保護・管理の強化、関連法規制への対応、従業員への教育等を含め、個人情報を外部の脅威から守るために、管理状況の調査と対策指導・助言等を進めています。 設計・製造上の品質保証□ 発生の可能性:中□ 影響度:大● リスクの内容不良品を販売することや商品が人体へ危害を及ぼすこと等により、商品回収等のコストが発生する、当社が高品質の商品を提供するというレピュテーションが損なわれ社会的信用を失うといった、業績への悪影響を及ぼす可能性があります。● 対応策高品質な商品をグローバルに提供することができることが、当社グループの強みの一つです。“企業倫理・リスク管理委員会”の下に「品質保証審議会」を設置し、安全性ガイドラインを整備すると同時に、製品企画・設計・開発時点での安全性確認ルールの遵守、製造時の検査の徹底、問題発生時の原因追及と再発防止策の策定に取り組んでいます。併せて、こうした活動・情報内容については、グループの国内外関係会社へ水平展開・共有化を図ることによって、品質意識の高揚、全体での管理体制の底上げを行っています。また、「品質保証審議会」の傘下では、商品化計画を担う部門ごとのメンバー選出による「品質管理委員会」を運営し、個別課題への対策フォローアップ、品質管理全般に対する社内教育を実施しています。他方、生産拠点の現場では、定めた品質管理・検査の徹底のみならず、製品受入ロックシステム(材料基準達成製品のみの受け入れ)の運用による基準未達品の排除、検査人員の技量の標準化、品質優秀表彰制度による従業員のモチベーションアップに取り組んでいます。 品質表示・取扱表示等の記載□ 発生の可能性:高□ 影響度:中● リスクの内容品質表示等の法令違反や機能性表示における不適切な表現は社会的な信用を損なう可能性があります。また、商品の回収・表示変更のコスト発生、販売中止によって損失影響が出る可能性があります。● 対応策消費者が適正に商品を選択し使用するための品質表示については、商品そのものに付帯させる法定表示に始まり、店頭やメディアでの広告・宣伝での訴求、販促表現、知的財産保護表示など多岐にわたっており、リスクが顕在化しやすい事案だと認識しています。前項(設計・製造上の品質保証)で触れた「品質保証審議会」、「品質管理委員会」の活動を通して、表示内容を決定する部門でのダブルチェックを前提にした表示確認体制の整備、表示決定のプロセスにおける可能な限りのシステム化、表示ミス発生時の迅速な対応、問題発生後の再発防止のための徹底的な原因究明と対策の実施といった、一連のサイクルをルール化し運用しています。また、品質表示に関わる社内啓蒙活動と担当者教育や、部門でのルール運用実態にかかる内部監査を、定期的に実施しています。一方、当社では独禁法、景表法、薬機法などと絡めた「まちがわないための表示と表現の技術」の頒布と改訂、e-ラーニングによる従業員を対象にした教育の実施などによって、リスクの軽減を図っています。また、機能・効能表現においては、商品化計画部門と研究部門、品質保証部門間の連携フローと併せて表記ルールの再整備を行い、外部の機関を交えたエビデンスデータの監修体制を整えています。 新興国の社会情勢変動□ 発生の可能性:中□ 影響度:中● リスクの内容新興国に生産拠点を構える当社グループは、政治的不安定状態、法改正や制度変更、ストライキの発生、人材の確保難などによって材料調達や生産が滞り、業績に影響を与える可能性があります。● 対応策各国・地域の法律・規制の動向には常に十分な注意を払い、現地情報の収集・分析に努めています。現地の“リスク管理責任者”と連携し、地域の実情を把握し、必要に応じ外部の弁護士、コンサルタントなど、専門機関の協力を得て対応を行うよう整備と運用を図っています。軍事政権による掌握が続くミャンマーでは法律・規制の動向に加え、人権課題への対応についても注視しています。感染症への国策を含めた地政学的なリスクも見据え、適切な生産拠点の分散を行いリスクの軽減化に努めています。 知的財産権の侵害・被侵害□ 発生の可能性:中□ 影響度:中● リスクの内容知的財産権を侵害されたり侵害したりすることで、訴訟や経済的損失が起きる可能性があります。戦略的な知的財産権の保護や活用ができないと事業に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策当社グループの保有する知的財産権、とりわけ、ブランド及び関連する商標、独自技術の権利化は、需要の喚起・維持のみならず、事業の意義にとって非常に重要であり、他者に侵害されないよう、案件ごとに国や地域での知的財産権のリスト化と管理を慎重に行っています。国内外における商標等の紛争、類似商品や他者による無断の商標使用といった知的財産権侵害は、業績に影響を及ぼすリスクがあります。一方、当社が他社の知的財産権を侵害していると主張されるケース、また、EC事業のボーダーレス化に伴うブランド価値棄損(当社を詐称した販売など)のケースが生まれています。こうしたリスクに対応するため「知的財産委員会」を設置するとともに、従業員への啓蒙活動としてe-ラーニングの実施、担当者の調査能力向上、社外調査会社の活用や外部契約事務所等の専門家との協業等を進めています。さらに、DXやCX戦略における、当社グループのサービスにかかる知見を知的財産として権利化する整備を進めています。 税務の管理□ 発生の可能性:中□ 影響度:中● リスクの内容予期しない多額の課税がなされた場合には、風評被害の他、当社グループの財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。● 対応策繰延税金資産については、現行の会計基準に従い、将来の課税所得を合理的に見積もった上で計上しています。将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼすリスクがあります。これを踏まえて、当社では、適宜、経営環境の変化等に照らし、将来の課税所得の見積もりに関する見直しを行い、回収可能性を合理的に判断しています。また、2021年1月には、事業を展開する国・地域の法令、国際税務関連法規を遵守し、透明性の高い税務管理を行い、ステークホルダーからの信頼を得ることをねらいに「税務行動指針」を策定し開示しました。この指針では、国内外の連結子会社を対象に、税務の最新情報入手や研修による啓蒙活動を含めたグループ税務体制の構築をはじめ、不確実な税務ポジションへの対応、優遇税制の適用、グループ会社間取引、租税回避行為の禁止、税務に関するディスクロージャー等のガイドラインを示しています。
FY2021|8,051 文字
2【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)新型コロナウイルス感染症の影響 世界的な流行となった「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下:感染症とします)」は、当社グループの売上や生産に大きな影響を及ぼしております。当連結会計年度においては、当社グループでは、顧客、取引先及び社員の安全第一を考え、また更なる感染拡大を防ぐために、「企業倫理・リスク管理委員会」の下部に「新型コロナウイルス感染症対策本部」(本部長は取締役常務執行役員)を設置し感染状況に応じた対策を行っております。主要事業会社である㈱ワコールは、政府、自治体の発信・要請内容に沿い従業員の勤務体制や店舗の営業体制を決定しております。具体的には内勤者は緊急事態宣言発出時においては宣言発出期間、地域にあわせた勤務体制(在宅勤務の推進、出張、会議等の制限など)とし、店頭販売員についてはお客さま並びに従業員の健康と安全確保の為の感染予防対策が講じる事ができている前提で、生活必需品を扱う企業として、お客さまの衛生的で快適な生活を守り、安心を提供し続けるために、地域のお客さま、お取引先からご要望のあった売場(店舗)について販売員を派遣しております。また、財務基盤を強固なものとするため、金融機関の借入枠を拡大し、備えを行っております。 今後事態が更に長期化した場合、当社グループの業績及び財政状態に更なる影響を与えるリスクがあります。これらのリスクに対しコロナ終息後の「新しい生活様式」における個人消費行動の変化を見通し、WEB販売などの顧客の待ち望むサービスの強化や新たな商品の開発に努めるとともに、引き続き経費の削減に努め、新規投資も慎重に見極めるなど、経営の健全性確保に取り組んでまいります。 (2)経営環境及び経営戦略に関わるリスク①経済環境に関するリスク 当社グループが活動する主要な国内外市場における経済環境の動向が、当社グループの売上高や業績及び財政状態に重大な影響を与えると考えられます。例えば、国内市場においては感染症の拡大による緊急事態宣言の発出による店舗休業や営業時間の短縮などにより個人消費の落ち込みが見られ、当社グループの売上高や業績に重大な影響を与えております。②国内事業に関わるリスク 当社グループの主要事業会社である㈱ワコールの売上高の約63%は、百貨店、量販店及びその他の一般小売店への売上によるものであります。しかしながら、近年小売市場の構造変化が進んでおり、小売市場全体における百貨店、量販店及びその他一般小売店の売上シェアは低下していくことと予測されます。当連結会計年度においては、㈱ワコールと取引がある百貨店9店舗、量販店32店舗、その他一般小売店61店舗の店舗閉鎖があり、売上高で7億円減少したと見込んでおります。2021年度には、百貨店1店舗、量販店8店舗の閉鎖が既に発表されております。当社グループはこのようなリスクに対して、業態を跨いだエリア販売体制への移行や直営店・WEB販売の強化を行い対応しております。また、店舗閉鎖や倒産に伴い売掛債権が回収できなくなるリスクに対応するため、常に与信管理を徹底するとともに、店舗における在庫金額を適正な状態にしております。 国内レディスインナーウェア市場について、引き続き縮減の傾向にあります。また、これまでとは異なる競合企業が存在感を高めており、当社グループは、国内インナーウェア市場において、下着の中高級品の卸売と直営販売を行う会社との競争だけではなく、Eコマースとのチャネル間競争や、ファストファッションとも競争しております(㈱ワコールの自社WEB販売は当連結会計年度前年比155%と好調に推移しました)。今後、新規参入者により更に競争が激しくなる可能性もあります。競争の激化は、価格の下落、広告宣伝費の増加、売上高及び市場シェアの減少等につながり、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な影響を与えるリスクがあります。 これらのリスクに対応するため、グループ中期経営計画の一項目として㈱ワコールの再成長と収益力の向上を掲げ、主要な施策として「ワコール版オムニチャネル戦略」を推進しております(今後取得したデータを活用し、お客様一人ひとりとのつながりをさらに深めるため、より「顧客起点」を反映した戦略を推進するため2021年度より当該施策を「CX戦略」と呼称します)。