研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 300 |
| 2024-03 | - | 305 |
| 2023-03 | - | 271 |
| 2022-03 | - | 220 |
| 2021-03 | - | 169 |
研究開発活動(本文)
FY2025|2,427 文字
6【研究開発活動】 当社グループはヘマトロジーをはじめとした既存領域の成長を目指し、ダイアグノスティクス事業における技術拡充を図っております。 また、個別化医療・検査の精緻化を実現するための、臨床価値の高い診断技術、リキッドバイオプシー技術の社会実装を目指して、新たな技術開発に取り組んでおります。 新規領域への挑戦として、検査・診断の価値を検査の場及びその対象を拡大することで高めると共に、個別化予防・予後モニタリングを実現するための技術開発にも取り組んでいきます。また、メディカルロボット事業や再生細胞医療などの治療領域に対しても、シスメックスの強みを生かしていきます。 当連結会計年度における、主な研究開発活動の状況は以下のとおりであります。(1) 2024年4月 近畿大学と京都大学の研究グループは、当社との共同研究により、非小細胞肺がん※1に対するオプジーボ(一般名:ニボルマブ)をはじめとする抗PD-1抗体※2の効果を、血液中の「免疫チェックポイント関連因子※3」から予測できる可能性があることを明らかにいたしました。本研究成果は、今後、非小細胞肺がんの治療方針の検討の際に役立つものであると期待されます。※1 非小細胞肺がん:肺がんの8~9割を占め、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん等に分類される。※2 抗PD-1抗体:免疫チェックポイント阻害剤の一つ。がん細胞を攻撃するT細胞を阻害する、PD-1とPD-L1の結合を阻止する。抑えられていたT細胞の動きを亢進させ、抗腫瘍効果を発揮させる。※3 免疫チェックポイント関連因子:免疫応答を制御する分子のこと。持続的に抗原刺激が起こると、免疫細胞であるT細胞の膜表面に発現し、T細胞の細胞増殖能やサイトカイン産生能、細胞傷害性が低下する。(2) 2024年4月 当社と川崎重工業株式会社が共同出資する株式会社メディカロイドは、手術支援ロボット「hinotori™サージカルロボットシステム」の胸部外科領域(呼吸器外科)への適応について、厚生労働省より承認を取得いたしました。(3) 2024年6月 当社は、再生細胞医療における細胞培養液中の分泌タンパク質を測定する研究用試薬(「(研究用)HISCL™ VEGF試薬」、「(研究用)HISCL™ PEDF試薬」)、(以下、本製品)を国内から販売開始いたしました。本製品が、再生細胞医療の研究開発や細胞製造において使用されることで、細胞医薬品の品質管理試験の自動化・効率化に貢献することが期待されます。(4) 2024年6月 当社の子会社である株式会社理研ジェネシスは、東北大学病院との共同の成果により、結腸・直腸がんにおける治療薬の選択の補助として用いることができる体外診断用医薬品「OncoGuide™ EpiLight™メチル化検出キット」の国内における製造販売承認を取得いたしました。(5) 2024年9月 当社は、抗アミロイドβ抗体薬の副作用リスクを予測するため、血液中のゲノムDNAからAPOE遺伝型※4を判定する検査試薬の日本における製造販売承認申請を実施いたしました。※4 APOE遺伝型:脂質代謝に関わるアポリポタンパク質E(ApoE)をコードする遺伝子。112番目と158番目のアミノ酸をコードする2つの一塩基置換(rs429358,rs7412)の組み合わせにより3つの遺伝型(ε2,ε3,ε4)が規定される。(6) 2024年9月 当社は、血小板第4因子とヘパリンの複合体に対するIgG抗体を測定する「HISCL™ HIT IgG試薬」(以下、本製品)を国内市場から発売いたしました。本製品は、HISCL™シリーズ※5の技術を採用した全自動血液凝固測定装置CN™-6500/CN™-3500用の検査試薬であり、ヘパリン起因性血小板減少症(以下、HIT)※6の血清学的検査において求められる高感度、更には高特異度を実現します。高特異度を可能としたことで、ヘパリン療法の副作用判定において課題である偽陽性の低減に寄与し、HIT診断の迅速化及び検査効率の向上に貢献します。※5 HISCLシリーズ:全自動免疫測定装置 HISCL™-5000/HISCL™-800の総称※6 ヘパリン起因性血小板減少症(HIT):ヘパリンの使用により血小板減少症と血栓症を発症する疾患のこと 。