経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。(1)経営方針(a)経営理念 当社は経営理念として「自らが輝き、人を元気にする」を掲げております。当社のお客様は、体に不都合を持たれている方が多く、その影響で心も沈みがちになっている方もいるかもしれません。当社は介護という仕事を通して、お客様の「心」を元気にしたいと考えております。その為には、お世話をさせていただく私たちが暗く後ろ向きではいけません。お客様がその方らしく輝いて生きることを応援させていただくために、私たち自身が仕事を通じて自らを磨き自分らしく輝いて生きることが必要であり、当社社員が輝けば、利用者様の「心」が更に輝き出すと考えております。 (b)ミッション 当社は下記をミッションとして定めております。① 福祉の職場をもっと魅力的に! 私たちサンウェルズは夢と誇りを持って志事(しごと)に取り組み、皆があこがれる業界づくりにチャレンジします。② 介護サービスに進化と変化を! 私たちサンウェルズは介護の常識にとらわれることなく、利用者様の立場に立ったより良いサービスづくりにチャレンジします。③ 未来を作る「人」を育成する! 私たちサンウェルズは仕事を通じてクリエイティブに発想し、自ら行動する「輝く大人」づくりにチャレンジします。 (2)目標とする経営指標 当社では、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目的としており、収益力の強化と経営の効率化を図るため、売上高及び経常利益率を重要な経営指標と位置づけ、各経営課題の改善に取り組んでまいります。 また、有料老人ホームの運営による売上高が、当社全体の売上高に占める比率が高いことから、「PDハウス」を含めた有料老人ホームにおける提供可能室数及び稼働率も経営成績に影響を与える主要な経営指標として捉えております。 (3)経営戦略 わが国では、2007年に超高齢社会(公益財団法人長寿科学振興財団の定義)を迎え、更に高齢化も進行し、65歳以上人口割合は2020年の28.6%から一貫して上昇し、2070年には38.7%まで増加すると推計されており(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」)、若年層の人口は減少の一途をたどり、より一層の少子高齢化が加速していくものとみられております。これにより、医療業界における需要と供給のバランスが崩れ、病院数の減少や医師不足といった問題が生じるおそれがあり、介護へのニーズはますます増加するものと考えられます。 当社は2006年に介護施設としてデイサービスをスタートさせ、15年の歳月をかけてパーキンソン病に焦点を絞った「PDハウス」の全国展開にまで業容を拡大させてまいりました。 今後は、北陸エリアのデイサービス、有料老人ホーム事業は業容を維持しつつ、「PDハウス」を経営戦略の中心に位置づけ、パーキンソン病専門施設として「PDハウス」での提供サービスを磨き上げること、また、新サービスを創造することによって差別化を実現し、中長期的に安定的かつ持続的な成長と企業価値の拡大を目指すことを計画しております。 具体的には、以下を当社の経営戦略の骨子としております。① 「PDハウス」のブランド構築 パーキンソン病は治療手段について世界中で多くの研究が行われておりますが、いまだに根治する方法が確立されていない進行性神経難病になります。患者数は進行性神経難病の中でも最も多く、関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、多系統萎縮症、脊髄小脳変性症)も含めると約20.2万人(厚生労働省「2023年度衛生行政報告例」(2023年度末現在)、特定医療費(指定難病)受給者証所持者数)の患者がいると推定されております。年齢層も60歳以上が約9割(同上)を占め、症状についても筋肉がこわばる(筋固縮)、体が動かしにくくなる(無動)、手足が震える(振戦)などの動きに関連する症状のほかに、幻覚や幻視、自律神経障害、睡眠障害など様々な生活障害を呈する疾患であり、ケアをするにも高い専門知識と経験、技術が必要になります。 また、この疾患には正しい薬物療法と十分なリハビリテーションが重要とされますが、薬剤に関して多い方では1日10回程度に分けて薬を服用するケースもあり、リハビリテーションにおいても現行の介護施設では十分量のリハビリテーションを提供できる所が非常に少ないのが現状です。適切な服薬管理と十分な回数のリハビリテーションが提供できれば病気の進行を遅らせ、天寿を全うしていただくことも可能だと考えております。しかしながら、病気の初期段階や軽度要介護度の患者に対しての改善に関するリハビリ報告・治療研究報告は多く存在しますが、病気が進行し重度化した場合の改善事例が非常に少ないのが現状であります。 「PDハウス」では、パーキンソン病を専門とする脳神経内科医や大学病院、研究機関との共同研究を進め、より効果的な新サービスの創造を目指しております。順天堂大学と当社施設をつないだ3次元オンライン診療システムの試験運用、転倒検知システムを用いた転倒の要因分析研究、運動機能評価システムの試験運用等を実施し、新たな専門サービスの開発により同業者の参入障壁の構築に努めております。 これからの社会保障制度においては、入院期間の短期化や介護療養病床の廃止などにより、まだ専門的な治療が必要にもかかわらず地域に退院してくる方が増大することが予想されます。介護施設においても病院医療機関のように専門化(脳神経内科、消化器科、循環器内科など)を図り、地域包括ケアの中において専門性の高いケアを受けられる施設は重要と考えており、「PDハウス」はその一端を担える事業と自負しております。 ② 「PDハウス」の事業拡大 パーキンソン病及び関連疾患の患者数は2023年度末で約20.2万人(厚生労働省「2023年度衛生行政報告例」(2023年度末現在)、特定医療費(指定難病)受給者証所持者数)の患者がいると公表されております。そのため、地域ごとに必要とされる床数を展開していきたいと考えております。 当事業年度末では、「PDハウス」を全国に43施設(2,325床)運営しております。今後も「PDハウス」展開を成長ドライバーとして位置づけ、大都市圏や地方の中核都市を中心に更なる全国展開を計画しております。大都市圏では期間を空けずに新規開設することにより、エリアの囲い込みと従業員の適正配置を行い、利益の最大化を図ります。地方の中核都市では、まずは一つ目を開設することにより、そのエリアにくさびを打ち、ニーズに合わせて周辺エリアに新規開設することで同業他社の進出を阻むと共に、中期的にはそのエリアでの高シェアを図ります。 開設6か月前からリーダー職員を採用、入居ペースに合わせた採用を行い、入念な研修を経て開設を迎えます。当社は、業界内でも高位の採用倍率を維持(2025年3月期は8.0倍)しており、入社後も働きやすい職場環境を整備することで定着率の向上に努めております。