これはワコールが長年培ってきた接客販売の強みを、デジタル技術によりさらに革新させ、店舗とウェブを連携しながらお客様とのつながりを深め、顧客の囲い込みを図るものです。オムニチャネル戦略の中核である次世代ツール「Wacoal 3D smart&try」は百貨店を中心に当連結会計年度は16店舗設置し、今後さらに拡大する予定です。 また、㈱ワコール以外の国内グループ会社の収益力向上にも取り組み、事業の選択と集中、事業構造や人員体制の見直し、グループ内の連携の強化や他社とのアライアンス等、抜本的な改革により、収益性改善に取り組み3~5%の営業利益率確保を必達目標とするなど、グループ全体での収益力向上に取り組んでおります。③海外事業に関わるリスク 当社グループは海外における事業も展開しており、欧米及びアジア等の海外市場での売上拡大を目指しております。海外事業に関連し次のようなリスクがあります。 グローバル取引が進む中で、国家間競争など地政学的な問題が発生し事業活動に影響を受ける可能性があります。例えば英国のEU離脱問題では英国に本社を置く子会社㈱ワコールヨーロッパは新たに付加された関税、通関手数料などにより費用が増加するなど影響を受けております。これらリスクに対応するため進出国の政治経済情勢、税制、法規制動向などの情報収集に努め、引き続き動向を注視していきます。 海外市場における消費者の趣味及び嗜好に対応できずに業績が悪化するリスクや異文化対応の遅れによって、経営及び人事管理を失敗し、当社グループの業績が悪化するリスクがあります。これらリスクに対応するため、米国、欧州、中国の主要3法人での事業の成長に向けた投資を継続しており、米国においてはミレニアル世代の獲得やEC市場での成長機会の創出と競争力の強化を目的に2020年3月期に「Intimates Online」社を買収しました。同社の取得価額は86,041千米国ドル(取得時レートで約9,348百万円)で、当該取得価額に加えて、業績の達成度合いに応じて条件付取得対価(アーンアウト対価)を現株式所有者に支払う条項を締結しました。2年後の2023年3月期には営業利益黒字化、3年後の2024年3月期には売上高100百万ドル、営業利益率12~15%の成長シナリオを期待しております。合わせて、欧州、中国においても販路の拡大や、EC事業の継続拡大を図っております。また新興国への事業拡大としてインド事業の拡大にむけ出店加速と積極的な広告宣伝投資を計画しております。 製品の調達・製造においては徐々にコストの低いアジアの国々での生産比率を増やしております。また近年は、社会・労働環境の変化に対応して、海外生産の中心を中国からASEANに移行しつつあります。反面、新規に立ち上げた生産拠点のいくつかでは、生産性や損益面での困難に直面しております。グループに与える影響は軽微であるものの、例えばミャンマーにおいては2021年2月にミャンマー国軍が武力で国家権力を掌握しその行動に対する抗議デモが発生、治安情勢が悪化しており、ミャンマーワコールは従業員の安全確保のため休業しております。そのような中、グループ中期経営計画において、競争力のある製品や材料の供給ができるグローバルな生産体制の構築を目指し、グループ横断での管理体制の確立に向けて取り組んでおります。 (3)経営管理に関わるリスク①品質、品質表示に関するリスク 高品質な商品をグローバルに提供することができることが、当社グループの強みの一つです。不良品を販売することや商品が健康被害を及ぼすこと等により、商品回収等のコストが発生するとともに、ブランドが毀損し、高品質の商品を提供するというイメージが損なわれ、社会的信用を失い業績に影響を与えるリスクがあります。 2020年には子会社の㈱ピーチ・ジョンにおいて、ブラジャーの一部でワイヤーが飛び出す恐れがあることが判明したため、事故防止の観点から自主回収を行いました。また、品質表示等の誤表示に関する法令違反や機能性表示における行き過ぎた表現により社会的信用を失い、商品回収や表示変更作業のコストが発生するとともに、販売機会ロスとなり、業績及び財政状態に重大な影響を与えるリスクがあります。 これらリスクに対応するため、安全性ガイドラインの整備と製品開発時点の確認ルールの徹底、欠陥商品発生都度の徹底原因追求・再発防止策を策定し、各社が品質の維持向上に向けた取り組みを行うと同時に、当社グループの品質保証活動を推進するため「品質保証審議会」を設置し、その活動を通じグループ会社への水平展開を行い、全体での底上げを図っております。 ②コンプライアンスに関するリスク 当社グループは国内外の法令や規制等の適用を受けており、これらの法令等に違反したり社会的要請に反する行為等があった場合は、処罰や社会的な信用の低下などにより、経済的・社会的な影響を受けるリスクがあります。当社グループでは「コンプライアンス委員会」の活動を通じて、従業員への啓発活動、内部通報制度、外部専門機関による法令ヘルスチェックなどの施策を拡充することにより、法令違反防止に努めており、また現中期経営計画においては、「ESG課題の取り組み」の中でも重要課題として位置付けております。 また、当社グループの事業領域において注力すべき点として、サプライチェーンでの労務・人権問題が挙げられます。実際に人権NPOより、当社グループの発注先である海外縫製工場における労務・人権問題について指摘を受けたこともあり、これを契機に当該課題への取り組みを開始しました。2018年4月から「CSR調達委員会」を立ち上げ、自己評価と現地監査、仕入先一覧の開示等の積極的な活動を行っております。③個人情報に関するリスク 当社グループは事業活動上顧客等の個人情報を有しております。当社グループの中期経営計画において、主要事業会社である㈱ワコールでは「CX戦略」を成長戦略の柱と位置付け、収集した個人情報を含めたデジタルデータを基盤としたビジネス戦略を進めております。また、海外子会社各社は、顧客の個人情報を直接取得するWEBサイトを通じた販売を強化し、成長の柱と位置づけております。2014年に、何者かにより自社WEBサイトが改ざんされ1ケ月の販売停止を余儀なくされました。個人情報の保護は当社グループの事業活動上ますます重要性が増しており、専門部門としてITガバナンス部を2020年4月より発足し、個人情報の管理の強化、法規制の変更への対応、社員への教育等を含め、個人情報を外部の脅威から守るセキュリティ対策に取り組んでおります。しかし、個人情報が外部流出、改ざん、重要データの消去またはシステムに障害が生じた場合は、当社グループの事業運営や戦略に影響を与え、結果、業績及び財政状態に重大な影響を与えるリスクがあります。④知的財産権の侵害・被侵害のリスク 当社グループの保有する知的財産権、特に当社グループのブランド及び関連する商標は、当社グループ製品への需要の喚起及び維持、また当社グループの事業価値にとって重要であると認識しております。今後、当社グループは商標その他関連する紛争に直面する可能性があり、また類似商品や他者による商標及び知的財産権侵害により、当社グループの事業に重大な影響を及ぼすリスクがあります。また、当社グループが他者の知的財産権を侵害しているという主張が行われたことがあり、今後も行われるリスクがあります。これらの主張や関連する訴訟が、当社グループの事業及び業績に重大な影響を与えるリスクがあります。また、越境EC等の拡大によるボーダーレス化に伴い、各国のブランドマネジメントだけでなくグローバルなブランド政策によってコントロールしないと、ブランド棄損に繋がり市場競争力が低下するリスクがあります。これらリスクに対応するため、「知的財産委員会」を設置するとともに、従業員への啓発活動として毎年e-ラーニングの実施、担当者の調査能力向上、社外調査会社の活用や外部契約事務所等の専門家との協業を行っております。 (4)会計・税務に関するリスク①保有有価証券の価格変動リスク 当社グループは国内公開会社の株式やその他の有価証券を保有しております。当社は米国会計基準を採用しているため、保有有価証券の価格が変動した場合、その変動損益を連結損益計算書で認識する必要があります。これら保有有価証券の大幅な価格変動は、該当する連結会計年度における当社グループの財政状態に重大な影響を与えるリスクがあります。 当連結会計年度においては、有価証券の大幅な価格上昇により「有価証券・投資評価損益(純額)」として、10,390百万円の利益を計上しました。 現グループ中期経営計画においては、2022年3月期までに保有する政策保有株式を、2019年3月期の時価ベースで200億円以上の縮減する方針を示しており、当連結会計年度においては22億円、累計で175億円(2019年3月期時価ベース162億円)を売却しております。また中長期的な観点から保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を検証し、定期的に取締役会に報告しております。取締役会においては、検証結果を基に当社グループの中長期的な企業価値向上に資するかどうかを見極め、保有の継続、処分の判断を行っております。②固定資産減損損失のリスク 事業環境の変化や将来の業績見通しが悪化した場合、固定資産の減損損失計上が必要となる場合があります。実際に当連結会計年度においては、当社グループで保有している不動産や業績の悪化した直営店舗で使用している有形固定資産の減損損失1,136百万円を計上しております。また、ワコールヨーロッパについては2012年の買収以降、付加価値の高い商品を開発するとともに、展開する国や流通チャネルの特性に応じたマーケティング活動を実行し、安定した成長を実現してきましたが、感染症の影響やEU離脱後の通関費用等を踏まえた今後の業績見通しを勘案して減損の有無を検討し、公正価値を再測定した結果、のれんの減損損失2,673百万円を計上しております。のれんの残存価格は、㈱ワコールヨーロッパで9,398百万円、米国Intimates Online社で11,771百万円となっております。のれんの評価は将来の経営計画を基にしているので、両社とも感染症による経済の悪化に加え、金利や税率が上昇した場合や事業伸長及びシナジーが投資時の期待を十分に上回らない場合には、公正価値の見積を見直す必要があり減損が発生する可能性があります。なお、少なくとも年に1回または減損の判定が必要となる兆候が発生した場合は減損テストを実施しております。③退職給付債務等に関するリスク 退職給付費用及び債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の仮定に基づいて算出しておりますが、有価証券の相場並びに金利環境の変化等により、実際の結果が仮定と異なる場合、又は仮定に変化があった場合には、退職給付費用及び債務が増加するリスクがあります。また、退職給付制度を改定した場合にも、当社グループの業績及び財務状況に重大な影響を及ぼすリスクがあります。当社グループは、国内社債の利回りに基づいて割引率を設定しております。割引率については、3.