事業の内容
スリー・ディー・マトリックスは、MITから独占実施権を得た自己組織化ペプチド技術を基盤に、医療製品の研究開発・製造・販売を行う企業です。主力事業は医療製品開発・販売で、外科領域(吸収性局所止血材、粘膜隆起材など)、組織再生領域(創傷治癒材、歯槽骨再建材など)、DDS領域(核酸医薬等の薬剤送達システム)で製品開発を進めています。特に、RADA16というペプチドを用いた止血材は、生体内でゲル化し物理的に止血する特性を持ち、生物由来成分を含まないため安全性が高いのが特徴です。収益は主にこれらの医療機器や医薬品の販売、およびDDS領域での製薬会社への技術供与によるライセンス収入で構成されます。
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FY2025|8,850 文字|出典 docID: S100WDJ9
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社7社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の独占的実施権の許諾を受けて、同技術を基盤技術とした製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・組織再生領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、後出血予防材、癒着防止材を有しており、組織再生領域では創傷治癒材、歯槽骨再建材、DDS領域では核酸医薬等のためのDDSを有しています。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち最も開発が先行し複数の製品を上市しているペプチドRADA16は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には、分子同士が繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、生物由来の原材料を含まず化学合成により生産されることから、生物由来の原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、組織再生領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインのうち、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材についてはそのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針ですが、地域によっては薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。販売についても製品、地域に応じて、代理店を通じての直接販売及び販売パートナーに対する販売権許諾の双方の戦略を適切に選択しあるいは組み合わせていく方針です。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取組んでおりますが、医薬品として開発することとなる可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社グループでは、大学等の研究機関とのMTA契約(*)及び共同研究契約に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドを基盤とした応用技術の獲得に取組んでいます。 A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、癒着防止材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下「TDM-621」という。)の開発を進めています。RADA16の水溶液は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、RADA16の水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がない等、適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、これらの原材料から生じるウイルス感染等のリスクは完全には否定できないことから、生物由来製品又は特定生物由来製品として指定されており、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されます。これに対してTDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来の細胞、組織等を原材料として含まないため、これらの原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。また、生物由来製品又は特定生物由来製品に求められるプロセスが不要なため、TDM-621は患者と医療従事者の負担の軽減にも貢献できるものと考えられます。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、消化器内視鏡治療による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術(*)において、腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード: TDM-644)(以下「TDM-644」という。)の開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めた上で高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-644であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。 <粘膜隆起方法 概略図> c)後出血予防材当社グループにおいては、TDM-621について治療後に起こる後出血について医療機器としての承認を得るべく開発を進めています。治療時に後出血が生じると、再手術が必要となることから患者及び医療機関双方の負担が大きく、強いニーズがあります。消化器内視鏡治療における出血はおおよそ5%程度であるのに対し、治療後に後出血が懸念されるリスクの高い患者・手技はおおよそ30%あるとされており、本適応の追加により当社製品が獲得可能な市場は数倍に拡大する可能性があります。 d)次世代止血材RADA16とは異なる、当社が独自に開発した新規ペプチド配列を用いた開発品です。現在の止血材より止血効果に優れ、原価を大幅に削減できる等の優位性があることから、将来的に主力製品として市場に供給すべく開発を進めてまいります。 e )癒着防止材RADA16について、止血材だけではなく、癒着防止材、創傷治癒材としての開発も進めております。米国においては、耳鼻咽喉科領域において既に販売を開始しておりますが、今後、はるかに大きな市場が存在する産婦人科等の領域に適応拡大をすべく、日本と欧州双方で医師主導治験の準備を進めております。 (B) 組織再生領域自己組織化ペプチドは、細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、組織再生領域において創傷治癒材、歯槽骨再建材を開発パイプラインとして有しております。また、当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)消化管の創傷治癒材当社グループは、直腸における粘膜炎により損傷した粘膜組織に塗布することで粘膜組織上に保護膜を形成し、二次炎症の防止や痛みの軽減に加え創傷治癒に最適な湿潤環境を維持する創傷治癒材を開発しております。 b)皮膚における創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の創傷治癒に適切な湿潤環境を維持する、創傷治癒材(開発コード:TDM-511)(以下「TDM-511」という。)を開発しております。 c)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材(*)となる製品(開発コード:TDM-711)(以下「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることの開発を進めております。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品の多くは、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期にわたります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第Ⅲ相まで(第Ⅰ相・第Ⅱ相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第Ⅲ相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社グループが開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域における創傷治癒材・歯槽骨再建材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得しています。なお、DDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また、当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要すること等から、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから独占的実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約又は共同研究契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取組んでいます。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。2 業務委託先とは受託臨床試験機関(以下「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。3 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 D MITとのライセンス契約について当社が開発・販売している製品の基盤となる自己組織化ペプチド技術は、MITの研究者の発明によるものであり、MITは、かかる技術に関連する技術を多数有しています。当社子会社は2003年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の独占的実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は2004年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、2007年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は2009年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。なお、MITからライセンスを受けている特許以外にも、当社は、次世代の自己組織化ペプチドを独自に開発して、また、当社グループ独自に又は共同研究パートナーと共同で開発した自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社グループ単独又は共同研究パートナーと共同で特許出願を行い、その中のいくつかについて特許登録を受けております。 (3) 製造吸収性局所止血材の製造に関して、扶桑薬品工業株式会社との間での従前の製造受委託契約は一旦解消されましたが、改めて製造受委託契約を締結して継続して製造を委託しており、さらにドイツのPharmpure社との間で製造委受託契約を締結し、同社における製造も開始しております。 (4) 販売欧州においては、2019年にFUJIFILM Europe B.V.(以下「FUJIFILM」という。)と止血材の消化器内視鏡領域にかかる独占販売契約を締結し、同社において販売を開始しております。その他の領域については主に直販体制による販売を行っております。米国、日本、オーストラリアにおいては、直販体制による販売を行っております。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチド等とも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲン等の構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面に比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名等を印刷し、板状のプラスチックをバキュームフォーム等で成型し商品を囲み込み台紙に接着した又はスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸等の薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作った上で、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。 用語意味・内容内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸等のもの。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖等の調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。
FY2024|8,944 文字|出典 docID: S100U2VU
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社8社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の独占的実施権の許諾を受けて、同技術を基盤技術とした製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・組織再生領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、後出血予防材、癒着防止材を有しており、組織再生領域では創傷治癒材、歯槽骨再建材、DDS領域では核酸医薬等のためのDDSを有しています。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち最も開発が先行し複数の製品を上市しているペプチドRADA16は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には、分子同士が繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、生物由来の原材料を含まず化学合成により生産されることから、生物由来の原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、組織再生領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインのうち、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材についてはそのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針ですが、地域によっては薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。販売についても製品、地域に応じて、代理店を通じての直接販売及び販売パートナーに対する販売権許諾の双方の戦略を適切に選択しあるいは組み合わせていく方針です。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取組んでおりますが、医薬品として開発することとなる可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社グループでは、大学等の研究機関とのMTA契約(*)及び共同研究契約に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドを基盤とした応用技術の獲得に取組んでいます。 A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、癒着防止材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下、「TDM-621」という。)の開発を進めています。RADA16の水溶液は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、RADA16の水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がない等、適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、これらの原材料から生じるウイルス感染等のリスクは完全には否定できないことから、生物由来製品又は特定生物由来製品として指定されており、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されます。これに対してTDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来の細胞、組織等を原材料として含まないため、これらの原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。また、生物由来製品又は特定生物由来製品に求められるプロセスが不要なため、TDM-621は患者と医療従事者の負担の軽減にも貢献できるものと考えられます。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、消化器内視鏡治療による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術(*)において、腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード: TDM-644)(以下、「TDM-644」という。)の開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めたうえで高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-644であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。 <粘膜隆起方法 概略図> c)後出血予防材当社グループにおいては、TDM-621について治療後に起こる後出血について医療機器としての承認を得るべく開発を進めています。治療時に後出血が生じると、再手術が必要となることから患者及び医療機関双方の負担が大きく、強いニーズがあります。消化器内視鏡治療における出血はおおよそ5%程度であるのに対し、治療後に後出血が懸念されるリスクの高い患者・手技はおおよそ30%あるとされており、本適応の追加により当社製品が獲得可能な市場は数倍に拡大する可能性があります。 d)次世代止血材RADA16とは異なる、当社が独自に開発した新規ペプチド配列を用いた開発品です。現在の止血材より止血効果に優れ、原価を大幅に削減できる等の優位性があることから、将来的に主力製品として市場に供給すべく開発を進めてまいります。 e )癒着防止材RADA16について、止血材だけではなく、癒着防止材、創傷治癒材としての開発も進めております。米国においては、耳鼻咽喉科領域において既に販売を開始しておりますが、今後、はるかに大きな市場が存在する産婦人科等の領域に適応拡大をすべく、日本と欧州双方で医師主導治験の準備を進めております。 (B) 組織再生領域自己組織化ペプチドは、細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、組織再生領域において創傷治癒材、歯槽骨再建材を開発パイプラインとして有しております。また、当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)消化管の創傷治癒材当社グループは、直腸における粘膜炎により損傷した粘膜組織に塗布することで粘膜組織上に保護膜を形成し、二次炎症の防止や痛みの軽減に加え創傷治癒に最適な湿潤環境を維持する創傷治癒材を開発しております。 b)皮膚における創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の創傷治癒に適切な湿潤環境を維持する、創傷治癒材(開発コード:TDM-511)(以下、「TDM-511」という。)を開発しております。 c)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材(*)となる製品(開発コード:TDM-711)(以下、「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることの開発を進めております。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品の多くは、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期にわたります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第Ⅲ相まで(第Ⅰ相・第Ⅱ相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第Ⅲ相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社グループが開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域における創傷治癒材・歯槽骨再建材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得しています。なお、DDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また、当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要すること等から、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから独占的実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約又は共同研究契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取組んでいます。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 製品販売/代金回収を示しております。2 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。3 業務委託先とは受託臨床試験機関(以下、「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。4 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 D MITとのライセンス契約について当社が開発・販売している製品の基盤となる自己組織化ペプチド技術は、MITの研究者の発明によるものであり、MITは、かかる技術に関連する技術を多数有しています。当社子会社は2003年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の独占的実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は2004年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、2007年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は2009年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。なお、MITからライセンスを受けている特許以外にも、当社は、次世代の自己組織化ペプチドを独自に開発して、また、当社グループ独自に又は共同研究パートナーと共同で開発した自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社グループ単独又は共同研究パートナーと共同で特許出願を行い、その中のいくつかについて特許登録を受けております。 (3) 製造吸収性局所止血材の製造に関して、扶桑薬品工業株式会社との間での従前の製造受委託契約は一旦解消されましたが、改めて製造受委託契約を締結して継続して製造を委託しており、さらにドイツのPharmpure社との間で製造委受託契約を締結し、同社における製造も開始しております。 (4) 販売欧州においては、2019年にFUJIFILM Europe B.V.(以下、「FUJIFILM」という。)と止血材の消化器内視鏡領域にかかる独占販売契約を締結し、同社において販売を開始しております。その他の領域については主に直販体制による販売を行っております。米国、日本、オーストラリアにおいては、直販体制による販売を行っております。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチド等とも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲン等の構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面に比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名等を印刷し、板状のプラスチックをバキュームフォーム等で成型し商品を囲み込み台紙に接着した又はスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸等の薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作ったうえで、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。 用語意味・内容内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸等のもの。血管内塞栓促進用補綴材血管内に投与して塞栓を形成させ(血管を詰まらせ)、病巣部の血流を遮断することで病巣部の治療を意図する医療機器。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖等の調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。
FY2023|12,838 文字|出典 docID: S100RGD2
