事業の概要
- 主力事業の概要イチカワは、主に製紙会社向けの「抄紙用具関連事業」と、それ以外の産業向けの「工業用事業」の2つの部門で事業を展開しています。抄紙用具関連事業では、紙を作る機械(抄紙機)に使われるフェルトやベルトなどを製造・販売しており、これが同社の主要な収益源となっています。子会社が製造や販売、加工、物流などを分担し、国内外で事業を行っています。
- 収益構造の特徴同社の収益は、紙の生産に不可欠な消耗品である抄紙用具の販売が中心です。特に国内製紙会社への販売が大きな割合を占めており、紙・板紙の生産動向が直接的に業績に影響を与えます。また、海外売上高比率が60%を超えており、グローバルな事業展開によって収益を上げています。
- ビジネスモデルイチカワは、自社で製品を製造し、国内外の製紙会社やその他の産業顧客に直接販売するビジネスモデルを採用しています。製造の一部は連結子会社である(有)アイケー加工に外注し、海外販売はイチカワ・ノース・アメリカ・コーポレーションやイチカワ・ヨーロッパGmbHなどの現地法人を通じて行い、効率的なグローバル供給体制を構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 日本抄紙用具関連事業日本の製紙会社向けに抄紙用フエルトやベルトなどを製造・販売する事業です。売上高は88.76億円、営業利益は27.23億円と、同社グループの中で最も大きな売上と利益を上げており、主要な収益源となっています。
- 北米・欧州抄紙用具関連事業北米と欧州の製紙会社向けに抄紙用具を販売する事業です。北米の売上高は16.53億円、営業利益は0.26億円、欧州の売上高は22.88億円、営業利益は1.38億円となっており、海外市場における重要な事業基盤を形成しています。
- 中国・タイ抄紙用具関連事業および工業用事業中国とタイのアジア地域における抄紙用具関連事業と、その他の産業向けの工業用事業です。中国の売上高は3.48億円、営業利益は0.69億円、タイの売上高は3.35億円、営業利益は0.2億円、工業用事業の売上高は4.44億円、営業利益は0.07億円と、多様な地域と分野で事業を展開しています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| JapanPaperMakingToolBusiness | 地域 | 89 | 27 | 30.7% |
| NorthAmericaPaperMakingToolBusiness | 地域 | 17 | 0 | 1.6% |
| EuropePaperMakingToolBusiness | 地域 | 23 | 1 | 6.0% |
| ChinaPaperMakingToolBusiness | 地域 | 3 | 1 | 19.8% |
| ThailandPaperMakingToolBusinessReportableSegment | 地域 | 3 | 0 | 6.0% |
| IndustrialBusiness | 地域 | 4 | 0 | 1.6% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社の企業集団は、当社及び子会社7社(連結子会社7社)により構成され、抄紙用具関連事業、工業用事業の2部門に亘り、製造、販売に至る事業活動を展開しております。 事 業 区 分製 品 区 分製 造販 売抄紙用具関連事業抄紙用フエルト抄紙用ベルトスレート用フエルト 等当社織整・縫合工程は連結子会社である(有)アイケー加工に全面外注当社イチカワ・ノース・アメリカ・コーポレーションイチカワ・ヨーロッパGmbH宜紙佳造紙脱水器材貿易(上海)有限公司イチカワ・アジア・カンパニーリミテッド(株)イチカワテクノファブリクスその他の代理店工業用事業工業用フエルト工業用関連仕入品 当社グループの事業に係る位置付け及びセグメントとの関連を図示すると次のとおりとなります。 連結子会社は次のとおりです。連結子会社・イチカワ・ノース・アメリカ・コーポレーション抄紙用具関連事業、工業用事業製品の販売・イチカワ・ヨーロッパGmbH抄紙用具関連事業、工業用事業製品の販売・宜紙佳造紙脱水器材貿易(上海)有限公司抄紙用具関連事業、工業用事業製品の販売・イチカワ・アジア・カンパニーリミテッド抄紙用具関連事業、工業用事業製品の販売・(株)イチカワテクノファブリクス工業用事業製品の販売・(有)アイケー加工抄紙用具関連事業、工業用事業製品の加工・(株)アイケーサービス当社製品の荷役・保管、その他の当社委託業務
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 国内外のお客様のニーズに応える製品提案と省エネルギー・環境貢献 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 新素材の応用、新樹脂、新加工法の開発及び基盤技術開発、大学等との共同研究 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 中程度 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