(6)「重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」を参照ください。退職給付債務の大部分を占める主要事業会社の㈱ワコールでは「年金委員会」を設置し、四半期単位で運用資産の状況を確認し、必要な対策を講じております。④税務に関するリスク 繰延税金資産については、現行の会計基準に従い、将来の課税所得を合理的に見積もった上で計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼすリスクがあります。 一部の多国籍企業による国際的な租税回避行為が政治問題化したことから、税制度の改善を図るべく、G20からの委託を受けたOECDにより、2015年10月にBEPS(税源浸食と利益移転)に関する報告書が公表されました。この報告書を受けて各国において、国内税法や租税条約の改正、見直しが行われております。当社グループは、国際的な課税ルールの制定により重要な影響を受けることはないと考えておりますが、新たに定められた移転価格文書等を通し、各国の税務当局と見解の相違により、追加での税負担が生じるリスクがあります。これらのリスクに対して、税務に関する最新の情報を社内外から入手し、外部専門家の助言も受けながら対応していく体制を整えております。なお、当社は透明性の高い税務管理を行い、ステークホルダーからの信頼を得ることを目的に「税務行動指針」を策定し、2021年1月に開示を行いました。 (5)人材確保に関するリスク 当社グループにとって、人材確保は国内外を問わず重要な課題です。当社グループの“モノづくり”、店頭販売員、海外経営や最新デジタル分野の人材など、優秀な人材を確保・育成出来ないと、将来の成長や競合会社に対する優位性を作り出せず、当社グループの業績及び財務状況に重大な影響を及ぼすリスクがあります。これらのリスクに対応するため、ジョブ型採用その他新たな採用手段導入による人材確保と、集団型講義やオンラインなどによる専門知識研修やOJT・海外研修制度などの実地研修の充実を図り、人材の育成を行っております。 (6)災害等に関わるリスク 地震等の大規模な自然災害や疫病、紛争、テロ、暴動の発生等により、当社グループの営業拠点や生産拠点の使用が困難な状況になり、あるいは従業員の多くが被害を受けた場合や交通網の遮断・エネルギー供給の停止・通信の不通などにより、営業活動の混乱や生産や物流の遅延・停止等を受け、事業活動に重大な影響を与えるリスクがあります。また、当社グループ製品の販売が行われている地域において、地震等の大規模な自然災害や疫病、紛争、テロ、暴動の発生等が起こった場合、消費活動が停滞し、当社グループ製品の売上額が大幅に低下するリスクがあります。 特に「首都直下」「南海トラフ」等の大地震が発生した場合は、当社グループの主たる事業所や店舗が所在する大規模消費地で被害が発生することから、当社グループの事業継続に重大な影響を及ぼすと想定されます。そのため、「事故災害対策委員会」の下部としてBCPプロジェクトを発足し、全体のBCP及びBCM基本計画を作成するとともに、首都直下型地震等の特定災害に係るBCPを順次立案していきます。
FY2020|7,940 文字
2【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営環境及び経営戦略に関わるリスク①経済環境に関するリスク 当社グループが活動する主要な国内外市場における経済環境は悪化しており、当社グループの売上高や業績及び財政状態に重大な影響を与えると考えられます。例えば、日本国内では2019年10月より消費税が2%アップしたことにより個人消費の萎縮が見られ、当社グループの国内売上高や業績に重大な影響を与えております(当社グループの主要事業会社である㈱ワコールの第3四半期連結会計期間(2019年10月~12月)における売上高前年同期比は、増税の影響があり89%で終了しました)。②国内事業に関わるリスク 当社グループの主要事業会社である㈱ワコールの売上高の約66%は、百貨店、量販店及びその他の一般小売店への売上によるものであります。しかしながら、近年小売市場の構造変化が進んでおり、小売市場全体における百貨店、量販店及びその他一般小売店の売上シェアは低下していくことと予測されます。当連結会計年度においては、㈱ワコールと取引がある百貨店12店舗、量販店52店舗、その他一般小売店51店舗の店舗閉鎖があり、売上高で7億円減少したと見込んでおります。2021年度には、百貨店6店舗、量販店11店舗の閉鎖が既に発表されております。当社グループはこのようなリスクに対して、業態を跨いだエリア販売体制への移行や直営店・WEB販売の強化を行い対応しております。また、店舗閉鎖や倒産に伴い売掛債権が回収できなくなるリスクに対応するため、常に与信管理を徹底するとともに、店舗における在庫金額を適正な状態にしております。 国内レディスインナーウェア市場は7年連続の減少傾向にあるなか、これまでとは異なる競合企業が存在感を高めております。当社グループは、国内インナーウェア市場において、下着の中高級品の卸売と直営販売を行う会社との競争だけではなく、Eコマースとのチャネル間競争や、ファストファッションとも競争しております(㈱ワコールの自社WEB販売は当連結会計年度前年比117%と好調に推移しました)。今後、新規参入者により更に競争が激しくなる可能性もあります。競争の激化は、価格の下落、広告宣伝費の増加、売上高及び市場シェアの減少等につながり、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な影響を与えるリスクがあります。 これらのリスクに対応するため、グループ中期経営計画の一項目として㈱ワコールの再成長と収益力の向上を掲げ、主要な施策として「ワコール版オムニチャネル戦略」を推進しております。これはワコールが長年培ってきた接客販売の強みを、デジタル技術によりさらに革新させ、店舗とウェブを連携しながらお客様とのつながりを深め、顧客の囲い込みを図るものです。オムニチャネル戦略の中核である次世代ツール「Wacoal 3D smart&try」は百貨店を中心に当連結会計年度は6店舗設置し、今後さらに拡大する予定です。 また、㈱ワコール以外の国内グループ会社の収益力向上にも取り組み、事業の選択と集中、事業構造や人員体制の見直し、グループ内の連携の強化や他社とのアライアンス等、抜本的な改革により、収益性改善に取り組み3~5%の営業利益率確保を必達目標とするなど、グループ全体での収益力向上に取り組んでおります。 ③海外事業に関わるリスク 当社グループは海外における事業も展開しており、欧米及びアジア等の海外市場での売上拡大を目指しております。海外事業に関連し次のようなリスクがあります。 グローバル取引が進む中で、米中貿易戦争や英国のEU離脱などによる各国間の規制や新たな関税の付加などが実行されるリスクがあります。当社グループにおいては、米国・中国間の取引は軽微ではありますが、英国に本社を置く子会社㈱ワコールヨーロッパは、2021年度以降、英国とEU諸国間の間で新たに関税が付加される場合、商品原価が上昇し、業績に重大な影響を受けるリスクがあります。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により、EU諸国との将来関係の協議が進んでいないことから、引き続き動向を注視していきます。 海外市場における消費者の趣味及び嗜好に対応できずに業績が悪化するリスクや異文化対応の遅れによって、経営及び人事管理を失敗し、当社グループの業績が悪化するリスクがあります。これらリスクに対応するため、米国、欧州、中国の主要3法人での事業の成長に向けた投資を継続しており、米国においてはミレニアル世代の獲得やEC市場での成長機会の創出と競争力の強化を目的に「Intimates Online」社を買収しました。同社の取得価額は86,041千米国ドル(取得時レートで約9,348百万円)で、当該取得価額に加えて、業績の達成度合いに応じて条件付取得対価(アーンアウト対価)を現株式所有者に支払う条項を締結しました。2年後の2022年3月期には営業利益黒字化、4年後の2024年3月期には売上高100百万ドル、営業利益率12~15%の成長シナリオを期待しております。合わせて、欧州、中国においても販路の拡大や、EC事業の継続拡大を図っております。また新興国への事業拡大としてインド事業の拡大にむけ出店加速と積極的な広告宣伝投資を実施します。 製品の調達・製造においては徐々にコストの低いアジアの国々での生産比率を増やしております。また近年は、社会・労働環境の変化に対応して、海外生産の中心を中国からASEANに移行しつつあります。反面、新規に立ち上げた生産拠点のいくつかでは、生産性や損益面での困難に直面しております。そのような中、グループ中期経営計画において、競争力のある製品や材料の供給ができるグローバルな生産体制の構築を目指し、グループ横断での管理体制の確立に向けて取り組んでおります。 (2)経営管理に関わるリスク①品質、品質表示に関するリスク 高品質な商品をグローバルに提供することができることが、当社グループの強みの一つです。不良品を販売することや商品が健康被害を及ぼすこと等により、商品回収等のコストが発生するとともに、ブランドが毀損し、高品質の商品を提供するというイメージが損なわれ、社会的信用を失い業績に影響を与えるリスクがあります。2014年には子会社の㈱ウンナナクールにおいてパジャマの一部で当社グループの品質基準に適合しない「表面フラッシュ」(着衣発火)が発生する恐れがあることが判明したため、事故防止の観点から自主回収を行いました。また、品質表示等の誤表示に関する法令違反や機能性表示における行き過ぎた表現により社会的信用を失い、商品回収や表示変更作業のコストが発生するとともに、販売機会ロスとなり、業績及び財政状態に重大な影響を与えるリスクがあります。 これらリスクに対応するため、安全性ガイドラインの整備と製品開発時点の確認ルールの徹底、欠陥商品発生都度の徹底原因追求・再発防止策を策定し、各社が品質の維持向上に向けた取り組みを行うと同時に、当社グループの品質保証活動を推進するため「品質保証審議会」を設置し、その活動を通じグループ会社への水平展開を行い、全体での底上げを図っております。②コンプライアンスに関するリスク 当社グループは国内外の法令や規制等の適用を受けており、これらの法令等に違反したり社会的要請に反する行為等があった場合は、処罰や社会的な信用の低下などにより、経済的・社会的な影響を受けるリスクがあります。当社グループでは「コンプライアンス委員会」の活動を通じて、従業員への啓発活動、内部通報制度、外部専門機関による法令ヘルスチェックなどの施策を拡充することにより、法令違反防止に努めており、また現中期経営計画においては、「ESG課題の取り組み」の中でも重要課題として位置付けております。 特に当社グループの事業領域において注力すべき点として、サプライチェーンでの労務・人権問題が挙げられます。