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社8社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の独占的実施権の許諾を受けて、同技術を基盤技術とした製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・組織再生領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、後出血予防材、癒着防止材を有しており、組織再生領域では創傷治癒材、歯槽骨再建材、DDS領域では核酸医薬等のためのDDSを有しています。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち最も開発が先行し複数の製品を上市しているペプチドRADA16は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には、分子同士が繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、生物由来の原材料を含まず化学合成により生産されることから、生物由来の原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、組織再生領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインのうち、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材についてはそのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針ですが、地域によっては薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。販売についても製品、地域に応じて、代理店を通じての直接販売及び販売パートナーに対する販売権許諾の双方の戦略を適切に選択しあるいは組み合わせていく方針です。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取り組んでおりますが、医薬品として開発することとなる可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社グループでは、大学等の研究機関とのMTA契約(*)及び共同研究契約に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドを基盤とした応用技術の獲得に取り組んでいます。 A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、癒着防止材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下、「TDM-621」という。)の開発を進めています。RADA16の水溶液は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、RADA16の水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がない等、適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、これらの原材料から生じるウイルス感染等のリスクは完全には否定できないことから、生物由来製品又は特定生物由来製品として指定されており、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されます。これに対してTDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来の細胞、組織等を原材料として含まないため、これらの原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。また、生物由来製品又は特定生物由来製品に求められるプロセスが不要なため、TDM-621は患者と医療従事者の負担の軽減にも貢献できるものと考えられます。 (研究開発の状況)TDM-621の日本での製造販売承認については、2020年に消化器内視鏡治療における漏出性出血に対する止血を対象とした吸収性局所止血材「ピュアスタット」として製造販売承認を取得しており、2021年12月からは本製品の保険適用が開始されております。これにより、医療機関の費用負担なく「ピュアスタット」を使用できることになり、今後の販売加速が見込まれます。また、当社は、TDM-621の海外展開に向け開発を進めております。欧州においては、2014年にCEマークを取得しており、現在欧州全域において販売中です。今後は中枢神経分野等領域の拡大や創傷治癒等機能の拡大等、継続して複数の分野で適応拡大を進め、オンリーワンの製品となれるよう価値を一層高めていく方針です。米国では、消化器内視鏡治療領域において、2021年1月に米国食品医薬品局(以下、「FDA」という。)に市販前届510(k)を申請し、2021年6月に販売承認を取得しており、2022年7月より販売を開始しております。また、2022年8月に手術等の処置に伴うものではない病変等から起こる自然出血(以下、「Primary Bleeding」という。)への適応拡大を目的とした市販前届510(k)を申請しておりましたが、2023年3月に販売承認を取得いたしました。Primary Bleedingの日米欧での市場規模は100億円程度と推計され、本適応拡大によってより一層製品力を高め、米国における消化器内視鏡治療の広まりや安全性の向上に貢献していきたいと考えております。アジア・オセアニア・南米地域の主要国においても、CEマーキングを活用し登録承認を取得し、製品販売を開始しております。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、消化器内視鏡治療による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術(*)において、腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード: TDM-644)(以下、「TDM-644」という。)の開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めたうえで高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-644であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。 <粘膜隆起方法 概略図> (研究開発の状況)日本においては、2021年5月に製造販売承認を取得しており、2021年12月には販売用製品「ピュアリフト」として製造を開始いたしました。また、2022年8月には販売開始に向けた更なるデータ拡充のため臨床研究を開始しております。さらに、2022年12月より保険適用が開始され、医療機関が使用した「ピュアリフト」の特定保健医療材料費については、医療機関は保険償還価格にて保険請求が可能となります。これにより、医療機関の費用負担なく「ピュアリフト」を使用できることとなります。止血材「ピュアスタット」販売時のフックとして「ピュアスタット」販売拡大にも貢献すべくクロスセルでの販売を予定しております。 c)後出血予防材当社グループにおいては、TDM-621について治療後に起こる後出血について医療機器としての承認を得るべく開発を進めています。治療時に後出血が生じると、再手術が必要となることから患者及び医療機関双方の負担が大きく、強いニーズがあります。消化器内視鏡治療における出血はおおよそ5%程度であるのに対し、治療後に後出血が懸念されるリスクの高い患者・手技はおおよそ30%あるとされており、本適応の追加により当社製品が獲得可能な市場は数倍に拡大する可能性があります。 (研究開発の状況)欧州においては、消化器内視鏡治療時に生じる後出血予防効果に関して、2018年12月に適応追加が承認されております。また、オーストラリアにおいても後出血予防効果に関して、2019年9月に適応追加が承認されました。さらに、米国においては2021年6月に止血材の承認と合わせて後出血予防の適応も同時に承認を受けております。 d)癒着防止材RADA16について、止血材だけではなく、癒着防止材、創傷治癒材としての開発も進めております。米国においては、耳鼻咽喉科領域において既に販売を開始しておりますが、今後、はるかに大きな市場が存在する産婦人科等の領域に適応拡大をすべく、日本と欧州双方で医師主導治験の準備を進めております。 (研究開発の状況)米国では、耳鼻咽喉科領域において、2019年4月にFDAより癒着防止材兼止血材「PuraSinus」の販売承認を受けております。本製品は、癒着防止、止血、創傷治癒を同時に行える現状唯一の製品であることから、鼻甲介切除術や鼻中隔形成術等において高い臨床的価値を提供でき得るものと期待しております。特に術後のパッキング(鼻に詰め物をする処置)は患者のQOLを著しく悪化させているといわれておりますが、当社製品によってパッキングを極力減らすことが可能となり、患者のQOLを重視する米国市場では強いニーズが期待できます。 e )次世代止血材RADA16とは異なる、当社が独自に開発した新規ペプチド配列を用いた開発品です。現在の止血材より止血効果に優れ、原価を大幅に削減できる等の優位性があることから、将来的に主力製品として市場に供給すべく開発を進めてまいります。 (研究開発の状況)欧州においては、2021年5月に治験計画届の承認がなされ、2021年7月より脳神経外科を対象とした治験を開始しております。本試験開始前の探索的臨床試験については、2021年12月に全ての患者への投与が完了し、安全性が確認されたことから、本試験への移行が開始されました。 (B) 組織再生領域自己組織化ペプチドは細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、組織再生領域において創傷治癒材、歯槽骨再建材を開発パイプラインとして有しております。また当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)直腸における粘膜炎の創傷治癒材当社グループは、直腸における粘膜炎により損傷した粘膜組織に塗布することで粘膜組織上に保護膜を形成し、二次炎症の防止や痛みの軽減に加え創傷治癒に最適な湿潤環境を維持する創傷治癒材を開発しております。 (研究開発の状況)米国において、2022年4月に粘膜炎の創傷治癒に対する承認を取得いたしました。これは直腸の粘膜炎等の治癒に幅広く使える可能性がある承認であり、止血材よりさらに付加価値の高い製品としての販売が可能となります。例えば一つの適応事例としての放射線性直腸炎は、前立腺がんや子宮がん等への放射線療法に起因する副作用で、大腸粘膜の炎症を高頻度で引き起こします。また、2割程度の患者は慢性的な下血、頻繁な排便、激しい腹痛等の晩期障害に悩まされており、有効な治療法の確立が望まれております。この領域で早急に成長を蓄積し、さらに巨大な市場である炎症性腸疾患(以下、「IBD」という。)への適応拡大を進めてまいります。IBDは消化管の難治性炎症で、原因不明で一度発症すると再燃と寛解を繰り返す特定疾患であり、グローバルで数兆円の顕在市場が存在します。2023年6月には、日本においてIBD領域での効果確認のための医師主導特定臨床研究が開始しております。今後も日米欧にて複数の医師主導特定臨床研究を計画し、早期にPOC(Proof Of Concept)を取得することを目指します。POC を取得した暁には、本格的な開発を開始する計画です。 b)創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の創傷治癒に適切な湿潤環境を維持する、創傷治癒材(開発コード:TDM-511)(以下、「TDM-511」という。)を開発しております。 (研究開発の状況)米国では、2015年2月にFDAより、切り傷、すりむき、創傷、I度熱傷及び医師指導の下での表皮から真皮層までの皮膚創傷(圧迫による褥瘡、下肢潰瘍、糖尿性病性潰瘍、手術痕等)を適用として、販売承認を取得しております。より高い臨床的価値が求められる重度の熱傷や皮膚がんの分野への進出を目指して、他薬剤とのコンビネーション(抗生物質、抗がん剤等)も視野に入れて研究を進めております。また、巨大市場である美容整形分野にもアクセスすべく、2020年5月に適応を拡大しております。欧米において複数の臨床研究を進め、有望な結果が観察され始めており、論文発表も行われております。 c)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材(*)となる製品(開発コード:TDM-711)(以下、「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることの開発を進めております。 (研究開発の状況)当社グループは、GLP(*)下において歯槽骨に欠損がある状態でのTDM-711の有効性の確認試験を実施し、通常の欠損群に比べ有意な骨再生が認められたため、その後も研究開発を進めてまいりました。当社グループは、TDM-711につき、2012年2月には、米国ハーバード大学の医学部・歯学部の付属研究所であるフォーサイス・インスティテュート(Forsyth Institute)において、臨床試験を開始し、プロトコルで規定した15症例の施術及び経過観察が完了しております。骨再生に有効なデータを得ておりますが、プロトコルに改善の余地があったため、2018年4月期に症例を追加して現在も臨床試験を継続しており、今後も製品化に向けた開発を進めてまいります。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 (研究開発の状況)国立がん研究センターとの「RPN2標的核酸医薬によるトリプルネガティブ乳がん治療」共同プロジェクトにおいて、界面活性剤様ペプチドA6Kを核酸医薬のDDSとして提供しておりました。当社は、国立がん研究センターと共同でがん幹細胞に対する治療薬や診断方法の特許を取得しており、同分野や関連分野の共同研究/共同開発に向けた取り組みを進めております。広島大学との共同プロジェクトにおいても、悪性胸膜中皮腫を対象疾患とする革新的抗腫瘍核酸医薬にA6Kを提供し共同開発を進めておりましたが、広島大学の田原栄俊教授により新たに設立された株式会社PURMX Therapeuticsが今後の製品開発を主導することとなりました。当社も同社株式の一部を取得し、今後も引き続き共同で製品開発を進めてまいります。2022年1月には、医師主導治験(第I相)において第一症例の組み入れが実施され、臨床試験が開始されております。核酸医薬へのDDSとして当社製品がヒト臨床で使用されるのはこれで2件目となります。今後の核酸医薬の広まりとともに、当社の技術が核酸のデリバリーのオプションとして更なる広がりをみせる可能性が出てきております。また、当社技術をCOVID-19を含めた各種ワクチンのDDSに応用する検討も進めております。各種ワクチンによる防御免疫反応を高め、強力なアジュバント(主剤の効果向上並びに補助を目的として併用される物質)の反応性を排除することで、効率的かつ安全なワクチンデリバリーシステムを開発することを目的とし、米国Tulane Universityと共同研究を開始いたしました。本共同研究により、同レベルの免疫を獲得するために必要なワクチンの接種回数を減らすことができる可能性や患者の負担を軽減できる可能性あるいは各種ワクチンの経鼻投与ができるようになる可能性が期待されます。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品の多くは、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期に亘ります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第Ⅲ相まで(第Ⅰ相・第Ⅱ相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第Ⅲ相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社グループが開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域における創傷治癒材・歯槽骨再建材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得しています。なお、DDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また、当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要すること等から、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから独占的実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約又は共同研究契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取り組んでいます。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 製品販売/代金回収を示しております。2 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。3 業務委託先とは受託臨床試験機関(以下、「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。4 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 D MITとのライセンス契約について当社が開発・販売している製品の基盤となる自己組織化ペプチド技術はMITの研究者の発明によるものであり、MITは、かかる技術に関連する技術を多数有しています。当社子会社は2003年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の独占的実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は2004年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、2007年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は2009年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。なお、MITからライセンスを受けている特許以外にも、当社は、次世代の自己組織化ペプチドを独自に開発して、また、当社グループ独自にまた共同研究パートナーと共同で開発した自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社グループ単独又は共同研究パートナーと共同で特許出願を行い、その中のいくつかについて特許登録を受けております。 (3) 製造吸収性局所止血材の製造に関して、扶桑薬品工業株式会社との間での従前の製造受委託契約は一旦解消されましたが、改めて製造受委託契約を締結して継続して製造を委託しており、さらにドイツのPharmpure社との間で製造委受託契約を締結し、同社における製造も開始しております。 (4) 販売販売が先行している欧州地域においては、消化器内視鏡手技向けに、2019年6月にFUJIFILM Europe B.V.(以下、「FUJIFILM」という)とTDM-621の独占販売契約を締結し、同社において販売を開始しております。また、心臓外科手術領域及び耳鼻咽喉領域については主に直販体制による販売を行っております。オーストラリアに関しては、当初現地代理店による販売を行いましたが、販売力強化のため、2019年4月期より、直販体制に移行しております。日本においては、扶桑薬品工業株式会社との間で締結されていた独占販売権許諾契約の終了後、当社による直販による新たな販売体制を構築し、営業職員を採用するとともに内視鏡関連の販売に非常に強い代理店を23社、地域毎に選定し、代理店契約を締結し、各代理店との緊密な協業活動を行っております。米国においては、耳鼻咽喉科領域を皮切りに消化器内視鏡領域等での販売拡大に向けて直販のための販売体制を強化しております。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチド等とも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲン等の構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面を比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名等を印刷し、商品を板状のプラスチックをバキュームフォーム等で成型し囲み込み台紙に接着した又はスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。 用語意味・内容510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸等の薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作ったうえで、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸等のもの。血管内塞栓促進用補綴材血管内に投与して塞栓を形成させ(血管を詰まらせ)、病巣部の血流を遮断することで病巣部の治療を意図する医療機器。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。GLP医薬品・医療機器の開発のために行われる前臨床試験(動物試験等、特に安全性試験)のデータの信頼性を確保するための実施基準。Good Laboratory Practiceの略称。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖等の調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。
FY2022|13,370 文字|出典 docID: S100OS4P
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社9社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の独占的実施権の許諾を受けて、同技術を基盤技術とした製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・組織再生領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、後出血予防材、癒着防止材を有しており、組織再生領域では創傷治癒材、歯槽骨再建材、DDS領域では核酸医薬等のためのDDSを有しています。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち最も開発が先行し複数の製品を上市しているペプチドRADA16は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には、分子同士が繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、生物由来の原材料を含まず化学合成により生産されることから、生物由来の原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、組織再生領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインのうち、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材についてはそのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針ですが、地域によっては薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。販売についても製品、地域に応じて、代理店を通じての直接販売及び販売パートナーに対する販売権許諾の双方の戦略を適切に選択しあるいは組み合わせていく方針です。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取り組んでおりますが、医薬品として開発することとなる可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社グループでは、大学等の研究機関とのMTA契約(*)及び共同研究契約に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドを基盤とした応用技術の獲得に取り組んでいます。 A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、癒着防止材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下「TDM-621」という。)の開発を進めています。RADA16の水溶液は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、RADA16の水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がないなど適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、これらの原材料から生じるウイルス感染等のリスクは完全には否定できないことから、生物由来製品又は特定生物由来製品として指定されており、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されます。これに対してPurastatは、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来の細胞。組織等を原材料として含まないため、これらの原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。また、生物由来製品又は特定生物由来製品に求められるプロセスが不要なため、TDM-621は患者と医療従事者の負担の軽減にも貢献できるものと考えられます。 (研究開発の状況)TDM-621の日本での製造販売承認については、2019年10月に消化器内視鏡治療における漏出性出血に対する止血を対象として製造販売承認申請を行い、2020年7月に製造販売承認を取得し、2021年12月からは保険適用が開始されました(製品名はピュアスタット)。また、当社は、TDM-621の海外展開に向け開発を進めております。欧州においては、2014年1月にCEマーキングの指令適合について第三者認証機関から認証を受け、EU加盟国において製品販売を開始しております。アジア・オセアニア・南米地域の主要国では、CEマーキングを活用し、登録承認を取得し、製品販売を開始しております。米国においてはまず消化器内視鏡の領域において、510(k) (*)のプロセスにて承認申請を行い、2021年6月に承認を取得し、欧州において製造を開始しており、2023年4月期からの販売を予定しております。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、消化器内視鏡治療による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術(*)において、腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード: TDM-644)(以下「TDM-644」という。)の開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めたうえで高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)、又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-644であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。<粘膜隆起方法 概略図> (研究開発の状況)本製品は治験を必要としない改良医療機器での製造販売承認を申請し、2020年12月に2021年5月に製造販売承認を取得しております。2021年12月には販売用製品の製造を開始しました。現在保険適用に向けた準備を進めており、今後は早期に止血材とのクロスセルができる体制を構築してまいります。 c)後出血予防材当社グループにおいては、TDM-621について治療後に起こる後出血について医療機器としての承認を得るべく開発を進めています。治療時に後出血が生じると、再手術が必要となることから患者及び医療機関双方の負担が大きく、強いニーズがあります。消化器内視鏡治療における出血はおおよそ5%程度であるのに対し、治療後に後出血が懸念されるリスクの高い患者・手技はおおよそ30%あるとされており、本適応の追加により当社製品が獲得可能な市場は数倍に拡大する可能性があります。 (研究開発の状況)欧州においては、消化器内視鏡治療時に生じる後出血予防効果に関して、2018年12月に適応追加が承認されております。また、オーストラリアにおいても後出血予防効果に関して、2019年9月に適応追加が承認されました。さらに、米国においては2021年6月に止血材の承認と合わせて後出血予防の適応も同時に承認を受けております。 d)癒着防止材RADA16について、止血材だけではなく、癒着防止材、創傷治癒材としての開発も進めております。米国においては耳鼻咽喉科領域においてすでに販売承認を受け、販売を介しておりますが、今後、はるかに大きな市場が存在する産婦人科等の領域に適応拡大をすべく、日本と欧州双方で医師主導治験の準備を進めております。 (研究開発の状況)米国においては2019年4月に耳鼻咽喉科領域において、FDAより癒着防止材兼止血材「PuraSinus」の販売承認を受けております。本製品は、癒着防止、止血、創傷治癒を同時に行える現状唯一の製品であることから、鼻甲介切除術や鼻中隔形成術等において高い臨床的価値を提供でき得るものと期待しております。特に術後のパッキング(鼻に詰め物をする処置)は患者のQOLを著しく悪化させているといわれておりますが、当社製品によってパッキングを極力減らすことが可能となり、患者のQOLを重視する米国市場では強いニーズが期待できます。 e )次世代止血材RADA16とは異なる、当社が独自に開発し特許を保有する新規ペプチド配列を用いた開発品です。現在の止血材より止血効果に優れ、原価を大幅に削減できる等の優位性があると考えられることから、将来的に主力製品として市場に供給すべく開発を進めております。 (研究開発の状況)欧州においては、2021年5月に治験計画届の承認がなされ、2021年7月より脳神経外科を対象とした治験を開始しております。本試験開始前の探索的臨床試験については、2021年12月に全ての患者への投与が完了し、安全性が確認されたことから、本試験への移行が開始されました。 f)血管塞栓材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術における塞栓物として用いるための血管内塞栓促進用補綴材(*)(開発コード:TDM-631)(以下「TDM-631」という。)の研究開発を進めています。肝臓癌や子宮筋腫に対する肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術では、カテーテルを通じて動脈内に塞栓物を注入し、血管内腔を物理的に塞栓することで、腫瘍の栄養血管である動脈を塞いで腫瘍への栄養を絶ち、腫瘍を死滅させます。TDM-631は、血液と接触するとゲル化するため、カテーテルから動脈内に注入されると血管内腔を塞ぐことが可能であり、当社は新たな塞栓物としてTDM-631の開発を進めております。 (研究開発の状況)当社は、前臨床試験により、TDM-631を造影剤に溶解しカテーテルを通して血管内に注入するとゲル化することや、ゲル化したTDM-631はX線カメラにより視認可能なことを確認しております。また、TDM-631の生体内における血管塞栓効果をみるために、動物モデルを用いた実験を行っております。 (B) 組織再生領域自己組織化ペプチドは細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、組織再生領域において創傷治癒材、歯槽骨再建材を開発パイプラインとして有しております。また当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)直腸における粘膜炎の創傷治癒材当社グループは、直腸における粘膜炎により損傷した粘膜組織に塗布することで粘膜組織上に保護膜を形成し、二次炎症の防止や痛みの軽減に加え創傷治癒に最適な湿潤環境を維持する創傷治癒材を開発しております。 (研究開発の状況)米国において、2022年4月に直腸の粘膜炎の創傷治癒に対する501(k)の承認を取得いたしました。この承認は直腸の粘膜炎などの治癒に幅広く使える可能性がある承認であり、止血材よりさらに付加価値の高い製品としての販売が可能となります。例えば一つの適応事例としての放射線性直腸炎は、前立腺がんや子宮がん等への放射線療法に起因する副作用で、大腸粘膜の炎症を高頻度で引き起こします。また、2割程度の患者は慢性的な下血、頻繁な排便、激しい腹痛等の晩期障害に悩まされており、有効な治療法の確立が望まれております。