また、当社では専門医監修の社内資格「PDライセンス」制度を導入し、パーキンソン病ケアの専門家育成に取り組んでおります。更に周辺の医療機関や施設からの紹介、TV、Web、パンフレット等による広告で集客をすることで早期黒字化を図り、高稼働体制の維持に努めております。開設時期が集中すると一旦は業績を押し下げる要因となりますが、早い段階で業績に寄与するようになるとともに、「PDハウス」を利用される方は長期に亘り施設を利用いただくので、安定した稼働率で推移し、定常的な業績を目指します。 ③ 「PDハウス」を中心とした事業の展開 現在、「PDハウス」はパーキンソン病が進行された方を中心に利用していただいております。そこで得たリハビリテーションのノウハウ等を活かし、中期的には軽度の方にも利用していただけるリハビリテーションサービスを提供することを計画しております。各地の「PDハウス」でのノウハウをコアにし、インターネットでリハビリテーションが受けられるサービスを展開することにより、より多くのパーキンソン病患者の方にサービスを提供してまいります。さらに海外でもこのインターネットでのサービスを展開することを計画してまいります。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① 再発防止策の策定と内部統制強化 当社は、2024年9月20日付「特別調査委員会設置に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、当社が不正な診療報酬の請求を行ったとする報道において指摘された内容の事実関係及び問題の有無を明確にするため、当社より独立した社外の専門家を委員とする特別調査委員会を設置し、客観性のある業務実態の調査を行ってまいりましたところ、2025年2月7日付「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」のとおり、特別調査委員会より調査報告書を受領いたしました。 本調査の結果、訪問看護事業において診療報酬の請求が過大に行われた事実が判明したため、本件の対象となる部分について過年度の決算を訂正し、2022年3月期から2024年3月期の有価証券報告書及び2023年3月期の第1四半期から2024年3月期の第3四半期までの四半期報告書の訂正報告書を2025年2月12日付で提出いたしました。さらに、第18期及び第19期の内部統制報告書について、各期末時点において内部統制に開示すべき重要な不備が存在していたことを理由として、訂正報告書を同日付で提出いたしました。 当社は、2025年2月12日付「再発防止策の策定及び関係者の処分に関するお知らせ」のとおり、本調査報告書において指摘された原因分析及び再発防止策の提言と真摯に向き合い、実効性のある再発防止策の策定と内部統制強化に向けて、以下の項目に係る取組みを実施しております。 特別調査委員会の提言内容を踏まえた再発防止策の項目具体的な再発防止策a.訪問看護事業を推進するための基盤となるリスク分析・評価等を行う体制の導入・実施 ア.「訪問看護・介護事業リスク検討委員会」の設置・代表取締役自らが指揮を執り、経営陣と経営推進を担う従業員の意識改革を図ると共に、取締役会等との情報共有機関として社外有識者も招く「訪問看護・介護事業リスク検討委員会」を新設し、適切かつ十分なリスク分析・評価を行います。(2025年3月に設置し、毎月開催。)イ.経営陣による施設ラウンドの定期実施・訪問看護の現場状況に対する経営陣の認識不足を反省し、今後は定期的かつ計画的に施設訪問を実施し、入居者と現場職員の声に耳を傾け、運営状況を直接把握し改善が必要な点について迅速に対応いたします。また、訪問時には入居者・家族との意見交換の場を設けます。(2025年3月から実施中。今後も継続して実施。)ウ.医療・介護業界のコンプライアンスに精通する外部有識者招へいの検討・訪問看護事業のリスク分析・評価の専門性を鑑み、年内を目処に医療・介護業界のコンプライアンスに精通する外部有識者の社外取締役等への登用を検討いたします。b.内部統制の強化・再構築 ア.PDハウス等の現場における内部統制の強化・再構築 (ア)訪問看護時間を正確に把握・記録する為の電子記録制度の導入・訪問看護事業の正確な訪問時間記録と不正防止のため、居室へのQRコード設置と読み取りによる電子記録制度を導入し、訪問看護記録システムと連携することで、記録・管理を厳格化いたします。(2025年1月に体制構築し運用中。)(イ)複数の看護師の連携による訪問看護計画の作成・見直し・訪問看護計画の作成・見直しにおいては、看護師3名以上による協議を必須とし、現場のチェック機能を強化すると共に、計画内容の妥当性と透明性を確保いたします。また、加算要否検討の参考資料をマニュアルに追加し、複数回・複数名訪問の必要性・根拠等を訪問看護計画書に明記することを徹底いたします。(2025年1月からマニュアル化し運用中。)(ウ)現場管理職による訪問看護記録のチェック体制の強化・2025年1月より全訪問看護施設において、現場管理職が全訪問看護記録をチェックし、QRコード記録との整合性や訪問看護計画との適合性を確認しております。確認の結果改善が必要と認められた看護師については、月次会議で指導・改善を図ります。(2025年1月から実施中。同年4月1日付で看護部を設置し、体制強化のうえ継続実施。)(エ)管理職(看護課長)による訪問看護記録のサンプルチェックの実施・2025年1月より管理職(看護師)が、毎月全施設を訪問し、入居者5名分の直近1か月の訪問看護記録を無作為抽出し、現場管理職によるチェックの実施状況と、入居者状態に応じた適切なサービス提供状況を確認しております。(2025年1月から実施中。今後も継続して実施。)(オ)運営部長による定期的なヒアリング調査の実施・2025年1月より、各エリア運営部長は毎月各施設で職員5名程度と入居者5名程度を対象にヒアリング調査を実施し、業務遂行状況、不正行為の有無、職場環境、会社への要望、サービス提供状況・満足度などを幅広く把握し、面談記録を保管します。問題となり得る事象は速やかに訪問看護・介護事業リスク検討委員会に報告します。(2025年1月から実施中。今後も継続して実施。) イ.管理部門における内部統制の強化・再構築 (ア)PDハウス等の現場の共用部カメラによる監視体制の導入・訪問看護に係る全施設の廊下・フロアに記録用カメラを設置し、管理部門(総務部)が毎月10施設程度を抽出し、日中5件・夜間10件程度の映像をサンプルチェックする監視体制を構築します。これにより、計画通りの訪問実施状況を確認し、管理部門による現場への牽制力を確保します。(2025年4月から実施中。同年5月31日を以て監視体制完了。)(イ)管理部門に新たに看護部を設置・管理部門内に新たに看護部を設置し、全施設からの問い合わせ窓口として疑問・課題に対応すると共に、看護関連書類を横断的に監視し、課題発見時は直接指導を実施します。