(7) 2024年12月 当社と株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリング(以下、J-TEC)は、再生細胞医療の産業化の加速と持続可能性の向上に貢献するために、革新的技術による再生医療等製品の製造機能の高度化(機械化や自動化)を目指すことについて、基本合意書を締結いたしました。また、3月には戦略テーマの一つとして、再生細胞医療における無菌試験に関する共同研究契約を締結いたしました。再生細胞医療の無菌試験に対し、J-TECの持つ知見やノウハウと、当社が持つ微細な粒子を流路に流して流路中を流れる個々の粒子を光学的に分析するフローサイトメトリー技術を応用することで、迅速かつ安全な無菌試験の開発を目指します。 (8) 2025年3月 当社は、国立大学法人大阪大学大学院医学研究科外科学講座消化器外科学の三吉 範克 先生及び箕面市立病院と、ICTによる訪問看護連携型の自宅採血サービスの有用性評価に関する共同研究を開始いたしました。(9) 2025年3月 当社は、糖尿病の免疫検査C-ペプチド項目「HISCLTM C-ペプチド 試薬」を国内で販売開始いたしました。販売中のHISCLTMインスリン試薬と併せ、全自動免疫測定装置HISCL-5000/HISCL-800向け糖尿病検査パネルとしてご活用いただくことで、幅広い検査室のニーズにお応えすることが可能となります。 なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は31,455百万円であります。
FY2024|4,136 文字
6【研究開発活動】 当社グループはヘマトロジーをはじめとした既存領域の成長を目指し、ダイアグノスティクス事業における技術拡充を図っております。 また、個別化医療・検査の精緻化を実現するための、臨床価値の高い診断技術、リキッドバイオプシー技術の社会実装を目指して、新たな技術開発に取り組んでおります。 新規領域への挑戦として、検査・診断の価値を検査の場及びその対象を拡大することで高めると共に、個別化予防・予後モニタリングを実現するための技術開発にも取り組んでいきます。また、メディカルロボット事業や再生細胞医療などの治療領域に対しても、シスメックスの強みを活かしていきます。 当連結会計年度における、主な研究開発活動の状況は以下のとおりであります。(1) 2023年5月 当社は、日本国内において、「フローサイトメーター XF-1600」、「検体前処理装置 PS-10」を合わせたクリニカルフローサイトメトリー※1システム、及び抗体試薬等の関連製品を発売いたしました。※1 フローサイトメトリー(FCM):微細な粒子を流体中に分散させ、その流体を細く流して、個々の粒子を光学的に分析する手法のこと。主に細胞を個々に観察する際に用いられる。(2) 2023年6月 当社は、血液からアルツハイマー病の原因となる脳内アミロイドβ(Aβ)の蓄積状態を調べる検査試薬「HISCL™ β-アミロイド 1-42 試薬」及び「HISCL β-アミロイド 1-40 試薬」を日本で発売いたしました。(3) 2023年6月 当社は、尿路感染症※2が疑われる患者さんの尿検体を用いて、測定開始後最短約30分で細菌の有無及び抗菌薬の有効性を判定する迅速薬剤感受性検査システムを欧州で発売いたしました。※2 尿路感染症:尿路(腎臓から尿の出口まで)に細菌が進入し炎症が生じたものを尿路感染症という。膀胱では膀胱炎、腎臓では腎盂腎炎を引き起こす。日常診療において最も頻度が高いとされる細菌感染症の一つで、女性の約6割が生涯に一度は感染するとされている。(4) 2023年7月 当社と川崎重工業株式会社が共同出資する株式会社メディカロイドは、手術支援ロボット「hinotori™サージカルロボットシステム」において、手術操作と鉗子動作の接続を遮断するクラッチ操作を、足元のフットペダルに加え、手元でも操作できる「ハンドクラッチ機能」を搭載したバージョンアップモデルの販売を開始いたしました。(5) 2023年8月 当社は、血液中のAβを測定する試薬を米国におけるLDT※3向け試薬として大手検査センターに供給を開始いたしました。本LDTは、アルツハイマー病の原因とされる脳内のAβの蓄積状態の把握を補助する検査であります。※3 LDT:Laboratory Developed Test(自家調製検査)の略。医療機関や検査センター等の臨床検査室内において、独自の品質管理規程に基づき行われる検査。