実際に人権NPOより、当社グループの発注先である海外縫製工場における労務・人権問題について指摘を受けたこともあり、これを契機に当該課題への取り組みを開始しました。2018年4月から「CSR調達委員会」を立ち上げ、自己評価と現地監査、仕入先一覧の開示等の積極的な活動を行っております。③個人情報に関するリスク 当社グループは事業活動上顧客等の個人情報を有しております。当社グループの中期経営計画において、主要事業会社である㈱ワコールではワコール版オムニチャネル戦略を成長戦略の柱と位置付け、収集した個人情報を含めたデジタルデータを基盤としたビジネス戦略を進めております。また、海外子会社各社は、顧客の個人情報を直接取得するWEBサイトを通じた販売を強化し、成長の柱と位置づけております。2014年に、何者かにより自社WEBサイトが改ざんされ1ケ月の販売停止を余儀なくされました。個人情報の保護は当社グループの事業活動上ますます重要性が増しており、専門部門としてITガバナンス部を2020年4月より発足し、個人情報の管理の強化、法規制の変更への対応、社員への教育等を含め、個人情報を外部の脅威から守るセキュリティ対策に取り組んでおります。しかし、個人情報が外部流出、改ざん、重要データの消去またはシステムに障害が生じた場合は、当社グループの事業運営や戦略に影響を与え、結果、業績及び財政状態に重大な影響を与えるリスクがあります。④知的財産権の侵害・被侵害のリスク 当社グループの保有する知的財産権、特に当社グループのブランド及び関連する商標は、当社グループ製品への需要の喚起及び維持、また当社グループの事業価値にとって重要であると認識しております。今後、当社グループは商標その他関連する紛争に直面する可能性があり、また類似商品や他者による商標及び知的財産権侵害により、当社グループの事業に重大な影響を及ぼすリスクがあります。また、当社グループが他者の知的財産権を侵害しているという主張が行われたことがあり、今後も行われるリスクがあります。これらの主張や関連する訴訟が、当社グループの事業及び業績に重大な影響を与えるリスクがあります。また、越境EC等の拡大によるボーダーレス化に伴い、各国のブランドマネジメントだけでなくグローバルなブランド政策によってコントロールしないと、ブランド棄損に繋がり市場競争力が低下するリスクがあります。これらリスクに対応するため、「知的財産委員会」を設置するとともに、従業員への啓発活動として毎年e-ラーニングの実施、担当者の調査能力向上、社外調査会社の活用や外部契約事務所等の専門家との協業を行っております。(3)会計・税務に関するリスク①保有有価証券の価格変動リスク 当社グループは国内公開会社の株式やその他の有価証券を保有しております。当社は米国会計基準を採用しているため、保有有価証券の価格が変動した場合、その変動損益を連結損益計算書で認識する必要があります。これら保有有価証券の大幅な価格変動は、該当する連結会計年度における当社グループの財政状態に重大な影響を与えるリスクがあります。 当連結会計年度においては、有価証券の大幅な価格下落により「有価証券・投資評価損益(純額)」として、3,760百万円の損失を計上しました。 現グループ中期経営計画においては、2022年3月期までに保有する政策保有株式を、2019年3月期の時価ベースで200億円以上の縮減する方針を示しており、当連結会計年度においては152億円(2019年3月期時価ベース136億円)を売却しております。また中長期的な観点から保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を検証し、定期的に取締役会に報告しております。取締役会においては、検証結果を基に当社グループの中長期的な企業価値向上に資するかどうかを見極め、保有の継続、処分の判断を行っております。②固定資産減損損失のリスク 事業環境の変化や将来の業績見通しが悪化した場合、固定資産の減損損失計上が必要となる場合があります。実際に当連結会計年度においては、㈱ピーチ・ジョンの商標権の減損損失191百万円、㈱Aテックテキスタイルの有形固定資産等の減損損失834百万円、㈱Gテックマテリアルののれんの減損損失217百万円を計上しております。のれんの残存価格は、㈱ワコールヨーロッパで10,800百万円、米国Intimates Online社で11,571百万円となっております。のれんの評価は将来の経営計画を基にしているので、新型コロナウイルス感染症による経済の悪化に加え、㈱ワコールヨーロッパにおいては英国とEU諸国間の間で新たに関税が付加される場合や金利が上昇する場合、Intimates Online社においては事業伸長及びシナジーが投資時の期待を十分に上回らない場合には、公正価値の見積を見直す必要があり減損が発生する可能性があります。なお、少なくとも年に1回または減損の判定が必要となる兆候が発生した場合は減損テストを実施しております。③退職給付債務等に関するリスク 退職給付費用及び債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の仮定に基づいて算出しておりますが、有価証券の相場並びに金利環境の変化等により、実際の結果が仮定と異なる場合、又は仮定に変化があった場合には、退職給付費用及び債務が増加するリスクがあります。また、退職給付制度を改定した場合にも、当社グループの業績及び財務状況に重大な影響を及ぼすリスクがあります。当社グループは、国内社債の利回りに基づいて割引率を設定しております。割引率については、3.(2)③「重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」を参照ください。退職給付債務の大部分を占める主要事業会社の㈱ワコールでは「年金委員会」を設置し、四半期単位で運用資産の状況を確認し、必要な対策を講じております。④税務に関するリスク 繰延税金資産については、現行の会計基準に従い、将来の課税所得を合理的に見積もった上で計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼすリスクがあります。 一部の多国籍企業による国際的な租税回避行為が政治問題化したことから、税制度の改善を図るべく、G20からの委託を受けたOECDにより、2015年10月にBEPS(税源浸食と利益移転)に関する報告書が公表されました。この報告書を受けて各国において、国内税法や租税条約の改正、見直しが行われております。当社グループは、国際的な課税ルールの制定により重要な影響を受けることはないと考えておりますが、新たに定められた移転価格文書等を通し、各国の税務当局と見解の相違により、追加での税負担が生じるリスクがあります。これらのリスクに対して、税務に関する最新の情報を社内外から入手し、外部専門家の助言も受けながら対応していく体制を整えております。なお、当社は透明性の高い税務管理を行い、ステークホルダーからの信頼を得ることを目的に、2021年度に「税務行動指針」の策定と開示を行う予定です。(4)人材確保に関するリスク 当社グループにとって、人材確保は国内外を問わず重要な課題です。当社グループの“モノづくり”、店頭販売員、海外経営や最新デジタル分野の人材など、優秀な人材を確保・育成出来ないと、将来の成長や競合会社に対する優位性を作り出せず、当社グループの業績及び財務状況に重大な影響を及ぼすリスクがあります。これらのリスクに対応するため、キャリア採用、アルムナイ・リファイラル等新たな採用手段導入による人材確保と、集団型講義やオンラインなどによる専門知識研修やOJT・海外研修制度などの実地研修の充実を図り、人材の育成を行っております。(5)自然災害・疫病に関わるリスク 地震等の大規模な自然災害や疫病、紛争、テロ、暴動の発生等により、当社グループの営業拠点や生産拠点の使用が困難な状況になり、あるいは従業員の多くが被害を受けた場合や交通網の遮断・エネルギー供給の停止・通信の不通などにより、営業活動の混乱や生産や物流の遅延・停止等を受け、事業活動に重大な影響を与えるリスクがあります。また、当社グループ製品の販売が行われている地域において、地震等の大規模な自然災害や疫病、紛争、テロ、暴動の発生等が起こった場合、消費活動が停滞し、当社グループ製品の売上額が大幅に低下するリスクがあります。 特に「首都直下」「南海トラフ」等の大地震が発生した場合は、当社グループの主たる事業所や店舗が所在する大規模消費地で被害が発生することから、当社グループの事業継続に重大な影響を及ぼすと想定されます。そのため、「事故災害対策委員会」の下部としてBCPプロジェクトを発足し、全体のBCP及びBCM基本計画を作成するとともに、首都直下型地震等の特定災害に係るBCPを順次立案していきます。 また、世界的な流行となった「新型コロナウイルス感染症」は、当社グループの売上や生産に大きな影響を及ぼしております。当連結会計年度においては、当社グループでは、顧客、取引先及び社員の安全第一を考え、また更なる感染拡大を防ぐために、「企業倫理・リスク管理委員会」の下部に「新型コロナウイルス感染症対策本部」(本部長は取締役副社長)を設置し感染状況に応じた対策を行っております。具体的には、主要子会社である㈱ワコールは、2020年4月1日以降全従業員を対象に週1日の休業日を導入するとともに、内勤者については在宅勤務を推進する体制を取っております。また、4月16日に全国に発令された緊急事態宣言により、都市部を中心とした百貨店をはじめ多くの店舗が閉店する中、全ての店頭販売員について自宅待機としました。 当連結会計年度における「新型コロナウイルス感染症」の影響は、㈱ワコールは20億円、グループ全体で30億円の売上高減少があったと見込まれます。今後事態が長期化または再度感染拡大が進行すれば、当社グループの業績及び財政状態に更なる影響を与えるリスクがあります。これらのリスクに対し、当社は財務基盤を強固なものとするため、金融機関の借入枠を拡大しました。なお、2020年4月の㈱ワコールの売上高は前年から7割近く減少しました。主要海外子会社の店頭での販売高も3割から7割程度減少しております。一方、各国ともWEB販売は好調で、㈱ワコールでは前年に対して7割以上の増加となりました。 コロナ終息後の「新たな生活様式」における個人消費行動の変化を見通し、WEB販売などの顧客の待ち望むサービスの強化や新たな商品の開発に努めるとともに、経費を大幅に削減し新規投資を見直すなど、経営の健全性確保に取り組んでまいります。
FY2018|6,098 文字