特に開設間もない施設については重点的に支援を行い、問題となり得る事象は速やかに訪問看護・介護事業リスク検討委員会に報告します。(2025年4月1日付で看護部を設置。)ウ.内部監査室による監査機能の強化 (ア)内部監査における調査内容の拡充・内部監査において、各書類の記載内容につき詳細に確認すると共に、記録内容と実態の齟齬の有無についてのヒアリング調査を無作為抽出した看護師10名に対して実施します。また、監査体制強化のため、内部監査部員を3名から6名に増員しております(うち1名は看護資格を保有)。なお、1拠点あたりの内部監査員は、監査補助員として近隣の看護資格を保有する役職者4名を加え、合計10名としております。監査結果は代表取締役及び経営会議に報告し、人事考課において考慮します。(2025年3月から実施中。同年6月30日を以て体制整備完了予定。)(イ)内部監査の対象及び監査内容の拡充・従来の内部監査対象施設に加え、新たに西日本・東日本運営部を監査対象とし、運営部長の各施設監督状況を監査項目に含めます。これにより、運営部長の監督に対する牽制力を確保します。(2025年3月から実施中。同年6月30日を以て体制整備完了予定。)(ウ)内部監査室長への適切な役職者の配置及び権限の強化・2025年3月1日付で内部監査室を課から部に改組すると共に当社以外での監査経験を有する部長職を配置し、権限を強化しております。c.研修・教育の充実とコンプライアンス意識の醸成 ア.オペレーションに関する継続的な教育体制の構築・入社時1回のみだったコンプライアンス・倫理観研修を、今後は全看護師・介護士等を対象に年複数回実施し、コンプライアンス教育に加え訪問看護に特化したオペレーション研修・確認試験を行い、継続的な教育体制を構築し、基本的なルールの浸透と意識醸成を図ります。(2025年3月から実施中。同年6月30日を以て体制整備完了予定。)イ.訪問看護に関するマニュアルの整備・改訂及び管理体制の強化・訪問看護に関する全マニュアルを見直し、誤解を生む表現を排除し、2025年1月より適用いたしました。また、管理体制強化のため、マニュアルの紙媒体保管を廃止し、研修用PC等で最新版のみを閲覧可能とする体制を2025年4月より開始しております。加えて、会社非認定の独自マニュアルの作成・使用を禁止し、違反時は就業規則に基づき処分いたします。(2025年3月から実施中。同年4月1日を以て体制整備完了。)ウ.不正行為等に対する懲戒処分の厳格化及びその周知・2025年4月1日付で就業規則を改訂し、不正行為等に関する懲戒処分の厳格化およびその周知を行いました。今後、同規則に基づき、厳格に運用してまいります。 当社は再発防止策の一環として、本年5月23日に役員含む部長職を対象として「コンプライアンス研修」を実施いたしました。 本研修は、役員含む部長職が率先して法令遵守の意識を徹底し、組織全体におけるコンプライアンス意識の更なる向上を図ることを目的としており、特に医療・介護報酬請求に関する法的枠組みおよび倫理的判断に対する理解の深化を主眼に置いております。 当社は、今後も役員含む部長職のみならず、全役職員に対する教育を継続して実施し、一人ひとりの「コンプライアンス意識」を維持・醸成することで、全社的な再発防止に取り組んでまいります。d.人事評価の指標としての施設単価目標の廃止を含む人事評価制度の変更・主任職の人事考課における評価項目から施設単価目標は2025年2月に廃止いたしました。新たな評価項目については、顧客満足度と従業員満足度を主任・副主任職以上の評価項目に追加すると共に、コンプライアンス遵守を全従業員の評価項目に新たに加えます。(2025年6月30日を以て体制整備完了。)e.就寝時間帯における訪問看護の内容の再検討・就寝時間帯の訪問看護については、入居者・家族の希望、医師の見解、現場看護師の声等を踏まえ、複数看護師による計画検討を通じて、現場が無理なく実施できる内容を再検討し導入いたします。(2025年2月から実施中。同年6月30日を以て体制整備完了。)f.ナースコール対応人員体制の確保・各PDハウス等において、看護師・介護士が訪問看護中にナースコール対応を迫られる状況を改善するため、全施設にナースコール対応等を行う有料老人ホーム人員を24時間体制で配置し、入居者の状況に応じて人員を拡充いたします。(2025年3月から実施し、同月末を以て全施設、配置完了。今後も適宜見直しを実施。) ② 利用者満足度の向上 当社の社会的使命は、利用者様に心から満足いただけるサービスを提供することだと考えております。当社がサービスを提供する各施設においては、利用者様に安心安全に、安定したサービスを提供するとともに、各利用者様のご要望に沿えるよう柔軟に対応することが必要になります。当社では、人材の確保、サービス基盤の拡充等に加え、各施設内、施設間の連携を強化し、急な状況変化にも耐えうる体制を整備しております。 ③ 「PDハウス」のブランド力強化及び知名度向上 当社は、都市部を始め全国へと展開を進め、「PDハウス」のブランド力強化と知名度の向上に努めており、2025年3月期においては、関東・関西でのドミナント展開に加え、新たに京都府・兵庫県・新潟県に新規開設いたしました。 ④ 情報管理体制の構築及び強化 当社は、事業を行う上で入手した顧客に関する様々な個人情報を保有しております。万が一これらの情報が外部に漏えいした場合、当社に対する信用失墜や損害賠償請求等によって当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 情報管理については、従業員との情報管理に関する誓約書の締結、社内規程の整備及び従業員教育の徹底等、管理体制の強化に努めることで情報流出を抑止しております。また、インターネットセキュリティの強化及び事業所の防犯対策等の実施により外部者の不正な情報取得を防ぐなど、可能な限りの対策を取っております。 IT社会の発展に伴い、当社でも稟議の電子決裁、保存書類のペーパーレス化、Webでの入社面接、Web会議等、業務の効率化を図るためITを導入してまいりました。ネットワークの管理に関しましてはIT統合管理システムを導入し、事業の拡大とともに増加するPC機器等の管理を行えるように致しました。それにより災害時でも耐えうる情報管理体制の構築に取り組んでおります。 ⑤ 財務体質の強化 当社は、有利子負債の割合が株主資本に対して高い比率となっております。今後は、運転資金拡大に加え、施設開設のための資金の確保も必要であることから、有利子負債とのバランスを勘案し自己資本の拡充を図ってまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。(1)経営方針(a)経営理念 当社は経営理念として「自らが輝き、人を元気にする」を掲げております。当社のお客様は、体に不都合を持たれている方が多く、その影響で心も沈みがちになっている方もいるかもしれません。当社は介護という仕事を通して、お客様の「心」を元気にしたいと考えております。