事業の概要
- 医療製品の研究開発・製造・販売スリー・ディー・マトリックスは、MITから独占実施権を得た「自己組織化ペプチド技術」を基盤に、医療製品の研究開発、製造、販売を一貫して行っています。この技術は、特定のペプチドが体液と触れるとゲル状に変化する特性を利用し、外科手術や組織再生、薬剤送達システム(DDS)など幅広い医療分野に応用されています。主な収益源は、開発した医療機器や医薬品の販売、およびDDS領域での製薬会社への技術供与(ライセンス収入)です。
- 自己組織化ペプチド技術の応用同社の基盤技術である自己組織化ペプチド「RADA16」は、生体内で安全に分解・排出される特性を持ち、ウイルス感染リスクのない化学合成品です。この技術を応用し、外科領域では吸収性局所止血材「TDM-621」や粘膜隆起材「TDM-644」などを開発。組織再生領域では創傷治癒材や歯槽骨再建材、DDS領域では核酸医薬等の薬剤担体を開発しており、これらが将来的な収益の柱となる見込みです。
- 単一セグメントでの事業展開スリー・ディー・マトリックスの事業は「医療製品事業」の単一セグメントで構成されています。これは、医療製品の開発から販売までを一貫して手掛ける事業形態であり、外科領域、組織再生領域、DDS領域という複数の応用分野を持つものの、これら全てが自己組織化ペプチド技術という共通の基盤技術に基づいているため、一つの事業として集約されています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 医療製品事業スリー・ディー・マトリックスは「医療製品事業」の単一セグメントで事業を展開しています。この事業は、MITから独占実施権を得た自己組織化ペプチド技術を基盤とし、医療機器および医薬品の研究開発、製造、販売を行っています。外科領域、組織再生領域、DDS(薬剤送達システム)領域の3つの主要な応用分野に注力しており、これら全てが共通の基盤技術に基づいています。
- 医療製品開発・販売このセグメントは、自己組織化ペプチド技術を応用した製品の開発と販売で構成されます。外科領域では、吸収性局所止血材「TDM-621」や粘膜隆起材「TDM-644」などを自社開発し、製造販売承認の取得を目指しています。組織再生領域では創傷治癒材や歯槽骨再建材、DDS領域では核酸医薬等の薬剤担体の開発を進めており、DDS領域では製薬会社への技術供与によるライセンス収入も目指しています。
- 主要な開発パイプライン外科領域では、手術時の出血を止める吸収性局所止血材、内視鏡治療で病変部を隆起させる粘膜隆起材、治療後の出血を防ぐ後出血予防材、手術後の臓器の癒着を防ぐ癒着防止材が主要な開発品です。組織再生領域では、創傷治癒材や歯槽骨再建材、DDS領域では核酸医薬などのための薬剤送達システムが開発されており、これらの製品が将来の収益を支える柱となることが期待されています。
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FY2025|8,851 文字
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社7社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の独占的実施権の許諾を受けて、同技術を基盤技術とした製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・組織再生領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、後出血予防材、癒着防止材を有しており、組織再生領域では創傷治癒材、歯槽骨再建材、DDS領域では核酸医薬等のためのDDSを有しています。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち最も開発が先行し複数の製品を上市しているペプチドRADA16は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には、分子同士が繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、生物由来の原材料を含まず化学合成により生産されることから、生物由来の原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、組織再生領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインのうち、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材についてはそのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針ですが、地域によっては薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。販売についても製品、地域に応じて、代理店を通じての直接販売及び販売パートナーに対する販売権許諾の双方の戦略を適切に選択しあるいは組み合わせていく方針です。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取組んでおりますが、医薬品として開発することとなる可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社グループでは、大学等の研究機関とのMTA契約(*)及び共同研究契約に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドを基盤とした応用技術の獲得に取組んでいます。 A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、癒着防止材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下「TDM-621」という。)の開発を進めています。RADA16の水溶液は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、RADA16の水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がない等、適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、これらの原材料から生じるウイルス感染等のリスクは完全には否定できないことから、生物由来製品又は特定生物由来製品として指定されており、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されます。これに対してTDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来の細胞、組織等を原材料として含まないため、これらの原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。また、生物由来製品又は特定生物由来製品に求められるプロセスが不要なため、TDM-621は患者と医療従事者の負担の軽減にも貢献できるものと考えられます。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、消化器内視鏡治療による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術(*)において、腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード: TDM-644)(以下「TDM-644」という。)の開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めた上で高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-644であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。 <粘膜隆起方法 概略図> c)後出血予防材当社グループにおいては、TDM-621について治療後に起こる後出血について医療機器としての承認を得るべく開発を進めています。治療時に後出血が生じると、再手術が必要となることから患者及び医療機関双方の負担が大きく、強いニーズがあります。消化器内視鏡治療における出血はおおよそ5%程度であるのに対し、治療後に後出血が懸念されるリスクの高い患者・手技はおおよそ30%あるとされており、本適応の追加により当社製品が獲得可能な市場は数倍に拡大する可能性があります。 d)次世代止血材RADA16とは異なる、当社が独自に開発した新規ペプチド配列を用いた開発品です。現在の止血材より止血効果に優れ、原価を大幅に削減できる等の優位性があることから、将来的に主力製品として市場に供給すべく開発を進めてまいります。 e )癒着防止材RADA16について、止血材だけではなく、癒着防止材、創傷治癒材としての開発も進めております。米国においては、耳鼻咽喉科領域において既に販売を開始しておりますが、今後、はるかに大きな市場が存在する産婦人科等の領域に適応拡大をすべく、日本と欧州双方で医師主導治験の準備を進めております。 (B) 組織再生領域自己組織化ペプチドは、細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、組織再生領域において創傷治癒材、歯槽骨再建材を開発パイプラインとして有しております。また、当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)消化管の創傷治癒材当社グループは、直腸における粘膜炎により損傷した粘膜組織に塗布することで粘膜組織上に保護膜を形成し、二次炎症の防止や痛みの軽減に加え創傷治癒に最適な湿潤環境を維持する創傷治癒材を開発しております。 b)皮膚における創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の創傷治癒に適切な湿潤環境を維持する、創傷治癒材(開発コード:TDM-511)(以下「TDM-511」という。)を開発しております。 c)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材(*)となる製品(開発コード:TDM-711)(以下「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることの開発を進めております。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品の多くは、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期にわたります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第Ⅲ相まで(第Ⅰ相・第Ⅱ相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第Ⅲ相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社グループが開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域における創傷治癒材・歯槽骨再建材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得しています。なお、DDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また、当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要すること等から、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから独占的実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約又は共同研究契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取組んでいます。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。2 業務委託先とは受託臨床試験機関(以下「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。3 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 D MITとのライセンス契約について当社が開発・販売している製品の基盤となる自己組織化ペプチド技術は、MITの研究者の発明によるものであり、MITは、かかる技術に関連する技術を多数有しています。当社子会社は2003年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の独占的実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は2004年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、2007年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は2009年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。なお、MITからライセンスを受けている特許以外にも、当社は、次世代の自己組織化ペプチドを独自に開発して、また、当社グループ独自に又は共同研究パートナーと共同で開発した自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社グループ単独又は共同研究パートナーと共同で特許出願を行い、その中のいくつかについて特許登録を受けております。 (3) 製造吸収性局所止血材の製造に関して、扶桑薬品工業株式会社との間での従前の製造受委託契約は一旦解消されましたが、改めて製造受委託契約を締結して継続して製造を委託しており、さらにドイツのPharmpure社との間で製造委受託契約を締結し、同社における製造も開始しております。 (4) 販売欧州においては、2019年にFUJIFILM Europe B.V.(以下「FUJIFILM」という。)と止血材の消化器内視鏡領域にかかる独占販売契約を締結し、同社において販売を開始しております。その他の領域については主に直販体制による販売を行っております。米国、日本、オーストラリアにおいては、直販体制による販売を行っております。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチド等とも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲン等の構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面に比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名等を印刷し、板状のプラスチックをバキュームフォーム等で成型し商品を囲み込み台紙に接着した又はスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸等の薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作った上で、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。 用語意味・内容内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸等のもの。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖等の調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。
FY2024|8,944 文字
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社8社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の独占的実施権の許諾を受けて、同技術を基盤技術とした製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・組織再生領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、後出血予防材、癒着防止材を有しており、組織再生領域では創傷治癒材、歯槽骨再建材、DDS領域では核酸医薬等のためのDDSを有しています。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち最も開発が先行し複数の製品を上市しているペプチドRADA16は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には、分子同士が繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、生物由来の原材料を含まず化学合成により生産されることから、生物由来の原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、組織再生領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインのうち、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材についてはそのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針ですが、地域によっては薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。販売についても製品、地域に応じて、代理店を通じての直接販売及び販売パートナーに対する販売権許諾の双方の戦略を適切に選択しあるいは組み合わせていく方針です。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取組んでおりますが、医薬品として開発することとなる可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社グループでは、大学等の研究機関とのMTA契約(*)及び共同研究契約に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドを基盤とした応用技術の獲得に取組んでいます。 A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、癒着防止材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下、「TDM-621」という。)の開発を進めています。RADA16の水溶液は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、RADA16の水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がない等、適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、これらの原材料から生じるウイルス感染等のリスクは完全には否定できないことから、生物由来製品又は特定生物由来製品として指定されており、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されます。これに対してTDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来の細胞、組織等を原材料として含まないため、これらの原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。また、生物由来製品又は特定生物由来製品に求められるプロセスが不要なため、TDM-621は患者と医療従事者の負担の軽減にも貢献できるものと考えられます。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、消化器内視鏡治療による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術(*)において、腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード: TDM-644)(以下、「TDM-644」という。)の開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めたうえで高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-644であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。 <粘膜隆起方法 概略図> c)後出血予防材当社グループにおいては、TDM-621について治療後に起こる後出血について医療機器としての承認を得るべく開発を進めています。治療時に後出血が生じると、再手術が必要となることから患者及び医療機関双方の負担が大きく、強いニーズがあります。消化器内視鏡治療における出血はおおよそ5%程度であるのに対し、治療後に後出血が懸念されるリスクの高い患者・手技はおおよそ30%あるとされており、本適応の追加により当社製品が獲得可能な市場は数倍に拡大する可能性があります。 d)次世代止血材RADA16とは異なる、当社が独自に開発した新規ペプチド配列を用いた開発品です。現在の止血材より止血効果に優れ、原価を大幅に削減できる等の優位性があることから、将来的に主力製品として市場に供給すべく開発を進めてまいります。 e )癒着防止材RADA16について、止血材だけではなく、癒着防止材、創傷治癒材としての開発も進めております。米国においては、耳鼻咽喉科領域において既に販売を開始しておりますが、今後、はるかに大きな市場が存在する産婦人科等の領域に適応拡大をすべく、日本と欧州双方で医師主導治験の準備を進めております。 (B) 組織再生領域自己組織化ペプチドは、細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、組織再生領域において創傷治癒材、歯槽骨再建材を開発パイプラインとして有しております。また、当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)消化管の創傷治癒材当社グループは、直腸における粘膜炎により損傷した粘膜組織に塗布することで粘膜組織上に保護膜を形成し、二次炎症の防止や痛みの軽減に加え創傷治癒に最適な湿潤環境を維持する創傷治癒材を開発しております。 b)皮膚における創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の創傷治癒に適切な湿潤環境を維持する、創傷治癒材(開発コード:TDM-511)(以下、「TDM-511」という。)を開発しております。 c)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材(*)となる製品(開発コード:TDM-711)(以下、「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることの開発を進めております。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品の多くは、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期にわたります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第Ⅲ相まで(第Ⅰ相・第Ⅱ相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第Ⅲ相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社グループが開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域における創傷治癒材・歯槽骨再建材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得しています。なお、DDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また、当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要すること等から、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから独占的実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約又は共同研究契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取組んでいます。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 製品販売/代金回収を示しております。2 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。3 業務委託先とは受託臨床試験機関(以下、「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。4 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 D MITとのライセンス契約について当社が開発・販売している製品の基盤となる自己組織化ペプチド技術は、MITの研究者の発明によるものであり、MITは、かかる技術に関連する技術を多数有しています。当社子会社は2003年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の独占的実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は2004年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、2007年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は2009年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。なお、MITからライセンスを受けている特許以外にも、当社は、次世代の自己組織化ペプチドを独自に開発して、また、当社グループ独自に又は共同研究パートナーと共同で開発した自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社グループ単独又は共同研究パートナーと共同で特許出願を行い、その中のいくつかについて特許登録を受けております。 (3) 製造吸収性局所止血材の製造に関して、扶桑薬品工業株式会社との間での従前の製造受委託契約は一旦解消されましたが、改めて製造受委託契約を締結して継続して製造を委託しており、さらにドイツのPharmpure社との間で製造委受託契約を締結し、同社における製造も開始しております。 (4) 販売欧州においては、2019年にFUJIFILM Europe B.V.(以下、「FUJIFILM」という。)と止血材の消化器内視鏡領域にかかる独占販売契約を締結し、同社において販売を開始しております。その他の領域については主に直販体制による販売を行っております。米国、日本、オーストラリアにおいては、直販体制による販売を行っております。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチド等とも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲン等の構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面に比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名等を印刷し、板状のプラスチックをバキュームフォーム等で成型し商品を囲み込み台紙に接着した又はスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸等の薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作ったうえで、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。 用語意味・内容内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸等のもの。血管内塞栓促進用補綴材血管内に投与して塞栓を形成させ(血管を詰まらせ)、病巣部の血流を遮断することで病巣部の治療を意図する医療機器。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖等の調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。
FY2023|12,838 文字
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社8社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の独占的実施権の許諾を受けて、同技術を基盤技術とした製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・組織再生領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、後出血予防材、癒着防止材を有しており、組織再生領域では創傷治癒材、歯槽骨再建材、DDS領域では核酸医薬等のためのDDSを有しています。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち最も開発が先行し複数の製品を上市しているペプチドRADA16は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には、分子同士が繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、生物由来の原材料を含まず化学合成により生産されることから、生物由来の原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、組織再生領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインのうち、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材についてはそのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針ですが、地域によっては薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。販売についても製品、地域に応じて、代理店を通じての直接販売及び販売パートナーに対する販売権許諾の双方の戦略を適切に選択しあるいは組み合わせていく方針です。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取り組んでおりますが、医薬品として開発することとなる可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社グループでは、大学等の研究機関とのMTA契約(*)及び共同研究契約に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドを基盤とした応用技術の獲得に取り組んでいます。 A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、癒着防止材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下、「TDM-621」という。)の開発を進めています。RADA16の水溶液は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、RADA16の水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がない等、適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、これらの原材料から生じるウイルス感染等のリスクは完全には否定できないことから、生物由来製品又は特定生物由来製品として指定されており、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されます。これに対してTDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来の細胞、組織等を原材料として含まないため、これらの原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。また、生物由来製品又は特定生物由来製品に求められるプロセスが不要なため、TDM-621は患者と医療従事者の負担の軽減にも貢献できるものと考えられます。 (研究開発の状況)TDM-621の日本での製造販売承認については、2020年に消化器内視鏡治療における漏出性出血に対する止血を対象とした吸収性局所止血材「ピュアスタット」として製造販売承認を取得しており、2021年12月からは本製品の保険適用が開始されております。これにより、医療機関の費用負担なく「ピュアスタット」を使用できることになり、今後の販売加速が見込まれます。また、当社は、TDM-621の海外展開に向け開発を進めております。欧州においては、2014年にCEマークを取得しており、現在欧州全域において販売中です。今後は中枢神経分野等領域の拡大や創傷治癒等機能の拡大等、継続して複数の分野で適応拡大を進め、オンリーワンの製品となれるよう価値を一層高めていく方針です。米国では、消化器内視鏡治療領域において、2021年1月に米国食品医薬品局(以下、「FDA」という。)に市販前届510(k)を申請し、2021年6月に販売承認を取得しており、2022年7月より販売を開始しております。また、2022年8月に手術等の処置に伴うものではない病変等から起こる自然出血(以下、「Primary Bleeding」という。)への適応拡大を目的とした市販前届510(k)を申請しておりましたが、2023年3月に販売承認を取得いたしました。Primary Bleedingの日米欧での市場規模は100億円程度と推計され、本適応拡大によってより一層製品力を高め、米国における消化器内視鏡治療の広まりや安全性の向上に貢献していきたいと考えております。アジア・オセアニア・南米地域の主要国においても、CEマーキングを活用し登録承認を取得し、製品販売を開始しております。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、消化器内視鏡治療による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術(*)において、腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード: TDM-644)(以下、「TDM-644」という。)の開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めたうえで高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-644であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。 <粘膜隆起方法 概略図> (研究開発の状況)日本においては、2021年5月に製造販売承認を取得しており、2021年12月には販売用製品「ピュアリフト」として製造を開始いたしました。また、2022年8月には販売開始に向けた更なるデータ拡充のため臨床研究を開始しております。さらに、2022年12月より保険適用が開始され、医療機関が使用した「ピュアリフト」の特定保健医療材料費については、医療機関は保険償還価格にて保険請求が可能となります。これにより、医療機関の費用負担なく「ピュアリフト」を使用できることとなります。止血材「ピュアスタット」販売時のフックとして「ピュアスタット」販売拡大にも貢献すべくクロスセルでの販売を予定しております。 c)後出血予防材当社グループにおいては、TDM-621について治療後に起こる後出血について医療機器としての承認を得るべく開発を進めています。治療時に後出血が生じると、再手術が必要となることから患者及び医療機関双方の負担が大きく、強いニーズがあります。消化器内視鏡治療における出血はおおよそ5%程度であるのに対し、治療後に後出血が懸念されるリスクの高い患者・手技はおおよそ30%あるとされており、本適応の追加により当社製品が獲得可能な市場は数倍に拡大する可能性があります。 (研究開発の状況)欧州においては、消化器内視鏡治療時に生じる後出血予防効果に関して、2018年12月に適応追加が承認されております。また、オーストラリアにおいても後出血予防効果に関して、2019年9月に適応追加が承認されました。さらに、米国においては2021年6月に止血材の承認と合わせて後出血予防の適応も同時に承認を受けております。 d)癒着防止材RADA16について、止血材だけではなく、癒着防止材、創傷治癒材としての開発も進めております。米国においては、耳鼻咽喉科領域において既に販売を開始しておりますが、今後、はるかに大きな市場が存在する産婦人科等の領域に適応拡大をすべく、日本と欧州双方で医師主導治験の準備を進めております。 (研究開発の状況)米国では、耳鼻咽喉科領域において、2019年4月にFDAより癒着防止材兼止血材「PuraSinus」の販売承認を受けております。本製品は、癒着防止、止血、創傷治癒を同時に行える現状唯一の製品であることから、鼻甲介切除術や鼻中隔形成術等において高い臨床的価値を提供でき得るものと期待しております。特に術後のパッキング(鼻に詰め物をする処置)は患者のQOLを著しく悪化させているといわれておりますが、当社製品によってパッキングを極力減らすことが可能となり、患者のQOLを重視する米国市場では強いニーズが期待できます。 e )次世代止血材RADA16とは異なる、当社が独自に開発した新規ペプチド配列を用いた開発品です。現在の止血材より止血効果に優れ、原価を大幅に削減できる等の優位性があることから、将来的に主力製品として市場に供給すべく開発を進めてまいります。 (研究開発の状況)欧州においては、2021年5月に治験計画届の承認がなされ、2021年7月より脳神経外科を対象とした治験を開始しております。本試験開始前の探索的臨床試験については、2021年12月に全ての患者への投与が完了し、安全性が確認されたことから、本試験への移行が開始されました。 (B) 組織再生領域自己組織化ペプチドは細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、組織再生領域において創傷治癒材、歯槽骨再建材を開発パイプラインとして有しております。また当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)直腸における粘膜炎の創傷治癒材当社グループは、直腸における粘膜炎により損傷した粘膜組織に塗布することで粘膜組織上に保護膜を形成し、二次炎症の防止や痛みの軽減に加え創傷治癒に最適な湿潤環境を維持する創傷治癒材を開発しております。 (研究開発の状況)米国において、2022年4月に粘膜炎の創傷治癒に対する承認を取得いたしました。これは直腸の粘膜炎等の治癒に幅広く使える可能性がある承認であり、止血材よりさらに付加価値の高い製品としての販売が可能となります。例えば一つの適応事例としての放射線性直腸炎は、前立腺がんや子宮がん等への放射線療法に起因する副作用で、大腸粘膜の炎症を高頻度で引き起こします。また、2割程度の患者は慢性的な下血、頻繁な排便、激しい腹痛等の晩期障害に悩まされており、有効な治療法の確立が望まれております。この領域で早急に成長を蓄積し、さらに巨大な市場である炎症性腸疾患(以下、「IBD」という。)への適応拡大を進めてまいります。IBDは消化管の難治性炎症で、原因不明で一度発症すると再燃と寛解を繰り返す特定疾患であり、グローバルで数兆円の顕在市場が存在します。2023年6月には、日本においてIBD領域での効果確認のための医師主導特定臨床研究が開始しております。今後も日米欧にて複数の医師主導特定臨床研究を計画し、早期にPOC(Proof Of Concept)を取得することを目指します。POC を取得した暁には、本格的な開発を開始する計画です。 b)創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の創傷治癒に適切な湿潤環境を維持する、創傷治癒材(開発コード:TDM-511)(以下、「TDM-511」という。)を開発しております。 (研究開発の状況)米国では、2015年2月にFDAより、切り傷、すりむき、創傷、I度熱傷及び医師指導の下での表皮から真皮層までの皮膚創傷(圧迫による褥瘡、下肢潰瘍、糖尿性病性潰瘍、手術痕等)を適用として、販売承認を取得しております。より高い臨床的価値が求められる重度の熱傷や皮膚がんの分野への進出を目指して、他薬剤とのコンビネーション(抗生物質、抗がん剤等)も視野に入れて研究を進めております。また、巨大市場である美容整形分野にもアクセスすべく、2020年5月に適応を拡大しております。欧米において複数の臨床研究を進め、有望な結果が観察され始めており、論文発表も行われております。 c)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材(*)となる製品(開発コード:TDM-711)(以下、「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることの開発を進めております。 (研究開発の状況)当社グループは、GLP(*)下において歯槽骨に欠損がある状態でのTDM-711の有効性の確認試験を実施し、通常の欠損群に比べ有意な骨再生が認められたため、その後も研究開発を進めてまいりました。当社グループは、TDM-711につき、2012年2月には、米国ハーバード大学の医学部・歯学部の付属研究所であるフォーサイス・インスティテュート(Forsyth Institute)において、臨床試験を開始し、プロトコルで規定した15症例の施術及び経過観察が完了しております。骨再生に有効なデータを得ておりますが、プロトコルに改善の余地があったため、2018年4月期に症例を追加して現在も臨床試験を継続しており、今後も製品化に向けた開発を進めてまいります。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 (研究開発の状況)国立がん研究センターとの「RPN2標的核酸医薬によるトリプルネガティブ乳がん治療」共同プロジェクトにおいて、界面活性剤様ペプチドA6Kを核酸医薬のDDSとして提供しておりました。当社は、国立がん研究センターと共同でがん幹細胞に対する治療薬や診断方法の特許を取得しており、同分野や関連分野の共同研究/共同開発に向けた取り組みを進めております。広島大学との共同プロジェクトにおいても、悪性胸膜中皮腫を対象疾患とする革新的抗腫瘍核酸医薬にA6Kを提供し共同開発を進めておりましたが、広島大学の田原栄俊教授により新たに設立された株式会社PURMX Therapeuticsが今後の製品開発を主導することとなりました。当社も同社株式の一部を取得し、今後も引き続き共同で製品開発を進めてまいります。2022年1月には、医師主導治験(第I相)において第一症例の組み入れが実施され、臨床試験が開始されております。核酸医薬へのDDSとして当社製品がヒト臨床で使用されるのはこれで2件目となります。今後の核酸医薬の広まりとともに、当社の技術が核酸のデリバリーのオプションとして更なる広がりをみせる可能性が出てきております。また、当社技術をCOVID-19を含めた各種ワクチンのDDSに応用する検討も進めております。各種ワクチンによる防御免疫反応を高め、強力なアジュバント(主剤の効果向上並びに補助を目的として併用される物質)の反応性を排除することで、効率的かつ安全なワクチンデリバリーシステムを開発することを目的とし、米国Tulane Universityと共同研究を開始いたしました。本共同研究により、同レベルの免疫を獲得するために必要なワクチンの接種回数を減らすことができる可能性や患者の負担を軽減できる可能性あるいは各種ワクチンの経鼻投与ができるようになる可能性が期待されます。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品の多くは、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期に亘ります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第Ⅲ相まで(第Ⅰ相・第Ⅱ相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第Ⅲ相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社グループが開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域における創傷治癒材・歯槽骨再建材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得しています。なお、DDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また、当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要すること等から、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから独占的実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約又は共同研究契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取り組んでいます。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 製品販売/代金回収を示しております。2 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。3 業務委託先とは受託臨床試験機関(以下、「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。4 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 D MITとのライセンス契約について当社が開発・販売している製品の基盤となる自己組織化ペプチド技術はMITの研究者の発明によるものであり、MITは、かかる技術に関連する技術を多数有しています。当社子会社は2003年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の独占的実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は2004年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、2007年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は2009年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。なお、MITからライセンスを受けている特許以外にも、当社は、次世代の自己組織化ペプチドを独自に開発して、また、当社グループ独自にまた共同研究パートナーと共同で開発した自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社グループ単独又は共同研究パートナーと共同で特許出願を行い、その中のいくつかについて特許登録を受けております。 (3) 製造吸収性局所止血材の製造に関して、扶桑薬品工業株式会社との間での従前の製造受委託契約は一旦解消されましたが、改めて製造受委託契約を締結して継続して製造を委託しており、さらにドイツのPharmpure社との間で製造委受託契約を締結し、同社における製造も開始しております。 (4) 販売販売が先行している欧州地域においては、消化器内視鏡手技向けに、2019年6月にFUJIFILM Europe B.V.(以下、「FUJIFILM」という)とTDM-621の独占販売契約を締結し、同社において販売を開始しております。また、心臓外科手術領域及び耳鼻咽喉領域については主に直販体制による販売を行っております。オーストラリアに関しては、当初現地代理店による販売を行いましたが、販売力強化のため、2019年4月期より、直販体制に移行しております。日本においては、扶桑薬品工業株式会社との間で締結されていた独占販売権許諾契約の終了後、当社による直販による新たな販売体制を構築し、営業職員を採用するとともに内視鏡関連の販売に非常に強い代理店を23社、地域毎に選定し、代理店契約を締結し、各代理店との緊密な協業活動を行っております。米国においては、耳鼻咽喉科領域を皮切りに消化器内視鏡領域等での販売拡大に向けて直販のための販売体制を強化しております。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチド等とも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲン等の構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面を比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名等を印刷し、商品を板状のプラスチックをバキュームフォーム等で成型し囲み込み台紙に接着した又はスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。 用語意味・内容510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸等の薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作ったうえで、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸等のもの。血管内塞栓促進用補綴材血管内に投与して塞栓を形成させ(血管を詰まらせ)、病巣部の血流を遮断することで病巣部の治療を意図する医療機器。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。GLP医薬品・医療機器の開発のために行われる前臨床試験(動物試験等、特に安全性試験)のデータの信頼性を確保するための実施基準。Good Laboratory Practiceの略称。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖等の調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。
FY2022|13,370 文字
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社9社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の独占的実施権の許諾を受けて、同技術を基盤技術とした製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・組織再生領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、後出血予防材、癒着防止材を有しており、組織再生領域では創傷治癒材、歯槽骨再建材、DDS領域では核酸医薬等のためのDDSを有しています。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち最も開発が先行し複数の製品を上市しているペプチドRADA16は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には、分子同士が繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、生物由来の原材料を含まず化学合成により生産されることから、生物由来の原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、組織再生領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインのうち、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材についてはそのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針ですが、地域によっては薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。販売についても製品、地域に応じて、代理店を通じての直接販売及び販売パートナーに対する販売権許諾の双方の戦略を適切に選択しあるいは組み合わせていく方針です。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取り組んでおりますが、医薬品として開発することとなる可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社グループでは、大学等の研究機関とのMTA契約(*)及び共同研究契約に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドを基盤とした応用技術の獲得に取り組んでいます。 A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、癒着防止材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下「TDM-621」という。)の開発を進めています。RADA16の水溶液は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、RADA16の水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がないなど適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、これらの原材料から生じるウイルス感染等のリスクは完全には否定できないことから、生物由来製品又は特定生物由来製品として指定されており、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されます。これに対してPurastatは、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来の細胞。組織等を原材料として含まないため、これらの原材料から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。また、生物由来製品又は特定生物由来製品に求められるプロセスが不要なため、TDM-621は患者と医療従事者の負担の軽減にも貢献できるものと考えられます。 (研究開発の状況)TDM-621の日本での製造販売承認については、2019年10月に消化器内視鏡治療における漏出性出血に対する止血を対象として製造販売承認申請を行い、2020年7月に製造販売承認を取得し、2021年12月からは保険適用が開始されました(製品名はピュアスタット)。また、当社は、TDM-621の海外展開に向け開発を進めております。欧州においては、2014年1月にCEマーキングの指令適合について第三者認証機関から認証を受け、EU加盟国において製品販売を開始しております。アジア・オセアニア・南米地域の主要国では、CEマーキングを活用し、登録承認を取得し、製品販売を開始しております。米国においてはまず消化器内視鏡の領域において、510(k) (*)のプロセスにて承認申請を行い、2021年6月に承認を取得し、欧州において製造を開始しており、2023年4月期からの販売を予定しております。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、消化器内視鏡治療による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術(*)において、腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード: TDM-644)(以下「TDM-644」という。)の開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めたうえで高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)、又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-644であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。<粘膜隆起方法 概略図> (研究開発の状況)本製品は治験を必要としない改良医療機器での製造販売承認を申請し、2020年12月に2021年5月に製造販売承認を取得しております。2021年12月には販売用製品の製造を開始しました。現在保険適用に向けた準備を進めており、今後は早期に止血材とのクロスセルができる体制を構築してまいります。 c)後出血予防材当社グループにおいては、TDM-621について治療後に起こる後出血について医療機器としての承認を得るべく開発を進めています。治療時に後出血が生じると、再手術が必要となることから患者及び医療機関双方の負担が大きく、強いニーズがあります。消化器内視鏡治療における出血はおおよそ5%程度であるのに対し、治療後に後出血が懸念されるリスクの高い患者・手技はおおよそ30%あるとされており、本適応の追加により当社製品が獲得可能な市場は数倍に拡大する可能性があります。 (研究開発の状況)欧州においては、消化器内視鏡治療時に生じる後出血予防効果に関して、2018年12月に適応追加が承認されております。また、オーストラリアにおいても後出血予防効果に関して、2019年9月に適応追加が承認されました。さらに、米国においては2021年6月に止血材の承認と合わせて後出血予防の適応も同時に承認を受けております。 d)癒着防止材RADA16について、止血材だけではなく、癒着防止材、創傷治癒材としての開発も進めております。米国においては耳鼻咽喉科領域においてすでに販売承認を受け、販売を介しておりますが、今後、はるかに大きな市場が存在する産婦人科等の領域に適応拡大をすべく、日本と欧州双方で医師主導治験の準備を進めております。 (研究開発の状況)米国においては2019年4月に耳鼻咽喉科領域において、FDAより癒着防止材兼止血材「PuraSinus」の販売承認を受けております。本製品は、癒着防止、止血、創傷治癒を同時に行える現状唯一の製品であることから、鼻甲介切除術や鼻中隔形成術等において高い臨床的価値を提供でき得るものと期待しております。特に術後のパッキング(鼻に詰め物をする処置)は患者のQOLを著しく悪化させているといわれておりますが、当社製品によってパッキングを極力減らすことが可能となり、患者のQOLを重視する米国市場では強いニーズが期待できます。 e )次世代止血材RADA16とは異なる、当社が独自に開発し特許を保有する新規ペプチド配列を用いた開発品です。現在の止血材より止血効果に優れ、原価を大幅に削減できる等の優位性があると考えられることから、将来的に主力製品として市場に供給すべく開発を進めております。 (研究開発の状況)欧州においては、2021年5月に治験計画届の承認がなされ、2021年7月より脳神経外科を対象とした治験を開始しております。本試験開始前の探索的臨床試験については、2021年12月に全ての患者への投与が完了し、安全性が確認されたことから、本試験への移行が開始されました。 f)血管塞栓材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術における塞栓物として用いるための血管内塞栓促進用補綴材(*)(開発コード:TDM-631)(以下「TDM-631」という。)の研究開発を進めています。肝臓癌や子宮筋腫に対する肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術では、カテーテルを通じて動脈内に塞栓物を注入し、血管内腔を物理的に塞栓することで、腫瘍の栄養血管である動脈を塞いで腫瘍への栄養を絶ち、腫瘍を死滅させます。TDM-631は、血液と接触するとゲル化するため、カテーテルから動脈内に注入されると血管内腔を塞ぐことが可能であり、当社は新たな塞栓物としてTDM-631の開発を進めております。 (研究開発の状況)当社は、前臨床試験により、TDM-631を造影剤に溶解しカテーテルを通して血管内に注入するとゲル化することや、ゲル化したTDM-631はX線カメラにより視認可能なことを確認しております。また、TDM-631の生体内における血管塞栓効果をみるために、動物モデルを用いた実験を行っております。 (B) 組織再生領域自己組織化ペプチドは細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、組織再生領域において創傷治癒材、歯槽骨再建材を開発パイプラインとして有しております。また当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)直腸における粘膜炎の創傷治癒材当社グループは、直腸における粘膜炎により損傷した粘膜組織に塗布することで粘膜組織上に保護膜を形成し、二次炎症の防止や痛みの軽減に加え創傷治癒に最適な湿潤環境を維持する創傷治癒材を開発しております。 (研究開発の状況)米国において、2022年4月に直腸の粘膜炎の創傷治癒に対する501(k)の承認を取得いたしました。この承認は直腸の粘膜炎などの治癒に幅広く使える可能性がある承認であり、止血材よりさらに付加価値の高い製品としての販売が可能となります。例えば一つの適応事例としての放射線性直腸炎は、前立腺がんや子宮がん等への放射線療法に起因する副作用で、大腸粘膜の炎症を高頻度で引き起こします。また、2割程度の患者は慢性的な下血、頻繁な排便、激しい腹痛等の晩期障害に悩まされており、有効な治療法の確立が望まれております。この領域で早急に成長を蓄積し、さらに巨大な市場である炎症性腸疾患(IBD)への適応拡大を進めてまいります。IBDは消化管の難治性炎症で、原因不明で一度発症すると再燃と寛解を繰り返す難治性疾患であり、日本においては特定疾患として指定されています。IBDはグローバルに数兆円の顕在市場が存在します。現在日米欧にて複数の医師主導治験を計画し、早期にPOC(Proof Of Concept)を取得したい考えであります。 b)創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の創傷治癒に適切な湿潤環境を維持する、創傷治癒材(開発コード:TDM-511)(以下「TDM-511」という。)を開発しております。 (研究開発の状況)2014年10月に医療機器として市販前届510(k)を米国FDAに申請し、切り傷、すりむき、創傷、I度熱傷及び医師指導の下での表皮から真皮層までの皮膚創傷(圧迫による褥瘡、下肢潰瘍、糖尿性病性潰瘍、手術痕等)を適用として2015年2月に販売承認を得ました。創傷治癒材としての活用に加え、他薬剤とのコンビネーションによる治療効果の増大が期待できることから、熱傷治療、皮膚がん治療などへの応用研究を進めていく計画です。また、米国において巨大な市場である美容整形分野にアクセスするために、現在米国FDAに対して適応の拡大を申請しております。 c)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材(*)となる製品(開発コード:TDM-711)(以下「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることの開発を進めております。 (研究開発の状況)当社グループは、GLP(*)下において歯槽骨に欠損がある状態でのTDM-711の有効性の確認試験を実施し、通常の欠損群に比べ有意な骨再生が認められたため、その後も研究開発を進めてまいりました。当社グループは、TDM-711につき、2012年2月には、米国ハーバード大学の医学部・歯学部の付属研究所であるフォーサイス・インスティテュート(Forsyth Institute)において、臨床試験を開始し、プロトコルで規定した15症例の施術および経過観察が完了しております。骨再生に有効なデータを得ておりますが、プロトコルに改善の余地があったため、2018年4月期に症例を追加して現在も臨床試験を継続しており、今後も製品化に向けた開発を進めてまいります。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 (研究開発の状況)国立がん研究センターとの「RPN2標的核酸医薬によるトリプルネガティブ乳がん治療」共同プロジェクトにおいて、界面活性剤様ペプチドA6Kを核酸医薬のDDSとして提供しておりました。当社は、国立がん研究センターと共同でがん幹細胞に対する治療薬や診断方法の特許を取得しており、同分野や関連分野の共同研究/共同開発に向けた取り組みを進めております。広島大学との共同プロジェクトにおいても、悪性胸膜中皮腫を対象疾患とする革新的抗腫瘍核酸医薬にA6Kを提供し共同開発を進めておりましたが、広島大学の田原栄俊教授により新たに設立された株式会社PURMX Therapeuticsが今後の製品開発を主導することとなりました。当社も同社株式を一部取得し、今後も引き続き共同で製品開発を進めてまいります。2022年1月には、医師主導治験(第I相)において第一症例の組み入れが実施され、臨床試験が開始されております。核酸医薬へのDDSとして当社製品がヒト臨床で使用されるのはこれで2件目となります。今後の核酸医薬の広まりとともに、当社の技術が核酸のデリバリーのオプションとして更なる広がりをみせる可能性が出てきております。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品の多くは、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期に亘ります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第Ⅲ相まで(第Ⅰ相・第Ⅱ相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第Ⅲ相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社グループが開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、組織再生領域における創傷治癒材・歯槽骨再建材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得しています。なお、DDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また、当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要することなどから、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 当社グループでの医療製品開発における、主要なパイプラインの進捗状況は以下のとおりです。(主要なパイプライン開発の状況) (注)1 吸収性局所止血材欧州:2014年1月にCEマーキング指令適合を受け2015年4月期に製品販売を開始。日本:2020年7月に製造販売承認を取得、2022年4月期に製品販売を開始。米国:2021年6月に510(k)での承認を取得。韓国:CEマーキングでの製品登録申請済、2023年4月期での承認取得及び製品販売開始を予定。南米地域(ブラジル、メキシコ、コロンビア等):2016年4月期に各国での製品登録が完了。2017年4月期より製品販売を開始。他アジア・オセアニア地域:香港、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ブルネイ、オーストラリアタイの各国にて2017年4月期に製品販売を開始。2 癒着防止材米国において2019年4月に耳鼻咽喉科領域においてFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)申請による承認取得。適応拡大を申請中。3 歯槽骨再建材米国において2012年2月に臨床試験を開始、2018年4月期に症例を追加し継続中。4 創傷治癒材2014年10月にFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)を申請、2015年2月に同承認を取得。2022年4月に直腸における粘膜炎についてFDAより承認を取得。5 DDS領域DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)領域において当社ペプチドを医薬品等のキャリアとする大学等の研究機関との共同開発を行い、当社単独での事業化ではなく大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を目標。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから独占的実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約又は共同研究契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取り組んでいます。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 製品販売/代金回収を示しております。2 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。3 業務委託先とは受託臨床試験機関(以下「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。4 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 D MITとのライセンス契約について当社が開発・販売している製品の基盤となる自己組織化ペプチド技術はMITの研究者の発明によるものであり、MITは、かかる技術に関連する技術を多数有しています。当社子会社は2003年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の独占的実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は2004年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、2007年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は2009年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。なお、MITからライセンスを受けている特許以外にも、当社は、次世代の自己組織化ペプチドを独自に開発して、また、当社グループ独自にまた共同研究パートナーと共同で開発した自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社グループ単独または共同研究パートナーと共同で特許出願を行い、その中のいくつかについて特許登録を受けております。 (3) 製造吸収性局所止血材の製造に関して、扶桑薬品工業株式会社との間での従前の製造受委託契約は一旦解消されましたが、改めて製造受委託契約を締結して継続して製造を委託しており、さらにドイツのPharmpure社との間で製造委受託契約を締結し、同社における製造も開始しております。 (4) 販売販売が先行している欧州地域においては、消化器内視鏡手技向けに、2019年6月にFUJIFILM Europe B.V.(以下「FUJIFILM」という)とTDM-621の独占販売契約を締結し、同社において販売を開始しております。また、心臓外科手術領域及び耳鼻咽喉領域については主に直販体制による販売を行っております。オーストラリアに関しては、当初現地代理店による販売を行いましたが、販売力強化のため、2019年4月期より、直販体制に移行しております。日本においては、扶桑薬品工業株式会社との間で締結されていた独占販売権許諾契約の終了後、当社による直販による新たな販売体制を構築し、営業職員を採用するとともに内視鏡関連の販売に非常に強い代理店を23社、地域毎に選定し、代理店契約を締結し、各代理店との緊密な協業活動を行っております。米国においては、耳鼻咽喉科領域を皮切りに消化器内視鏡領域等での販売拡大に向けて直販のための販売体制を強化しており、2023年4月期より相当の規模での販売拡大を目指しております。その他の地域においては、アジア地域を中心に、韓国をはじめとする多くの地域において現地パートナーとの独占販売契約を締結し、地域内での独占販売権を許諾しております。また、2013年3月には、医療機器の品質マネジメントシステムのための国際標準規格ISO13485の認証を取得しており、各国への輸出を実施しております。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチドなどとも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲンなどの構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面を比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名などを印刷し、商品を板状のプラスチックをバキュームフォームなどで成型し囲み込み台紙に接着した又はスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。 用語意味・内容510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸などの薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作ったうえで、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸などのもの。血管内塞栓促進用補綴材血管内に投与して塞栓を形成させ(血管を詰まらせ)、病巣部の血流を遮断することで病巣部の治療を意図する医療機器。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。GLP医薬品・医療機器の開発のために行われる前臨床試験(動物試験等、特に安全性試験)のデータの信頼性を確保するための実施基準。Good Laboratory Practiceの略称。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖などの調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。