2【事業等のリスク】 当社グループの事業、業績及び財政状態は、下記の要因を含むリスク及び不確定要素により影響を受ける可能性があります。これらのリスク及び不確定要素は、当社グループに対し重大な悪影響を与え、当社株式の市場価格を大幅に引き下げる可能性があります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経済環境の悪化により国内市場及び海外市場の景気が低迷し当社の業績が悪化するリスク 当社グループが活動する主要な市場における経済環境の悪化は、当社グループの売上高や業績及び財政状態に重大な悪影響を与えると考えられます。(2)国内の百貨店、量販店及びその他一般小売店の業績不振や営業政策の変更によって当社が影響を受けるリスク 当社グループの国内売上の大部分は、百貨店、量販店及びその他の一般小売店への売上によるものであります。しかしながら、近年小売市場の構造変化が進んでおり、小売市場全体における百貨店、量販店及びその他一般小売店の売上シェアは低調に推移していくことと予測されます。 また、百貨店、量販店及びその他一般小売店の業績が低迷することにより、当社グループの重要な得意先が経営を存続できない場合には、売上が減少するだけでなく、売掛金が回収不能となる可能性があります。 一方、日本の将来の人口減少による市場縮小に備えての国内百貨店や量販店の経営統合の増加やグループ化によって、価格等取引条件における得意先の交渉力が増大してきており、これら大手小売業の営業政策の変更により当社グループの売上高、売上利益率等に悪影響を与える可能性があります。(3)消費者の嗜好を的確に予測しそれに応える能力及び高品質な商品を提供する能力が期待される成果を生み出さないリスク 消費者の嗜好及び流行は常に変化し、予測が困難であります。流行の変化に的確に対応することができず、消費者の支持が得られない場合、売上目標が達成できずに業績に悪影響を与えます。 また、当社グループの製品企画に関する誤った判断や欠陥商品の販売等により高品質な商品を生産するという評判を損なった場合、その他の失策があった場合、当社グループのブランドイメージが悪化する可能性があり、その場合は、当社の売上高が減少し、業績及び財政状態に重大な悪影響を与える可能性があります。(4)激しい市場競争により当社の販売シェアや利益率が低下するリスク 当社グループは、国内インナーウェア市場において、下着の中高級品の卸売と直営販売を行う会社との競争だけではなく、カタログ販売、WEB販売等販売チャネル間の競争や、衣料専業製造販売メーカーや無店舗販売等とも競争しております。また今後、新規参入者により更に競争が激しくなる可能性もあります。 競争の激化は、価格の値下げ、広告宣伝費の増加、売上高及び市場シェアの減少等につながり、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な悪影響を与える可能性があります。(5)直営店事業の拡大が売上や利益の拡大につながらないリスク 直営店事業の拡大のためには、新規店舗開発や不採算店舗の撤退のコスト、直営店ブランドの育成費用等、今後も投資が必要となります。収益性の改善に努めてはいるものの、新規出店が期待した売上を確保できない場合や市場環境の変化により店舗賃借料や人件費等の高騰が起こった場合、直営店ブランドが顧客に受け入れられなくなった場合は、投資に見合うだけの利益を将来獲得することができない可能性があります。(6)WEB販売の強化による売上増加が達成できないリスク 当社グループは、WEB販売の重要性が増すと考えており、強化に努めております。更にグループ全体でWEB販売を拡大していくためには、さらなるシステム投資等が必要と考えております。しかし、WEB販売を取り巻くシステム環境の進化のスピードは速く、度重なる投資がグループ全体の利益に貢献するかどうかは確かではありません。販売チャネルの中核となる一般小売チャネルの長期的な横這いないしは減少傾向を補うだけの売上と利益の増加を、WEB販売によって確保できない可能性があります。(7)販売・生産計画の失敗や天候の影響が業績を悪化させるリスク 当社グループは通常、商品の販売時期以前に当該商品の製造を行うため、消費者の需要の判断を誤った場合、売上不振と過剰な生産により大量の在庫を抱える可能性があります。また、著しい冷夏暖冬や度重なる悪天候によって、季節キャンペーン商品や季節物商品の売上が悪影響を受ける可能性があります。それらの対応として商品の値下げや広告宣伝費の増加、在庫の評価替対応により、売上利益の悪化や経費の増加が起こり、業績に悪影響を与える可能性があります。(8)材料・製品の調達環境の変化によるコスト上昇のリスク 当社グループの製品はナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、綿等を原材料としており、原材料価格は市況により変動しております。また、製品の調達・製造においては徐々にコストの低いアジアの国々での生産比率を増やしておりますが、アジアの国々は人件費や物価の上昇率が高く、政治的・社会的不安定要素も高いとも言えます。原材料価格の高騰や生産地の人件費や物価の高騰は原価高に繋がり、また、事業環境の変化に対応するための必要コストが生じる可能性もあります。これらは当社グループの業績及び財政状況に重大な影響を与える可能性があります。(9)有能な人材確保ができず人材が不足するリスク 当社グループが成長していくには、商品企画・製造技術・販売・管理面等において当社グループが有能な人材を引きつけ、訓練及び定着させられるかに大きく左右されます。当社グループが有能な人材を引きつけられるかどうかは、労働市場において当社グループの良好なイメージを創造し、維持していくことに左右されます。当社グループは、有能な人材を継続的に引きつけ、定着させていくことを保証することはできません。これにより当社グループの業績及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。(10)海外事業に関連して増加するリスク 当社グループが国内で販売している製品の調達・製造において、アジアの国々を中心に今後も海外生産比率は拡大することが予想されます。また、当社グループは、米国、ヨーロッパ及び中国等の海外市場での売上拡大を目指しております。これらの目標や動向により、次のような海外事業に関連する様々なリスクが増加する可能性があります。① 海外市場における消費者の趣味及び嗜好に対応できずに業績が悪化するリスク② 製品の調達・製造及び販売を行う国における政治的・経済的・社会的不安定要素が、当社グループに悪影響を及ぼすリスク③ 税制や法律又は規制の変更が当社グループに悪影響を与えるリスク④ 異文化対応の遅れによって、人事管理及び経営を失敗し、当社グループの業績が悪化するリスク⑤ 為替相場の変動により当社グループ製品の調達価格が変動、また、連結業績が変動するリスク⑥ 知的財産権保護制度の相違によって知的財産が保護できず、または他社の知的財産権を侵害をすることで、当社グループの業績に悪影響を与えるリスク⑦ 当社グループの主要な海外市場又は調達・製造拠点における公衆衛生その他類似の問題の発生が、当社グループに悪影響を与えるリスク(11)買収及びその他第三者との戦略的事業提携等の成否に関するリスク 当社グループは、国内及び海外市場における製品提供の拡大、直営店、WEB販売及びその他販売網における販売能力の強化を含む当社グループの経営目標の達成を促進できると考える買収、投資及びその他第三者との戦略的事業提携やライセンスビジネス等の機会を分析し、追求する予定であります。 当社グループが実施した、あるいは今後実施する買収又はその他戦略的事業提携、ライセンスビジネス等は、景気動向の悪化等による対象会社、パートナーの業績不振、経営統合や業務提携の不成功、シナジー効果やビジネスモデル等が十分な成果を創出できない等により、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。 また、当社は企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産を連結貸借対照表に計上しておりますが、予測される将来キャッシュ・フローの低下によりこれらは減損の対象となる可能性もあります。(12)新市場の開拓における投資の回収に関するリスク 日本国内の人口減少や少子高齢化による国内市場の縮小が予測される状況において、当社グループが成長していくためには、更なる海外市場の新規開拓や新業態、新事業分野への進出等による新市場の開拓に取り組んでいく必要があります。こうした新市場の開拓について、事前にリスク回避等の検討を十分に行うものの、投資に見合う成果が達成できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。(13)知的財産権に関連するリスク 当社グループの保有する知的財産権、特に当社グループのブランド及び関連する商標は、当社グループ製品への需要の喚起及び維持、また当社の事業価値にとって重要であると認識しております。今後、当社グループは商標その他関連する紛争に直面する可能性があり、また類似商品や他者による商標及び知的財産権侵害により、当社グループの事業に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが他者の知的財産権を侵害しているという主張が行われたことがあり、今後も行われる可能性があります。これらの主張や関連する訴訟が、当社グループの事業及び業績に大きな悪影響を与える可能性があります。(14)情報システムに関するリスク 当社グループのコンピューターシステム内へ、外部から不正な手段により侵入され、ホームページ上のコンテンツの改ざん、重要なデータの不正流出、またはコンピューターウィルスの感染により重要なデータが消去される等の可能性、或いはシステム開発のミスや遅延によりシステムに障害が発生する可能性があります。このような状況が発生した場合、営業活動の中断や当社グループの企業イメージが悪化することにより売上高が減少し、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。(15)個人情報保護や当社の機密保持に関するリスク 当社グループが個人情報保護に関する法令に違反した場合、政府機関その他による措置が取られ、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。多岐にわたる個人情報保護規制を遵守することにより、多大な費用が生じたり、業務慣行の変更を余儀なくされるだけでなく、当社グループの事業及び製品に対する顧客の信用が失われ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社が市場競争において優位な地位を維持・確保するためには、当社の製造技術や製品情報等が守られることが必要です。これらの企業秘密が、当社関係者によって漏洩した場合、もしくは他社に侵害された場合、当社の事業及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。(16)内部統制に関連するリスク 当社グループは、2007年3月期連結会計年度から、内部統制の業務プロセスの文書化及び内部統制の評価を実施してまいりました。 有効な内部統制を構築することは、信頼できる財務報告を作成するために必要であり、内部不正を防止するために重要となります。