その為には、お世話をさせていただく私たちが暗く後ろ向きではいけません。お客様がその方らしく輝いて生きることを応援させていただくために、私たち自身が仕事を通じて自らを磨き自分らしく輝いて生きることが必要であり、当社社員が輝けば、利用者様の「心」が更に輝き出すと考えております。 (b)ミッション 当社は下記をミッションとして定めております。① 福祉の職場をもっと魅力的に! 私たちサンウェルズは夢と誇りを持って志事(しごと)に取り組み、皆があこがれる業界づくりにチャレンジします。② 介護サービスに進化と変化を! 私たちサンウェルズは介護の常識にとらわれることなく、利用者様の立場に立ったより良いサービスづくりにチャレンジします。③ 未来を作る「人」を育成する! 私たちサンウェルズは仕事を通じてクリエイティブに発想し、自ら行動する「輝く大人」づくりにチャレンジします。 (2)目標とする経営指標 当社では、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目的としており、収益力の強化と経営の効率化を図るため、売上高及び経常利益率を重要な経営指標と位置づけ、各経営課題の改善に取り組んでまいります。 また、有料老人ホームの運営による売上高が、当社全体の売上高に占める比率が高いことから、「PDハウス」を含めた有料老人ホームにおける提供可能室数及び稼働率も経営成績に影響を与える主要な経営指標として捉えております。 (3)経営戦略 わが国では、2007年に超高齢社会(公益財団法人長寿科学振興財団の定義)を迎え、更に高齢化も進行し、65歳以上人口割合は2020年の28.6%から一貫して上昇し、2070年には38.7%まで増加すると推計されており(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」)、若年層の人口は減少の一途をたどり、より一層の少子高齢化が加速していくものとみられております。これにより、医療業界における需要と供給のバランスが崩れ、病院数の減少や医師不足といった問題が生じるおそれがあり、介護へのニーズはますます増加するものと考えられます。 当社は2006年に介護施設としてデイサービスをスタートさせ、15年の歳月をかけてパーキンソン病に焦点を絞った「PDハウス」の全国展開にまで業容を拡大させてまいりました。 今後は、北陸エリアのデイサービス、有料老人ホーム事業は業容を維持しつつ、「PDハウス」を経営戦略の中心に位置づけ、パーキンソン病専門施設として「PDハウス」での提供サービスを磨き上げること、また、新サービスを創造することによって差別化を実現し、中長期的に安定的かつ持続的な成長と企業価値の拡大を目指すことを計画しております。 具体的には、以下を当社の経営戦略の骨子としております。① 「PDハウス」のブランド構築 パーキンソン病は治療手段について世界中で多くの研究が行われておりますが、いまだに根治する方法が確立されていない進行性神経難病になります。患者数は進行性神経難病の中でも最も多く、関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、多系統萎縮症、脊髄小脳変性症)も含めると約20.2万人(厚生労働省「2023年度衛生行政報告例」(2023年度末現在)、特定医療費(指定難病)受給者証所持者数)の患者がいると推定されております。年齢層も60歳以上が約9割(同上)を占め、症状についても筋肉がこわばる(筋固縮)、体が動かしにくくなる(無動)、手足が震える(振戦)などの動きに関連する症状のほかに、幻覚や幻視、自律神経障害、睡眠障害など様々な生活障害を呈する疾患であり、ケアをするにも高い専門知識と経験、技術が必要になります。 また、この疾患には正しい薬物療法と十分なリハビリテーションが重要とされますが、薬剤に関して多い方では1日10回程度に分けて薬を服用するケースもあり、リハビリテーションにおいても現行の介護施設では十分量のリハビリテーションを提供できる所が非常に少ないのが現状です。適切な服薬管理と十分な回数のリハビリテーションが提供できれば病気の進行を遅らせ、天寿を全うしていただくことも可能だと考えております。しかしながら、病気の初期段階や軽度要介護度の患者に対しての改善に関するリハビリ報告・治療研究報告は多く存在しますが、病気が進行し重度化した場合の改善事例が非常に少ないのが現状であります。 「PDハウス」では、パーキンソン病を専門とする脳神経内科医や大学病院、研究機関との共同研究を進め、より効果的な新サービスの創造を目指しております。順天堂大学と当社施設をつないだ3次元オンライン診療システムの試験運用、転倒検知システムを用いた転倒の要因分析研究、運動機能評価システムの試験運用等を実施し、新たな専門サービスの開発により同業者の参入障壁の構築に努めております。 これからの社会保障制度においては、入院期間の短期化や介護療養病床の廃止などにより、まだ専門的な治療が必要にもかかわらず地域に退院してくる方が増大することが予想されます。介護施設においても病院医療機関のように専門化(脳神経内科、消化器科、循環器内科など)を図り、地域包括ケアの中において専門性の高いケアを受けられる施設は重要と考えており、「PDハウス」はその一端を担える事業と自負しております。 ② 「PDハウス」の事業拡大 パーキンソン病及び関連疾患の患者数は2023年度末で約20.2万人(厚生労働省「2023年度衛生行政報告例」(2023年度末現在)、特定医療費(指定難病)受給者証所持者数)の患者がいると公表されております。そのため、地域ごとに必要とされる床数を展開していきたいと考えております。 当事業年度末では、「PDハウス」を全国に43施設(2,325床)運営しております。今後も「PDハウス」展開を成長ドライバーとして位置づけ、大都市圏や地方の中核都市を中心に更なる全国展開を計画しております。大都市圏では期間を空けずに新規開設することにより、エリアの囲い込みと従業員の適正配置を行い、利益の最大化を図ります。地方の中核都市では、まずは一つ目を開設することにより、そのエリアにくさびを打ち、ニーズに合わせて周辺エリアに新規開設することで同業他社の進出を阻むと共に、中期的にはそのエリアでの高シェアを図ります。 開設6か月前からリーダー職員を採用、入居ペースに合わせた採用を行い、入念な研修を経て開設を迎えます。当社は、業界内でも高位の採用倍率を維持(2025年3月期は8.0倍)しており、入社後も働きやすい職場環境を整備することで定着率の向上に努めております。また、当社では専門医監修の社内資格「PDライセンス」制度を導入し、パーキンソン病ケアの専門家育成に取り組んでおります。更に周辺の医療機関や施設からの紹介、TV、Web、パンフレット等による広告で集客をすることで早期黒字化を図り、高稼働体制の維持に努めております。