(6) 2023年8月 当社は、遺伝性網膜ジストロフィ(Inherited Retinal Dystrophy: IRD)※4の患者さん又はIRDと疑われる患者さんの血液から包括的なゲノムプロファイル※5を取得することで、IRDの原因遺伝子の同定に有用な情報を提供する「PrismGuide™ IRDパネル システム」(2023年5月に国内での製造販売承認取得)が、IRDの遺伝子パネル検査※6システムとして国内で初めて保険適用を受けました。※4 遺伝性網膜ジストロフィ(Inherited Retinal Dystrophy: IRD):遺伝子変異が原因と考えられる遺伝性進行性の疾患。類似の症状を示すいくつかの疾患を総じて遺伝性網膜ジストロフィと呼ぶ。夜盲(暗いところでものが見えにくくなる)や視野狭窄(視野が狭くなる)、視力低下が主な症状であり、進行すると場合によっては失明に至ることもある。代表的な疾患は網膜色素変性症(指定難病:告示番号90)であり、頻度は4,000~8,000人に一人とされている。※5 包括的なゲノムプロファイル:疾患の診療上重要な、検体中の複数の遺伝子の変異を同時に解析して得られる情報。※6 遺伝子パネル検査:関連する複数の遺伝子の変異状況を一度に調べる検査法。(7) 2023年9月 当社は「OncoGuide™ NCCオンコパネルシステム」が、大鵬薬品工業株式会社が開発した「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子※7陽性の治癒切除不能な胆道がん」への治療薬フチバチニブ※8の胆道がん※9患者さんへの適応を調べるコンパニオン診断として、日本における保険適用を受け、子会社である株式会社理研ジェネシスでの保険適用に対応したアッセイサービスを開始いたしました。 ※7 FGFR2融合遺伝子:FGFR(fibroblast growth factor receptor)はFGFR1-4の4種類が同定されており、細胞の成長や増殖に関わる線維芽細胞増殖因子受容体と呼ばれるタンパク質である。FGFR遺伝子異常には、融合、変異、増幅等があり、これら遺伝子異常により機能が活性化されると、がん細胞の増殖、生存、遊走、腫瘍血管新生、薬剤耐性等に結び付くと考えられている。日本において胆道がんの一種である切除不能な胆管がんの患者さんを対象とした研究では、FGFR2遺伝子再構成の陽性率は、肝内胆管がんで7.4%、肝外胆管がん(肝門部領域胆管がん)で3.6%との報告がある。※8 フチバチニブ:大鵬薬品工業株式会社が創製した新規経口抗がん剤で、遺伝子異常を持つ線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)と呼ばれるタンパク質の働きを阻害することにより、がん細胞の増殖を抑制する。2022年9月には、米国において「前治療歴を有するFGFR2融合遺伝子又はその他の再構成を伴う切除不能な局所進行又は転移性肝内胆管がん」の適応での迅速承認、2023年7月には、欧州において「全身療法後に進行したFGFR2融合又は再構成を伴う局所進行又は転移性の胆管がん」の適応で条件付き販売承認を取得している。※9 胆道がん:胆道に発生するがんの総称で、発生部位により、胆管がん(肝臓内の胆管に発生する肝内胆管がんを含む)、胆のうがん、乳頭部がんに分類される。(8) 2023年10月 当社と富士レビオ・ホールディングス株式会社(以下、富士レビオHD)は、免疫検査領域における研究・開発、生産、臨床開発、販売等多面的な協業の強化に合意し、業務提携基本契約を締結いたしました。11月には本契約に基づき、富士レビオHDの子会社が行っている当社の全自動免疫測定装置 HISCLシリーズを対象とした検査試薬の開発に、神経変性疾患関連領域の項目を追加する旨のCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization:受託開発製造)契約を締結いたしました。また、12月には両社が保有する試薬原料供給に関し基本合意いたしました。(9) 2023年11月 当社と川崎重工業株式会社が共同出資する株式会社メディカロイドは、手術支援ロボット「hinotori サージカルロボットシステム」の呼吸器外科への適応について、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請を行いました。(10) 2023年12月 慢性肝炎・肝硬変の患者さんの診断・治療において、血液のみで肝臓の線維化の進行度を定量的に評価できる当社の検査用試薬「HISCL M2BPGiTM-Qt 試薬」について、国内の保険適用が開始されました。