この領域で早急に成長を蓄積し、さらに巨大な市場である炎症性腸疾患(IBD)への適応拡大を進めてまいります。IBDは消化管の難治性炎症で、原因不明で一度発症すると再燃と寛解を繰り返す難治性疾患であり、日本においては特定疾患として指定されています。IBDはグローバルに数兆円の顕在市場が存在します。現在日米欧にて複数の医師主導治験を計画し、早期にPOC(Proof Of Concept)を取得したい考えであります。 b)創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の創傷治癒に適切な湿潤環境を維持する、創傷治癒材(開発コード:TDM-511)(以下「TDM-511」という。)を開発しております。 (研究開発の状況)2014年10月に医療機器として市販前届510(k)を米国FDAに申請し、切り傷、すりむき、創傷、I度熱傷及び医師指導の下での表皮から真皮層までの皮膚創傷(圧迫による褥瘡、下肢潰瘍、糖尿性病性潰瘍、手術痕等)を適用として2015年2月に販売承認を得ました。創傷治癒材としての活用に加え、他薬剤とのコンビネーションによる治療効果の増大が期待できることから、熱傷治療、皮膚がん治療などへの応用研究を進めていく計画です。また、米国において巨大な市場である美容整形分野にアクセスするために、現在米国FDAに対して適応の拡大を申請しております。 c)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材(*)となる製品(開発コード:TDM-711)(以下「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることの開発を進めております。 (研究開発の状況)当社グループは、GLP(*)下において歯槽骨に欠損がある状態でのTDM-711の有効性の確認試験を実施し、通常の欠損群に比べ有意な骨再生が認められたため、その後も研究開発を進めてまいりました。当社グループは、TDM-711につき、2012年2月には、米国ハーバード大学の医学部・歯学部の付属研究所であるフォーサイス・インスティテュート(Forsyth Institute)において、臨床試験を開始し、プロトコルで規定した15症例の施術および経過観察が完了しております。骨再生に有効なデータを得ておりますが、プロトコルに改善の余地があったため、2018年4月期に症例を追加して現在も臨床試験を継続しており、今後も製品化に向けた開発を進めてまいります。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 (研究開発の状況)国立がん研究センターとの「RPN2標的核酸医薬によるトリプルネガティブ乳がん治療」共同プロジェクトにおいて、界面活性剤様ペプチドA6Kを核酸医薬のDDSとして提供しておりました。当社は、国立がん研究センターと共同でがん幹細胞に対する治療薬や診断方法の特許を取得しており、同分野や関連分野の共同研究/共同開発に向けた取り組みを進めております。広島大学との共同プロジェクトにおいても、悪性胸膜中皮腫を対象疾患とする革新的抗腫瘍核酸医薬にA6Kを提供し共同開発を進めておりましたが、広島大学の田原栄俊教授により新たに設立された株式会社PURMX Therapeuticsが今後の製品開発を主導することとなりました。当社も同社株式を一部取得し、今後も引き続き共同で製品開発を進めてまいります。2022年1月には、医師主導治験(第I相)において第一症例の組み入れが実施され、臨床試験が開始されております。核酸医薬へのDDSとして当社製品がヒト臨床で使用されるのはこれで2件目となります。今後の核酸医薬の広まりとともに、当社の技術が核酸のデリバリーのオプションとして更なる広がりをみせる可能性が出てきております。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品の多くは、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期に亘ります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第Ⅲ相まで(第Ⅰ相・第Ⅱ相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第Ⅲ相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社グループが開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域における創傷治癒材・歯槽骨再建材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得しています。なお、DDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また、当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要することなどから、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 当社グループでの医療製品開発における、主要なパイプラインの進捗状況は以下のとおりです。(主要なパイプライン開発の状況) (注)1 吸収性局所止血材欧州:2014年1月にCEマーキング指令適合を受け2015年4月期に製品販売を開始。日本:2020年7月に製造販売承認を取得、2022年4月期に製品販売を開始。米国:2021年6月に510(k)での承認を取得。韓国:CEマーキングでの製品登録申請済、2023年4月期での承認取得及び製品販売開始を予定。南米地域(ブラジル、メキシコ、コロンビア等):2016年4月期に各国での製品登録が完了。2017年4月期より製品販売を開始。他アジア・オセアニア地域:香港、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ブルネイ、オーストラリアタイの各国にて2017年4月期に製品販売を開始。2 癒着防止材米国において2019年4月に耳鼻咽喉科領域においてFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)申請による承認取得。適応拡大を申請中。3 歯槽骨再建材米国において2012年2月に臨床試験を開始、2018年4月期に症例を追加し継続中。4 創傷治癒材2014年10月にFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)を申請、2015年2月に同承認を取得。2022年4月に直腸における粘膜炎についてFDAより承認を取得。5 DDS領域DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)領域において当社ペプチドを医薬品等のキャリアとする大学等の研究機関との共同開発を行い、当社単独での事業化ではなく大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を目標。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから独占的実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約又は共同研究契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取り組んでいます。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 製品販売/代金回収を示しております。2 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。3 業務委託先とは受託臨床試験機関(以下「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。4 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 D MITとのライセンス契約について当社が開発・販売している製品の基盤となる自己組織化ペプチド技術はMITの研究者の発明によるものであり、MITは、かかる技術に関連する技術を多数有しています。当社子会社は2003年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の独占的実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は2004年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、2007年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は2009年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。なお、MITからライセンスを受けている特許以外にも、当社は、次世代の自己組織化ペプチドを独自に開発して、また、当社グループ独自にまた共同研究パートナーと共同で開発した自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社グループ単独または共同研究パートナーと共同で特許出願を行い、その中のいくつかについて特許登録を受けております。 (3) 製造吸収性局所止血材の製造に関して、扶桑薬品工業株式会社との間での従前の製造受委託契約は一旦解消されましたが、改めて製造受委託契約を締結して継続して製造を委託しており、さらにドイツのPharmpure社との間で製造委受託契約を締結し、同社における製造も開始しております。 (4) 販売販売が先行している欧州地域においては、消化器内視鏡手技向けに、2019年6月にFUJIFILM Europe B.V.(以下「FUJIFILM」という)とTDM-621の独占販売契約を締結し、同社において販売を開始しております。また、心臓外科手術領域及び耳鼻咽喉領域については主に直販体制による販売を行っております。オーストラリアに関しては、当初現地代理店による販売を行いましたが、販売力強化のため、2019年4月期より、直販体制に移行しております。日本においては、扶桑薬品工業株式会社との間で締結されていた独占販売権許諾契約の終了後、当社による直販による新たな販売体制を構築し、営業職員を採用するとともに内視鏡関連の販売に非常に強い代理店を23社、地域毎に選定し、代理店契約を締結し、各代理店との緊密な協業活動を行っております。米国においては、耳鼻咽喉科領域を皮切りに消化器内視鏡領域等での販売拡大に向けて直販のための販売体制を強化しており、2023年4月期より相当の規模での販売拡大を目指しております。その他の地域においては、アジア地域を中心に、韓国をはじめとする多くの地域において現地パートナーとの独占販売契約を締結し、地域内での独占販売権を許諾しております。また、2013年3月には、医療機器の品質マネジメントシステムのための国際標準規格ISO13485の認証を取得しており、各国への輸出を実施しております。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチドなどとも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲンなどの構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面を比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名などを印刷し、商品を板状のプラスチックをバキュームフォームなどで成型し囲み込み台紙に接着した又はスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。 用語意味・内容510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸などの薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作ったうえで、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸などのもの。血管内塞栓促進用補綴材血管内に投与して塞栓を形成させ(血管を詰まらせ)、病巣部の血流を遮断することで病巣部の治療を意図する医療機器。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。GLP医薬品・医療機器の開発のために行われる前臨床試験(動物試験等、特に安全性試験)のデータの信頼性を確保するための実施基準。Good Laboratory Practiceの略称。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖などの調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。
FY2021|13,919 文字|出典 docID: S100M24U
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社9社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の専用実施権の許諾を受けて、同技術を用いた製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・研究試薬販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・再生医療領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、癒着防止材を有しており、再生医療領域では歯槽骨再建材、創傷治癒材を有しています。研究試薬販売自己組織化ペプチドのPuraMatrix製品を米国の販売会社を通じて研究試薬用途での販売を行っています。同製品は、国内外の大学・研究機関等における自己組織化ペプチドを用いた様々な医療分野の応用研究に用いられております。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち第一世代の製品であるPuraMatrix製品(RADA16)(*)は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には、分子同士を繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、原材料に生物由来品を含まず化学合成により生産されることから、生物由来品から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品事業の内容① 医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、再生医療領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、再生医療領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材があります。当社グループは、そのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針であり、販売については国内外の提携先に独占販売権を許諾することとしておりますが、特に製品販売立ち上げ当初は直販による販売体制の構築や、また、薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。また、当社グループは、再生医療領域では細胞再生の足場材(*)として骨再生や心筋再生を促進する研究を行っており、今後製品化に向けた開発も行ってまいります。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取り組んでおりますが、医薬品としての開発可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社では、大学等の研究機関とのMTA契約(*)に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドをベースとした応用技術の獲得に取り組んでいます。 A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、癒着防止材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下「TDM-621」という。)の開発を進めています。TDM-621は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、ペプチド水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がないなど適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており生物由来の材料を含むため、ウイルス感染等のリスクは完全には否定できないのに対し、TDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来品を含まないため、生物由来品から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。生物由来品は、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されることから、より安全性の高い製品が期待される状況となっており、TDM-621は患者と医師の負担・リスク軽減に貢献できるものと考えられます。 (研究開発の状況)当社は、TDM-621の日本での製造販売承認申請に向けて、2010年1月より臨床試験(*)を開始し、2011年5月にPMDAに対してTDM-621 の製造販売承認申請を行いましたが、2015年3月に申請の取下げを行いました。有効性評価をより客観的に検証するため2017年4月に再度治験計画届を提出し、消化器内視鏡治療の領域において有効性を従来の止血法と比較する試験を実施、2020年7月にPMDAより消化器内視鏡領域において製造販売承認を取得しております。また、当社は、TDM-621の海外展開に向け開発を進めております。欧州においては、2014年1月にCEマーキングの指令適合について第三者認証機関から認証を受け、EU加盟国への販売が可能となりました。当社は、CEマーキングを活用し、アジア・オセアニア・南米地域の主要国での登録承認を取得し、製品販売を開始しております。米国においてはまず消化器内視鏡の領域において、510(k) (*)のプロセスにて承認申請を行いました。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、消化器内視鏡治療による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術(*)において、腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード: TDM-644)(以下「TDM-644」という。)の研究開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めたうえで高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)、又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-644であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。 <粘膜隆起方法 概略図> (研究開発の状況)2014年12月に国内での臨床試験を開始しましたが、有効性をより明確にできる試験方法や製材の検討を実施するために、2015年2月に自主的に臨床試験を一時中断しました。その後、製品の優位性の検討を高めるため、ペプチドに改良を加えた新たな配列で開発を進めております。2020年12月に治験を必要としない改良医療機器での承認申請を行いました。 c)血管塞栓材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術における塞栓物として用いるための血管内塞栓促進用補綴材(*)(開発コード:TDM-631)(以下「TDM-631」という。)の研究開発を進めています。肝臓癌や子宮筋腫に対する肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術では、カテーテルを通じて動脈内に塞栓物を注入し、血管内腔を物理的に塞栓することで、腫瘍の栄養血管である動脈を塞いで腫瘍への栄養を絶ち、腫瘍を死滅させます。TDM-631は、血液と接触するとゲル化するため、カテーテルから動脈内に注入されると血管内腔を塞ぐことが可能であり、当社は新たな塞栓物としてTDM-631の開発を進めております。 (研究開発の状況)当社は、前臨床試験(*)により、TDM-631を造影剤に溶解しカテーテルを通して血管内に注入するとゲル化することや、ゲル化したTDM-631はX線カメラにより視認可能なことを確認しております。また、TDM-631の生体内における血管塞栓効果をみるために、動物モデルを用いた実験を行っております。 (B) 再生医療領域自己組織化ペプチドは細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、再生医療領域において歯槽骨再建材、創傷治癒材を開発パイプラインとして有しております。また当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材となる製品(開発コード:TDM-711)(以下「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることの開発を進めております。 (研究開発の状況)当社グループは、GLP(*)下において歯槽骨に欠損がある状態でのTDM-711の有効性の確認試験を実施し、通常の欠損群に比べ有意な骨再生が認められたため、その後も研究開発を進めてまいりました。当社グループは、TDM-711につき、2012年2月には、米国ハーバード大学の医学部・歯学部の付属研究所であるフォーサイス・インスティテュート(Forsyth Institute)において、臨床試験を開始し、プロトコルで規定した15症例の施術および経過観察が完了しております。骨再生に有効なデータを得ておりますが、プロトコルに改善の余地があったため、2018年4月期に症例を追加して現在も臨床試験を継続しており、今後も製品化に向けた開発を進めてまいります。 b)創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の再生環境を整え、創傷治癒を促す製品(開発コード:TDM-511)(以下「TDM-511」という。)を開発しております。 (研究開発の状況)当社グループは、前臨床試験を実施し、申請に必要な有効性に関するデータを入手しております。当該結果をもとに市販前届510(k)による申請の準備を進め、2014年10月に医療機器として市販前届510(k)を米国FDAに申請し、2015年2月に販売承認を得ました。創傷治癒材としての活用に加え、他薬剤とのコンビネーションによる治療効果の増大が期待できることから、熱傷治療、皮膚がん治療などへの応用研究を進めていく計画です。また、米国において巨大な市場である美容整形分野にアクセスするために、現在米国FDAに対して適応の拡大を申請しております。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 (研究開発の状況)当社は、界面活性ペプチドを用い国立がん研究センターと新規癌治療技術の開発に向けて共同研究を行っており、癌細胞への徐放技術の確立に向け前臨床試験実施し、乳がん治療に向けたsiRNA核酸医薬のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)を共同開発しております。外科領域・再生医療領域では、当社は自ら医療機器として臨床試験・製造販売承認取得まで開発を進めますが、DDS領域では、医薬品としての開発が主力となるため、事業化に関してはsiRNA等の薬剤や治療物質についての技術を有する大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を実施する予定です。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品は、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期に亘ります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第Ⅲ相まで(第Ⅰ相・第Ⅱ相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第Ⅲ相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社が開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、再生医療領域における歯槽骨再建材・創傷治癒材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得します。主にDDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また、当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要することなどから、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 当社グループでの医療製品開発における、主要なパイプラインの進捗状況は以下のとおりです。(主要なパイプライン開発の状況) (注)1 吸収性局所止血材欧州:2014年1月にCEマーキング指令適合を受け2015年4月期に製品販売を開始。日本:2020年7月に製造販売承認を取得。米国:510(k)での承認申請済。韓国:CEマーキングでの製品登録申請済、2022年4月期での承認取得、2023年4月期での製品販売開始を予定。南米地域(ブラジル、メキシコ、コロンビア等):2016年4月期に各国での製品登録が完了。2017年4月期より製品販売を開始。他アジア・オセアニア地域:香港、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ブルネイ、オーストラリアタイの各国にて2017年4月期に製品販売を開始。2 癒着防止材米国においてFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)申請による承認取得。適応拡大を申請中。3 歯槽骨再建材米国において2012年2月に臨床試験を開始、2018年4月期に症例を追加し継続中。4 創傷治癒材2014年10月にFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)を申請。2015年2月にFDAより同承認を取得。5 DDS領域DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)領域において当社ペプチドを医薬品等のキャリアとする開発で、当社単独での事業化ではなく大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を目標。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから専用実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取り組んでいます。当社は、ペプチド原材料の製造を複数社に委託しており、吸収性局所止血材の製造については、扶桑薬品工業株式会社との間で締結した製造委受託契約が終了しましたが、新たな製造受託先への移行までに必要と想定される製造量についての製造を行うことを同社との間で合意しております。製造所移管に関しましては、次世代止血材の製造を行う相手先を第一候補として、製造バリデーション等の準備を整えております。また当社は、2009年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結しており、ペプチド原材料調達・製品製造委託・販売に関して協力・支援を受ける体制をとっています。製品販売に関しては、吸収性局所止血材の販売について、2014年1月にCEマーキングの指令適合に係る認証を取得し、EU加盟国及びCEマーキング適用圏であるアジアにて製品販売を開始しております。欧州地域における販売契約は、まず内視鏡領域に関しては、2019年6月にFUJIFILM Europe B.V.(以下「FUJIFILM」という)と独占販売の締結を致しました。その他の領域に関しては、複数社との交渉を継続して進めております。なお、オーストラリアに関しては、当初現地代理店による販売を行いましたが、販売力強化のため、2019年4月期より、直販体制に移行しております。日本においては、扶桑薬品工業株式会社との間で締結された独占販売権許諾契約が終了したため、新しい販売パートナーを早期に獲得すべく活動を進めるとともに、直販も含めた様々な選択肢を検討し、新たな販売体制を早急に構築してまいります。当社は、海外への製品販売に向けても、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを2010年9月に締結し、同社に対し韓国における独占販売権を許諾し、また、台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを同月に締結し、同社に対し台湾における独占的開発・製造・販売権を許諾しております。また、2013年3月には、医療機器の品質マネジメントシステムのための国際標準規格ISO13485の認証を取得しており、各国への輸出を実施しております。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 製品販売/代金回収を示しております。2 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。3 当社は、業務提携先からは、ペプチド原材料調達、製造技術、国内外の販売提携に関する助言/協力/支援を得ています。また、業務委託先とは受託臨床試験機関(以下「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。