FY2021|13,919 文字
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社9社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の専用実施権の許諾を受けて、同技術を用いた製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・研究試薬販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・再生医療領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、癒着防止材を有しており、再生医療領域では歯槽骨再建材、創傷治癒材を有しています。研究試薬販売自己組織化ペプチドのPuraMatrix製品を米国の販売会社を通じて研究試薬用途での販売を行っています。同製品は、国内外の大学・研究機関等における自己組織化ペプチドを用いた様々な医療分野の応用研究に用いられております。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち第一世代の製品であるPuraMatrix製品(RADA16)(*)は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には、分子同士を繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、原材料に生物由来品を含まず化学合成により生産されることから、生物由来品から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品事業の内容① 医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、再生医療領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、再生医療領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材があります。当社グループは、そのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針であり、販売については国内外の提携先に独占販売権を許諾することとしておりますが、特に製品販売立ち上げ当初は直販による販売体制の構築や、また、薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。また、当社グループは、再生医療領域では細胞再生の足場材(*)として骨再生や心筋再生を促進する研究を行っており、今後製品化に向けた開発も行ってまいります。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取り組んでおりますが、医薬品としての開発可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社では、大学等の研究機関とのMTA契約(*)に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドをベースとした応用技術の獲得に取り組んでいます。 A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、癒着防止材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下「TDM-621」という。)の開発を進めています。TDM-621は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、ペプチド水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がないなど適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており生物由来の材料を含むため、ウイルス感染等のリスクは完全には否定できないのに対し、TDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来品を含まないため、生物由来品から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。生物由来品は、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されることから、より安全性の高い製品が期待される状況となっており、TDM-621は患者と医師の負担・リスク軽減に貢献できるものと考えられます。 (研究開発の状況)当社は、TDM-621の日本での製造販売承認申請に向けて、2010年1月より臨床試験(*)を開始し、2011年5月にPMDAに対してTDM-621 の製造販売承認申請を行いましたが、2015年3月に申請の取下げを行いました。有効性評価をより客観的に検証するため2017年4月に再度治験計画届を提出し、消化器内視鏡治療の領域において有効性を従来の止血法と比較する試験を実施、2020年7月にPMDAより消化器内視鏡領域において製造販売承認を取得しております。また、当社は、TDM-621の海外展開に向け開発を進めております。欧州においては、2014年1月にCEマーキングの指令適合について第三者認証機関から認証を受け、EU加盟国への販売が可能となりました。当社は、CEマーキングを活用し、アジア・オセアニア・南米地域の主要国での登録承認を取得し、製品販売を開始しております。米国においてはまず消化器内視鏡の領域において、510(k) (*)のプロセスにて承認申請を行いました。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、消化器内視鏡治療による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術(*)において、腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード: TDM-644)(以下「TDM-644」という。)の研究開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めたうえで高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)、又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-644であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。 <粘膜隆起方法 概略図> (研究開発の状況)2014年12月に国内での臨床試験を開始しましたが、有効性をより明確にできる試験方法や製材の検討を実施するために、2015年2月に自主的に臨床試験を一時中断しました。その後、製品の優位性の検討を高めるため、ペプチドに改良を加えた新たな配列で開発を進めております。2020年12月に治験を必要としない改良医療機器での承認申請を行いました。 c)血管塞栓材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術における塞栓物として用いるための血管内塞栓促進用補綴材(*)(開発コード:TDM-631)(以下「TDM-631」という。)の研究開発を進めています。肝臓癌や子宮筋腫に対する肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術では、カテーテルを通じて動脈内に塞栓物を注入し、血管内腔を物理的に塞栓することで、腫瘍の栄養血管である動脈を塞いで腫瘍への栄養を絶ち、腫瘍を死滅させます。TDM-631は、血液と接触するとゲル化するため、カテーテルから動脈内に注入されると血管内腔を塞ぐことが可能であり、当社は新たな塞栓物としてTDM-631の開発を進めております。 (研究開発の状況)当社は、前臨床試験(*)により、TDM-631を造影剤に溶解しカテーテルを通して血管内に注入するとゲル化することや、ゲル化したTDM-631はX線カメラにより視認可能なことを確認しております。また、TDM-631の生体内における血管塞栓効果をみるために、動物モデルを用いた実験を行っております。 (B) 再生医療領域自己組織化ペプチドは細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、再生医療領域において歯槽骨再建材、創傷治癒材を開発パイプラインとして有しております。また当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材となる製品(開発コード:TDM-711)(以下「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることの開発を進めております。 (研究開発の状況)当社グループは、GLP(*)下において歯槽骨に欠損がある状態でのTDM-711の有効性の確認試験を実施し、通常の欠損群に比べ有意な骨再生が認められたため、その後も研究開発を進めてまいりました。当社グループは、TDM-711につき、2012年2月には、米国ハーバード大学の医学部・歯学部の付属研究所であるフォーサイス・インスティテュート(Forsyth Institute)において、臨床試験を開始し、プロトコルで規定した15症例の施術および経過観察が完了しております。骨再生に有効なデータを得ておりますが、プロトコルに改善の余地があったため、2018年4月期に症例を追加して現在も臨床試験を継続しており、今後も製品化に向けた開発を進めてまいります。 b)創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の再生環境を整え、創傷治癒を促す製品(開発コード:TDM-511)(以下「TDM-511」という。)を開発しております。 (研究開発の状況)当社グループは、前臨床試験を実施し、申請に必要な有効性に関するデータを入手しております。当該結果をもとに市販前届510(k)による申請の準備を進め、2014年10月に医療機器として市販前届510(k)を米国FDAに申請し、2015年2月に販売承認を得ました。創傷治癒材としての活用に加え、他薬剤とのコンビネーションによる治療効果の増大が期待できることから、熱傷治療、皮膚がん治療などへの応用研究を進めていく計画です。また、米国において巨大な市場である美容整形分野にアクセスするために、現在米国FDAに対して適応の拡大を申請しております。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 (研究開発の状況)当社は、界面活性ペプチドを用い国立がん研究センターと新規癌治療技術の開発に向けて共同研究を行っており、癌細胞への徐放技術の確立に向け前臨床試験実施し、乳がん治療に向けたsiRNA核酸医薬のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)を共同開発しております。外科領域・再生医療領域では、当社は自ら医療機器として臨床試験・製造販売承認取得まで開発を進めますが、DDS領域では、医薬品としての開発が主力となるため、事業化に関してはsiRNA等の薬剤や治療物質についての技術を有する大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を実施する予定です。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品は、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期に亘ります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第Ⅲ相まで(第Ⅰ相・第Ⅱ相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第Ⅲ相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社が開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、再生医療領域における歯槽骨再建材・創傷治癒材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得します。主にDDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また、当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要することなどから、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 当社グループでの医療製品開発における、主要なパイプラインの進捗状況は以下のとおりです。(主要なパイプライン開発の状況) (注)1 吸収性局所止血材欧州:2014年1月にCEマーキング指令適合を受け2015年4月期に製品販売を開始。日本:2020年7月に製造販売承認を取得。米国:510(k)での承認申請済。韓国:CEマーキングでの製品登録申請済、2022年4月期での承認取得、2023年4月期での製品販売開始を予定。南米地域(ブラジル、メキシコ、コロンビア等):2016年4月期に各国での製品登録が完了。2017年4月期より製品販売を開始。他アジア・オセアニア地域:香港、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ブルネイ、オーストラリアタイの各国にて2017年4月期に製品販売を開始。2 癒着防止材米国においてFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)申請による承認取得。適応拡大を申請中。3 歯槽骨再建材米国において2012年2月に臨床試験を開始、2018年4月期に症例を追加し継続中。4 創傷治癒材2014年10月にFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)を申請。2015年2月にFDAより同承認を取得。5 DDS領域DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)領域において当社ペプチドを医薬品等のキャリアとする開発で、当社単独での事業化ではなく大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を目標。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから専用実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取り組んでいます。当社は、ペプチド原材料の製造を複数社に委託しており、吸収性局所止血材の製造については、扶桑薬品工業株式会社との間で締結した製造委受託契約が終了しましたが、新たな製造受託先への移行までに必要と想定される製造量についての製造を行うことを同社との間で合意しております。製造所移管に関しましては、次世代止血材の製造を行う相手先を第一候補として、製造バリデーション等の準備を整えております。また当社は、2009年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結しており、ペプチド原材料調達・製品製造委託・販売に関して協力・支援を受ける体制をとっています。製品販売に関しては、吸収性局所止血材の販売について、2014年1月にCEマーキングの指令適合に係る認証を取得し、EU加盟国及びCEマーキング適用圏であるアジアにて製品販売を開始しております。欧州地域における販売契約は、まず内視鏡領域に関しては、2019年6月にFUJIFILM Europe B.V.(以下「FUJIFILM」という)と独占販売の締結を致しました。その他の領域に関しては、複数社との交渉を継続して進めております。なお、オーストラリアに関しては、当初現地代理店による販売を行いましたが、販売力強化のため、2019年4月期より、直販体制に移行しております。日本においては、扶桑薬品工業株式会社との間で締結された独占販売権許諾契約が終了したため、新しい販売パートナーを早期に獲得すべく活動を進めるとともに、直販も含めた様々な選択肢を検討し、新たな販売体制を早急に構築してまいります。当社は、海外への製品販売に向けても、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを2010年9月に締結し、同社に対し韓国における独占販売権を許諾し、また、台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを同月に締結し、同社に対し台湾における独占的開発・製造・販売権を許諾しております。また、2013年3月には、医療機器の品質マネジメントシステムのための国際標準規格ISO13485の認証を取得しており、各国への輸出を実施しております。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 製品販売/代金回収を示しております。2 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。3 当社は、業務提携先からは、ペプチド原材料調達、製造技術、国内外の販売提携に関する助言/協力/支援を得ています。また、業務委託先とは受託臨床試験機関(以下「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。4 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 ② 研究試薬販売当社は、2008年2月より米国の販売会社とSupply Agreementを締結し、同社に対し自己組織化ペプチドのうちPuraMatrix製品(RADA16)の研究試薬としての独占販売権を許諾して、全世界の大学・研究機関等に向けて同製品を研究試薬として販売しています。かかる研究試薬については、ペプチド原材料の製造、溶解及び最終パッケージングを製造委託先に委託しています。当社は、各大学・研究機関等における研究に使用されることで新規アプリケーションの開発が進められることを期待して研究試薬販売を行っています。これまでに、当社が販売した研究試薬は、各研究機関において細胞種のin vitro(*)・in vivo(*)での注入実験などに使用されています。 研究試薬販売における基本的な事業の流れは以下のとおりです。 (3) MITとのライセンス契約について自己組織化ペプチドの物質特許及び基本的な用途特許は、MITが有しています。当社子会社は2003年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の専用実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は2004年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、2007年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は2009年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。当社グループは、このようにしてMITからライセンスを受けた自己組織化ペプチド技術を用いて医療製品の研究開発に取り組んでいます。当社は、自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社子会社とともに特許出願を行い、また共同研究先と特許共同出願をしています。 当社グループがMITから専用実施権の許諾を受けている主な特許権等は下記のとおりです。なお、当社子会社とMITとのライセンス契約の概要は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 対象発明の名称登録番号出願日登録日期限自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 77139232004年6月25日2010年5月11日2024年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 89010842004年6月25日2014年12月2日2024年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド細胞培養法第5057781号2004年6月25日2012年8月10日2024年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許EP 16362502004年6月25日2016年1月6日2024年6月25日自己組織化ペプチド神経再生法US 78468912003年10月17日2010年12月7日2023年10月17日自己組織化ペプチド界面活性剤様ペプチド ナノ構造US 71797842002年7月10日2007年2月20日2022年7月10日自己組織化ペプチド界面活性剤様ペプチド ナノ構造US 76712582006年1月25日2010年3月2日2026年1月25日 (4) アライアンス先との提携契約について当社グループは、MITより実施許諾を受けている自己組織化ペプチド技術が幅広い応用可能性を持つ技術であると認識しております。当社は、当技術を用いたパイプラインの探索や医療機器としての開発、事業化戦略の立案等の企画機能に特化し、製造や販売機能は他社との事業提携によって補完する戦略を採っていることから、製造や販売に関しては適宜に戦略的な事業提携を行い、製品の開発から販売、継続供給の体制を構築していく方針です。当社は、吸収性局所止血材について、2009年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結し、ペプチド原材料の調達、製品製造の委託、販売提携に関して相手先の推薦・選定及び条件について助言を受け、相手先との交渉・コミュニケーションについて継続的に協力・支援を受けることとしています。また、当社は2010年9月に韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の韓国における独占的販売権を付与し、また同月、台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の台湾における独占的開発・製造及び販売権を付与しております。当社シンガポール子会社3-D Matrix Asia Pte. Ltd.は、2014年5月にインドネシアのPT. Teguhsindo Lestaritamaとインドネシアにおける独占販売権許諾契約を締結し、2015年7月に韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとタイ・ベトナム・フィリピンにおける独占販売権の許諾、インドネシアにおける非独占販売権の許諾を行っております。当社欧州子会社3-D Matrix Europe B.V.は、FUJIFILMとDISTRIBUTOR AGREEMENTを締結し、FUJIFILMによって欧州全域における消化器内視鏡手技向けに本製品を独占的に販売して頂くことになっております。これらの契約の概要は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。PuraMatrix製品自己組織化ペプチド技術を用いたハイドロゲルの第一世代商品であり、体を構成するアミノ酸であるアルギニン(R)、アラニン(A)、アスパラギン酸(D)からなる繰り返し配列である16残基のペプチド(RADA16)。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチドなどとも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲンなどの構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面を比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名などを印刷し、商品を板状のプラスチックをバキュームフォームなどで成型し囲み込み台紙に接着した又はスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。 用語意味・内容 臨床試験薬事承認の取得を目的として、未承認の医薬・医療機器をヒトに投与してデータ収集し、ヒトに対する安全性・有効性を検証する試験。内視鏡的粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸などの薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作ったうえで、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸などのもの。血管内塞栓促進用補綴材血管内に投与して塞栓を形成させ(血管を詰まらせ)、病巣部の血流を遮断することで病巣部の治療を意図する医療機器。前臨床試験医薬品や医療機器の製造承認申請に際し、開発段階で、ヒトへ使用する(臨床)前に、複数種類の動物で生体への基礎的な効果(安全性・有効性)を評価・証明する科学的データを取得するために実施する試験。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。GLP医薬品・医療機器の開発のために行われる前臨床試験(動物試験等、特に安全性試験)のデータの信頼性を確保するための実施基準。Good Laboratory Practiceの略称。510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖などの調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。in vitroヒトや動物の組織を用いて生きたままの状態(生体)と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応等を検証する試験。in vivo動物を用いて生きたままの状態(生体)で、薬物の反応等を検証する試験。
FY2020|15,402 文字
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社9社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の専用実施権の許諾を受けて、同技術を用いた製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・研究試薬販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・再生医療領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、癒着防止材を有しており、再生医療領域では歯槽骨再建材、創傷治癒材を有しています。研究試薬販売自己組織化ペプチドのPuraMatrix製品を米国の販売会社を通じて研究試薬用途での販売を行っています。同製品は、国内外の大学・研究機関等における自己組織化ペプチドを用いた様々な医療分野の応用研究に用いられております。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち第一世代の製品であるPuraMatrix製品(RADA16)(*)は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には分子同士を繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、原材料に生物由来品を含まず化学合成により生産されることから、生物由来品から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品事業の内容① 医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、再生医療領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、再生医療領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材があります。当社グループは、そのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針であり、販売については国内外の提携先に独占販売権を許諾することとしておりますが、国外では、薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。また、当社グループは、再生医療領域では細胞再生の足場材(*)として骨再生や心筋再生を促進する研究を行っており、今後製品化に向けた開発も行ってまいります。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取り組んでおりますが、医薬品としての開発可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社では、大学等の研究機関とのMTA契約(*)に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドをベースとした応用技術の獲得に取り組んでいます。 A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、癒着防止材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下「TDM-621」という。)の開発を進めています。TDM-621は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、ペプチド水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がないなど適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成され、又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、生物由来の材料を含むため、ウイルス感染等のリスクは完全には否定できないのに対し、TDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来品を含まないため、生物由来品から生じるウイルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。生物由来品は、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されることから、より安全性の高い製品が期待される状況となっており、TDM-621は患者と医師の負担・リスク軽減に貢献できるものと考えられます。 (研究開発の状況)当社は、TDM-621の日本での製造販売承認申請に向けて、2010年1月より臨床試験(*)を開始し、冠動脈バイパス術(*)及び人工血管置換術(*)等における血管吻合部の間隙からの滲出性出血(*)、肝臓切除術における肝切除創面からの滲出性出血(*)、上部消化管の内視鏡的粘膜切除術(*)及び内視鏡的粘膜下層剥離術(*)における粘膜切除部及び粘膜下層剥離部からの滲出性出血を対象とした全97症例の臨床試験を2011年4月までに終了しております。TDM-621は、かかる臨床試験において有効な止血効果が総じて認められ、かつ術後5~7日後の検査においても問題は見受けられませんでした。このような臨床試験の結果を受けて、当社は、2011年5月にPMDAに対してTDM-621の製造販売承認申請を行いましたが、2015年3月に申請の取下げを行いました。有効性評価をより客観的に検証するため2017年4月に再度治験計画届を提出し、消化器内視鏡治療の領域において、有効性を従来の止血法と比較する試験を実施、2019年7月に終了致しました。TDM-621は2020年7月においてPMDAより消化器内視鏡領域において製造販売承認を取得しております。また、当社は、TDM-621の海外展開に向け開発を進めております。欧州においては、2014年1月にCEマーキングの指令適合について第三者認証機関から認証を受け、EU加盟国への販売が可能となりました。当社は、CEマーキングを活用し、アジア・オセアニア・南米地域への販売に向けた準備を進め、同地域の主要国での登録承認を取得し、製品販売を開始しております。米国においてはまず消化器内視鏡の領域において、510(k)のプロセスを利用して、臨床試験なしで承認申請を行うことを計画し、現在必要となる非臨床試験データの収集を行っております。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、消化器内視鏡治療による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術において腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード:TDM-641)(以下「TDM-641」という。)の研究開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めたうえで高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)、又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-641であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。 <粘膜隆起方法 概略図> (研究開発の状況)TDM-641は、TDM-621と濃度は異なるものの同一の自己組織化ペプチドであるRADA16を原材料としており、2014年12月11日に国内での臨床試験を開始し、有効性をより明確にできる試験方法や製材の検討を実施するために、2015年2月16日に自主的に臨床試験を一時中断しております。その後、製品の優位性の検討を進める中、ペプチドに改良を加え一定程度の結果や成果が得られております。本製品は治験を必要としない改良医療機器での承認申請を行う方向で開発を進めており、早期の製品上市に向けて活動を進めてまいります。 c)血管塞栓材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術における塞栓物として用いるための血管内塞栓促進用補綴材(*)(開発コード:TDM-631)(以下「TDM-631」という。)の研究開発を進めています。肝臓癌や子宮筋腫に対する肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術では、カテーテルを通じて動脈内に塞栓物を注入し、血管内腔を物理的に塞栓することで、腫瘍の栄養血管である動脈を塞いで腫瘍への栄養を絶ち、腫瘍を死滅させます。TDM-631は、血液と接触するとゲル化するため、カテーテルから動脈内に注入されると血管内腔を塞ぐことが可能であり、当社は新たな塞栓物としてTDM-631の開発を進めております。 (研究開発の状況)当社は、前臨床試験(*)により、TDM-631を造影剤に溶解しカテーテルを通して血管内に注入するとゲル化することや、ゲル化したTDM-631はX線カメラにより視認可能なことを確認しております。また、TDM-631の生体内における血管塞栓効果をみるために、動物モデルを用いた実験を行っております。 (B) 再生医療領域自己組織化ペプチドは細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、再生医療領域において歯槽骨再建材、創傷治癒材を開発パイプラインとして有しております。また当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材となる製品(開発コード:TDM-711)(以下「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることも検討し、また米国での臨床試験で15症例の施術・経過観察が完了し骨形成に良好な結果やデータを得たことから、FDA承認の後、前第1四半期より次のフェーズでの臨床試験を開始しております。骨形成を確認するため経過観察に時間を要することから、当期末においても臨床試験を継続しており、今後も製品化に向けた開発を進めてまいります。 (研究開発の状況)当社グループは、GLP(*)下において歯槽骨に欠損がある状態でのTDM-711の有効性の確認試験を実施し、通常の欠損群に比べ有意な骨再生が認められたため、その後も研究開発を進めてまいりました。当社グループは、TDM-711につき、FDAに対し2010年9月にIDE申請を行い、2011年7月にIDEの承認を得たことに続き、2012年2月には、米国ハーバード大学の医学部・歯学部の付属研究所であるフォーサイス・インスティテュート(Forsyth Institute)において、臨床試験を開始し、プロトコルで規定した15症例の施術が完了しております。当該最終結果を受領し、FDAに提出しておりましたが、骨再生に有効なデータを得られたことから、次のフェーズでの臨床試験を実施中です。 b)創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の再生環境を整え、創傷治癒を促す製品(開発コード:TDM-511)(以下「TDM-511」という。)を開発しております。 (研究開発の状況)当社グループは、前臨床試験を実施し、申請に必要な有効性に関するデータを入手しております。当該結果をもとに市販前届510(k)(*)による申請の準備を進め、2014年10月に医療機器として市販前届510(k)を米国FDAに申請し、2015年2月に販売承認を得ました。創傷治癒材としての活用に加え、他薬剤とのコンビネーションによる治療効果の増大が期待できることから、熱傷治療、皮膚がん治療などへの応用研究を進めていく計画です。また、米国において巨大な市場である美容整形分野にアクセスするために、現在米国FDAに対して適応の拡大を申請しております。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 (研究開発の状況)当社は、界面活性ペプチドを用い国立がん研究センターと新規癌治療技術の開発に向けて共同研究を行っており、癌細胞への徐放技術の確立に向け前臨床試験実施し、乳がん治療に向けたsiRNA核酸医薬のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)を共同開発しております。外科領域・再生医療領域では、当社は自ら医療機器として臨床試験・製造販売承認取得まで開発を進めますが、DDS領域では、医薬品としての開発が主力となるため、事業化に関してはsiRNA等の薬剤や治療物質についての技術を有する大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を実施する予定です。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品は、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期に亘ります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第3相まで(第1相・第2相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第3相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社が開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・癒着防止材、再生医療領域における歯槽骨再建材・創傷治癒材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得します。主にDDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要することなどから、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 当社グループでの医療製品開発における、主要なパイプラインの進捗状況は以下のとおりです。(主要なパイプライン開発の状況) (注)1 吸収性局所止血材欧州:2014年1月にCEマーキング指令適合を受け、2015年4月期に製品販売を開始。日本:2020年7月に製造販売承認を取得。米国:510(k)での承認申請を計画。韓国:CEマーキングでの製品登録申請済み、2021年4月期での承認取得、2022年4月期での製品販売開始を予定。南米地域(ブラジル、メキシコ、コロンビア等):2016年4月期に各国での製品登録が完了。2017年4月期より製品販売を開始。他アジア・オセアニア地域:香港、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ブルネイ、オーストラリアタイの各国にて2017年4月期に製品販売を開始。2 癒着防止材米国においてFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)申請による承認取得、2021年4月期中の製品販売開始を予定。3 歯槽骨再建材米国において2012年2月に臨床試験を開始、2021年4月期に臨床試験を完了予定。4 創傷治癒材2014年10月にFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)を申請。2015年2月にFDAより同承認を取得。5 DDS領域DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)領域において当社ペプチドを医薬品等のキャリアとする開発で、当社単独での事業化ではなく大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を目標。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから専用実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取り組んでいます。当社は、ペプチド原材料の製造を複数社に委託しており、吸収性局所止血材の製造については、扶桑薬品工業株式会社との間で製造受委託契約を締結しております(注)。また、当社は、2009年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結しており、ペプチド原材料調達・製品製造委託・販売に関して協力・支援を受ける体制をとっています。製品販売に関しては、吸収性局所止血材の販売について、2014年1月にCEマーキングの指令適合に係る認証を取得し、EU加盟国及びCEマーキング適用圏であるアジアにて製品販売を開始しております。欧州地域における販売契約は、まず内視鏡領域に関しては、2019年6月にFUJIFILM Europe B.V.(以下「FUJIFILM」という)と独占販売の締結を致しました。その他の領域に関しては、複数社との交渉を継続して進めております。なお、オーストラリアに関しては、当初現地代理店による販売を行いましたが、販売力強化のため、2019年4月期より、直販体制に移行しております。日本においては、吸収性局所止血材の販売に向けて扶桑薬品工業株式会社と2009年7月に独占販売権許諾契約を締結しております(注)。当社は、海外への製品販売に向けても、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを2010年9月に締結し、同社に対し韓国における独占販売権を許諾し、また台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを同月に締結し、同社に対し台湾における独占的開発・製造・販売権を許諾しております。また、2013年3月には、医療機器の品質マネジメントシステムのための国際標準規格ISO13485の認証を取得しており、各国への輸出を実施しております。 (注)扶桑薬品工業株式会社からは独占販売権許諾契約および製造委受託契約の解除通知を2020年7月に受領しております。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 製品販売/代金回収を示しております。2 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。3 当社は、業務提携先からは、ペプチド原材料調達、製造技術、国内外の販売提携に関する助言/協力/支援を得ています。また、業務委託先とは受託臨床試験機関(以下「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。4 当社は、止血材製品について、扶桑薬品工業株式会社には日本における独占的販売権の許諾及び製造工程の一部委託をしております。Daewoong Pharmaceutical Co.LTDには韓国における独占販売権の許諾をしております。Excelsior Medical Co., Ltd.には台湾における独占的開発・製造及び販売権の許諾をしております。また、粘膜隆起材製品について、扶桑薬品工業株式会社に日本における独占的販売権の許諾をしております。5 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 ② 研究試薬販売当社は、2008年2月より米国の販売会社とSupply Agreementを締結し、同社に対し自己組織化ペプチドのうちPuraMatrix製品(RADA16)の研究試薬としての独占販売権を許諾して、全世界の大学・研究機関等に向けて同製品を研究試薬として販売しています。かかる研究試薬については、ペプチド原材料の製造、溶解及び最終パッケージングを製造委託先に委託しています。当社は、各大学・研究機関等における研究に使用されることで新規アプリケーションの開発が進められることを期待して研究試薬販売を行っています。これまでに、当社が販売した研究試薬は、各研究機関において細胞種のin vitro(*)・in vivo(*)での注入実験などに使用されています。 研究試薬販売における基本的な事業の流れは以下のとおりです。 (3) MITとのライセンス契約について自己組織化ペプチドの物質特許及び基本的な用途特許は、MITが有しています。当社子会社は2003年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の専用実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は、2004年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、2007年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は2009年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。当社グループは、このようにしてMITからライセンスを受けた自己組織化ペプチド技術を用いて医療製品の研究開発に取り組んでいます。当社は、自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社子会社とともに特許出願を行い、また共同研究先と特許共同出願をしています。 当社グループがMITから専用実施権の許諾を受けている主な特許権等は下記のとおりです。なお、当社子会社とMITとのライセンス契約の概要は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 対象発明の名称登録番号出願日登録日期限自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法US 74491802001年2月6日2008年11月30日2021年2月6日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法EP 13679612002年2月6日2008年12月31日2021年2月6日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 77139232004年6月25日2010年5月11日2024年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 89010842004年6月25日2014年12月2日2024年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド細胞培養法第5057781号2004年6月25日2012年8月10日2024年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許EP 16362502004年6月25日2016年1月6日2024年6月25日自己組織化ペプチド神経再生法US 78468912003年10月17日2010年12月7日2023年10月17日自己組織化ペプチド3次元細胞培養第5057629号2002年2月6日2012年8月10日2021年2月6日自己組織化ペプチド3次元細胞培養CA 23449542001年4月25日2016年1月5日2021年4月25日自己組織化ペプチド界面活性剤様ペプチド ナノ構造US 71797842002年7月10日2007年2月20日2022年7月10日自己組織化ペプチド界面活性剤様ペプチド ナノ構造US 76712582006年1月25日2010年3月2日2026年1月25日 (4) アライアンス先との提携契約について当社グループは、MITより実施許諾を受けている自己組織化ペプチド技術が幅広い応用可能性を持つ技術であると認識しております。当社は、当技術を用いたパイプラインの探索や医療機器としての開発、事業化戦略の立案等の企画機能に特化し、製造や販売機能は他社との事業提携によって補完する戦略を採っていることから、製造や販売に関しては適宜に戦略的な事業提携を行い、製品の開発から販売、継続供給の体制を構築していく方針です。当社は、吸収性局所止血材について、2009年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結し、ペプチド原材料の調達、製品製造の委託、販売提携に関して相手先の推薦・選定及び条件について助言を受け、相手先との交渉・コミュニケーションについて継続的に協力・支援を受けることとしています。また、当社は、2009年7月、扶桑薬品工業株式会社と吸収性局所止血材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して製品の販売体制の構築に取り組んでおり、2011年5月には、同社と製造受委託契約書を締結し、同社に止血材製品の製造工程の一部を独占的に委託しています(注)。さらに、当社は、2010年9月、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の韓国における独占的販売権を付与し、また同月、台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の台湾における独占的開発・製造及び販売権を付与しております。当社シンガポール子会社3-D Matrix Asia Pte. Ltd.は、2014年5月にインドネシアのPT. Teguhsindo Lestaritamaとインドネシアにおける独占販売権許諾契約を締結し、2015年7月に韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとタイ・ベトナム・フィリピンにおける独占販売権の許諾、インドネシアにおける非独占販売権の許諾を行っております。当社欧州子会社3-D Matrix Europe B.V.は、FUJIFILMとDISTRIBUTOR AGREEMENTを締結し、FUJIFILMによって欧州全域における消化器内視鏡手技向けに本製品を独占的に販売して頂くことになっております。その他、当社は、2012年2月、扶桑薬品工業株式会社と粘膜隆起材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して、製品化及び販売体制の構築に取り組んでおります(注)。これらの契約の概要は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 (注)扶桑薬品工業株式会社からは独占販売権許諾契約および製造委受託契約の解除通知を2020年7月に受領しております。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。PuraMatrix製品自己組織化ペプチド技術を用いたハイドロゲルの第一世代商品であり、体を構成するアミノ酸であるアルギニン(R)、アラニン(A)、アスパラギン酸(D)からなる繰り返し配列である16残基のペプチド(RADA16)。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチドなどとも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲンなどの構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面を比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名などを印刷し、商品を板状のプラスチックをバキュームフォームなどで成型し囲み込み台紙に接着した、またはスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。 用語意味・内容 臨床試験薬事承認の取得を目的として、未承認の医薬・医療機器をヒトに投与してデータ収集し、ヒトに対する安全性・有効性を検証する試験。冠動脈バイパス術虚血性心疾患の治療法で、心臓に血液を送る冠動脈の狭窄、閉塞による血流量の低下を解消するために、大動脈等から血管をつなぐことで、血流量の回復をはかる手術。人工血管置換術動脈瘤等の血流を阻害する箇所を切除して、合成繊維でできた人工血管に置き換えて血流を改善する手術。滲出性出血出血状態の分類の一つで、滲み出るような弱い出血。内視鏡的粘膜切除術内視鏡を用いて筋層以下(粘膜下層の奥)に障害を与えずに、粘膜下層の深さで粘膜層をスネアと呼ばれるワイヤーに高周波電流を流して組織を回収することで、早期癌やポリープなどを治療する手術。内視鏡的粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸などの薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作ったうえで、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸などのもの。血管内塞栓促進用補綴材血管内に投与して塞栓を形成させ(血管を詰まらせ)、病巣部の血流を遮断することで病巣部の治療を意図する医療機器。前臨床試験医薬品や医療機器の製造承認申請に際し、開発段階で、ヒトへ使用する(臨床)前に、複数種類の動物で生体への基礎的な効果(安全性・有効性)を評価・証明する科学的データを取得するために実施する試験。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。GLP医薬品・医療機器の開発のために行われる前臨床試験(動物試験等、特に安全性試験)のデータの信頼性を確保するための実施基準。Good Laboratory Practiceの略称。510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖などの調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。in vitroヒトや動物の組織を用いて生きたままの状態(生体)と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応等を検証する試験。in vivo動物を用いて生きたままの状態(生体)で、薬物の反応等を検証する試験。
FY2019|15,179 文字