開設時期が集中すると一旦は業績を押し下げる要因となりますが、早い段階で業績に寄与するようになるとともに、「PDハウス」を利用される方は長期に亘り施設を利用いただくので、安定した稼働率で推移し、定常的な業績を目指します。 ③ 「PDハウス」を中心とした事業の展開 現在、「PDハウス」はパーキンソン病が進行された方を中心に利用していただいております。そこで得たリハビリテーションのノウハウ等を活かし、中期的には軽度の方にも利用していただけるリハビリテーションサービスを提供することを計画しております。各地の「PDハウス」でのノウハウをコアにし、インターネットでリハビリテーションが受けられるサービスを展開することにより、より多くのパーキンソン病患者の方にサービスを提供してまいります。さらに海外でもこのインターネットでのサービスを展開することを計画してまいります。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① 再発防止策の策定と内部統制強化 当社は、2024年9月20日付「特別調査委員会設置に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、当社が不正な診療報酬の請求を行ったとする報道において指摘された内容の事実関係及び問題の有無を明確にするため、当社より独立した社外の専門家を委員とする特別調査委員会を設置し、客観性のある業務実態の調査を行ってまいりましたところ、2025年2月7日付「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」のとおり、特別調査委員会より調査報告書を受領いたしました。 本調査の結果、訪問看護事業において診療報酬の請求が過大に行われた事実が判明したため、本件の対象となる部分について過年度の決算を訂正し、2022年3月期から2024年3月期の有価証券報告書及び2023年3月期の第1四半期から2024年3月期の第3四半期までの四半期報告書の訂正報告書を2025年2月12日付で提出いたしました。さらに、第18期及び第19期の内部統制報告書について、各期末時点において内部統制に開示すべき重要な不備が存在していたことを理由として、訂正報告書を同日付で提出いたしました。 当社は、2025年2月12日付「再発防止策の策定及び関係者の処分に関するお知らせ」のとおり、本調査報告書において指摘された原因分析及び再発防止策の提言と真摯に向き合い、実効性のある再発防止策の策定と内部統制強化に向けて、以下の項目に係る取組みを実施しております。 特別調査委員会の提言内容を踏まえた再発防止策の項目具体的な再発防止策a.訪問看護事業を推進するための基盤となるリスク分析・評価等を行う体制の導入・実施 ア.「訪問看護・介護事業リスク検討委員会」の設置・代表取締役自らが指揮を執り、経営陣と経営推進を担う従業員の意識改革を図ると共に、取締役会等との情報共有機関として社外有識者も招く「訪問看護・介護事業リスク検討委員会」を新設し、適切かつ十分なリスク分析・評価を行います。(2025年3月に設置し、毎月開催。)イ.経営陣による施設ラウンドの定期実施・訪問看護の現場状況に対する経営陣の認識不足を反省し、今後は定期的かつ計画的に施設訪問を実施し、入居者と現場職員の声に耳を傾け、運営状況を直接把握し改善が必要な点について迅速に対応いたします。また、訪問時には入居者・家族との意見交換の場を設けます。(2025年3月から実施中。今後も継続して実施。)ウ.医療・介護業界のコンプライアンスに精通する外部有識者招へいの検討・訪問看護事業のリスク分析・評価の専門性を鑑み、年内を目処に医療・介護業界のコンプライアンスに精通する外部有識者の社外取締役等への登用を検討いたします。b.内部統制の強化・再構築 ア.PDハウス等の現場における内部統制の強化・再構築 (ア)訪問看護時間を正確に把握・記録する為の電子記録制度の導入・訪問看護事業の正確な訪問時間記録と不正防止のため、居室へのQRコード設置と読み取りによる電子記録制度を導入し、訪問看護記録システムと連携することで、記録・管理を厳格化いたします。(2025年1月に体制構築し運用中。)(イ)複数の看護師の連携による訪問看護計画の作成・見直し・訪問看護計画の作成・見直しにおいては、看護師3名以上による協議を必須とし、現場のチェック機能を強化すると共に、計画内容の妥当性と透明性を確保いたします。また、加算要否検討の参考資料をマニュアルに追加し、複数回・複数名訪問の必要性・根拠等を訪問看護計画書に明記することを徹底いたします。(2025年1月からマニュアル化し運用中。)(ウ)現場管理職による訪問看護記録のチェック体制の強化・2025年1月より全訪問看護施設において、現場管理職が全訪問看護記録をチェックし、QRコード記録との整合性や訪問看護計画との適合性を確認しております。確認の結果改善が必要と認められた看護師については、月次会議で指導・改善を図ります。(2025年1月から実施中。同年4月1日付で看護部を設置し、体制強化のうえ継続実施。)(エ)管理職(看護課長)による訪問看護記録のサンプルチェックの実施・2025年1月より管理職(看護師)が、毎月全施設を訪問し、入居者5名分の直近1か月の訪問看護記録を無作為抽出し、現場管理職によるチェックの実施状況と、入居者状態に応じた適切なサービス提供状況を確認しております。(2025年1月から実施中。今後も継続して実施。)(オ)運営部長による定期的なヒアリング調査の実施・2025年1月より、各エリア運営部長は毎月各施設で職員5名程度と入居者5名程度を対象にヒアリング調査を実施し、業務遂行状況、不正行為の有無、職場環境、会社への要望、サービス提供状況・満足度などを幅広く把握し、面談記録を保管します。問題となり得る事象は速やかに訪問看護・介護事業リスク検討委員会に報告します。(2025年1月から実施中。今後も継続して実施。) イ.管理部門における内部統制の強化・再構築 (ア)PDハウス等の現場の共用部カメラによる監視体制の導入・訪問看護に係る全施設の廊下・フロアに記録用カメラを設置し、管理部門(総務部)が毎月10施設程度を抽出し、日中5件・夜間10件程度の映像をサンプルチェックする監視体制を構築します。これにより、計画通りの訪問実施状況を確認し、管理部門による現場への牽制力を確保します。(2025年4月から実施中。同年5月31日を以て監視体制完了。)(イ)管理部門に新たに看護部を設置・管理部門内に新たに看護部を設置し、全施設からの問い合わせ窓口として疑問・課題に対応すると共に、看護関連書類を横断的に監視し、課題発見時は直接指導を実施します。特に開設間もない施設については重点的に支援を行い、問題となり得る事象は速やかに訪問看護・介護事業リスク検討委員会に報告します。(2025年4月1日付で看護部を設置。)ウ.内部監査室による監査機能の強化 (ア)内部監査における調査内容の拡充・内部監査において、各書類の記載内容につき詳細に確認すると共に、記録内容と実態の齟齬の有無についてのヒアリング調査を無作為抽出した看護師10名に対して実施します。