4 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 ② 研究試薬販売当社は、2008年2月より米国の販売会社とSupply Agreementを締結し、同社に対し自己組織化ペプチドのうちPuraMatrix製品(RADA16)の研究試薬としての独占販売権を許諾して、全世界の大学・研究機関等に向けて同製品を研究試薬として販売しています。かかる研究試薬については、ペプチド原材料の製造、溶解及び最終パッケージングを製造委託先に委託しています。当社は、各大学・研究機関等における研究に使用されることで新規アプリケーションの開発が進められることを期待して研究試薬販売を行っています。これまでに、当社が販売した研究試薬は、各研究機関において細胞種のin vitro(*)・in vivo(*)での注入実験などに使用されています。 研究試薬販売における基本的な事業の流れは以下のとおりです。 (3) MITとのライセンス契約について自己組織化ペプチドの物質特許及び基本的な用途特許は、MITが有しています。当社子会社は2003年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の専用実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は2004年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、2007年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は2009年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。当社グループは、このようにしてMITからライセンスを受けた自己組織化ペプチド技術を用いて医療製品の研究開発に取り組んでいます。当社は、自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社子会社とともに特許出願を行い、また共同研究先と特許共同出願をしています。 当社グループがMITから専用実施権の許諾を受けている主な特許権等は下記のとおりです。なお、当社子会社とMITとのライセンス契約の概要は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 対象発明の名称登録番号出願日登録日期限自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 77139232004年6月25日2010年5月11日2024年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 89010842004年6月25日2014年12月2日2024年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド細胞培養法第5057781号2004年6月25日2012年8月10日2024年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許EP 16362502004年6月25日2016年1月6日2024年6月25日自己組織化ペプチド神経再生法US 78468912003年10月17日2010年12月7日2023年10月17日自己組織化ペプチド界面活性剤様ペプチド ナノ構造US 71797842002年7月10日2007年2月20日2022年7月10日自己組織化ペプチド界面活性剤様ペプチド ナノ構造US 76712582006年1月25日2010年3月2日2026年1月25日 (4) アライアンス先との提携契約について当社グループは、MITより実施許諾を受けている自己組織化ペプチド技術が幅広い応用可能性を持つ技術であると認識しております。当社は、当技術を用いたパイプラインの探索や医療機器としての開発、事業化戦略の立案等の企画機能に特化し、製造や販売機能は他社との事業提携によって補完する戦略を採っていることから、製造や販売に関しては適宜に戦略的な事業提携を行い、製品の開発から販売、継続供給の体制を構築していく方針です。当社は、吸収性局所止血材について、2009年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結し、ペプチド原材料の調達、製品製造の委託、販売提携に関して相手先の推薦・選定及び条件について助言を受け、相手先との交渉・コミュニケーションについて継続的に協力・支援を受けることとしています。また、当社は2010年9月に韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の韓国における独占的販売権を付与し、また同月、台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の台湾における独占的開発・製造及び販売権を付与しております。当社シンガポール子会社3-D Matrix Asia Pte. Ltd.は、2014年5月にインドネシアのPT. Teguhsindo Lestaritamaとインドネシアにおける独占販売権許諾契約を締結し、2015年7月に韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとタイ・ベトナム・フィリピンにおける独占販売権の許諾、インドネシアにおける非独占販売権の許諾を行っております。当社欧州子会社3-D Matrix Europe B.V.は、FUJIFILMとDISTRIBUTOR AGREEMENTを締結し、FUJIFILMによって欧州全域における消化器内視鏡手技向けに本製品を独占的に販売して頂くことになっております。これらの契約の概要は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。PuraMatrix製品自己組織化ペプチド技術を用いたハイドロゲルの第一世代商品であり、体を構成するアミノ酸であるアルギニン(R)、アラニン(A)、アスパラギン酸(D)からなる繰り返し配列である16残基のペプチド(RADA16)。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチドなどとも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲンなどの構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面を比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名などを印刷し、商品を板状のプラスチックをバキュームフォームなどで成型し囲み込み台紙に接着した又はスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。 用語意味・内容 臨床試験薬事承認の取得を目的として、未承認の医薬・医療機器をヒトに投与してデータ収集し、ヒトに対する安全性・有効性を検証する試験。内視鏡的粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸などの薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作ったうえで、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸などのもの。血管内塞栓促進用補綴材血管内に投与して塞栓を形成させ(血管を詰まらせ)、病巣部の血流を遮断することで病巣部の治療を意図する医療機器。前臨床試験医薬品や医療機器の製造承認申請に際し、開発段階で、ヒトへ使用する(臨床)前に、複数種類の動物で生体への基礎的な効果(安全性・有効性)を評価・証明する科学的データを取得するために実施する試験。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。GLP医薬品・医療機器の開発のために行われる前臨床試験(動物試験等、特に安全性試験)のデータの信頼性を確保するための実施基準。Good Laboratory Practiceの略称。510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖などの調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。in vitroヒトや動物の組織を用いて生きたままの状態(生体)と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応等を検証する試験。in vivo動物を用いて生きたままの状態(生体)で、薬物の反応等を検証する試験。
FY2020|15,402 文字|出典 docID: S100JC9X
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社9社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の専用実施権の許諾を受けて、同技術を用いた製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・研究試薬販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・再生医療領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、癒着防止材を有しており、再生医療領域では歯槽骨再建材、創傷治癒材を有しています。研究試薬販売自己組織化ペプチドのPuraMatrix製品を米国の販売会社を通じて研究試薬用途での販売を行っています。同製品は、国内外の大学・研究機関等における自己組織化ペプチドを用いた様々な医療分野の応用研究に用いられております。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち第一世代の製品であるPuraMatrix製品(RADA16)(*)は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には分子同士を繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、原材料に生物由来品を含まず化学合成により生産されることから、生物由来品から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品事業の内容① 医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、再生医療領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、再生医療領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材があります。当社グループは、そのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針であり、販売については国内外の提携先に独占販売権を許諾することとしておりますが、国外では、薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。また、当社グループは、再生医療領域では細胞再生の足場材(*)として骨再生や心筋再生を促進する研究を行っており、今後製品化に向けた開発も行ってまいります。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取り組んでおりますが、医薬品としての開発可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社では、大学等の研究機関とのMTA契約(*)に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドをベースとした応用技術の獲得に取り組んでいます。 A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、癒着防止材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下「TDM-621」という。)の開発を進めています。TDM-621は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、ペプチド水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がないなど適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成され、又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、生物由来の材料を含むため、ウイルス感染等のリスクは完全には否定できないのに対し、TDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来品を含まないため、生物由来品から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。生物由来品は、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されることから、より安全性の高い製品が期待される状況となっており、TDM-621は患者と医師の負担・リスク軽減に貢献できるものと考えられます。 (研究開発の状況)当社は、TDM-621の日本での製造販売承認申請に向けて、2010年1月より臨床試験(*)を開始し、冠動脈バイパス術(*)及び人工血管置換術(*)等における血管吻合部の間隙からの滲出性出血(*)、肝臓切除術における肝切除創面からの滲出性出血(*)、上部消化管の内視鏡的粘膜切除術(*)及び内視鏡的粘膜下層剥離術(*)における粘膜切除部及び粘膜下層剥離部からの滲出性出血を対象とした全97症例の臨床試験を2011年4月までに終了しております。TDM-621は、かかる臨床試験において有効な止血効果が総じて認められ、かつ術後5~7日後の検査においても問題は見受けられませんでした。このような臨床試験の結果を受けて、当社は、2011年5月にPMDAに対してTDM-621の製造販売承認申請を行いましたが、2015年3月に申請の取下げを行いました。有効性評価をより客観的に検証するため2017年4月に再度治験計画届を提出し、消化器内視鏡治療の領域において、有効性を従来の止血法と比較する試験を実施、2019年7月に終了致しました。TDM-621は2020年7月においてPMDAより消化器内視鏡領域において製造販売承認を取得しております。また、当社は、TDM-621の海外展開に向け開発を進めております。欧州においては、2014年1月にCEマーキングの指令適合について第三者認証機関から認証を受け、EU加盟国への販売が可能となりました。当社は、CEマーキングを活用し、アジア・オセアニア・南米地域への販売に向けた準備を進め、同地域の主要国での登録承認を取得し、製品販売を開始しております。米国においてはまず消化器内視鏡の領域において、510(k)のプロセスを利用して、臨床試験なしで承認申請を行うことを計画し、現在必要となる非臨床試験データの収集を行っております。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、消化器内視鏡治療による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術において腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード:TDM-641)(以下「TDM-641」という。)の研究開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めたうえで高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)、又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-641であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。 <粘膜隆起方法 概略図> (研究開発の状況)TDM-641は、TDM-621と濃度は異なるものの同一の自己組織化ペプチドであるRADA16を原材料としており、2014年12月11日に国内での臨床試験を開始し、有効性をより明確にできる試験方法や製材の検討を実施するために、2015年2月16日に自主的に臨床試験を一時中断しております。その後、製品の優位性の検討を進める中、ペプチドに改良を加え一定程度の結果や成果が得られております。本製品は治験を必要としない改良医療機器での承認申請を行う方向で開発を進めており、早期の製品上市に向けて活動を進めてまいります。 c)血管塞栓材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術における塞栓物として用いるための血管内塞栓促進用補綴材(*)(開発コード:TDM-631)(以下「TDM-631」という。)の研究開発を進めています。肝臓癌や子宮筋腫に対する肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術では、カテーテルを通じて動脈内に塞栓物を注入し、血管内腔を物理的に塞栓することで、腫瘍の栄養血管である動脈を塞いで腫瘍への栄養を絶ち、腫瘍を死滅させます。TDM-631は、血液と接触するとゲル化するため、カテーテルから動脈内に注入されると血管内腔を塞ぐことが可能であり、当社は新たな塞栓物としてTDM-631の開発を進めております。 (研究開発の状況)当社は、前臨床試験(*)により、TDM-631を造影剤に溶解しカテーテルを通して血管内に注入するとゲル化することや、ゲル化したTDM-631はX線カメラにより視認可能なことを確認しております。また、TDM-631の生体内における血管塞栓効果をみるために、動物モデルを用いた実験を行っております。 (B) 再生医療領域自己組織化ペプチドは細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、再生医療領域において歯槽骨再建材、創傷治癒材を開発パイプラインとして有しております。また当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材となる製品(開発コード:TDM-711)(以下「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることも検討し、また米国での臨床試験で15症例の施術・経過観察が完了し骨形成に良好な結果やデータを得たことから、FDA承認の後、前第1四半期より次のフェーズでの臨床試験を開始しております。骨形成を確認するため経過観察に時間を要することから、当期末においても臨床試験を継続しており、今後も製品化に向けた開発を進めてまいります。 (研究開発の状況)当社グループは、GLP(*)下において歯槽骨に欠損がある状態でのTDM-711の有効性の確認試験を実施し、通常の欠損群に比べ有意な骨再生が認められたため、その後も研究開発を進めてまいりました。当社グループは、TDM-711につき、FDAに対し2010年9月にIDE申請を行い、2011年7月にIDEの承認を得たことに続き、2012年2月には、米国ハーバード大学の医学部・歯学部の付属研究所であるフォーサイス・インスティテュート(Forsyth Institute)において、臨床試験を開始し、プロトコルで規定した15症例の施術が完了しております。当該最終結果を受領し、FDAに提出しておりましたが、骨再生に有効なデータを得られたことから、次のフェーズでの臨床試験を実施中です。 b)創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の再生環境を整え、創傷治癒を促す製品(開発コード:TDM-511)(以下「TDM-511」という。)を開発しております。 (研究開発の状況)当社グループは、前臨床試験を実施し、申請に必要な有効性に関するデータを入手しております。当該結果をもとに市販前届510(k)(*)による申請の準備を進め、2014年10月に医療機器として市販前届510(k)を米国FDAに申請し、2015年2月に販売承認を得ました。創傷治癒材としての活用に加え、他薬剤とのコンビネーションによる治療効果の増大が期待できることから、熱傷治療、皮膚がん治療などへの応用研究を進めていく計画です。また、米国において巨大な市場である美容整形分野にアクセスするために、現在米国FDAに対して適応の拡大を申請しております。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 (研究開発の状況)当社は、界面活性ペプチドを用い国立がん研究センターと新規癌治療技術の開発に向けて共同研究を行っており、癌細胞への徐放技術の確立に向け前臨床試験実施し、乳がん治療に向けたsiRNA核酸医薬のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)を共同開発しております。外科領域・再生医療領域では、当社は自ら医療機器として臨床試験・製造販売承認取得まで開発を進めますが、DDS領域では、医薬品としての開発が主力となるため、事業化に関してはsiRNA等の薬剤や治療物質についての技術を有する大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を実施する予定です。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品は、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期に亘ります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第3相まで(第1相・第2相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第3相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社が開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、再生医療領域における歯槽骨再建材・創傷治癒材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得します。主にDDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要することなどから、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 当社グループでの医療製品開発における、主要なパイプラインの進捗状況は以下のとおりです。(主要なパイプライン開発の状況) (注)1 吸収性局所止血材欧州:2014年1月にCEマーキング指令適合を受け、2015年4月期に製品販売を開始。日本:2020年7月に製造販売承認を取得。米国:510(k)での承認申請を計画。韓国:CEマーキングでの製品登録申請済み、2021年4月期での承認取得、2022年4月期での製品販売開始を予定。南米地域(ブラジル、メキシコ、コロンビア等):2016年4月期に各国での製品登録が完了。2017年4月期より製品販売を開始。他アジア・オセアニア地域:香港、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ブルネイ、オーストラリアタイの各国にて2017年4月期に製品販売を開始。2 癒着防止材米国においてFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)申請による承認取得、2021年4月期中の製品販売開始を予定。3 歯槽骨再建材米国において2012年2月に臨床試験を開始、2021年4月期に臨床試験を完了予定。4 創傷治癒材2014年10月にFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)を申請。2015年2月にFDAより同承認を取得。5 DDS領域DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)領域において当社ペプチドを医薬品等のキャリアとする開発で、当社単独での事業化ではなく大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を目標。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから専用実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取り組んでいます。当社は、ペプチド原材料の製造を複数社に委託しており、吸収性局所止血材の製造については、扶桑薬品工業株式会社との間で製造受委託契約を締結しております(注)。また、当社は、2009年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結しており、ペプチド原材料調達・製品製造委託・販売に関して協力・支援を受ける体制をとっています。製品販売に関しては、吸収性局所止血材の販売について、2014年1月にCEマーキングの指令適合に係る認証を取得し、EU加盟国及びCEマーキング適用圏であるアジアにて製品販売を開始しております。欧州地域における販売契約は、まず内視鏡領域に関しては、2019年6月にFUJIFILM Europe B.V.(以下「FUJIFILM」という)と独占販売の締結を致しました。その他の領域に関しては、複数社との交渉を継続して進めております。なお、オーストラリアに関しては、当初現地代理店による販売を行いましたが、販売力強化のため、2019年4月期より、直販体制に移行しております。日本においては、吸収性局所止血材の販売に向けて扶桑薬品工業株式会社と2009年7月に独占販売権許諾契約を締結しております(注)。当社は、海外への製品販売に向けても、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを2010年9月に締結し、同社に対し韓国における独占販売権を許諾し、また台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを同月に締結し、同社に対し台湾における独占的開発・製造・販売権を許諾しております。また、2013年3月には、医療機器の品質マネジメントシステムのための国際標準規格ISO13485の認証を取得しており、各国への輸出を実施しております。 (注)扶桑薬品工業株式会社からは独占販売権許諾契約および製造委受託契約の解除通知を2020年7月に受領しております。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 製品販売/代金回収を示しております。2 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。3 当社は、業務提携先からは、ペプチド原材料調達、製造技術、国内外の販売提携に関する助言/協力/支援を得ています。また、業務委託先とは受託臨床試験機関(以下「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。4 当社は、止血材製品について、扶桑薬品工業株式会社には日本における独占的販売権の許諾及び製造工程の一部委託をしております。Daewoong Pharmaceutical Co.LTDには韓国における独占販売権の許諾をしております。Excelsior Medical Co., Ltd.には台湾における独占的開発・製造及び販売権の許諾をしております。また、粘膜隆起材製品について、扶桑薬品工業株式会社に日本における独占的販売権の許諾をしております。5 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 ② 研究試薬販売当社は、2008年2月より米国の販売会社とSupply Agreementを締結し、同社に対し自己組織化ペプチドのうちPuraMatrix製品(RADA16)の研究試薬としての独占販売権を許諾して、全世界の大学・研究機関等に向けて同製品を研究試薬として販売しています。かかる研究試薬については、ペプチド原材料の製造、溶解及び最終パッケージングを製造委託先に委託しています。当社は、各大学・研究機関等における研究に使用されることで新規アプリケーションの開発が進められることを期待して研究試薬販売を行っています。これまでに、当社が販売した研究試薬は、各研究機関において細胞種のin vitro(*)・in vivo(*)での注入実験などに使用されています。 研究試薬販売における基本的な事業の流れは以下のとおりです。 (3) MITとのライセンス契約について自己組織化ペプチドの物質特許及び基本的な用途特許は、MITが有しています。当社子会社は2003年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の専用実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は、2004年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、2007年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は2009年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。当社グループは、このようにしてMITからライセンスを受けた自己組織化ペプチド技術を用いて医療製品の研究開発に取り組んでいます。当社は、自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社子会社とともに特許出願を行い、また共同研究先と特許共同出願をしています。 当社グループがMITから専用実施権の許諾を受けている主な特許権等は下記のとおりです。