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社9社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の専用実施権の許諾を受けて、同技術を用いた製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・研究試薬販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・再生医療領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、血管塞栓材を有しており、再生医療領域では歯槽骨再建材、創傷治癒材を有しています。なお、吸収性局所止血材及び粘膜隆起材については、これまでに販売提携先から契約一時金及びマイルストーンペイメントを得ており、吸収性局所止血材については、製品販売売上を計上しております。研究試薬販売自己組織化ペプチドのPuraMatrix製品を米国の販売会社を通じて研究試薬用途での販売を行っています。同製品は、国内外の大学・研究機関等における自己組織化ペプチドを用いた様々な医療分野の応用研究に用いられております。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち第一世代の製品であるPuraMatrix製品(RADA16)(*)は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には分子同士を繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、原材料に生物由来品を含まず化学合成により生産されることから、生物由来品から生じるウィルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品事業の内容① 医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、再生医療領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・血管塞栓材、再生医療領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材があります。当社グループは、そのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針であり、販売については国内外の提携先に独占販売権を許諾することとしておりますが、国外では、薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。また、当社グループは、再生医療領域では細胞再生の足場材(*)として骨再生や心筋再生を促進する研究を行っており、今後製品化に向けた開発も行ってまいります。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取り組んでおりますが、医薬品としての開発可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社では、大学等の研究機関とのMTA契約(*)に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドをベースとした応用技術の獲得に取り組んでいます。A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、血管塞栓材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下「TDM-621」という。)の開発を進めています。TDM-621は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、ペプチド水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がないなど適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成され、又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、生物由来の材料を含むため、ウィルス感染等のリスクは完全には否定できないのに対し、TDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来品を含まないため、生物由来品から生じるウィルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。生物由来品は、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されることから、より安全性の高い製品が期待される状況となっており、TDM-621は患者と医師の負担・リスク軽減に貢献できるものと考えられます。 (研究開発の状況)当社は、TDM-621の日本での製造販売承認申請に向けて、2010年1月より臨床試験(*)を開始し、冠動脈バイパス術(*)及び人工血管置換術(*)等における血管吻合部の間隙からの滲出性出血(*)、肝臓切除術における肝切除創面からの滲出性出血(*)、上部消化管の内視鏡的粘膜切除術(*)及び内視鏡的粘膜下層剥離術(*)における粘膜切除部及び粘膜下層剥離部からの滲出性出血を対象とした全97症例の臨床試験を2011年4月までに終了しております。TDM-621は、かかる臨床試験において有効な止血効果が総じて認められ、かつ術後5~7日後の検査においても問題は見受けられませんでした。このような臨床試験の結果を受けて、当社は、2011年5月にPMDAに対してTDM-621の製造販売承認申請を行いましたが、2015年3月に申請の取下げを行い、有効性評価をより客観的に検証するための再臨床試験に向けた協議を継続しておりましたが、2017年4月に治験計画届を提出し、消化器内視鏡治療の領域において、有効性を従来の止血法と比較する試験を実施することとしました。また、当社は、TDM-621の海外展開に向け開発を進めております。欧州においては、2014年1月にCEマーキングの指令適合について第三者認証機関から認証を受け、EU加盟国への販売が可能となりました。当社は、CEマーキングを活用し、アジア・オセアニア・南米地域への販売に向けた準備を進め、同地域の主要国での登録承認を取得し、製品販売を開始しております。米国においては臨床試験の開始に向けたFDAとのプロトコルに関する協議を進めております。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、内視鏡手術による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術において腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード:TDM-641)(以下「TDM-641」という。)の研究開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めたうえで高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)、又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-641であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。 <粘膜隆起方法 概略図> (研究開発の状況)TDM-641は、TDM-621と濃度は異なるものの同一の自己組織化ペプチドであるRADA16を原材料としており、2014年12月11日に国内での臨床試験を開始し、有効性をより明確にできる試験方法や製材の検討を実施するために、2015年2月16日に自主的に臨床試験を一時中断しております。その後、製品の優位性の検討を進める中、ペプチドに改良を加え一定程度の結果や成果が得られております。2019年4月期下期より改良版の製材を用いた新治験プロトコルにつきPMDAとの協議再開しております。また一方で治験を必要としない改良医療機器での承認申請の方策も模索しており、早期の製品上市に向けて研究開発を進めてまいります。 c)血管塞栓材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術における塞栓物として用いるための血管内塞栓促進用補綴材(*)(開発コード:TDM-631)(以下「TDM-631」という。)の研究開発を進めています。肝臓癌や子宮筋腫に対する肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術では、カテーテルを通じて動脈内に塞栓物を注入し、血管内腔を物理的に塞栓することで、腫瘍の栄養血管である動脈を塞いで腫瘍への栄養を絶ち、腫瘍を死滅させます。TDM-631は、血液と接触するとゲル化するため、カテーテルから動脈内に注入されると血管内腔を塞ぐことが可能であり、当社は新たな塞栓物としてTDM-631の開発を進めております。 (研究開発の状況)当社は、前臨床試験(*)により、TDM-631を造影剤に溶解しカテーテルを通して血管内に注入するとゲル化することや、ゲル化したTDM-631はX線カメラにより視認可能なことを確認しております。また、TDM-631の生体内における血管塞栓効果をみるために、動物モデルを用いた実験を行っております。 (B) 再生医療領域自己組織化ペプチドは細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、再生医療領域において歯槽骨再建材、創傷治癒材を開発パイプラインとして有しております。また当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材となる製品(開発コード:TDM-711)(以下「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることも検討し、また米国での臨床試験で15症例の施術・経過観察が完了し骨形成に良好な結果やデータを得たことから、FDA承認の後、前第1四半期より次のフェーズでの臨床試験を開始しております。骨形成を確認するため経過観察に時間を要することから、当期末においても臨床試験を継続しており、今後も製品化に向けた開発を進めてまいります。 (研究開発の状況)当社グループは、GLP(*)下において歯槽骨に欠損がある状態でのTDM-711の有効性の確認試験を実施し、通常の欠損群に比べ有意な骨再生が認められたため、その後も研究開発を進めてまいりました。当社グループは、TDM-711につき、FDAに対し2010年9月にIDE申請を行い、2011年7月にIDEの承認を得たことに続き、2012年2月には、米国ハーバード大学の医学部・歯学部の付属研究所であるフォーサイス・インスティテュート(Forsyth Institute)において、臨床試験を開始し、プロトコルで規定した15症例の施術が完了しております。当該最終結果を受領し、FDAに提出しておりましたが、骨再生に有効なデータを得られたことから、次のフェーズでの臨床試験を実施中です。 b)創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の再生環境を整え、創傷治癒を促す製品(開発コード:TDM-511)(以下「TDM-511」という。)を開発しております。 (研究開発の状況)当社グループは、前臨床試験を実施し、申請に必要な有効性に関するデータを入手しております。当該結果をもとに市販前届510(k)(*)による申請の準備を進め、2014年10月に医療機器として市販前届510(k)を米国FDAに申請し、2015年2月に販売承認を得ました。創傷治癒材としての活用に加え、他薬剤とのコンビネーションによる治療効果の増大が期待できることから、熱傷治療、皮膚がん治療、美容整形分野での研究開発を進めております。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 (研究開発の状況)当社は、界面活性ペプチドを用い国立がん研究センターと新規癌治療技術の開発に向けて共同研究を行っており、癌細胞への徐放技術の確立に向け前臨床試験実施し、乳がん治療に向けたsiRNA核酸医薬のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)を共同開発しております。外科領域・再生医療領域では、当社は自ら医療機器として臨床試験・製造販売承認取得まで開発を進めますが、DDS領域では、医薬品としての開発が主力となるため、事業化に関してはsiRNA等の薬剤や治療物質についての技術を有する大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を実施する予定です。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品は、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期に亘ります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第3相まで(第1相・第2相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第3相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社が開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・血管塞栓材、再生医療領域における歯槽骨再建材・創傷治癒材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得します。主にDDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要することなどから、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 当社グループでの医療製品開発における、主要なパイプラインの進捗状況は以下のとおりです。(主要なパイプライン開発の状況) (注)1 吸収性局所止血材欧州:2014年1月にCEマーキング指令適合を受け、2015年4月期に製品販売を開始。日本:2011年4月に臨床試験を終了し2011年5月に製造販売承認申請も、2015年3月に承認申請取下げ。その後、2017年4月期に再度の臨床試験に向けた治験計画届を提出、2018年4月期に臨床試験を開始。米国:FDA(米国食品医薬品局)と臨床試験に向けたプロトコル協議中、2020年4月期での臨床試験の実施目標に計画を変更、2021年4月期以降での承認取得・製品販売を予定。韓国:CEマーキングでの製品登録申請済み、2020年4月期での承認取得、2021年4月期での製品販売開始を予定。南米地域(ブラジル、メキシコ、コロンビア等):2016年4月期に各国での製品登録が完了。2017年4月期より製品販売を開始。他アジア・オセアニア地域:香港、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ブルネイ、オーストラリアタイの各国にて2017年4月期に製品販売を開始。2 癒着防止材米国においてFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)申請による承認取得、2020年4月期中の製品販売開始を予定。3 歯槽骨再建材米国において2012年2月に臨床試験を開始、2020年4月期に臨床試験を完了し、製造販売承認申請を予定。4 創傷治癒材2014年10月にFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)を申請。2015年2月にFDAより同承認を取得。5 DDS領域DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)領域において当社ペプチドを医薬品等のキャリアとする開発で、当社単独での事業化ではなく大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を目標。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから専用実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取り組んでいます。当社は、ペプチド原材料の製造を複数社に委託しており、吸収性局所止血材の製造については、扶桑薬品工業株式会社との間で製造受委託契約を締結しております。また、当社は、2009年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結しており、ペプチド原材料調達・製品製造委託・販売に関して協力・支援を受ける体制をとっています。製品販売に関しては、吸収性局所止血材の販売について、2014年1月にCEマーキングの指令適合に係る認証を取得し、EU加盟国及びCEマーキング適用圏であるアジアにて製品販売を開始しております。欧州地域における販売契約は、まず内視鏡領域に関しては、2019年6月にFUJIFILM Europe EV(以下「FUJIFILM」という)と独占販売の締結を致しました。その他の領域に関しては、複数社との交渉を継続して進めております。なお、オーストラリアに関しては、当初現地代理店による販売を行いましたが、販売力強化のため、2019年4月期より、直販体制に移行しております。日本においては、吸収性局所止血材の販売に向けて扶桑薬品工業株式会社と2009年7月に独占販売権許諾契約を締結しております。当社は、海外への製品販売に向けても、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを2010年9月に締結し、同社に対し韓国における独占販売権を許諾し、また台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを同月に締結し、同社に対し台湾における独占的開発・製造・販売権を許諾しております。また、2013年3月には、医療機器の品質マネジメントシステムのための国際標準規格ISO13485の認証を取得しており、各国への輸出を実施しております。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 製品販売/代金回収を示しております。2 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。3 当社は、業務提携先からは、ペプチド原材料調達、製造技術、国内外の販売提携に関する助言/協力/支援を得ています。また、業務委託先とは受託臨床試験機関(以下「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。4 当社は、止血材製品について、扶桑薬品工業株式会社には日本における独占的販売権の許諾及び製造工程の一部委託をしております。Daewoong Pharmaceutical Co.LTDには韓国における独占販売権の許諾をしております。Excelsior Medical Co., Ltd.には台湾における独占的開発・製造及び販売権の許諾をしております。また、粘膜隆起材製品について、扶桑薬品工業株式会社に日本における独占的販売権の許諾をしております。5 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 ② 研究試薬販売当社は、2008年2月より米国の販売会社とSupply Agreementを締結し、同社に対し自己組織化ペプチドのうちPuraMatrix製品(RADA16)の研究試薬としての独占販売権を許諾して、全世界の大学・研究機関等に向けて同製品を研究試薬として販売しています。かかる研究試薬については、ペプチド原材料の製造、溶解及び最終パッケージングを製造委託先に委託しています。当社は、各大学・研究機関等における研究に使用されることで新規アプリケーションの開発が進められることを期待して研究試薬販売を行っています。これまでに、当社が販売した研究試薬は、各研究機関において細胞種のin vitro(*)・in vivo(*)での注入実験などに使用されています。 研究試薬販売における基本的な事業の流れは以下のとおりです。 (3) MITとのライセンス契約について自己組織化ペプチドの物質特許及び基本的な用途特許は、MITが有しています。当社子会社は2003年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の専用実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は、2004年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、2007年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は2009年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。当社グループは、このようにしてMITからライセンスを受けた自己組織化ペプチド技術を用いて医療製品の研究開発に取り組んでいます。当社は、自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社子会社とともに特許出願を行い、また共同研究先と特許共同出願をしています。 当社グループがMITから専用実施権の許諾を受けている主な特許権等は下記のとおりです。なお、当社子会社とMITとのライセンス契約の概要は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 対象発明の名称登録番号出願日登録日期限自己組織化ペプチド細胞培養法US 70980282003年3月17日2006年8月29日2023年3月16日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法US 74491802001年2月6日2008年11月30日2021年2月6日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法EP 13679612002年2月6日2008年12月31日2021年2月6日自己組織化ペプチド3次元細胞培養法第5057629号2002年2月6日2012年8月10日2021年2月6日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 77139232004年6月25日2010年5月11日2024年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 89010842004年6月25日2014年12月2日2024年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド細胞培養法第5057781号2004年6月25日2012年8月10日2024年6月25日 (4) アライアンス先との提携契約について当社グループは、MITより実施許諾を受けている自己組織化ペプチド技術が幅広い応用可能性を持つ技術であると認識しております。当社は、当技術を用いたパイプラインの探索や医療機器としての開発、事業化戦略の立案等の企画機能に特化し、製造や販売機能は他社との事業提携によって補完する戦略を採っていることから、製造や販売に関しては適宜に戦略的な事業提携を行い、製品の開発から販売、継続供給の体制を構築していく方針です。当社は、吸収性局所止血材について、2009年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結し、ペプチド原材料の調達、製品製造の委託、販売提携に関して相手先の推薦・選定及び条件について助言を受け、相手先との交渉・コミュニケーションについて継続的に協力・支援を受けることとしています。また、当社は、2009年7月、扶桑薬品工業株式会社と吸収性局所止血材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して製品の販売体制の構築に取り組んでおり、2011年5月には、同社と製造受委託契約書を締結し、同社に止血材製品の製造工程の一部を独占的に委託しています。さらに、当社は、2010年9月、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の韓国における独占的販売権を付与し、また同月、台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の台湾における独占的開発・製造及び販売権を付与しております。当社シンガポール子会社3-D Matrix Asia Pte. Ltd.は、2014年5月にインドネシアのPT. Teguhsindo Lestaritamaとインドネシアにおける独占販売権許諾契約を締結し、2015年7月に韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとタイ・ベトナム・フィリピンにおける独占販売権の許諾、インドネシアにおける非独占販売権の許諾を行っております。当社欧州子会社3-D Matrix Europe BVは、FUJIFILMとDISTRIBUTOR AGREEMENTを締結し、FUJIFILMによって欧州全域における消化器内視鏡手技向けに本製品を独占的に販売して頂くことになっております。その他、当社は、2012年2月、扶桑薬品工業株式会社と粘膜隆起材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して、製品化及び販売体制の構築に取り組んでおります。これらの契約の概要は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。PuraMatrix製品自己組織化ペプチド技術を用いたハイドロゲルの第一世代商品であり、体を構成するアミノ酸であるアルギニン(R)、アラニン(A)、アスパラギン酸(D)からなる繰り返し配列である16残基のペプチド(RADA16)。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチドなどとも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲンなどの構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面を比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名などを印刷し、商品を板状のプラスチックをバキュームフォームなどで成型し囲み込み台紙に接着した、またはスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。 用語意味・内容 臨床試験薬事承認の取得を目的として、未承認の医薬・医療機器をヒトに投与してデータ収集し、ヒトに対する安全性・有効性を検証する試験。冠動脈バイパス術虚血性心疾患の治療法で、心臓に血液を送る冠動脈の狭窄、閉塞による血流量の低下を解消するために、大動脈等から血管をつなぐことで、血流量の回復をはかる手術。人工血管置換術動脈瘤等の血流を阻害する箇所を切除して、合成繊維でできた人工血管に置き換えて血流を改善する手術。滲出性出血出血状態の分類の一つで、滲み出るような弱い出血。内視鏡的粘膜切除術内視鏡を用いて筋層以下(粘膜下層の奥)に障害を与えずに、粘膜下層の深さで粘膜層をスネアと呼ばれるワイヤーに高周波電流を流して組織を回収することで、早期癌やポリープなどを治療する手術。内視鏡的粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸などの薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作ったうえで、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸などのもの。血管内塞栓促進用補綴材血管内に投与して塞栓を形成させ(血管を詰まらせ)、病巣部の血流を遮断することで病巣部の治療を意図する医療機器。前臨床試験医薬品や医療機器の製造承認申請に際し、開発段階で、ヒトへ使用する(臨床)前に、複数種類の動物で生体への基礎的な効果(安全性・有効性)を評価・証明する科学的データを取得するために実施する試験。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。GLP医薬品・医療機器の開発のために行われる前臨床試験(動物試験等、特に安全性試験)のデータの信頼性を確保するための実施基準。Good Laboratory Practiceの略称。510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖などの調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。in vitroヒトや動物の組織を用いて生きたままの状態(生体)と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応等を検証する試験。in vivo動物を用いて生きたままの状態(生体)で、薬物の反応等を検証する試験。
FY2018|14,593 文字
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社8社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の専用実施権の許諾を受けて、同技術を用いた製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・研究試薬販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・再生医療領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、血管塞栓材を有しており、再生医療領域では歯槽骨再建材、創傷治癒材を有しています。なお、吸収性局所止血材及び粘膜隆起材については、これまでに販売提携先から契約一時金及びマイルストーンペイメントを得ており、吸収性局所止血材については、製品販売売上を計上しております。研究試薬販売自己組織化ペプチドのPuraMatrix製品を米国の販売会社を通じて研究試薬用途での販売を行っています。同製品は、国内外の大学・研究機関等における自己組織化ペプチドを用いた様々な医療分野の応用研究に用いられております。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち第一世代の製品であるPuraMatrix製品(RADA16)(*)は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には分子同士を繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、原材料に生物由来品を含まず化学合成により生産されることから、生物由来品から生じるウィルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品事業の内容① 医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、再生医療領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・血管塞栓材、再生医療領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材があります。当社グループは、そのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針であり、販売については国内外の提携先に独占販売権を許諾することとしておりますが、国外では、薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。また、当社グループは、再生医療領域では細胞再生の足場材(*)として骨再生や心筋再生を促進する研究を行っており、今後製品化に向けた開発も行ってまいります。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取り組んでおりますが、医薬品としての開発可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社では、大学等の研究機関とのMTA契約(*)に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドをベースとした応用技術の獲得に取り組んでいます。A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、血管塞栓材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下「TDM-621」という。)の開発を進めています。TDM-621は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、ペプチド水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がないなど適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成され、又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、生物由来の材料を含むため、ウィルス感染等のリスクは完全には否定できないのに対し、TDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来品を含まないため、生物由来品から生じるウィルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。生物由来品は、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されることから、より安全性の高い製品が期待される状況となっており、TDM-621は患者と医師の負担・リスク軽減に貢献できるものと考えられます。 (研究開発の状況)当社は、TDM-621の日本での製造販売承認申請に向けて、平成22年1月より臨床試験(*)を開始し、冠動脈バイパス術(*)及び人工血管置換術(*)等における血管吻合部の間隙からの滲出性出血(*)、肝臓切除術における肝切除創面からの滲出性出血(*)、上部消化管の内視鏡的粘膜切除術(*)及び内視鏡的粘膜下層剥離術(*)における粘膜切除部及び粘膜下層剥離部からの滲出性出血を対象とした全97症例の臨床試験を平成23年4月までに終了しております。TDM-621は、かかる臨床試験において有効な止血効果が総じて認められ、かつ術後5~7日後の検査においても問題は見受けられませんでした。このような臨床試験の結果を受けて、当社は、平成23年5月にPMDAに対してTDM-621の製造販売承認申請を行いましたが、平成27年3月に申請の取下げを行い、有効性評価をより客観的に検証するための再臨床試験に向けた協議を継続しておりましたが、平成29年4月に治験計画届を提出し、消化器内視鏡治療の領域において、有効性を従来の止血法と比較する試験を実施することとしました。また、当社は、TDM-621の海外展開に向け開発を進めております。欧州においては、平成26年1月にCEマーキングの指令適合について第三者認証機関から認証を受け、EU加盟国への販売が可能となりました。当社は、CEマーキングを活用し、アジア・オセアニア・南米地域への販売に向けた準備を進め、同地域の主要国での登録承認を取得し、製品販売を開始しております。米国においては臨床試験の開始に向けたFDAとのプロトコルに関する協議を進めております。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、内視鏡手術による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術において腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード:TDM-641)(以下「TDM-641」という。)の研究開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めたうえで高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)、又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-641であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。 <粘膜隆起方法 概略図> (研究開発の状況)TDM-641は、TDM-621と濃度は異なるものの同一の自己組織化ペプチドであるRADA16を原材料としており、臨床試験を開始いたしましたが、平成27年2月に製材検討を実施するために一時中断することとし、製品優位性の確保に向けた研究試験を実施しております。 c)血管塞栓材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術における塞栓物として用いるための血管内塞栓促進用補綴材(*)(開発コード:TDM-631)(以下「TDM-631」という。)の研究開発を進めています。肝臓癌や子宮筋腫に対する肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術では、カテーテルを通じて動脈内に塞栓物を注入し、血管内腔を物理的に塞栓することで、腫瘍の栄養血管である動脈を塞いで腫瘍への栄養を絶ち、腫瘍を死滅させます。TDM-631は、血液と接触するとゲル化するため、カテーテルから動脈内に注入されると血管内腔を塞ぐことが可能であり、当社は新たな塞栓物としてTDM-631の開発を進めております。 (研究開発の状況)当社は、前臨床試験(*)により、TDM-631を造影剤に溶解しカテーテルを通して血管内に注入するとゲル化することや、ゲル化したTDM-631はX線カメラにより視認可能なことを確認しております。また、TDM-631の生体内における血管塞栓効果をみるために、動物モデルを用いた実験を行っております。 (B) 再生医療領域自己組織化ペプチドは細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、再生医療領域において歯槽骨再建材、創傷治癒材を開発パイプラインとして有しております。また当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材となる製品(開発コード:TDM-711)(以下「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることも検討しています。 (研究開発の状況)当社グループは、GLP(*)下において歯槽骨に欠損がある状態でのTDM-711の有効性の確認試験を実施し、通常の欠損群に比べ有意な骨再生が認められたため、その後も研究開発を進めてまいりました。当社グループは、TDM-711につき、FDAに対し平成22年9月にIDE申請を行い、平成23年7月にIDEの承認を得たことに続き、平成24年2月には、米国ハーバード大学の医学部・歯学部の付属研究所であるフォーサイス・インスティテュート(Forsyth Institute)において、臨床試験を開始し、プロトコルで規定した15症例の施術が完了しております。当該最終結果を受領し、FDAに提出しておりましたが、骨再生に有効なデータを得られたことから、次のフェーズでの臨床試験を実施中です。 b)創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の再生環境を整え、創傷治癒を促す製品(開発コード:TDM-511)(以下「TDM-511」という。)を開発しております。 (研究開発の状況)当社グループは、前臨床試験を実施し、申請に必要な有効性に関するデータを入手しております。当該結果をもとに市販前届510(k)(*)による申請の準備を進め、平成26年10月に医療機器として市販前届510(k)を米国FDAに申請し、平成27年2月に販売承認を得ました。創傷治癒材としての活用に加え、他薬剤とのコンビネーションによる治療効果の増大が期待できることから、熱傷治療、皮膚がん治療、美容整形分野での研究開発を進めております。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 (研究開発の状況)当社は、界面活性ペプチドを用い国立がん研究センターと新規癌治療技術の開発に向けて共同研究を行っており、癌細胞への徐放技術の確立に向け前臨床試験実施し、乳がん治療に向けたsiRNA核酸医薬のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)を共同開発しております。外科領域・再生医療領域では、当社は自ら医療機器として臨床試験・製造販売承認取得まで開発を進めますが、DDS領域では、医薬品としての開発が主力となるため、事業化に関してはsiRNA等の薬剤や治療物質についての技術を有する大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を実施する予定です。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品は、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期に亘ります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第3相まで(第1相・第2相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第3相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社が開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・血管塞栓材、再生医療領域における歯槽骨再建材・創傷治癒材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得します。主にDDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要することなどから、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 当社グループでの医療製品開発における、主要なパイプラインの進捗状況は以下のとおりです。(主要なパイプライン開発の状況) (注)1 吸収性局所止血材欧州:平成26年1月にCEマーキング指令適合を受け、平成27年4月期に製品販売を開始。日本:平成23年4月に臨床試験を終了し平成23年5月に製造販売承認申請も、平成27年3月に承認申請取下げ。その後、平成29年4月期に再度の臨床試験に向けた治験計画届を提出、平成30年4月期に臨床試験を開始。米国:FDA(米国食品医薬品局)と臨床試験に向けたプロトコル協議中、平成32年4月期での臨床試験の実施目標に計画を変更、平成33年4月期以降での承認取得・製品販売を予定。韓国:CEマーキングでの製品登録申請済み、平成31年4月期での承認取得、平成32年4月期での製品販売開始を予定。南米地域(ブラジル、メキシコ、コロンビア等):平成28年4月期に各国での製品登録が完了。平成29年4月期より製品販売を開始。他アジア・オセアニア地域:香港、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ブルネイ、オーストラリアタイの各国にて平成29年4月期に製品販売を開始。2 癒着防止材米国においてFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)申請による承認取得を予定。平成32年4月期中の製品販売開始を目標。3 歯槽骨再建材米国において平成24年2月に臨床試験を開始、平成31年4月期に臨床試験を完了し、製造販売承認申請を予定。4 創傷治癒材平成26年10月にFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)を申請。平成27年2月にFDAより同承認を取得。5 DDS領域DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)領域において当社ペプチドを医薬品等のキャリアとする開発で、当社単独での事業化ではなく大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を目標。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから専用実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取り組んでいます。当社は、ペプチド原材料の製造を複数社に委託しており、吸収性局所止血材の製造については、扶桑薬品工業株式会社との間で製造受委託契約を締結しております。また、当社は、平成21年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結しており、ペプチド原材料調達・製品製造委託・販売に関して協力・支援を受ける体制をとっています。製品販売に関しては、吸収性局所止血材の販売について、平成26年1月にCEマーキングの指令適合に係る認証を取得し、EU加盟国及びCEマーキング適用圏であるアジアにて製品販売を開始しております。欧州地域における独占販売権許諾契約締結については、複数社との交渉を継続して進めております。日本においては、吸収性局所止血材の販売に向けて扶桑薬品工業株式会社と平成21年7月に独占販売権許諾契約を締結しております。当社は、海外への製品販売に向けても、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを平成22年9月に締結し、同社に対し韓国における独占販売権を許諾し、また台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを同月に締結し、同社に対し台湾における独占的開発・製造・販売権を許諾しております。また、平成25年3月には、医療機器の品質マネジメントシステムのための国際標準規格ISO13485の認証を取得しており、各国への輸出を実施しております。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 製品販売/代金回収を示しております。2 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。3 当社は、業務提携先からは、ペプチド原材料調達、製造技術、国内外の販売提携に関する助言/協力/支援を得ています。また、業務委託先とは受託臨床試験機関(以下「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。4 当社は、止血材製品について、扶桑薬品工業株式会社には日本における独占的販売権の許諾及び製造工程の一部委託をしております。Daewoong Pharmaceutical Co.LTDには韓国における独占販売権の許諾をしております。Excelsior Medical Co., Ltd.には台湾における独占的開発・製造及び販売権の許諾をしております。また、粘膜隆起材製品について、扶桑薬品工業株式会社に日本における独占的販売権の許諾をしております。5 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 ② 研究試薬販売当社は、平成20年2月より米国の販売会社とSupply Agreementを締結し、同社に対し自己組織化ペプチドのうちPuraMatrix製品(RADA16)の研究試薬としての独占販売権を許諾して、全世界の大学・研究機関等に向けて同製品を研究試薬として販売しています。かかる研究試薬については、ペプチド原材料の製造、溶解及び最終パッケージングを製造委託先に委託しています。当社は、各大学・研究機関等における研究に使用されることで新規アプリケーションの開発が進められることを期待して研究試薬販売を行っています。これまでに、当社が販売した研究試薬は、各研究機関において細胞種のin vitro(*)・in vivo(*)での注入実験などに使用されています。 研究試薬販売における基本的な事業の流れは以下のとおりです。 (3) MITとのライセンス契約について自己組織化ペプチドの物質特許及び基本的な用途特許は、MITが有しています。当社子会社は平成15年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の専用実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は、平成16年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、平成19年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は平成21年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。当社グループは、このようにしてMITからライセンスを受けた自己組織化ペプチド技術を用いて医療製品の研究開発に取り組んでいます。当社は、自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社子会社とともに特許出願を行い、また共同研究先と特許共同出願をしています。 当社グループがMITから専用実施権の許諾を受けている主な特許権等は下記のとおりです。なお、当社子会社とMITとのライセンス契約の概要は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 対象発明の名称登録番号出願日登録日期限自己組織化ペプチド細胞培養法US 7098028平成15年3月17日平成18年8月29日平成35年3月16日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法US 7449180平成13年2月6日平成20年11月30日平成33年2月6日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法EP 1367961平成14年2月6日平成20年12月31日平成33年2月6日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法第5057629号平成14年2月6日平成24年8月10日平成33年2月6日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 7713923平成16年6月25日平成22年5月11日平成36年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 8901084平成16年6月25日平成26年12月2日平成36年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド細胞培養法第5057781号平成16年6月25日平成24年8月10日平成36年6月25日 (4) アライアンス先との提携契約について当社グループは、MITより実施許諾を受けている自己組織化ペプチド技術が幅広い応用可能性を持つ技術であると認識しております。当社は、当技術を用いたパイプラインの探索や医療機器としての開発、事業化戦略の立案等の企画機能に特化し、製造や販売機能は他社との事業提携によって補完する戦略を採っていることから、製造や販売に関しては適宜に戦略的な事業提携を行い、製品の開発から販売、継続供給の体制を構築していく方針です。当社は、吸収性局所止血材について、平成21年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結し、ペプチド原材料の調達、製品製造の委託、販売提携に関して相手先の推薦・選定及び条件について助言を受け、相手先との交渉・コミュニケーションについて継続的に協力・支援を受けることとしています。また、当社は、平成21年7月、扶桑薬品工業株式会社と吸収性局所止血材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して製品の販売体制の構築に取り組んでおり、平成23年5月には、同社と製造受委託契約書を締結し、同社に止血材製品の製造工程の一部を独占的に委託しています。さらに、当社は、平成22年9月、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の韓国における独占的販売権を付与し、また同月、台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の台湾における独占的開発・製造及び販売権を付与しております。当社シンガポール子会社3-D Matrix Asia Pte. Ltd.は、平成26年5月にインドネシアのPT. Teguhsindo Lestaritamaとインドネシアにおける独占販売権許諾契約を締結し、平成27年7月に韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとタイ・ベトナム・フィリピンにおける独占販売権の許諾、インドネシアにおける非独占販売権の許諾を行っております。その他、当社は、平成24年2月、扶桑薬品工業株式会社と粘膜隆起材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して、製品化及び販売体制の構築に取り組んでおります。これらの契約の概要は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。PuraMatrix製品自己組織化ペプチド技術を用いたハイドロゲルの第一世代商品であり、体を構成するアミノ酸であるアルギニン(R)、アラニン(A)、アスパラギン酸(D)からなる繰り返し配列である16残基のペプチド(RADA16)。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチドなどとも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲンなどの構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面を比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名などを印刷し、商品を板状のプラスチックをバキュームフォームなどで成型し囲み込み台紙に接着した、またはスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。 用語意味・内容 臨床試験薬事承認の取得を目的として、未承認の医薬・医療機器をヒトに投与してデータ収集し、ヒトに対する安全性・有効性を検証する試験。冠動脈バイパス術虚血性心疾患の治療法で、心臓に血液を送る冠動脈の狭窄、閉塞による血流量の低下を解消するために、大動脈等から血管をつなぐことで、血流量の回復をはかる手術。人工血管置換術動脈瘤等の血流を阻害する箇所を切除して、合成繊維でできた人工血管に置き換えて血流を改善する手術。滲出性出血出血状態の分類の一つで、滲み出るような弱い出血。内視鏡的粘膜切除術内視鏡を用いて筋層以下(粘膜下層の奥)に障害を与えずに、粘膜下層の深さで粘膜層をスネアと呼ばれるワイヤーに高周波電流を流して組織を回収することで、早期癌やポリープなどを治療する手術。内視鏡的粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸などの薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作ったうえで、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸などのもの。血管内塞栓促進用補綴材血管内に投与して塞栓を形成させ(血管を詰まらせ)、病巣部の血流を遮断することで病巣部の治療を意図する医療機器。前臨床試験医薬品や医療機器の製造承認申請に際し、開発段階で、ヒトへ使用する(臨床)前に、複数種類の動物で生体への基礎的な効果(安全性・有効性)を評価・証明する科学的データを取得するために実施する試験。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。GLP医薬品・医療機器の開発のために行われる前臨床試験(動物試験等、特に安全性試験)のデータの信頼性を確保するための実施基準。Good Laboratory Practiceの略称。510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖などの調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。in vitroヒトや動物の組織を用いて生きたままの状態(生体)と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応等を検証する試験。in vivo動物を用いて生きたままの状態(生体)で、薬物の反応等を検証する試験。
FY2017|14,527 文字
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社8社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の専用実施権の許諾を受けて、同技術を用いた製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・研究試薬販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・再生医療領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、血管塞栓材を有しており、再生医療領域では歯槽骨再建材、創傷治癒材を有しています。なお、吸収性局所止血材及び粘膜隆起材については、これまでに販売提携先から契約一時金及びマイルストーンペイメントを得ており、吸収性局所止血材については、製品販売売上を計上しております。研究試薬販売自己組織化ペプチドのPuraMatrix製品を米国の販売会社を通じて研究試薬用途での販売を行っています。同製品は、国内外の大学・研究機関等における自己組織化ペプチドを用いた様々な医療分野の応用研究に用いられております。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち第一世代の製品であるPuraMatrix製品(RADA16)(*)は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には分子同士を繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、原材料に生物由来品を含まず化学合成により生産されることから、生物由来品から生じるウィルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品事業の内容① 医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、再生医療領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・血管塞栓材、再生医療領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材があります。当社グループは、そのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針であり、販売については国内外の提携先に独占販売権を許諾することとしておりますが、国外では、薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。また、当社グループは、再生医療領域では細胞再生の足場材(*)として骨再生や心筋再生を促進する研究を行っており、今後製品化に向けた開発も行ってまいります。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取り組んでおりますが、医薬品としての開発可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社では、大学等の研究機関とのMTA契約(*)に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドをベースとした応用技術の獲得に取り組んでいます。A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、血管塞栓材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下「TDM-621」という。)の開発を進めています。TDM-621は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、ペプチド水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がないなど適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成され、又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、生物由来の材料を含むため、ウィルス感染等のリスクは完全には否定できないのに対し、TDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来品を含まないため、生物由来品から生じるウィルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。生物由来品は、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されることから、より安全性の高い製品が期待される状況となっており、TDM-621は患者と医師の負担・リスク軽減に貢献できるものと考えられます。 (研究開発の状況)当社は、TDM-621の日本での製造販売承認申請に向けて、平成22年1月より臨床試験(*)を開始し、冠動脈バイパス術(*)及び人工血管置換術(*)等における血管吻合部の間隙からの滲出性出血(*)、肝臓切除術における肝切除創面からの滲出性出血(*)、上部消化管の内視鏡的粘膜切除術(*)及び内視鏡的粘膜下層剥離術(*)における粘膜切除部及び粘膜下層剥離部からの滲出性出血を対象とした全97症例の臨床試験を平成23年4月までに終了しております。TDM-621は、かかる臨床試験において有効な止血効果が総じて認められ、かつ術後5~7日後の検査においても問題は見受けられませんでした。このような臨床試験の結果を受けて、当社は、平成23年5月にPMDAに対してTDM-621の製造販売承認申請を行いましたが、平成27年3月に申請の取下げを行い、有効性評価をより客観的に検証するための再臨床試験に向けた協議を継続しておりましたが、平成29年4月に治験計画届を提出し、消化器内視鏡治療の領域において、有効性を従来の止血法と比較する試験を実施することとしました。また、当社は、TDM-621の海外展開に向け開発を進めております。欧州においては、平成26年1月にCEマーキングの指令適合について第三者認証機関から認証を受け、EU加盟国への販売が可能となりました。当社は、CEマーキングを活用し、アジア・オセアニア・南米地域への販売に向けた準備を進め、同地域の主要国での登録承認を取得し、製品販売を開始しております。米国においては臨床試験の開始に向けたFDAとのプロトコルに関する協議を進めております。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、内視鏡手術による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術において腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード:TDM-641)(以下「TDM-641」という。)の研究開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めたうえで高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)、又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-641であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。 <粘膜隆起方法 概略図> (研究開発の状況)TDM-641は、TDM-621と濃度は異なるものの同一の自己組織化ペプチドであるRADA16を原材料としており、臨床試験を開始いたしましたが、平成27年2月に製材検討を実施するために一時中断することとし、製品優位性の確保に向けた研究試験を実施しております。 c)血管塞栓材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術における塞栓物として用いるための血管内塞栓促進用補綴材(*)(開発コード:TDM-631)(以下「TDM-631」という。)の研究開発を進めています。肝臓癌や子宮筋腫に対する肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術では、カテーテルを通じて動脈内に塞栓物を注入し、血管内腔を物理的に塞栓することで、腫瘍の栄養血管である動脈を塞いで腫瘍への栄養を絶ち、腫瘍を死滅させます。TDM-631は、血液と接触するとゲル化するため、カテーテルから動脈内に注入されると血管内腔を塞ぐことが可能であり、当社は新たな塞栓物としてTDM-631の開発を進めております。 (研究開発の状況)当社は、前臨床試験(*)により、TDM-631を造影剤に溶解しカテーテルを通して血管内に注入するとゲル化することや、ゲル化したTDM-631はX線カメラにより視認可能なことを確認しております。また、TDM-631の生体内における血管塞栓効果をみるために、動物モデルを用いた実験を行っております。 (B) 再生医療領域自己組織化ペプチドは細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、再生医療領域において歯槽骨再建材、創傷治癒材を開発パイプラインとして有しております。また当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材となる製品(開発コード:TDM-711)(以下「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることも検討しています。 (研究開発の状況)当社グループは、GLP(*)下において歯槽骨に欠損がある状態でのTDM-711の有効性の確認試験を実施し、通常の欠損群に比べ有意な骨再生が認められたため、その後も研究開発を進めてまいりました。当社グループは、TDM-711につき、FDAに対し平成22年9月にIDE申請を行い、平成23年7月にIDEの承認を得たことに続き、平成24年2月には、米国ハーバード大学の医学部・歯学部の付属研究所であるフォーサイス・インスティテュート(Forsyth Institute)において、臨床試験を開始し、プロトコルで規定した15症例の施術が完了しております。当該最終結果を受領し、FDAに提出しておりましたが、骨再生に有効なデータを得られたことから、次のフェーズでの臨床試験を実施中です。 b)創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の再生環境を整え、創傷治癒を促す製品(開発コード:TDM-511)(以下「TDM-511」という。)を開発しております。 (研究開発の状況)当社グループは、前臨床試験を実施し、申請に必要な有効性に関するデータを入手しております。当該結果をもとに市販前届510(k)(*)による申請の準備を進め、平成26年10月に医療機器として市販前届510(k)を米国FDAに申請し、平成27年2月に販売承認を得ました。創傷治癒材としての活用に加え、他薬剤とのコンビネーションによる治療効果の増大が期待できることから、熱傷治療、皮膚がん治療、美容整形分野での研究開発を進めております。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 (研究開発の状況)当社は、界面活性ペプチドを用い国立がん研究センターと新規癌治療技術の開発に向けて共同研究を行っており、癌細胞への徐放技術の確立に向け前臨床試験実施し、乳がん治療に向けたsiRNA核酸医薬のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)を共同開発しております。外科領域・再生医療領域では、当社は自ら医療機器として臨床試験・製造販売承認取得まで開発を進めますが、DDS領域では、医薬品としての開発が主力となるため、事業化に関してはsiRNA等の薬剤や治療物質についての技術を有する大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を実施する予定です。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品は、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期に亘ります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第3相まで(第1相・第2相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第3相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社が開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・血管塞栓材、再生医療領域における歯槽骨再建材・創傷治癒材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得します。主にDDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要することなどから、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 当社グループでの医療製品開発における、主要なパイプラインの進捗状況は以下のとおりです。(主要なパイプライン開発の状況) (注)1 吸収性局所止血材欧州:平成26年1月にCEマーキング指令適合を受け、平成27年4月期に製品販売を開始。日本:平成23年4月に臨床試験を終了し平成23年5月に製造販売承認申請も、平成27年3月に承認申請取下げ。その後、平成29年4月期にその後、再度の臨床試験に向けた治験計画届を提出、平成30年4月期に臨床試験を実施予定。米国:FDA(米国食品医薬品局)と臨床試験に向けたプロトコル協議中、平成30年4月期での臨床試験の実施目標に計画変更、平成32年4月期以降での承認取得・製品販売を予定。韓国:CEマーキングでの製品登録申請済み、平成30年4月期での承認取得、平成31年4月期での製品販売開始を予定。南米(ブラジル・メキシコ・コロンビア等):平成28年4月期に各国での製品登録が完了。平成29年4月期より製品販売を開始。他アジア・オセアニア地域:香港、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ブルネイ、オーストラリア、タイの各国にて平成29年4月期に製品販売を開始。2 歯槽骨再建材米国において平成24年2月に臨床試験を開始、平成30年4月期に臨床試験を完了し、製造販売承認申請を予定。3 創傷治癒材平成26年10月にFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)を申請。平成27年2月にFDAより同承認を取得。4 DDS領域DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)領域において当社ペプチドを医薬品等のキャリアとする開発で、当社単独での事業化ではなく大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を目標。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから専用実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取り組んでいます。当社は、ペプチド原材料の製造を複数社に委託しており、吸収性局所止血材の製造については、扶桑薬品工業株式会社との間で製造受委託契約を締結しております。また、当社は、平成21年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結しており、ペプチド原材料調達・製品製造委託・販売に関して協力・支援を受ける体制をとっています。製品販売に関しては、吸収性局所止血材の販売について、平成26年1月にCEマーキングの指令適合に係る認証を取得し、EU加盟国及びCEマーキング適用圏であるアジアにて製品販売を開始しております。欧州地域における独占販売権許諾契約締結については、複数社との交渉を継続して進めております。日本においては、吸収性局所止血材の販売に向けて扶桑薬品工業株式会社と平成21年7月に独占販売権許諾契約を締結しております。当社は、海外への製品販売に向けても、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを平成22年9月に締結し、同社に対し韓国における独占販売権を許諾し、また台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを同月に締結し、同社に対し台湾における独占的開発・製造・販売権を許諾しております。また、平成25年3月には、医療機器の品質マネジメントシステムのための国際標準規格ISO13485の認証を取得しており、各国への輸出を実施しております。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 製品販売/代金回収を示しております。2 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。3 当社は、業務提携先からは、ペプチド原材料調達、製造技術、国内外の販売提携に関する助言/協力/支援を得ています。また、業務委託先とは受託臨床試験機関(以下「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。4 当社は、止血材製品について、扶桑薬品工業株式会社には日本における独占的販売権の許諾及び製造工程の一部委託をしております。Daewoong Pharmaceutical Co.LTDには韓国における独占販売権の許諾をしております。Excelsior Medical Co., Ltd.には台湾における独占的開発・製造及び販売権の許諾をしております。また、粘膜隆起材製品について、扶桑薬品工業株式会社に日本における独占的販売権の許諾をしております。5 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 ② 研究試薬販売当社は、平成20年2月より米国の販売会社とSupply Agreementを締結し、同社に対し自己組織化ペプチドのうちPuraMatrix製品(RADA16)の研究試薬としての独占販売権を許諾して、全世界の大学・研究機関等に向けて同製品を研究試薬として販売しています。かかる研究試薬については、ペプチド原材料の製造、溶解及び最終パッケージングを製造委託先に委託しています。当社は、各大学・研究機関等における研究に使用されることで新規アプリケーションの開発が進められることを期待して研究試薬販売を行っています。これまでに、当社が販売した研究試薬は、各研究機関において細胞種のin vitro(*)・in vivo(*)での注入実験などに使用されています。 研究試薬販売における基本的な事業の流れは以下のとおりです。 (3) MITとのライセンス契約について自己組織化ペプチドの物質特許及び基本的な用途特許は、MITが有しています。当社子会社は平成15年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の専用実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は、平成16年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、平成19年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は平成21年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。当社グループは、このようにしてMITからライセンスを受けた自己組織化ペプチド技術を用いて医療製品の研究開発に取り組んでいます。当社は、自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社子会社とともに特許出願を行い、また共同研究先と特許共同出願をしています。 当社グループがMITから専用実施権の許諾を受けている主な特許権等は下記のとおりです。なお、当社子会社とMITとのライセンス契約の概要は、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 対象発明の名称登録番号出願日登録日期限自己組織化ペプチド細胞培養法US 7098028平成15年3月17日平成18年8月29日平成35年3月16日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法US 7449180平成13年2月6日平成20年11月30日平成33年2月6日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法EP 1367961平成14年2月6日平成20年12月31日平成33年2月6日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法第5057629号平成14年2月6日平成24年8月10日平成33年2月6日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 7713923平成16年6月25日平成22年5月11日平成36年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 8901084平成16年6月25日平成26年12月2日平成36年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド細胞培養法第5057781号平成16年6月25日平成24年8月10日平成36年6月25日 (4) アライアンス先との提携契約について当社グループは、MITより実施許諾を受けている自己組織化ペプチド技術が幅広い応用可能性を持つ技術であると認識しております。当社は、当技術を用いたパイプラインの探索や医療機器としての開発、事業化戦略の立案等の企画機能に特化し、製造や販売機能は他社との事業提携によって補完する戦略を採っていることから、製造や販売に関しては適宜に戦略的な事業提携を行い、製品の開発から販売、継続供給の体制を構築していく方針です。当社は、吸収性局所止血材について、平成21年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結し、ペプチド原材料の調達、製品製造の委託、販売提携に関して相手先の推薦・選定及び条件について助言を受け、相手先との交渉・コミュニケーションについて継続的に協力・支援を受けることとしています。また、当社は、平成21年7月、扶桑薬品工業株式会社と吸収性局所止血材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して製品の販売体制の構築に取り組んでおり、平成23年5月には、同社と製造受委託契約書を締結し、同社に止血材製品の製造工程の一部を独占的に委託しています。さらに、当社は、平成22年9月、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の韓国における独占的販売権を付与し、また同月、台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の台湾における独占的開発・製造及び販売権を付与しております。当社シンガポール子会社3-D Matrix Asia Pte. Ltd.は、平成26年5月にインドネシアのPT. Teguhsindo Lestaritamaとインドネシアにおける独占販売権許諾契約を締結し、平成27年7月に韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとタイ・ベトナム・フィリピンにおける独占販売権の許諾、インドネシアにおける非独占販売権の許諾を行っております。その他、当社は、平成24年2月、扶桑薬品工業株式会社と粘膜隆起材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して、製品化及び販売体制の構築に取り組んでおります。これらの契約の概要は、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。PuraMatrix製品自己組織化ペプチド技術を用いたハイドロゲルの第一世代商品であり、体を構成するアミノ酸であるアルギニン(R)、アラニン(A)、アスパラギン酸(D)からなる繰り返し配列である16残基のペプチド(RADA16)。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチドなどとも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲンなどの構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面を比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名などを印刷し、商品を板状のプラスチックをバキュームフォームなどで成型し囲み込み台紙に接着した、またはスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。 用語意味・内容 臨床試験薬事承認の取得を目的として、未承認の医薬・医療機器をヒトに投与してデータ収集し、ヒトに対する安全性・有効性を検証する試験。冠動脈バイパス術虚血性心疾患の治療法で、心臓に血液を送る冠動脈の狭窄、閉塞による血流量の低下を解消するために、大動脈等から血管をつなぐことで、血流量の回復をはかる手術。人工血管置換術動脈瘤等の血流を阻害する箇所を切除して、合成繊維でできた人工血管に置き換えて血流を改善する手術。滲出性出血出血状態の分類の一つで、滲み出るような弱い出血。内視鏡的粘膜切除術内視鏡を用いて筋層以下(粘膜下層の奥)に障害を与えずに、粘膜下層の深さで粘膜層をスネアと呼ばれるワイヤーに高周波電流を流して組織を回収することで、早期癌やポリープなどを治療する手術。内視鏡的粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸などの薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作ったうえで、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸などのもの。血管内塞栓促進用補綴材血管内に投与して塞栓を形成させ(血管を詰まらせ)、病巣部の血流を遮断することで病巣部の治療を意図する医療機器。前臨床試験医薬品や医療機器の製造承認申請に際し、開発段階で、ヒトへ使用する(臨床)前に、複数種類の動物で生体への基礎的な効果(安全性・有効性)を評価・証明する科学的データを取得するために実施する試験。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。GLP医薬品・医療機器の開発のために行われる前臨床試験(動物試験等、特に安全性試験)のデータの信頼性を確保するための実施基準。Good Laboratory Practiceの略称。510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖などの調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。in vitroヒトや動物の組織を用いて生きたままの状態(生体)と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応等を検証する試験。in vivo動物を用いて生きたままの状態(生体)で、薬物の反応等を検証する試験。