会社が挙げる主要リスク:紙・板紙の生産動向 / 原材料価格の変動 / 為替相場の変動
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 5 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
イチカワ(3513)の財務サマリデータが未収録のため、ブランド力、特許、規制ライセンス、IPなどの無形資産に関する具体的な評価は困難です。公開情報からは、繊維製品という一般消費財に近い業種であり、強力な無形資産の存在を示唆する情報は確認できません。
スイッチングコスト★☆☆☆☆
繊維製品、特に産業用資材など一部のニッチ分野では、顧客の仕様に合わせた製品開発や長年の取引実績により、一定のスイッチング・コストが存在する可能性があります。しかし、汎用的な繊維製品においては、顧客の乗り換え障壁は低いと考えられます。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
繊維製品の製造・販売事業において、ネットワーク効果が働くビジネスモデルは一般的ではありません。ユーザー数の増加が製品価値を直接的に高めるような構造は見られません。
コスト優位★★☆☆☆
長年の操業による生産ノウハウの蓄積や、特定の原料調達ルートの確保により、コスト優位性が部分的に存在する可能性はあります。しかし、グローバルな競争環境や原材料価格の変動リスクを考慮すると、持続的な圧倒的コスト優位性を確立しているかは不明です。
規模の経済★★☆☆☆
繊維製品業界は競争が激しく、大手企業が多数存在します。イチカワが業界全体の中でどの程度の規模と効率性を有しているか、またそれが最適化された少数寡占状態に該当するかは、詳細な市場分析が必要です。現時点では、限定的な効率規模と推測されます。
- 専門性と技術力イチカワは抄紙用具の専門企業として、長年にわたり培ってきた高い技術力とノウハウを有していると考えられます。国内外の製紙会社が求める高品質な製品を提供することで、顧客の抄紙機プレスパートの能力を最大化し、「省エネルギー、環境にやさしい紙づくり」に貢献している点は強みと言えるでしょう。
- グローバルな販売網同社は、北米、欧州、中国、アジアなど世界各地に販売拠点を持ち、海外売上高比率が60%を超えるグローバルな販売網を構築しています。これにより、特定の地域に依存しない安定した収益基盤を築き、多様な市場ニーズに対応できる体制を整えていると考えられます。
- 顧客との関係性主要な販売先が国内外の製紙会社であり、抄紙用フエルトや抄紙用ベルトといった消耗品を継続的に供給していることから、顧客との長期的な関係性を構築していると推察されます。顧客のニーズに応じた最適な製品提案や、省エネルギーへの貢献を通じて、顧客からの信頼を得ている可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社は、「事業は人なり而して人の和なり」「より良い品をより安くより多く」を社是とし、「株主重視」・「顧客重視」・「社員の生活向上」の理念に基づき、市場のニーズに的確に対応した高機能製品を提供する「抄紙用具の高度専門企業」として成長・発展することを目指して経営活動を展開しております。なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 ■IK VISION2030当社グループは、長期ビジョンとしての全社員が目指す「2030年に実現する未来(IK VISION2030)」を2022年に決定し、この長期ビジョンで示した進むべき方向性を達成するために、3回の連続する中期経営計画に基づき活動を進めております。 IK VISION2030サステナブルな社会に貢献し、イチカワを支える役職員、取引先、株主及び周辺の地域社会がそれぞれ高い満足度を持つ会社となる。“NE-24”2022年度-2024年度“NE-27”2025年度-2027年度“NE-30”2028年度-2030年度「会社を創り直す」3年「新領域への挑戦」の3年「CX確立」の3年 ■第7次中期経営計画「"New Enterprise2024"」(略称:“NE-24”)の総括IK VISION2030を達成するための第1段階の位置付けとして2022年にスタートした第7次中期経営計画(略称:“NE-24”)は、“NE-24”では、まず「会社を創り直す」3年と位置付け、製造コスト削減に注力し、データとデジタル技術を活用したDX戦略や製品競争力を強化する新製品・新製法等の開発に取組んでまいりました。“NE-24”(2022年4月1日~2025年3月31日)当初目標実績・1株当たり連結当期純利益(EPS):150円・連結売上高:120億円以上・連結売上高営業利益率:5.0%以上・1株当たり連結当期純利益(EPS):181.51円・連結売上高:139億円・連結売上高営業利益率:7.7% 想定を大幅に超える円安もあり目標は達成いたしましたが、エネルギー価格及び原材料価格の高騰、紙のデジタル化による国内の洋紙の構造的な需要縮小や板紙等の需要の減少傾向もあり、“NE-24”で計画した施策効果の全ては発現できませんでした。