なお、当社子会社とMITとのライセンス契約の概要は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 対象発明の名称登録番号出願日登録日期限自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法US 74491802001年2月6日2008年11月30日2021年2月6日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法EP 13679612002年2月6日2008年12月31日2021年2月6日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 77139232004年6月25日2010年5月11日2024年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 89010842004年6月25日2014年12月2日2024年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド細胞培養法第5057781号2004年6月25日2012年8月10日2024年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許EP 16362502004年6月25日2016年1月6日2024年6月25日自己組織化ペプチド神経再生法US 78468912003年10月17日2010年12月7日2023年10月17日自己組織化ペプチド3次元細胞培養第5057629号2002年2月6日2012年8月10日2021年2月6日自己組織化ペプチド3次元細胞培養CA 23449542001年4月25日2016年1月5日2021年4月25日自己組織化ペプチド界面活性剤様ペプチド ナノ構造US 71797842002年7月10日2007年2月20日2022年7月10日自己組織化ペプチド界面活性剤様ペプチド ナノ構造US 76712582006年1月25日2010年3月2日2026年1月25日 (4) アライアンス先との提携契約について当社グループは、MITより実施許諾を受けている自己組織化ペプチド技術が幅広い応用可能性を持つ技術であると認識しております。当社は、当技術を用いたパイプラインの探索や医療機器としての開発、事業化戦略の立案等の企画機能に特化し、製造や販売機能は他社との事業提携によって補完する戦略を採っていることから、製造や販売に関しては適宜に戦略的な事業提携を行い、製品の開発から販売、継続供給の体制を構築していく方針です。当社は、吸収性局所止血材について、2009年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結し、ペプチド原材料の調達、製品製造の委託、販売提携に関して相手先の推薦・選定及び条件について助言を受け、相手先との交渉・コミュニケーションについて継続的に協力・支援を受けることとしています。また、当社は、2009年7月、扶桑薬品工業株式会社と吸収性局所止血材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して製品の販売体制の構築に取り組んでおり、2011年5月には、同社と製造受委託契約書を締結し、同社に止血材製品の製造工程の一部を独占的に委託しています(注)。さらに、当社は、2010年9月、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の韓国における独占的販売権を付与し、また同月、台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の台湾における独占的開発・製造及び販売権を付与しております。当社シンガポール子会社3-D Matrix Asia Pte. Ltd.は、2014年5月にインドネシアのPT. Teguhsindo Lestaritamaとインドネシアにおける独占販売権許諾契約を締結し、2015年7月に韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとタイ・ベトナム・フィリピンにおける独占販売権の許諾、インドネシアにおける非独占販売権の許諾を行っております。当社欧州子会社3-D Matrix Europe B.V.は、FUJIFILMとDISTRIBUTOR AGREEMENTを締結し、FUJIFILMによって欧州全域における消化器内視鏡手技向けに本製品を独占的に販売して頂くことになっております。その他、当社は、2012年2月、扶桑薬品工業株式会社と粘膜隆起材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して、製品化及び販売体制の構築に取り組んでおります(注)。これらの契約の概要は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 (注)扶桑薬品工業株式会社からは独占販売権許諾契約および製造委受託契約の解除通知を2020年7月に受領しております。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。PuraMatrix製品自己組織化ペプチド技術を用いたハイドロゲルの第一世代商品であり、体を構成するアミノ酸であるアルギニン(R)、アラニン(A)、アスパラギン酸(D)からなる繰り返し配列である16残基のペプチド(RADA16)。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチドなどとも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲンなどの構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面を比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名などを印刷し、商品を板状のプラスチックをバキュームフォームなどで成型し囲み込み台紙に接着した、またはスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。 用語意味・内容 臨床試験薬事承認の取得を目的として、未承認の医薬・医療機器をヒトに投与してデータ収集し、ヒトに対する安全性・有効性を検証する試験。冠動脈バイパス術虚血性心疾患の治療法で、心臓に血液を送る冠動脈の狭窄、閉塞による血流量の低下を解消するために、大動脈等から血管をつなぐことで、血流量の回復をはかる手術。人工血管置換術動脈瘤等の血流を阻害する箇所を切除して、合成繊維でできた人工血管に置き換えて血流を改善する手術。滲出性出血出血状態の分類の一つで、滲み出るような弱い出血。内視鏡的粘膜切除術内視鏡を用いて筋層以下(粘膜下層の奥)に障害を与えずに、粘膜下層の深さで粘膜層をスネアと呼ばれるワイヤーに高周波電流を流して組織を回収することで、早期癌やポリープなどを治療する手術。内視鏡的粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸などの薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作ったうえで、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸などのもの。血管内塞栓促進用補綴材血管内に投与して塞栓を形成させ(血管を詰まらせ)、病巣部の血流を遮断することで病巣部の治療を意図する医療機器。前臨床試験医薬品や医療機器の製造承認申請に際し、開発段階で、ヒトへ使用する(臨床)前に、複数種類の動物で生体への基礎的な効果(安全性・有効性)を評価・証明する科学的データを取得するために実施する試験。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。GLP医薬品・医療機器の開発のために行われる前臨床試験(動物試験等、特に安全性試験)のデータの信頼性を確保するための実施基準。Good Laboratory Practiceの略称。510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖などの調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。in vitroヒトや動物の組織を用いて生きたままの状態(生体)と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応等を検証する試験。in vivo動物を用いて生きたままの状態(生体)で、薬物の反応等を検証する試験。
FY2019|15,179 文字|出典 docID: S100GJO1
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社9社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の専用実施権の許諾を受けて、同技術を用いた製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・研究試薬販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・再生医療領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、血管塞栓材を有しており、再生医療領域では歯槽骨再建材、創傷治癒材を有しています。なお、吸収性局所止血材及び粘膜隆起材については、これまでに販売提携先から契約一時金及びマイルストーンペイメントを得ており、吸収性局所止血材については、製品販売売上を計上しております。研究試薬販売自己組織化ペプチドのPuraMatrix製品を米国の販売会社を通じて研究試薬用途での販売を行っています。同製品は、国内外の大学・研究機関等における自己組織化ペプチドを用いた様々な医療分野の応用研究に用いられております。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち第一世代の製品であるPuraMatrix製品(RADA16)(*)は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には分子同士を繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、原材料に生物由来品を含まず化学合成により生産されることから、生物由来品から生じるウィルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品事業の内容① 医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、再生医療領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・血管塞栓材、再生医療領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材があります。当社グループは、そのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針であり、販売については国内外の提携先に独占販売権を許諾することとしておりますが、国外では、薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。また、当社グループは、再生医療領域では細胞再生の足場材(*)として骨再生や心筋再生を促進する研究を行っており、今後製品化に向けた開発も行ってまいります。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取り組んでおりますが、医薬品としての開発可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社では、大学等の研究機関とのMTA契約(*)に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドをベースとした応用技術の獲得に取り組んでいます。A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、血管塞栓材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下「TDM-621」という。)の開発を進めています。TDM-621は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、ペプチド水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がないなど適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成され、又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、生物由来の材料を含むため、ウィルス感染等のリスクは完全には否定できないのに対し、TDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来品を含まないため、生物由来品から生じるウィルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。生物由来品は、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されることから、より安全性の高い製品が期待される状況となっており、TDM-621は患者と医師の負担・リスク軽減に貢献できるものと考えられます。 (研究開発の状況)当社は、TDM-621の日本での製造販売承認申請に向けて、2010年1月より臨床試験(*)を開始し、冠動脈バイパス術(*)及び人工血管置換術(*)等における血管吻合部の間隙からの滲出性出血(*)、肝臓切除術における肝切除創面からの滲出性出血(*)、上部消化管の内視鏡的粘膜切除術(*)及び内視鏡的粘膜下層剥離術(*)における粘膜切除部及び粘膜下層剥離部からの滲出性出血を対象とした全97症例の臨床試験を2011年4月までに終了しております。TDM-621は、かかる臨床試験において有効な止血効果が総じて認められ、かつ術後5~7日後の検査においても問題は見受けられませんでした。このような臨床試験の結果を受けて、当社は、2011年5月にPMDAに対してTDM-621の製造販売承認申請を行いましたが、2015年3月に申請の取下げを行い、有効性評価をより客観的に検証するための再臨床試験に向けた協議を継続しておりましたが、2017年4月に治験計画届を提出し、消化器内視鏡治療の領域において、有効性を従来の止血法と比較する試験を実施することとしました。また、当社は、TDM-621の海外展開に向け開発を進めております。欧州においては、2014年1月にCEマーキングの指令適合について第三者認証機関から認証を受け、EU加盟国への販売が可能となりました。当社は、CEマーキングを活用し、アジア・オセアニア・南米地域への販売に向けた準備を進め、同地域の主要国での登録承認を取得し、製品販売を開始しております。米国においては臨床試験の開始に向けたFDAとのプロトコルに関する協議を進めております。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、内視鏡手術による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術において腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード:TDM-641)(以下「TDM-641」という。)の研究開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めたうえで高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)、又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-641であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。 <粘膜隆起方法 概略図> (研究開発の状況)TDM-641は、TDM-621と濃度は異なるものの同一の自己組織化ペプチドであるRADA16を原材料としており、2014年12月11日に国内での臨床試験を開始し、有効性をより明確にできる試験方法や製材の検討を実施するために、2015年2月16日に自主的に臨床試験を一時中断しております。その後、製品の優位性の検討を進める中、ペプチドに改良を加え一定程度の結果や成果が得られております。2019年4月期下期より改良版の製材を用いた新治験プロトコルにつきPMDAとの協議再開しております。また一方で治験を必要としない改良医療機器での承認申請の方策も模索しており、早期の製品上市に向けて研究開発を進めてまいります。 c)血管塞栓材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術における塞栓物として用いるための血管内塞栓促進用補綴材(*)(開発コード:TDM-631)(以下「TDM-631」という。)の研究開発を進めています。肝臓癌や子宮筋腫に対する肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術では、カテーテルを通じて動脈内に塞栓物を注入し、血管内腔を物理的に塞栓することで、腫瘍の栄養血管である動脈を塞いで腫瘍への栄養を絶ち、腫瘍を死滅させます。TDM-631は、血液と接触するとゲル化するため、カテーテルから動脈内に注入されると血管内腔を塞ぐことが可能であり、当社は新たな塞栓物としてTDM-631の開発を進めております。 (研究開発の状況)当社は、前臨床試験(*)により、TDM-631を造影剤に溶解しカテーテルを通して血管内に注入するとゲル化することや、ゲル化したTDM-631はX線カメラにより視認可能なことを確認しております。また、TDM-631の生体内における血管塞栓効果をみるために、動物モデルを用いた実験を行っております。 (B) 再生医療領域自己組織化ペプチドは細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、再生医療領域において歯槽骨再建材、創傷治癒材を開発パイプラインとして有しております。また当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材となる製品(開発コード:TDM-711)(以下「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることも検討し、また米国での臨床試験で15症例の施術・経過観察が完了し骨形成に良好な結果やデータを得たことから、FDA承認の後、前第1四半期より次のフェーズでの臨床試験を開始しております。骨形成を確認するため経過観察に時間を要することから、当期末においても臨床試験を継続しており、今後も製品化に向けた開発を進めてまいります。 (研究開発の状況)当社グループは、GLP(*)下において歯槽骨に欠損がある状態でのTDM-711の有効性の確認試験を実施し、通常の欠損群に比べ有意な骨再生が認められたため、その後も研究開発を進めてまいりました。当社グループは、TDM-711につき、FDAに対し2010年9月にIDE申請を行い、2011年7月にIDEの承認を得たことに続き、2012年2月には、米国ハーバード大学の医学部・歯学部の付属研究所であるフォーサイス・インスティテュート(Forsyth Institute)において、臨床試験を開始し、プロトコルで規定した15症例の施術が完了しております。当該最終結果を受領し、FDAに提出しておりましたが、骨再生に有効なデータを得られたことから、次のフェーズでの臨床試験を実施中です。 b)創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の再生環境を整え、創傷治癒を促す製品(開発コード:TDM-511)(以下「TDM-511」という。)を開発しております。 (研究開発の状況)当社グループは、前臨床試験を実施し、申請に必要な有効性に関するデータを入手しております。当該結果をもとに市販前届510(k)(*)による申請の準備を進め、2014年10月に医療機器として市販前届510(k)を米国FDAに申請し、2015年2月に販売承認を得ました。創傷治癒材としての活用に加え、他薬剤とのコンビネーションによる治療効果の増大が期待できることから、熱傷治療、皮膚がん治療、美容整形分野での研究開発を進めております。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 (研究開発の状況)当社は、界面活性ペプチドを用い国立がん研究センターと新規癌治療技術の開発に向けて共同研究を行っており、癌細胞への徐放技術の確立に向け前臨床試験実施し、乳がん治療に向けたsiRNA核酸医薬のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)を共同開発しております。外科領域・再生医療領域では、当社は自ら医療機器として臨床試験・製造販売承認取得まで開発を進めますが、DDS領域では、医薬品としての開発が主力となるため、事業化に関してはsiRNA等の薬剤や治療物質についての技術を有する大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を実施する予定です。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品は、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期に亘ります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第3相まで(第1相・第2相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第3相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社が開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・血管塞栓材、再生医療領域における歯槽骨再建材・創傷治癒材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得します。主にDDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要することなどから、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 当社グループでの医療製品開発における、主要なパイプラインの進捗状況は以下のとおりです。(主要なパイプライン開発の状況) (注)1 吸収性局所止血材欧州:2014年1月にCEマーキング指令適合を受け、2015年4月期に製品販売を開始。日本:2011年4月に臨床試験を終了し2011年5月に製造販売承認申請も、2015年3月に承認申請取下げ。その後、2017年4月期に再度の臨床試験に向けた治験計画届を提出、2018年4月期に臨床試験を開始。米国:FDA(米国食品医薬品局)と臨床試験に向けたプロトコル協議中、2020年4月期での臨床試験の実施目標に計画を変更、2021年4月期以降での承認取得・製品販売を予定。韓国:CEマーキングでの製品登録申請済み、2020年4月期での承認取得、2021年4月期での製品販売開始を予定。南米地域(ブラジル、メキシコ、コロンビア等):2016年4月期に各国での製品登録が完了。2017年4月期より製品販売を開始。他アジア・オセアニア地域:香港、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ブルネイ、オーストラリアタイの各国にて2017年4月期に製品販売を開始。2 癒着防止材米国においてFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)申請による承認取得、2020年4月期中の製品販売開始を予定。3 歯槽骨再建材米国において2012年2月に臨床試験を開始、2020年4月期に臨床試験を完了し、製造販売承認申請を予定。4 創傷治癒材2014年10月にFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)を申請。2015年2月にFDAより同承認を取得。5 DDS領域DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)領域において当社ペプチドを医薬品等のキャリアとする開発で、当社単独での事業化ではなく大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を目標。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから専用実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取り組んでいます。当社は、ペプチド原材料の製造を複数社に委託しており、吸収性局所止血材の製造については、扶桑薬品工業株式会社との間で製造受委託契約を締結しております。また、当社は、2009年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結しており、ペプチド原材料調達・製品製造委託・販売に関して協力・支援を受ける体制をとっています。製品販売に関しては、吸収性局所止血材の販売について、2014年1月にCEマーキングの指令適合に係る認証を取得し、EU加盟国及びCEマーキング適用圏であるアジアにて製品販売を開始しております。欧州地域における販売契約は、まず内視鏡領域に関しては、2019年6月にFUJIFILM Europe EV(以下「FUJIFILM」という)と独占販売の締結を致しました。その他の領域に関しては、複数社との交渉を継続して進めております。なお、オーストラリアに関しては、当初現地代理店による販売を行いましたが、販売力強化のため、2019年4月期より、直販体制に移行しております。日本においては、吸収性局所止血材の販売に向けて扶桑薬品工業株式会社と2009年7月に独占販売権許諾契約を締結しております。当社は、海外への製品販売に向けても、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを2010年9月に締結し、同社に対し韓国における独占販売権を許諾し、また台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを同月に締結し、同社に対し台湾における独占的開発・製造・販売権を許諾しております。また、2013年3月には、医療機器の品質マネジメントシステムのための国際標準規格ISO13485の認証を取得しており、各国への輸出を実施しております。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 製品販売/代金回収を示しております。2 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。3 当社は、業務提携先からは、ペプチド原材料調達、製造技術、国内外の販売提携に関する助言/協力/支援を得ています。また、業務委託先とは受託臨床試験機関(以下「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。4 当社は、止血材製品について、扶桑薬品工業株式会社には日本における独占的販売権の許諾及び製造工程の一部委託をしております。Daewoong Pharmaceutical Co.LTDには韓国における独占販売権の許諾をしております。Excelsior Medical Co., Ltd.には台湾における独占的開発・製造及び販売権の許諾をしております。また、粘膜隆起材製品について、扶桑薬品工業株式会社に日本における独占的販売権の許諾をしております。5 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 ② 研究試薬販売当社は、2008年2月より米国の販売会社とSupply Agreementを締結し、同社に対し自己組織化ペプチドのうちPuraMatrix製品(RADA16)の研究試薬としての独占販売権を許諾して、全世界の大学・研究機関等に向けて同製品を研究試薬として販売しています。かかる研究試薬については、ペプチド原材料の製造、溶解及び最終パッケージングを製造委託先に委託しています。当社は、各大学・研究機関等における研究に使用されることで新規アプリケーションの開発が進められることを期待して研究試薬販売を行っています。これまでに、当社が販売した研究試薬は、各研究機関において細胞種のin vitro(*)・in vivo(*)での注入実験などに使用されています。 研究試薬販売における基本的な事業の流れは以下のとおりです。 (3) MITとのライセンス契約について自己組織化ペプチドの物質特許及び基本的な用途特許は、MITが有しています。当社子会社は2003年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の専用実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は、2004年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、2007年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は2009年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。当社グループは、このようにしてMITからライセンスを受けた自己組織化ペプチド技術を用いて医療製品の研究開発に取り組んでいます。当社は、自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社子会社とともに特許出願を行い、また共同研究先と特許共同出願をしています。 当社グループがMITから専用実施権の許諾を受けている主な特許権等は下記のとおりです。