(11) 2023年12月 当社は、再生細胞医療領域への取り組み加速に向けて、ヒトiPS細胞※10から血小板を産生させる基盤技術を有する株式会社メガカリオンの株式を追加取得し、連結子会社化いたしました。※10 iPS細胞(人工多能性幹細胞:induced pluripotent stem cell):ヒトの皮膚の細胞等にいくつかの因子を導入することによって作製された、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力を持った幹細胞。山中伸弥教授率いる京都大学の研究グループによって発見された。この細胞を分化誘導することにより、理論上は体を構成する全ての組織や臓器に分化させることが可能と考えられており、再生医療の実現に向けて注目が集まっている。(12) 2024年1月 当社はアルツハイマー病の原因とされる脳内Aβの蓄積状態を微量の血液から調べるAβ検査試薬を日本、米国に続き、欧州へ販売を拡大いたしました。(13) 2024年2月 当社とCellaVision ABは次世代の血液像分析装置を含むポートフォリオの拡大により、ヘマトロジーソリューションの進化を目指すStrategic Alliance Agreementを締結いたしました。(14) 2024年2月 当社と株式会社日立ハイテクは、キャピラリー電気泳動シーケンサー※11を基盤とした新たな遺伝子検査システムの共同開発に向けて合意いたしました。※11 キャピラリー電気泳動シーケンサー:DNAの塩基配列や塩基長を短時間かつ比較的安価に分析できる解析装置。個々のDNAの違いを分析する医療・健康分野や犯罪捜査のためのDNA鑑定等に幅広く利用されている。(15) 2024年2月 当社は「HISCL TARC試薬」及び「HISCL ANP試薬」の製造販売承認を塩野義製薬株式会社から承継し、自社による製造を開始いたしました。(16) 2024年3月 当社は婦人科・性腺ホルモンの免疫検査パネル6項目(「HISCL LH 試薬」、「HISCL FSH 試薬」、「HISCL プロラクチン 試薬」、「HISCL エストラジオール 試薬」、「HISCL プロゲステロン 試薬」、「HISCL テストステロン 試薬」)の国内販売を開始いたしました。 なお、当連結会計年度における研究開発費は31,402百万円であります。
FY2023|2,773 文字
6【研究開発活動】 当社グループは既存の体外診断領域の拡充を図ると共に、個人毎の特性に応じた個別化医療の推進と、より患者さんの近くで検査を提供するプライマリケアの推進に取り組んでおります。 個別化医療においては、医薬品の投与に関わるコンパニオン診断薬の開発や、血液等の体液からより多くの情報を得るためのリキッドバイオプシー技術の開発に取り組んでおり、プライマリケアにおいては、患者負担の少ない検査法の樹立や、装置の小型化、操作性の向上を目指した開発等に取り組んでおります。 当連結会計年度における、主な研究開発活動の状況は以下のとおりであります。(1) 2022年5月 当社は、尿路感染症※1を対象とした迅速な薬剤感受性検査※2の臨床実装を加速させると共に、薬剤耐性(AMR:Antimicrobial Resistance)※3対策への取り組み等、医療課題の解決に貢献するべく、持分法適用関連会社であるAstrego Diagnostics ABの株式を追加取得し、当社の完全子会社といたしました。※1 尿路感染症:腎臓から尿の出口までを「尿路」と言い、尿路に細菌が進入し炎症が生じたものを尿路感染症という。膀胱では膀胱炎、腎臓では腎盂腎炎を引き起こす。※2 薬剤感受性検査:検体から検出された病原菌に対する各種抗菌薬の効能を調べる検査。※3 薬剤耐性(AMR:Antimicrobial Resistance):生物が自分に対して何等かの作用をもった薬剤に対して抵抗性を持つことで、これらの薬剤が効かない、もしくは効きにくくなる現象。この薬剤耐性を獲得した細菌のことを薬剤耐性菌という。(2) 2022年5月 当社は、全自動免疫測定装置HISCL™-5000/HISCL-800を用いて血液中のアミロイドβを測定し、脳内アミロイドβの蓄積状態の把握を補助する検査試薬について、欧州の体外診断用医療機器指令(IVD指令)の自己宣言を完了いたしました。(3) 2022年6月 当社は、遺伝性網膜ジストロフィー※4の患者さんの血液から、関連遺伝子を対象とした複数の遺伝子変異情報を次世代シークエンサー※5を用いて検出・解析し、原因遺伝子に応じた治療計画やロービジョンケア※6計画の策定及び科学的根拠に基づく遺伝カウンセリングを補助する遺伝子パネル検査システムについて、製造販売承認申請を実施いたしました。