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3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社8社で構成され、MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の専用実施権の許諾を受けて、同技術を用いた製品の研究開発・製造・販売を実施することを目的とした医療製品事業を行っております。当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであり、医療製品開発・研究試薬販売で構成されております。その内容は以下のとおりです。 (医療製品事業の構成)区分内容医療製品開発・販売自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域・再生医療領域・DDS領域において医療機器及び医薬品の研究開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材、粘膜隆起材、血管塞栓材を有しており、再生医療領域では歯槽骨再建材、創傷治癒材を有しています。なお、吸収性局所止血材及び粘膜隆起材については、これまでに販売提携先から契約一時金及びマイルストーンペイメントを得ており、吸収性局所止血材については、製品販売売上を計上しております。研究試薬販売自己組織化ペプチドのPuraMatrix製品を米国の販売会社を通じて研究試薬用途での販売を行っています。同製品は、国内外の大学・研究機関等における自己組織化ペプチドを用いた様々な医療分野の応用研究に用いられております。 (1)自己組織化ペプチド技術の特徴当社グループの基盤技術となっている自己組織化ペプチド(*)のうち第一世代の製品であるPuraMatrix製品(RADA16)(*)は、体を構成するアミノ酸(*)であるアルギニン(R)(*)、アラニン(A)(*)、アスパラギン酸(D)(*)からなる(RADA)の繰り返し配列である16残基のペプチド(*)であり、このペプチドを溶解した水溶液はpH(*)が酸性から中性になると速やかにゲル化(*)する性質を有しています。具体的には分子同士を繊維状に結合(自己組織化)してナノファイバーを形成し、そのナノファイバーが絡み合うことでゲル化します。形成されたゲルは生体内で細胞が培養される環境に近く、コラーゲン等の細胞外マトリックス(*)に似た網目構造をしています。自己組織化ペプチドは、原材料に生物由来品を含まず化学合成により生産されることから、生物由来品から生じるウィルス等の感染や未知の成分の混入の可能性がないため安全性が高く、ほぼ均一の品質で大量生産が可能な点が特長として挙げられます。自己組織化ペプチドは、これまでに実施したADME試験(*)において、特定の臓器に蓄積されることなく、生体内のタンパク質と同様にタンパク質分解酵素(*)により分解され、30日程度で体外に排出されることが確認されています。 (2)医療製品事業の内容① 医療製品開発医療製品開発は、自己組織化ペプチド技術を基盤技術として外科領域、再生医療領域、DDS(*)領域において医療機器及び医薬品の開発を行う事業です。主要な開発パイプラインとしては、外科領域では吸収性局所止血材・粘膜隆起材・血管塞栓材、再生医療領域では歯槽骨再建材・創傷治癒材があります。当社グループは、そのいずれについても、医療機器として自ら開発し製造販売承認を取得する方針であり、販売については国内外の提携先に独占販売権を許諾することとしておりますが、国外では、薬事規制、市場動向、当社グループのリソース等を勘案して現地企業等と提携することでの製品化も実施していく方針です。また、当社グループは、再生医療領域では細胞再生の足場材(*)として骨再生や心筋再生を促進する研究を行っており、今後製品化に向けた開発も行ってまいります。DDS領域では、自己組織化ペプチドを薬剤の担体(*)とし、各薬剤と組み合わせた製品化に向け取り組んでおりますが、医薬品としての開発可能性が高く当社独自で薬剤や治療物質について技術を取得するには時間を要することからも、製薬会社等に技術供与(ライセンス)を行うことによりロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指してまいります。その他当社では、大学等の研究機関とのMTA契約(*)に基づく共同研究によって、自己組織化ペプチドをベースとした応用技術の獲得に取り組んでいます。A 各領域及び各パイプラインの概要(A) 外科領域当社は、外科領域において、吸収性局所止血材、粘膜隆起材、血管塞栓材の開発パイプラインを有しています。a)吸収性局所止血材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、出血部に塗布して用いる外科手術用の吸収性局所止血材(開発コード:TDM-621)(以下「TDM-621」という。)の開発を進めています。TDM-621は、血液等の体液と接触するとpHが中性化され、自己組織化してナノファイバーを形成しゲル化します。ゲルは体組織との接触面を隙間なく被覆し、被膜が形成されて表面皮膜及び血管浅部を物理的に閉鎖し、血管深部では血液凝固が生じることで止血されます。 <自己組織化ペプチドのゲル化形成> 自己組織化前のペプチド分子 <止血方法 概略図> TDM-621は、ペプチド水溶液をシリンジに無菌充填したプレフィルドシリンジ(*)形態で、ブリスター包装(*)された製品であるため、手術現場では、パックを開封してすぐに使用することが可能であること、使用前の調製の必要がないなど適用量が調整しやすく操作性に優れていることといった特長を有しています。また、澄明な液体形状であることから術野を妨げることがなく、カテーテルや組織の狭部への適用も容易です。既存の止血剤製品群(*)は、糊状・シート状・粉末状等の形状がありますが、主として糊のように機能して接着することにより止血効果を得るものであるのに対し、TDM-621は物理的に表面皮膜及び血管浅部を閉鎖して止血するものであるため、既存製品と異なり接着による待ち時間、圧迫による圧着時間を短縮することが可能です。また、既存製品は、一度組織に接着すると除去が困難であるのに対し、TDM-621は、余剰部分を生理食塩水により洗い流すことで容易に除去することができます。既存製品の多くは、フィブリノゲン(*)等の人や動物の血液から生成され、又は動物の皮膚から生成したコラーゲン等を原材料としており、生物由来の材料を含むため、ウィルス感染等のリスクは完全には否定できないのに対し、TDM-621は、生体内に存在するアミノ酸を化学的に合成したもので生物由来品を含まないため、生物由来品から生じるウィルス等の感染や未知の成分の混入によるリスクがありません。生物由来品は、医療現場においては、① 患者(又はその家族)への適切な説明、② 使用記録の作成と保管、③ 感染症等情報の報告等における管理体制の厳格化が要請されることから、より安全性の高い製品が期待される状況となっており、TDM-621は患者と医師の負担・リスク軽減に貢献できるものと考えられます。 (研究開発の状況)当社は、TDM-621の日本での製造販売承認申請に向けて、平成22年1月より臨床試験(*)を開始し、冠動脈バイパス術(*)及び人工血管置換術(*)等における血管吻合部の間隙からの滲出性出血(*)、肝臓切除術における肝切除創面からの滲出性出血(*)、上部消化管の内視鏡的粘膜切除術(*)及び内視鏡的粘膜下層剥離術(*)における粘膜切除部及び粘膜下層剥離部からの滲出性出血を対象とした全97症例の臨床試験を平成23年4月までに終了しております。TDM-621は、かかる臨床試験において有効な止血効果が総じて認められ、かつ術後5~7日後の検査においても問題は見受けられませんでした。このような臨床試験の結果を受けて、当社は、平成23年5月にPMDAに対してTDM-621の製造販売承認申請を行いましたが、平成27年3月に申請の取下げを行い、有効性評価をより客観的に検証するための再臨床試験に向けた準備を行っております。また、当社は、TDM-621の海外展開に向け開発を進めております。欧州においては、平成26年1月にCEマーキングの指令適合について第三者認証機関から認証を受け、EU加盟国への販売が可能となりました。当社は、CEマーキングを活用し、アジア・オセアニア・南米地域への販売に向けた準備を進めております。アジア地域では、当社シンガポール子会社を中心にCEマーキング承認の展開を進めており、韓国・台湾についても同承認を活用した製品登録申請の検討・実施・製品化を行っております。東南アジア・オセアニア・南米地域についても主要各国で承認を取得いたしました。米国においては臨床試験の開始に向けたFDAとのプロトコルに関する協議を進めております。 b)粘膜隆起材当社は、自己組織化ペプチドを基に、内視鏡手術による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術において腫瘍部位の粘膜隆起を形成する内視鏡用粘膜下注入材(*)(開発コード:TDM-641)(以下「TDM-641」という。)の研究開発を進めています。胃や食道等の早期癌治療において行われる内視鏡による粘膜切除術や粘膜下層剥離術では、粘膜下層に生理食塩水や内視鏡用粘膜下注入材を病変部の粘膜下層に注入し、病変部を隆起させ、隆起させた根元部分に細いワイヤーをかけて締めたうえで高周波を流して焼き切り(内視鏡的粘膜切除術)、又は隆起させた病変部を粘膜下層の深さで電気メスにより引き剥がし(内視鏡的粘膜下層剥離術)、病変部を取り除きます。この病変部を隆起させるために用いられる内視鏡用粘膜下注入材として開発しているのがTDM-641であり、血液等の体液と接触することで中性化しゲル化する特徴から、必要な隆起を形成するとともに、副次的には止血効果も有することが動物実験により確認されています。 <粘膜隆起方法 概略図> (研究開発の状況)TDM-641は、TDM-621と濃度は異なるものの同一の自己組織化ペプチドであるRADA16を原材料としており、臨床試験を開始いたしましたが、平成27年2月に製材検討を実施するために一時中断することとし、製品優位性の確保に向けた研究試験を実施しております。 c)血管塞栓材当社は、自己組織化ペプチドであるRADA16を基に、肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術における塞栓物として用いるための血管内塞栓促進用補綴材(*)(開発コード:TDM-631)(以下「TDM-631」という。)の研究開発を進めています。肝臓癌や子宮筋腫に対する肝動脈塞栓術及び子宮動脈塞栓術では、カテーテルを通じて動脈内に塞栓物を注入し、血管内腔を物理的に塞栓することで、腫瘍の栄養血管である動脈を塞いで腫瘍への栄養を絶ち、腫瘍を死滅させます。TDM-631は、血液と接触するとゲル化するため、カテーテルから動脈内に注入されると血管内腔を塞ぐことが可能であり、当社は新たな塞栓物としてTDM-631の開発を進めております。 (研究開発の状況)当社は、前臨床試験(*)により、TDM-631を造影剤に溶解しカテーテルを通して血管内に注入するとゲル化することや、ゲル化したTDM-631はX線カメラにより視認可能なことを確認しております。また、TDM-631の生体内における血管塞栓効果をみるために、動物モデルを用いた実験を行っております。 (B) 再生医療領域自己組織化ペプチドは細胞の増殖を支える細胞外マトリックスに似た物理構造を有することから、当社グループでは、再生医療領域において歯槽骨再建材、創傷治癒材を開発パイプラインとして有しております。また当社グループは、当該パイプライン以外に、歯槽骨以外の骨の再建、軟骨・腱の再生、心筋の再生等に関する研究を行っております。 a)歯槽骨再建材当社グループは、歯周病による歯槽骨の退行で歯が脱落した場合等に、インプラント術前にインプラント固定に充分な骨量を確保するために行う歯槽骨再建術において、骨再生のための足場材となる製品(開発コード:TDM-711)(以下「TDM-711」という。)の開発を行っています。ゲル化された自己組織化ペプチドは、ナノファイバーによる3次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境に近く、生体組織の再生をサポートする特性を有しています。TDM-711は、骨量不足箇所に充填されると、かかる特性により足場材として骨再生を促進します。米国でのインプラント治療における歯槽骨再建術では、代替骨を用いる施術も少なくなく、自家骨(*)や他家骨(*)、人工骨を用いた再建術が行われていますが、当社グループは、他家骨や人工骨を用いた再建術において、その生着を高めるためにTDM-711を用いることも検討しています。 (研究開発の状況)当社グループは、GLP(*)下において歯槽骨に欠損がある状態でのTDM-711の有効性の確認試験を実施し、通常の欠損群に比べ有意な骨再生が認められたため、その後も研究開発を進めてまいりました。当社グループは、TDM-711につき、FDAに対し平成22年9月にIDE申請を行い、平成23年7月にIDEの承認を得たことに続き、平成24年2月には、米国ハーバード大学の医学部・歯学部の付属研究所であるフォーサイス・インスティテュート(Forsyth Institute)において、臨床試験を開始し、プロトコルで規定した15症例の施術が完了しております。当該最終結果を受領し、FDAに提出しておりましたが、骨再生に有効なデータを得られたことから、次のフェーズでの臨床試験を実施中です。 b)創傷治癒材当社グループは、皮膚(表皮、表皮・真皮)からの出血を迅速に止血する局所止血材、皮膚の創傷部の再生環境を整え、創傷治癒を促す製品(開発コード:TDM-511)(以下「TDM-511」という。)を開発しております。 (研究開発の状況)当社グループは、前臨床試験を実施し、申請に必要な有効性に関するデータを入手しております。当該結果をもとに市販前届510(k)(*)による申請の準備を進め、平成26年10月に医療機器として市販前届510(k)を米国FDAに申請し、平成27年2月に販売承認を得ました。創傷治癒材としての活用に加え、他薬剤とのコンビネーションによる治療効果の増大が期待できることから、熱傷治療、皮膚がん治療、美容整形分野での研究開発を進めております。 (C) DDS領域当社は、DDS領域において、自己組織化ペプチドをDDSにおける薬剤や治療物質のキャリア担体として活用するための研究開発を行っており、bFGF(*)・PDGF(*)等のタンパク質の徐放においても複数の有効性試験を実施しております。中でも、ハイドロゲルを形成する自己組織化ペプチドとは異なり界面活性(*)作用を持つペプチド(A6K(*))については、溶液中でナノチューブを形成する性質を有するため、当社は、癌細胞へのsiRNA(*)の導入試験において、かかる性質を活かし、ナノチューブに内包された形で癌細胞膜透過性をもたらし、導入効率を高めていく研究を行っております。 (研究開発の状況)当社は、界面活性ペプチドを用い国立がん研究センターと新規癌治療技術の開発に向けて共同研究を行っており、癌細胞への徐放技術の確立に向け前臨床試験実施し、乳がん治療に向けたsiRNA核酸医薬のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)を共同開発しております。外科領域・再生医療領域では、当社は自ら医療機器として臨床試験・製造販売承認取得まで開発を進めますが、DDS領域では、医薬品としての開発が主力となるため、事業化に関してはsiRNA等の薬剤や治療物質についての技術を有する大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を実施する予定です。 B 医療製品の開発プロセス当社グループが自社による開発や製造販売承認取得を目指している医療製品は、医療機器に分類されます。新たに医療機器や医薬品を開発する場合、その開発プロセスは、基礎研究、前臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請という基本的な流れは共通ですが、医薬品の場合には臨床試験が多段階に設定されており、一般に試験を行うことが要求される対象例や症例数が多く、医薬品の開発プロセスは長期に亘ります。医薬品の開発プロセスでは、臨床試験の試験相が第3相まで(第1相・第2相で少数の健常人や患者に対して投与し安全性や有効性の評価を行い、第3相で多数の患者に投与し、安全性や有効性の確認・実証を行う)に分かれるのに対し、当社が開発している医療機器では1つの相で比較的短期間に臨床試験が実施されます。当社グループでは、現在、外科領域における吸収性局所止血材・粘膜隆起材・血管塞栓材、再生医療領域における歯槽骨再建材・創傷治癒材を医療機器として開発し、当社グループ自ら製造販売承認を取得します。主にDDS領域における自己組織化ペプチド薬剤の担体については、医薬品としての開発となる可能性が高いこと、また当社独自で薬剤や治療物質についての技術を取得するには時間を要することなどから、主に大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を行うことでロイヤリティー等のライセンス収入の獲得を目指します。 当社の医療機器の研究開発プロセスの概要は以下のとおりです。 各プロセス内容①基礎研究当社技術が適用可能で医療機器として開発可能なアプリケーションの探索及び製品スペックの最適化を行う。②前臨床試験医療機器としての条件を満たす安全性、有効性を動物実験により検証を行う。③臨床試験患者に対する医療機器の安全性、有効性について検証を行う。④製造販売承認申請厚生労働省/PMDA、米国のFDA等の各国の許認可審査機関へ製造販売承認の申請を行う。⑤製造販売承認取得厚生労働省/PMDAや各国の許認可審査機関から製造販売承認を得る。⑥保険収載各健康保険の適用が可能な償還価格(*)を得る。⑦上市医療機器製品として製造及び販売を行う。 当社グループでの医療製品開発における、主要なパイプラインの進捗状況は以下のとおりです。(主要なパイプライン開発の状況) (注)1 吸収性局所止血材欧州:平成26年1月にCEマーキング指令適合を受け、平成27年4月期に製品販売を開始。日本:平成23年4月に臨床試験を終了し平成23年5月に製造販売承認申請も、平成27年3月に新臨床試験の実施を決定、再申請を行い承認取得する開発計画に変更。米国:FDA(米国食品医薬品局)と臨床試験に向けたプロトコル協議中、平成29年4月期に臨床試験開始、平成31年4月期以降に製品販売を予定。韓国:CEマーキングでの製品登録申請済み、平成29年4月期での登録承認を予定。南米(ブラジル・メキシコ・コロンビア等):主要国であるブラジル、メキシコ、コロンビアにてCEマーキング製品登録済み。平成29年4月期より販売開始予定。アジア・オセアニア:シンガポール、インドネシア、タイ、オーストラリアにて医療機器製品登録の承認を取得済み。2 歯槽骨再建材平成22年9月に臨床試験開始に向けたIDE申請をFDAに行っており、平成23年7月にIDE承認を得て、平成24年2月に臨床試験を開始。3 創傷治癒材平成26年10月にFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)を申請。平成27年2月にFDAより同承認を取得。4 DDS領域DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)領域において当社ペプチドを医薬品等のキャリアとする開発で、当社単独での事業化ではなく大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を目標。 C 医療製品開発の事業体制当社グループでは、小規模・少人数の組織体制で医療製品開発を効率的に進めるため、外部機関を有効に活用して事業を遂行しています。研究開発においては、当社グループがMITから専用実施権を得ている自己組織化ペプチド技術を基盤技術として、大学・研究機関等とMTA契約を締結し共同研究等によって応用技術の獲得に取り組んでいます。当社は、ペプチド原材料の製造を複数社に委託しており、吸収性局所止血材の製造については、扶桑薬品工業株式会社との間で製造受委託契約を締結しております。また、当社は、平成21年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結しており、ペプチド原材料調達・製品製造委託・販売に関して協力・支援を受ける体制をとっています。製品販売に関しては、吸収性局所止血材の販売について、平成26年1月にCEマーキングの指令適合に係る認証を取得し、EU加盟国及びCEマーキング適用圏であるアジアにて製品販売を開始しております。欧州地域における独占販売権許諾契約締結については、複数社との交渉を継続して進めております。日本においては、吸収性局所止血材の販売に向けて扶桑薬品工業株式会社と平成21年7月に独占販売権許諾契約を締結しております。当社は、海外への製品販売に向けても、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを平成22年9月に締結し、同社に対し韓国における独占販売権を許諾し、また台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを同月に締結し、同社に対し台湾における独占的開発・製造・販売権を許諾しております。また、平成25年3月には、医療機器の品質マネジメントシステムのための国際標準規格ISO13485の認証を取得しており、各国への輸出を実施しております。 当社グループにおける基本的な医療製品事業の流れは以下のとおりです。 (注)1 製品販売/代金回収を示しております。2 契約一時金は提携契約締結時に収益となるものであり、マイルストーンペイメントは開発過程において提携契約に定める一定の段階を達成した場合に収益となるものです。3 当社は、業務提携先からは、ペプチド原材料調達、製造技術、国内外の販売提携に関する助言/協力/支援を得ています。また、業務委託先とは受託臨床試験機関(以下「CRO」という。)や薬事アドバイザー等です。4 当社は、止血材製品について、扶桑薬品工業株式会社には日本における独占的販売権の許諾及び製造工程の一部委託をしております。Daewoong Pharmaceutical Co.LTDには韓国における独占販売権の許諾をしております。Excelsior Medical Co., Ltd.には台湾における独占的開発・製造及び販売権の許諾をしております。また、粘膜隆起材製品について、扶桑薬品工業株式会社に日本における独占的販売権の許諾をしております。5 連結子会社である3-D Matrix,Inc.であります。 ② 研究試薬販売当社は、平成20年2月より米国の販売会社とSupply Agreementを締結し、同社に対し自己組織化ペプチドのうちPuraMatrix製品(RADA16)の研究試薬としての独占販売権を許諾して、全世界の大学・研究機関等に向けて同製品を研究試薬として販売しています。かかる研究試薬については、ペプチド原材料の製造、溶解及び最終パッケージングを製造委託先に委託しています。当社は、各大学・研究機関等における研究に使用されることで新規アプリケーションの開発が進められることを期待して研究試薬販売を行っています。これまでに、当社が販売した研究試薬は、各研究機関において細胞種のin vitro(*)・in vivo(*)での注入実験などに使用されています。 研究試薬販売における基本的な事業の流れは以下のとおりです。 (3) MITとのライセンス契約について自己組織化ペプチドの物質特許及び基本的な用途特許は、MITが有しています。当社子会社は平成15年4月にMITとの間でExclusive Patent License Agreementを締結し、MITから、全世界における医療・生命科学・美容の分野にかかる同特許の専用実施権(再許諾権付)の許諾を受け、また、当社は、平成16年10月に当社子会社との間でLicense and Supply Agreementを締結し、当社子会社からアジア地域における同分野にかかる同特許の実施権の再許諾を受けています(なお、平成19年10月の米国3-D Matrix,Inc.の当社子会社化に伴い、当社及び当社子会社は平成21年4月に同契約について必要な改訂を行っております。)。当社グループは、このようにしてMITからライセンスを受けた自己組織化ペプチド技術を用いて医療製品の研究開発に取り組んでいます。当社は、自己組織化ペプチド技術を基盤とした応用技術に関し、当社子会社とともに特許出願を行い、また共同研究先と特許共同出願をしています。 当社グループがMITから専用実施権の許諾を受けている主な特許権等は下記のとおりです。なお、当社子会社とMITとのライセンス契約の概要は、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 対象発明の名称登録番号出願日登録日期限自己組織化ペプチド物質特許(自己組織化方法・阻害方法含む)US 6548630平成9年7月22日平成15年4月15日平成29年7月21日自己組織化ペプチド細胞培養法US 5955343平成6年8月22日平成11年9月21日平成28年9月20日自己組織化ペプチド細胞培養法US 6800481平成9年3月26日平成16年10月5日平成29年3月25日自己組織化ペプチドたんぱく質の薬物送達法US 7098028平成15年3月17日平成18年8月29日平成35年3月16日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法US 7449180平成13年2月6日平成20年11月30日平成33年2月6日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法EP 1367961平成14年2月6日平成20年12月31日平成33年2月6日自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法第5057629号平成14年2月6日平成24年8月10日平成33年2月6日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 7713923平成16年6月25日平成22年5月11日平成36年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 8901084平成16年6月25日平成26年12月2日平成36年6月25日自己組織化ペプチド修飾ペプチド細胞培養法第5057781号平成16年6月25日平成24年8月10日平成36年6月25日 (4) アライアンス先との提携契約について当社グループは、MITより実施許諾を受けている自己組織化ペプチド技術が幅広い応用可能性を持つ技術であると認識しております。当社は、当技術を用いたパイプラインの探索や医療機器としての開発、事業化戦略の立案等の企画機能に特化し、製造や販売機能は他社との事業提携によって補完する戦略を採っていることから、製造や販売に関しては適宜に戦略的な事業提携を行い、製品の開発から販売、継続供給の体制を構築していく方針です。当社は、吸収性局所止血材について、平成21年4月に伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社と業務提携契約を締結し、ペプチド原材料の調達、製品製造の委託、販売提携に関して相手先の推薦・選定及び条件について助言を受け、相手先との交渉・コミュニケーションについて継続的に協力・支援を受けることとしています。また、当社は、平成21年7月、扶桑薬品工業株式会社と吸収性局所止血材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して製品の販売体制の構築に取り組んでおり、平成23年5月には、同社と製造受委託契約書を締結し、同社に止血材製品の製造工程の一部を独占的に委託しています。さらに、当社は、平成22年9月、韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとPARTNERSHIP AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の韓国における独占的販売権を付与し、また同月、台湾Excelsior Medical Co.,Ltd.とLICENSE AGREEMENTを締結し、同社に対し吸収性局所止血材の台湾における独占的開発・製造及び販売権を付与しております。当社シンガポール子会社3-D Matrix Asia Pte. Ltd.は、平成26年5月にインドネシアのPT. Teguhsindo Lestaritamaとインドネシアにおける独占販売権許諾契約を締結し、平成27年7月に韓国Daewoong Pharmaceutical Co.LTDとタイ・ベトナム・フィリピンにおける独占販売権の許諾、インドネシアにおける非独占販売権の許諾を行っております。その他、当社は、平成24年2月、扶桑薬品工業株式会社と粘膜隆起材の独占販売権許諾契約を締結し、日本における独占販売権を許諾して、製品化及び販売体制の構築に取り組んでおります。これらの契約の概要は、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。 (用語解説)用語意味・内容自己組織化ペプチド生理的条件下(中性pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを形成するペプチド群。PuraMatrix製品自己組織化ペプチド技術を用いたハイドロゲルの第一世代商品であり、体を構成するアミノ酸であるアルギニン(R)、アラニン(A)、アスパラギン酸(D)からなる繰り返し配列である16残基のペプチド(RADA16)。アミノ酸同一分子内にカルボキシル基(-COOH)とアミノ基(NH2)を有する化合物。アルギニン(R)タンパク質を構成する塩基性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はR又はArgで表記される。アラニン(A)タンパク質を構成する中性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はA又はAlaで表記される。アスパラギン酸(D)タンパク質を構成する酸性アミノ酸の一種。ヒトの非必須アミノ酸であり、天然に存在し食物では肉類・大豆・牛乳に多く含まれる。略号はD又はAspで表記される。ペプチドアミノ酸が2個以上結合した化学物質(結合するアミノ酸の数によってジペプチド、ポリペプチドなどとも呼ばれる)。pH酸性、アルカリ性を表す指標(水素イオン濃度)。ゲル化液体的な柔軟性を持ちつつ、個体のような弾力性を有する吸収性高分子素材であるゲルを生成すること。細胞外マトリックス細胞の外側にあるコラーゲンなどの構造タンパク質、細胞の生着・増殖等を支える足場(Scaffold)材。ADME試験ADMEとはAbsorption(吸収)・Distribution(分布)・Metabolism(代謝)・Excretion(排泄)の頭文字をとった名称で、医薬品等が体内に服用されてから体外に排泄されるまでの経過のこと。ADME試験とは、体内にある薬又は同等物の体内での存在期間、排出過程を時間単位で追跡していく薬物の動態試験。タンパク質分解酵素タンパク質又はペプチドのペプチド結合を加水分解して、複数個のアミノ酸又はペプチドを生成する酵素であり、プロテアーゼ・ぺプチダーゼともいう。DDS必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術)。Drug Delivery Systemの略称。足場材体内にあるコラーゲン等の細胞間マトリックスであり、細胞増殖のための足場となるもの。担体吸着や触媒活性を示す物質を固定する土台となる物質。MTA契約研究試料供給契約をいう。研究試料(試薬、遺伝子や細胞、実験動物等)の提供を行うための契約で、その試料の取扱や権利、免責等について規定する。プレフィルドシリンジ治療等に必要である医薬品が注射器(シリンジ)にあらかじめ充填され、すぐに使用できる状態のもの。ブリスター包装片面を比較的堅い材質の板状のものを使う薬の包装や厚紙を台紙とし商品名などを印刷し、商品を板状のプラスチックをバキュームフォームなどで成型し囲み込み台紙に接着した、またはスライド式着脱可能な包装のこと。止血剤製品群外科手術等で生じた比較的狭い範囲での出血を止めるために使用されるもので、外科手術等において止血用途で使用される止血剤や組織接着剤等を含めた広義の製品群。フィブリノゲン血液凝固因子の一つで、線維素性の血漿蛋白原。臨床試験薬事承認の取得を目的として、未承認の医薬・医療機器をヒトに投与してデータ収集し、ヒトに対する安全性・有効性を検証する試験。 用語意味・内容 冠動脈バイパス術虚血性心疾患の治療法で、心臓に血液を送る冠動脈の狭窄、閉塞による血流量の低下を解消するために、大動脈等から血管をつなぐことで、血流量の回復をはかる手術。人工血管置換術動脈瘤等の血流を阻害する箇所を切除して、合成繊維でできた人工血管に置き換えて血流を改善する手術。滲出性出血出血状態の分類の一つで、滲み出るような弱い出血。内視鏡的粘膜切除術内視鏡を用いて筋層以下(粘膜下層の奥)に障害を与えずに、粘膜下層の深さで粘膜層をスネアと呼ばれるワイヤーに高周波電流を流して組織を回収することで、早期癌やポリープなどを治療する手術。内視鏡的粘膜下層剥離術癌の周囲にヒアルロン酸などの薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作ったうえで、さまざまな電気メスを用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メスを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい病変を一括して切除することが可能。内視鏡用粘膜下注入材内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術を実施する際に、病巣部を取りやすくするために、病巣部を隆起させるために使用する生理食塩液やヒアルロン酸などのもの。血管内塞栓促進用補綴材血管内に投与して塞栓を形成させ(血管を詰まらせ)、病巣部の血流を遮断することで病巣部の治療を意図する医療機器。前臨床試験医薬品や医療機器の製造承認申請に際し、開発段階で、ヒトへ使用する(臨床)前に、複数種類の動物で生体への基礎的な効果(安全性・有効性)を評価・証明する科学的データを取得するために実施する試験。自家骨自分自身の骨。他家骨他人の骨。GLP医薬品・医療機器の開発のために行われる前臨床試験(動物試験等、特に安全性試験)のデータの信頼性を確保するための実施基準。Good Laboratory Practiceの略称。510(k)既存の医療機器と同等の機能を有する医療機器の登録制度。bFGF塩基性線維芽細胞成長因子。創傷時における線維芽細胞増殖や血管新生に関与する。PDGF血小板由来成長因子。主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走及び増殖などの調節に関与する。界面活性少量で液体の表面張力を低下させる物質。A6K自己組織化ペプチドの一種で、アミノ酸配列AAAAAAKであるもの。水溶液中で粒子径が約50-100nmのナノチューブを形成する。siRNA21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNA。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)を分解することによって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。償還価格健康保険の給付対象となる医療機器等について、厚生労働省が定めた価格。in vitroヒトや動物の組織を用いて生きたままの状態(生体)と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応等を検証する試験。in vivo動物を用いて生きたままの状態(生体)で、薬物の反応等を検証する試験。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 生物由来品と異なり人工合成物で安全性が高く、既存製品と差別化できるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 MITより自己組織化ペプチド技術に係る特許の独占的実施権の許諾を受けている。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 高い(依存) |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | ディフェンシブ |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 軽い(資本不要) |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:薬事関連規制の変更や承認取り消し / 競合製品の登場による売上減少 / 保険制度の変更による収益不確実性
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 2 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可
提供された情報からは、スリー・ディー・マトリックスが強力なブランド、特許、規制ライセンス、または独占的IPを保有していることを示す具体的な証拠はありません。事業内容が高度な技術を要する可能性はありますが、それが直接的な無形資産の優位性に結びついているかは不明です。
スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト
光ファイバーセンサー技術は特定の用途に特化している可能性があり、顧客が他社製品への切り替えに際して、システム統合や再検証のコストが発生する可能性があります。しかし、その程度は限定的と考えられます。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む
光ファイバーセンサー事業において、ユーザー数の増加がサービス価値を向上させるようなネットワーク効果は一般的に見られません。プラットフォーム型ビジネスではないため、このモートは該当しません。
コスト優位☆☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる
精密機器分野であり、特に光ファイバーセンサーのような高度な技術を要する製品においては、構造的なコスト優位性を確立することは困難です。技術開発や製造プロセスにおける優位性はありますが、それが低コスト競争力に直結するとは考えにくいです。
規模の経済★☆☆☆☆
根拠:弱い規模が参入障壁になる
光ファイバーセンサー市場はニッチな分野である可能性があり、その中で一定のシェアを確保していると考えられます。しかし、市場全体の規模や、競合他社との比較における規模の経済性は不明確であり、限定的な優位性にとどまる可能性があります。
- 独自の自己組織化ペプチド技術同社はMITから独占実施権を得た自己組織化ペプチド技術を基盤としています。この技術は、特定のペプチドが体液と接触すると速やかにゲル化し、生体内で細胞培養に適した環境を形成するというユニークな特性を持ちます。これにより、既存の医療材料にはない新たな機能や安全性を提供できる点が大きな強みです。
- 高い安全性と品質安定性自己組織化ペプチドは、生物由来の原材料を含まず化学合成によって生産されます。このため、ウイルス感染や未知の成分混入のリスクがなく、高い安全性が確保されています。また、ほぼ均一な品質で大量生産が可能であり、安定した製品供給体制を築ける点も、生物由来製品が多い医療分野において競争優位性となります。
- 既存製品との差別化主力製品である吸収性局所止血材「TDM-621」は、物理的な被膜形成により止血するため、既存の接着型止血材に比べて待ち時間や圧迫時間を短縮できます。また、余剰部分の除去が容易であり、生物由来製品に求められる厳格な管理プロセスが不要であるため、医療従事者や患者の負担軽減に貢献し、明確な差別化が図られています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)経営方針当社グループは、「バイオマテリアルによって医療の進展に貢献する」を企業理念とし、外科領域、組織再生領域等において製品開発を続け、グローバルな競争力を獲得することに努めてまいります。 (2)経営戦略等当社は、医療機器の開発企業として、製造販売承認を取得予定の製品の安定供給体制・販売体制の構築及び製品のグローバル展開を目指しており、国内外の適応拡大に向け経営資源を配置いたします。さらに、その他の各パイプラインや現在国内外の研究機関で応用研究が進んでいる次のパイプライン候補の事業化に注力いたします。 (3)目標とする経営指標当社グループは、医療機器や医薬品の研究開発投資を行う先行投資型企業であります。外科領域では吸収性局所止血材、後出血予防材、粘膜隆起材、癒着防止材等を開発しており、組織再生領域では歯槽骨再建材、創傷治癒材等の開発をしております。このパイプライン群を早期に製品化し、製品販売での収益確保が安定的な企業運営に繋がることから、事業収益を主要な経営指標に位置付けております(2026年4月期の製品販売による事業収益の計画は9,283百万円)。また、そのためには当社グループ内の基礎研究の共有や効率化を実施し、臨床開発等の研究開発費を効率よく管理していく必要があり、その観点からは研究開発費も重要な経営指標に位置付けております(2026年4月期における研究開発費の計画は951百万円)。 (4)対処すべき課題当社グループは、医療分野を取り巻く現状を分析し、それらを踏まえた最善の事業戦略の策定及び推進実行に向けて、具体的には以下のような点が事業運営上の課題と認識しております。 ①事業収益拡大とコスト削減当社グループは、主力製品である止血材について、欧州及びオーストラリアに続き、内視鏡先進国である日本及び世界最大の市場を有する米国においても、本格的に製品販売を開始しております。売上成長を最大化するために、各極において営業体制を確立・拡大し、相応の営業費用を投じてまいりましたが、短期的には奏功せず当連結会計年度も営業損失が継続する結果となりました。今後一時的には、当社止血材の優位性が高く、売上成長が確実に見込まれる消化器内視鏡領域に事業領域を絞り込み、他領域の営業体制は利益貢献が確実に見込まれる範囲内での活動に留めることで、マーケティング費用を含む営業経費を削減し、収益確保を最優先に進めてまいります。研究開発に関しては、次世代止血材や粘膜炎の創傷治癒等の注力分野を除き、新規開発を一時的に中断し、注力分野においても、臨床試験を必要としない又は最小規模で実施できる等、グローバルで見て最も有利な市場を選びながらコストと時間の最小化に努めております。 ②資金調達当社グループの事業運営及び研究開発を進めるための十分な資金確保に向けて、米国においてバイオ業界への投資に多くの実績を有する投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インクに対し、2024年4月に第39回新株予約権を発行いたしました。これにより、当連結会計年度において、第39回新株予約権の権利行使により2,628,560千円を調達することができました。一方で、既発行の社債について早期償還条項の適用による一部償還により、2024年9月に第7回無担保転換社債型新株予約権付社債のうち62,500千円を、2024年10月に第6回無担保転換社債型新株予約権付社債のうち256,250千円を、2024年11月に第5回無担保転換社債型新株予約権付社債のうち220,636千円を償還しております。また、株式会社りそな銀行とコミットメントライン契約を締結しており、安定的な事業資金の確保に取り組んでおります。今後も引き続き、金融機関からの借入を含む様々な資金調達を検討し、継続的な財務基盤の強化に努めてまいります。 ③研究開発体制及び経営管理体制の強化当社グループは、パイプラインの進展及び事業のグローバル展開に対応するため多様化するリスクを把握し、これに対処するための研究開発体制や経営管理体制の強化を経営課題と認識しております。当社グループは、研究開発において小規模の体制で各規制当局の定める基準に準拠した体制を構築し、複数の製品開発を実施しております。今後、研究開発活動がさらに拡大、グローバル化した際にも必要な情報の収集を行い、社内規程の改訂や継続的社員教育等を通して、法令や規則の遵守のための活動を継続して行ってまいります。また、当社グループは小規模組織ですがグローバルに拠点を展開しております。そのため、グループ全体での内部統制体制を確立することを目指し、統制項目や業務プロセスを検証し、リスクを洗い出し、それを最小化する取組を実施しております。今後も組織的な内部統制の構築を進めるとともに、組織間の牽制機能の強化やコンプライアンス体制の強化に向け取組んでまいります。また今後も、上市製品の増大、事業展開エリアの拡大等、事業ステージに合わせて、充分な体制を維持すべく、事業計画に合わせた人員計画により、高度な専門知識・経験を有する国内外の人材確保や育成、外部リソースの積極活用に努めてまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)経営方針当社グループは、「バイオマテリアルによって医療の進展に貢献する」を企業理念とし、外科領域、組織再生領域等において製品開発を続け、グローバルな競争力を獲得することに努めてまいります。 (2)経営戦略等当社は、医療機器の開発企業として、製造販売承認を取得予定の製品の安定供給体制・販売体制の構築及び製品のグローバル展開を目指しており、国内外の適応拡大に向け経営資源を配置いたします。さらに、その他の各パイプラインや現在国内外の研究機関で応用研究が進んでいる次のパイプライン候補の事業化に注力いたします。 (3)目標とする経営指標当社グループは、医療機器や医薬品の研究開発投資を行う先行投資型企業であります。外科領域では吸収性局所止血材、後出血予防材、粘膜隆起材、癒着防止材等を開発しており、組織再生領域では歯槽骨再建材、創傷治癒材等の開発をしております。このパイプライン群を早期に製品化し、製品販売での収益確保が安定的な企業運営に繋がることから、事業収益を主要な経営指標に位置付けております(2026年4月期の製品販売による事業収益の計画は9,283百万円)。また、そのためには当社グループ内の基礎研究の共有や効率化を実施し、臨床開発等の研究開発費を効率よく管理していく必要があり、その観点からは研究開発費も重要な経営指標に位置付けております(2026年4月期における研究開発費の計画は951百万円)。 (4)対処すべき課題当社グループは、医療分野を取り巻く現状を分析し、それらを踏まえた最善の事業戦略の策定及び推進実行に向けて、具体的には以下のような点が事業運営上の課題と認識しております。 ①事業収益拡大とコスト削減当社グループは、主力製品である止血材について、欧州及びオーストラリアに続き、内視鏡先進国である日本及び世界最大の市場を有する米国においても、本格的に製品販売を開始しております。売上成長を最大化するために、各極において営業体制を確立・拡大し、相応の営業費用を投じてまいりましたが、短期的には奏功せず当連結会計年度も営業損失が継続する結果となりました。今後一時的には、当社止血材の優位性が高く、売上成長が確実に見込まれる消化器内視鏡領域に事業領域を絞り込み、他領域の営業体制は利益貢献が確実に見込まれる範囲内での活動に留めることで、マーケティング費用を含む営業経費を削減し、収益確保を最優先に進めてまいります。研究開発に関しては、次世代止血材や粘膜炎の創傷治癒等の注力分野を除き、新規開発を一時的に中断し、注力分野においても、臨床試験を必要としない又は最小規模で実施できる等、グローバルで見て最も有利な市場を選びながらコストと時間の最小化に努めております。 ②資金調達当社グループの事業運営及び研究開発を進めるための十分な資金確保に向けて、米国においてバイオ業界への投資に多くの実績を有する投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インクに対し、2024年4月に第39回新株予約権を発行いたしました。これにより、当連結会計年度において、第39回新株予約権の権利行使により2,628,560千円を調達することができました。一方で、既発行の社債について早期償還条項の適用による一部償還により、2024年9月に第7回無担保転換社債型新株予約権付社債のうち62,500千円を、2024年10月に第6回無担保転換社債型新株予約権付社債のうち256,250千円を、2024年11月に第5回無担保転換社債型新株予約権付社債のうち220,636千円を償還しております。また、株式会社りそな銀行とコミットメントライン契約を締結しており、安定的な事業資金の確保に取り組んでおります。今後も引き続き、金融機関からの借入を含む様々な資金調達を検討し、継続的な財務基盤の強化に努めてまいります。 ③研究開発体制及び経営管理体制の強化当社グループは、パイプラインの進展及び事業のグローバル展開に対応するため多様化するリスクを把握し、これに対処するための研究開発体制や経営管理体制の強化を経営課題と認識しております。当社グループは、研究開発において小規模の体制で各規制当局の定める基準に準拠した体制を構築し、複数の製品開発を実施しております。今後、研究開発活動がさらに拡大、グローバル化した際にも必要な情報の収集を行い、社内規程の改訂や継続的社員教育等を通して、法令や規則の遵守のための活動を継続して行ってまいります。また、当社グループは小規模組織ですがグローバルに拠点を展開しております。そのため、グループ全体での内部統制体制を確立することを目指し、統制項目や業務プロセスを検証し、リスクを洗い出し、それを最小化する取組を実施しております。今後も組織的な内部統制の構築を進めるとともに、組織間の牽制機能の強化やコンプライアンス体制の強化に向け取組んでまいります。また今後も、上市製品の増大、事業展開エリアの拡大等、事業ステージに合わせて、充分な体制を維持すべく、事業計画に合わせた人員計画により、高度な専門知識・経験を有する国内外の人材確保や育成、外部リソースの積極活用に努めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の概要①経営成績の分析 [表1]事業収益及び営業損益(単位:百万円) 前連結会計年度(自 2023年5月1日 至 2024年4月30日)当連結会計年度(自 2024年5月1日 至 2025年4月30日)前期比事業収益4,5886,934+51.1%売上総利益3,0864,424+43.4%営業損失(△)△2,117△1,156― 当社グループは、米国Massachusetts Institute of Technology(マサチューセッツ工科大学)の研究者の発明による自己組織化ペプチド技術を基にした医療製品の開発・製造・販売を行っております。現時点では日米欧3極においてそれぞれ複数の製造販売承認を取得しており、主に吸収性局所止血剤を中心にグローバルに販売活動を行っております。 [販売進捗の状況] [表2]エリア別製品販売状況(単位:百万円) 前連結会計年度(自 2023年5月1日 至 2024年4月30日)当連結会計年度(自 2024年5月1日 至 2025年4月30日)前期比米国1,5273,152+106.4%欧州1,6992,052+20.7%日本9011,234+36.9%オーストラリア435478+9.9%その他2415-36.0%事業収益合計4,5886,934+51.1% 米国における製品販売は、3,152百万円となり前期比106.4%増となりました。消化器内視鏡領域においては、高い成長を維持しており四半期ごとに過去最高額を達成し計画を大幅に超えるトレンドが継続しております。既存顧客における製品販売額の伸びが進捗することに加え、新規顧客獲得数が想定以上のスピードで増加しており、市場からの大きな需要がうかがえる状況です。また、販売活動強化のため営業人員を拡大する施策も功を奏し、コストの増加分以上に事業収益の成長が進捗し、貢献利益(※)も継続的に拡大しております。耳鼻咽喉科領域においては、アピールポイントを止血から創傷治癒や癒着防止へ転換する戦略が引き続き効果を発揮し、貢献利益の黒字を継続化している状況です。これらの結果、米国子会社は当連結会計年度において、財務会計上の黒字化を達成しております。欧州における製品販売は、2,052百万円となり前期比20.7%増となりました。主要製品である消化器内視鏡領域の止血材においては、一部代理店販売において営業力確保に想定よりも時間を要していることから、計画未達となっております。心臓血管外科領域に関しては、直販体制を見直し代理店による販売体制に回帰することで営業コストを削減し、貢献利益の拡大を図っております。耳鼻咽喉科領域及び泌尿器科領域においては、小規模の体制で販売を行っております。販売額は小さいものの、高い成長を記録しており計画を達成しております。日本における製品販売は、1,234百万円となり前期比36.9%増となりました。新規顧客獲得に加え、既存顧客の製品使用量を増やす施策が奏功しており、引き続き高い成長と貢献利益の黒字拡大を達成しております。オーストラリアにおける製品販売は、478百万円となり前期比9.9%増となりました。政府による民間保険価格の見直しによる製品販売価格の低下の影響を受けておりましたが、2024年7月時点で見直しも終結したとされております。主に価格低下の影響で販売額は計画を下回ったものの、販売本数は計画を上回っており成長を維持しております。 このような結果、当連結会計年度については、止血材の製品販売は米国で3,152百万円、欧州で2,052百万円、日本で1,234百万円、オーストラリアで478百万円を計上し、その他事業収益15百万円を含めると、事業収益6,934百万円(前期比2,345百万円の増加)と前期比51.1%増となり、計画を上回る結果となりました。 ※ 貢献利益:売上総利益から営業費用を控除した数値 費用面に関しては、製品と原材料の評価損を計上したことにより、原価が一時的に増加しております。製品の評価損としては、401百万円を原価に計上しております。主に欧州における消化器内視鏡以外の心臓血管/耳鼻咽喉科分野への拡販用製品が対象となっております。製品製造後、拡販活動に動いたものの市場立ち上げにはまだ時間を要すると判断し、消化器内視鏡分野への営業リソースの集中を実行したことから、製品の消費期限までの販売可能性を検討し評価損として計上いたしました。原材料の評価損としては、218百万円を原価に計上しております。主に製品の原材料となるペプチドパウダーであり、ペプチド原材料のセカンドサプライヤーから仕入れたものが対象となっております。ペプチドパウダーに有効期限はないものの、仕入からの経過年数、当該サプライヤーからの品質保証の担保に時間を要すること等を検討し評価損として計上いたしました。この結果、営業損失は1,156百万円と前連結会計年度より960百万円改善し、営業赤字の縮小を実現しております。また、見込んでいた為替レートからさらに円高に進み(期首1ドル=156.92円→期末1ドル=142.57円)、為替差損が増加した影響から、経常利益以下は赤字が拡大しました。為替換算により大きく変動する可能性のある「子会社貸付金(24百万ユーロ+28百万米ドル)の評価」等の為替差損益の集計を進めた結果、1,128百万円の差損となったため、経常損失は2,483百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は2,501百万円となりました。 ②財政状態の分析当連結会計年度末における総資産は6,513百万円(前連結会計年度末比626百万円の増加)、総負債は4,296百万円(同1,236百万円の減少)及び純資産は2,216百万円(同1,862百万円の増加)となりました。当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況に関する分析は以下のとおりです。(流動資産)当連結会計年度末における残高は6,418百万円(同627百万円の増加)となりました。これは主に、現金及び預金の増加216百万円、売掛金の増加745百万円及びその他流動資産の増加75百万円がある一方で、棚卸資産の減少369百万円及び前渡金の減少50百万円があることによるものです。(固定資産)当連結会計年度末における残高は94百万円(同0百万円の減少)となりました。これは、投資その他の資産の減少によるものです。(流動負債)当連結会計年度末における残高は1,578百万円(同42百万円の増加)となりました。これは主に、未払金の増加248百万円、未払費用の増加16百万円及びその他流動負債の増加23百万円がある一方で、未払法人税等の減少246百万円があることによるものです。(固定負債)当連結会計年度末における残高は2,718百万円(同1,278百万円の減少)となりました。これは主に、転換社債型新株予約権付社債の減少1,233百万円があることによるものです。(純資産)当連結会計年度末における残高は2,216百万円(同1,862百万円の増加)となりました。これは主に、資本金及び資本剰余金のそれぞれ1,671百万円の増加及び為替換算調整勘定の増加1,039百万円がある一方で、親会社株主に帰属する当期純損失による利益剰余金の減少2,501百万円があることによるものです。 ③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ216百万円増加し、1,580百万円となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は以下のとおりです。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動の結果、減少した資金は1,714百万円(前連結会計年度は1,899百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失が2,479百万円であり、増加原因として為替差損1,187百万円、棚卸資産の減少294百万円や前渡金の減少49百万円、未払金の増加270百万円及び未払費用の増加48百万円等があるものの、減少要因として売上債権の増加815百万円及び法人税等の支払額250百万円があることによるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動の結果、減少した資金は33百万円(同29百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出11百万円及び長期前払費用の取得による支出17百万円等によるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動の結果、得られた資金は2,013百万円(同2,062百万円の増加)となりました。これは主に、株式の発行による収入2,616百万円があるものの、減少要因として転換社債型新株予約権付社債の償還による支出599百万円があることによるものです。 (2) 生産、受注及び販売の状況 当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであります。① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(千円)前期増減比(%)医療製品事業1,756,471+56.3合計1,756,471+56.3 (注) 上記の金額は、製造原価によっております。 ② 受注実績当社グループは、販売計画に基づいた生産計画を基礎として見込生産を行っており、かつ、受注から納品までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(千円)前期増減比(%)医療製品事業6,934,144+51.1合計6,934,144+51.1 (注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。相手先前連結会計年度当連結会計年度販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)Fujifilm Europe B.V.1,163,57625.41,269,37518.3 (3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りを用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択、適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては第5経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)及び2.財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりです。 ② 当連結会計年度の経営成績の分析「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ①経営成績の分析」に記載のとおりです。 ③ 当連結会計年度の財政状態の分析「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ②財政状態の分析」に記載のとおりです。 ④ 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 ⑤ 資本の財源及び資金の流動性について (資金の需要)当社グループは、自己組織化ペプチド技術を基盤技術とした医療製品の開発・製造・販売を行っております。当社グループの資金需要のうち主なものは、研究開発費用、販売費及び一般管理費等の事業運営費用であります。 (資金の調達及び流動性)当社グループは医療製品事業においてグローバルに展開している止血材の製品販売による売上収入を計上してまいります。また親子会社間での研究開発成果の共有・事業運営上の効率化も進んでいることから、諸経費の節減等にも注力し販売費及び一般管理費の圧縮にも取り組んでまいります。当社グループの事業運営及び研究開発を進めるための十分な資金確保に向けて、米国においてバイオ業界への投資に多くの実績を有する投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インクに対し、2024年4月に第39回新株予約権を発行いたしました。これにより、当連結会計年度において、第39回新株予約権の権利行使により2,628,560千円を調達することができました。一方で、既発行の社債について早期償還条項の適用による一部償還により、2024年9月に第7回無担保転換社債型新株予約権付社債のうち62,500千円を、2024年10月に第6回無担保転換社債型新株予約権付社債のうち256,250千円を、2024年11月に第5回無担保転換社債型新株予約権付社債のうち220,636千円を償還しております。また、株式会社りそな銀行とコミットメントライン契約を締結しており、安定的な事業資金の確保に取り組んでおります。今後も引き続き、金融機関からの借入を含む様々な資金調達を検討し、継続的な財務基盤の強化に努めてまいります。 ⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略等及び(3)目標とする経営指標」に記載のとおりとなっております。当期の経営成績並びに研究開発活動の詳細につきましては「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」及び「第2 事業の状況 5研究開発活動 (2)研究開発活動」をご覧ください。