当社グループが適時に信頼できる財務報告を作成できない、又は内部不正を阻止できない場合、当社グループの事業及び業績に悪影響を与え、更には当社グループの財務報告に対する投資家の信頼を喪失し、当社の株価が著しく下落する可能性があります。(17)有価証券に関連するリスク 当社グループは、国内公開会社の株式やその他の有価証券を保有しております。これら保有有価証券の大幅な価格下落や国内株式市場全体の大幅な落ち込みは、該当する連結会計年度における当社グループの財政状態に悪影響を与える可能性があります。(18)自然災害、疫病、紛争、テロ、暴動の発生等に関するリスク 地震等の大規模な自然災害や疫病、紛争、テロ、暴動の発生等により、当社の営業拠点や生産拠点の使用が困難な状況になり、あるいは従業員の多くが被害を受けた場合や交通網の遮断・エネルギー供給の停止・通信の不通などにより、営業活動の混乱や生産の遅延・停止等を受け、事業活動に影響を与える可能性があります。また、当社製品の販売が行われている地域において、地震等の大規模な自然災害や疫病、紛争、テロ、暴動の発生等が起こった場合、消費活動が停滞し、当社製品の売上額が大幅に低下する可能性があります。(19)退職給付債務等に関するリスク 退職給付費用及び債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の仮定に基づいて算出しておりますが、有価証券の相場並びに金利環境の変化等により、実際の結果が仮定と異なる場合、又は仮定に変化があった場合には、退職給付費用及び債務が増加する可能性があります。また退職給付制度を改定した場合にも、追加的負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。(20)繰延税金資産の回収可能性及び移転価格に関するリスク 繰延税金資産については、現行の会計基準に従い、将来の課税所得を合理的に見積もった上で計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 一部の多国籍企業による国際的な租税回避行為が政治問題化したことから、税制度の改善を図るべく、G20からの委託を受けたOECDにより、2015年10月にBEPS(税源浸食と利益移転)に関する報告書が公表されました。この報告書を受けて各国において、国内税法や租税条約の改正、見直しが行われています。 当社グループは、国際的な課税ルールの制定により重要な影響を受けることはないと考えておりますが、新たに定められた移転価格文書等を通し、各国の税務当局と見解の相違が生じる可能性があります。(21)コンプライアンスのリスク 当社グループではワコール倫理規範を定め、関連する法令等に充分留意した事業活動を行い、コンプライアンス委員会を中心に法令遵守の重要性について社員教育を施し、また、内部統制手続を高めていく活動により、リスクの発生を未然に防止する対策を講じておりますが、巧妙な違法行為や当社のサプライチェーンにおける取引先等に起因する事由により問題が発生し、企業の社会的信用の低下や損害賠償など多額の費用が生じることで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
FY2017|6,101 文字
4【事業等のリスク】 当社グループの事業、業績及び財政状態は、下記の要因を含むリスク及び不確定要素により影響を受ける可能性があります。これらのリスク及び不確定要素は、当社グループに対し重大な悪影響を与え、当社株式の市場価格を大幅に引き下げる可能性があります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経済環境の悪化により国内市場及び海外市場の景気が低迷し当社の業績が悪化するリスク 当社グループが活動する主要な市場における経済環境の悪化は、当社グループの売上高や業績及び財政状態に重大な悪影響を与えると考えられます。(2)国内の百貨店、量販店及びその他一般小売店の業績不振や営業政策の変更によって当社が影響を受けるリスク 当社グループの国内売上の大部分は、百貨店、量販店及びその他の一般小売店への売上によるものであります。しかしながら、近年小売市場の構造変化が進んでおり、小売市場全体における百貨店、量販店及びその他一般小売店の売上シェアは低調に推移していくことと予測されます。 また、百貨店、量販店及びその他一般小売店の業績が低迷することにより、当社グループの重要な得意先が経営を存続できない場合には、売上が減少するだけでなく、売掛金が回収不能となる可能性があります。 一方、日本の将来の人口減少による市場縮小に備えての国内百貨店や量販店の経営統合の増加やグループ化によって、価格等取引条件における得意先の交渉力が増大してきており、これら大手小売業の営業政策の変更により当社グループの売上高、売上利益率等に悪影響を与える可能性があります。(3)消費者の嗜好を的確に予測しそれに応える能力及び高品質な商品を提供する能力が期待される成果を生み出さないリスク 消費者の嗜好及び流行は常に変化し、予測が困難であります。流行の変化に的確に対応することができず、消費者の支持が得られない場合、売上目標が達成できずに業績に悪影響を与えます。 また、当社グループの製品企画に関する誤った判断や欠陥商品の販売等により高品質な商品を生産するという評判を損なった場合、その他の失策があった場合、当社グループのブランドイメージが悪化する可能性があり、その場合は、当社の売上高が減少し、業績及び財政状態に重大な悪影響を与える可能性があります。(4)激しい市場競争により当社の販売シェアや利益率が低下するリスク 当社グループは、国内インナーウェア市場において、下着の中高級品の卸売と直営販売を行う会社との競争だけではなく、カタログ販売、WEB販売等販売チャネル間の競争や、衣料専業製造販売メーカーや無店舗販売等とも競争しております。また今後、新規参入者により更に競争が激しくなる可能性もあります。 競争の激化は、価格の値下げ、広告宣伝費の増加、売上高及び市場シェアの減少等につながり、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な悪影響を与える可能性があります。(5)直営店事業の拡大が売上や利益の拡大につながらないリスク 直営店事業の拡大のためには、新規店舗開発や不採算店舗の撤退のコスト、直営店ブランドの育成費用等、今後も投資が必要となります。収益性の改善に努めてはいるものの、新規出店が期待した売上を確保できない場合や市場環境の変化により店舗賃借料や人件費等の高騰が起こった場合、直営店ブランドが顧客に受け入れられなくなった場合は、投資に見合うだけの利益を将来獲得することができない可能性があります。(6)WEB販売の強化による売上増加が達成できないリスク 当社グループは、WEB販売の重要性が増すと考えており、強化に努めております。更にグループ全体でWEB販売を拡大していくためには、さらなるシステム投資等が必要と考えております。しかし、WEB販売を取り巻くシステム環境の進化のスピードは速く、度重なる投資がグループ全体の利益に貢献するかどうかは確かではありません。販売チャネルの中核となる一般小売チャネルの長期的な横這いないしは減少傾向を補うだけの売上と利益の増加を、WEB販売によって確保できない可能性があります。(7)販売・生産計画の失敗や天候の影響が業績を悪化させるリスク 当社グループは通常、商品の販売時期以前に当該商品の製造を行うため、消費者の需要の判断を誤った場合、売上不振と過剰な生産により大量の在庫を抱える可能性があります。また、著しい冷夏暖冬や度重なる悪天候によって、季節キャンペーン商品や季節物商品の売上が悪影響を受ける可能性があります。それらの対応として商品の値下げや広告宣伝費の増加、在庫の評価替対応により、売上利益の悪化や経費の増加が起こり、業績に悪影響を与える可能性があります。(8)材料・製品の調達環境の変化によるコスト上昇のリスク 当社グループの製品はナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、綿等を原材料としており、原材料価格は市況により変動しております。また、製品の調達・製造においては徐々にコストの低いアジアの国々での生産比率を増やしておりますが、アジアの国々は人件費や物価の上昇率が高く、政治的・社会的不安定要素も高いとも言えます。原材料価格の高騰や生産地の人件費や物価の高騰は原価高に繋がり、また、事業環境の変化に対応するための必要コストが生じる可能性もあります。これらは当社グループの業績及び財政状況に重大な影響を与える可能性があります。(9)有能な人材確保ができず人材が不足するリスク 当社グループが成長していくには、商品企画・製造技術・販売・管理面等において当社グループが有能な人材を引きつけ、訓練及び定着させられるかに大きく左右されます。当社グループが有能な人材を引きつけられるかどうかは、労働市場において当社グループの良好なイメージを創造し、維持していくことに左右されます。当社グループは、有能な人材を継続的に引きつけ、定着させていくことを保証することはできません。これにより当社グループの業績及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。(10)海外事業に関連して増加するリスク 当社グループが国内で販売している製品の調達・製造において、徐々にコストの低いアジアの国々での生産比率を増やしており、今後も海外生産比率は拡大することが予想されます。また、当社グループは、米国、ヨーロッパ及び中国等の海外市場での売上拡大を目指しております。これらの目標や動向により、次のような海外事業に関連する様々なリスクが増加する可能性があります。① 海外市場における消費者の趣味及び嗜好に対応できずに業績が悪化するリスク② 製品の調達・製造及び販売を行う国における政治的・経済的・社会的不安定要素が、当社グループに悪影響を及ぼすリスク③ 税制や法律又は規制の変更が当社グループに悪影響を与えるリスク④ 異文化対応の遅れによって、人事管理及び経営を失敗し、当社グループの業績が悪化するリスク⑤ 為替相場の変動により当社グループ製品の調達価格が変動、また、連結業績が変動するリスク⑥ 知的財産権保護制度の相違によって知的財産が保護できず、または他社の知的財産権を侵害をすることで、当社グループの業績に悪影響を与えるリスク⑦ 当社グループの主要な海外市場又は調達・製造拠点における公衆衛生その他類似の問題の発生が、当社グループに悪影響を与えるリスク(11)買収及びその他第三者との戦略的事業提携等の成否に関するリスク 当社グループは、国内及び海外市場における製品提供の拡大、直営店、WEB販売及びその他販売網における販売能力の強化を含む当社グループの経営目標の達成を促進できると考える買収、投資及びその他第三者との戦略的事業提携やライセンスビジネス等の機会を分析し、追求する予定であります。 