※4 遺伝性網膜ジストロフィー(Inherited Retinal Dystrophy:IRD):遺伝子変異が原因と考えられる遺伝性進行性の疾患。類似の症状を示すいくつかの疾患を総じて遺伝性網膜ジストロフィーと呼ぶ。夜盲(暗いところでものが見えにくなる)や視野狭窄(視野が狭くなる)、視力低下が主な症状であり、進行すると場合によっては失明に至ることもある。頻度は4,000~8,000人に1人とされ、代表的な疾患は網膜色素変性症(指定難病:告示番号90)である。※5 次世代シークエンサー(NGS):DNAの塩基配列を、同時並行で大量に読み取る解析装置。※6 ロービジョンケア:視覚に障害があるため、生活上何らかの支障がある方に対し、よりよく見るための工夫や機器の紹介、進路や就労を含む様々な相談・情報提供、福祉制度の利用等、多岐にわたる支援を行う。(4) 2022年7月 当社は、ヘマトロジー分野におけるフラッグシップモデル「多項目自動血球分析装置 XR™シリーズ」と接続可能な新たな検体搬送システム商品群「バーコードターミナル BT-50」、「検体並び替え装置 TS-01」、「検体保管装置 TA-01」を発売いたしました。(5) 2022年8月 当社は、ソフトウェアの設計開発機能の強化により、開発スピード向上に取り組むべく、ソフトウェア開発会社である株式会社ピロートの株式を取得し、当社の完全子会社といたしました。(6) 2022年9月 当社は、遺伝子変異解析セット「OncoGuide™ NCC オンコパネル システム」に関して、FGFR2※7融合遺伝子を含む遺伝子再構成を有する進行胆道がん※8の患者さんに対するコンパニオン診断として、製造販売承認事項の一部変更申請を実施いたしました。※7 FGFR2遺伝子:FGFR(fibroblast growth factor receptor)はFGFR1-4の4種類が同定されており、細胞の成長や増殖に関わる線維芽細胞増殖因子受容体と呼ばれるタンパク質である。FGFR遺伝子異常には、融合、変異、増幅等があり、これら遺伝子異常により機能が活性化されると、がん細胞の増殖、生存、遊走、腫瘍血管新生、薬剤耐性等に結び付くと考えられている。※8 胆道がん:胆道に発生するがんの総称で、発生部位により、胆管がん(肝臓内の胆管に発生する肝内胆管がんを含む)、胆のうがん、乳頭部がんに分類される。 (7) 2022年9月 当社は、尿沈渣検査分野における新製品「全自動尿中有形成分分析装置 UF-1500」を発売いたしました。(8) 2022年10月 当社とJCRファーマ株式会社は、造血幹細胞をはじめとする幹細胞やその他の細胞を用いた再生医療等製品の研究開発、製造及び販売を行うAlliedCel株式会社を共同で設立いたしました。(9) 2022年10月 当社は、遺伝子増幅検出試薬「リノアンプ™CK19」に関して、子宮頸がん・子宮体がんのリンパ節転移検査に適応拡大する製造販売承認事項の一部変更申請について、承認を取得いたしました。(10) 2022年12月 当社は、血液中のアミロイドβ(Aβ)を測定する検査試薬「HISCL β-アミロイド 1-42 試薬」及び「HISCL β-アミロイド 1-40 試薬」について、体外診断用医薬品として国内での製造販売承認を取得いたしました。(11) 2023年2月 当社は、「OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」について、大鵬薬品工業株式会社が開発中の分子標的薬フチバチニブ(一般名)※9の胆道がん患者さんへのコンパニオン診断として一部変更承認を取得いたしました。※9 フチバチニブ(Futibatinib、開発コード:TAS-120):化学療法の前治療歴がある胆道がん患者さんを含む、FGFR1-4遺伝子異常を持つ進行固形がんへの治療薬として、大鵬薬品が開発中の新規経口抗がん剤。2022年9月には「前治療歴を有するFGFR2融合遺伝子又はその他の再構成を伴う切除不能な局所進行又は転移性肝内胆管がん」の適応で米国食品医薬品局(FDA)より迅速承認を取得している。 なお、当連結会計年度における研究開発費は31,060百万円であります。
FY2022|2,021 文字