次期中期経営計画においても、国内市場は需要減少による競争激化を見込んでおります。一方、グローバル市場はアジア地域を中心に拡大は続くと見込まれるものの、競争は一層激しくなると思われます。引き続き、製造コスト削減に注力するとともに、当社グループの強みを一層深化させ、事業基盤の強化に努めてまいります。 ■第8次中期経営計画(略称:“NE-27”)当社グループは、2025年度を起点とする新たな3ヶ年の中期経営計画「"New Enterprise2027"」(略称:“NE-27”)を策定いたしました。前中期経営計画“NE-24”の経営目標を達成するために、諸施策を実行してまいりましたが、十分な成果に至らなかったことを真摯に受け止め、“NE-27”では「収益力の向上」、「グローバル市場での成長」、「事業基盤の強化」、「SDGsを含めた社会への貢献」を目的として「新領域への挑戦の3年」のスローガンを掲げ、新たな経営方針の下、活動を進めてまいります。“NE-27”(2025年4月1日~2028年3月31日)スローガン「新領域への挑戦」の3年経営方針「高品質且つ革新的な製品及びサービス」を「グローバル競争力のあるコスト」で提供し、「国内及び世界中の顧客の信頼」を獲得することにより社会へ貢献する。一. 顧客第一:お客様の喜びを最優先し、品質とコストの両立を徹底的に追求する。一. 社員成長:達成可能な高い目標を設定し、社員一人ひとりの成長を促進する。一. 迅速行動:失敗を恐れず、スピード・行動・執念(SKS)をもって目標を達成する。経営目標(“NE-27”最終年度)・連結売上高:142億円以上・連結売上高営業利益率:8.2%以上・ROE:4.2%以上 当社グループが製造している抄紙用具(抄紙用フエルト・シュープレス用ベルト・トランスファー用ベルト)が使用される取引先の抄紙機のプレスパート工程は、製造される紙の品質を決定づける、また、全工程を通じたエネルギーコストに与える影響が大きく、紙を製造する上で品質面・コスト面ともに一番重要な工程で、当社グループは、取引先のプレスパート工程の能力が最大限に発揮される製品の組み合わせをご提案し、開発・製造・販売ができる国内唯一、海外でも数社しかないメーカ-です。“NE-27”では、国内市場において収益を確保するための施策を推進するとともに、競争の激しい海外市場で成長していくために収益力向上を図ってまいります。また、社内の資源を活用するだけでなく、外部機関を積極的に活用し、研究開発力・製品開発力を強化してまいります。なお、当社グループは、SDGs活動を経営の最重要課題として位置付けており、企業活動を通じて環境負荷の低減にも取組んでまいります。 当社グループは、革新的な挑戦を続け、株主の皆様、お取引先、従業員、地域社会などのステークホルダーに対する社会的責任を果たし、社会とともに成長する企業を目指し日々努力を重ねていきますとともに、その基盤構築のために、内部統制の一層の充実を図り、企業価値の増大に邁進してまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社は、「事業は人なり而して人の和なり」「より良い品をより安くより多く」を社是とし、「株主重視」・「顧客重視」・「社員の生活向上」の理念に基づき、市場のニーズに的確に対応した高機能製品を提供する「抄紙用具の高度専門企業」として成長・発展することを目指して経営活動を展開しております。なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 ■IK VISION2030当社グループは、長期ビジョンとしての全社員が目指す「2030年に実現する未来(IK VISION2030)」を2022年に決定し、この長期ビジョンで示した進むべき方向性を達成するために、3回の連続する中期経営計画に基づき活動を進めております。 IK VISION2030サステナブルな社会に貢献し、イチカワを支える役職員、取引先、株主及び周辺の地域社会がそれぞれ高い満足度を持つ会社となる。“NE-24”2022年度-2024年度“NE-27”2025年度-2027年度“NE-30”2028年度-2030年度「会社を創り直す」3年「新領域への挑戦」の3年「CX確立」の3年 ■第7次中期経営計画「"New Enterprise2024"」(略称:“NE-24”)の総括IK VISION2030を達成するための第1段階の位置付けとして2022年にスタートした第7次中期経営計画(略称:“NE-24”)は、“NE-24”では、まず「会社を創り直す」3年と位置付け、製造コスト削減に注力し、データとデジタル技術を活用したDX戦略や製品競争力を強化する新製品・新製法等の開発に取組んでまいりました。“NE-24”(2022年4月1日~2025年3月31日)当初目標実績・1株当たり連結当期純利益(EPS):150円・連結売上高:120億円以上・連結売上高営業利益率:5.0%以上・1株当たり連結当期純利益(EPS):181.51円・連結売上高:139億円・連結売上高営業利益率:7.7% 想定を大幅に超える円安もあり目標は達成いたしましたが、エネルギー価格及び原材料価格の高騰、紙のデジタル化による国内の洋紙の構造的な需要縮小や板紙等の需要の減少傾向もあり、“NE-24”で計画した施策効果の全ては発現できませんでした。