事業リスク
- 薬事関連規制の変更リスク医療製品は各国で厳格な薬事関連規制の対象であり、研究、開発、製造、販売の全段階で法令遵守が求められます。将来的にこれらの規制が変更された場合、すでに承認を受けている製品を含む同社の医療製品の開発や販売に影響が及び、事業の財政状態や経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
- 競合製品の登場と収益の不確実性医療製品業界は技術革新が激しく、国際的な巨大企業を含む多くの競合が存在します。同社の医療製品の性能を上回る競合製品が市場に登場したり、外科手術や消化器内視鏡領域の技術が大幅に変化したりした場合、同社製品の売上が減少し、財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
- 保険制度変更による影響同社の医療製品は複数の国で保険収載されていますが、将来的に保険制度の変更、保険収載の取り消し、または保険償還価格の変更が行われる可能性があります。これらの変更は、製品の販売価格や需要に直接影響を与え、同社の財政状態や経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|9,152 文字
3 【事業等のリスク】以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループとしては、必ずしも事業展開上のリスク要因に値しないと考えられる事項についても、投資判断上、重要と考えられるものについては、投資者への積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、これらのリスクを認識した上で、その回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式への投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社グループに関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。なお、本文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。 ① 医療製品事業に関するリスクA 医薬品医療機器等法等の法的規制に関する事項当社グループが開発、販売している医療機器を含む医療製品については、研究、開発、製造、販売といった事業活動に対して各国において薬事に関する法令及び行政指導等並びに諸関連法令等による種々の規制(以下「薬事関連規制」という。)がなされております。当社グループでは、薬事関連規制の遵守に努め、事業の進捗に合わせて社内の体制の整備に取組んでおり、今後もこのような体制を維持・継続してまいりますが、薬事関連規制に変更があった場合等は、既に製造販売承認を受けて上市している止血材(以下においては止血以外の創傷治癒、癒着防止及び後出血予防の機能を合わせて有し又はこれらの機能を主なる機能とする医療機器も含め当社グループが製造販売承認を受けている医療機器を「本止血材」ということがある。)を含め、当社グループの医療製品の開発、販売に影響を与える可能性があります。また、本止血材については、上市した各国において製造販売に関する承認を得ておりますが、承認の申請に係る効能、効果又は性能が認められない等の事情が認められて、製造販売承認が取り消され、販売ができなくなることとなる可能性は否定できません。これらの事態が生じた場合、当社グループの医療製品の開発、販売に影響を与え、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 B 収益の不確実性に関する事項本止血材は外科手術や消化器内視鏡領域において幅広く使用されて止血性能について高い評価を得、手術件数や適応症例数も安定的に推移しており、今後も安定した需要が見込まれます。また、生物由来品である既存製品と異なり、人工合成物であり安全性が高い本止血材は、既存製品と十分差別化できるものと考えております。しかしながら、医療製品業界においては、激しい競争状況の下、国際的な巨大企業を含む多くの企業、研究機関等により、開発が行われ、技術は常に進歩しています。従って、外科手術や消化器内視鏡領域をめぐる技術の大幅な変化や、当社グループの医療製品の性能を上回る性能の競合製品が市場に登場する等により、当社グループの医療製品の売上が減少する可能性は否定できません。この場合、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C 保険制度の変化による収益の不確実性に関する事項本止血材は、複数の国において保険収載されております。しかし、今後、保険制度の変更がなされたり又は本止血材について保険収載が取り消されたりもしくは保険償還価格の変更がなされる可能性は否定できません。これらの事態が生じた場合、本止血材を含む当社グループの医療製品の販売に影響が与えられ、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼすこととなる可能性があります。 D 開発のプロセスに関する事項医療製品の開発は長期間にわたり相当な費用が必要であるのに対して、その成功の比率は高いものではありません。現在開発を行っている製品を含め、当社グループが開発する医療製品の開発が成功しなかった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 E 特定の契約先からの事業収益への依存に関する事項欧州での本止血材の販売についてはFUJIFILMへの依存度が高くなっております。今後、FUJIFILMとの契約が解除その他の理由で終了した場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼすこととなります。 F 重要な契約に関する事項当社グループの事業展開上、重要な契約が解除された場合、不利な契約改定が行われた場合や契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 G 製造・販売・在庫に関する事項当社グループは、主要原材料であるペプチドを十分な品質を担保して調達すべく、複数社に対し製造を委託しています。また、本止血材の製造に関しては、扶桑薬品工業株式会社に加え、ドイツのPharmpur社との間でも製造委受託契約を締結し、複数の製造拠点に基づく安定した製品供給体制を構築しております。このように、当社グループでは、本止血材の製品供給体制を強化するため、バックアップ体制の構築に取組んでおりますが、本止血材を含め、当社グループの医療製品について、想定外の事故等も含めペプチドを含む原材料及び各種構成部品の供給、委託製造の遅れが生じる事態になった場合には、当社グループの財政状況や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。また、製品販売が計画どおりに進まず、過剰な原材料を保有することになった場合には、原材料等の評価損計上等当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。 H 製造物責任等に関する事項医療製品の設計、開発、製造及び販売には、予期せぬ副作用による健康被害のリスク及び製造物責任のリスクが内在しております。当社グループにおいては、製品の基礎となる自己組織化ペプチド技術を利用した本止血材について、ヒトでの臨床試験を各国において実施済であり、因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されておりません。また、当社グループが各国において販売を行っている本止血材について、有害事象の報告はありません。しかしながら、今後、本止血材を含め、当社グループが開発した医療製品の予期せぬ副作用により患者に健康被害を引き起こす可能性は否定できません。また、副作用による健康被害以外に設計、開発、製造、販売において不適当な点が発見された場合には、当社グループが製造物責任を負う可能性があることは否定できません。当社は、全世界を対象地域とする製造物責任賠償保険に加入しておりますが、これらの事態が生じた場合には、販売中止、製品回収、損害賠償責任の負担等により当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において製造物責任等に基づく損害賠償請求がなされた場合、結果として当社グループの責任が否定されたとしても、損害賠償請求への対応について相当の費用、労力及び時間がかかる可能性があり、さらに、損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 I 大規模災害等に関する事項当社グループは、グローバルで事業展開をしておりますが、地震、火山噴火、津波等の大規模災害、COVID-19やその他感染病によるパンデミックといった大規模災害が、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、大規模災害を想定した訓練及び必要な対策を継続実施するとともに、当社の事業活動の継続や従業員の衛生・健康・安全の確保のために必要な対応を適時適切に行うこととしております。特に、COVID-19の大規模感染により、医療機関への訪問の制限、移動制限等による営業活動の抑制、本止血材を使用する手術の延期等により本止血材の販売に対して相当の影響を受けました。現時点の感染状況下ではかかる影響はほぼ見られないようになっておりますが、新たな株の発生等により再度感染状況が悪化した場合には、本止血材の販売が影響を受ける可能性があります。今後も当社グループが事業を展開する各国の医療業界の影響を注視し、万が一当社グループが事業を営む地域において甚大な影響がある場合は、必要な対応を図ってまいりますが、これらの事態の状況によっては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 知的財産権・訴訟等に関するリスクA 特許の取得状況等に関する事項当社グループは、自己組織化ペプチド技術にかかる物質特許及び当該物質特許を利用した基本的な用途特許(以下、これらを併せて「基本特許群」という。)につき、当社子会社がマサチューセッツ工科大学(以下「MIT」という。)より独占的実施権(再許諾権付)の許諾を受け、当社が当社子会社より実施権の再許諾を受けており、また、当社グループにて特許出願しております。当社は、MITを権利者とする自己組織化ペプチド特許(出願国:米国)について、自己組織化ペプチド応用技術に係るMIT出身の研究者により設立されたバイオベンチャー企業であるARCH Therapeutics, Inc.社(以下「Arch社」という。)との間で非独占的なサブライセンス契約を締結しておりました。しかしながら、Arch社の現在の事業展開の進展状況より、現時点において当社グループと競合するおそれは低いものと考えておりますが、将来的な競合の可能性は否定できません。また、Arch社は、止血材を用途とする一部の自己組織化ペプチド(主に当社も用いているRADA配列)に関する特許について、MITから独占的実施権の許諾を受けております。当社の独占的実施権との間で調整が必要となる可能性がありますが、従前、Arch社からかかる権利に関して当社に対して働きかけ等があったことはありません。MITのライセンス方針は技術の広がりを目的としており、MITはライセンシー同士の争いは好まないため、当社は、かかる調整の必要が生じた場合には、MITから何等かの支援が得られるものと従前理解しており、現在もそのとおり理解しております。しかし、かかる調整をMIT自ら行うことについて書面で確約することについては消極的な姿勢が示されたことから、今後、当社自らかかる調整を行う必要が生じる可能性は否定できません。基本特許群は、自己組織化を起こしハイドロゲルを形成する主なペプチド群をカバーしており、国、地域によりばらつきはあるものの、日本においては既に登録済となっております。しかしながら、基本特許群のうち、現在登録に至っていないものについては、最終的に登録に至らない可能性があり、その場合には当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。また、当社グループの事業を包含するバイオマテリアル関連産業においては、日々研究開発活動が繰り広げられており、当社グループの技術を超える優れた技術が開発されることにより、基本特許群の技術が淘汰される可能性は否定できません。また、当社グループは基本特許群を用いて多数の研究機関と応用技術にかかる共同研究を行っており、主要なパイプラインに関するもの以外についても既に複数の用途特許について共同出願しておりますが、全ての特許について登録に至るとは限りません。これらの特許が成立しなかった場合、当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。 B 訴訟等に関する事項当社グループは、第三者の知的財産権に関する調査を随時行っており、自己組織化ペプチド技術を用いた製品開発を行う限りにおいて、当社グループに対して上記のArch社のMITの特許由来の権利に関連する事例以外は、第三者の特許権等の知的財産権侵害を理由とする訴訟が提起される可能性は極めて低いと考えております。また、本報告書提出日現在において、当社グループと第三者との間で訴訟が発生し又は第三者から知的財産権侵害の主張を受けたという事実もありません。しかし、当社グループは、今後多岐に渡る事業展開を考えていることから、かかる知的財産権侵害の問題を完全に回避できない可能性があります。将来、当社グループの事業活動が第三者の知的財産権を侵害しているとして損害賠償請求等の訴訟を提起された場合には、損害賠償責任を負う可能性があることに加え、解決に多大な時間及び費用を要するおそれがあり、当社グループの事業戦略、財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、知的財産権以外にも事業活動に付随するその他の訴訟を提起される可能性があり、訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において結果として当社グループの責任が否定されたとしても、知的財産権侵害等に基づく損害賠償請求がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品又は当社グループに対する信頼に影響が生じ、ひいては事業活動に影響を与え、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ③経営成績、財務状況等に関するリスクA 業績の推移に関する事項当社グループの主な事業収益は、本止血材の上市以前は販売提携契約に基づくマイルストーン収益であり、上市後は本止血材の製品売上に基づく収益です。過去には本止血材の研究開発費用が先行して計上されてきたことに加え、現時点でも本止血材の営業体制確立等のために相当額の先行費用を計上しているため、2012年4月期を除き費用計上が事業収益を上回り、営業損失及び当期純損失を計上しております。このため、過年度の財務経営指標は、当社の業績期間比較及び将来の業績を予測する材料としては不十分な面があります。 B マイナスの利益剰余金を計上していることに関する事項当社グループは、2025年4月期連結会計年度末においてマイナスの利益剰余金を計上しております。現時点において、本止血材の販売拡大に基づく早期の黒字化を計画しており、また今後の開発製品についても、医療機器として製造承認の取得を目指しており、医薬品と比べて開発に要する費用と期間は格段に少ないことを前提として早期の利益確保を目指しております。しかしながら将来において、事業計画どおりに事業が進展せず、当期純利益を獲得できない可能性及び利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。 C 重要事象等に関する事項当社グループは、継続して営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しております。これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しております。当該状況を解消又は改善するための対応策を講じておりますが、継続企業の前提に重要な不確実性は存在するものと判断しており、これに伴い今後の資金調達がより困難になる可能性があります。当該状況を解消又は改善するための対応策は、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(4)対処すべき課題」に記載しております。 D 税務上の繰越欠損金に関する事項当社グループには、提出日現在において多額の税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため繰越欠損金の期限が切れた場合には、課税所得の控除が受けられなくなります。そうした場合、通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 E 資金繰りに関する事項当社グループでは、今後もパイプラインの開発費用が先行して発生します。本止血材の販売拡大に基づく早期の黒字化に加え、事業提携やライセンスアウト等の契約の獲得、多様な資金調達等による資金確保に努めますが、事業計画どおりに事業が進展しない場合には資金不足となり、事業継続に重大な影響を与える可能性があります。また、当社の資金調達に係る契約には財務制限条項や早期償還条項が付されているものが存在し、特定の条項に抵触した場合には、借入先金融機関又は社債権者の請求により期限の利益を喪失し、当社グループの財政状態及びキャッシュ・フローに重大な影響を与える可能性があります。 F 配当政策に関する事項当社グループは、当期純損失を計上しており、利益配当は実施しておりません。また、2025年4月期連結会計年度末においても、2,501,245千円の当期純損失を計上しており、累積損失が処理された段階において財政状態及び経営成績を勘案しつつ利益配当についての方針を検討する所存であります。 ④組織に関するリスクA 業歴が浅いことに関する事項当社グループの主な事業収益は本止血材の売上に基づく収益ですが、本止血材の海外での販売を2015年4月期に、日本での販売を2022年4月期に開始しましたが、事業ステージはいまだ先行投資の段階にあり、期間業績比較を行うには十分な財務数値が得られません。このため、事業の特性を踏まえると、過年度の経営成績だけでは、今後の業績を予想する材料としては不十分な面があります。 B 小規模組織に関する事項当社グループは2025年4月末日現在、親会社で取締役6名、監査役3名、従業員19名の計28名体制、子会社で取締役9名(内3名は親会社役員が兼務)、従業員95名の計114名体制の小規模組織であります。当社グループでは、業務遂行体制の充実に努めておりますが、小規模組織であり、内部管理体制も規模に応じたものとなっております。当社グループでは、今後の事業拡大に向け組織体制の一層の充実を図ってまいりますが、適切な組織体制の構築ができない場合には、経営効率に影響を及ぼす可能性があります。一方、急激な規模拡大は固定費の増加につながり、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C 特定の人物への依存に関する事項当社グループの事業推進者は、当社代表取締役である岡田淳であります。前代表取締役より経営戦略、開発戦略の決定、事業計画の策定、管理業務における責任を承継しており、グループの経営推進者として大きな影響力を有しております。このため、当社グループでは過度に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っておりますが、当面は依存度が高い状態で推移すると見込まれます。そのため、代表取締役が何らかの理由で業務を継続することが困難になった場合には、事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 D 人材の確保及び育成に関する事項当社グループの競争力の核は研究開発力、事業企画力、医療関係者に対する提案力にあるため、専門性の高い研究者等の人材の確保が不可欠であり、また、事業拡大を支えるために営業、製造、内部管理等の専門人材も必要となってきております。当社グループでは、優秀な人材の確保及び社内人材の育成に努めておりますが、人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合には、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 E 情報セキュリティに関する事項当社グループの事業推進において、情報ネットワークの維持は極めて重要であり、また事業上の機密情報や個人情報等を保有しているため、情報ネットワークの構築、運用に当たっては十分なセキュリティの確保に努めております。さらに、2024年4月期に送金詐欺による資金流出被害が生じたことを受けて、専門機関の助言を仰ぎながら必要な再発防止策を実施しております。しかしながら、外部からのサイバー攻撃や不正侵入のほか、情報機器の不具合やシステム障害等の不測の事態により、情報の漏洩、重要データの改ざん又は破壊、システム停止等が生じた場合には、事業活動の停滞又は遅延を招く可能性があり、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤その他A 調達資金の使途に関する事項当社は、増資等による調達資金の使途については、調達時の方針どおり、研究開発資金、止血材の原材料調達及び事業運営費用等に充当しておりますが、環境変化による予測不可能な技術革新や研究開発活動の長期化等投資効果をあげられる保証はありません。このような場合、投資家の期待している収益に結び付かない可能性があります。 B 新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関する事項当社は役職員向けにストック・オプション制度を採用しております。また、主に止血材の原材料調達及び事業運営費用等として投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インクに対して第6回及び第9回無担保転換社債型新株予約権付社債並びに第36回新株予約権を発行しております。これらの発行済の新株予約権が全て行使された場合の潜在株式数は、合計25,956,109株(2025年6月末日現在、但し第9回無担保転換社債型新株予約権付社債については2025年7月10日現在)となり、この潜在株式数と当社の発行済株式数112,277,276株(2025年6月末日現在)とを合計した数138,233,385株に対し18.8%を占めております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、当社は今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブを継続して実施していくことを検討しております。従って、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値はさらに希薄化する可能性があります。 C 為替に関する事項当社グループの取引のうち、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の製造委託及び海外での製品販売については、主に外貨建での決済が行われておりますが、当社グループにおいては特段の為替リスクヘッジは行っておりません。そのため、予想以上に為替相場の変動が生じた場合には、当社グループの業績はその影響を受ける可能性があります。今後は、為替リスクを回避する方策については、その得失に鑑みて、その要否を含め検討してまいります。
FY2024|9,948 文字
3 【事業等のリスク】以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループとしては、必ずしも事業展開上のリスク要因に値しないと考えられる事項についても、投資判断上、重要と考えられるものについては、投資者への積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、これらのリスクを認識した上で、その回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式への投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社グループに関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。なお、本文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。 ① 医療製品事業に関するリスクA 医薬品医療機器等法等の法的規制に関する事項当社グループが開発、販売している医療機器を含む医療製品については、研究、開発、製造、販売といった事業活動に対して各国において薬事に関する法令及び行政指導等並びに諸関連法令等による種々の規制(以下、「薬事関連規制」という。)がなされております。当社グループでは、薬事関連規制の遵守に努め、事業の進捗に合わせて社内の体制の整備に取組んでおり、今後もこのような体制を維持・継続してまいりますが、薬事関連規制に変更があった場合等は、既に製造販売承認を受けて上市している止血材(以下においては止血以外の創傷治癒、癒着防止及び後出血予防の機能を合わせて有し又はこれらの機能を主なる機能とする医療機器も含め当社グループが製造販売承認を受けている医療機器を「本止血材」ということがある。)を含め、当社グループの医療製品の開発、販売に影響を与える可能性があります。また、本止血材については、上市した各国において製造販売に関する承認を得ておりますが、承認の申請に係る効能、効果又は性能が認められない等の事情が認められて、製造販売承認が取り消され、販売ができなくなることとなる可能性は否定できません。これらの事態が生じた場合、当社グループの医療製品の開発、販売に影響を与え、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 B 収益の不確実性に関する事項本止血材は外科手術や消化器内視鏡領域において幅広く使用されて止血性能について高い評価を得、手術件数や適応症例数も安定的に推移しており、今後も安定した需要が見込まれます。また、生物由来品である既存製品と異なり、人工合成物であり安全性が高い本止血材は、既存製品と十分差別化できるものと考えております。しかしながら、医療製品業界においては、激しい競争状況の下、国際的な巨大企業を含む多くの企業、研究機関等により、開発が行われ、技術は常に進歩しています。従って、外科手術や消化器内視鏡領域をめぐる技術の大幅な変化や、当社グループの医療製品の性能を上回る性能の競合製品が市場に登場する等により、当社グループの医療製品の売上が減少する可能性は否定できません。この場合、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C 保険制度の変化による収益の不確実性に関する事項本止血材は、複数の国において保険収載されております。しかし、今後、保険制度の変更がなされたり又は本止血材について保険収載が取り消されたりもしくは保険償還価格の変更がなされる可能性は否定できません。これらの事態が生じた場合、本止血材を含む当社グループの医療製品の販売に影響が与えられ、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼすこととなる可能性があります。 D 開発のプロセスに関する事項医療製品の開発は長期間にわたり相当な費用が必要であるのに対して、その成功の比率は高いものではありません。現在開発を行っている製品を含め、当社グループが開発する医療製品の開発が成功しなかった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 E 特定の契約先からの事業収益への依存に関する事項欧州での本止血材の販売についてはFUJIFILMへの依存度が高くなっております。今後、FUJIFILMとの契約が解除その他の理由で終了した場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼすこととなります。 F 重要な契約に関する事項当社グループの事業展開上、重要な契約が解除された場合、不利な契約改定が行われた場合や契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 G 製造・販売・在庫に関する事項当社グループは、主要原材料であるペプチドを十分な品質を担保して調達すべく、複数社に対し製造を委託しています。また、本止血材の製造に関しては、扶桑薬品工業株式会社に加え、ドイツのPharmpur社との間でも製造委受託契約を締結し、複数の製造拠点に基づく安定した製品供給体制を構築しております。このように、当社グループでは、本止血材の製品供給体制を強化するため、バックアップ体制の構築に取組んでおりますが、本止血材を含め、当社グループの医療製品について、想定外の事故等も含めペプチドを含む原材料及び各種構成部品の供給、委託製造の遅れが生じる事態になった場合には、当社グループの財政状況や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。また、製品販売が計画どおりに進まず、過剰な原材料を保有することになった場合には、原材料等の評価損計上等当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。 H 製造物責任等に関する事項医療製品の設計、開発、製造及び販売には、予期せぬ副作用による健康被害のリスク及び製造物責任のリスクが内在しております。当社グループにおいては、製品の基礎となる自己組織化ペプチド技術を利用した本止血材について、ヒトでの臨床試験を各国において実施済であり、因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されておりません。また、当社グループが各国において販売を行っている本止血材について、有害事象の報告はありません。しかしながら、今後、本止血材を含め、当社グループが開発した医療製品の予期せぬ副作用により患者に健康被害を引き起こす可能性は否定できません。また、副作用による健康被害以外に設計、開発、製造、販売において不適当な点が発見された場合には、当社グループが製造物責任を負う可能性があることは否定できません。当社は、全世界を対象地域とする製造物責任賠償保険に加入しておりますが、これらの事態が生じた場合には、販売中止、製品回収、損害賠償責任の負担等により当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において製造物責任等に基づく損害賠償請求がなされた場合、結果として当社グループの責任が否定されたとしても、損害賠償請求への対応について相当の費用、労力及び時間がかかる可能性があり、さらに、損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 I 大規模災害等に関する事項当社グループは、グローバルで事業展開をしておりますが、地震、火山噴火、津波等の大規模災害、COVID-19やその他感染病によるパンデミックといった大規模災害が、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、大規模災害を想定した訓練及び必要な対策を継続実施するとともに、当社の事業活動の継続や従業員の衛生・健康・安全の確保のために必要な対応を適時適切に行うこととしております。特に、COVID-19の大規模感染により、医療機関への訪問の制限、移動制限等による営業活動の抑制、本止血材を使用する手術の延期等により本止血材の販売に対して相当の影響を受けました。現時点の感染状況下ではかかる影響はほぼ見られないようになっておりますが、新たな株の発生等により再度感染状況が悪化した場合には、本止血材の販売が影響を受ける可能性があります。今後も当社グループが事業を展開する各国の医療業界の影響を注視し、万が一当社グループが事業を営む地域において甚大な影響がある場合は、必要な対応を図ってまいりますが、これらの事態の状況によっては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 知的財産権・訴訟等に関するリスクA 特許の取得状況等に関する事項当社グループは、下表に記載の自己組織化ペプチド技術にかかる物質特許及び当該物質特許を利用した基本的な用途特許(以下、これらを併せて「基本特許群」という。)につき、当社子会社がマサチューセッツ工科大学(以下、「MIT」という。)より独占的実施権(再許諾権付)の許諾を受け、当社が当社子会社より実施権の再許諾を受けており、また、当社グループにて特許出願しております。当社は、下記のMITを権利者とする自己組織化ペプチド特許(出願国:米国)について、自己組織化ペプチド応用技術に係るMIT出身の研究者により設立されたバイオベンチャー企業であるARCH Therapeutics, Inc.社(以下、「Arch社」という。)との間で非独占的なサブライセンス契約を締結しておりました。しかしながら、Arch社の現在の事業展開の進展状況より、現時点において当社グループと競合するおそれは低いものと考えておりますが、将来的な競合の可能性は否定できません。また、Arch社は、止血材を用途とする一部の自己組織化ペプチド(主に当社も用いているRADA配列)に関する特許について、MITから独占的実施権の許諾を受けております。当社の独占的実施権との間で調整が必要となる可能性がありますが、従前、Arch社からかかる権利に関して当社に対して働きかけ等があったことはありません。MITのライセンス方針は技術の広がりを目的としており、MITはライセンシー同士の争いは好まないため、当社は、かかる調整の必要が生じた場合には、MITから何等かの支援が得られるものと従前理解しており、現在もそのとおり理解しております。しかし、かかる調整をMIT自ら行うことについて書面で確約することについては消極的な姿勢が示されたことから、今後、当社自らかかる調整を行う必要が生じる可能性は否定できません。基本特許群は、自己組織化を起こしハイドロゲルを形成する主なペプチド群をカバーしており、国、地域によりばらつきはあるものの、日本においては既に登録済となっております。しかしながら、基本特許群のうち、現在登録に至っていないものについては、最終的に登録に至らない可能性があり、その場合には当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。また、当社グループの事業を包含するバイオマテリアル関連産業においては、日々研究開発活動が繰り広げられており、当社グループの技術を超える優れた技術が開発されることにより、基本特許群の技術が淘汰される可能性は否定できません。また、当社グループは基本特許群を用いて多数の研究機関と応用技術にかかる共同研究を行っており、主要なパイプラインに関するもの以外についても既に複数の用途特許について共同出願しておりますが、全ての特許について登録に至るとは限りません。これらの特許が成立しなかった場合、当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。 B 訴訟等に関する事項当社グループは、第三者の知的財産権に関する調査を随時行っており、自己組織化ペプチド技術を用いた製品開発を行う限りにおいて、当社グループに対して上記のArch社のMITの特許由来の権利に関連する事例以外は、第三者の特許権等の知的財産権侵害を理由とする訴訟が提起される可能性は極めて低いと考えております。また、本報告書提出日現在において、当社グループと第三者との間で訴訟が発生し又は第三者から知的財産権侵害の主張を受けたという事実もありません。しかし、当社グループは、今後多岐に渡る事業展開を考えていることから、かかる知的財産権侵害の問題を完全に回避できない可能性があります。将来、当社グループの事業活動が第三者の知的財産権を侵害しているとして損害賠償請求等の訴訟を提起された場合には、損害賠償責任を負う可能性があることに加え、解決に多大な時間及び費用を要するおそれがあり、当社グループの事業戦略、財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、知的財産権以外にも事業活動に付随するその他の訴訟を提起される可能性があり、訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において結果として当社グループの責任が否定されたとしても、知的財産権侵害等に基づく損害賠償請求がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品又は当社グループに対する信頼に影響が生じ、ひいては事業活動に影響を与え、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 <基本特許群に係る特許権の状況> 対象発明の名称登録番号出願国権利者高純度ペプチド組成物第5730828号第5255274号日本当社WO 06/014570(出願中)米国EP 3031466欧州CA 2572964カナダ組織閉塞材第5922749号第6200997号第6492137号日本当社US 10576123US 10596225米国EP 2345433EP 3238749EP 3470093欧州 自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 7713923US 8901084米国MIT第5057781号日本EP 1636250欧州自己組織化ペプチド神経再生法US 7846891米国MIT自己組織化ペプチド心筋組織再生法EP 2089047欧州3-D Matrix, Inc.第5558104号第5903068号日本US 9012404米国自己組織化ペプチド細胞培養法及び細胞培養物第5263756号日本岡山大学、当社US 8647867US 8697438米国自己組織化ペプチド創傷治癒・皮膚再建材第5497451号日本当社EP 2229960欧州自己組織化ペプチドトランスフェクション剤EP 2322608欧州日本医科大学、当社第5606318号日本US 9133484米国自己組織化ペプチド界面活性剤様ペプチド ナノ構造US 7179784US 7671258米国MITがん幹細胞の治療、予防及び診断のための方法及び組成物第5891173号第6262707号日本 国立がん研究センター、当社US 10337012米国EP 2606909欧州マイクロRNAによる骨肉腫の診断方法US 9322016米国当社第6153932号日本EP 2753692欧州 ③経営成績、財務状況等に関するリスクA 業績の推移に関する事項当社グループの主な事業収益は、本止血材の上市以前は販売提携契約に基づくマイルストーン収益であり、上市後は本止血材の製品売上に基づく収益です。過去には本止血材の研究開発費用が先行して計上されてきたことに加え、現時点でも本止血材の営業体制確立等のために相当額の先行費用を計上しているため、2012年4月期を除き費用計上が事業収益を上回り、営業損失及び当期純損失を計上しております。このため、過年度の財務経営指標は、当社の業績期間比較及び将来の業績を予測する材料としては不十分な面があります。 B マイナスの利益剰余金を計上していることに関する事項当社グループは、2024年4月期連結会計年度末においてマイナスの利益剰余金を計上しております。現時点において、本止血材の販売拡大に基づく早期の黒字化を計画しており、また今後の開発製品についても、医療機器として製造承認の取得を目指しており、医薬品と比べて開発に要する費用と期間は格段に少ないことを前提として早期の利益確保を目指しております。しかしながら将来において、事業計画どおりに事業が進展せず、当期純利益を獲得できない可能性及び利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。 C 重要事象等に関する事項当社グループは、継続して営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しております。これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しております。当該状況を解消又は改善するための対応策を講じておりますが、継続企業の前提に重要な不確実性は存在するものと判断しており、これに伴い今後の資金調達がより困難になる可能性があります。当該状況を解消又は改善するための対応策は、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(4)対処すべき課題」に記載しております。 D 税務上の繰越欠損金に関する事項当社グループには、提出日現在において多額の税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため繰越欠損金の期限が切れた場合には、課税所得の控除が受けられなくなります。そうした場合、通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 E 資金繰りに関する事項当社グループでは、今後もパイプラインの開発費用が先行して発生します。本止血材の販売拡大に基づく早期の黒字化に加え、事業提携やライセンスアウト等の契約の獲得、多様な資金調達等による資金確保に努めますが、事業計画どおりに事業が進展しない場合には資金不足となり、事業継続に重大な影響を与える可能性があります。また、当社の資金調達に係る契約には財務制限条項や早期償還条項が付されているものが存在し、特定の条項に抵触した場合には、借入先金融機関又は社債権者の請求により期限の利益を喪失し、当社グループの財政状態及びキャッシュ・フローに重大な影響を与える可能性があります。なお、当連結会計年度末において借入金に係る一部の契約について財務制限条項に抵触しておりますが、期限の利益の喪失に係る権利を行使しないことについて、借入先金融機関の合意を得ております。 F 配当政策に関する事項当社グループは、当期純損失を計上しており、利益配当は実施しておりません。また、2024年4月期連結会計年度末においても、255,505千円の当期純損失を計上しており、累積損失が処理された段階において財政状態及び経営成績を勘案しつつ利益配当についての方針を検討する所存であります。 ④組織に関するリスクA 業歴が浅いことに関する事項当社グループの主な事業収益は本止血材の売上に基づく収益ですが、本止血材の海外での販売を2015年4月期に、日本での販売を2022年4月期に開始しましたが、事業ステージはいまだ先行投資の段階にあり、期間業績比較を行うには十分な財務数値が得られません。このため、事業の特性を踏まえると、過年度の経営成績だけでは、今後の業績を予想する材料としては不十分な面があります。 B 小規模組織に関する事項当社グループは2024年4月末日現在、親会社で取締役8名、監査役3名、従業員21名の計32名体制、子会社で取締役10名(内5名は親会社役員が兼務)、従業員85名の計95名体制の小規模組織であります。当社グループでは、業務遂行体制の充実に努めておりますが、小規模組織であり、内部管理体制も規模に応じたものとなっております。当社グループでは、今後の事業拡大に向け組織体制の一層の充実を図ってまいりますが、適切な組織体制の構築ができない場合には、経営効率に影響を及ぼす可能性があります。一方、急激な規模拡大は固定費の増加につながり、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C 特定の人物への依存に関する事項当社グループの事業推進者は、当社代表取締役である岡田淳であります。前代表取締役より経営戦略、開発戦略の決定、事業計画の策定、管理業務における責任を承継しており、グループの経営推進者として大きな影響力を有しております。このため、当社グループでは過度に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っておりますが、当面は依存度が高い状態で推移すると見込まれます。そのため、代表取締役が何らかの理由で業務を継続することが困難になった場合には、事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 D 人材の確保及び育成に関する事項当社グループの競争力の核は研究開発力、事業企画力、医療関係者に対する提案力にあるため、専門性の高い研究者等の人材の確保が不可欠であり、また、事業拡大を支えるために営業、製造、内部管理等の専門人材も必要となってきております。当社グループでは、優秀な人材の確保及び社内人材の育成に努めておりますが、人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合には、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 E 情報セキュリティに関する事項当社グループの事業推進において、情報ネットワークの維持は極めて重要であり、また事業上の機密情報や個人情報等を保有しているため、情報ネットワークの構築、運用に当たっては十分なセキュリティの確保に努めております。さらに、送金詐欺による資金流出被害が生じたことを受けて、専門機関の助言を仰ぎながら必要な再発防止策を実施しております。しかしながら、外部からのサイバー攻撃や不正侵入のほか、情報機器の不具合やシステム障害等の不測の事態により、情報の漏洩、重要データの改ざん又は破壊、システム停止等が生じた場合には、事業活動の停滞又は遅延を招く可能性があり、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤その他A 調達資金の使途に関する事項当社は、増資等による調達資金の使途については、調達時の方針どおり、研究開発資金、止血材の原材料調達及び事業運営費用等に充当しておりますが、環境変化による予測不可能な技術革新や研究開発活動の長期化等投資効果をあげられる保証はありません。このような場合、投資家の期待している収益に結び付かない可能性があります。 B 新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関する事項当社は役職員向けにストック・オプション制度を採用しております。また、主に止血材の原材料調達及び事業運営費用等として投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インクに対して第5回、第6回及び第7回無担保転換社債型新株予約権付社債並びに第36回及び第39回新株予約権を発行しております。これらの発行済の新株予約権が全て行使された場合の潜在株式数は、合計55,676,079株(2024年6月末日現在)となり、この潜在株式数と当社の発行済株式数87,940,709株(2024年6月末日現在)とを合計した数143,616,788株に対し38.8%を占めております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、当社は今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブを継続して実施していくことを検討しております。従って、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値はさらに希薄化する可能性があります。 C 為替に関する事項当社グループの取引のうち、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の製造委託及び海外での製品販売については、主に外貨建での決済が行われておりますが、当社グループにおいては特段の為替リスクヘッジは行っておりません。そのため、予想以上に為替相場の変動が生じた場合には、当社グループの業績はその影響を受ける可能性があります。今後は、為替リスクを回避する方策については、その得失に鑑みて、その要否を含め検討してまいります。
FY2023|9,759 文字
3 【事業等のリスク】以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループとしては、必ずしも事業展開上のリスク要因に値しないと考えられる事項についても、投資判断上、重要と考えられるものについては、投資者への積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、これらのリスクを認識した上で、その回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式への投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社グループに関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。なお、本文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。 ① 医療製品事業に関するリスクA 医薬品医療機器等法等の法的規制に関する事項当社グループが開発、販売している医療機器を含む医療製品については、研究、開発、製造、販売といった事業活動に対して各国において薬事に関する法令及び行政指導等並びに諸関連法令等による種々の規制(以下、「薬事関連規制」という。)がなされております。当社グループでは、薬事関連規制の遵守に努め、事業の進捗に合わせて社内の体制の整備に取り組んでおり、今後もこのような体制を維持・継続してまいりますが、薬事関連規制に変更があった場合等は、すでに製造販売承認を受けて上市している止血材(以下においては止血以外の創傷治癒、癒着防止及び後出血予防の機能を合わせて有し又はこれらの機能を主なる機能とする医療機器も含め当社グループが製造販売承認を受けている医療機器を「本止血材」ということがある。)を含め、当社グループの医療製品の開発、販売に影響を与える可能性があります。また、本止血材については、上市した各国において製造販売に関する承認を得ておりますが、承認の申請に係る効能、効果又は性能が認められない等の事情が認められて、製造販売承認が取り消され、販売ができなくなることとなる可能性は否定できません。これらの事態が生じた場合、当社グループの医療製品の開発、販売に影響を与え、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 B 収益の不確実性に関する事項本止血材は外科手術や消化器内視鏡領域において幅広く使用されて止血性能について高い評価を得、手術件数や適応症例数も安定的に推移しており、今後も安定した需要が見込まれます。また、生物由来品である既存製品と異なり、人工合成物であり安全性が高い本止血材は、既存製品と十分差別化できるものと考えております。しかしながら、医療製品業界においては、激しい競争状況の下、国際的な巨大企業を含む多くの企業、研究機関等により、開発が行われ、技術は常に進歩しています。従って、外科手術や消化器内視鏡領域をめぐる技術の大幅な変化や、当社グループの医療製品の性能を上回る性能の競合製品が市場に登場する等により、当社グループの医療製品の売上が減少する可能性は否定できません。この場合、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C 保険制度の変化による収益の不確実性に関する事項本止血材は、複数の国において保険収載されております。しかし、今後、保険制度の変更がなされたり又は本止血材について保険収載が取り消されたりもしくは保険償還価格の変更がなされる可能性は否定できません。これらの事態が生じた場合、本止血材を含む当社グループの医療製品の販売に影響が与えられ、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼすこととなる可能性があります。 D 開発のプロセスに関する事項医療製品の開発は長期間にわたり相当な費用が必要であるのに対して、その成功の比率は高いものではありません。現在開発を行っている製品を含め、当社グループが開発する医療製品の開発が成功しなかった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 E 特定の契約先からの事業収益への依存に関する事項欧州での本止血材の販売についてはFUJIFILMへの依存度が高くなっております。今後、FUJIFILMとの契約が解除その他の理由で終了した場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼすこととなります。 F 重要な契約に関する事項当社グループの事業展開上、重要な契約が解除された場合、不利な契約改定が行われた場合や契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 G 製造・販売・在庫に関する事項当社グループは、主要原材料であるペプチドを十分な品質を担保して調達すべく、複数社に対し製造を委託しています。また、本止血材の製造に関しては、扶桑薬品工業株式会社に加え、ドイツのPharmpur社との間でも製造委受託契約を締結し、複数の製造拠点に基づく安定した製品供給体制を構築しております。このように、当社グループでは、本止血材の製品供給体制を強化するため、バックアップ体制の構築に取り組んでおりますが、本止血材を含め、当社グループの医療製品について、想定外の事故等も含めペプチドを含む原材料及び各種構成部品の供給、委託製造の遅れが生じる事態になった場合には、当社グループの財政状況や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。また、製品販売が計画どおりに進まず、過剰な原材料を保有することになった場合には、原材料等の評価損計上等当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。 H 製造物責任等に関する事項医療製品の設計、開発、製造及び販売には、予期せぬ副作用による健康被害のリスク及び製造物責任のリスクが内在しております。当社グループにおいては、製品の基礎となる自己組織化ペプチド技術を利用した本止血材について、ヒトでの臨床試験を各国において実施済であり、因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されておりません。また、当社グループが各国において販売を行っている本止血材について、有害事象の報告はありません。しかしながら、今後、本止血材を含め、当社グループが開発した医療製品の予期せぬ副作用により患者に健康被害を引き起こす可能性は否定できません。また、副作用による健康被害以外に設計、開発、製造、販売において不適当な点が発見された場合には、当社グループが製造物責任を負う可能性があることは否定できません。当社は、全世界を対象地域とする製造物責任賠償保険に加入しておりますが、これらの事態が生じた場合には、販売中止、製品回収、損害賠償責任の負担等により当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において製造物責任等に基づく損害賠償請求がなされた場合、結果として当社グループの責任が否定されたとしても、損害賠償請求への対応について相当の費用、労力及び時間がかかる可能性があり、さらに、損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 I 大規模災害等に関する事項当社グループは、グローバルで事業展開をしておりますが、地震、火山噴火、津波等の大規模災害、COVID-19やその他感染病によるパンデミックといった大規模災害が、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、大規模災害を想定した訓練及び必要な対策を継続実施するとともに、当社の事業活動の継続や従業員の衛生・健康・安全の確保のために必要な対応を適時適切に行うこととしております。特に、COVID-19の大規模感染により、医療機関への訪問の制限、移動制限等による営業活動の抑制、本止血材を使用する手術の延期等により本止血材の販売に対して相当の影響を受けました。現時点の感染状況下ではかかる影響は相当緩和されておりますが、新たな株の発生等により再度感染状況が悪化した場合には、本止血材の販売が影響を受ける可能性があります。今後も当社グループが事業を展開する各国の医療業界の影響を注視し、万が一当社グループが事業を営む地域において甚大な影響がある場合は、必要な対応を図ってまいりますが、これらの事態の状況によっては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 知的財産権・訴訟等に関するリスクA 特許の取得状況等に関する事項当社グループは、下表に記載の自己組織化ペプチド技術にかかる物質特許及び当該物質特許を利用した基本的な用途特許(以下、これらを併せて「基本特許群」という。)につき、当社子会社がマサチューセッツ工科大学(以下、「MIT」という。)より独占的実施権(再許諾権付)の許諾を受け、当社が当社子会社より実施権の再許諾を受けており、また、当社グループにて特許出願しております。当社は、下記のMITを権利者とする自己組織化ペプチド特許(出願国:米国)について、自己組織化ペプチド応用技術に係るMIT出身の研究者により設立されたバイオベンチャー企業であるARCH Therapeutics, Inc.社(以下、「Arch社」という。)との間で非独占的なサブライセンス契約を締結しておりました。しかしながら、Arch社の現在の事業展開の進展状況より、現時点において当社グループと競合するおそれは低いものと考えておりますが、将来的な競合の可能性は否定できません。また、Arch社は、止血材を用途とする一部の自己組織化ペプチド(主に当社も用いているRADA配列)に関する特許について、MITから独占的実施権の許諾を受けております。当社の独占的実施権との間で調整が必要となる可能性がありますが、従前、Arch社からかかる権利に関して当社に対して働きかけ等があったことはありません。MITのライセンス方針は技術の広がりを目的としており、MITはライセンシー同士の争いは好まないため、当社は、かかる調整の必要が生じた場合には、MITから何等かの支援が得られるものと従前理解しており、現在もそのとおり理解しております。しかし、かかる調整をMIT自ら行うことについて書面で確約することについては消極的な姿勢が示されたことから、今後、当社自らかかる調整を行う必要が生じる可能性は否定できません。基本特許群は、自己組織化を起こしハイドロゲルを形成する主なペプチド群をカバーしており、国、地域によりばらつきはあるものの、日本においては既に登録済となっております。しかしながら、基本特許群のうち、現在登録に至っていないものについては、最終的に登録に至らない可能性があり、その場合には当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。また、当社グループの事業を包含するバイオマテリアル関連産業においては、日々研究開発活動が繰り広げられており、当社グループの技術を超える優れた技術が開発されることにより、基本特許群の技術が淘汰される可能性は否定できません。また、当社グループは基本特許群を用いて多数の研究機関と応用技術にかかる共同研究を行っており、主要なパイプラインに関するもの以外についても既に複数の用途特許について共同出願しておりますが、全ての特許について登録に至るとは限りません。これらの特許が成立しなかった場合、当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。 B 訴訟等に関する事項当社グループは、第三者の知的財産権に関する調査を随時行っており、自己組織化ペプチド技術を用いた製品開発を行う限りにおいて、当社グループに対して上記のArch社のMITの特許由来の権利に関連する事例以外は、第三者の特許権等の知的財産権侵害を理由とする訴訟が提起される可能性は極めて低いと考えております。また、本報告書提出日現在において、当社グループと第三者との間で訴訟が発生し又は第三者から知的財産権侵害の主張を受けたという事実もありません。しかし、当社グループは、今後多岐に渡る事業展開を考えていることから、かかる知的財産権侵害の問題を完全に回避できない可能性があります。将来、当社グループの事業活動が第三者の知的財産権を侵害しているとして損害賠償請求等の訴訟を提起された場合には、損害賠償責任を負う可能性があることに加え、解決に多大な時間及び費用を要するおそれがあり、当社グループの事業戦略、財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、知的財産権以外にも事業活動に付随するその他の訴訟を提起される可能性があり、訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において結果として当社グループの責任が否定されたとしても、知的財産権侵害等に基づく損害賠償請求がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品又は当社グループに対する信頼に影響が生じ、ひいては事業活動に影響を与え、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 <基本特許群に係る特許権の状況> 対象発明の名称登録番号出願国権利者高純度ペプチド組成物第5730828号第5255274号日本当社WO 06/014570(出願中)米国EP 3031466欧州CA 2572964カナダ組織閉塞材第5922749号第6200997号第6492137号日本当社US 10576123US 10596225米国EP 2345433EP 3238749EP 3470093欧州 自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 7713923US 8901084米国MIT第5057781号日本EP 1636250欧州自己組織化ペプチド神経再生法US 7846891米国MIT自己組織化ペプチド心筋組織再生法EP 2089047欧州3-D Matrix, Inc.第5558104号第5903068号日本US 9012404米国自己組織化ペプチド細胞培養法及び細胞培養物第5263756号日本岡山大学、 当社US 8647867US 8697438米国自己組織化ペプチド創傷治癒・皮膚再建材第5497451号日本当社EP 2229960欧州自己組織化ペプチドトランスフェクション剤EP 2322608欧州日本医科大学、当社第5606318号日本US 9133484米国自己組織化ペプチド界面活性剤様ペプチド ナノ構造US 7179784US 7671258米国MITがん幹細胞の治療、予防及び診断のための方法及び組成物第5891173号第6262707号日本 国立がん研究センター、当社US 10337012米国EP 2606909欧州マイクロRNAによる骨肉腫の診断方法US 9322016米国当社第6153932号日本EP 2753692欧州 ③経営成績、財務状況等に関するリスクA 業績の推移に関する事項当社グループの主な事業収益は、本止血材の上市以前は販売提携契約に基づくマイルストーン収益であり、上市後は本止血材の製品売上に基づく収益です。過去には本止血材の研究開発費用が先行して計上されてきたことに加え、現時点でも本止血材の営業体制確立等のために相当額の先行費用を計上しているため、2012年4月期を除き費用計上が事業収益を上回り、営業損失、経常損失及び当期純損失を計上しております。このため、過年度の財務経営指標は、当社の業績期間比較及び将来の業績を予測する材料としては不十分な面があります。 B マイナスの利益剰余金を計上していることに関する事項当社グループは、2023年4月期連結会計年度末においてマイナスの利益剰余金を計上しております。現時点において、本止血材の販売拡大に基づく早期の黒字化を計画しており、また今後の開発製品についても、医療機器として製造承認の取得を目指しており、医薬品と比べて開発に要する費用と期間は格段に少ないことを前提として早期の利益確保を目指しております。しかしながら将来において、事業計画どおりに事業が進展せず、当期純利益を獲得できない可能性及び利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。 C 重要事象等に関する事項当社グループは、継続して営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しております。これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しております。当該状況を解消又は改善するための対応策を講じておりますが、継続企業の前提に重要な不確実性は存在するものと判断しており、これに伴い今後の資金調達がより困難になる可能性があります。当該状況を解消又は改善するための対応策は、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(4)対処すべき課題」に記載しております。 D 税務上の繰越欠損金に関する事項当社グループには、提出日現在において多額の税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため繰越欠損金の期限が切れた場合には、課税所得の控除が受けられなくなります。そうした場合、通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 E 資金繰りに関する事項当社グループは医療製品の研究開発投資を行う先行投資型企業であります。主力製品である本止血材は既にグローバルに販売を開始しておりますが、現時点でも止血材の営業体制確立等のために相当額の先行費用を計上しております。本止血材の販売拡大に基づく早期の黒字化に加え、事業提携やライセンスアウト等の契約の獲得、多様な資金調達等による資金確保に努めますが、事業計画どおりに事業が進展しない場合には資金不足となり、事業継続に重大な影響を与える可能性があります。従前は必要資金を主にエクイティファイナンスによって確保してきましたが、今後の市場環境の変化によってはエクイティファイナンスによる調達が困難になる可能性があります。また、当社の既存の資金調達に係る契約には財務制限条項や早期償還条項が付されているものが存在し、特定の条項に抵触した場合には、借入先金融機関又は社債権者の請求により期限の利益を喪失し、当社グループの財政状態及びキャッシュ・フローに重大な影響を与える可能性があります。なお、当連結会計年度末において借入金に係る一部の契約について財務制限条項に抵触しておりますが、期限の利益の喪失に係る権利を行使しないことについて、借入先金融機関の合意を得ております。 F 配当政策に関する事項当社グループは、当期純損失を計上しており、利益配当は実施しておりません。また、2023年4月期連結会計年度末においても、2,445,978千円の当期純損失を計上しており、累積損失が処理された段階において財政状態及び経営成績を勘案しつつ利益配当についての方針を検討する所存であります。 ④組織に関するリスクA 業歴が浅いことに関する事項当社は2004年5月に設立され、本止血材の海外での販売を2015年4月期に、日本での販売を2022年4月期に開始しましたが、事業ステージはいまだ先行投資の段階にあり、期間業績比較を行うには十分な財務数値が得られません。このため、事業の特性を踏まえると、過年度の経営成績だけでは、今後の業績を予想する材料としては不十分な面があります。 B 小規模組織に関する事項当社グループは2023年4月末日現在、親会社で取締役7名、監査役3名、従業員21名の計31名体制、子会社で取締役9名(内5名は親会社役員が兼務)、従業員87名の計96名体制の小規模組織であります。当社グループでは、業務遂行体制の充実に努めておりますが、小規模組織であり、内部管理体制も規模に応じたものとなっております。当社グループでは、今後の事業拡大に向け組織体制の一層の充実を図ってまいりますが、適切な組織体制の構築ができない場合には、経営効率に影響を及ぼす可能性があります。一方、急激な規模拡大は固定費の増加につながり、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C 特定の人物への依存に関する事項当社グループの事業推進者は、当社代表取締役である岡田淳であります。前代表取締役より経営戦略、開発戦略の決定、事業計画の策定、管理業務における責任を承継しており、グループの経営推進者として大きな影響力を有しております。このため、当社グループでは過度に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っておりますが、当面は依存度が高い状態で推移すると見込まれます。そのため、代表取締役が何らかの理由で業務を継続することが困難になった場合には、事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 D 人材の確保及び育成に関する事項当社グループの競争力の核は研究開発力、事業企画力、医療関係者に対する提案力にあるため、専門性の高い研究者等の人材の確保が不可欠であり、また、事業拡大を支えるために営業、製造、内部管理等の専門人材も必要となってきております。当社グループでは、優秀な人材の確保及び社内人材の育成に努めておりますが、人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合には、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤その他A 調達資金の使途に関する事項当社は、増資等による調達資金の使途については、調達時の方針どおり、研究開発資金、止血材の原材料調達及び事業運営費用等に充当しておりますが、環境変化による予測不可能な技術革新や研究開発活動の長期化等投資効果をあげられる保証はありません。このような場合、投資家の期待している収益に結び付かない可能性があります。 B 新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関する事項当社は役職員向けにストック・オプション制度を採用しております。また、主に止血材の原材料調達及び事業運営費用等として投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インクに対して第5回乃至第8回無担保転換社債型新株予約権付社債並びに第34回乃至第36回新株予約権を発行しております。これらの新株予約権が全て行使された場合の潜在株式数は、合計64,556,316株(2023年6月末日現在)となり、この潜在株式数と当社の発行済株式数65,384,509株(2023年6月末日現在)とを合計した数129,940,825株に対し49.6%を占めております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、当社は今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブを継続して実施していくことを検討しております。従って、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値はさらに希薄化する可能性があります。 C 為替に関する事項当社グループの取引のうち、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の製造委託及び海外での製品販売については、主に外貨建での決済が行われておりますが、当社グループにおいては特段の為替リスクヘッジは行っておりません。そのため、予想以上に為替相場の変動が生じた場合には、当社グループの業績はその影響を受ける可能性があります。今後は、為替リスクを回避する方策については、その得失に鑑みて、その要否を含め検討してまいります。