5【研究開発活動】 当社グループは既存の体外診断領域の拡充を図ると共に、個人毎の特性に応じた個別化医療の推進と、より患者さんの近くで検査を提供するプライマリケアの推進に取り組んでおります。 個別化医療においては、医薬品の投与に関わるコンパニオン診断薬の開発や、血液等の体液からより多くの情報を得るためのリキッドバイオプシー技術の開発に取り組んでおり、プライマリケアにおいては、患者負担の少ない検査法の樹立や、装置の小型化、操作性の向上を目指した開発等に取り組んでおります。 当連結会計年度における、主な研究開発活動の状況は以下のとおりであります。(1) 2021年4月 当社は、新型コロナウイルスのRNAを検出するSARS コロナウイルス核酸キット「DetectAmp SARS-CoV-2 RT-PCRキット」について、体外診断用医薬品としての製造販売承認を取得、保険適用を受けました。(2) 2021年5月 当社は、シンクサイト株式会社と、AIベースの細胞分析技術の実用化に向けた共同開発及び資本提携に関する契約を締結いたしました。(3) 2021年5月 当社は、2020年6月、神戸医療産業都市内に構築した全国初の官民連携による新型コロナウイルス感染症のPCR検査ラボラトリーをPCR検査数の拡大と機能拡充に向けて当社研究開発センター内に移転、運用を開始いたしました。(4) 2021年5月 当社と国立研究開発法人国立がん研究センターは、がん患者における新型コロナウイルスの罹患状況とリスクを評価するため、2020年8月から10月にかけてがん患者と健常人について新型コロナウイルスの抗体保有率と抗体量を調査し、その結果を発表いたしました。(5) 2021年6月 塩野義製薬株式会社は、当社と共同開発したTh2 ケモカイン・TARC キット「HISCL™ TARC 試薬」について、新型コロナウイルス陽性患者の重症化リスクの判定補助を使用目的とする適応追加承認を取得いたしました。本製品は、当社製の全自動免疫測定装置 HISCL-5000/HISCL-800にて使用いたします。(6) 2021年6月 当社は、OSNA™法※1を測定原理とする遺伝子増幅検出試薬「LYNOAMP™ CK19 E」について、欧州における体外診断用医療機器規則(IVDR)※2の認証を取得いたしました。※1 OSNA法:当社が開発した直接遺伝子増幅(One-Step Nucleic Acid Amplification)法。リンパ節へのがん転移の有無を判定できる。※2 体外診断用医療機器規則(IVDR):In Vitro Diagnostic Medical Devices Regulation(Regulation (EU) 2017/746)のことで、欧州市場において体外診断用医療機器を上市・販売・流通する場合に適用される新たな法規制。(7) 2021年7月 当社は、QIAGEN N.V.(キアゲン)と、がん領域コンパニオン診断薬※3の共同開発、グローバル事業に関する戦略的な業務提携に合意いたしました。※3 コンパニオン診断薬:医薬品の効果や副作用を投薬前に予測するために行われる臨床検査のこと。(8) 2021年9月 当社と地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立神戸アイセンター病院が、共同で開発を進めてきた遺伝子パネル検査「IRDパネル検査システム(仮称)」を用いて行う「遺伝性網膜ジストロフィー※4における遺伝子診断と遺伝カウンセリング」が、先進医療B※5として承認されました。※4 遺伝性網膜ジストロフィー(Inherited Retinal Dystrophy: IRD):遺伝子変異が原因と考えられる遺伝性進行性の疾患。夜盲や視野狭窄、視力低下が主な症状であり、進行すると場合によっては失明に至ることもある。類似の症状を示すいくつかの疾患を総じて遺伝性網膜ジストロフィーと呼ぶ。※5 先進医療B:先進医療とは、効果、安全性等の評価が定まっていない新しい試験的な医療技術のうち、将来的に保険適用の対象にするかどうかを判断するため有効性、安全性の評価を行う医療技術として厚生労働省が指定したもの。そのうち先進医療Bは、医療技術ごとに施設基準を設定し、その要件を満たす医療機関でのみ実施が認められる。(9) 2021年12月 当社は、全自動免疫測定装置HISCL-5000/HISCL-800を用いて血液中のアミロイドβを測定し、脳内アミロイドβの蓄積状態の把握を補助する検査試薬の製造販売承認申請を実施いたしました。(10) 2022年2月 当社は、免疫検査分野における診断薬の開発及び生産力の強化を目的に、株式会社カイノスとの資本業務提携に合意いたしました。 なお、当連結会計年度における研究開発費は26,784百万円であります。
FY2021|4,215 文字