当社グループが実施した、あるいは今後実施する買収又はその他戦略的事業提携、ライセンスビジネス等は、景気動向の悪化等による対象会社、パートナーの業績不振、経営統合や業務提携の不成功、シナジー効果やビジネスモデル等が十分な成果を創出できない等により、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。 また、当社は企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産を連結貸借対照表に計上しておりますが、予測される将来キャッシュ・フローの低下によりこれらは減損の対象となる可能性もあります。(12)新市場の開拓における投資の回収に関するリスク 日本国内の人口減少や少子高齢化による国内市場の縮小が予測される状況において、当社グループが成長していくためには、更なる海外市場の新規開拓や新業態、新事業分野への進出等による新市場の開拓に取り組んでいく必要があります。こうした新市場の開拓について、事前にリスク回避等の検討を十分に行うものの、投資に見合う成果が達成できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。(13)知的財産権に関連するリスク 当社グループの保有する知的財産権、特に当社グループのブランド及び関連する商標は、当社グループ製品への需要の喚起及び維持、また当社の事業価値にとって重要であると認識しております。今後、当社グループは商標その他関連する紛争に直面する可能性があり、また類似商品や他者による商標及び知的財産権侵害により、当社グループの事業に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが他者の知的財産権を侵害しているという主張が行われたことがあり、今後も行われる可能性があります。これらの主張や関連する訴訟が、当社グループの事業及び業績に大きな悪影響を与える可能性があります。(14)情報システムに関するリスク 当社グループのコンピューターシステム内へ、外部から不正な手段により侵入され、ホームページ上のコンテンツの改ざん、重要なデータの不正流出、またはコンピューターウィルスの感染により重要なデータが消去される等の可能性、或いはシステム開発のミスや遅延によりシステムに障害が発生する可能性があります。このような状況が発生した場合、営業活動の中断や当社グループの企業イメージが悪化することにより売上高が減少し、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。(15)個人情報保護や当社の機密保持に関するリスク 当社グループが個人情報保護に関する法令に違反した場合、政府機関その他による措置が取られ、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。多岐にわたる個人情報保護規制を遵守することにより、多大な費用が生じたり、業務慣行の変更を余儀なくされるだけでなく、当社グループの事業及び製品に対する顧客の信用が失われ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社が市場競争において優位な地位を維持・確保するためには、当社の製造技術や製品情報等が守られることが必要です。これらの企業秘密が、当社関係者によって漏洩した場合、もしくは他社に侵害された場合、当社の事業及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。(16)内部統制に関連するリスク 当社グループは、平成19年3月期連結会計年度から、内部統制の業務プロセスの文書化及び内部統制の評価を実施してまいりました。 有効な内部統制を構築することは、信頼できる財務報告を作成するために必要であり、内部不正を防止するために重要となります。当社グループが適時に信頼できる財務報告を作成できない、又は内部不正を阻止できない場合、当社グループの事業及び業績に悪影響を与え、更には当社グループの財務報告に対する投資家の信頼を喪失し、当社の株価が著しく下落する可能性があります。(17)有価証券に関連するリスク 当社グループは、国内公開会社の株式やその他の有価証券を保有しております。これら保有有価証券の大幅な価格下落や国内株式市場全体の大幅な落ち込みは、該当する連結会計年度における当社グループの財政状態に悪影響を与える可能性があります。(18)自然災害、疫病、紛争、テロ、暴動の発生等に関するリスク 地震等の大規模な自然災害や疫病、紛争、テロ、暴動の発生等により、当社の営業拠点や生産拠点の使用が困難な状況になり、あるいは従業員の多くが被害を受けた場合や交通網の遮断・エネルギー供給の停止・通信の不通などにより、営業活動の混乱や生産の遅延・停止等を受け、事業活動に影響を与える可能性があります。また、当社製品の販売が行われている地域において、地震等の大規模な自然災害や疫病、紛争、テロ、暴動の発生等が起こった場合、消費活動が停滞し、当社製品の売上額が大幅に低下する可能性があります。(19)退職給付債務等に関するリスク 退職給付費用及び債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の仮定に基づいて算出しておりますが、有価証券の相場並びに金利環境の変化等により、実際の結果が仮定と異なる場合、又は仮定に変化があった場合には、退職給付費用及び債務が増加する可能性があります。また退職給付制度を改定した場合にも、追加的負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。(20)繰延税金資産の回収可能性及び移転価格に関するリスク 繰延税金資産については、現行の会計基準に従い、将来の課税所得を合理的に見積もった上で計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 一部の多国籍企業による国際的な租税回避行為が政治問題化したことから、税制度の改善を図るべく、G20からの委託を受けたOECDにより、平成27年10月にBEPS(税源浸食と利益移転)に関する報告書が公表されました。この報告書を受けて各国は、国内税法や租税条約の改正、見直しを行うこととなります。 当社グループは、国際的な課税ルールの制定により重要な影響を受けることはないと考えておりますが、新たに定められた移転価格文書等を通し、各国の税務当局と見解の相違が生じる可能性があります。(21)コンプライアンスのリスク 当社グループではワコール倫理規範を定め、関連する法令等に充分留意した事業活動を行い、コンプライアンス委員会を中心に法令遵守の重要性について社員教育を施し、また、内部統制手続を高めていく活動により、リスクの発生を未然に防止する対策を講じておりますが、巧妙な違法行為や取引先等に起因する事由により問題が発生し、企業の社会的信用の低下や損害賠償など多額の費用が生じることで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
FY2016|6,222 文字
4【事業等のリスク】 当社グループの事業、業績及び財政状態は、下記の要因を含むリスク及び不確定要素により影響を受ける可能性があります。これらのリスク及び不確定要素は、当社グループに対し重大な悪影響を与え、当社株式の市場価格を大幅に引き下げる可能性があります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経済環境の悪化により国内市場及び海外市場の景気が低迷し当社の業績が悪化するリスク 当連結会計年度における当社の地域別の売上高比率は、売上全体の約74.3%が日本国内市場での売上であり、約25.7%が海外市場での売上によるものです。国内市場において消費税増税による消費の減退が起こった場合等、当社グループが活動する主要な市場における経済環境の悪化は、当社グループの売上高や業績及び財政状態に重大な悪影響を与えると考えられます。(2)国内の百貨店、量販店及びその他一般小売店の業績不振や営業政策の変更によって当社が影響を受けるリスク 当社グループの国内売上の大部分は、百貨店、量販店及びその他の一般小売店への売上によるものであります。しかしながら、近年小売市場の構造変化が進んでおり、小売市場全体における百貨店、量販店及びその他一般小売店の売上シェアは低調に推移していくことと予測されます。 また、百貨店、量販店及びその他一般小売店の業績が低迷することにより、当社グループの重要な得意先が経営を存続できない場合には、売上が減少するだけでなく、売掛金が回収不能となる可能性があります。 一方、日本の将来の人口減少による市場縮小に備えての国内百貨店や量販店の経営統合の増加やグループ化によって、価格等取引条件における得意先の交渉力が増大してきており、これら大手小売業の営業政策の変更により当社グループの売上高、売上利益率等に悪影響を与える可能性があります。(3)消費者の嗜好を的確に予測しそれに応える能力及び高品質な商品を提供する能力が期待される成果を生み出さないリスク 消費者の嗜好及び流行は常に変化し、予測が困難であります。流行の変化に的確に対応することができず、消費者の支持が得られない場合、売上目標が達成できずに業績に悪影響を与えます。 また、当社グループの製品企画に関する誤った判断や欠陥商品の販売等により高品質な商品を生産するという評判を損なった場合、その他の失策があった場合、当社グループのブランドイメージが悪化する可能性があり、その場合は、当社の売上高が減少し、業績及び財政状態に重大な悪影響を与える可能性があります。(4)激しい市場競争により当社の販売シェアや利益率が低下するリスク 当社グループは、国内インナーウェア市場において、下着の中高級品の卸売と直営販売を行う会社との競争だけではなく、カタログ販売、WEB販売等販売チャネル間の競争や、衣料専業製造販売メーカーや無店舗販売等の下着市場への新規参入者とも競争しております。 また、WEB販売その他の国内インナーウェア業界における競争力のある新しい小売戦略の出現の影響も受けております。競争の激化は、価格の値下げ、広告宣伝費の増加、売上高及び市場シェアの減少等につながり、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な悪影響を与える可能性があります。(5)直営店事業の拡大が売上や利益の拡大につながらないリスク 直営店事業の拡大のためには、新規店舗開発や不採算店舗の撤退のコスト、直営店ブランドの育成費用等、今後も投資が必要となります。収益性の改善に努めてはいるものの、新規出店が期待した売上を確保できない場合や市場環境の変化により店舗賃借料や人件費等の高騰が起こった場合、直営店ブランドが顧客に受け入れられなくなった場合は、投資に見合うだけの利益を将来獲得することができない可能性があります。(6)WEB販売の強化による売上増加が達成できないリスク 当社グループは、WEB販売の重要性が増すと考えており、強化に努めております。