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2 【事業等のリスク】 以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループとしては、必ずしも事業展開上のリスク要因に値しないと考えられる事項についても、投資判断上、重要と考えられるものについては、投資者への積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、これらのリスクを認識した上で、その回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式への投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社グループに関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。なお、本文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。 ① 医療製品事業に関するリスクA 医薬品医療機器等法等の法的規制に関する事項当社グループが開発、販売している医療機器を含む医療製品については、研究、開発、製造、販売といった事業活動に対して各国において薬事に関する法令及び行政指導等並びに諸関連法令等による種々の規制(以下「薬事関連規制」という。)がなされております。当社グループでは、薬事関連規制の遵守に努め、事業の進捗に合わせて社内の体制の整備に取り組んでおり、今後もこのような体制を維持・継続して参りますが、薬事関連規制に変更があった場合等は、すでに製造販売承認を受けて上市している止血材(以下においては止血以外の創傷治癒、癒着防止及び後出血予防の機能を合わせて有し又はこれらの機能を主なる機能とする医療機器も含め当社グループが製造販売承認を受けている医療機器を「本止血材」ということがある。)を含め、当社グループの医療製品の開発、販売に影響を与える可能性があります。また、本止血材については、上市した各国において製造販売に関する承認を得ておりますが、承認の申請に係る効能、効果又は性能が認められない等の事情が認められて、製造販売承認が取り消され、販売ができなくなることとなる可能性は否定できません。これらの事態が生じた場合、当社グループの医療製品の開発、販売に影響を与え、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 B 収益の不確実性に関する事項本止血材は外科手術や消化器内視鏡領域において幅広く使用されて止血性能について高い評価を得、手術件数や適応症例数も安定的に推移しており、今後も安定した需要が見込まれます。また、生物由来品である既存製品と異なり、人工合成物であり安全性が高い本止血材は、既存製品と十分差別化できるものと考えております。しかしながら、医療製品業界においては、激しい競争状況の下、国際的な巨大企業を含む多くの企業、研究機関等により、開発が行われ、技術は常に進歩しています。従って、外科手術や消化器内視鏡領域をめぐる技術の大幅な変化や、当社グループの医療製品の性能を上回る性能の競合製品が市場に登場する等により、当社グループの医療製品の売り上げが減少する可能性は否定できません。この場合、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C 保険制度の変化による収益の不確実性に関する事項本止血材は、複数の国において保険収載されております。しかし、今後、保険制度の変更がなされたり又は本止血材について保険収載が取り消されたり若しくは保険償還価格の変更がなされる可能性は否定できません。これらの事態が生じた場合、本止血材を含む当社グループの医療製品の販売に影響が与えられ、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼすこととなる可能性があります。 D 開発のプロセスに関する事項医療製品の開発は長期間にわたり相当な費用が必要であるのに対して、その成功の比率は高いものではありません。現在開発を行っている製品を含め、当社グループが開発する医療製品の開発が成功しなかった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 E 特定の契約先からの事業収益への依存に関する事項欧州での本止血材の販売についてはFUJIFILMへの依存度が高くなっております。今後、FUJIFILMとの契約が解除その他の理由で終了した場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼすこととなります。 F 重要な契約に関する事項当社グループの事業展開上、重要な契約が解除された場合、不利な契約改定が行われた場合や契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 G 製造・販売・在庫に関する事項当社グループは、主要原材料であるペプチドを十分な品質を担保して調達すべく、複数社に対し製造を委託しています。また、当社は、本止血材について、扶桑薬品との間で製造委受託契約を締結しておりましたが、2020年7月10日付の解除通知により同契約は終了しました。新たな製造受託先への移行までに必要と想定される製造量についての製造を行うことを扶桑薬品との間で合意しておりますが、新たな製造受託先での十分な製造量の製造開始が遅れる場合には、各国への製品供給が滞る可能性があります。このように、当社グループでは、本止血材の製品供給体制を強化するため、バックアップ体制の構築に取り組んでおりますが、本止血材を含め、当社グループの医療製品について、想定外の事故等も含めペプチドを含む原材料及び各種構成部品の供給、委託製造の遅れが生じる事態になった場合には、当社グループの財政状況や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。また、製品販売が計画通りに進まず、過剰な原材料を保有することになった場合には、原材料等の評価損計上等当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。 H 製造物責任等に関する事項医療製品の設計、開発、製造及び販売には、予期せぬ副作用による健康被害のリスク及び製造物責任のリスクが内在しております。当社グループにおいては、製品の基礎となる自己組織化ペプチド技術を利用した本止血材について、ヒトでの臨床試験を各国において実施済であり、因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されておりません。また、当社グループが各国において販売を行っている本止血材について、有害事象の報告はありません。しかしながら、今後、本止血材を含め、当社グループが開発した医療製品の予期せぬ副作用により患者に健康被害を引き起こす可能性は否定できません。また、副作用による健康被害以外に設計、開発、製造、販売において不適当な点が発見された場合には、当社グループが製造物責任を負う可能性があることは否定できません。当社は、全世界を対象地域とする製造物責任賠償保険に加入しておりますが、これらの事態が生じた場合には、販売中止、製品回収、損害賠償責任の負担等により当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において製造物責任等に基づく損害賠償請求がなされた場合、結果として当社グループの責任が否定されたとしても、損害賠償請求への対応について相当の費用、労力及び時間がかかる可能性があり、さらに、損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 I 大規模災害等に関する事項当社グループは、グローバルで事業展開をしておりますが、地震、火山噴火、津波等の大規模災害、COVID-19やその他感染病によるパンデミック、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、大規模災害を想定した訓練及び必要な対策を継続実施するとともに、当社の事業活動の継続や従業員の衛生・健康・安全の確保のために必要な対応を適時適切に行うこととしております。特に、COVID-19の大規模感染により、医療機関への訪問の制限、移動制限等による営業活動の抑制、本止血材を使用する手術の延期等により本止血材の販売に対して相当の影響を受けました。現時点の感染状況下ではかかる影響は相当緩和されておりますが、新たな株の発生等により再度感染状況が悪化した場合には、本止血材の販売が影響を受ける可能性があります。今後も当社グループが事業を展開する各国の医療業界の影響を注視し、万が一当社グループが事業を営む地域において甚大な影響がある場合は、必要な対応を図ってまいりますが、これらの事態の状況によっては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 知的財産権・訴訟等に関するリスクA 特許の取得状況等に関する事項当社グループは、下表に記載の自己組織化ペプチド技術にかかる物質特許及び当該物質特許を利用した基本的な用途特許(以下これらを併せて「基本特許群」という。)につき、当社子会社がMITより独占的実施権(再許諾権付)の許諾を受け、当社が当社子会社より実施権の再許諾を受けており、また、当社グループにて特許出願しております。当社は、下記のMITを権利者とする自己組織化ペプチド特許(出願国:米国)について、自己組織化ペプチド応用技術に係るMIT出身の研究者により設立されたバイオベンチャー企業であるARCH Therapeutics, Inc.社(以下「Arch社」という。)との間で非独占的なサブライセンス契約を締結しておりました。しかしながら、ARCH社の現在の事業展開の進展状況より、現時点において当社グループと競合するおそれは低いものと考えておりますが、将来的な競合の可能性は否定できません。さらに、ARCH社は、止血材を用途とする一部の自己組織化ペプチド(主に当社も用いているRADA配列)に関する特許について、MITから独占的実施権の許諾を受けております。当社の独占的実施権との間で調整が必要となる可能性がありますが、従前、ARCH社からかかる権利に関して当社に対して働きかけ等があったことはありません。MITのライセンス方針は技術の広がりを目的としており、MITはライセンシー同士の争いは好まないため、当社は、かかる調整の必要が生じた場合には、MITから何等かの支援が得られるものと従前理解しており、現在もそのとおり理解しております。しかし、かかる調整をMIT自ら行うことについて書面で確約することについては消極的な姿勢が示されたことから、今後、当社自らかかる調整を行う必要が生じる可能性は否定できません。基本特許群は、自己組織化を起こしハイドロゲルを形成する主なペプチド群をカバーしており、国、地域によりばらつきはあるものの、日本においては既に登録済となっております。しかしながら、基本特許群のうち、現在登録に至っていないものについては、最終的に登録に至らない可能性があり、その場合には当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。また、当社グループの事業を包含するバイオマテリアル関連産業においては、日々研究開発活動が繰り広げられており、当社グループの技術を超える優れた技術が開発されることにより、基本特許群の技術が淘汰される可能性は否定できません。また、当社グループは基本特許群を用いて多数の研究機関と応用技術にかかる共同研究を行っており、主要なパイプラインに関するもの以外についても既に複数の用途特許について共同出願しておりますが、全ての特許について登録に至るとは限りません。これらの特許が成立しなかった場合、当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。 B 訴訟等に関する事項当社グループは、第三者の知的財産権に関する調査を随時行っており、自己組織化ペプチド技術を用いた製品開発を行う限りにおいて、当社グループに対して上記のARCH社のMITの特許由来の権利に関連する事例以外は、第三者の特許権等の知的財産権侵害を理由とする訴訟が提起される可能性は極めて低いと考えております。また、提出日現在において、当社グループと第三者との間で訴訟が発生し又は第三者から知的財産権侵害の主張を受けたという事実もありません。しかし、当社グループは、今後多岐に渡る事業展開を考えていることから、かかる知的財産権侵害の問題を完全に回避できない可能性があります。将来、当社グループの事業活動が第三者の知的財産権を侵害しているとして損害賠償請求等の訴訟を提起された場合には、損害賠償責任を負う可能性があることに加え、解決に多大な時間及び費用を要するおそれがあり、当社グループの事業戦略、財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、知的財産権以外にも事業活動に付随するその他の訴訟を提起される可能性があり、訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において結果として当社グループの責任が否定されたとしても、知的財産権侵害等に基づく損害賠償請求がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品又は当社グループに対する信頼に影響が生じ、ひいては事業活動に影響を与え、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 <基本特許群に係る特許権の状況> 製品・パイプライン対象発明の名称登録番号出願国権利者物質特許吸収性局所止血材粘膜隆起材血管塞栓材歯槽骨再建材創傷治癒材PuraMatrix高純度ペプチド組成物第5730828号第5255274号日本当社WO 06/014570(出願中)米国EP 3031466欧州CA 2572964カナダ組織閉塞剤第5922749号第6200997号第6492137号日本当社US 10576123US 10596225米国EP 2345433EP 3238749EP 3470093欧州 用途特許PuraMatrix自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 7713923US 8901084米国MIT第5057781号日本EP 1636250欧州PuraMatrix自己組織化ペプチド神経再生法US 7846891米国MITPuraMatrix自己組織化ペプチド心筋組織再生法EP 2089047欧州3-D Matrix, Inc.第5558104号第5903068号日本US 9012404米国PuraMatrix自己組織化ペプチド細胞培養法及び細胞培養物第5263756号日本岡山大学、当社US 8647867米国US 8697438米国創傷治癒材 PuraMatrix自己組織化ペプチド創傷治癒・皮膚再建材第5497451号日本当社EP 2229960欧州PuraMatrix自己組織化ペプチドトランスフェクション剤EP 2322608欧州日本医科大学、当社第5606318号日本US 9133484米国PuraMatrix DDS自己組織化ペプチド界面活性剤様ペプチド ナノ構造US 7179784US 7671258米国MITPuraMatrixDDSがん幹細胞の治療、予防及び診断のための方法及び組成物第5891173号第6262707号日本国立がん研究センター、当社US 10337012米国EP 2606909欧州PuraMatrixDDSマイクロRNAによる骨肉腫の診断方法US 9322016米国国立がん研究センター、当社第6153932号日本EP 2753692欧州 ③経営成績、財務状況等に関するリスクA 業績の推移に関する事項当社グループの現在までの事業収益は、主に販売提携契約に基づくマイルストーン収益及び本止血材の製品売上に基づく収益ですが、当社グループは、研究開発型企業であり、現時点では研究開発費用が先行して計上されるステージにあるため、2012年4月期を除き研究開発活動に伴う費用計上が事業収益を上回り、営業損失、経常損失、当期純損失を計上しております。このため、過年度の財務経営指標は、当社の期間業績比較及び将来の業績を予測する材料としては不十分な面があります。 B マイナスの利益剰余金を計上していることに関する事項当社グループは研究開発型企業であり、医療製品が販売されるまでには研究開発費用が先行して計上されることとなります。そのため、2022年4月期連結会計年度末においてマイナスの利益剰余金を計上しております。現時点における当社グループの開発製品は医療製品の中でも医療機器として製造承認の取得を目指しており、医薬品と比べて開発に要する費用と期間は格段に少なくなることを想定しております。計画どおりに研究開発を推進することにより、早期の利益確保を目指しております。しかしながら将来において、事業計画どおりに事業が進展せず、当期純利益を獲得できない可能性及び利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。 C 重要事象等に関する事項当社グループは研究開発費用が先行して計上されることから、継続して営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しております。これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しております。当該状況を解消又は改善するための対応策を講じておりますが、継続企業の前提に重要な不確実性は存在するものと判断しております。当該状況を解消又は改善するための対応策は、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(4)対処すべき課題」に記載しております。 D 税務上の繰越欠損金に関する事項当社グループには、決算短信発表日現在において多額の税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため繰越欠損金の期限が切れた場合には、課税所得の控除が受けられなくなります。そうした場合、通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 E 資金繰りに関する事項当社グループは研究開発型企業であり、今後もパイプラインの開発費用が先行して発生します。事業提携やライセンスアウト等の契約の獲得、多様な資金調達等による資金確保に努めますが、事業計画どおりに事業が進展しない場合には資金不足となり、事業継続に重大な影響を与える可能性があります。 F 配当政策に関する事項当社グループは、当期純損失を計上しており、利益配当は実施しておりません。また、2022年4月期連結会計年度末においても、1,894,757千円の当期純損失を計上しており、累積損失が処理された段階において財政状態及び経営成績を勘案しつつ利益配当についての方針を検討する所存であります。 ④組織に関するリスクA 業歴が浅いことに関する事項当社は2004年5月に設立された社歴が浅い会社であり、期間業績比較を行うには十分な財務数値が得られません。また研究開発型企業であり、本止血材の海外での販売を2015年4月期に、日本での販売を2022年4月期に開始しましたが、事業ステージはいまだ先行投資の段階にあります。このため、事業の特性を踏まえると、過年度の経営成績だけでは、今後の業績を予想する材料としては不十分な面があります。 B 小規模組織に関する事項当社グループは2022年4月末日現在、親会社で取締役7名、監査役3名、従業員18名、子会社で取締役11名(内5名は親会社役員が兼務)、従業員67名の小規模組織であります。当社グループでは、業務遂行体制の充実に努めておりますが、小規模組織であり、内部管理体制も規模に応じたものとなっております。当社グループでは、今後の事業拡大に向け組織体制の一層の充実を図ってまいりますが、適切な組織体制の構築ができない場合には、経営効率に影響を及ぼす可能性があります。一方、急激な規模拡大は固定費の増加につながり、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C 特定の人物への依存に関する事項当社グループの事業推進者は、当社代表取締役である岡田淳であります。前代表取締役より経営戦略、開発戦略の決定、事業計画の策定、管理業務における責任を承継しており、グループの経営推進者として大きな影響力を有しております。このため、当社グループでは過度に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っておりますが、当面は依存度が高い状態で推移すると見込まれます。そのため、代表取締役が何らかの理由で業務を継続することが困難になった場合には、事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 D 人材の確保及び育成に関する事項当社グループの競争力の核は研究開発力、事業企画力、医療関係者に対する提案力にあるため、専門性の高い研究者等の人材の確保が不可欠であり、また、事業拡大を支えるために営業、製造、内部管理等の専門人材も必要となってきております。当社グループでは、優秀な人材の確保及び社内人材の育成に努めておりますが、人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合には、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤その他A 調達資金の使途に関する事項当社は、増資等による調達資金の使途については、当初の方針通り研究開発資金に充当しておりますが、環境変化による予測不可能な技術革新や研究開発活動の長期化等投資効果をあげられる保証はありません。このような場合、投資家の期待している収益に結び付かない可能性があります。 B 新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関する事項当社は役職員向けにストック・オプション制度を採用しております。また、主に止血材とその他パイプラインの原材料調達、製品原価改善とその開発に関する費用、並びに事業運営費用等として投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インク(以下「ハイツ」という。)に対して第3回、第4回及び第5回無担保転換社債型新株予約権付社債並びに第25回新株予約権、第28回新株予約権及び第31回新株予約権を発行しております。これらの発行済の新株予約権が全て行使された場合の潜在株式数は、合計15,542,676株(2022年6月末日現在)となり、この潜在株式数と当社の発行済株式数57,123,406株(2022年6月末日現在)とを合計した数72,666,082株に対し21.3%を占めております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、当社は今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブを継続して実施していくことを検討しております。従って、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値はさらに希薄化する可能性があります。 C 為替に関する事項当社グループの取引のうち、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の製造委託及び海外での製品販売については、主に外貨建での決済が行われておりますが、当社グループにおいては特段の為替リスクヘッジは行っておりません。そのため、予想以上に為替相場の変動が生じた場合には、当社グループの業績はその影響を受ける可能性があります。今後は、為替リスクを回避する方策については、その得失に鑑みて、その要否を含め検討して参ります。
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2 【事業等のリスク】 以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループとしては、必ずしも事業展開上のリスク要因に値しないと考えられる事項についても、投資判断上、重要と考えられるものについては、投資者への積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、これらのリスクを認識した上で、その回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式への投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社グループに関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。なお、本文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。 ①医療製品事業に関するリスクA 医薬品医療機器等法等の法的規制に関する事項医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」」という)は、医薬品及び医療機器等の有効性及び安全性を確保することを目的としています。医薬品医療機器等法上、医療機器を製造・販売するためには、所管の都道府県知事より医療機器製造販売業許可を取得する必要があり、また、個別製品ごとに所轄官庁等の承認又は認証を得ることが必要となります。当社は、2010年8月18日に、東京都知事より第一種医療機器製造販売業許可を取得して(2020年7月に更新、有効期限2025年8月17日)、医療機器の研究開発を行い、製造・販売に向け事業活動を行っています。当社グループでは、医薬品医療機器等法その他の関連法規の遵守に努めており、事業の進捗に合わせて社内の体制の整備にも取り組んでまいりました。しかしながら、第一種医療機器製造販売業許可については、当社に医薬品医療機器等法その他薬事に関する法令もしくはこれに基づく処分に違反する行為があったとき又は当社もしくは当社の役員が医薬品医療機器等法第23条の2の2第3号の準用する同法第5条第3号に掲げる事由に該当するに至ったときには、当該許可が取り消される可能性があり(同法第75条第1項)、その場合、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。また当社は、止血材について、日本では2015年3月13日の製造販売承認申請の取下げ後、PMDAとの間で再度の臨床試験開始に向けた協議を継続しておりましたが、内視鏡的粘膜下層剥離術下の漏出性出血に対する止血効果等の有効性評価や安全性評価を含めた総合的判断を行うという治験計画を構築し、2017年4月11日に臨床試験を開始するための治験計画届をPMDAに提出し、2017年8月より臨床試験を実施し、2019年7月22日に完了、同年10月23日にPMDAに製造販売申請を提出しておりました。そして、2020年7月16日付で製造販売承認を取得しております。止血材について日本における製造販売承認後も、止血材が、その申請に係る効能、効果もしくは性能を有すると認められないとき等は当該承認が取り消されることとなり(医薬品医療機器等法第74条の2第1項)、また、当社が同法74条の2第3項に掲げる事由に該当する場合には、当該承認が取り消される可能性があります。かかる製造販売承認の取消がなされた場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。 B 収益の不確実性に関する事項止血材は外科手術や消化器内視鏡領域において幅広く使用され、手術件数や適応症例数も安定的に推移しており、止血材については製品化後に安定した需要が見込まれます。また、医薬品医療機器等法により生物由来製品の安全管理が厳しくなったことから、人工合成物であり安全性が高い止血材は、既存製品と十分差別化できるものと考えております。しかしながら、製造販売承認後も止血材について保険収載が否定されたり、保険収載価格が想定価格と乖離が生じる場合があり得ます。また、止血材は、欧州、アジア・オセアニア・南米地域において製品販売を開始しておりますが、各地域での法的規制その他の関連法規に大きな変更が生じた場合に、止血材の販売実施ができなくなる可能性があることは否定できません。さらに、韓国においても製品登録承認申請を行っておりますが、同国での法的規制その他の関連法規に大きな変更が生じた場合や、審査の結果として、適応手術領域より狭い範囲でしか承認を取得できなかったり、同製品の有効性・安全性が認められず、承認が取得できない可能性があることは否定できません。これらの事象が生じた場合には、当社グループの販売計画に影響を与える可能性があり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C 特定の契約先からの事業収益への依存に関する事項当社グループの事業収益は、止血材のグローバルな製品販売と契約一時金等を中心としておりますが、欧州ではFUJIFILMへの依存度が高くなっております。今後、FUJIFILMとの契約が解除その他の理由で終了した場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼすこととなります。また、日本においては扶桑薬品工業株式会社への依存度が高くなっておりましたが、同社との間で締結しておりました独占販売権許諾契約が2020年7月10日付の解除通知により終了しました。このため、消化器内視鏡領域でより強力な営業力・販売チャネルをもつ新しい国内販売パートナーを早期に獲得すべく活動を進めるとともに、販売パートナーを獲得したとしても自社での最低限の販売力は必須であると考えており、新たな販売体制構築を早急に進めております。今後、安定的製品売上まで当社グループの日本における主な事業収益は、新たな販売パートナーから受領する止血材に関する契約一時金・マイルストーンペイメントでありますが、同収益が獲得できない又は獲得が遅れることとなった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 D 重要な契約に関する事項当社グループの事業展開上、重要な契約が解除された場合、不利な契約改定が行われた場合や契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 E 製造・販売・在庫に関する事項当社グループは、伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社との間で業務提携契約を締結し、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の調達先や、製剤の業務委託先の選定、販売提携先の選定に関し業務提携を行っています。当社グループは、主要原材料であるペプチドを十分な品質を担保して調達すべく、複数社に対し製造を委託しています。また当社は、止血材について、扶桑薬品工業株式会社との間で製造委受託契約を締結しておりましたが、2020年7月10日付の解除通知により終了しました。新たな製造受託先への移行までに必要と想定される製造量についての製造を行うことを扶桑薬品工業株式会社との間で合意しておりますが、新たな製造受託先での製造開始が遅れる場合には、各国への製品供給が滞る可能性があります。このように、当社グループでは、止血材の製品供給体制を強化するため、バックアップ体制の構築に取り組んでおりますが、想定外の事故等も含め原材料の供給、委託製造の遅れが生じる事態になった場合には、当社グループの財政状況や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。また、製品販売が計画通りに進まず、過剰な原材料を保有することになった場合には、製品販売の機会損失や原材料等の評価損計上等当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。さらに、日本における止血材の販売については、扶桑薬品工業株式会社との間で独占販売権許諾契約を締結しておりしたが、2020年7月10日付の解除通知により終了しました。今後、新しい販売パートナーを早期に獲得すべく活動を進めるとともに、直販も含めた様々な選択肢を検討し、新たな販売体制構築を早急に進めておりますが、同体制構築に遅れが生じる場合には当社グループの販売計画に影響を与える可能性があり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 F 製造物責任に関する事項医療製品の設計、開発、製造及び販売には、製造物責任賠償のリスクが内在しております。当社グループにおいては、製品の基礎となる自己組織化ペプチド技術を利用した止血材について、ヒトでの臨床試験を実施済であり、実施した全97症例において、因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されておりません。また、当社グループは欧州及びアジア・オセアニア地域において止血材の販売を開始しており、同製品は規制当局の基準に基づく当社グループの品質管理基準にしたがって製造販売されております。しかしながら、今後、止血材を含む当社グループが開発した医療製品が患者の健康被害を引き起こす可能性は否定できず、また、治験、製造、販売において不適当な点が発見された場合には、当社グループが製造物責任を負う可能性があることは否定できません。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において結果として当社グループの過失が否定されたとしても、製造物責任に基づく損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 G 止血材以外の医療製品に関する事項当社グループでは、歯槽骨再建材について、当社子会社が2011年7月にFDAからIDE(Investigational Device Exemption: FDAへの新医療機器の臨床試験実施のための医療機器に関する適用除外申請)の承認を得て、米国において2012年2月に臨床試験を開始しております。しかしながら、臨床試験の結果、同製品の有効性・安全性が認められなかった場合には、同製品の製造販売を実施することができず、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、外科領域において血管塞栓材(TDM-631)の研究開発を行っております。しかしながら、いまだ研究開発段階であり、今後の研究開発が計画どおりに進む保証はなく、事業化が順調に進展しない場合には、当社グル―プの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。上記の歯槽骨再建材、癒着防止材は、いずれも止血材と同じ配列(RADA16)の自己組織化ペプチド技術を基礎としているものです。そして、止血材については、既にヒトへの臨床試験を実施しており、実施した全97症例について因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されておりません。そのため、これらの製品についても、今後の臨床試験の結果、その有効性が認められれば、所轄官庁の承認又は認可を受けられない可能性は低いものと思われます。しかしながら、当該技術自体の安全性に疑問が生じることとなった場合や、医薬品医療機器等法その他の関連法規に大きな変化が生じた場合には、これらの製品について承認又は認可が取得できなくなり、当社グループの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。DDS領域においては、主に医薬品の研究開発を行っております。医薬品の場合には、医療機器と比べ臨床試験が多段階に設定されていることから、承認申請に至るまでのプロセスが長期に亘り、また、不確定な要素が多くなるため、当社グループの想定どおりに研究開発が進まない場合には、当社グループの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 H 研究開発活動に関する事項当社グループは、MITからライセンスされている自己組織化ペプチド技術に関する基本特許群(下記「②知的財産権・訴訟等に関するリスク」において定義する。)の上に応用技術を構築し、新しい医療製品を開発することを目指しております。提出日現在までに、当社グループは日米約100の研究機関と共同研究を実施し、心筋再生技術、肝細胞培養技術、膵島細胞培養/移植技術等の分野では特許出願又はその準備を行っており、その他多数の分野において論文発表が行われております。当社グループでは、現在の主要なパイプラインに続く次の事業化候補として、これらの応用技術から、(a)創傷治癒、心筋再生、軟骨/椎間板再生等細胞を用いない再生治療、(b)埋め込み型人工膵臓治療、体外型人工肝臓治療等細胞を用いるが体内埋植しない治療法、さらに(c)膵島移植治療、脊椎損傷治療等細胞を体内埋植する治療法、(d)BMP等タンパク製剤やペプチド製剤、核酸等のDDS等、新しいパイプラインが開発計画に組み込まれる可能性があると見込んでおります。これらの事業化候補については、現在は基礎研究段階であり事業計画に織り込まれておりませんが、事業化が順調に進展しない場合、将来の重要なアップサイドポテンシャルを失う可能性があります。 I 大規模災害等に関する事項当社グループは、グローバルで事業展開をしておりますが、地震、火山噴火、津波等の大規模災害、COVID-19やその他感染病によるパンデミックは、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、大規模災害を想定した訓練及び必要な対策を継続実施するとともに、当社の事業活動の継続や従業員の衛生・健康・安全の確保のために必要な対応を適時適切に行うこととしております。特に、現下のCOVID-19の感染状況に関しては、当社グループが事業を展開する各国の医療業界の影響を注視しており、現時点において事業の継続が危ぶまれる程の影響には至っておりませんが、万が一当社グループが事業を営む地域において甚大な影響がある場合は、必要な対応を図ってまいります。 ②知的財産権・訴訟等に関するリスクA 特許の取得状況等に関する事項当社グループは、下表に記載の自己組織化ペプチド技術にかかる物質特許及び当該物質特許を利用した基本的な用途特許(以下これらを併せて「基本特許群」という。)につき、当社子会社がMITより専用実施権(再許諾権付)の許諾を受け、当社が当社子会社より実施権の再許諾を受けており、また、当社グループにて特許出願しております。当社は、下記のMITを権利者とする自己組織化ペプチド特許(出願国:米国)について、自己組織化ペプチド応用技術に係るMIT出身の研究者により設立されたバイオベンチャー企業であるARCH Therapeutics, Inc.社との間で非独占的なサブライセンス契約を締結しておりました。しかしながら、米国ARCH Therapeutics, Inc.社の現在の事業展開の進展状況より、現時点において当社グループと競合するおそれは低いものと考えておりますが、将来的な競合の可能性は否定できません。さらに、ARCH Therapeutics, Inc.社は、止血材を用途とする一部の自己組織化ペプチド(主に当社も用いているRADA配列)に関する特許について、MITから独占的実施権の許諾を受けております。当社の専用実施権との間で調整が必要となる可能性がありますが、従前、ARCH Therapeutics, Inc.社からかかる権利に関して当社に対して働きかけ等があったことはありません。MITのライセンス方針は技術の広がりを目的としており、MITはライセンシー同士の争いは好まないため、当社は、かかる調整の必要が生じた場合には、MITから何等かの支援が得られるものと従前理解しており、現在もそのとおり理解しております。しかし、今般、かかる調整をMIT自ら行うことについて書面で確約することに消極的な姿勢が示されるようになったことから、今後、当社自らかかる調整を行う必要が生じる可能性があります。基本特許群は、自己組織化を起こしハイドロゲルを形成する主なペプチド群をカバーしており、国、地域によりばらつきはあるものの、日本においては既に登録済となっております。しかしながら、基本特許群のうち、現在登録に至っていないものについては、最終的に登録に至らない可能性があり、その場合には当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。また、当社グループの事業を包含するバイオマテリアル関連産業においては、日々研究開発活動が繰り広げられており、当社グループの技術を超える優れた技術が開発されることにより、基本特許群が淘汰される可能性は否定できません。また、当社グループは基本特許群を用いて多数の研究機関と応用技術にかかる共同研究を行っており、主要なパイプラインに関するもの以外についても既に複数の用途特許について共同出願しておりますが、すべての特許について登録に至るとは限りません。これらの特許が成立しなかった場合、当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。 B 訴訟等に関する事項当社グループは、自己組織化ペプチド技術を用いた製品開発を行う限りにおいて、当社グループに対して上記のARCH Therapeutics, Inc.社のMITの特許由来の権利に関連する事例以外は、第三者の特許権等の知的財産権侵害を理由とする訴訟が提起される可能性は極めて低いと考えております。また、当社グループは第三者の知的財産権に関する調査を随時行っており、提出日現在において、当社グループと第三者との間で訴訟が発生したという事実もありません。しかし、当社グループは、今後多岐に渡る事業展開を考えていることから、かかる知的財産権侵害の問題を完全に回避できない可能性があります。将来、当社グループの事業活動が第三者の知的財産権を侵害しているとして損害賠償請求等の訴訟を提起された場合には、解決に多大な時間及び経費を要するおそれがあり、当社グループの事業戦略、財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、知的財産権以外にも事業活動に付随するその他の訴訟を提起される可能性があり、訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において結果として当社グループの責任が否定されたとしても、知的財産権侵害に基づく損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼に影響が生じ事業活動に影響を与え、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 <基本特許群に係る特許権の状況>製品・パイプライン対象発明の名称登録番号出願国権利者物質特許吸収性局所止血材粘膜隆起材血管塞栓材歯槽骨再建材創傷治癒材PuraMatrix高純度ペプチド組成物 第5730828号第5255274号日本(登録)3-D Matrix, Inc.WO 06/014570米国(出願中)EP 3031466欧州(登録)CA 2572964カナダ(登録)組織閉塞剤 第5922749号第6200997号第6492137号日本(登録)当社US 10576123US 10596225米国(登録)EP 2345433EP 3238749EP 3470093欧州(登録)用途特許PuraMatrix自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 7713923US 8901084米国(登録)MIT第5057781号日本(登録)EP 1636250 欧州(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド神経再生法US 7846891米国(登録)MIT PuraMatrix自己組織化ペプチド心筋組織再生法 EP 2089047欧州(登録)3-D Matrix, Inc.第5558104号第5903068号日本(登録)US 9012404米国(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド細胞培養法及び細胞培養物第5263756号日本(登録)岡山大学、当社US 8647867米国(登録)US 8697438米国(登録)創傷治癒再建材 PuraMatrix自己組織化ペプチド創傷治癒・皮膚再建材第5497451号日本(登録)当社EP 2229960欧州(登録) 製品・パイプライン対象発明の名称登録番号出願国権利者PuraMatrix自己組織化ペプチドトランスフェクション剤EP 2322608欧州(登録)日本医科大学、当社第5606318号日本(登録)US 9133484米国(登録)PuraMatrix DDS自己組織化ペプチド界面活性剤様ペプチド ナノ構造US 7179784US 7671258米国(登録)MITPuraMatrixDDSがん幹細胞の治療、予防及び診断のための方法及び組成物第5891173号第6262707号日本(登録)国立がん研究センター、 当社US 10337012米国(登録)EP 2606909欧州(登録)PuraMatrixDDSマイクロRNAによる骨肉腫の診断方法US 9322016米国(登録)国立がん研究センター、 当社第6153932号日本(登録)EP 2753692欧州(登録) ③経営成績、財務状況等に関するリスクA 業績の推移に関する事項当社は、日本における止血材に関し、扶桑薬品工業株式会社と独占販売権許諾契約を締結し、その製品開発においては製造販売承認申請を一旦取下げましたが、再度製造販売承認申請を行い、2020年7月16日付で製造販売承認を取得しております。一方で、独占販売権許諾契約に関しては扶桑薬品工業株式会社より2020年7月10日付解除通知により終了しており、現在まで、日本における事業収益は計上しておりません。現在までの事業収益は、主に上記を含む過去に締結した販売提携契約に基づく収益並びに海外での止血材の製品売上及び販売提携に基づく収益であり、また、2012年4月期を除き研究開発活動に伴う費用計上が事業収益を上回り、営業損失、経常損失、当期純損失を計上しております。このため、過年度の財務経営指標は、当社の期間業績比較及び将来の業績を予測する材料としては不十分な面があります。 B マイナスの利益剰余金を計上していることに関する事項当社グループは研究開発型企業であり、医療製品が販売されるまでには研究開発費用が先行して計上されることとなります。そのため、2021年4月期連結会計年度末においてマイナスの利益剰余金を計上しております。現時点における当社グループの開発製品は医療製品の中でも医療機器として製造承認の取得を目指しており、医薬品と比べて開発に要する費用と期間は格段に少なくなることを想定しております。計画どおりに研究開発を推進することにより、早期の利益確保を目指しております。しかしながら将来において、事業計画どおりに進展せず、当期純利益を獲得できない可能性及び利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。 C 重要事象等に関する事項当社グループは研究開発費用が先行して計上されることから、継続して営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しております。これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しておりますが、当該状況を解消又は改善するための対応策を講じておりますが、継続企業の前提に重要な不確実性は存在するものと判断しております。当該状況を解消又は改善するための対応策は、「⑥継続企業の前提に関する重要事象等」に記載しております。 D 税務上の繰越欠損金に関する事項当社グループには、提出日現在において多額の税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため繰越欠損金の期限が切れた場合には、課税所得の控除が受けられなくなります。そうした場合、通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 E 資金繰りに関する事項当社グループは研究開発型企業であり、今後もパイプラインの開発費用が先行して発生します。事業提携やライセンスアウト等の契約の獲得、多様な資金調達等による資金確保に努めますが、事業計画どおりに進展しない場合には資金不足となり、事業継続に重大な影響を与える可能性があります。 F 配当政策に関する事項当社グループは、当期純損失を計上しており、利益配当は実施しておりません。また、2021年4月期連結会計年度末においても、2,012,615千円の当期純損失を計上しており、累積損失が処理された段階において財政状態及び経営成績を勘案しつつ利益配当についての方針を検討する所存であります。 ④組織に関するリスクA 業歴が浅いことに関する事項当社は2004年5月に設立された社歴が浅い会社であり、期間業績比較を行うには十分な財務数値が得られません。また、研究開発型企業であり2015年4月期に止血材の海外での販売を開始しましたが、事業ステージはいまだ先行投資の段階にあります。このため、事業の特性を踏まえると、過年度の経営成績だけでは、今後の業績を予想する材料としては不十分な面があります。 B 小規模組織に関する事項当社グループは2021年4月末日現在、親会社で取締役4名、監査役3名、従業員11名の計18名体制、子会社で取締役7名(内2名は親会社役員が兼務)、従業員51名の計58名体制の小規模組織であります。当社グループ では、業務遂行体制の充実に努めておりますが、小規模組織であり、内部管理体制も規模に応じたものとなっております。当社グループでは、今後の事業拡大に向け組織体制の一層の充実を図ってまいりますが、適切な組織体制の構築ができない場合には、経営効率に影響を及ぼす可能性があります。一方、急激な規模拡大は固定費の増加につながり、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C 特定の人物への依存に関する事項当社グループの事業推進者は、当社代表取締役である岡田淳であります。前代表取締役より経営戦略、開発戦略の決定、事業計画の策定、管理業務における責任を承継しており、グループの経営推進者として大きな影響力を有しております。このため、当社グループでは過度に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っておりますが、当面は依存度が高い状態で推移すると見込まれます。そのため、代表取締役が何らかの理由で業務を継続することが困難になった場合には、事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 D 人材の確保及び育成に関する事項当社グループの競争力の核は研究開発力、事業企画力にあるため、専門性の高い研究者等の人材の確保が不可欠であり、事業拡大を支えるために営業、製造、内部管理等の専門人材も必要となってきております。当社グループでは、優秀な人材の確保及び社内人材の育成に努めておりますが、人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合には、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤その他A 調達資金の使途に関する事項当社は、増資等による調達資金の使途については、当初の方針通り研究開発資金に充当しておりますが、環境変化による予測不可能な技術革新や研究開発活動の長期化等投資効果をあげられる保証はありません。このような場合、投資家の期待している収益に結び付かない可能性があります。 B 新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関する事項当社はストック・オプション制度を採用しております。既に発行されたストック・オプションには、会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき新株予約権を付与する方式により株主総会にて決議されたものがあります。また、主に止血材とその他パイプラインの原材料調達、製品原価改善とその開発に関する費用、並びに事業運営費用等として投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インク(以下「ハイツ」という。)に対して第2回及び第3回無担保転換社債型新株予約権付社債並びに第27回新株予約権(行使価額修正条項付)及び第28回新株予約権を発行しております。これらの発行済の新株予約権が全て行使された場合の潜在株式数は、合計7,328,329株(2021年5月末日現在)となり、この潜在株式数と当社の発行済株式数45,016,226株(2021年5月末日現在)とを合計した数52,344,555株に対し14.0%を占めております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、当社は今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブを継続して実施していくことを検討しております。従って、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値はさらに希薄化する可能性があります。 C 為替に関する事項当社グループの取引のうち、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の製造委託及び海外での製品販売については、主に外貨建での決済が行われておりますが、当社グループにおいては特段の為替リスクヘッジは行っておりません。そのため、予想以上に為替相場の変動が生じた場合には、当社グループの業績はその影響を受ける可能性があります。 ⑥継続企業の前提に関する重要事象等「2 事業等のリスク ③経営成績、財務状況等に関するリスク C重要事象等に関する事項」に記載のとおり、当社グループは研究開発費用が先行して計上されることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しております。今後、当社グループは当該状況をいち早く解消し、経営基盤の安定化を実現するために以下の改善策に取り組んでまいります。 当社グループは医療製品事業においてグローバルに展開している吸収性局所止血材の製品販売による事業収益を計上し、主に欧米・アジア・南米地域における販売権許諾等の契約一時金やマイルストーンペイメント収入を獲得してまいります。また、親子会社間での研究開発において基礎研究の共有・効率化も進んでいることから、業務効率化による諸経費の節減等にも注力し販売費及び一般管理費の圧縮にも取り組むことで収益構造を改善し、重要事象等の解消に向け取り組んでまいります。さらに、当社グループの研究開発及び事業運営を進めるための十分な資金確保に向けて、2020年4月に米国においてバイオ業界への投資に多くの実績を有する投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インク(以下「ハイツ」という。)に対し、第三者割当による第24回新株予約権及び第25回新株予約権を発行し、このうち第24回新株予約権の全ての行使により2,508,900千円を調達しております。また、2020年11月に第三者割当による新株発行と第27回新株予約権及び第28回新株予約権を発行し、第三者割当による新株発行と第27回新株予約権の全ての行使により2021年7月8日までに1,526,685千円を調達することができております。今後も既発行分の新株予約権も含めて順調に行使が進むものと考えております。また、株式会社りそな銀行と借入コミットメントライン契約を締結しており安定的な事業資金の確保に取り組んでおります。今後も引き続き各金融機関からの資金調達、借入コミットメントライン契約の設定・拡大、リース等様々な資金調達を検討・実施し、継続的に財務基盤の強化に努めてまいります。
FY2020|13,677 文字
2 【事業等のリスク】 以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループとしては、必ずしも事業展開上のリスク要因に値しないと考えられる事項についても、投資判断上、重要と考えられるものについては、投資者への積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、これらのリスクを認識した上で、その回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式への投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社グループに関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。なお、本文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。 ①医療製品事業に関するリスクA 医薬品医療機器等法等の法的規制に関する事項医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」」という)は、医薬品及び医療機器等の有効性及び安全性を確保することを目的としています。医薬品医療機器等法上、医療機器を製造・販売するためには、所管の都道府県知事より医療機器製造販売業許可を取得する必要があり、また、個別製品ごとに所轄官庁等の承認又は認証を得ることが必要となります。当社は、2010年8月18日に、東京都知事より第一種医療機器製造販売業許可を取得して(2015年7月に更新、有効期限2020年8月17日)、医療機器の研究開発を行い、製造・販売に向け事業活動を行っています。当社グループでは、医薬品医療機器等法その他の関連法規の遵守に努めており、事業の進捗に合わせて社内の体制の整備にも取り組んで参りました。しかしながら、第一種医療機器製造販売業許可については、当社に医薬品医療機器等法その他薬事に関する法令若しくはこれに基づく処分に違反する行為があったとき、又は当社若しくは当社の役員が医薬品医療機器等法第23条の2の2第3号の準用する同法第5条第3号に掲げる事由に該当するに至ったときには、当該許可が取り消される可能性があり(同法第75条第1項)、その場合、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。また当社は、本止血材について、日本では2015年3月13日の製造販売承認申請の取下げ後、PMDAとの間で再度の臨床試験開始に向けた協議を継続しておりましたが、内視鏡的粘膜下層剥離術下の漏出性出血に対する止血効果等の有効性評価や安全性評価を含めた総合的判断を行うという治験計画を構築し、2017年4月11日に臨床試験を開始するための治験計画届をPMDAに提出し、2017年8月より臨床試験を実施し、2019年7月22日に完了、同年10月23日にPMDAに製造販売申請を提出しておりました。そして、2020年7月16日付で製造販売承認を取得しております。止血材について日本における製造販売承認後も、止血材が、その申請に係る効能、効果若しくは性能を有すると認められないとき等は当該承認が取り消されることとなり(医薬品医療機器等法第74条の2第1項)、また、当社が同法74条の2第3項に掲げる事由に該当する場合には、当該承認が取り消される可能性があります。かかる製造販売承認の取消がなされた場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。 B 収益の不確実性に関する事項止血材は外科手術や消化器内視鏡領域において幅広く使用され、手術件数や適応症例数も安定的に推移しており、止血材については製品化後に安定した需要が見込まれます。また、医薬品医療機器等法により生物由来製品の安全管理が厳しくなったことから、人工合成物であり安全性が高い止血材は、既存製品と十分差別化できるものと考えております。しかしながら、製造販売承認後も止血材について保険収載が否定されたり、保険収載価格が想定価格と乖離が生じる場合があり得ます。また、止血材は、欧州、アジア・オセアニア・南米地域において製品販売を開始しておりますが、各地域での法的規制その他の関連法規に大きな変更が生じた場合に、止血材の販売実施ができなくなる可能性があることは否定できません。さらに、韓国においても製品登録承認申請を行っておりますが、同国での法的規制その他の関連法規に大きな変更が生じた場合や、審査の結果として、適応手術領域より狭い範囲でしか承認を取得できなかったり、同製品の有効性・安全性が認められず、承認が取得できない可能性があることは否定できません。これらの事象が生じた場合には、当社グループの販売計画に影響を与える可能性があり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C 特定の契約先からの事業収益への依存に関する事項当社グループの事業収益は、止血材のグローバルな製品販売と契約一時金等を中心としておりますが、欧州ではFUJIFILMへの依存度が高くなっております。日本においては扶桑薬品工業株式会社への依存度が高くなっておりますが、2020年7月10日付で同社より独占販売権許諾契約に関する解除通知を受領しております。今後、FUJIFILMとの契約が解除その他の理由で終了した場合や、扶桑薬品工業株式会社との同契約で予定されている収益が得られなくなった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼすこととなります。また、安定的製品売上まで当社グループの日本における主な事業収益は、止血材に関する契約一時金・マイルストーンペイメントであります。そのため、同収益が獲得できない、または獲得が遅れることとなった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。とくに、日本における止血材の販売については、扶桑薬品工業株式会社との間で独占販売権許諾契約を締結しておりますが、2020年7月10日付で契約解除通知を受領しているため、今後の同社との協議次第では、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 D 重要な契約に関する事項当社グループの事業展開上、重要な契約が解除された場合、不利な契約改定が行われた場合や契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 E 製造・販売・在庫に関する事項当社グループは、伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社との間で業務提携契約を締結し、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の調達先や、製剤の業務委託先の選定、販売提携先の選定に関し業務提携を行っています。当社グループは、主要原材料であるペプチドを十分な品質を担保して調達すべく、複数社に対し製造を委託しています。また当社は、止血材について、扶桑薬品工業株式会社との間で製造委受託契約を締結しておりますが、2020年7月10日付で契約解除通知を受領しております。製造委受託契約のスムーズな解消の為の移行期間の設定や今後も引き続き製造を継続して頂けるよう協議を進めてまいりますが、製造委受託契約の継続が出来なかった場合には、今後、速やかに新たな製造委託先を獲得する必要が生じます。このように、当社グループでは、本止血材の製品供給体制を強化するため、バックアップ体制の構築に取り組んでおりますが、想定外の事故なども含め原材料の供給、委託製造の遅れが生じる事態になった場合には、当社グループの財政状況や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。また、製品販売が計画通りに進まず、過剰な原材料を保有することになった場合には、製品販売の機会損失や原材料等の評価損計上など当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。さらに、日本における止血材の販売については、扶桑薬品工業株式会社との間で独占販売権許諾契約を締結しておりますが、2020年7月10日付で契約解除通知を受領しており、同社との契約が解消された場合には当社グループの販売計画に影響を与える可能性があり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 F 製造物責任に関する事項医療製品の設計、開発、製造及び販売には、製造物責任賠償のリスクが内在しております。当社グループにおいては、製品の基礎となる自己組織化ペプチド技術を利用した止血材について、ヒトでの臨床試験を実施済みであり、実施した全97症例において、因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されておりません。また、当社グループは欧州及びアジア・オセアニア地域において止血材の販売を開始しており、同製品は規制当局の基準に基づく当社グループの品質管理基準にしたがって製造販売されております。しかしながら、今後、止血材を含む当社グループが開発した医療製品が患者の健康被害を引き起こす可能性は否定できず、また、治験、製造、販売において不適当な点が発見された場合には、当社グループが製造物責任を負う可能性があることは否定できません。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において結果として当社グループの過失が否定されたとしても、製造物責任に基づく損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 G 止血材以外の医療製品に関する事項当社グループでは、歯槽骨再建材について、当社子会社が2011年7月にFDAからIDEの承認を得て、米国において2012年2月に臨床試験を開始しております。しかしながら、臨床試験の結果、同製品の有効性・安全性が認められなかった場合には、同製品の製造販売を実施することができず、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。粘膜隆起材については、当社が2014年12月より臨床試験を開始しておりましたが、臨床試験症例において、前臨床試験の結果より想定した有効性に対して十分な結果が得られない傾向にあることから、試験方法及び製剤の開発等を検討するために、臨床試験を自主的に一時中断しております。今後、十分な有効性が認められる試験方法及び製剤の開発が順調に進まない場合には、同製品の事業化が進展せず、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、外科領域において血管塞栓材TDM-631の研究開発を行っております。しかしながら、いまだ研究開発段階であり、今後の研究開発が計画どおりに進む保証はなく、事業化が順調に進展しない場合には、当社グル―プの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。上記の歯槽骨再建材、粘膜隆起材、癒着防止材は、いずれも止血材と同じ配列(RADA16)の自己組織化ペプチド技術を基礎としているものです。そして、止血材については、既にヒトへの臨床試験を実施しており、実施した全97症例について因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されておりません。そのため、これらの製品についても、今後の臨床試験の結果、その有効性が認められれば、所轄官庁の承認または認可を受けられない可能性は低いものと思われます。しかしながら、当該技術自体の安全性に疑問が生じることとなった場合や、医薬品医療機器等法その他の関連法規に大きな変化が生じた場合には、これらの製品について承認または認可が取得できなくなり、当社グループの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。DDS領域においては、主に医薬品の研究開発を行っております。医薬品の場合には、医療機器と比べ臨床試験が多段階に設定されていることから、承認申請に至るまでのプロセスが長期に亘り、また、不確定な要素が多くなるため、当社グループの想定どおりに研究開発が進まない場合には、当社グループの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 H 研究開発活動に関する事項当社グループは、MITからライセンスされている自己組織化ペプチド技術に関する基本特許群(下記「②知的財産権・訴訟等に関するリスク」において定義する。)の上に応用技術を構築し、新しい医療製品を開発することを目指しております。提出日現在までに、当社グループは日米約100の研究機関と共同研究を実施し、心筋再生技術、肝細胞培養技術、膵島細胞培養/移植技術などの分野では特許出願またはその準備を行っており、その他多数の分野において論文発表が行われております。