5【研究開発活動】 当社グループは既存の体外診断領域の拡充を図ると共に、個人毎の特性に応じた個別化医療の推進と、より患者さんの近くで検査を提供するプライマリケアの推進に取り組んでおります。 個別化医療においては、医薬品の投与に関わるコンパニオン診断薬の開発や、血液からより多くの情報を得るためのリキッドバイオプシー技術の開発に取り組んでおり、プライマリケアにおいては、患者負担の少ない検査法の樹立や、装置の小型化、操作性の向上を目指した開発などに取り組んでおります。 当連結会計年度における、主な研究開発活動の状況は以下のとおりであります。 (1) 2020年4月 2019年6月に国内で初めて保険適用を受けた遺伝子変異解析セット(がんゲノムプロファイリング検査用)「OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」について、当該システムを用いて行う“固形がん患者における初回治療時の包括的ゲノムプロファイル検査の実現性と治療選択への有用性を評価する前向き研究”が先進医療として適用されました。(2) 2020年6月 当社と株式会社オプティムは、デジタル医療に関するオープンプラットフォームとアプリケーションを活用したソリューションサービスの企画、開発、運営を担う「ディピューラメディカルソリューションズ株式会社」を共同で設立し、活動を開始いたしました。(3) 2020年6月 2020年3月に国内で初めて新型コロナウイルス検査キットの体外診断用医薬品製造販売承認を取得した「2019-nCoV検出蛍光リアルタイムRT-PCRキット」について、検体種に唾液を追加する変更申請を行い、承認を取得いたしました。なお、唾液についても保険適用の対象となりました。(4) 2020年6月 当社は、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)を引き起こすウイルス(以下、SARS-CoV-2)のヌクレオカプシドタンパク質※1(以下、N抗原)とスパイクタンパク質※2(以下、S抗原)に対して、特異的に反応する血中のIgG抗体※3及びIgM抗体※4を検出可能な4つの研究用抗体検出試薬を開発し、受託サービスの提供を開始いたしました。※1 ヌクレオカプシドタンパク質(N抗原):ウイルスの基本構造であり、ウイルスの性質に大きく影響するタンパク質。※2 スパイクタンパク質(S抗原):ウイルスの周りに無数に突き出したタンパク質であり、細胞の受容体と結合することで感染が生じる。※3 IgG抗体:血中に最も多く存在し、強い中和作用等を有するとされる抗体。※4 IgM抗体:異物が体内に侵入することで最初に生産され一定期間増加する抗体。(5) 2020年6月 当社、国立研究開発法人国立がん研究センター及び国立研究開発法人国立国際医療研究センターにおいて、SARS-CoV-2の抗原・抗体検査法に関する共同研究を実施しており、当社が開発した前述(④項)の試薬を用いた「SARS-CoV-2陰性群」と「退院時のSARS-CoV-2患者群」間における血中のN抗原、S抗原に対するIgG抗体の濃度の比較において、明らかな弁別性能を示す結果を得ました。(6) 2020年6月 当社は、神戸市、神戸医療産業都市推進機構及び地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院と連携し、当社が開発した新たな検査方法である、SARS-CoV-2抗原・抗体検査、免疫学的な病態生理検査法※5等を用いた新たな検査フローの臨床実装に向けた取り組みを開始いたしました。※5 病態生理検査法:生体機能の破綻により症状や疾病が引きおこされる機序や経過を検査する方法。今回の免疫学的な病態生理検査法は、例えば、COVID-19の重症化を引き起こす免疫関連物質の量を測定すること示す。(7) 2020年6月 当社は、多くのアプリケーション解析が可能な「Flow Cytometer XF-1600」を北米において発売いたしました。(8) 2020年7月 当社は、「多項目自動血球分析装置 XN-31」について、マラリアの診断に活用可能な高度管理医療機器(クラスⅢ)※6として、国内で初めて医療機器製造販売承認を取得いたしました。※6 高度管理医療機器(クラスⅢ):不具合が生じた場合、人体へのリスクが比較的高いと考えられる医療機器を指す。(9) 2020年7月 当社は、COVID-19の重症化リスクや治療効果モニタリングにおいて、有用な指標と示唆されているサイトカインの研究用受託測定サービスの提供を開始いたしました。(10) 2020年7月 当社は、がんゲノムプロファイリング検査におけるエキスパートパネル※7の運用効率化に向けて、エキスパートパネル支援システム「OncoGuide™ NET」を発売いたしました。