また、監査体制強化のため、内部監査部員を3名から6名に増員しております(うち1名は看護資格を保有)。なお、1拠点あたりの内部監査員は、監査補助員として近隣の看護資格を保有する役職者4名を加え、合計10名としております。監査結果は代表取締役及び経営会議に報告し、人事考課において考慮します。(2025年3月から実施中。同年6月30日を以て体制整備完了予定。)(イ)内部監査の対象及び監査内容の拡充・従来の内部監査対象施設に加え、新たに西日本・東日本運営部を監査対象とし、運営部長の各施設監督状況を監査項目に含めます。これにより、運営部長の監督に対する牽制力を確保します。(2025年3月から実施中。同年6月30日を以て体制整備完了予定。)(ウ)内部監査室長への適切な役職者の配置及び権限の強化・2025年3月1日付で内部監査室を課から部に改組すると共に当社以外での監査経験を有する部長職を配置し、権限を強化しております。c.研修・教育の充実とコンプライアンス意識の醸成 ア.オペレーションに関する継続的な教育体制の構築・入社時1回のみだったコンプライアンス・倫理観研修を、今後は全看護師・介護士等を対象に年複数回実施し、コンプライアンス教育に加え訪問看護に特化したオペレーション研修・確認試験を行い、継続的な教育体制を構築し、基本的なルールの浸透と意識醸成を図ります。(2025年3月から実施中。同年6月30日を以て体制整備完了予定。)イ.訪問看護に関するマニュアルの整備・改訂及び管理体制の強化・訪問看護に関する全マニュアルを見直し、誤解を生む表現を排除し、2025年1月より適用いたしました。また、管理体制強化のため、マニュアルの紙媒体保管を廃止し、研修用PC等で最新版のみを閲覧可能とする体制を2025年4月より開始しております。加えて、会社非認定の独自マニュアルの作成・使用を禁止し、違反時は就業規則に基づき処分いたします。(2025年3月から実施中。同年4月1日を以て体制整備完了。)ウ.不正行為等に対する懲戒処分の厳格化及びその周知・2025年4月1日付で就業規則を改訂し、不正行為等に関する懲戒処分の厳格化およびその周知を行いました。今後、同規則に基づき、厳格に運用してまいります。 当社は再発防止策の一環として、本年5月23日に役員含む部長職を対象として「コンプライアンス研修」を実施いたしました。 本研修は、役員含む部長職が率先して法令遵守の意識を徹底し、組織全体におけるコンプライアンス意識の更なる向上を図ることを目的としており、特に医療・介護報酬請求に関する法的枠組みおよび倫理的判断に対する理解の深化を主眼に置いております。 当社は、今後も役員含む部長職のみならず、全役職員に対する教育を継続して実施し、一人ひとりの「コンプライアンス意識」を維持・醸成することで、全社的な再発防止に取り組んでまいります。d.人事評価の指標としての施設単価目標の廃止を含む人事評価制度の変更・主任職の人事考課における評価項目から施設単価目標は2025年2月に廃止いたしました。新たな評価項目については、顧客満足度と従業員満足度を主任・副主任職以上の評価項目に追加すると共に、コンプライアンス遵守を全従業員の評価項目に新たに加えます。(2025年6月30日を以て体制整備完了。)e.就寝時間帯における訪問看護の内容の再検討・就寝時間帯の訪問看護については、入居者・家族の希望、医師の見解、現場看護師の声等を踏まえ、複数看護師による計画検討を通じて、現場が無理なく実施できる内容を再検討し導入いたします。(2025年2月から実施中。同年6月30日を以て体制整備完了。)f.ナースコール対応人員体制の確保・各PDハウス等において、看護師・介護士が訪問看護中にナースコール対応を迫られる状況を改善するため、全施設にナースコール対応等を行う有料老人ホーム人員を24時間体制で配置し、入居者の状況に応じて人員を拡充いたします。(2025年3月から実施し、同月末を以て全施設、配置完了。今後も適宜見直しを実施。) ② 利用者満足度の向上 当社の社会的使命は、利用者様に心から満足いただけるサービスを提供することだと考えております。当社がサービスを提供する各施設においては、利用者様に安心安全に、安定したサービスを提供するとともに、各利用者様のご要望に沿えるよう柔軟に対応することが必要になります。当社では、人材の確保、サービス基盤の拡充等に加え、各施設内、施設間の連携を強化し、急な状況変化にも耐えうる体制を整備しております。 ③ 「PDハウス」のブランド力強化及び知名度向上 当社は、都市部を始め全国へと展開を進め、「PDハウス」のブランド力強化と知名度の向上に努めており、2025年3月期においては、関東・関西でのドミナント展開に加え、新たに京都府・兵庫県・新潟県に新規開設いたしました。 ④ 情報管理体制の構築及び強化 当社は、事業を行う上で入手した顧客に関する様々な個人情報を保有しております。万が一これらの情報が外部に漏えいした場合、当社に対する信用失墜や損害賠償請求等によって当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 情報管理については、従業員との情報管理に関する誓約書の締結、社内規程の整備及び従業員教育の徹底等、管理体制の強化に努めることで情報流出を抑止しております。また、インターネットセキュリティの強化及び事業所の防犯対策等の実施により外部者の不正な情報取得を防ぐなど、可能な限りの対策を取っております。 IT社会の発展に伴い、当社でも稟議の電子決裁、保存書類のペーパーレス化、Webでの入社面接、Web会議等、業務の効率化を図るためITを導入してまいりました。ネットワークの管理に関しましてはIT統合管理システムを導入し、事業の拡大とともに増加するPC機器等の管理を行えるように致しました。それにより災害時でも耐えうる情報管理体制の構築に取り組んでおります。 ⑤ 財務体質の強化 当社は、有利子負債の割合が株主資本に対して高い比率となっております。今後は、運転資金拡大に加え、施設開設のための資金の確保も必要であることから、有利子負債とのバランスを勘案し自己資本の拡充を図ってまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。当社は、介護事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。① 財政状態の状況(資産) 当事業年度末における資産合計は38,994百万円となり、前事業年度末から7,403百万円増加しました。これは主に、新規施設の開設等により建物が5,268百万円、現金及び預金が2,330百万円増加したことによるものです。(負債) 当事業年度末における負債合計は30,377百万円となり、前事業年度末から3,984百万円増加しました。これは主に、リース債務が1,555百万円、診療報酬返還に伴う負債が1,189百万円、借入金の合計額が842百万円増加したことによるものです。