当社グループでは、現在の主要なパイプラインに続く次の事業化候補として、これらの応用技術から、(a)創傷治癒、心筋再生、軟骨/椎間板再生など細胞を用いない再生治療、(b)埋め込み型人工膵臓治療、体外型人工肝臓治療など細胞を用いるが体内埋植しない治療法、さらに(c)膵島移植治療、脊椎損傷治療など細胞を体内埋植する治療法、(d)BMPなどタンパク製剤やペプチド製剤、核酸などのDDSなど、新しいパイプラインが開発計画に組み込まれる可能性があると見込んでおります。これらの事業化候補については、現在は基礎研究段階であり事業計画に織り込まれておりませんが、事業化が順調に進展しない場合、将来の重要なアップサイドポテンシャルを失う可能性があります。 I 大規模災害等に関する事項当社グループは、グローバルで事業展開をしておりますが、地震、火山の噴火、津波等の大規模災害、COVID-19やその他感染病によるパンデミック、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、大規模災害を想定した訓練及び必要な対策を継続実施するとともに、当社の事業活動の継続や従業員の衛生・健康・安全の確保のために必要な対応を適時適切に行うこととしております。特に、現下のCOVID-19の感染状況に関しては、当社グループが事業を展開する各国の医療業界の影響を注視している会議において、事業の継続が危ぶまれる程の影響には至っておりませんが、万が一当社が事業を営む地域において甚大な影響がある場合は、必要な対応を図ってまいります。 ②知的財産権・訴訟等に関するリスクA 特許の取得状況等に関する事項当社グループは、下表に記載の自己組織化ペプチド技術にかかる物質特許及び当該物質特許を利用した基本的な用途特許(以下これらを併せて「基本特許群」という。)につき、当社子会社がMITより専用実施権(再許諾権付)の許諾を受け、当社が当社子会社より実施権の再許諾を受けており、また、当社グループにて特許出願しております。当社は、下記のMITを権利者とする自己組織化ペプチド特許(出願国:米国)について、自己組織化ペプチド応用技術に係るMIT出身の研究者により設立されたバイオベンチャー企業であるARCH Therapeutics, Inc.社との間で非独占的なサブライセンス契約を締結しておりました。しかしながら、米国ARCH Therapeutics, Inc.社の現在の事業展開の進展状況より、現時点において当社グループと競合するおそれは低いものと考えておりますが、将来的な競合の可能性は否定できません。さらに、ARCH Therapeutics, Inc.社は、止血材を用途とする一部の自己組織化ペプチド(主に当社も用いているRADA配列)に関する特許について、MITから独占的実施権の許諾を受けております。当社の専用実施権との間で調整が必要となる可能性がありますが、従前、ARCH Therapeutics, Inc.社からかかる権利に関して当社に対して働きかけ等があったことはありません。MITのライセンス方針は技術の広がりを目的としており、MITはライセンシー同士の争いは好まないため、当社は、かかる調整の必要が生じた場合には、MITから何等かの支援が得られるものと従前理解しており、現在もそのとおり理解しております。しかし、今般、かかる調整をMIT自ら行うことについて書面で確約することに消極的な姿勢が示されるようになったことから、今後、当社自らかかる調整を行う必要が生じる可能性があります。基本特許群は、自己組織化を起こしハイドロゲルを形成する主なペプチド群をカバーしており、国、地域によりばらつきはあるものの、日本においては既に登録済みとなっております。しかしながら、基本特許群のうち、現在登録に至っていないものについては、最終的に登録に至らない可能性があり、その場合には当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。また、当社グループの事業を包含するバイオマテリアル関連産業においては、日々研究開発活動が繰り広げられており、当社グループの技術を超える優れた技術が開発されることにより、基本特許群が淘汰される可能性は否定できません。また、当社グループは基本特許群を用いて多数の研究機関と応用技術にかかる共同研究を行っており、主要なパイプラインに関するもの以外についても既に複数の用途特許について共同出願しておりますが、すべての特許について登録に至るとは限りません。これらの特許が成立しなかった場合、当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。 B 訴訟等に関する事項当社グループは、自己組織化ペプチド技術を用いた製品開発を行う限りにおいて、当社グループに対して上記のARCH Therapeutics, Inc.社のMITの特許由来の権利に関連する事例以外は、第三者の特許権等の知的財産権侵害を理由とする訴訟が提起される可能性は極めて低いと考えております。また、当社グループは第三者の知的財産権に関する調査を随時行っており、提出日現在において、当社グループと第三者との間で訴訟が発生したという事実もありません。しかし、当社グループは、今後多岐に渡る事業展開を考えていることから、かかる知的財産権侵害の問題を完全に回避できない可能性があります。将来、当社グループの事業活動が第三者の知的財産権を侵害しているとして損害賠償請求等の訴訟を提起された場合には、解決に多大な時間及び経費を要するおそれがあり、当社グループの事業戦略、財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、知的財産権以外にも事業活動に付随するその他の訴訟を提起される可能性があり、訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において結果として当社グループの責任が否定されたとしても、知的財産権侵害に基づく損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼に影響が生じ事業活動に影響を与え、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 <基本特許群に係る特許権の状況>製品・パイプライン対象発明の名称登録番号出願国権利者物質特許吸収性局所止血材粘膜隆起材血管塞栓材歯槽骨再建材創傷治癒材PuraMatrix高純度ペプチド組成物 第5730828号第5255274号日本(登録)3-D Matrix, Inc.WO 06/014570米国(出願中)EP 3031466欧州(登録)CA 2572964カナダ(登録)組織閉塞剤 第5922749号第6200997号第6492137号日本(登録)当社US 10576123US 10596225米国(登録)EP 2345433EP 3238749欧州(登録)用途特許PuraMatrix自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法US 7449180米国(登録)MITEP 1367961CA 2344954欧州(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 7713923米国(登録)MITUS 8901084米国(登録)第5057781号日本(登録)EP 1636250 欧州(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド神経再生法US 7846891米国(登録)MIT PuraMatrix自己組織化ペプチド3次元細胞培養第5057629号日本(登録)MITCA 2344954カナダ(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド心筋組織再生法 EP 2089047欧州(登録)3-D Matrix, Inc.第5558104号第5903068号日本(登録)US 9012404米国(登録) 製品・パイプライン対象発明の名称登録番号出願国権利者PuraMatrix自己組織化ペプチド細胞培養法及び細胞培養物第5263756号日本(登録)岡山大学、当社US 8647867米国(登録)US 8697438米国(登録)創傷治癒再建材 PuraMatrix自己組織化ペプチド創傷治癒・皮膚再建材第5497451号日本(登録)当社EP 2229960欧州(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチドトランスフェクション剤EP 2322608欧州(登録)日本医科大学、当社第5606318号日本(登録)US 9133484米国(登録)PuraMatrix DDS自己組織化ペプチド界面活性剤様ペプチド ナノ構造US 7179784US 7671258米国(登録)MITPuraMatrixDDSがん幹細胞の治療、予防及び診断のための方法及び組成物第5891173号第6262707号日本(登録)国立がん研究センター、 当社US 10337012米国(登録)EP 2606909欧州(登録)PuraMatrixDDSマイクロRNAによる骨肉腫の診断方法US 9322016米国(登録)国立がん研究センター、 当社第6153932号日本(登録)EP 2753692欧州(登録) ③経営成績、財務状況等に関するリスクA 業績の推移に関する事項当社は、日本における止血材に関し、扶桑薬品工業株式会社と独占販売権許諾契約を締結し、その製品開発においては製造販売承認申請を一旦取下げましたが、再度製造販売承認申請を行い、2020年7月16日付で製造販売承認を取得しております。一方で、独占販売権許諾契約に関しては扶桑薬品工業株式会社より2020年7月10日付で契約解除通知を受領している状況であり、現在まで、日本における製品の売上による事業収益は計上しておりません。現在までの事業収益は、主に上記を含む過去に締結した販売提携契約に基づく収益及び海外での止血材の製品売上及び販売提携に基づく収益であり、また、2012年4月期を除き研究開発活動に伴う費用計上が事業収益を上回り、営業損失、経常損失、当期純損失を計上しております。このため、過年度の財務経営指標は、当社の期間業績比較及び将来の業績を予測する材料としては不十分な面があります。 B マイナスの利益剰余金を計上していることに関する事項当社グループは研究開発型企業であり、医療製品が販売されるまでには研究開発費用が先行して計上されることとなります。そのため、第16期連結会計年度末においてマイナスの利益剰余金を計上しております。現時点における当社グループの開発製品は医療製品の中でも医療機器として製造承認の取得を目指しており、医薬品と比べて開発に要する費用と期間は格段に少なくなることを想定しております。計画どおりに研究開発を推進することにより、早期の利益確保を目指しております。しかしながら将来において、事業計画どおりに進展せず、当期純利益を獲得できない可能性及び利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。 C 重要事象等に関する事項当社グループは研究開発費用が先行して計上されることから、継続して営業損失及びキャッシュ・フローのマイナスを計上しております。これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しておりますが、当該状況を解消又は改善するための対応策を講じておりますが、継続企業の前提に重要な不確実性は存在するものと判断しております。当該状況を解消又は改善するための対応策は、「⑥継続企業の前提に関する重要事象等」に記載しております。 D 税務上の繰越欠損金に関する事項当社グループには、提出日現在において多額の税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため繰越欠損金の期限が切れた場合には、課税所得の控除が受けられなくなります。そうした場合、通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 E 資金繰りに関する事項当社グループは研究開発型企業であり、今後もパイプラインの開発費用が先行して発生します。事業提携やライセンスアウト等の契約の獲得、多様な資金調達等による資金確保に努めますが、事業計画どおりに進展しない場合には資金不足となり、事業継続に重大な影響を与える可能性があります。 F 配当政策に関する事項当社グループは、当期純損失を計上しており、利益配当は実施しておりません。また、第16期連結会計年度末においても、3,096,159千円の当期純損失を計上しており、累積損失が処理された段階において財政状態及び経営成績を勘案しつつ利益配当についての方針を検討する所存であります。 ④組織に関するリスクA 業歴が浅いことに関する事項当社は2004年5月に設立された社歴が浅い会社であり、期間業績比較を行うには十分な財務数値が得られません。また研究開発型企業であり、2015年4月期に止血材の海外での販売を開始しましたが、事業ステージはいまだ先行投資の段階にあります。このため、事業の特性を踏まえると、過年度の経営成績だけでは、今後の業績を予想する材料としては不十分な面があります。 B 小規模組織に関する事項当社グループは2020年4月末日現在、親会社で取締役4名、監査役3名、従業員13名の計20名体制、子会社で取締役7名(内2名は親会社役員が兼務)、従業員52名の計59名体制の小規模組織であります。当社グループ では、業務遂行体制の充実に努めておりますが、小規模組織であり、内部管理体制も規模に応じたものとなっております。当社グループでは、今後の事業拡大に向け組織体制の一層の充実を図ってまいりますが、適切な組織体制の構築ができない場合には、経営効率に影響を及ぼす可能性があります。一方、急激な規模拡大は固定費の増加につながり、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C 特定の人物への依存に関する事項当社グループの事業推進者は、当社代表取締役である岡田淳であります。前代表取締役より経営戦略、開発戦略の決定、事業計画の策定、管理業務における責任を承継しており、グループの経営推進者として大きな影響力を有しております。このため、当社グループでは過度に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っておりますが、当面は依存度が高い状態で推移すると見込まれます。そのため、代表取締役が何らかの理由で業務を継続することが困難になった場合には、事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 D 人材の確保及び育成に関する事項当社グループの競争力の核は研究開発力、事業企画力にあるため、専門性の高い研究者等の人材の確保が不可欠であり、事業拡大を支えるために営業、製造、内部管理等の専門人材も必要となってきております。当社グループでは、優秀な人材の確保及び社内人材の育成に努めておりますが、人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合には、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤その他A 調達資金の使途に関する事項当社は、増資等による調達資金の使途については、当初の方針通り研究開発資金に充当しておりますが、環境変化による予測不可能な技術革新や研究開発活動の長期化など投資効果をあげられる保証はありません。このような場合、投資家の期待している収益に結び付かない可能性があります。 B 新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関する事項当社はストック・オプション制度を採用しております。既に発行されたストック・オプションには、旧商法第280条ノ20及び第280条ノ21の規定に基づき新株予約権を付与する方式により株主総会にて決議されたもの、会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき新株予約権を付与する方式により株主総会にて決議されたものがあります。また、主に止血材とその他パイプラインの原材料調達、製品原価改善とその開発に関する費用、並びに事業運営費用等として投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インク(以下「ハイツ」という。)に対して第2回及び第3回無担保転換社債型新株予約権付社債並びに第24回新株予約権(行使価額修正条項付)及び第25回新株予約権を発行しております。これらの発行済みの新株予約権が全て行使された場合の潜在株式数は、合計8,695,779株(2020年6月末日現在)となり、この潜在株式数と当社の発行済株式数38,190,869株(2020年6月末日現在)とを合計した数46,886,648株に対し18.5%を占めております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、当社は今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブを継続して実施していくことを検討しております。従って、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値はさらに希薄化する可能性があります。 C 為替に関する事項当社グループの取引のうち、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の製造委託および海外での製品販売については、主に外貨建での決済が行われておりますが、当社グループにおいては特段の為替リスクヘッジは行っておりません。そのため、予想以上に為替相場の変動が生じた場合には、当社グループの業績はその影響を受ける可能性があります。 ⑥継続企業の前提に関する重要事象等「2 事業等のリスク ③経営成績、財務状況等に関するリスク C重要事象等に関する事項」に記載のとおり、当社グループは研究開発費用が先行して計上されることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しております。今後、当社グループは当該状況をいち早く解消し、経営基盤の安定化を実現するために以下の改善策に取り組んでまいります。 当社グループは医療製品事業においてグローバルに展開している吸収性局所止血材の製品販売による事業収益を計上し、主に欧米・アジア・南米地域における販売権許諾等の契約一時金やマイルストーンペイメント収入を獲得してまいります。また、親子会社間での研究開発において基礎研究の共有・効率化も進んでいることから、業務効率化による諸経費の節減等にも注力し販売費及び一般管理費の圧縮にも取り組むことで収益構造を改善し、重要事象等の解消に向け取り組んでまいります。さらに、当社グループの研究開発及び事業運営を進めるための十分な資金確保に向けて、2019年3月に米国においてバイオ業界への投資に多くの実績を有する投資ファンドのハイツに対し第三者割当による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行し、2019年4月に1,299,990千円を調達しております。併せて、第20回新株予約権(行使価額修正条項付)及び第21回新株予約権も発行し資金調達を実行し、その内第20回新株予約権の全数の行使が2019年8月16日に完了し、779,173千円を調達しております。また、第23回新株予約権の発行及び行使も2020年1月より行われ、2020年3月12日までに683,763千円を調達しましたが、COVID-19の影響により当社を含む上場企業の株式が全般的に暴落し、行使の進行が難しくなりました。これを受けて直ちに無担保転換社債型新株予約権付社債及び新株予約権の条件を見直し、新たに第2回及び第3回無担保転換社債型新株予約権付社債、第24回新株予約権及び第25回新株予約権を発行することで、当初のファイナンス条件を上回る契約を締結することができました。この結果、新株予約権の払込金等により319,304千円を2020年4月30日に、第24回新株予約権の行使により2020年6月末日までに1,913,380千円を調達することができております。今後も順調に行使が進むものと考えております。また、株式会社りそな銀行と借入コミットメントライン契約を締結しており安定的な事業資金の確保に取り組んでおります。今後も引き続き各金融機関からの資金調達、借入コミットメントライン契約の設定・拡大、リース等様々な資金調達を検討・実施し、継続的に財務基盤の強化に努めてまいります。
FY2019|12,959 文字
2 【事業等のリスク】以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループとしては、必ずしも事業展開上のリスク要因に値しないと考えられる事項についても、投資判断上、重要と考えられるものについては、投資者への積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、これらのリスクを認識した上で、その回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式への投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社グループに関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。なお、本文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。 ①医療製品事業に関するリスクA医薬品医療機器等法等の法的規制に関する事項医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」」という)は医薬品及び医療機器等の有効性及び安全性を確保することを目的としています。医薬品医療機器等法上、医療機器を製造・販売するためには、所管の都道府県知事より医療機器製造販売業許可を取得する必要があり、また、個別製品ごとに所轄官庁等の承認又は認証を得ることが必要となります。当社は、2010年8月18日に、東京都知事より第一種医療機器製造販売業許可を取得して(2015年7月に更新、有効期限2020年8月17日)、医療機器の研究開発を行い、製造・販売に向け事業活動を行っています。当社グループでは、医薬品医療機器等法その他の関連法規の遵守に努めており、事業の進捗に合わせて社内の体制の整備にも取り組んで参りました。しかしながら、第一種医療機器製造販売業許可については、当社に医薬品医療機器等法その他薬事に関する法令若しくはこれに基づく処分に違反する行為があったとき、又は当社若しくは当社の役員が医薬品医療機器等法第23条の2の2第3号の準用する同法第5条第3号に掲げる事由に該当するに至ったときには、当該許可が取り消される可能性があり(同法第75条第1項)、その場合、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。また当社は、先行パイプラインである本止血材について、2015年3月13日の製造販売承認申請の取下げ後、PMDAとの間で再度の臨床試験開始に向けた協議を継続しておりましたが、内視鏡的粘膜下層剥離術下の漏出性出血に対する止血効果等の有効性評価や安全性評価を含めた総合的判断を行うという治験計画を構築し、2017年4月11日に臨床試験を開始するための治験計画届をPMDAに提出し、2017年8月より臨床試験を実施しております。前回の製造販売承認申請に至る過程において、当社では本止血材について、PMDAのガイドラインに従ったGLP安全性試験を実施した後に、2010年1月よりヒトでの臨床試験を実施し、2011年4月までに実施された全97症例について、因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されませんでした。今後は、適切なプロトコルにしたがって臨床試験を進めていきますが、現時点で想定される止血効果の有効性を従来の止血法との間で認められない場合や、医薬品医療機器等法その他の関連法規に大きな変更が生じた場合等には、本止血材について日本における製造販売承認が取得できなくなり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。また、本止血材について日本における製造販売承認が得られたとしても、本止血材が、その申請に係る効能、効果若しくは性能を有すると認められないとき等は当該承認が取り消されることとなり(医薬品医療機器等法第74条の2第1項)、また、当社が同法74条の2第3項に掲げる事由に該当する場合には、当該承認が取り消される可能性があります。かかる製造販売承認の取消がなされた場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。 B収益の不確実性に関する事項止血材は外科手術において幅広く使用され、手術件数や適応症例数も安定的に推移しており、本止血材については製品化後に安定した需要が見込まれます。また、医薬品医療機器等法により生物由来製品の安全管理が厳しくなったことから、人工合成物であり安全性が高い本止血材は、既存製品と十分差別化できるものと考えております。しかしながら、現在、日本においては治験計画届を提出し、新たな臨床試験を開始する前の段階であり、今後、想定する止血効果が新たな臨床試験で認められないため製造販売承認を取得できない場合や、製造販売承認が得られたとしても本止血材について保険収載が否定されたり、保険収載価格が想定価格と乖離が生じる場合があり得ます。また、本止血材は、欧州、アジア・オセアニア・南米地域において製品販売を開始しておりますが、各地域での法的規制その他の関連法規に大きな変更が生じた場合に、本止血材の販売実施ができなくなる可能性があることは否定できません。さらに、韓国においても製品登録承認申請を行っておりますが、同国での法的規制その他の関連法規に大きな変更が生じた場合や、審査の結果として、適応手術領域より狭い範囲でしか承認を取得できなかったり、同製品の有効性・安全性が認められず、承認が取得できない可能性があることは否定できません。これらの事象が生じた場合には、当社グループの販売計画に影響を与える可能性があり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C特定の契約先からの事業収益への依存に関する事項当社グループの事業収益は、本止血材のグローバルな製品販売と契約一時金等を中心としておりますが、日本においては扶桑薬品工業株式会社への依存度が高くなっております。そのため、扶桑薬品工業株式会社との契約が解除その他の理由で終了した場合や、何らかの理由により同契約で予定されている収益が得られなくなった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼすこととなります。また、安定的製品売上まで当社グループの日本における主な事業収益は、本止血材に関する契約一時金・マイルストーンペイメントであります。そのため、仮に本止血材の製造販売承認や保険収載が取得できなかったり、計画通りに進展しなかった場合には、同収益が獲得できず、または獲得が遅れることとなり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 D重要な契約に関する事項当社グループの事業展開上、重要な契約が解除された場合、不利な契約改定が行われた場合や契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 E製造・販売・在庫に関する事項当社グループは、伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社との間で業務提携契約を締結し、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の調達先や、製剤の業務委託先の選定、販売提携先の選定に関し業務提携を行っています。当社グループは、主要原材料であるペプチドを十分な品質を担保して調達すべく、複数社に対し製造を委託しています。また当社は、本止血材について、扶桑薬品工業株式会社との間で製造委受託契約を締結しておりますが、今後、複数の海外企業に対し、製造の委託をすることを予定しています。このように、当社グループでは、本止血材の製造販売承認取得後の製品供給体制を強化するため、バックアップ体制の構築に取り組んでおりますが、想定外の事故なども含め原材料の供給や委託製造に遅れが生じる事態になった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。また、製品販売が計画通りに進まず、過剰な原材料を保有することになった場合には、製品販売の機会損失や原材料等の評価損計上など当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。また、日本における本止血材の販売については、扶桑薬品工業株式会社との間で独占販売権許諾契約を締結しております。同社との契約においては、同社に最低購入義務が課せられておりますが、何らかの理由で同社が同義務を果たさない場合、当社グループの販売計画に影響を与える可能性があり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 F製造物責任に関する事項医療製品の設計、開発、製造及び販売には、製造物責任賠償のリスクが内在しております。当社グループにおいては、製品の基礎となる自己組織化ペプチド技術を利用した本止血材について、ヒトでの臨床試験を実施済みであり、実施した全97症例において、因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されておりません。また、当社グループは欧州及びアジア・オセアニア地域において本止血材の販売を開始しており、同製品は規制当局の基準に基づく当社グループの品質管理基準にしたがって製造販売されております。しかしながら、今後、本止血材を含む当社グループが開発した医療製品が患者の健康被害を引き起こす可能性は否定できず、また、治験、製造、販売において不適当な点が発見された場合には、当社グループが製造物責任を負う可能性があることは否定できません。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において結果として当社グループの過失が否定されたとしても、製造物責任に基づく損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 G止血材以外の医療製品に関する事項当社グループでは、歯槽骨再建材について、当社子会社が2011年7月にFDAからIDEの承認を得て、米国において2012年2月に臨床試験を開始しております。しかしながら、臨床試験の結果、同製品の有効性・安全性が認められなかった場合には、同製品の製造販売を実施することができず、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。粘膜隆起材については、当社が2014年12月より臨床試験を開始しておりましたが、臨床試験症例において、前臨床試験の結果より想定した有効性に対して十分な結果が得られない傾向にあることから、試験方法及び製剤の開発等を検討するために、臨床試験を自主的に一時中断しております。今後、十分な有効性が認められる試験方法及び製剤の開発が順調に進まない場合には、同製品の事業化が進展せず、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、外科領域において血管塞栓材TDM-631の研究開発を行っております。しかしながら、いまだ研究開発段階であり、今後の研究開発が計画どおりに進む保証はなく、事業化が順調に進展しない場合には、当社グル―プの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。上記の歯槽骨再建材、粘膜隆起材、血管塞栓材は、いずれも本止血材と同じ配列(RADA16)の自己組織化ペプチド技術を基礎としているものです。そして、本止血材については、既にヒトへの臨床試験を実施しており、また現在まで数万本がグローバルに使用されておりますが、現在までのところ本製品と因果関係のある重篤な有害事象の発生は報告されておりません。そのため、これらの製品についても、今後の臨床試験の結果、その有効性が認められれば、所轄官庁の承認または認可を受けられない可能性は低いものと思われます。しかしながら、当該技術自体の安全性に疑問が生じることとなった場合や、医薬品医療機器等法その他の関連法規に大きな変化が生じた場合には、これらの製品について承認または認可が取得できなくなり、当社グループの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。DDS領域においては、主に医薬品の研究開発を行っております。医薬品の場合には、医療機器と比べ臨床試験が多段階に設定されていることから、承認申請に至るまでのプロセスが長期に亘り、また、不確定な要素が多くなるため、当社グループの想定どおりに研究開発が進まない場合には、当社グループの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 H研究開発活動に関する事項当社グループは、マサチューセッツ工科大学(以下「MIT」という。)からライセンスされている自己組織化ペプチド技術に関する基本特許群(下記「②知的財産権・訴訟等に関するリスク」において定義する。)の上に応用技術を構築し、新しい医療製品を開発することを目指しております。提出日現在までに、当社グループは日米約100の研究機関と共同研究を実施し、心筋再生技術、肝細胞培養技術、膵島細胞培養/移植技術などの分野では特許出願またはその準備を行っており、その他多数の分野において論文発表が行われております。当社グループでは、現在の主要なパイプラインに続く次の事業化候補として、これらの応用技術から、(a)創傷治癒、心筋再生、軟骨/椎間板再生など細胞を用いない再生治療、(b)埋め込み型人工膵臓治療、体外型人工肝臓治療など細胞を用いるが体内埋植しない治療法、さらに(c)膵島移植治療、脊椎損傷治療など細胞を体内埋植する治療法、(d)BMPなどタンパク製剤やペプチド製剤、核酸などのDDSなど、新しいパイプラインが開発計画に組み込まれる可能性があると見込んでおります。これらの事業化候補については、現在は基礎研究段階であり事業計画に織り込まれておりませんが、事業化が順調に進展しない場合、将来の重要なアップサイドポテンシャルを失う可能性があります。 ②知的財産権・訴訟等に関するリスクA特許の取得状況等に関する事項当社グループは、下表に記載の自己組織化ペプチド技術にかかる物質特許及び当該物質特許を利用した基本的な用途特許(以下これらを併せて「基本特許群」という。)につき、当社子会社がMITより専用実施権(再許諾権付)の許諾を受け、当社が当社子会社より実施権の再許諾を受けており、また当社グループにて特許出願しております当社は、下記のMITを権利者とする自己組織化ペプチド特許(出願国:米国)について、自己組織化ペプチド応用技術に係るMIT出身の研究者により設立されたバイオベンチャー企業であるARCH Therapeutics, Inc.社と、非独占的なサブライセンス契約を締結しておりました。しかしながら、米国ARCH Therapeutics, Inc.社現在の事業展開の進展状況より、現時点において当社グループと競合するおそれは低いものと考えておりますが、将来的な競合の可能性は否定できません。基本特許群は自己組織化を起こしハイドロゲルを形成する主なペプチド群をカバーしており、国、地域によりばらつきはあるものの、日本においては既に登録済みとなっております。しかしながら、基本特許群のうち、現在登録に至っていないものについては、最終的に登録に至らない可能性があり、その場合には当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。また、当社グループの事業を包含するバイオマテリアル関連産業においては、日々研究開発活動が繰り広げられており、当社グループの技術を超える優れた技術が開発されることにより、基本特許群が淘汰される可能性は否定できません。また、当社グループは基本特許群を用いて多数の研究機関と応用技術にかかる共同研究を行っており、主要なパイプラインに関するもの以外についても既に複数の用途特許について共同出願しておりますが、すべての特許について登録に至るとは限りません。これらの特許が成立しなかった場合、当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。 B訴訟等に関する事項当社グループは、自己組織化ペプチド技術を用いた製品開発を行う限りにおいて、第三者の特許権等の知的財産権を侵害する可能性は極めて低いと考えております。また、当社グループは第三者の知的財産権に関する調査を随時行っており、提出日現在において、当社グループの事業活動が第三者の知的財産権に抵触している事実はなく、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実もありません。しかし、当社グループは、今後多岐に渡る事業展開を考えていることから、かかる知的財産権侵害の問題を完全に回避できない可能性があります。将来、当社グループの事業活動が第三者の知的財産権を侵害しているとして損害賠償請求等の訴訟を提起された場合には、解決に多大な時間及び経費を要するおそれがあり、当社グループの事業戦略、財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、知的財産権以外にも事業活動に付随するその他の訴訟を提起される可能性があり、訴訟等の内容および結果によっては、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において結果として当社グループの責任が否定されたとしても、知的財産権侵害に基づく損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼に影響が生じ事業活動に影響を与え、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 <基本特許群に係る特許権の状況>製品・パイプライン対象発明の名称登録番号出願国権利者物質特許吸収性局所止血材粘膜隆起材血管塞栓材歯槽骨再建材創傷治癒材PuraMatrix高純度ペプチド組成物 第5730828号第5255274号日本(登録)3-D Matrix, Inc.WO 06/014570米国(出願中)EP 3031466欧州(登録)CA 2572964カナダ(登録)組織閉塞剤 第5922749号第6200997号日本(登録)当社 WO 10/041636米国(出願中)EP 2345433EP 3238749欧州(登録)用途特許歯槽骨再建材PuraMatrix自己組織化ペプチド細胞培養法US 5955343米国(登録)MITPuraMatrix自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法US 7449180米国(登録)MITEP 1367961欧州(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 7713923米国(登録)MITUS 8901084米国(登録)EP 1636250 欧州(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド神経再生法US 7846891米国(登録)MIT PuraMatrix自己組織化ペプチド3次元細胞培養第5057629号日本(登録)MITCA 2344954カナダ(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド修飾ペプチド細胞培養法第5057781号日本(登録)MITPuraMatrix自己組織化ペプチド心筋組織再生法 EP 2089047欧州(登録)3-D Matrix, Inc.第5558104号第5903068号日本(登録)US 9012404米国(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド細胞培養法及び細胞培養物第5263756号日本(登録)岡山大学、当社US 8647867米国(登録)US 8697438米国(登録)創傷治癒再建材 PuraMatrix自己組織化ペプチド創傷治癒・皮膚再建材第5497451日本(登録)当社EP 2229960欧州(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチドトランスフェクション剤EP 2322608欧州(登録)日本医科大学、当社第5606318号日本(登録)US 9133484米国(登録)PuraMatrix DDS自己組織化ペプチド界面活性剤様ペプチド ナノ構造US 7179784US 7671258米国(登録)MITPuraMatrixDDSがん幹細胞の治療、予防および診断のための方法および組成物第5891173号第6262707号日本(登録)国立がん研究センター、当社EP 2606909欧州(登録)PuraMatrixDDSマイクロRNAによる骨肉腫の診断方法US 9322016米国(登録)国立がん研究センター、当社第6153932号日本(登録) ③経営成績、財務状況等に関するリスクA業績の推移に関する事項当社は、日本における本止血材に関し、扶桑薬品工業株式会社と独占販売権許諾契約を締結し、その製品開発においては製造販売承認申請を一旦取下げましたが、新たに臨床試験を実施中であり、再度製造販売承認申請を行う計画であります。そのため日本における製品の売上による事業収益は計上しておりません。現在までの事業収益は、主に上記を含む過去に締結した販売提携契約に基づく収益および海外での本止血材の製品売上および販売提携に基づく収益であり、また、2012年4月期を除き研究開発活動に伴う費用計上が収益を上回り、営業損失、経常損失、当期純損失を計上しております。このため、過年度の財務経営指標は、当社の期間業績比較及び将来の業績を予測する材料としては不十分な面があります。 Bマイナスの利益剰余金を計上していることに関する事項当社グループは研究開発型企業であり、医療製品が販売されるまでには研究開発費用が先行して計上されることとなります。そのため、第15期連結会計年度末においてマイナスの利益剰余金を計上しております。現時点における当社グループの開発製品は医療製品の中でも医療機器として製造承認の取得を目指しており、医薬品と比べて開発に要する費用と期間は格段に少なくなることを想定しております。計画どおりに研究開発を推進することにより、早期の利益確保を目指しております。しかしながら将来において、事業計画どおりに進展せず、当期純利益を獲得できない可能性及び利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。 C重要事象等に関する事項当社グループの医療製品事業は研究開発費用が先行して計上されることから、継続して営業損失及びキャッシュ・フローのマイナスを計上しております。そのため、主力製品である吸収性局所止血材の製品販売をグローバルに展開し、主に欧州とアジア/オセアニアで売上収入を計上するとともに、販売権許諾による契約一時金やマイルストーンペイメント収入の獲得を目指しましたが、研究開発費用等をカバーする収益の計上には至っておりません。また当連結会計年度末において、現金および預金1,802百万円を有しており、加えて更なる資金確保に向けて投資ファンドに対し第20回新株予約権(行使価額修正条項付)及び第21回新株予約権を発行し資金調達も進めておりますが、当該資金調達は新株予約権によるものであり、行使や調達額は株価の影響を受けることから、株価下落などにより当初想定した資金調達額を確保できないリスクがあります。これらの事象から研究開発及び事業運営のための十分な資金が確保できない可能性があり、不確実性があるため、現時点において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。当該状況を解消又は改善するための対応策は、「⑥継続企業の前提に関する重要事象等」に記載しております。 D税務上の繰越欠損金に関する事項当社グループには、提出日現在において多額の税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため繰越欠損金の期限が切れた場合には、課税所得の控除が受けられなくなります。そうした場合、通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 E資金繰りに関する事項当社グループは研究開発型企業であり、今後もパイプラインの開発費用が先行して発生します。事業提携やライセンスアウト等の契約の獲得、多様な資金調達等による資金確保に努めますが、事業計画どおりに進展しない場合には資金不足となり、事業継続に重大な影響を与える可能性があります。 F配当政策に関する事項当社グループは、当期純損失を計上しており、利益配当は実施しておりません。また、第15期連結会計年度末においても、2,554,559千円の当期純損失を計上しており、累積損失が処理された段階において財政状態及び経営成績を勘案しつつ利益配当についての方針を検討する所存であります。 ④組織に関するリスクA業歴が浅いことに関する事項当社は2004年5月に設立された社歴が浅い会社であり、期間業績比較を行うには十分な財務数値が得られま せん。また研究開発型企業であり、2015年4月期に本止血材の海外での販売を開始しましたが、事業ステージ はいまだ先行投資の段階にあります。このため、事業の特性を踏まえると、過年度の経営成績だけでは、今後の 業績を予想する材料としては不十分な面があります。 B小規模組織に関する事項当社グループは2019年4月末日現在、親会社で取締役4名、監査役3名、従業員12名の計19名体制、子会社 で取締役7名(内2名は親会社役員が兼務)、従業員43名の計50名体制の小規模組織であります。当社グループでは、業務遂行体制の充実に努めておりますが、小規模組織であり、内部管理体制も規模に応じたものとなっております。当社グループでは、今後の事業拡大に向け組織体制の一層の充実を図ってまいりますが、適切な組織体制の構築ができない場合には、経営効率に影響を及ぼす可能性があります。一方、急激な規模拡大は固定費の増加につながり、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C特定の人物への依存に関する事項当社グループの事業推進者は、当社代表取締役である岡田淳であります。前代表取締役より経営戦略、開発戦略の決定、事業計画の策定、管理業務における責任を承継しており、グループの経営推進者として大きな影響力を有しております。このため、当社グループでは過度に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っておりますが、当面は依存度が高い状態で推移すると見込まれます。そのため、代表取締役が何らかの理由で業務を継続することが困難になった場合には、事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 D人材の確保及び育成に関する事項当社グループの競争力の核は研究開発力、事業企画力にあるため、専門性の高い研究者等の人材の確保が不可欠であり、事業拡大を支えるために営業、製造、内部管理等の専門人材も必要となってきております。当社グループでは、優秀な人材の確保及び社内人材の育成に努めておりますが、人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合には、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤その他A調達資金の使途に関する事項当社は、増資等による調達資金の使途については、当初の方針通り研究開発資金に充当しておりますが、環境変化による予測不可能な技術革新や研究開発活動の長期化など投資効果をあげられる保証はありません。このような場合、投資家の期待している収益に結び付かない可能性があります。 B新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関する事項当社はストック・オプション制度を採用しております。既に発行されたストック・オプションには、旧商法第280条ノ20及び第280条ノ21の規定に基づき新株予約権を付与する方式により株主総会にて決議されたもの、会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき新株予約権を付与する方式により株主総会にて決議されたものがあります。これらの発行済みの新株予約権が全て行使された場合の潜在株式数は、合計582,800株(2019年4月末日現在)となり、この潜在株式数と当社の発行済株式数28,053,100株(2019年4月末日現在)とを合計した数28,635,900株に対し2.04%を占めております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また当社は今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブを継続して実施していくことを検討しております。従いまして、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値はさらに希薄化する可能性があります。 C為替に関する事項当社グループの取引のうち、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の製造委託および海外での製品販売については、主に外貨建での決済が行われておりますが、当社グループにおいては特段の為替リスクヘッジは行っておりません。そのため、予想以上に為替相場の変動が生じた場合には、当社グループの業績はその影響を受ける可能性があります。 ⑥継続企業の前提に関する重要事象等「2 事業等のリスク ③経営成績、財務状況等に関するリスク C重要事象等に関する事項」に記載のとおり、当社グループは研究開発費用が先行して計上されることから、継続して営業損失及びキャッシュ・フローのマイナスを計上しております。これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しております。 今後、当社グループは当該状況をいち早く解消し、経営基盤の安定化を実現するために以下の改善策に取り組んでまいります。事業収益の確保に向け当社グループは、主力製品である吸収性局所止血材について欧州では2019年6月に欧州全域をカバーする販売提携を実施しております。販売パートナーの顧客基盤も活用し、より広範囲により多くの医療施設をターゲットに製品販売の拡大を進めてまいります。また吸収性局所止血材と粘膜隆起材に関しては、国内において販売権許諾契約を締結済であり、製造販売承認の取得に伴いマイルストーンペイメントの獲得が見込めるため、更なる開発進展に取り組んでまいります。また欧州で吸収性局所止血材や次世代止血材、米国で癒着防止材等の各パイプラインの販売権許諾やライセンス付与を進め、契約一時金や共同研究費の確保を目指してまいります。一方で、グループ全体でコスト削減を進め、製品の原価低減に努めるとともに、研究開発に関してはグループ間で基礎研究の共有や効率化を推進し、一般管理費においても業務効率化による諸経費の削減等にも注力することで費用を圧縮し、収益構造の改善に努めてまいります。また、当社グループの研究開発及び事業運営を進めるための十分な資金確保に向けて、2019年3月に米国においてバイオ業界への投資に多くの実績を有する投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インク対し第三者割当による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行し2019年4月に1,299百万円を調達しております。また第20回新株予約権(行使価額修正条項付)及び第21回新株予約権も発行し資金調達を実行し、2019年6月末までにその一部について行使が実行され、413百万円を調達しております。しかしながら、今後の新株予約権の行使に関しては株価下落などにより当初想定した資金調達額が確保できないリスクもあります。そのため、当該リスクに備えるためにも新たな資金調達手段の検討を進めてまいります。
FY2018|12,156 文字
2 【事業等のリスク】以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループとしては、必ずしも事業展開上のリスク要因に値しないと考えられる事項についても、投資判断上、重要と考えられるものについては、投資者への積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、これらのリスクを認識した上で、その回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式への投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社グループに関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。なお、本文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。 ①医療製品事業に関するリスクA医薬品医療機器等法等の法的規制に関する事項医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」」という)は医薬品及び医療機器等の有効性及び安全性を確保することを目的としています。医薬品医療機器等法上、医療機器を製造・販売するためには、所管の都道府県知事より医療機器製造販売業許可を取得する必要があり、また、個別製品ごとに所轄官庁等の承認又は認証を得ることが必要となります。当社は、平成22年8月18日に、東京都知事より第一種医療機器製造販売業許可を取得して(平成27年7月に更新、有効期限平成32年8月17日)、医療機器の研究開発を行い、製造・販売に向け事業活動を行っています。当社グループでは、医薬品医療機器等法その他の関連法規の遵守に努めており、事業の進捗に合わせて社内の体制の整備にも取り組んで参りました。しかしながら、第一種医療機器製造販売業許可については、当社に医薬品医療機器等法その他薬事に関する法令若しくはこれに基づく処分に違反する行為があったとき、又は当社若しくは当社の役員が医薬品医療機器等法第23条の2の2第3号の準用する同法第5条第3号に掲げる事由に該当するに至ったときには、当該許可が取り消される可能性があり(同法第75条第1項)、その場合、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。また当社は、先行パイプラインである本止血材について、平成27年3月13日の製造販売承認申請の取下げ後、PMDAとの間で再度の臨床試験開始に向けた協議を継続しておりましたが、内視鏡的粘膜下層剥離術下の漏出性出血に対する止血効果等の有効性評価や安全性評価を含めた総合的判断を行うという治験計画を構築し、平成29年4月11日に臨床試験を開始するための治験計画届をPMDAに提出し、平成29年8月より臨床試験を実施しております。前回の製造販売承認申請に至る過程において、当社では本止血材について、PMDAのガイドラインに従ったGLP安全性試験を実施した後に、平成22年1月よりヒトでの臨床試験を実施し、平成23年4月までに実施された全97症例について、因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されませんでした。今後は、適切なプロトコルにしたがって臨床試験を進めていきますが、現時点で想定される止血効果の有効性を従来の止血法との間で認められない場合や、医薬品医療機器等法その他の関連法規に大きな変更が生じた場合等には、本止血材について日本における製造販売承認が取得できなくなり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。また、本止血材について日本における製造販売承認が得られたとしても、本止血材が、その申請に係る効能、効果若しくは性能を有すると認められないとき等は当該承認が取り消されることとなり(医薬品医療機器等法第74条の2第1項)、また、当社が同法74条の2第3項に掲げる事由に該当する場合には、当該承認が取り消される可能性があります。かかる製造販売承認の取消がなされた場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。 B収益の不確実性に関する事項止血材は外科手術において幅広く使用され、手術件数や適応症例数も安定的に推移しており、本止血材については製品化後に安定した需要が見込まれます。また、医薬品医療機器等法により生物由来製品の安全管理が厳しくなったことから、人工合成物であり安全性が高い本止血材は、既存製品と十分差別化できるものと考えております。しかしながら、現在、日本においては治験計画届を提出し、新たな臨床試験を開始する前の段階であり、今後、想定する止血効果が新たな臨床試験で認められないため製造販売承認を取得できない場合や、製造販売承認が得られたとしても本止血材について保険収載が否定されたり、保険収載価格が想定価格と乖離が生じる場合があり得ます。また、本止血材は、欧州、アジア・オセアニア・南米地域において製品販売を開始しておりますが、各地域での法的規制その他の関連法規に大きな変更が生じた場合に、本止血材の販売実施ができなくなる可能性があることは否定できません。さらに、韓国においても製品登録承認申請を行っておりますが、同国での法的規制その他の関連法規に大きな変更が生じた場合や、審査の結果として、適応手術領域より狭い範囲でしか承認を取得できなかったり、同製品の有効性・安全性が認められず、承認が取得できない可能性があることは否定できません。これらの事象が生じた場合には、当社グループの販売計画に影響を与える可能性があり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C特定の契約先からの事業収益への依存に関する事項当社グループの事業収益は、本止血材のグローバルな製品販売と契約一時金等を中心としておりますが、日本においては扶桑薬品工業株式会社への依存度が高くなっております。そのため、扶桑薬品工業株式会社との契約が解除その他の理由で終了した場合や、何らかの理由により同契約で予定されている収益が得られなくなった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼすこととなります。また、安定的製品売上まで当社グループの日本における主な事業収益は、本止血材に関する契約一時金・マイルストーンペイメントであります。そのため、仮に本止血材の製造販売承認や保険収載が取得できなかったり、計画通りに進展しなかった場合には、同収益が獲得できず、または獲得が遅れることとなり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 D重要な契約に関する事項当社グループの事業展開上、重要な契約が解除された場合、不利な契約改定が行われた場合や契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 E製造・販売に関する事項当社グループは、伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社との間で業務提携契約を締結し、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の調達先や、製剤の業務委託先の選定、販売提携先の選定に関し業務提携を行っています。当社グループは、ペプチド原材料について、複数社に対し製造を委託しています。また当社は、本止血材について、扶桑薬品工業株式会社との間で製造委受託契約を締結しておりますが、今後、複数の海外企業に対し、製造の委託をすることを予定しています。このように、当社グループでは、本止血材の製造販売承認取得後の製品供給体制を強化するため、バックアップ体制の構築に取り組んでおりますが、想定外の事故なども含め原材料の供給や委託製造に遅れが生じる事態になった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。また、日本における本止血材の販売については、扶桑薬品工業株式会社との間で独占販売権許諾契約を締結しております。同社との契約においては、同社に最低購入義務が課せられておりますが、何らかの理由で同社が同義務を果たさない場合、当社グループの販売計画に影響を与える可能性があり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 F製造物責任に関する事項医療製品の設計、開発、製造及び販売には、製造物責任賠償のリスクが内在しております。当社グループにおいては、製品の基礎となる自己組織化ペプチド技術を利用した本止血材について、ヒトでの臨床試験を実施済みであり、実施した全97症例において、因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されておりません。また、当社グループは欧州及びアジア・オセアニア地域において本止血材の販売を開始しており、同製品は規制当局の基準に基づく当社グループの品質管理基準にしたがって製造販売されております。しかしながら、今後、本止血材を含む当社グループが開発した医療製品が患者の健康被害を引き起こす可能性は否定できず、また、治験、製造、販売において不適当な点が発見された場合には、当社グループが製造物責任を負う可能性があることは否定できません。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において結果として当社グループの過失が否定されたとしても、製造物責任に基づく損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 G止血材以外の医療製品に関する事項当社グループでは、歯槽骨再建材について、当社子会社が平成23年7月にFDAからIDEの承認を得て、米国において平成24年2月に臨床試験を開始しております。しかしながら、臨床試験の結果、同製品の有効性・安全性が認められなかった場合には、同製品の製造販売を実施することができず、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。粘膜隆起材については、当社が平成26年12月より臨床試験を開始しておりましたが、臨床試験症例において、前臨床試験の結果より想定した有効性に対して十分な結果が得られない傾向にあることから、試験方法及び製剤の開発等を検討するために、臨床試験を自主的に一時中断しております。今後、十分な有効性が認められる試験方法及び製剤の開発が順調に進まない場合には、同製品の事業化が進展せず、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、外科領域において血管塞栓材TDM-631の研究開発を行っております。しかしながら、いまだ研究開発段階であり、今後の研究開発が計画どおりに進む保証はなく、事業化が順調に進展しない場合には、当社グル―プの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。上記の歯槽骨再建材、粘膜隆起材、血管塞栓材は、いずれも本止血材と同じ配列(RADA16)の自己組織化ペプチド技術を基礎としているものです。そして、本止血材については、既にヒトへの臨床試験を実施しており、実施した全97症例について因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されておりません。そのため、これらの製品についても、今後の臨床試験の結果、その有効性が認められれば、所轄官庁の承認または認可を受けられない可能性は低いものと思われます。しかしながら、当該技術自体の安全性に疑問が生じることとなった場合や、医薬品医療機器等法その他の関連法規に大きな変化が生じた場合には、これらの製品について承認または認可が取得できなくなり、当社グループの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。DDS領域においては、主に医薬品の研究開発を行っております。医薬品の場合には、医療機器と比べ臨床試験が多段階に設定されていることから、承認申請に至るまでのプロセスが長期に亘り、また、不確定な要素が多くなるため、当社グループの想定どおりに研究開発が進まない場合には、当社グループの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 H研究開発活動に関する事項当社グループは、マサチューセッツ工科大学(以下「MIT」という。)からライセンスされている自己組織化ペプチド技術に関する基本特許群(下記「②知的財産権・訴訟等に関するリスク」において定義する。)の上に応用技術を構築し、新しい医療製品を開発することを目指しております。提出日現在までに、当社グループは日米約100の研究機関と共同研究を実施し、心筋再生技術、肝細胞培養技術、膵島細胞培養/移植技術などの分野では特許出願またはその準備を行っており、その他多数の分野において論文発表が行われております。当社グループでは、現在の主要なパイプラインに続く次の事業化候補として、これらの応用技術から、(a)創傷治癒、心筋再生、軟骨/椎間板再生など細胞を用いない再生治療、(b)埋め込み型人工膵臓治療、体外型人工肝臓治療など細胞を用いるが体内埋植しない治療法、さらに(c)膵島移植治療、脊椎損傷治療など細胞を体内埋植する治療法、(d)BMPなどタンパク製剤やペプチド製剤、核酸などのDDSなど、新しいパイプラインが開発計画に組み込まれる可能性があると見込んでおります。これらの事業化候補については、現在は基礎研究段階であり事業計画に織り込まれておりませんが、事業化が順調に進展しない場合、将来の重要なアップサイドポテンシャルを失う可能性があります。 ②知的財産権・訴訟等に関するリスクA特許の取得状況等に関する事項当社グループは、下表に記載の自己組織化ペプチド技術にかかる物質特許及び当該物質特許を利用した基本的な用途特許(以下これらを併せて「基本特許群」という。)につき、当社子会社がMITより専用実施権(再許諾権付)の許諾を受け、当社が当社子会社より実施権の再許諾を受けており、また当社グループにて特許出願しております当社は、下記のMITを権利者とする自己組織化ペプチド特許(出願国:米国)について、自己組織化ペプチド応用技術に係るMIT出身の研究者により設立されたバイオベンチャー企業であるARCH Therapeutics, Inc.社と、非独占的なサブライセンス契約を締結しておりました。しかしながら、米国ARCH Therapeutics, Inc.社現在の事業展開の進展状況より、現時点において当社グループと競合するおそれは低いものと考えておりますが、将来的な競合の可能性は否定できません。基本特許群は自己組織化を起こしハイドロゲルを形成する主なペプチド群をカバーしており、国、地域によりばらつきはあるものの、日本においては既に登録済みとなっております。しかしながら、基本特許群のうち、現在登録に至っていないものについては、最終的に登録に至らない可能性があり、その場合には当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。また、当社グループの事業を包含するバイオマテリアル関連産業においては、日々研究開発活動が繰り広げられており、当社グループの技術を超える優れた技術が開発されることにより、基本特許群が淘汰される可能性は否定できません。また、当社グループは基本特許群を用いて多数の研究機関と応用技術にかかる共同研究を行っており、主要なパイプラインに関するもの以外についても既に複数の用途特許について共同出願しておりますが、すべての特許について登録に至るとは限りません。これらの特許が成立しなかった場合、当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。 B訴訟等に関する事項当社グループは、自己組織化ペプチド技術を用いた製品開発を行う限りにおいて、第三者の特許権等の知的財産権を侵害する可能性は極めて低いと考えております。また、当社グループは第三者の知的財産権に関する調査を随時行っており、提出日現在において、当社グループの事業活動が第三者の知的財産権に抵触している事実はなく、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実もありません。しかし、当社グループは、今後多岐に渡る事業展開を考えていることから、かかる知的財産権侵害の問題を完全に回避できない可能性があります。将来、当社グループの事業活動が第三者の知的財産権を侵害しているとして損害賠償請求等の訴訟を提起された場合には、解決に多大な時間及び経費を要するおそれがあり、当社グループの事業戦略、財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、知的財産権以外にも事業活動に付随するその他の訴訟を提起される可能性があり、訴訟等の内容および結果によっては、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において結果として当社グループの責任が否定されたとしても、知的財産権侵害に基づく損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼に影響が生じ事業活動に影響を与え、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 <基本特許群に係る特許権の状況>製品・パイプライン対象発明の名称登録番号出願国権利者物質特許吸収性局所止血材粘膜隆起材血管塞栓材歯槽骨再建材創傷治癒材PuraMatrix高純度ペプチド組成物 第5730828号第5255274号日本(登録)3-D Matrix, Inc.WO 06/014570米国(出願中)欧州(出願中)組織閉塞剤 第5922749号日本(登録)当社 WO 10/041636米国(出願中)欧州(出願中)用途特許歯槽骨再建材PuraMatrix自己組織化ペプチド細胞培養法US 5955343米国(登録)MITPuraMatrix自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法US 7449180米国(登録)MITEP 1367961欧州(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 7713923米国(登録)MITUS 8901084米国(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド神経再生法US 7846891米国(登録)MIT PuraMatrix自己組織化ペプチド3次元細胞培養第5057629号日本(登録)MITCA 2344954カナダ(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド修飾ペプチド細胞培養法第5057781号日本(登録)MITPuraMatrix自己組織化ペプチド心筋組織再生法 EP 2089047欧州(登録)3-D Matrix, Inc.