次期中期経営計画においても、国内市場は需要減少による競争激化を見込んでおります。一方、グローバル市場はアジア地域を中心に拡大は続くと見込まれるものの、競争は一層激しくなると思われます。引き続き、製造コスト削減に注力するとともに、当社グループの強みを一層深化させ、事業基盤の強化に努めてまいります。 ■第8次中期経営計画(略称:“NE-27”)当社グループは、2025年度を起点とする新たな3ヶ年の中期経営計画「"New Enterprise2027"」(略称:“NE-27”)を策定いたしました。前中期経営計画“NE-24”の経営目標を達成するために、諸施策を実行してまいりましたが、十分な成果に至らなかったことを真摯に受け止め、“NE-27”では「収益力の向上」、「グローバル市場での成長」、「事業基盤の強化」、「SDGsを含めた社会への貢献」を目的として「新領域への挑戦の3年」のスローガンを掲げ、新たな経営方針の下、活動を進めてまいります。“NE-27”(2025年4月1日~2028年3月31日)スローガン「新領域への挑戦」の3年経営方針「高品質且つ革新的な製品及びサービス」を「グローバル競争力のあるコスト」で提供し、「国内及び世界中の顧客の信頼」を獲得することにより社会へ貢献する。一. 顧客第一:お客様の喜びを最優先し、品質とコストの両立を徹底的に追求する。一. 社員成長:達成可能な高い目標を設定し、社員一人ひとりの成長を促進する。一. 迅速行動:失敗を恐れず、スピード・行動・執念(SKS)をもって目標を達成する。経営目標(“NE-27”最終年度)・連結売上高:142億円以上・連結売上高営業利益率:8.2%以上・ROE:4.2%以上 当社グループが製造している抄紙用具(抄紙用フエルト・シュープレス用ベルト・トランスファー用ベルト)が使用される取引先の抄紙機のプレスパート工程は、製造される紙の品質を決定づける、また、全工程を通じたエネルギーコストに与える影響が大きく、紙を製造する上で品質面・コスト面ともに一番重要な工程で、当社グループは、取引先のプレスパート工程の能力が最大限に発揮される製品の組み合わせをご提案し、開発・製造・販売ができる国内唯一、海外でも数社しかないメーカ-です。“NE-27”では、国内市場において収益を確保するための施策を推進するとともに、競争の激しい海外市場で成長していくために収益力向上を図ってまいります。また、社内の資源を活用するだけでなく、外部機関を積極的に活用し、研究開発力・製品開発力を強化してまいります。なお、当社グループは、SDGs活動を経営の最重要課題として位置付けており、企業活動を通じて環境負荷の低減にも取組んでまいります。 当社グループは、革新的な挑戦を続け、株主の皆様、お取引先、従業員、地域社会などのステークホルダーに対する社会的責任を果たし、社会とともに成長する企業を目指し日々努力を重ねていきますとともに、その基盤構築のために、内部統制の一層の充実を図り、企業価値の増大に邁進してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は以下のとおりです。① 財政状態及び経営成績の状況 当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の回復やインバウンド需要の拡大、雇用・所得環境の改善等により景気の緩やかな回復基調が見られる一方、米国の関税政策、ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫等不安定な国際情勢の中でエネルギー価格及び原材料価格の高騰や継続的な物価上昇等依然として先行きが不透明な状況が続いております。 当社グループの主要取引先であります紙パルプ業界の動向について、国内では、紙のデジタル化が引き続き進んでいることから、新聞用紙及び印刷情報用紙の需要は縮小しております。加えて、板紙等の需要も減少傾向が見られ、厳しい状況が続いております。一方海外では、アジア地域において通販市場の拡大に伴い板紙及び衛生用紙の需要はあるものの、新聞用紙及び印刷情報用紙は国内と同様に需要の減少傾向が続くと見込んでおります。 当社では、早くから市場規模の大きな主要地域に進出し、グローバルな販売体制網構築による販売力強化でシェア拡大を目指してまいりました。コスト競争力を強化するべく抄紙用フエルトの生産体制の最適化に努めておりますが、品質面で世界的に評価されている衛生用紙向けベルトの積極的な拡販を指向し、ベルトの生産体制の見直しにも着手いたしました。このような状況の中、国内抄紙用フエルトは需要減により販売数量は減少したものの、海外抄紙用フエルト及びベルトの増販に加え、為替が円安に推移した影響により、連結売上高は13,947百万円(前期比2.5%増)、連結営業利益は1,072百万円(前期比3.8%減)、連結経常利益は1,216百万円(前期比4.