更にグループ全体でWEB販売を拡大していくためには、さらなるシステム投資等が必要と考えております。しかし、WEB販売を取り巻くシステム環境の進化のスピードは速く、度重なる投資がグループ全体の利益に貢献するかどうかは確かではありません。販売チャネルの中核となる一般小売チャネルの長期的な横這いないしは減少傾向を補うだけの売上と利益の増加を、WEB販売によって確保できない可能性があります。(7)販売・生産計画の失敗による売り逃しや在庫の増加が業績を悪化させるリスク 当社グループは通常、商品の販売時期や、流行が消費者の購買動向により確認される以前に当該商品の製造を行うため、商品への需要の変動が在庫に影響を与える可能性があります。消費者の嗜好や需要の判断を誤った場合、大量の在庫を抱えることとなり、その対応として商品の値下げや広告宣伝費の増加、在庫の評価替対応により、売上利益の悪化や経費の増加が起こり、業績に悪影響を与える可能性があります。(8)コスト削減が成功せず利益が減少するリスク 当社グループの売上高は約74.3%が国内市場のものです。国内個人消費が大幅に拡大する可能性は高くないと予想される等、今後しばらく当社グループの売上が大幅に増加することは難しいと考えられます。したがって、収益性を向上させるためにはコスト削減が必要になると考えられます。 近年、当社グループはコスト削減のための施策を行っており、今後も継続して行うつもりであります。 しかしながら、製品の原材料価格の高騰、為替相場の変動、アジアにおける人件費の上昇やその他事業環境の変化に対応するための必要コストが生じる可能性もあり、大幅なコスト削減の成功、又は売上の低下を補うだけのコスト削減効果を保証することはできません。(9)有能な人材確保ができず人材が不足するリスク 当社グループが成長していくには、商品企画・製造技術・販売・管理面等において当社グループが有能な人材を引きつけ、訓練及び定着させられるかに大きく左右されます。当社グループが有能な人材を引きつけられるかどうかは、労働市場において当社グループの良好なイメージを創造し、維持していくことに左右されます。当社グループは、有能な人材を継続的に引きつけ、定着させていくことを保証することはできません。これにより当社グループの業績及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。(10)季節の天候不順の影響により業績が悪化するリスク 当社グループの業績は、季節の天候不順の影響を受けます。当社グループの主力となるインナーウェアその他衣料品は天候により消費者の購買意欲が変動しやすいため、著しい冷夏暖冬や度重なる台風等による悪天候等によって、季節キャンペーン商品や季節物商品の売上が悪影響を受ける可能性があります。これら季節商品は、実際の販売時期以前に生産して備蓄するため、当社グループの在庫水準も天候によって影響を受ける可能性があります。(11)海外事業に関連して増加するリスク 当社グループが国内で販売している製品の調達・製造において、徐々にコストの低いアジアの国々での生産比率を増やしており、今後も海外生産比率は拡大することが予想されます。また、当社グループは、米国、ヨーロッパ及び中国等の海外市場での売上拡大を目指しております。これらの目標や動向により、次のような海外事業に関連する様々なリスクが増加する可能性があります。① 海外市場における消費者の趣味及び嗜好に対応できずに業績が悪化するリスク② 製品の調達・製造及び販売を行う国における政治的・経済的・社会的不安定要素が、当社グループに悪影響を及ぼすリスク③ 税制や法律又は規制の変更が当社グループに悪影響を与えるリスク④ 異文化対応の遅れによって、人事管理及び経営を失敗し、当社グループの業績が悪化するリスク⑤ 為替相場の変動により当社グループ製品の調達価格が変動、また、連結業績が変動するリスク⑥ 知的財産権保護制度の相違によって知的財産が保護できず、または他社の知的財産権を侵害をすることで、当社グループの業績に悪影響を与えるリスク⑦ 当社グループの主要な海外市場又は調達・製造拠点における公衆衛生その他類似の問題の発生が、当社グループに悪影響を与えるリスク(12)買収及びその他第三者との戦略的事業提携等の成否に関するリスク 当社グループは、国内及び海外市場における製品提供の拡大、直営店、WEB販売及びその他販売網における販売能力の強化を含む当社グループの経営目標の達成を促進できると考える買収、投資及びその他第三者との戦略的事業提携やライセンスビジネス等の機会を分析し、追求する予定であります。 当社グループが実施した、あるいは今後実施する買収又はその他戦略的事業提携、ライセンスビジネス等は、景気動向の悪化等による対象会社、パートナーの業績不振、経営統合や業務提携の不成功、シナジー効果やビジネスモデル等が十分な成果を創出できない等により、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。 また、当社は企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産を連結貸借対照表に計上しておりますが、予測される将来キャッシュ・フローの低下によりこれらは減損の対象となる可能性もあります。(13)新市場の開拓における投資の回収に関するリスク 日本国内の人口減少や少子高齢化による国内市場の縮小が予測される状況において、当社グループが成長していくためには、更なる海外市場の新規開拓や新業態、新事業分野への進出等による新市場の開拓に取り組んでいく必要があります。こうした新市場の開拓について、事前にリスク回避等の検討を十分に行うものの、投資に見合う成果が達成できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。(14)知的財産権に関連するリスク 当社グループの保有する知的財産権、特に当社グループのブランド及び関連する商標は、当社グループ製品への需要の喚起及び維持、また当社の事業価値にとって重要であると認識しております。今後、当社グループは商標その他関連する紛争に直面する可能性があり、また類似商品や他者による商標及び知的財産権侵害により、当社グループの事業に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが他者の知的財産権を侵害しているという主張が行われたことがあり、今後も行われる可能性があります。これらの主張や関連する訴訟が、当社グループの事業及び業績に大きな悪影響を与える可能性があります。(15)情報システムに関するリスク 当社グループのコンピューターシステム内へ、外部から不正な手段により侵入され、ホームページ上のコンテンツの改ざん、重要なデータの不正流出、またはコンピューターウィルスの感染により重要なデータが消去される可能性があります。このような状況が発生した場合、当社グループの企業イメージが悪化することにより売上高が減少し、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。(16)個人情報保護や当社の機密保持に関するリスク 当社グループが個人情報保護に関する法令に違反した場合、政府機関その他による措置が取られ、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。多岐にわたる個人情報保護規制を遵守することにより、多大な費用が生じたり、業務慣行の変更を余儀なくされるだけでなく、当社グループの事業及び製品に対する顧客の信用が失われ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社が市場競争において優位な地位を維持・確保するためには、当社の製造技術や製品情報等が守られることが必要です。これらの企業秘密が、当社関係者によって漏洩した場合、もしくは他社に侵害された場合、当社の事業及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。(17)内部統制に関連するリスク 当社グループは、平成19年3月期連結会計年度から、内部統制の業務プロセスの文書化及び内部統制の評価を実施してまいりました。 有効な内部統制を構築することは、信頼できる財務報告を作成するために必要であり、内部不正を防止するために重要となります。当社グループが適時に信頼できる財務報告を作成できない、又は内部不正を阻止できない場合、当社グループの事業及び業績に悪影響を与え、更には当社グループの財務報告に対する投資家の信頼を喪失し、当社の株価が著しく下落する可能性があります。(18)有価証券に関連するリスク 当社グループは、国内公開会社の株式やその他の有価証券を保有しております。これら保有有価証券の大幅な価格下落や国内株式市場全体の大幅な落ち込みは、該当する連結会計年度における当社グループの財政状態に悪影響を与える可能性があります。(19)自然災害、疫病、紛争、テロ、暴動の発生等に関するリスク 地震等の大規模な自然災害や疫病、紛争、テロ、暴動の発生等により、当社の営業拠点や生産拠点の使用が困難な状況になり、あるいは従業員の多くが被害を受けた場合や交通網の遮断・エネルギー供給の停止・通信の不通などにより、営業活動の混乱や生産の遅延・停止等を受け、事業活動に影響を与える可能性があります。また、当社製品の販売が行われている地域において、地震等の大規模な自然災害や疫病、紛争、テロ、暴動の発生等が起こった場合、消費活動が停滞し、当社製品の売上額が大幅に低下する可能性があります。(20)退職給付債務等に関するリスク 退職給付費用及び債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の仮定に基づいて算出しておりますが、有価証券の相場並びに金利環境の変化等により、実際の結果が仮定と異なる場合、又は仮定に変化があった場合には、退職給付費用及び債務が増加する可能性があります。また退職給付制度を改定した場合にも、追加的負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。(21)繰延税金資産の回収可能性及び移転価格に関するリスク 繰延税金資産については、現行の会計基準に従い、将来の課税所得を合理的に見積もった上で計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 一部の多国籍企業による国際的な租税回避行為が政治問題化したことから、税制度の改善を図るべく、G20からの委託を受けたOECDにより、平成27年10月にBEPS(税源浸食と利益移転)に関する報告書が公表されました。この報告書を受けて各国は、国内税法や租税条約の改正、見直しを行うこととなります。 当社グループは、国際的な課税ルールの制定により重要な影響を受けることはないと考えておりますが、新たに定められた移転価格文書等を通し、各国の税務当局と見解の相違が生じる可能性があります。