なお、当社子会社とMITとのライセンス契約の概要は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 対象発明の名称登録番号出願日登録日期限自己組織化ペプチド細胞培養法US 70980282003年3月17日2006年8月29日2023年3月16日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法US 74491802001年2月6日2008年11月30日2021年2月6日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法EP 13679612002年2月6日2008年12月31日2021年2月6日自己組織化ペプチド3次元細胞培養法第5057629号2002年2月6日2012年8月10日2021年2月6日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 77139232004年6月25日2010年5月11日2024年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 89010842004年6月25日2014年12月2日2024年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド細胞培養法第5057781号2004年6月25日2012年8月10日2024年6月25日 (4) アライアンス先との提携契約について当社グループは、MITより実施許諾を受けている自己組織化ペプチド技術が幅広い応用可能性を持つ技術であると認識しております。当社は、当技術を用いたパイプラインの探索や医療機器としての開発、事業化戦略の立案等の企画機能に特化し、製造や販売機能は他社との事業提携によって補完する戦略を採っていることから、製造や販売に関しては適宜に戦略的な事業提携を行い、製品の開発から販売、継続供給の体制を構築していく方針です。当社は、吸収性局所止血材について、2009年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結し、ペプチド原材料の調達、製品製造の委託、販売提携に関して相手先の推薦・選定及び条件について助言を受け、相手先との交渉・コミュニケーションについて継続的に協力・支援を受けることとしています。また、当社は、2009年7月、扶桑薬品工業株式会社と吸収性局所止血材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して製品の販売体制の構築に取り組んでおり、2011年5月には、同社と製造受委託契約書を締結し、同社に止血材製品の製造工程の一部を独占的に委託しています。さらに、当社は、2010年9月、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の韓国における独占的販売権を付与し、また同月、台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の台湾における独占的開発・製造及び販売権を付与しております。当社シンガポール子会社3-D Matrix Asia Pte. Ltd.は、2014年5月にインドネシアのPT. Teguhsindo Lestaritamaとインドネシアにおける独占販売権許諾契約を締結し、2015年7月に韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとタイ・ベトナム・フィリピンにおける独占販売権の許諾、インドネシアにおける非独占販売権の許諾を行っております。当社欧州子会社3-D Matrix Europe BVは、FUJIFILMとDISTRIBUTOR AGREEMENTを締結し、FUJIFILMによって欧州全域における消化器内視鏡手技向けに本製品を独占的に販売して頂くことになっております。その他、当社は、2012年2月、扶桑薬品工業株式会社と粘膜隆起材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して、製品化及び販売体制の構築に取り組んでおります。これらの契約の概要は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。PuraMatrix製品自己組織化ペプチド技術を用いたハイドロゲルの第一世代商品であり、体を構成するアミノ酸であるアルギニン(R)、アラニン(A)、アスパラギン酸(D)からなる繰り返し配列である16残基のペプチド(RADA16)。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチドなどとも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲンなどの構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面を比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名などを印刷し、商品を板状のプラスチックをバキュームフォームなどで成型し囲み込み台紙に接着した、またはスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。 用語意味・内容 臨床試験薬事承認の取得を目的として、未承認の医薬・医療機器をヒトに投与してデータ収集し、ヒトに対する安全性・有効性を検証する試験。冠動脈バイパス術虚血性心疾患の治療法で、心臓に血液を送る冠動脈の狭窄、閉塞による血流量の低下を解消するために、大動脈等から血管をつなぐことで、血流量の回復をはかる手術。人工血管置換術動脈瘤等の血流を阻害する箇所を切除して、合成繊維でできた人工血管に置き換えて血流を改善する手術。滲出性出血出血状態の分類の一つで、滲み出るような弱い出血。内視鏡的粘膜切除術内視鏡を用いて筋層以下(粘膜下層の奥)に障害を与えずに、粘膜下層の深さで粘膜層をスネアと呼ばれるワイヤーに高周波電流を流して組織を回収することで、早期癌やポリープなどを治療する手術。内視鏡的粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸などの薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作ったうえで、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸などのもの。血管内塞栓促進用補綴材血管内に投与して塞栓を形成させ(血管を詰まらせ)、病巣部の血流を遮断することで病巣部の治療を意図する医療機器。前臨床試験医薬品や医療機器の製造承認申請に際し、開発段階で、ヒトへ使用する(臨床)前に、複数種類の動物で生体への基礎的な効果(安全性・有効性)を評価・証明する科学的データを取得するために実施する試験。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。GLP医薬品・医療機器の開発のために行われる前臨床試験(動物試験等、特に安全性試験)のデータの信頼性を確保するための実施基準。Good Laboratory Practiceの略称。510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖などの調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。in vitroヒトや動物の組織を用いて生きたままの状態(生体)と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応等を検証する試験。in vivo動物を用いて生きたままの状態(生体)で、薬物の反応等を検証する試験。
FY2018|14,593 文字|出典 docID: S100DP72
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社8社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の専用実施権の許諾を受けて、同技術を用いた製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・研究試薬販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・再生医療領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、血管塞栓材を有しており、再生医療領域では歯槽骨再建材、創傷治癒材を有しています。なお、吸収性局所止血材及び粘膜隆起材については、これまでに販売提携先から契約一時金及びマイルストーンペイメントを得ており、吸収性局所止血材については、製品販売売上を計上しております。研究試薬販売自己組織化ペプチドのPuraMatrix製品を米国の販売会社を通じて研究試薬用途での販売を行っています。同製品は、国内外の大学・研究機関等における自己組織化ペプチドを用いた様々な医療分野の応用研究に用いられております。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち第一世代の製品であるPuraMatrix製品(RADA16)(*)は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には分子同士を繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、原材料に生物由来品を含まず化学合成により生産されることから、生物由来品から生じるウィルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品事業の内容① 医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、再生医療領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・血管塞栓材、再生医療領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材があります。当社グループは、そのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針であり、販売については国内外の提携先に独占販売権を許諾することとしておりますが、国外では、薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。また、当社グループは、再生医療領域では細胞再生の足場材(*)として骨再生や心筋再生を促進する研究を行っており、今後製品化に向けた開発も行ってまいります。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取り組んでおりますが、医薬品としての開発可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社では、大学等の研究機関とのMTA契約(*)に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドをベースとした応用技術の獲得に取り組んでいます。A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、血管塞栓材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下「TDM-621」という。)の開発を進めています。TDM-621は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、ペプチド水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がないなど適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成され、又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、生物由来の材料を含むため、ウィルス感染等のリスクは完全には否定できないのに対し、TDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来品を含まないため、生物由来品から生じるウィルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。生物由来品は、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されることから、より安全性の高い製品が期待される状況となっており、TDM-621は患者と医師の負担・リスク軽減に貢献できるものと考えられます。 (研究開発の状況)当社は、TDM-621の日本での製造販売承認申請に向けて、平成22年1月より臨床試験(*)を開始し、冠動脈バイパス術(*)及び人工血管置換術(*)等における血管吻合部の間隙からの滲出性出血(*)、肝臓切除術における肝切除創面からの滲出性出血(*)、上部消化管の内視鏡的粘膜切除術(*)及び内視鏡的粘膜下層剥離術(*)における粘膜切除部及び粘膜下層剥離部からの滲出性出血を対象とした全97症例の臨床試験を平成23年4月までに終了しております。TDM-621は、かかる臨床試験において有効な止血効果が総じて認められ、かつ術後5~7日後の検査においても問題は見受けられませんでした。このような臨床試験の結果を受けて、当社は、平成23年5月にPMDAに対してTDM-621の製造販売承認申請を行いましたが、平成27年3月に申請の取下げを行い、有効性評価をより客観的に検証するための再臨床試験に向けた協議を継続しておりましたが、平成29年4月に治験計画届を提出し、消化器内視鏡治療の領域において、有効性を従来の止血法と比較する試験を実施することとしました。また、当社は、TDM-621の海外展開に向け開発を進めております。欧州においては、平成26年1月にCEマーキングの指令適合について第三者認証機関から認証を受け、EU加盟国への販売が可能となりました。当社は、CEマーキングを活用し、アジア・オセアニア・南米地域への販売に向けた準備を進め、同地域の主要国での登録承認を取得し、製品販売を開始しております。米国においては臨床試験の開始に向けたFDAとのプロトコルに関する協議を進めております。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、内視鏡手術による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術において腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード:TDM-641)(以下「TDM-641」という。)の研究開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めたうえで高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)、又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-641であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。 <粘膜隆起方法 概略図> (研究開発の状況)TDM-641は、TDM-621と濃度は異なるものの同一の自己組織化ペプチドであるRADA16を原材料としており、臨床試験を開始いたしましたが、平成27年2月に製材検討を実施するために一時中断することとし、製品優位性の確保に向けた研究試験を実施しております。 c)血管塞栓材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術における塞栓物として用いるための血管内塞栓促進用補綴材(*)(開発コード:TDM-631)(以下「TDM-631」という。)の研究開発を進めています。肝臓癌や子宮筋腫に対する肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術では、カテーテルを通じて動脈内に塞栓物を注入し、血管内腔を物理的に塞栓することで、腫瘍の栄養血管である動脈を塞いで腫瘍への栄養を絶ち、腫瘍を死滅させます。TDM-631は、血液と接触するとゲル化するため、カテーテルから動脈内に注入されると血管内腔を塞ぐことが可能であり、当社は新たな塞栓物としてTDM-631の開発を進めております。 (研究開発の状況)当社は、前臨床試験(*)により、TDM-631を造影剤に溶解しカテーテルを通して血管内に注入するとゲル化することや、ゲル化したTDM-631はX線カメラにより視認可能なことを確認しております。また、TDM-631の生体内における血管塞栓効果をみるために、動物モデルを用いた実験を行っております。 (B) 再生医療領域自己組織化ペプチドは細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、再生医療領域において歯槽骨再建材、創傷治癒材を開発パイプラインとして有しております。また当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材となる製品(開発コード:TDM-711)(以下「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることも検討しています。 (研究開発の状況)当社グループは、GLP(*)下において歯槽骨に欠損がある状態でのTDM-711の有効性の確認試験を実施し、通常の欠損群に比べ有意な骨再生が認められたため、その後も研究開発を進めてまいりました。当社グループは、TDM-711につき、FDAに対し平成22年9月にIDE申請を行い、平成23年7月にIDEの承認を得たことに続き、平成24年2月には、米国ハーバード大学の医学部・歯学部の付属研究所であるフォーサイス・インスティテュート(Forsyth Institute)において、臨床試験を開始し、プロトコルで規定した15症例の施術が完了しております。当該最終結果を受領し、FDAに提出しておりましたが、骨再生に有効なデータを得られたことから、次のフェーズでの臨床試験を実施中です。 b)創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の再生環境を整え、創傷治癒を促す製品(開発コード:TDM-511)(以下「TDM-511」という。)を開発しております。 (研究開発の状況)当社グループは、前臨床試験を実施し、申請に必要な有効性に関するデータを入手しております。当該結果をもとに市販前届510(k)(*)による申請の準備を進め、平成26年10月に医療機器として市販前届510(k)を米国FDAに申請し、平成27年2月に販売承認を得ました。創傷治癒材としての活用に加え、他薬剤とのコンビネーションによる治療効果の増大が期待できることから、熱傷治療、皮膚がん治療、美容整形分野での研究開発を進めております。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 (研究開発の状況)当社は、界面活性ペプチドを用い国立がん研究センターと新規癌治療技術の開発に向けて共同研究を行っており、癌細胞への徐放技術の確立に向け前臨床試験実施し、乳がん治療に向けたsiRNA核酸医薬のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)を共同開発しております。外科領域・再生医療領域では、当社は自ら医療機器として臨床試験・製造販売承認取得まで開発を進めますが、DDS領域では、医薬品としての開発が主力となるため、事業化に関してはsiRNA等の薬剤や治療物質についての技術を有する大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を実施する予定です。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品は、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期に亘ります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第3相まで(第1相・第2相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第3相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社が開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・血管塞栓材、再生医療領域における歯槽骨再建材・創傷治癒材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得します。主にDDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要することなどから、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 当社グループでの医療製品開発における、主要なパイプラインの進捗状況は以下のとおりです。(主要なパイプライン開発の状況) (注)1 吸収性局所止血材欧州:平成26年1月にCEマーキング指令適合を受け、平成27年4月期に製品販売を開始。日本:平成23年4月に臨床試験を終了し平成23年5月に製造販売承認申請も、平成27年3月に承認申請取下げ。その後、平成29年4月期に再度の臨床試験に向けた治験計画届を提出、平成30年4月期に臨床試験を開始。米国:FDA(米国食品医薬品局)と臨床試験に向けたプロトコル協議中、平成32年4月期での臨床試験の実施目標に計画を変更、平成33年4月期以降での承認取得・製品販売を予定。韓国:CEマーキングでの製品登録申請済み、平成31年4月期での承認取得、平成32年4月期での製品販売開始を予定。南米地域(ブラジル、メキシコ、コロンビア等):平成28年4月期に各国での製品登録が完了。平成29年4月期より製品販売を開始。他アジア・オセアニア地域:香港、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ブルネイ、オーストラリアタイの各国にて平成29年4月期に製品販売を開始。2 癒着防止材米国においてFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)申請による承認取得を予定。平成32年4月期中の製品販売開始を目標。3 歯槽骨再建材米国において平成24年2月に臨床試験を開始、平成31年4月期に臨床試験を完了し、製造販売承認申請を予定。4 創傷治癒材平成26年10月にFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)を申請。平成27年2月にFDAより同承認を取得。5 DDS領域DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)領域において当社ペプチドを医薬品等のキャリアとする開発で、当社単独での事業化ではなく大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を目標。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから専用実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取り組んでいます。当社は、ペプチド原材料の製造を複数社に委託しており、吸収性局所止血材の製造については、扶桑薬品工業株式会社との間で製造受委託契約を締結しております。また、当社は、平成21年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結しており、ペプチド原材料調達・製品製造委託・販売に関して協力・支援を受ける体制をとっています。製品販売に関しては、吸収性局所止血材の販売について、平成26年1月にCEマーキングの指令適合に係る認証を取得し、EU加盟国及びCEマーキング適用圏であるアジアにて製品販売を開始しております。欧州地域における独占販売権許諾契約締結については、複数社との交渉を継続して進めております。日本においては、吸収性局所止血材の販売に向けて扶桑薬品工業株式会社と平成21年7月に独占販売権許諾契約を締結しております。当社は、海外への製品販売に向けても、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを平成22年9月に締結し、同社に対し韓国における独占販売権を許諾し、また台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを同月に締結し、同社に対し台湾における独占的開発・製造・販売権を許諾しております。また、平成25年3月には、医療機器の品質マネジメントシステムのための国際標準規格ISO13485の認証を取得しており、各国への輸出を実施しております。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 製品販売/代金回収を示しております。2 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。3 当社は、業務提携先からは、ペプチド原材料調達、製造技術、国内外の販売提携に関する助言/協力/支援を得ています。また、業務委託先とは受託臨床試験機関(以下「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。4 当社は、止血材製品について、扶桑薬品工業株式会社には日本における独占的販売権の許諾及び製造工程の一部委託をしております。Daewoong Pharmaceutical Co.LTDには韓国における独占販売権の許諾をしております。Excelsior Medical Co., Ltd.には台湾における独占的開発・製造及び販売権の許諾をしております。また、粘膜隆起材製品について、扶桑薬品工業株式会社に日本における独占的販売権の許諾をしております。5 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 ② 研究試薬販売当社は、平成20年2月より米国の販売会社とSupply Agreementを締結し、同社に対し自己組織化ペプチドのうちPuraMatrix製品(RADA16)の研究試薬としての独占販売権を許諾して、全世界の大学・研究機関等に向けて同製品を研究試薬として販売しています。かかる研究試薬については、ペプチド原材料の製造、溶解及び最終パッケージングを製造委託先に委託しています。当社は、各大学・研究機関等における研究に使用されることで新規アプリケーションの開発が進められることを期待して研究試薬販売を行っています。これまでに、当社が販売した研究試薬は、各研究機関において細胞種のin vitro(*)・in vivo(*)での注入実験などに使用されています。 研究試薬販売における基本的な事業の流れは以下のとおりです。 (3) MITとのライセンス契約について自己組織化ペプチドの物質特許及び基本的な用途特許は、MITが有しています。当社子会社は平成15年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の専用実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は、平成16年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、平成19年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は平成21年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。当社グループは、このようにしてMITからライセンスを受けた自己組織化ペプチド技術を用いて医療製品の研究開発に取り組んでいます。当社は、自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社子会社とともに特許出願を行い、また共同研究先と特許共同出願をしています。 当社グループがMITから専用実施権の許諾を受けている主な特許権等は下記のとおりです。なお、当社子会社とMITとのライセンス契約の概要は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 対象発明の名称登録番号出願日登録日期限自己組織化ペプチド細胞培養法US 7098028平成15年3月17日平成18年8月29日平成35年3月16日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法US 7449180平成13年2月6日平成20年11月30日平成33年2月6日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法EP 1367961平成14年2月6日平成20年12月31日平成33年2月6日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法第5057629号平成14年2月6日平成24年8月10日平成33年2月6日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 7713923平成16年6月25日平成22年5月11日平成36年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 8901084平成16年6月25日平成26年12月2日平成36年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド細胞培養法第5057781号平成16年6月25日平成24年8月10日平成36年6月25日 (4) アライアンス先との提携契約について当社グループは、MITより実施許諾を受けている自己組織化ペプチド技術が幅広い応用可能性を持つ技術であると認識しております。当社は、当技術を用いたパイプラインの探索や医療機器としての開発、事業化戦略の立案等の企画機能に特化し、製造や販売機能は他社との事業提携によって補完する戦略を採っていることから、製造や販売に関しては適宜に戦略的な事業提携を行い、製品の開発から販売、継続供給の体制を構築していく方針です。当社は、吸収性局所止血材について、平成21年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結し、ペプチド原材料の調達、製品製造の委託、販売提携に関して相手先の推薦・選定及び条件について助言を受け、相手先との交渉・コミュニケーションについて継続的に協力・支援を受けることとしています。また、当社は、平成21年7月、扶桑薬品工業株式会社と吸収性局所止血材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して製品の販売体制の構築に取り組んでおり、平成23年5月には、同社と製造受委託契約書を締結し、同社に止血材製品の製造工程の一部を独占的に委託しています。