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は782百万円(前期比23.2%減)となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。<抄紙用具関連事業>(日本)内需につきましては、抄紙用フエルトはコスト上昇分を製品価格へ転嫁したものの、需要の減少により販売数量が減少いたしました。輸出につきましては、受注活動を推進したことにより販売数量及び金額が増加いたしました。これに加え為替影響により、売上高は8,876百万円(前期比4.5%増)、セグメント利益(営業利益)は2,723百万円(前期比13.2%増)となりました。(北米)抄紙用フエルト及びベルトは、前年度における大手顧客の一部工場閉鎖及び生産集約の影響もあり販売数量が減少いたしました。これにより、売上高は1,653百万円(前期比9.8%減)、セグメント利益(営業利益)は26百万円(前期比53.6%減)となりました。(欧州)抄紙用フエルトは、家庭紙向け製品の拡販により販売数量が増加し、抄紙用ベルトも受注増により販売数量が増加いたしました。これにより、売上高は2,288百万円(前期比3.2%増)、セグメント利益(営業利益)は138百万円(前期比9.3%増)となりました。(中国)抄紙用ベルトは、新規顧客からの受注増により、販売数量は増加いたしました。これにより、売上高は348百万円(前期比41.0%増)、セグメント利益(営業利益)は69百万円(前期比9.1%増)となりました。(タイ)抄紙用フエルト及びベルトは、新規顧客からの受注増により販売数量が増加いたしました。これに加え為替影響により、売上高は335百万円(前期比11.4%増)、セグメント利益(営業利益)は20百万円(前期比42.6%増)となりました。 <工業用事業>工業用フエルトは、需要回復遅れにより輸出向けの販売数量が減少いたしました。この結果、売上高は444百万円(前期比13.0%減)、セグメント利益(営業利益)は7百万円(前期比87.4%減)となりました。 当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ224百万円増加し、29,466百万円となりました。これは主として建設仮勘定が412百万円、投資有価証券が402百万円増加した一方、現金及び預金が314百万円減少したことによるものであります。負債につきましては、前連結会計年度末に比べ686百万円減少し、7,201百万円となりました。これは主として退職給付に係る負債が516百万円減少したことによるものであります。純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ910百万円増加し、22,265百万円となりました。これは主として利益剰余金が445百万円、その他有価証券評価差額金が305百万円、退職給付に係る調整累計額が390百万円増加したことによるものであります。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ322百万円減少し、6,367百万円(前年度末比4.8%減)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下の通りであります。<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,203百万円の計上、非資金費用である減価償却費973百万円の計上、法人税等の支払による支出550百万円などにより1,401百万円の収入(前期比591百万円の支出増)となりました。<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出900百万円、無形固定資産の取得による支出174百万円などにより1,119百万円の支出(前期比598百万円の支出増)となりました。<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払による支出336百万円、自己株式の取得による支出251百万円などにより622百万円の支出(前期比50百万円の支出減)となりました。 ③ 生産、受注及び販売の実績 1) 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)抄紙用具関連事業日本7,222106.3北米--欧州--中国--タイ--工業用事業288103.9合計7,511106.2 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。 2 金額は、製造原価によっております。 2) 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)抄紙用具関連事業日本8,58898.93,13493.4北米1,762117.0845119.0欧州2,410105.41,480108.6中国11832.611651.0タイ30187.57373.9工業用事業464102.1276101.5合計13,645100.05,92898.3 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 受注生産品以外に仕入商品があります。 3) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)抄紙用具関連事業日本8,876104.5北米1,65390.2欧州2,288103.2中国348141.0タイ335111.4工業用事業44487.0合計13,947102.5 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 1)経営成績等 a.売上高当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に対し2.5%増加し13,947百万円となりました。国内売上高は、紙のデジタル化に伴う紙需要の減少によりフエルト販売数量は減少し、前連結会計年度に対し0.8%減少の5,506百万円となりました。海外売上高は、フエルト及びベルトの増販に加え、為替が円安に推移したことにより、前連結会計年度に対し4.8%増加の8,440百万円となり、海外売上高比率は60.5%となりました。 b.売上原価、販売費及び一般管理費当連結会計年度の売上原価は、ベルトの需要増に伴い生産体制を見直し、生産量が増加したことにより、前連結会計年度に対し265百万円増加し7,931百万円となりました。販売費及び一般管理費は、海外売上高の増加に伴う輸送費等の増加により、前連結会計年度に対し121百万円増加し4,942百万円となりました。 c.営業外損益当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に対し11百万円減少し214百万円となりました。営業外費用は前連結会計年度に対し102百万円減少し70百万円となりました。 d.親会社株主に帰属する当期純利益当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に対し236百万円減少し782百万円となりました。また、1株当たり当期純利益金額は、前連結会計年度に対して46.25円減少し181.51円となりました。 2)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループは、2022年度から2024年度までの3年間を対象とする第7次中期経営計画(略称:“NE-24”)を策定し、事業活動を推進してまいりました。最終に当たる当連結会計年度の目標に対する実績は下記のとおりとなりました。 中期経営計画 2025年3月期 計画2025年3月期 実績連結売上高13,500百万円13,947百万円連結売上高営業利益率6.6%7.7%1株当たり当期純利益122円76銭181円51銭 第7次中期経営計画策定時と当連結会計年度を比較して、国内需要の減少による国内売上高の減少や原油価格の高騰による売上原価の増加などがある一方、為替は円安ドル高が進み海外売上高が増加するなど環境は大きく変わりました。当連結会計年度末においては、米国の関税政策の動向により世界経済が大きな影響を受ける情勢にあることや、中東地域での紛争などの地政学リスク、為替相場の見通しが不透明であることなど、今後は厳しい経営環境が続いていく見通しであります。このような見通しの中、当社グループは、2025年度から2027年度までの3ヶ年を対象とする第8次中期経営計画(略称:“NE-27”)を策定いたしました。前中期経営計画 “NE-24” の経営目標を達成するために、諸施策を実行してまいりましたが、十分な成果に至らなかったことを真摯に受け止め、“NE-27” では「収益力の向上」、「グローバル市場での成長」、「事業基盤の強化」、「SDGsを含めた社会への貢献」を目的として「新領域への挑戦の3年」のスローガンを掲げ、新たな経営方針の下、活動を進めてまいります。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループは、製品売上等の営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び設備投資などに備えるために、自己資金のほか金融機関からの借入により資金調達を図っております。グループ会社の資金については必要に応じて当社より融資しております。また、グループ会社の金融機関からの借入について当社が債務保証を行っております。 これら営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の縮小化を図っております。また、当社グループは、流動性を確保するため取引金融機関と当座貸越契約を締結しており、高水準で推移している現預金と併せ、中期経営計画で掲げた戦略投資を機動的に実施することが可能となっています。 今後とも入出金の厳格な管理により「営業活動によるキャッシュ・フロー」の拡大を目指し、財務体質の向上に努めてまいります。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
事業リスク