(純資産) 当事業年度末における純資産合計は8,616百万円となり、前事業年度末から3,418百万円増加しました。これは主に、公募による自己株式の処分等により資本剰余金が4,570百万円増加した一方、当期純損失925百万円の計上等により利益剰余金が減少したことによるものです。 ② 経営成績の状況当事業年度におけるわが国の経済は、社会経済活動の正常化が進み、インバウンド需要の高まりによって景気は緩やかな持ち直しの動きがみられました。一方で、円安を背景とした物価上昇、エネルギー・原材料価格の高騰や金融資本市場の変動など、依然として先行き不透明な状況が続いております。当社の関連する介護及び医療環境につきましては、団塊の世代が全て75歳以上の高齢者となる2025年に向けて、高齢者が要介護状態になっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられる社会の実現(地域包括ケアシステムの構築)への取り組みが進められてきました。地域に関わらず適切な医療・介護が受けられる体制が求められ、質の高い在宅医療・訪問看護の確保が重要となってきています。さらに指定難病においてはその専門性を有することから、専門病院や専門介護のニーズが今後ますます高まっていくものと考えております。このような環境のもと、当社は、パーキンソン病専門施設である「PDハウス」の全国展開を加速させてきました。パーキンソン病患者の方のニーズに応えるべく、2024年4月にPDハウス国立(東京都国立市)、2024年5月にPDハウス太平(北海道札幌市東区)及びPDハウス陣原(福岡県北九州市八幡西区)、2024年6月にPDハウス東大宮(埼玉県さいたま市見沼区)、2024年8月にPDハウス八千代中央(千葉県八千代市)、2024年9月にPDハウス南柏(千葉県柏市)及びPDハウス熱田(愛知県名古屋市熱田区)、2024年10月にPDハウス新潟紫竹山(新潟県新潟市中央区)及びPDハウス西京極(京都府京都市右京区)、2024年11月にPDハウス神戸深江本町(兵庫県神戸市東灘区)、2024年12月にPDハウス初芝(大阪府堺市東区)、2025年1月にPDハウス越谷(埼玉県越谷市)を新規開設いたしました。一方で、2025年2月12日付「再発防止策の策定及び関係者の処分に関するお知らせ」のとおり、当第4四半期会計期間より再発防止策の実行による運営体制の見直しを行った結果、収益性は一時的に大幅に低下いたしました。また、当事業年度において、特別調査委員会の設置に係る諸費用等で特別調査費用等638百万円、上場契約違約金62百万円を特別損失として計上しております。これらの結果、当事業年度の売上高は26,496百万円(前年同期比31.8%増)、営業利益は1,114百万円(同51.0%減)、経常利益は388百万円(同77.4%減)、当期純損失は925百万円(前年同期は802百万円の当期純利益)となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況 当事業年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、5,637百万円となり、前事業年度末に比べて2,330百万円増加しました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは1,883百万円の資金増加(前事業年度は2,557百万円の資金増加)となりました。これは主に、法人税等の支払額1,315百万円等の減少要因があったものの、減価償却費の計上1,384百万円、診療報酬返還に伴う負債の増加1,189百万円等の増加要因があったことによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは4,396百万円の資金減少(前事業年度は5,662百万円の資金減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出4,207百万円等の減少要因によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは4,842百万円の資金増加(前事業年度は3,801百万円の資金増加)となりました。これは主に、自己株式の処分による収入4,574百万円等の増加要因によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載を省略しております。 b.受注実績 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注に該当する事項がないため、受注実績に関する記載を省略しております。 c.販売実績 当事業年度の販売実績は次のとおりであります。 なお、当社は介護事業の単一セグメントであるため、サービス区分別の販売実績を記載しております。サービス区分の名称当事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)PDハウス (百万円)23,332136.3医療特化型住宅 (百万円)1,990105.7グループホーム (百万円)169101.1デイサービス (百万円)472108.8福祉用具事業 (百万円)499105.1加圧トレーニング事業 (百万円)33100.3合計(百万円)26,496131.8 (注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前事業年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)石川県国民健康保険団体連合会3,67418.33,96815.0東京都国民健康保険団体連合会2,36911.83,55813.4大阪府国民健康保険団体連合会2,83814.13,33412.6 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額、開示期間の収益・費用の金額及び開示情報に影響を与えます。ただし、これらの見積り、判断並びに仮定は、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果とは異なる場合があります。 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社は「自らが輝き、人を元気にする」を経営理念に掲げております。わが国では、2007年に超高齢社会(公益財団法人長寿科学振興財団の定義)を迎え、更に高齢化も進行し、65歳以上人口割合は2020年の28.6%から一貫して上昇し、2070年には38.7%まで増加すると推計されており(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」)、介護・医療の需要はさらに高まるとされています。一方で、介護・医療の制度を経済的に、また人的に支える労働人口の減少が予測されており、今後の高齢化の進展に対応し得る介護・医療の持続可能な制度設計がわが国の根本的、かつ緊要な課題の一つであることは論をまちません。 