さらに、当社は、平成22年9月、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の韓国における独占的販売権を付与し、また同月、台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の台湾における独占的開発・製造及び販売権を付与しております。当社シンガポール子会社3-D Matrix Asia Pte. Ltd.は、平成26年5月にインドネシアのPT. Teguhsindo Lestaritamaとインドネシアにおける独占販売権許諾契約を締結し、平成27年7月に韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとタイ・ベトナム・フィリピンにおける独占販売権の許諾、インドネシアにおける非独占販売権の許諾を行っております。その他、当社は、平成24年2月、扶桑薬品工業株式会社と粘膜隆起材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して、製品化及び販売体制の構築に取り組んでおります。これらの契約の概要は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。PuraMatrix製品自己組織化ペプチド技術を用いたハイドロゲルの第一世代商品であり、体を構成するアミノ酸であるアルギニン(R)、アラニン(A)、アスパラギン酸(D)からなる繰り返し配列である16残基のペプチド(RADA16)。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチドなどとも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲンなどの構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面を比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名などを印刷し、商品を板状のプラスチックをバキュームフォームなどで成型し囲み込み台紙に接着した、またはスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。 用語意味・内容 臨床試験薬事承認の取得を目的として、未承認の医薬・医療機器をヒトに投与してデータ収集し、ヒトに対する安全性・有効性を検証する試験。冠動脈バイパス術虚血性心疾患の治療法で、心臓に血液を送る冠動脈の狭窄、閉塞による血流量の低下を解消するために、大動脈等から血管をつなぐことで、血流量の回復をはかる手術。人工血管置換術動脈瘤等の血流を阻害する箇所を切除して、合成繊維でできた人工血管に置き換えて血流を改善する手術。滲出性出血出血状態の分類の一つで、滲み出るような弱い出血。内視鏡的粘膜切除術内視鏡を用いて筋層以下(粘膜下層の奥)に障害を与えずに、粘膜下層の深さで粘膜層をスネアと呼ばれるワイヤーに高周波電流を流して組織を回収することで、早期癌やポリープなどを治療する手術。内視鏡的粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸などの薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作ったうえで、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸などのもの。血管内塞栓促進用補綴材血管内に投与して塞栓を形成させ(血管を詰まらせ)、病巣部の血流を遮断することで病巣部の治療を意図する医療機器。前臨床試験医薬品や医療機器の製造承認申請に際し、開発段階で、ヒトへ使用する(臨床)前に、複数種類の動物で生体への基礎的な効果(安全性・有効性)を評価・証明する科学的データを取得するために実施する試験。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。GLP医薬品・医療機器の開発のために行われる前臨床試験(動物試験等、特に安全性試験)のデータの信頼性を確保するための実施基準。Good Laboratory Practiceの略称。510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖などの調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。in vitroヒトや動物の組織を用いて生きたままの状態(生体)と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応等を検証する試験。in vivo動物を用いて生きたままの状態(生体)で、薬物の反応等を検証する試験。
FY2017|14,527 文字|出典 docID: S100AYJW
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社8社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の専用実施権の許諾を受けて、同技術を用いた製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・研究試薬販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・再生医療領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、血管塞栓材を有しており、再生医療領域では歯槽骨再建材、創傷治癒材を有しています。なお、吸収性局所止血材及び粘膜隆起材については、これまでに販売提携先から契約一時金及びマイルストーンペイメントを得ており、吸収性局所止血材については、製品販売売上を計上しております。研究試薬販売自己組織化ペプチドのPuraMatrix製品を米国の販売会社を通じて研究試薬用途での販売を行っています。同製品は、国内外の大学・研究機関等における自己組織化ペプチドを用いた様々な医療分野の応用研究に用いられております。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち第一世代の製品であるPuraMatrix製品(RADA16)(*)は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には分子同士を繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、原材料に生物由来品を含まず化学合成により生産されることから、生物由来品から生じるウィルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品事業の内容① 医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、再生医療領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・血管塞栓材、再生医療領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材があります。当社グループは、そのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針であり、販売については国内外の提携先に独占販売権を許諾することとしておりますが、国外では、薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。また、当社グループは、再生医療領域では細胞再生の足場材(*)として骨再生や心筋再生を促進する研究を行っており、今後製品化に向けた開発も行ってまいります。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取り組んでおりますが、医薬品としての開発可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社では、大学等の研究機関とのMTA契約(*)に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドをベースとした応用技術の獲得に取り組んでいます。A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、血管塞栓材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下「TDM-621」という。)の開発を進めています。TDM-621は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、ペプチド水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がないなど適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成され、又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、生物由来の材料を含むため、ウィルス感染等のリスクは完全には否定できないのに対し、TDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来品を含まないため、生物由来品から生じるウィルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。生物由来品は、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されることから、より安全性の高い製品が期待される状況となっており、TDM-621は患者と医師の負担・リスク軽減に貢献できるものと考えられます。 (研究開発の状況)当社は、TDM-621の日本での製造販売承認申請に向けて、平成22年1月より臨床試験(*)を開始し、冠動脈バイパス術(*)及び人工血管置換術(*)等における血管吻合部の間隙からの滲出性出血(*)、肝臓切除術における肝切除創面からの滲出性出血(*)、上部消化管の内視鏡的粘膜切除術(*)及び内視鏡的粘膜下層剥離術(*)における粘膜切除部及び粘膜下層剥離部からの滲出性出血を対象とした全97症例の臨床試験を平成23年4月までに終了しております。TDM-621は、かかる臨床試験において有効な止血効果が総じて認められ、かつ術後5~7日後の検査においても問題は見受けられませんでした。このような臨床試験の結果を受けて、当社は、平成23年5月にPMDAに対してTDM-621の製造販売承認申請を行いましたが、平成27年3月に申請の取下げを行い、有効性評価をより客観的に検証するための再臨床試験に向けた協議を継続しておりましたが、平成29年4月に治験計画届を提出し、消化器内視鏡治療の領域において、有効性を従来の止血法と比較する試験を実施することとしました。また、当社は、TDM-621の海外展開に向け開発を進めております。欧州においては、平成26年1月にCEマーキングの指令適合について第三者認証機関から認証を受け、EU加盟国への販売が可能となりました。当社は、CEマーキングを活用し、アジア・オセアニア・南米地域への販売に向けた準備を進め、同地域の主要国での登録承認を取得し、製品販売を開始しております。米国においては臨床試験の開始に向けたFDAとのプロトコルに関する協議を進めております。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、内視鏡手術による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術において腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード:TDM-641)(以下「TDM-641」という。)の研究開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めたうえで高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)、又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-641であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。 <粘膜隆起方法 概略図> (研究開発の状況)TDM-641は、TDM-621と濃度は異なるものの同一の自己組織化ペプチドであるRADA16を原材料としており、臨床試験を開始いたしましたが、平成27年2月に製材検討を実施するために一時中断することとし、製品優位性の確保に向けた研究試験を実施しております。 c)血管塞栓材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術における塞栓物として用いるための血管内塞栓促進用補綴材(*)(開発コード:TDM-631)(以下「TDM-631」という。)の研究開発を進めています。肝臓癌や子宮筋腫に対する肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術では、カテーテルを通じて動脈内に塞栓物を注入し、血管内腔を物理的に塞栓することで、腫瘍の栄養血管である動脈を塞いで腫瘍への栄養を絶ち、腫瘍を死滅させます。TDM-631は、血液と接触するとゲル化するため、カテーテルから動脈内に注入されると血管内腔を塞ぐことが可能であり、当社は新たな塞栓物としてTDM-631の開発を進めております。 (研究開発の状況)当社は、前臨床試験(*)により、TDM-631を造影剤に溶解しカテーテルを通して血管内に注入するとゲル化することや、ゲル化したTDM-631はX線カメラにより視認可能なことを確認しております。また、TDM-631の生体内における血管塞栓効果をみるために、動物モデルを用いた実験を行っております。 (B) 再生医療領域自己組織化ペプチドは細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、再生医療領域において歯槽骨再建材、創傷治癒材を開発パイプラインとして有しております。また当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材となる製品(開発コード:TDM-711)(以下「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることも検討しています。 (研究開発の状況)当社グループは、GLP(*)下において歯槽骨に欠損がある状態でのTDM-711の有効性の確認試験を実施し、通常の欠損群に比べ有意な骨再生が認められたため、その後も研究開発を進めてまいりました。当社グループは、TDM-711につき、FDAに対し平成22年9月にIDE申請を行い、平成23年7月にIDEの承認を得たことに続き、平成24年2月には、米国ハーバード大学の医学部・歯学部の付属研究所であるフォーサイス・インスティテュート(Forsyth Institute)において、臨床試験を開始し、プロトコルで規定した15症例の施術が完了しております。当該最終結果を受領し、FDAに提出しておりましたが、骨再生に有効なデータを得られたことから、次のフェーズでの臨床試験を実施中です。 b)創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の再生環境を整え、創傷治癒を促す製品(開発コード:TDM-511)(以下「TDM-511」という。)を開発しております。 (研究開発の状況)当社グループは、前臨床試験を実施し、申請に必要な有効性に関するデータを入手しております。当該結果をもとに市販前届510(k)(*)による申請の準備を進め、平成26年10月に医療機器として市販前届510(k)を米国FDAに申請し、平成27年2月に販売承認を得ました。創傷治癒材としての活用に加え、他薬剤とのコンビネーションによる治療効果の増大が期待できることから、熱傷治療、皮膚がん治療、美容整形分野での研究開発を進めております。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 (研究開発の状況)当社は、界面活性ペプチドを用い国立がん研究センターと新規癌治療技術の開発に向けて共同研究を行っており、癌細胞への徐放技術の確立に向け前臨床試験実施し、乳がん治療に向けたsiRNA核酸医薬のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)を共同開発しております。外科領域・再生医療領域では、当社は自ら医療機器として臨床試験・製造販売承認取得まで開発を進めますが、DDS領域では、医薬品としての開発が主力となるため、事業化に関してはsiRNA等の薬剤や治療物質についての技術を有する大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を実施する予定です。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品は、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期に亘ります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第3相まで(第1相・第2相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第3相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社が開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・血管塞栓材、再生医療領域における歯槽骨再建材・創傷治癒材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得します。主にDDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要することなどから、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 当社グループでの医療製品開発における、主要なパイプラインの進捗状況は以下のとおりです。(主要なパイプライン開発の状況) (注)1 吸収性局所止血材欧州:平成26年1月にCEマーキング指令適合を受け、平成27年4月期に製品販売を開始。日本:平成23年4月に臨床試験を終了し平成23年5月に製造販売承認申請も、平成27年3月に承認申請取下げ。その後、平成29年4月期にその後、再度の臨床試験に向けた治験計画届を提出、平成30年4月期に臨床試験を実施予定。米国:FDA(米国食品医薬品局)と臨床試験に向けたプロトコル協議中、平成30年4月期での臨床試験の実施目標に計画変更、平成32年4月期以降での承認取得・製品販売を予定。韓国:CEマーキングでの製品登録申請済み、平成30年4月期での承認取得、平成31年4月期での製品販売開始を予定。南米(ブラジル・メキシコ・コロンビア等):平成28年4月期に各国での製品登録が完了。平成29年4月期より製品販売を開始。他アジア・オセアニア地域:香港、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ブルネイ、オーストラリア、タイの各国にて平成29年4月期に製品販売を開始。2 歯槽骨再建材米国において平成24年2月に臨床試験を開始、平成30年4月期に臨床試験を完了し、製造販売承認申請を予定。3 創傷治癒材平成26年10月にFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)を申請。平成27年2月にFDAより同承認を取得。4 DDS領域DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)領域において当社ペプチドを医薬品等のキャリアとする開発で、当社単独での事業化ではなく大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を目標。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから専用実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取り組んでいます。当社は、ペプチド原材料の製造を複数社に委託しており、吸収性局所止血材の製造については、扶桑薬品工業株式会社との間で製造受委託契約を締結しております。また、当社は、平成21年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結しており、ペプチド原材料調達・製品製造委託・販売に関して協力・支援を受ける体制をとっています。製品販売に関しては、吸収性局所止血材の販売について、平成26年1月にCEマーキングの指令適合に係る認証を取得し、EU加盟国及びCEマーキング適用圏であるアジアにて製品販売を開始しております。欧州地域における独占販売権許諾契約締結については、複数社との交渉を継続して進めております。日本においては、吸収性局所止血材の販売に向けて扶桑薬品工業株式会社と平成21年7月に独占販売権許諾契約を締結しております。当社は、海外への製品販売に向けても、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを平成22年9月に締結し、同社に対し韓国における独占販売権を許諾し、また台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを同月に締結し、同社に対し台湾における独占的開発・製造・販売権を許諾しております。また、平成25年3月には、医療機器の品質マネジメントシステムのための国際標準規格ISO13485の認証を取得しており、各国への輸出を実施しております。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 製品販売/代金回収を示しております。2 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。3 当社は、業務提携先からは、ペプチド原材料調達、製造技術、国内外の販売提携に関する助言/協力/支援を得ています。また、業務委託先とは受託臨床試験機関(以下「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。4 当社は、止血材製品について、扶桑薬品工業株式会社には日本における独占的販売権の許諾及び製造工程の一部委託をしております。Daewoong Pharmaceutical Co.LTDには韓国における独占販売権の許諾をしております。Excelsior Medical Co., Ltd.には台湾における独占的開発・製造及び販売権の許諾をしております。また、粘膜隆起材製品について、扶桑薬品工業株式会社に日本における独占的販売権の許諾をしております。5 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 ② 研究試薬販売当社は、平成20年2月より米国の販売会社とSupply Agreementを締結し、同社に対し自己組織化ペプチドのうちPuraMatrix製品(RADA16)の研究試薬としての独占販売権を許諾して、全世界の大学・研究機関等に向けて同製品を研究試薬として販売しています。かかる研究試薬については、ペプチド原材料の製造、溶解及び最終パッケージングを製造委託先に委託しています。当社は、各大学・研究機関等における研究に使用されることで新規アプリケーションの開発が進められることを期待して研究試薬販売を行っています。これまでに、当社が販売した研究試薬は、各研究機関において細胞種のin vitro(*)・in vivo(*)での注入実験などに使用されています。 研究試薬販売における基本的な事業の流れは以下のとおりです。 (3) MITとのライセンス契約について自己組織化ペプチドの物質特許及び基本的な用途特許は、MITが有しています。当社子会社は平成15年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の専用実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は、平成16年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、平成19年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は平成21年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。当社グループは、このようにしてMITからライセンスを受けた自己組織化ペプチド技術を用いて医療製品の研究開発に取り組んでいます。当社は、自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社子会社とともに特許出願を行い、また共同研究先と特許共同出願をしています。 当社グループがMITから専用実施権の許諾を受けている主な特許権等は下記のとおりです。なお、当社子会社とMITとのライセンス契約の概要は、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 対象発明の名称登録番号出願日登録日期限自己組織化ペプチド細胞培養法US 7098028平成15年3月17日平成18年8月29日平成35年3月16日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法US 7449180平成13年2月6日平成20年11月30日平成33年2月6日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法EP 1367961平成14年2月6日平成20年12月31日平成33年2月6日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法第5057629号平成14年2月6日平成24年8月10日平成33年2月6日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 7713923平成16年6月25日平成22年5月11日平成36年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 8901084平成16年6月25日平成26年12月2日平成36年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド細胞培養法第5057781号平成16年6月25日平成24年8月10日平成36年6月25日 (4) アライアンス先との提携契約について当社グループは、MITより実施許諾を受けている自己組織化ペプチド技術が幅広い応用可能性を持つ技術であると認識しております。当社は、当技術を用いたパイプラインの探索や医療機器としての開発、事業化戦略の立案等の企画機能に特化し、製造や販売機能は他社との事業提携によって補完する戦略を採っていることから、製造や販売に関しては適宜に戦略的な事業提携を行い、製品の開発から販売、継続供給の体制を構築していく方針です。当社は、吸収性局所止血材について、平成21年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結し、ペプチド原材料の調達、製品製造の委託、販売提携に関して相手先の推薦・選定及び条件について助言を受け、相手先との交渉・コミュニケーションについて継続的に協力・支援を受けることとしています。また、当社は、平成21年7月、扶桑薬品工業株式会社と吸収性局所止血材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して製品の販売体制の構築に取り組んでおり、平成23年5月には、同社と製造受委託契約書を締結し、同社に止血材製品の製造工程の一部を独占的に委託しています。さらに、当社は、平成22年9月、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の韓国における独占的販売権を付与し、また同月、台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の台湾における独占的開発・製造及び販売権を付与しております。当社シンガポール子会社3-D Matrix Asia Pte. Ltd.は、平成26年5月にインドネシアのPT. Teguhsindo Lestaritamaとインドネシアにおける独占販売権許諾契約を締結し、平成27年7月に韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとタイ・ベトナム・フィリピンにおける独占販売権の許諾、インドネシアにおける非独占販売権の許諾を行っております。その他、当社は、平成24年2月、扶桑薬品工業株式会社と粘膜隆起材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して、製品化及び販売体制の構築に取り組んでおります。これらの契約の概要は、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。PuraMatrix製品自己組織化ペプチド技術を用いたハイドロゲルの第一世代商品であり、体を構成するアミノ酸であるアルギニン(R)、アラニン(A)、アスパラギン酸(D)からなる繰り返し配列である16残基のペプチド(RADA16)。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチドなどとも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲンなどの構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面を比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名などを印刷し、商品を板状のプラスチックをバキュームフォームなどで成型し囲み込み台紙に接着した、またはスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。 用語意味・内容 臨床試験薬事承認の取得を目的として、未承認の医薬・医療機器をヒトに投与してデータ収集し、ヒトに対する安全性・有効性を検証する試験。冠動脈バイパス術虚血性心疾患の治療法で、心臓に血液を送る冠動脈の狭窄、閉塞による血流量の低下を解消するために、大動脈等から血管をつなぐことで、血流量の回復をはかる手術。人工血管置換術動脈瘤等の血流を阻害する箇所を切除して、合成繊維でできた人工血管に置き換えて血流を改善する手術。滲出性出血出血状態の分類の一つで、滲み出るような弱い出血。内視鏡的粘膜切除術内視鏡を用いて筋層以下(粘膜下層の奥)に障害を与えずに、粘膜下層の深さで粘膜層をスネアと呼ばれるワイヤーに高周波電流を流して組織を回収することで、早期癌やポリープなどを治療する手術。内視鏡的粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸などの薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作ったうえで、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸などのもの。血管内塞栓促進用補綴材血管内に投与して塞栓を形成させ(血管を詰まらせ)、病巣部の血流を遮断することで病巣部の治療を意図する医療機器。前臨床試験医薬品や医療機器の製造承認申請に際し、開発段階で、ヒトへ使用する(臨床)前に、複数種類の動物で生体への基礎的な効果(安全性・有効性)を評価・証明する科学的データを取得するために実施する試験。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。GLP医薬品・医療機器の開発のために行われる前臨床試験(動物試験等、特に安全性試験)のデータの信頼性を確保するための実施基準。Good Laboratory Practiceの略称。510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖などの調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。in vitroヒトや動物の組織を用いて生きたままの状態(生体)と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応等を検証する試験。in vivo動物を用いて生きたままの状態(生体)で、薬物の反応等を検証する試験。