- 紙・板紙の生産動向同社の主力製品である抄紙用フエルトや抄紙用ベルトの需要は、国内紙パルプ業界の紙・板紙の生産動向に大きく左右されます。デジタル化の加速による新聞用紙や印刷情報用紙の需要減少、海外市場での価格競争激化は、収益性低下のリスクとなります。同社は、顧客ニーズへの対応や省エネ貢献でリスク軽減を図っています。
- 原材料価格の変動主要原材料が石油関連素材であるため、原油価格の高騰や石油化学工業の生産動向によって、原料コストが増加したり、調達が困難になったりする可能性があります。これにより、製品の製造コストが上昇し、利益を圧迫するリスクがあります。同社は、代替原料の検討や調達先の見直しで対応しています。
- 為替相場の変動海外売上高比率が60.5%と高いため、為替相場の変動が業績に大きな影響を与える可能性があります。円高に振れた場合、海外での売上が円換算で減少したり、在外子会社の資産価値が目減りしたりするリスクがあります。同社は、為替予約や外貨預金保有で短期的な影響を抑制する対策を講じています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。① 紙・板紙の生産動向当社グループは、抄紙用具の専門企業として、国内外の製紙会社に製品を販売しておりますが、数量・金額ともに大きなウエイトを占める主要な販売先は国内製紙会社であります。したがって、主力製品の抄紙用フエルトや抄紙用ベルトの需要は、国内紙パルプ業界の紙・板紙の生産動向に大きく影響を受けております。紙媒体からデジタル化への変化が加速し、国内の新聞用紙及び印刷情報用紙需要が減少するリスクがあります。海外市場におきましては、価格競争の激化等といった事業環境の変化により収益性が低下するリスクがあります。当社グループは、当該リスクに対し、国内外のお客様が求める高い水準のニーズに応えるため、自社製品を最適な組み合わせでご提案、ご提供できるよう全社一丸となって取り組んでまいります。また、お客様の抄紙機プレスパートの能力を最大化し、その提供を通じて、「省エネルギー、環境にやさしい紙づくり」に貢献いたします。 ② 原材料当社グループの主要原材料は石油関連素材であり、原油価格の高騰及び石油化学工業の生産動向等により原料コストや調達面で影響を受ける可能性があります。当社グループは、当該リスクに対し、原材料の市場変動に柔軟に対応するため代替原料の検討や原料調達先の見直し等を国内外を問わず進めております。また、主原料に限らず、副資材においても、同様の取り組みを進めてまいります。 ③ 為替相場当社グループの海外売上高比率は前連結会計年度59.2%、当連結会計年度は60.5%となっており、為替変動のリスクを負っています。外貨建売掛金に対しては、先物為替予約により短期的な為替変動による影響を最小限にとどめる措置を講じていますが、中長期的に大幅な為替変動が発生した場合には、当社グループの業績、財務状況に影響する可能性があります。また、在外連結子会社の現地通貨建の資産、負債及び収益、費用は決算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。当社グループは、当該リスクに対し、米ドルやユーロ等の主要通貨については、為替予約により短期的な影響を最小限にするとともに、海外メーカーから生産設備等を購入する際に支払う一時金を想定し、外貨売上高の収入の一部は外貨預金として保有しております。 ④ 金利当社グループは、2025年3月末時点で、926百万円の有利子負債があり、中長期的に金利が大幅に上昇した場合には、当社グループの業績に影響する可能性があります。当社グループは、当該リスクに対し、変化の激しい資金調達環境を注視してまいります。 ⑤ 株価当社グループは、2025年3月末時点で、主要な得意先や取引金融機関の株式など市場性のある株式を中心として投資有価証券を5,682百万円保有しており、これらの株価変動のリスクを負っています。同時点では4,017百万円の評価益を有しておりますが、今後の株価の動向次第でこの数字は変動します。当社グループは当該リスクに対し、毎年、取締役会にて個別銘柄ごとに、保有目的、取引状況、当社のROEに与える影響、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を精査し、検証を行っております。その結果、保有意義が乏しいと判断された銘柄につきましては、当社事業への影響を考慮し、先方との協議を十分に重ねたうえで縮減してまいります。 ⑥ 自然災害等地震・風水害など不測の自然災害が発生し、生産設備や交通手段等のインフラが大きな被害をうけた場合に、製造が休止あるいは遅滞することで、事業の遂行に多大な影響が及び、業績が確保できない可能性があります。当社グループは当該リスクに対し、全社員が迅速かつ的確に対応し、人的被害並びに業務への影響を最小限にとどめるため、被害直後の復旧対応事項に関する手順を「事業継続計画書」に定めております。 ⑦ その他のリスク世界的な景気の減速により、当社の事業活動に係る生産体制、物流体制、営業活動等に支障が生じた場合、当社グループの業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。