当社では、この課題に対して、指定難病であるパーキンソン病患者を対象とした「PDハウス」とこれに関連するサービスの提供を通じて、地域の介護・医療資源を効果的かつ効率的に利用できる仕組みづくりを行うことで応えてまいります。地域では、病床削減とこれに伴って療養の場を病院から在宅(自宅や施設等)へ移すとする政策を受けて、特に慢性期や終末期における介護・医療の需要が高まっております。パーキンソン病患者は慢性期が長期化する傾向があることから、当社にとって有利な事業環境であり、引き続き事業を積極的に展開していく背景となっております。 当事業年度において、当社では新たにPDハウス国立(東京都国立市)、PDハウス太平(北海道札幌市東区)、PDハウス陣原(福岡県北九州市八幡西区)、PDハウス東大宮(埼玉県さいたま市見沼区)、PDハウス八千代中央(千葉県八千代市)、PDハウス南柏(千葉県柏市)、PDハウス熱田(愛知県名古屋市熱田区)、PDハウス新潟紫竹山(新潟県新潟市中央区)、PDハウス西京極(京都府京都市右京区)、PDハウス神戸深江本町(兵庫県神戸市東灘区)、PDハウス初芝(大阪府堺市東区)及びPDハウス越谷(埼玉県越谷市)を開設いたしました。当社は、介護事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。(売上高) 当事業年度の売上高は26,496百万円となり、前事業年度より6,389百万円の増加となりました。これは主に、「PDハウス」を新規開設し、サービス提供が開始されたことにより医療保険及び介護保険収入が生じたことなどによります。 (売上原価、売上総利益) 当事業年度の売上原価は21,581百万円となり、前事業年度より6,624百万円の増加となりました。これは主に、新規に「PDハウス」を開設したことに伴い採用した施設従業員の人件費が生じたことなどによります。この結果、売上総利益は4,914百万円(前年同期比4.6%減)となりました。 (販売費及び一般管理費、営業利益) 当事業年度の販売費及び一般管理費は3,800百万円となり、前事業年度より923百万円の増加となりました。これは主に、業務の規模拡大に伴い採用した本社従業員の採用費及び人件費が生じたことなどによります。この結果、営業利益は1,114百万円(前年同期比51.0%減)となりました。 (営業外収益、営業外費用、経常利益) 当事業年度の営業外収益は166百万円となり、前事業年度より61百万円の増加となりました。これは主に、東京都介護職員・介護支援専門員居住支援特別手当事業補助金等が増加したことなどによります。また、当事業年度の営業外費用は892百万円となり、前事業年度より234百万円の増加となりました。これは主に、新規出店によりリース債務の支払利息が増加したことなどによります。この結果、経常利益は388百万円(前年同期比77.4%減)となりました。 (特別利益、特別損失) 当事業年度の特別損失は704百万円となりました。これは主に、特別調査費用等が638百万円、上場契約違約金が62百万円増加したことによるものです。 (当期純損失) 当事業年度の法人税等合計は609百万円となり、この結果、当期純損失は925百万円(前年同期は802百万円の当期純利益)となりました。 ③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析 キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社の資金需要のうち主なものは、新規施設開設のための資金、運転資金等となっております。当社の資金調達については、自己資金及び金融機関からの借入れ等で実施しております。なお、これらの資金調達方法については、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行い、決定しております。 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因について 当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおり認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。 ⑤ 経営戦略の現状と見通し 当社は介護サービスの提供を行っておりますが、現在運営している施設については、稼働率も順調に推移しているほか、医療保険制度や介護保険制度において報酬が決まっていること等により売上高を増加させることは難しいため、今後はコスト削減及び運営の効率化等により利益率を向上させ、強固な収益基盤を構築したいと考えております。 成長戦略としましては、北陸エリアで2019年3月期に第1号施設を開設し、2020年3月期に全国展開を開始後、当事業年度末において全国43か所で運営を行っているパーキンソン病患者専門の有料老人ホーム「PDハウス」が、高い稼働を維持していることから、「PDハウス」の新規開設を積極的に推進してまいります。これまでパーキンソン病患者専門の有料老人ホームが無かったことに加え、高齢化社会の進行により同疾患患者数が増加しており、需要が高まっていることを受け、各都道府県における患者数等を勘案し、施設の開設を進めてまいります。 ⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について 当社の経営者は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社が今後さらなる成長を遂げるためには、様々な課題に対処することが必要であると認識しております。 それらの課題に対応するために、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、「PDハウス」による競合との差別化を推進し、更なる事業拡大を図ってまいります。 ⑦ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、売上高及び経常利益率を重要な経営指標としております。 しかしながら、2025年2月に過年度の決算を訂正し、再発防止策の実行による運営体制の見直しを行ったことで、当事業年度における収益性は一時的に大幅に低下しております。「PDハウス」の事業拡大により、売上高については、当事業年度は26,496百万円と前年同期比で31.8%増となっておりますが、経常利益率については、当事業年度は1.5%と前年同期比で7.1ポイント減少しております。 なお、目標達成に向けた今後の対応につきましては、「3 事業等のリスク (21)継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、当社は事業モデルを根底から見直し、安定した利益構造を確立するための対応策を実施しております。