FY2016|14,682 文字|出典 docID: S1008A6T
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社8社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の専用実施権の許諾を受けて、同技術を用いた製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・研究試薬販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・再生医療領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、血管塞栓材を有しており、再生医療領域では歯槽骨再建材、創傷治癒材を有しています。なお、吸収性局所止血材及び粘膜隆起材については、これまでに販売提携先から契約一時金及びマイルストーンペイメントを得ており、吸収性局所止血材については、製品販売売上を計上しております。研究試薬販売自己組織化ペプチドのPuraMatrix製品を米国の販売会社を通じて研究試薬用途での販売を行っています。同製品は、国内外の大学・研究機関等における自己組織化ペプチドを用いた様々な医療分野の応用研究に用いられております。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち第一世代の製品であるPuraMatrix製品(RADA16)(*)は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には分子同士を繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、原材料に生物由来品を含まず化学合成により生産されることから、生物由来品から生じるウィルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品事業の内容① 医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、再生医療領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・血管塞栓材、再生医療領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材があります。当社グループは、そのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針であり、販売については国内外の提携先に独占販売権を許諾することとしておりますが、国外では、薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。また、当社グループは、再生医療領域では細胞再生の足場材(*)として骨再生や心筋再生を促進する研究を行っており、今後製品化に向けた開発も行ってまいります。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取り組んでおりますが、医薬品としての開発可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社では、大学等の研究機関とのMTA契約(*)に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドをベースとした応用技術の獲得に取り組んでいます。A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、血管塞栓材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下「TDM-621」という。)の開発を進めています。TDM-621は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、ペプチド水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がないなど適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成され、又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、生物由来の材料を含むため、ウィルス感染等のリスクは完全には否定できないのに対し、TDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来品を含まないため、生物由来品から生じるウィルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。生物由来品は、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されることから、より安全性の高い製品が期待される状況となっており、TDM-621は患者と医師の負担・リスク軽減に貢献できるものと考えられます。 (研究開発の状況)当社は、TDM-621の日本での製造販売承認申請に向けて、平成22年1月より臨床試験(*)を開始し、冠動脈バイパス術(*)及び人工血管置換術(*)等における血管吻合部の間隙からの滲出性出血(*)、肝臓切除術における肝切除創面からの滲出性出血(*)、上部消化管の内視鏡的粘膜切除術(*)及び内視鏡的粘膜下層剥離術(*)における粘膜切除部及び粘膜下層剥離部からの滲出性出血を対象とした全97症例の臨床試験を平成23年4月までに終了しております。TDM-621は、かかる臨床試験において有効な止血効果が総じて認められ、かつ術後5~7日後の検査においても問題は見受けられませんでした。このような臨床試験の結果を受けて、当社は、平成23年5月にPMDAに対してTDM-621の製造販売承認申請を行いましたが、平成27年3月に申請の取下げを行い、有効性評価をより客観的に検証するための再臨床試験に向けた準備を行っております。また、当社は、TDM-621の海外展開に向け開発を進めております。欧州においては、平成26年1月にCEマーキングの指令適合について第三者認証機関から認証を受け、EU加盟国への販売が可能となりました。当社は、CEマーキングを活用し、アジア・オセアニア・南米地域への販売に向けた準備を進めております。アジア地域では、当社シンガポール子会社を中心にCEマーキング承認の展開を進めており、韓国・台湾についても同承認を活用した製品登録申請の検討・実施・製品化を行っております。東南アジア・オセアニア・南米地域についても主要各国で承認を取得いたしました。米国においては臨床試験の開始に向けたFDAとのプロトコルに関する協議を進めております。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、内視鏡手術による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術において腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード:TDM-641)(以下「TDM-641」という。)の研究開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めたうえで高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)、又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-641であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。 <粘膜隆起方法 概略図> (研究開発の状況)TDM-641は、TDM-621と濃度は異なるものの同一の自己組織化ペプチドであるRADA16を原材料としており、臨床試験を開始いたしましたが、平成27年2月に製材検討を実施するために一時中断することとし、製品優位性の確保に向けた研究試験を実施しております。 c)血管塞栓材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術における塞栓物として用いるための血管内塞栓促進用補綴材(*)(開発コード:TDM-631)(以下「TDM-631」という。)の研究開発を進めています。肝臓癌や子宮筋腫に対する肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術では、カテーテルを通じて動脈内に塞栓物を注入し、血管内腔を物理的に塞栓することで、腫瘍の栄養血管である動脈を塞いで腫瘍への栄養を絶ち、腫瘍を死滅させます。TDM-631は、血液と接触するとゲル化するため、カテーテルから動脈内に注入されると血管内腔を塞ぐことが可能であり、当社は新たな塞栓物としてTDM-631の開発を進めております。 (研究開発の状況)当社は、前臨床試験(*)により、TDM-631を造影剤に溶解しカテーテルを通して血管内に注入するとゲル化することや、ゲル化したTDM-631はX線カメラにより視認可能なことを確認しております。また、TDM-631の生体内における血管塞栓効果をみるために、動物モデルを用いた実験を行っております。 (B) 再生医療領域自己組織化ペプチドは細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、再生医療領域において歯槽骨再建材、創傷治癒材を開発パイプラインとして有しております。また当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材となる製品(開発コード:TDM-711)(以下「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることも検討しています。 (研究開発の状況)当社グループは、GLP(*)下において歯槽骨に欠損がある状態でのTDM-711の有効性の確認試験を実施し、通常の欠損群に比べ有意な骨再生が認められたため、その後も研究開発を進めてまいりました。当社グループは、TDM-711につき、FDAに対し平成22年9月にIDE申請を行い、平成23年7月にIDEの承認を得たことに続き、平成24年2月には、米国ハーバード大学の医学部・歯学部の付属研究所であるフォーサイス・インスティテュート(Forsyth Institute)において、臨床試験を開始し、プロトコルで規定した15症例の施術が完了しております。当該最終結果を受領し、FDAに提出しておりましたが、骨再生に有効なデータを得られたことから、次のフェーズでの臨床試験を実施中です。 b)創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の再生環境を整え、創傷治癒を促す製品(開発コード:TDM-511)(以下「TDM-511」という。)を開発しております。 (研究開発の状況)当社グループは、前臨床試験を実施し、申請に必要な有効性に関するデータを入手しております。当該結果をもとに市販前届510(k)(*)による申請の準備を進め、平成26年10月に医療機器として市販前届510(k)を米国FDAに申請し、平成27年2月に販売承認を得ました。創傷治癒材としての活用に加え、他薬剤とのコンビネーションによる治療効果の増大が期待できることから、熱傷治療、皮膚がん治療、美容整形分野での研究開発を進めております。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 (研究開発の状況)当社は、界面活性ペプチドを用い国立がん研究センターと新規癌治療技術の開発に向けて共同研究を行っており、癌細胞への徐放技術の確立に向け前臨床試験実施し、乳がん治療に向けたsiRNA核酸医薬のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)を共同開発しております。外科領域・再生医療領域では、当社は自ら医療機器として臨床試験・製造販売承認取得まで開発を進めますが、DDS領域では、医薬品としての開発が主力となるため、事業化に関してはsiRNA等の薬剤や治療物質についての技術を有する大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を実施する予定です。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品は、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期に亘ります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第3相まで(第1相・第2相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第3相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社が開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・血管塞栓材、再生医療領域における歯槽骨再建材・創傷治癒材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得します。主にDDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要することなどから、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 当社グループでの医療製品開発における、主要なパイプラインの進捗状況は以下のとおりです。(主要なパイプライン開発の状況) (注)1 吸収性局所止血材欧州:平成26年1月にCEマーキング指令適合を受け、平成27年4月期に製品販売を開始。日本:平成23年4月に臨床試験を終了し平成23年5月に製造販売承認申請も、平成27年3月に新臨床試験の実施を決定、再申請を行い承認取得する開発計画に変更。米国:FDA(米国食品医薬品局)と臨床試験に向けたプロトコル協議中、平成29年4月期に臨床試験開始、平成31年4月期以降に製品販売を予定。韓国:CEマーキングでの製品登録申請済み、平成29年4月期での登録承認を予定。南米(ブラジル・メキシコ・コロンビア等):主要国であるブラジル、メキシコ、コロンビアにてCEマーキング製品登録済み。平成29年4月期より販売開始予定。アジア・オセアニア:シンガポール、インドネシア、タイ、オーストラリアにて医療機器製品登録の承認を取得済み。2 歯槽骨再建材平成22年9月に臨床試験開始に向けたIDE申請をFDAに行っており、平成23年7月にIDE承認を得て、平成24年2月に臨床試験を開始。3 創傷治癒材平成26年10月にFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)を申請。平成27年2月にFDAより同承認を取得。4 DDS領域DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)領域において当社ペプチドを医薬品等のキャリアとする開発で、当社単独での事業化ではなく大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を目標。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから専用実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取り組んでいます。当社は、ペプチド原材料の製造を複数社に委託しており、吸収性局所止血材の製造については、扶桑薬品工業株式会社との間で製造受委託契約を締結しております。また、当社は、平成21年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結しており、ペプチド原材料調達・製品製造委託・販売に関して協力・支援を受ける体制をとっています。製品販売に関しては、吸収性局所止血材の販売について、平成26年1月にCEマーキングの指令適合に係る認証を取得し、EU加盟国及びCEマーキング適用圏であるアジアにて製品販売を開始しております。欧州地域における独占販売権許諾契約締結については、複数社との交渉を継続して進めております。日本においては、吸収性局所止血材の販売に向けて扶桑薬品工業株式会社と平成21年7月に独占販売権許諾契約を締結しております。当社は、海外への製品販売に向けても、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを平成22年9月に締結し、同社に対し韓国における独占販売権を許諾し、また台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを同月に締結し、同社に対し台湾における独占的開発・製造・販売権を許諾しております。また、平成25年3月には、医療機器の品質マネジメントシステムのための国際標準規格ISO13485の認証を取得しており、各国への輸出を実施しております。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 製品販売/代金回収を示しております。2 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。3 当社は、業務提携先からは、ペプチド原材料調達、製造技術、国内外の販売提携に関する助言/協力/支援を得ています。また、業務委託先とは受託臨床試験機関(以下「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。4 当社は、止血材製品について、扶桑薬品工業株式会社には日本における独占的販売権の許諾及び製造工程の一部委託をしております。Daewoong Pharmaceutical Co.LTDには韓国における独占販売権の許諾をしております。Excelsior Medical Co., Ltd.には台湾における独占的開発・製造及び販売権の許諾をしております。また、粘膜隆起材製品について、扶桑薬品工業株式会社に日本における独占的販売権の許諾をしております。5 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 ② 研究試薬販売当社は、平成20年2月より米国の販売会社とSupply Agreementを締結し、同社に対し自己組織化ペプチドのうちPuraMatrix製品(RADA16)の研究試薬としての独占販売権を許諾して、全世界の大学・研究機関等に向けて同製品を研究試薬として販売しています。かかる研究試薬については、ペプチド原材料の製造、溶解及び最終パッケージングを製造委託先に委託しています。当社は、各大学・研究機関等における研究に使用されることで新規アプリケーションの開発が進められることを期待して研究試薬販売を行っています。これまでに、当社が販売した研究試薬は、各研究機関において細胞種のin vitro(*)・in vivo(*)での注入実験などに使用されています。 研究試薬販売における基本的な事業の流れは以下のとおりです。 (3) MITとのライセンス契約について自己組織化ペプチドの物質特許及び基本的な用途特許は、MITが有しています。当社子会社は平成15年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の専用実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は、平成16年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、平成19年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は平成21年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。当社グループは、このようにしてMITからライセンスを受けた自己組織化ペプチド技術を用いて医療製品の研究開発に取り組んでいます。当社は、自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社子会社とともに特許出願を行い、また共同研究先と特許共同出願をしています。 当社グループがMITから専用実施権の許諾を受けている主な特許権等は下記のとおりです。なお、当社子会社とMITとのライセンス契約の概要は、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 対象発明の名称登録番号出願日登録日期限自己組織化ペプチド物質特許(自己組織化方法・阻害方法含む)US 6548630平成9年7月22日平成15年4月15日平成29年7月21日自己組織化ペプチド細胞培養法US 5955343平成6年8月22日平成11年9月21日平成28年9月20日自己組織化ペプチド細胞培養法US 6800481平成9年3月26日平成16年10月5日平成29年3月25日自己組織化ペプチドたんぱく質の薬物送達法US 7098028平成15年3月17日平成18年8月29日平成35年3月16日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法US 7449180平成13年2月6日平成20年11月30日平成33年2月6日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法EP 1367961平成14年2月6日平成20年12月31日平成33年2月6日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法第5057629号平成14年2月6日平成24年8月10日平成33年2月6日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 7713923平成16年6月25日平成22年5月11日平成36年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 8901084平成16年6月25日平成26年12月2日平成36年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド細胞培養法第5057781号平成16年6月25日平成24年8月10日平成36年6月25日 (4) アライアンス先との提携契約について当社グループは、MITより実施許諾を受けている自己組織化ペプチド技術が幅広い応用可能性を持つ技術であると認識しております。当社は、当技術を用いたパイプラインの探索や医療機器としての開発、事業化戦略の立案等の企画機能に特化し、製造や販売機能は他社との事業提携によって補完する戦略を採っていることから、製造や販売に関しては適宜に戦略的な事業提携を行い、製品の開発から販売、継続供給の体制を構築していく方針です。当社は、吸収性局所止血材について、平成21年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結し、ペプチド原材料の調達、製品製造の委託、販売提携に関して相手先の推薦・選定及び条件について助言を受け、相手先との交渉・コミュニケーションについて継続的に協力・支援を受けることとしています。また、当社は、平成21年7月、扶桑薬品工業株式会社と吸収性局所止血材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して製品の販売体制の構築に取り組んでおり、平成23年5月には、同社と製造受委託契約書を締結し、同社に止血材製品の製造工程の一部を独占的に委託しています。さらに、当社は、平成22年9月、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の韓国における独占的販売権を付与し、また同月、台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の台湾における独占的開発・製造及び販売権を付与しております。当社シンガポール子会社3-D Matrix Asia Pte. Ltd.は、平成26年5月にインドネシアのPT. Teguhsindo Lestaritamaとインドネシアにおける独占販売権許諾契約を締結し、平成27年7月に韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとタイ・ベトナム・フィリピンにおける独占販売権の許諾、インドネシアにおける非独占販売権の許諾を行っております。その他、当社は、平成24年2月、扶桑薬品工業株式会社と粘膜隆起材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して、製品化及び販売体制の構築に取り組んでおります。これらの契約の概要は、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。PuraMatrix製品自己組織化ペプチド技術を用いたハイドロゲルの第一世代商品であり、体を構成するアミノ酸であるアルギニン(R)、アラニン(A)、アスパラギン酸(D)からなる繰り返し配列である16残基のペプチド(RADA16)。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチドなどとも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲンなどの構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面を比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名などを印刷し、商品を板状のプラスチックをバキュームフォームなどで成型し囲み込み台紙に接着した、またはスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。臨床試験薬事承認の取得を目的として、未承認の医薬・医療機器をヒトに投与してデータ収集し、ヒトに対する安全性・有効性を検証する試験。 用語意味・内容 冠動脈バイパス術虚血性心疾患の治療法で、心臓に血液を送る冠動脈の狭窄、閉塞による血流量の低下を解消するために、大動脈等から血管をつなぐことで、血流量の回復をはかる手術。人工血管置換術動脈瘤等の血流を阻害する箇所を切除して、合成繊維でできた人工血管に置き換えて血流を改善する手術。滲出性出血出血状態の分類の一つで、滲み出るような弱い出血。内視鏡的粘膜切除術内視鏡を用いて筋層以下(粘膜下層の奥)に障害を与えずに、粘膜下層の深さで粘膜層をスネアと呼ばれるワイヤーに高周波電流を流して組織を回収することで、早期癌やポリープなどを治療する手術。内視鏡的粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸などの薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作ったうえで、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸などのもの。血管内塞栓促進用補綴材血管内に投与して塞栓を形成させ(血管を詰まらせ)、病巣部の血流を遮断することで病巣部の治療を意図する医療機器。前臨床試験医薬品や医療機器の製造承認申請に際し、開発段階で、ヒトへ使用する(臨床)前に、複数種類の動物で生体への基礎的な効果(安全性・有効性)を評価・証明する科学的データを取得するために実施する試験。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。GLP医薬品・医療機器の開発のために行われる前臨床試験(動物試験等、特に安全性試験)のデータの信頼性を確保するための実施基準。Good Laboratory Practiceの略称。510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖などの調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。in vitroヒトや動物の組織を用いて生きたままの状態(生体)と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応等を検証する試験。in vivo動物を用いて生きたままの状態(生体)で、薬物の反応等を検証する試験。