第5558104号第5903068号日本(登録)US 9012404米国(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド細胞培養法及び細胞培養物第5263756号日本(登録)岡山大学、当社US 8647867米国(登録)US 8697438米国(登録)創傷治癒再建材 PuraMatrix自己組織化ペプチド創傷治癒・皮膚再建材第5497451日本(登録)当社EP 2229960欧州(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチドトランスフェクション剤EP 2322608欧州(登録)日本医科大学、当社第5606318号日本(登録)US 9133484米国(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド界面活性剤様ペプチド ナノ構造US 7179784US 7671258米国(登録)MITPuraMatrixDDSがん幹細胞の治療、予防および診断のための方法および組成物第5891173号第6262707号日本(登録)国立がん研究センター、当社EP 2606909欧州(登録)PuraMatrixDDSマイクロRNAによる骨肉腫の診断方法US 9322016米国(登録)国立がん研究センター、当社 ③経営成績、財務状況等に関するリスクA業績の推移に関する事項当社は、日本における本止血材に関し、扶桑薬品工業株式会社と独占販売権許諾契約を締結し、その製品開発においては製造販売承認申請を一旦取下げましたが、新たに臨床試験を実施中であり、再度製造販売承認申請を行う計画であります。そのため日本における製品の売上による事業収益は計上しておりません。現在までの事業収益は、主に上記を含む過去に締結した販売提携契約に基づく収益および海外での本止血材の製品売上および販売提携に基づく収益であり、また、平成24年4月期を除き研究開発活動に伴う費用計上が収益を上回り、営業損失、経常損失、当期純損失を計上しております。このため、過年度の財務経営指標は、当社の期間業績比較及び将来の業績を予測する材料としては不十分な面があります。 Bマイナスの利益剰余金を計上していることに関する事項当社グループは研究開発型企業であり、医療製品が販売されるまでには研究開発費用が先行して計上されることとなります。そのため、第14期連結会計年度末においてマイナスの利益剰余金を計上しております。現時点における当社グループの開発製品は医療製品の中でも医療機器として製造承認の取得を目指しており、医薬品と比べて開発に要する費用と期間は格段に少なくなることを想定しております。計画どおりに研究開発を推進することにより、早期の利益確保を目指しております。しかしながら将来において、事業計画どおりに進展せず、当期純利益を獲得できない可能性及び利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。 C重要事象等に関する事項当社グループは研究開発費用が先行して計上されることから、継続して営業損失及びキャッシュ・フローのマイナスを計上しております。これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しておりますが、当該状況を解消又は改善するための対応策を講じることにより、継続企業の前提に重要な不確実性は認められないものと判断しております。当該状況を解消又は改善するための対応策は、「⑥継続企業の前提に関する重要事象等」に記載しております。 D税務上の繰越欠損金に関する事項当社グループには、提出日現在において多額の税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため繰越欠損金の期限が切れた場合には、課税所得の控除が受けられなくなります。そうした場合、通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 E資金繰りに関する事項当社グループは研究開発型企業であり、今後もパイプラインの開発費用が先行して発生します。事業提携やライセンスアウト等の契約の獲得、多様な資金調達等による資金確保に努めますが、事業計画どおりに進展しない場合には資金不足となり、事業継続に重大な影響を与える可能性があります。 F配当政策に関する事項当社グループは、創業から平成23年4月期までは当期純損失を計上しており、利益配当は実施しておりません。また、第14期連結会計年度末においても、1,866,217千円の当期純損失を計上しており、累積損失が処理された段階において財政状態及び経営成績を勘案しつつ利益配当についての方針を検討する所存であります。 ④組織に関するリスクA業歴が浅いことに関する事項当社は平成16年5月に設立された社歴が浅い会社であり、期間業績比較を行うには十分な財務数値が得られま せん。また研究開発型企業であり、平成27年4月期に本止血材の海外での販売を開始しましたが、事業ステージ はいまだ先行投資の段階にあります。このため、事業の特性を踏まえると、過年度の経営成績だけでは、今後の 業績を予想する材料としては不十分な面があります。 B小規模組織に関する事項当社グループは平成30年4月末日現在、親会社で取締役4名、監査役3名、従業員15名の計22名体制、子会社 で取締役6名(内2名は親会社役員が兼務)、従業員27名の計33名体制の小規模組織であります。当社グループ では、業務遂行体制の充実に努めておりますが、小規模組織であり、内部管理体制も規模に応じたものとなっております。当社グループでは、今後の事業拡大に向け組織体制の一層の充実を図ってまいりますが、適切な組織体制の構築ができない場合には、経営効率に影響を及ぼす可能性があります。一方、急激な規模拡大は固定費の増加につながり、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C特定の人物への依存に関する事項当社グループの事業推進者は、当社代表取締役である岡田淳であります。前代表取締役より経営戦略、開発戦略の決定、事業計画の策定、管理業務における責任を承継しており、グループの経営推進者として大きな影響力を有しております。このため、当社グループでは過度に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っておりますが、当面は依存度が高い状態で推移すると見込まれます。そのため、代表取締役が何らかの理由で業務を継続することが困難になった場合には、事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 D人材の確保及び育成に関する事項当社グループの競争力の核は研究開発力、事業企画力にあるため、専門性の高い研究者等の人材の確保が不可欠であり、事業拡大を支えるために営業、製造、内部管理等の専門人材も必要となってきております。当社グループでは、優秀な人材の確保及び社内人材の育成に努めておりますが、人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合には、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤その他A調達資金の使途に関する事項当社は、増資等による調達資金の使途については、当初の方針通り研究開発資金に充当しておりますが、環境変化による予測不可能な技術革新や研究開発活動の長期化など投資効果をあげられる保証はありません。このような場合、投資家の期待している収益に結び付かない可能性があります。 B新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関する事項当社はストック・オプション制度を採用しております。既に発行されたストック・オプションには、旧商法第280条ノ20及び第280条ノ21の規定に基づき新株予約権を付与する方式により株主総会にて決議されたもの、会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき新株予約権を付与する方式により株主総会にて決議されたものがあります。これらの発行済みの新株予約権が全て行使された場合の潜在株式数は、合計672,800株(平成30年5月末日現在)となり、この潜在株式数と当社の発行済株式数23,979,100株(平成30年4月末日現在)とを合計した数24,651,900株に対し2.7%を占めております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また当社は今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブを継続して実施していくことを検討しております。従いまして、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値はさらに希薄化する可能性があります。 C為替に関する事項当社グループの取引のうち、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の製造委託および海外での製品販売については、主に外貨建での決済が行われておりますが、当社グループにおいては特段の為替リスクヘッジは行っておりません。そのため、予想以上に為替相場の変動が生じた場合には、当社グループの業績はその影響を受ける可能性があります。 ⑥継続企業の前提に関する重要事象等「2 事業等のリスク ③経営成績、財務状況等に関するリスク C重要事象等に関する事項」に記載のとおり、当社グループは研究開発費用が先行して計上されることから、継続して営業損失及びキャッシュ・フローのマイナスを計上しております。これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しております。 当該重要事象等を解消又は改善するために、当社グループは医療製品事業においてグローバルに展開している吸収性局所止血材の製品販売による売上収入を計上し、主に欧米・アジア・南米地域における販売権許諾等の契約一時金やマイルストーンペイメント収入を獲得してまいります。また親子会社間での研究開発において基礎研究の共有・効率化も進んでいることから、業務効率化による諸経費の節減等にも注力し販売費及び一般管理費の圧縮にも取り組むことで収益構造を改善し、重要事象等の解消に向け取り組んでまいります。 また当社グループの研究開発及び事業活動を進めるに際しての事業資金を確保するために、平成29年4月に金融機関に対し行使価額修正条項付き第17回新株予約権(第三者割当)の発行決議し、平成29年11月に投資ファンドに対し第三者割当による資金調達を実行いたしました。更に平成30年6月28日に金融機関に対し行使価額修正条項付き第19回新株予約権(第三者割当)の発行を決議するなど、財務基盤の拡充に向けて新たな資金調達手段も実行しております。その他の機動的な資金調達手段として、株式会社三井住友銀行に加えて株式会社りそな銀行との間で借入コミットメントライン契約を締結しており、別途借入枠の設定も継続して更新しております。
FY2017|12,219 文字
4 【事業等のリスク】以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループとしては、必ずしも事業展開上のリスク要因に値しないと考えられる事項についても、投資判断上、重要と考えられるものについては、投資者への積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、これらのリスクを認識した上で、その回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式への投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社グループに関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。なお、本文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。 ①医療製品事業に関するリスクA医薬品医療機器等法等の法的規制に関する事項医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」」という)は医薬品及び医療機器等の有効性及び安全性を確保することを目的としています。医薬品医療機器等法上、医療機器を製造・販売するためには、所管の都道府県知事より医療機器製造販売業許可を取得する必要があり、また、個別製品ごとに所轄官庁の承認又は認証を得ることが必要となります。当社は、平成22年8月18日に、東京都知事より第一種医療機器製造販売業許可を取得して(平成27年7月に更新、有効期限平成32年8月17日)、医療機器の研究開発を行い、製造・販売に向け事業活動を行っています。当社グループでは、医薬品医療機器等法その他の関連法規の遵守に努めており、事業の進捗に合わせて社内の体制の整備にも取り組んで参りました。しかしながら、第一種医療機器製造販売業許可については、当社に医薬品医療機器等法その他薬事に関する法令若しくはこれに基づく処分に違反する行為があったとき、又は当社若しくは当社の役員が医薬品医療機器等法第12条の2第3号の準用する同法第5条第3号に掲げる事由に該当するに至ったときには、当該許可が取り消される可能性があり(同法第75条第1項)、その場合、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。また当社は、先行パイプラインである本止血材について、平成27年3月13日の製造販売承認申請の取下げ後、PMDAとの間で再度の臨床試験開始に向けた協議を継続しておりましたが、内視鏡的粘膜下層剥離術下の漏出性出血に対する止血効果等の有効性評価や安全性評価を含めた総合的判断を行うという治験計画を構築し、平成29年4月11日に臨床試験を開始するための治験計画届をPMDAに提出いたしました。前回の製造販売承認申請に至る過程において、当社では本止血材について、PMDAのガイドラインに従ったGLP安全性試験を実施した後に、平成22年1月よりヒトでの臨床試験を実施し、平成23年4月までに実施された全97症例について、因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されませんでした。今後は、適切なプロトコルにしたがって臨床試験を進めていきますが、現時点で想定される止血効果の有効性を従来の止血法との間で認められない場合や、医薬品医療機器等法その他の関連法規に大きな変更が生じた場合等には、本止血材について日本における製造販売承認が取得できなくなり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。また、本止血材について日本における製造販売承認が得られたとしても、本止血材が、その申請に係る効能、効果若しくは性能を有すると認められないとき等は当該承認が取り消されることとなり(医薬品医療機器等法第74条の2第1項)、また、当社が同法74条の2第3項に掲げる事由に該当する場合には、当該承認が取り消される可能性があります。かかる製造販売承認の取消がなされた場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。 B収益の不確実性に関する事項止血材は外科手術において幅広く使用され、手術件数や適応症例数も安定的に推移しており、本止血材については製品化後に安定した需要が見込まれます。また、医薬品医療機器等法により生物由来製品の安全管理が厳しくなったことから、人工合成物であり安全性が高い本止血材は、既存製品と十分差別化できるものと考えております。しかしながら、現在、日本においては治験計画届を提出し、新たな臨床試験を開始する前の段階であり、今後、想定する止血効果が新たな臨床試験で認められないため製造販売承認を取得できない場合や、製造販売承認が得られたとしても本止血材について保険収載が否定されたり、保険収載価格が想定価格と乖離が生じる場合があり得ます。また、本止血材は、欧州、アジア・オセアニア・南米地域において製品販売を開始しておりますが、各地域での法的規制その他の関連法規に大きな変更が生じた場合に、本止血材の販売実施ができなくなる可能性があることは否定できません。さらに、韓国においても製品登録承認申請を行っておりますが、同国での法的規制その他の関連法規に大きな変更が生じた場合や、審査の結果として、適応手術領域より狭い範囲でしか承認を取得できなかったり、同製品の有効性・安全性が認められず、承認が取得できない可能性があることは否定できません。これらの事象が生じた場合には、当社グループの販売計画に影響を与える可能性があり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C特定の契約先からの事業収益への依存に関する事項当社グループの事業収益は、本止血材のグローバルな製品販売と契約一時金等を中心としておりますが、日本においては扶桑薬品工業株式会社への依存度が高くなっております。そのため、扶桑薬品工業株式会社との契約が解除その他の理由で終了した場合や、何らかの理由により同契約で予定されている収益が得られなくなった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼすこととなります。また、安定的製品売上まで当社グループの日本における主な事業収益は、本止血材に関する契約一時金・マイルストーンペイメントであります。そのため、仮に本止血材の製造販売承認や保険収載が取得できなかったり、計画通りに進展しなかった場合には、同収益が獲得できず、または獲得が遅れることとなり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 D重要な契約に関する事項当社グループの事業展開上、重要な契約が解除された場合、不利な契約改定が行われた場合や契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 E製造・販売に関する事項当社グループは、伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社との間で業務提携契約を締結し、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の調達先や、製剤の業務委託先の選定、販売提携先の選定に関し業務提携を行っています。当社グループは、ペプチド原材料について、複数社に対し製造を委託しています。また当社は、本止血材について、扶桑薬品工業株式会社との間で製造委受託契約を締結しておりますが、今後、複数の海外企業に対し、製造の委託をすることを予定しています。このように、当社グループでは、本止血材の製造販売承認取得後の製品供給体制を強化するため、バックアップ体制の構築に取り組んでおりますが、想定外の事故なども含め原材料の供給や委託製造に遅れが生じる事態になった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。また、日本における本止血材の販売については、扶桑薬品工業株式会社との間で独占販売権許諾契約を締結しております。同社との契約においては、同社に最低購入義務が課せられておりますが、何らかの理由で同社が同義務を果たさない場合、当社グループの販売計画に影響を与える可能性があり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 F製造物責任に関する事項医療製品の設計、開発、製造及び販売には、製造物責任賠償のリスクが内在しております。当社グループにおいては、製品の基礎となる自己組織化ペプチド技術を利用した本止血材について、ヒトでの臨床試験を実施済みであり、実施した全97症例において、因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されておりません。また、当社グループは欧州及びアジア・オセアニア地域において本止血材の販売を開始しており、同製品は規制当局の基準に基づく当社グループの品質管理基準にしたがって製造販売されております。しかしながら、今後、本止血材を含む当社グループが開発した医療製品が患者の健康被害を引き起こす可能性は否定できず、また、治験、製造、販売において不適当な点が発見された場合には、当社グループが製造物責任を負う可能性があることは否定できません。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において結果として当社グループの過失が否定されたとしても、製造物責任に基づく損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 G止血材以外の医療製品に関する事項当社グループでは、歯槽骨再建材について、当社子会社が平成23年7月にFDAからIDEの承認を得て、米国において平成24年2月に臨床試験を開始しております。しかしながら、臨床試験の結果、同製品の有効性・安全性が認められなかった場合には、同製品の製造販売を実施することができず、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。粘膜隆起材については、当社が平成26年12月より臨床試験を開始しておりましたが、臨床試験症例において、前臨床試験の結果より想定した有効性に対して十分な結果が得られない傾向にあることから、試験方法及び製剤の開発等を検討するために、臨床試験を自主的に一時中断しております。今後、十分な有効性が認められる試験方法及び製剤の開発が順調に進まない場合には、同製品の事業化が進展せず、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、外科領域において血管塞栓材TDM-631の研究開発を行っております。しかしながら、いまだ研究開発段階であり、今後の研究開発が計画どおりに進む保証はなく、事業化が順調に進展しない場合には、当社グル―プの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。上記の歯槽骨再建材、粘膜隆起材、血管塞栓材は、いずれも本止血材と同じ配列(RADA16)の自己組織化ペプチド技術を基礎としているものです。そして、本止血材については、既にヒトへの臨床試験を実施しており、実施した全97症例について因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されておりません。そのため、これらの製品についても、今後の臨床試験の結果、その有効性が認められれば、所轄官庁の承認または認可を受けられない可能性は低いものと思われます。しかしながら、当該技術自体の安全性に疑問が生じることとなった場合や、医薬品医療機器等法その他の関連法規に大きな変化が生じた場合には、これらの製品について承認または認可が取得できなくなり、当社グループの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。DDS領域においては、主に医薬品の研究開発を行っております。医薬品の場合には、医療機器と比べ臨床試験が多段階に設定されていることから、承認申請に至るまでのプロセスが長期に亘り、また、不確定な要素が多くなるため、当社グループの想定どおりに研究開発が進まない場合には、当社グループの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 H研究開発活動に関する事項当社グループは、マサチューセッツ工科大学(以下「MIT」という。)からライセンスされている自己組織化ペプチド技術に関する基本特許群(下記「②知的財産権・訴訟等に関するリスク」において定義する。)の上に応用技術を構築し、新しい医療製品を開発することを目指しております。提出日現在までに、当社グループは日米約100の研究機関と共同研究を実施し、心筋再生技術、肝細胞培養技術、膵島細胞培養/移植技術などの分野では特許出願またはその準備を行っており、その他多数の分野において論文発表が行われております。当社グループでは、現在の主要なパイプラインに続く次の事業化候補として、これらの応用技術から、(a)創傷治癒、心筋再生、軟骨/椎間板再生など細胞を用いない再生治療、(b)埋め込み型人工膵臓治療、体外型人工肝臓治療など細胞を用いるが体内埋植しない治療法、さらに(c)膵島移植治療、脊椎損傷治療など細胞を体内埋植する治療法、(d)BMPなどタンパク製剤やペプチド製剤、核酸などのDDSなど、新しいパイプラインが開発計画に組み込まれる可能性があると見込んでおります。これらの事業化候補については、現在は基礎研究段階であり事業計画に織り込まれておりませんが、事業化が順調に進展しない場合、将来の重要なアップサイドポテンシャルを失う可能性があります。 ②知的財産権・訴訟等に関するリスクA特許の取得状況等に関する事項当社グループは、下表に記載の自己組織化ペプチド技術にかかる物質特許及び当該物質特許を利用した基本的な用途特許(以下これらを併せて「基本特許群」という。)につき、当社子会社がMITより専用実施権(再許諾権付)の許諾を受け、当社が当社子会社より実施権の再許諾を受けており、また当社グループにて特許出願しております。当社は、下記のMITを権利者とする自己組織化ペプチド特許(出願国:米国)について、自己組織化ペプチド応用技術に係るMIT出身の研究者により設立されたバイオベンチャー企業であるARCH Therapeutics, Inc.社と、非独占的なサブライセンス契約を締結しておりました。しかしながら、米国ARCH Therapeutics, Inc.社の現在の事業展開の進展状況より、現時点において当社グループと競合するおそれは低いものと考えておりますが、将来的な競合の可能性は否定できません。基本特許群は自己組織化を起こしハイドロゲルを形成する主なペプチド群をカバーしており、国、地域によりばらつきはあるものの、日本においては既に登録済みとなっております。しかしながら、基本特許群のうち、現在登録に至っていないものについては、最終的に登録に至らない可能性があり、その場合には当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。また、当社グループの事業を包含するバイオマテリアル関連産業においては、日々研究開発活動が繰り広げられており、当社グループの技術を超える優れた技術が開発されることにより、基本特許群が淘汰される可能性は否定できません。また、当社グループは基本特許群を用いて多数の研究機関と応用技術にかかる共同研究を行っており、主要なパイプラインに関するもの以外についても既に複数の用途特許について共同出願しておりますが、すべての特許について登録に至るとは限りません。これらの特許が成立しなかった場合、当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。 B訴訟等に関する事項当社グループは、自己組織化ペプチド技術を用いた製品開発を行う限りにおいて、第三者の特許権等の知的財産権を侵害する可能性は極めて低いと考えております。また、当社グループは第三者の知的財産権に関する調査を随時行っており、提出日現在において、当社グループの事業活動が第三者の知的財産権に抵触している事実はなく、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実もありません。しかし、当社グループは、今後多岐に渡る事業展開を考えていることから、かかる知的財産権侵害の問題を完全に回避できない可能性があります。将来、当社グループの事業活動が第三者の知的財産権を侵害しているとして損害賠償請求等の訴訟を提起された場合には、解決に多大な時間及び経費を要するおそれがあり、当社グループの事業戦略、財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、知的財産権以外にも事業活動に付随するその他の訴訟を提起される可能性があり、訴訟等の内容および結果によっては、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において結果として当社グループの責任が否定されたとしても、知的財産権侵害に基づく損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼に影響が生じ事業活動に影響を与え、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 <基本特許群に係る特許権の状況>製品・パイプライン対象発明の名称登録番号出願国権利者物質特許吸収性局所止血材粘膜隆起材血管塞栓材歯槽骨再建材創傷治癒材癒着防止材PuraMatrix高純度ペプチド組成物 第5730828号日本(登録)3-D Matrix, Inc.WO 06/014570米国(出願中)欧州(出願中)組織閉塞剤 第5922749号日本(登録)当社EP 2345433欧州(登録) KR 101670099韓国(登録) WO 10/041636米国(出願中)用途特許PuraMatrix自己組織化ペプチド細胞培養法US 7098028米国(登録)MITPuraMatrix自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法US 7449180米国(登録)MITEP 1367961欧州(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 7713923米国(登録)MITUS 8901084米国(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド神経再生法US 7846891米国(登録)MIT PuraMatrix自己組織化ペプチド3次元細胞培養第5057629号日本(登録)MITCA 2344954カナダ(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド修飾ペプチド細胞培養法第5057781号日本(登録)MITPuraMatrix自己組織化ペプチド心筋組織再生法 EP 2089047欧州(登録)3-D Matrix, Inc.第5558104号第5903068号日本(登録)US 9012404米国(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド細胞培養法及び細胞培養物第5263756号日本(登録)岡山大学、当社US 8647867米国(登録)US 8697438米国(登録)創傷治癒再建材 PuraMatrix自己組織化ペプチド創傷治癒・皮膚再建材第5497451日本(登録)当社EP 2229960欧州(登録) 製品・パイプライン対象発明の名称登録番号出願国権利者PuraMatrix自己組織化ペプチドトランスフェクション剤EP 2322608欧州(登録)日本医科大学、当社第5606318号日本(登録)US 9133484米国(登録)KR 101647521韓国(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド界面活性剤様ペプチド ナノ構造US 7179784米国(登録)MITPuraMatrixDDSがん幹細胞の治療、予防および診断のための方法および組成物第5891173号日本(登録)国立がん研究センター、当社EP 2606909欧州(登録)PuraMatrixDDSマイクロRNAによる骨肉腫の診断方法US 9322016米国(登録)国立がん研究センター、当社第6153932号日本(登録) ③経営成績、財務状況等に関するリスクA業績の推移に関する事項当社は、日本における本止血材に関し、扶桑薬品工業株式会社と独占販売権許諾契約を締結し、その製品開発においては製造販売承認申請を一旦取下げ、新たに臨床試験を実施し再度製造販売承認申請を行う計画であります。そのため日本における製品の売上による事業収益は計上しておりません。現在までの事業収益は、主に上記を含む過去に締結した販売提携契約に基づく収益および海外での本止血材の製品売上および販売提携に基づく収益であり、また、平成24年4月期を除き研究開発活動に伴う費用計上が収益を上回り、営業損失、経常損失、当期純損失を計上しております。このため、過年度の財務経営指標は、当社の期間業績比較及び将来の業績を予測する材料としては不十分な面があります。 Bマイナスの利益剰余金を計上していることに関する事項当社グループは研究開発型企業であり、医療製品が販売されるまでには研究開発費用が先行して計上されることとなります。そのため、第13期連結会計年度末においてマイナスの利益剰余金を計上しております。現時点における当社グループの開発製品は医療製品の中でも医療機器として製造承認の取得を目指しており、医薬品と比べて開発に要する費用と期間は格段に少なくなることを想定しております。計画どおりに研究開発を推進することにより、早期の利益確保を目指しております。しかしながら将来において、事業計画どおりに進展せず、当期純利益を獲得できない可能性及び利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。 C重要事象等に関する事項当社グループは研究開発費用が先行して計上されることから、継続して営業損失及びキャッシュ・フローのマイナスを計上しております。これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しておりますが、当該状況を解消又は改善するための対応策を講じることにより、継続企業の前提に重要な不確実性は認められないものと判断しております。当該状況を解消又は改善するための対応策は、「⑥継続企業の前提に関する重要事象等」に記載しております。 D税務上の繰越欠損金に関する事項当社グループには、提出日現在において多額の税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため繰越欠損金の期限が切れた場合には、課税所得の控除が受けられなくなります。そうした場合、通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 E資金繰りに関する事項当社グループは研究開発型企業であり、今後もパイプラインの開発費用が先行して発生します。事業提携やライセンスアウト等の契約の獲得、多様な資金調達等による資金確保に努めております。提出日現在において行使価額修正条項付き第17回新株予約権を発行しており、本新株予約権が行使されることによる資金調達が進んだ場合には財政基盤も安定する見込みですが、新株予約権の行使条件の制約やその他理由等により計画通りに資金調達が進まない場合、また事業計画どおりに進展しない場合には資金不足となり、事業継続に重大な影響を与える可能性があります。 F配当政策に関する事項当社グループは、創業から平成23年4月期までは当期純損失を計上しており、利益配当は実施しておりません。また、第13期連結会計年度末においても、1,392,571千円の当期純損失を計上しており、累積損失が処理された段階において財政状態及び経営成績を勘案しつつ利益配当についての方針を検討する所存であります。 ④組織に関するリスクA業歴が浅いことに関する事項当社は平成16年5月に設立された社歴が浅い会社であり、期間業績比較を行うには十分な財務数値が得られません。また研究開発型企業であり、平成27年4月期に本止血材の海外での販売を開始しましたが、事業ステージはいまだ先行投資の段階にあります。このため、事業の特性を踏まえると、過年度の経営成績だけでは、今後の業績を予想する材料としては不十分な面があります。 B小規模組織に関する事項当社グループは平成29年4月末日現在、親会社で取締役5名、監査役3名、従業員13名の計21名体制、子会社で取締役7名(内3名は親会社役員が兼務)、従業員25名の計32名体制の小規模組織であります。当社グループでは、業務遂行体制の充実に努めておりますが、小規模組織であり、内部管理体制も規模に応じたものとなっております。当社グループでは、今後の事業拡大に向け組織体制の一層の充実を図ってまいりますが、適切な組織体制の構築ができない場合には、経営効率に影響を及ぼす可能性があります。一方、急激な規模拡大は固定費の増加につながり、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C特定の人物への依存に関する事項当社グループの事業推進者は、当社代表取締役である岡田淳であります。前代表取締役より経営戦略、開発戦略の決定、事業計画の策定、管理業務における責任を承継しており、グループの経営推進者として大きな影響力を有しております。このため、当社グループでは過度に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っておりますが、当面は依存度が高い状態で推移すると見込まれます。そのため、代表取締役が何らかの理由で業務を継続することが困難になった場合には、事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 D人材の確保及び育成に関する事項当社グループの競争力の核は研究開発力、事業企画力にあるため、専門性の高い研究者等の人材の確保が不可欠であり、事業拡大を支えるために営業、製造、内部管理等の専門人材も必要となってきております。当社グループでは、優秀な人材の確保及び社内人材の育成に努めておりますが、人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合には、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤その他A調達資金の使途に関する事項当社は、増資等による調達資金の使途については、当初の方針通り研究開発資金に充当しておりますが、環境変化による予測不可能な技術革新や研究開発活動の長期化など投資効果をあげられる保証はありません。このような場合、投資家の期待している収益に結び付かない可能性があります。 B新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関する事項当社はストック・オプション制度を採用しております。既に発行されたストック・オプションには、旧商法第280条ノ20及び第280条ノ21の規定に基づき新株予約権を付与する方式により株主総会にて決議されたもの、会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき新株予約権を付与する方式により株主総会にて決議されたものがあります。また主に研究開発への投資資金として金融機関に対して行使価額修正条項付き第17回新株予約権を発行しております。これらの発行済みの新株予約権が全て行使された場合の潜在株式数は、合計3,149,400株(平成29年5月末日現在)となり、この潜在株式数と当社の発行済株式数21,615,200株(平成29年4月末日現在)とを合計した数24,764,600株に対し12.7%を占めております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また当社は今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブを継続して実施していくことを検討しております。従いまして、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値はさらに希薄化する可能性があります。 C為替に関する事項当社グループの取引のうち、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の製造委託および海外での製品販売については、主に外貨建での決済が行われておりますが、当社グループにおいては特段の為替リスクヘッジは行っておりません。そのため、予想以上に為替相場の変動が生じた場合には、当社グループの業績はその影響を受ける可能性があります。 ⑥継続企業の前提に関する重要事象等「4 事業等のリスク ③経営成績、財務状況等に関するリスク C重要事象等に関する事項」に記載のとおり、当社グループは研究開発費用が先行して計上されることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しております。 当該重要事象等を解消又は改善するために、当社グループは医療製品事業においてグローバルに展開している吸収性局所止血材の製品販売による売上収入を計上し、主に欧米・アジア・南米地域における販売権許諾等の契約一時金やマイルストーンペイメント収入を獲得してまいります。また親子会社間での研究開発において基礎研究の共有・効率化も進んでいることから、業務効率化による諸経費の節減等にも注力し販売費及び一般管理費の圧縮にも取り組むことで収益構造を改善し、重要事象等の解消に向け取り組んでまいります。 また当社グループの研究開発及び事業活動を進めるに際しての事業資金を十分に確保するためにも、手元資金に加え平成29年4月に金融機関に対し行使価額修正条項付き第17回新株予約権(第三者割当)の発行決議をするなど、財務基盤の拡充に向けて新たな資金調達手段も実行しております。その他でも機動的な資金調達が行えるように各取引銀行との間で借入コミットメントライン契約及び借入枠の設定も継続して更新しております。
FY2016|11,543 文字
4 【事業等のリスク】以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループとしては、必ずしも事業展開上のリスク要因に値しないと考えられる事項についても、投資判断上、重要と考えられるものについては、投資者への積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、これらのリスクを認識した上で、その回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式への投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社グループに関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。なお、本文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。 ①医療製品事業に関するリスクA医薬品医療機器等法等の法的規制に関する事項医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」という)に基づき、医療機器を製造・販売するためには、所管の都道府県知事より医療機器製造販売業許可を取得する必要があり、また、個別製品ごとに所轄官庁の承認又は認証を得ることが必要となります。当社は、平成22年8月18日に、東京都知事より第一種医療機器製造販売業許可を取得して(平成27年7月に更新、有効期限平成32年8月17日)、医療機器の研究開発を行い、製造・販売に向け事業活動を行っています。当社グループでは、医薬品医療機器等法その他の関連法規の遵守に努めており、事業の進捗に合わせて社内の体制の整備にも取り組んで参りました。しかしながら、第一種医療機器製造販売業許可については、当社に医薬品医療機器等法その他薬事に関する法令若しくはこれに基づく処分に違反する行為があったとき、又は当社若しくは当社の役員が医薬品医療機器等法第12条の2第3号の準用する同法第5条第3号に掲げる事由に該当するに至ったときには、当該許可が取り消される可能性があり(同法第75条第1項)、その場合、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。また当社は、先行パイプラインである本止血材について、平成27年3月13日の製造販売承認申請の取下げ後、再度の臨床試験開始に向けて、PMDAとの協議を継続し、臨床試験の規模や評価方法等の詳細検討を進めております。当初の製造販売承認申請に至る過程において、当社では、本止血材について、PMDAのガイドラインに従ったGLP安全性試験を実施した後に、平成22年1月よりヒトでの臨床試験を実施し、平成23年4月までに実施された全97症例について、因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されませんでした。今後は、PMDAとの協議を踏まえた適切なプロトコルにしたがって新たに臨床試験を実施いたしますが、現時点で想定される止血効果が新たに実施される臨床試験において認められない場合や、医薬品医療機器等法その他の関連法規に大きな変更が生じた場合等には、本止血材について日本における製造販売承認が取得できなくなり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。また、本止血材について日本における製造販売承認が得られたとしても、本止血材が、その申請に係る効能、効果若しくは性能を有すると認められないとき等は当該承認が取り消されることとなり(医薬品医療機器等法第74条の2第1項・第14条第2項第3号)、また、当社が同法74条の2第3項に掲げる事由に該当する場合には、当該承認が取り消される可能性があります。かかる製造販売承認の取消がなされた場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。 B収益の不確実性に関する事項止血材は外科手術において幅広く使用され、手術件数や適応症例数も安定的に推移しており、本止血材については製品化後に安定した需要が見込まれます。また、医薬品医療機器等法により生物由来製品の安全管理が厳しくなったことから、人工合成物であり安全性が高い本止血材は、既存製品と十分差別化できるものと考えております。しかしながら、現在、日本における新たな臨床試験を計画している段階であり、今後、想定する止血効果が新たな臨床試験で認められないため製造販売承認を取得できない場合や、製造販売承認が得られたとしても本止血材について保険収載が否定されたり、保険収載価格が想定価格と乖離が生じる場合があり得ます。また、本止血材は、欧州、アジア・オセアニア地域において製品販売を開始しており、南米地域においても製品販売開始を予定しておりますが、各地域での法的規制その他の関連法規に大きな変更が生じた場合に、本止血材の販売実施ができなくなる可能性があることは否定できません。さらに、韓国においても製品登録承認申請を行っておりますが、同国での法的規制その他の関連法規に大きな変更が生じた場合や、審査の結果として、適応手術領域より狭い範囲でしか承認を取得できなかったり、同製品の有効性・安全性が認められず、承認が取得できない可能性があることは否定できません。これらの事象が生じた場合には、当社グループの販売計画に影響を与える可能性があり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C特定の契約先からの事業収益への依存に関する事項当社グループの事業収益は、本止血材のグローバルな製品販売と契約一時金等を中心としておりますが、日本においては扶桑薬品工業株式会社への依存度が高くなっております。そのため、扶桑薬品工業株式会社との契約が解除その他の理由で終了した場合や、何らかの理由により同契約で予定されている収益が得られなくなった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼすこととなります。また、安定的製品売上まで当社グループの日本における主な事業収益は、本止血材に関する契約一時金・マイルストーンペイメントであります。そのため、仮に本止血材の製造販売承認や保険収載が取得できなかったり、計画通りに進展しなかった場合には、同収益が獲得できず、または獲得が遅れることとなり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 D重要な契約に関する事項当社グループの事業展開上、重要な契約が解除された場合、不利な契約改定が行われた場合や契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 E製造・販売に関する事項当社グループは、伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社との間で業務提携契約を締結し、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の調達先や、製剤の業務委託先の選定、販売提携先の選定に関し業務提携を行っています。当社グループは、ペプチド原材料について、複数社に対し製造を委託しています。また当社は、本止血材について、扶桑薬品工業株式会社との間で製造委受託契約を締結しておりますが、今後、複数の海外企業に対し、製造の委託をすることを予定しています。このように、当社グループでは、本止血材の製造販売承認取得後の製品供給体制を強化するため、バックアップ体制の構築に取り組んでおりますが、想定外の事故なども含め原材料の供給や委託製造に遅れが生じる事態になった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。また、日本における本止血材の販売については、扶桑薬品工業株式会社との間で独占販売権許諾契約を締結しております。同社との契約においては、同社に最低購入義務が課せられておりますが、何らかの理由で同社が同義務を果たさない場合、当社グループの販売計画に影響を与える可能性があり、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 F製造物責任に関する事項医療製品の設計、開発、製造及び販売には、製造物責任賠償のリスクが内在しております。当社グループにおいては、製品の基礎となる自己組織化ペプチド技術を利用した本止血材について、ヒトでの臨床試験を実施済みであり、実施した全97症例において、因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されておりません。また、当社グループは欧州及びアジア・オセアニア地域において本止血材の販売を開始しており、同製品は規制当局の基準に基づく当社グループの品質管理基準にしたがって製造販売されております。しかしながら、今後、本止血材を含む当社グループが開発した医療製品が患者の健康被害を引き起こす可能性は否定できず、また、治験、製造、販売において不適当な点が発見された場合には、当社グループが製造物責任を負う可能性があることは否定できません。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において結果として当社グループの過失が否定されたとしても、製造物責任に基づく損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 G止血材以外の医療製品に関する事項当社グループでは、歯槽骨再建材について、当社子会社が平成23年7月にFDAからIDEの承認を得て、米国において平成24年2月に臨床試験を開始しております。しかしながら、臨床試験の結果、同製品の有効性・安全性が認められなかった場合には、同製品の製造販売を実施することができず、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。粘膜隆起材については、当社が平成26年12月より臨床試験を開始しておりましたが、臨床試験症例において、前臨床試験の結果より想定した有効性に対して十分な結果が得られない傾向にあることから、試験方法及び製剤の開発等を検討するために、臨床試験を自主的に一時中断しております。今後、十分な有効性が認められる試験方法及び製剤の開発が順調に進まない場合には、同製品の事業化が進展せず、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、外科領域において血管塞栓材TDM-631の研究開発を行っております。しかしながら、いまだ研究開発段階であり、今後の研究開発が計画どおりに進む保証はなく、事業化が順調に進展しない場合には、当社グル―プの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。上記の歯槽骨再建材、粘膜隆起材、血管塞栓材は、いずれも本止血材と同じ配列(RADA16)の自己組織化ペプチド技術を基礎としているものです。そして、本止血材については、既にヒトへの臨床試験を実施しており、実施した全97症例について因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されておりません。そのため、これらの製品についても、今後の臨床試験の結果、その有効性が認められれば、所轄官庁の承認または認可を受けられない可能性は低いものと思われます。しかしながら、当該技術自体の安全性に疑問が生じることとなった場合や、医薬品医療機器等法その他の関連法規に大きな変化が生じた場合には、これらの製品について承認または認可が取得できなくなり、当社グループの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性が否定できません。DDS領域においては、主に医薬品の研究開発を行っております。医薬品の場合には、医療機器と比べ臨床試験が多段階に設定されていることから、承認申請に至るまでのプロセスが長期に亘り、また、不確定な要素が多くなるため、当社グループの想定どおりに研究開発が進まない場合には、当社グループの事業戦略、ひいては財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 H研究開発活動に関する事項当社グループは、マサチューセッツ工科大学(以下「MIT」という。)からライセンスされている自己組織化ペプチド技術に関する基本特許群(下記「②知的財産権・訴訟等に関するリスク」において定義する。)の上に応用技術を構築し、新しい医療製品を開発することを目指しております。提出日現在までに、当社グループは日米約100の研究機関と共同研究を実施し、心筋再生技術、肝細胞培養技術、膵島細胞培養/移植技術などの分野では特許出願またはその準備を行っており、その他多数の分野において論文発表が行われております。当社グループでは、現在の主要なパイプラインに続く次の事業化候補として、これらの応用技術から、(a)創傷治癒、心筋再生、軟骨/椎間板再生など細胞を用いない再生治療、(b)埋め込み型人工膵臓治療、体外型人工肝臓治療など細胞を用いるが体内埋植しない治療法、さらに(c)膵島移植治療、脊椎損傷治療など細胞を体内埋植する治療法、(d)BMPなどタンパク製剤やペプチド製剤、核酸などのDDSなど、新しいパイプラインが開発計画に組み込まれる可能性があると見込んでおります。これらの事業化候補については、現在は基礎研究段階であり事業計画に織り込まれておりませんが、事業化が順調に進展しない場合、将来の重要なアップサイドポテンシャルを失う可能性があります。 ②知的財産権・訴訟等に関するリスクA特許の取得状況等に関する事項当社グループは、下表に記載の自己組織化ペプチド技術にかかる物質特許及び当該物質特許を利用した基本的な用途特許(以下これらを併せて「基本特許群」という。)につき、当社子会社がMITより専用実施権(再許諾権付)の許諾を受け、当社が当社子会社より実施権の再許諾を受けており、また当社グループにて特許出願しております。当社は、下記のMITを権利者とする自己組織化ペプチド特許(出願国:米国)について、自己組織化ペプチド応用技術に係るMIT出身の研究者により設立されたバイオベンチャー企業であるARCH Therapeutics, Inc.社と、非独占的なサブライセンス契約を締結しておりました。しかしながら、ARCH Therapeutics, Inc.社の現在の事業展開の進展状況より、現時点において当社グループと競合するおそれは低いものと考えておりますが、将来的な競合の可能性は否定できません。基本特許群は自己組織化を起こしハイドロゲルを形成する主なペプチド群をカバーしており、国、地域によりばらつきはあるものの、日本においては既に登録済みとなっております。しかしながら、基本特許群のうち、現在登録に至っていないものについては、最終的に登録に至らない可能性があり、その場合には当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。また、当社グループの事業を包含するバイオマテリアル関連産業においては、日々研究開発活動が繰り広げられており、当社グループの技術を超える優れた技術が開発されることにより、基本特許群が淘汰される可能性は否定できません。また、当社グループは基本特許群を用いて多数の研究機関と応用技術にかかる共同研究を行っており、主要なパイプラインに関するもの以外についても既に複数の用途特許について共同出願しておりますが、すべての特許について登録に至るとは限りません。これらの特許が成立しなかった場合、当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。 B訴訟等に関する事項当社グループは、自己組織化ペプチド技術を用いた製品開発を行う限りにおいて、第三者の特許権等の知的財産権を侵害する可能性は極めて低いと考えております。また、当社グループは第三者の知的財産権に関する調査を随時行っており、提出日現在において、当社グループの事業活動が第三者の知的財産権に抵触している事実はなく、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実もありません。しかし、当社グループは、今後多岐に渡る事業展開を考えていることから、かかる知的財産権侵害の問題を完全に回避できない可能性があります。将来、当社グループの事業活動が第三者の知的財産権を侵害しているとして損害賠償請求等の訴訟を提起された場合には、解決に多大な時間及び経費を要するおそれがあり、当社グループの事業戦略、財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、知的財産権以外にも事業活動に付随するその他の訴訟を提起される可能性があり、訴訟等の内容および結果によっては、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において結果として当社グループの責任が否定されたとしても、知的財産権侵害に基づく損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼に影響が生じ事業活動に影響を与え、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 <基本特許群に係る特許権の状況>製品・パイプライン対象発明の名称登録番号出願国権利者物質特許吸収性局所止血材粘膜隆起材血管塞栓材歯槽骨再建材創傷治癒材PuraMatrix高純度ペプチド組成物 第5730828号日本(登録)3-D Matrix, Inc.WO 06/014570米国(出願中)欧州(出願中)組織閉塞剤 第5922749号日本(登録)当社 WO 10/041636米国(出願中)欧州(出願中)用途特許歯槽骨再建材PuraMatrix自己組織化ペプチド細胞培養法US 5955343米国(登録)MITPuraMatrix自己組織化ペプチド軟骨細胞培養法US 7449180米国(登録)MITEP 1367961欧州(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド修飾ペプチド物質特許US 7713923米国(登録)MITUS 8901084米国(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド神経再生法US 7846891米国(登録)MIT PuraMatrix自己組織化ペプチド3次元細胞培養第5057629号日本(登録)MITCA 2344954カナダ(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド修飾ペプチド細胞培養法第5057781号日本(登録)MITPuraMatrix自己組織化ペプチド心筋組織再生法 EP 2089047欧州(登録)3-D Matrix, Inc.第5558104号第5903068号日本(登録)US 9012404米国(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド細胞培養法及び細胞培養物第5263756号日本(登録)岡山大学、当社US 8647867米国(登録)US 8697438米国(登録)創傷治癒再建材 PuraMatrix自己組織化ペプチド創傷治癒・皮膚再建材第5497451日本(登録)当社EP 2229960欧州(登録) 製品・パイプライン対象発明の名称登録番号出願国権利者PuraMatrix自己組織化ペプチドトランスフェクション剤EP 2322608欧州(登録)日本医科大学、当社第5606318号日本(登録)US 9133484米国(登録)PuraMatrix自己組織化ペプチド界面活性剤様ペプチド ナノ構造US 7179784米国(登録)MITPuraMatrixDDSがん幹細胞の治療、予防および診断のための方法および組成物第5891173号日本(登録)国立がん研究センター、当社EP 2606909欧州(登録)PuraMatrixDDSマイクロRNAによる骨肉腫の診断方法US 9322016米国(登録)国立がん研究センター、当社 ③経営成績、財務状況等に関するリスクA業績の推移に関する事項当社は、日本における本止血材に関し、扶桑薬品工業株式会社と独占販売権許諾契約を締結し、その製品開発においては製造販売承認申請を一旦取下げ、新たに臨床試験を実施し再度製造販売承認申請を行う計画であります。そのため日本における製品の売上による事業収益は計上しておりません。現在までの事業収益は、主に上記を含む過去に締結した販売提携契約に基づく収益および海外での本止血材の製品売上および販売提携に基づく収益であり、また、平成24年4月期を除き研究開発活動に伴う費用計上が収益を上回り、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。このため、過年度の財務経営指標は、当社の期間業績比較及び将来の業績を予測する材料としては不十分な面があります。 Bマイナスの利益剰余金を計上していることに関する事項当社グループは研究開発型企業であり、医療製品が販売されるまでには研究開発費用が先行して計上されることとなります。そのため、第12期連結会計年度末においてマイナスの利益剰余金(△8,245,880千円)を計上しております。現時点における当社グループの開発製品は医療製品の中でも医療機器として製造承認の取得を目指しており、医薬品と比べて開発に要する費用と期間は格段に少なくなることを想定しております。計画どおりに研究開発を推進することにより、早期の利益確保を目指しております。しかしながら将来において、事業計画どおりに進展せず、親会社株主に帰属する当期純利益を獲得できない可能性及び利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。 C重要事象等に関する事項当社グループは研究開発費用が先行して計上されることから、継続して営業損失及びキャッシュ・フローのマイナスを計上しております。これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しておりますが、当該状況を解消又は改善するための対応策を講じることにより、継続企業の前提に重要な不確実性は認められないものと判断しております。当該状況を解消又は改善するための対応策は、「(5)継続企業の前提に関する重要事象等」に記載しております。 D税務上の繰越欠損金に関する事項当社グループには、提出日現在において多額の税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため繰越欠損金の期限が切れた場合には、課税所得の控除が受けられなくなります。そうした場合、通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、親会社株主に帰属する当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 E資金繰りに関する事項当社グループは研究開発型企業であり、今後もパイプラインの開発費用が先行して発生します。事業提携やライセンスアウト等の契約の獲得、多様な資金調達等による資金確保に努めますが、事業計画どおりに進展しない場合には資金不足となり、事業継続に重大な影響を与える可能性があります。 F配当政策に関する事項当社グループは、創業から平成24年4月期を除き、平成27年4月期までは親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、利益配当は実施しておりません。また、当連結会計年度においても、2,459,327千円の親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、累積損失が処理された段階において財政状態及び経営成績を勘案しつつ利益配当についての方針を検討する所存であります。 ④組織に関するリスクA業歴が浅いことに関する事項当社は平成16年5月に設立された社歴が浅い会社であり、期間業績比較を行うには十分な財務数値が得られません。また研究開発型企業であり、平成27年4月期に本止血材の海外での販売を開始しましたが、事業ステージはいまだ先行投資の段階にあります。このため、事業の特性を踏まえると、過年度の経営成績だけでは、今後の業績を予想する材料としては不十分な面があります。 B小規模組織に関する事項当社グループは平成28年4月末日現在、親会社で取締役6名、監査役3名、従業員17名の計26名体制、子会社で取締役7名(内3名は親会社役員が兼務)、従業員21名の計28名体制の小規模組織であります。当社グループでは、業務遂行体制の充実に努めておりますが、小規模組織であり、内部管理体制も規模に応じたものとなっております。当社グループでは、今後の事業拡大に向け組織体制の一層の充実を図ってまいりますが、適切な組織体制の構築ができない場合には、経営効率に影響を及ぼす可能性があります。一方、急激な規模拡大は固定費の増加につながり、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 C特定の人物への依存に関する事項当社グループの事業推進者は、当社代表取締役である岡田淳であります。前代表取締役の永野恵嗣、髙村健太郎の両名より経営戦略、開発戦略の決定、事業計画の策定、管理業務における責任を承継しており、グループの経営推進者として大きな影響力を有しております。このため、当社グループでは過度に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っておりますが、当面は依存度が高い状態で推移すると見込まれます。そのため、代表取締役が何らかの理由で業務を継続することが困難になった場合には、事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 D人材の確保及び育成に関する事項当社グループの競争力の核は研究開発力、事業企画力にあるため、専門性の高い研究者等の人材の確保が不可欠であり、事業拡大を支えるために営業、製造、内部管理等の専門人材も必要となってきております。当社グループでは、優秀な人材の確保及び社内人材の育成に努めておりますが、人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合には、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤その他A調達資金の使途に関する事項当社は、増資等による調達資金の使途については、当初の方針通り研究開発資金に充当しておりますが、環境変化による予測不可能な技術革新や研究開発活動の長期化など投資効果をあげられる保証はありません。このような場合、投資家の期待している収益に結び付かない可能性があります。 B新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関する事項当社はストック・オプション制度を採用しております。発行済みの新株予約権が全て行使された場合の潜在株式数は、平成28年4月末日現在で合計754,400株となり、この潜在株式数と当社の発行済株式数21,522,400株とを合計した数22,276,800株に対し3.4%を占めております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。当社は、今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブを継続して実施していくことを検討しております。従いまして、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値はさらに希薄化する可能性があります。 C為替に関する事項当社グループの取引のうち、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の製造委託および海外での製品販売については、主に外貨建での決済が行われておりますが、当社グループにおいては特段の為替リスクヘッジは行っておりません。そのため、予想以上に為替相場の変動が生じた場合には、当社グループの業績はその影響を受ける可能性があります。 ⑥継続企業の前提に関する重要事象等当社グループは研究開発費用が先行して計上されることから、継続して営業損失及びキャッシュ・フローのマイナスを計上しております。これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しておりますが、当該状況を解消又は改善するための対応策を講じることにより、継続企業の前提に重要な不確実性は認められないものと判断しております。当該状況を解消又は改善するための対応策は、「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析(7) 事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策」に記載しております。