※7 エキスパートパネル:がん薬物療法に関する専門家、遺伝医学に関する専門家、遺伝カウンセリング技術を有する者、病理学に関する専門家、分子遺伝学やがんゲノム医療に関する専門家、主治医等、複数の病院から各分野の専門家が集まって検討し、がんゲノムプロファイリング検査の解析結果の意義づけと治療法の提案を行う会議。(11) 2020年8月 当社は、血液凝固検査分野における新製品「全自動血液凝固測定装置 CN-6500/CN-3500」を発売いたしました。本製品は、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)を用いた測定ユニットを搭載しており、従来の「全自動血液凝固測定装置 CN-6000/CN-3000」で測定可能な血液凝固項目や血小板凝集能項目に加え、凝固分子マーカー等の測定が可能となります。これにより、血栓・止血領域における幅広い検査オーダーに対して本製品1台で測定が可能となります。(12) 2020年8月 当社が製造販売を行うRAS遺伝子変異検出キット「OncoBEAM™※8 RAS CRCキット」を用いた、血液を対象とする大腸がんRAS遺伝子※9変異検査が保険適用されました。※8 OncoBEAM™:Johns Hopkins大学が開発したBEAMing技術(Bead, Emulsion, Amplification, and Magneticsの各頭文字をとって命名された、高感度PCR技術とフローサイトメトリー技術を融合させた遺伝子解析手法)によって血中の微量遺伝子変異を検出する当社の技術名称。※9 RAS遺伝子:RAS遺伝子(KRAS/NRAS遺伝子)変異を有する患者さんは、抗EGFR抗体薬投与により利益(延命効果、腫瘍縮小)が得られない可能性が高いため、コンパニオン診断として治療に先立ちそれらの遺伝子変異検査が行われる。(13) 2020年8月 川崎重工業株式会社及び当社の共同支配企業である株式会社メディカロイドは、国産初の手術支援ロボットシステム「hinotori™ サージカルロボットシステム」の製造販売承認を取得いたしました。(14) 2020年9月 川崎重工業株式会社及び当社の共同支配企業である株式会社メディカロイドが、製造販売を行う手術支援ロボットシステム「hinotori™ サージカルロボットシステム」が保険適用されました。(15) 2020年11月 当社とエーザイ株式会社が共同で開発を進める、血漿を用いたアルツハイマー病診断法に関する最新データを第13回アルツハイマー病臨床試験会議において、当社が発表いたしました。(16) 2020年11月 当社は、自社の全自動免疫測定装置 HISCL™-5000/HISCL™-800を用いて、SARS-CoV-2の抗原検出が可能なSARS コロナウイルス抗原キット「HISCL™ SARS-CoV-2 Ag 試薬」について、体外診断用医薬品としての製造販売承認を取得し保険適用されました。(17) 2020年12月 当社は、インターフェロン-λ3 キット「HISCL™ IFN-λ3 試薬」の製造販売承認を取得いたしました。本製品と全自動免疫測定装置 HISCL™-5000/HISCL™-800を用いて血清中のインターフェロン-λ3を測定することで、SARS-CoV-2陽性患者における重症化リスク判定を補助するための情報を提供いたします。(18) 2020年12月 国立大学法人 神戸大学と当社は、COVID-19の新たな血液検査法として、SARS-CoV-2に対するT細胞免疫応答を検出可能とするELISPOT法に関する共同研究を実施しており、その臨床評価の概要と結果について発表いたしました。(19) 2021年2月 当社が製造販売を行うインターフェロン-λ3 キット「HISCL™ IFN-λ3 試薬」が、SARS-CoV-2陽性患者における重症化リスク判定を補助する検査キットとして保険適用されました。(20) 2021年2月 当社が製造販売を行う遺伝子変異解析セット(がんゲノムプロファイリング検査用)「OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」に関して、製造販売承認の一部変更承認を取得いたしました。124遺伝子の変異・増幅、13遺伝子の融合及びマイクロサテライト不安定性(MSI)の検出が可能になることで、診断や抗がん剤選定など、医師の治療方針決定を補助する、より詳細な遺伝子情報の提供が可能となります。(21) 2021年2月 当社は、A型インフルエンザウイルス抗原及びB型インフルエンザウイルス抗原を個別に検出可能な検査試薬「HISCL™ インフルエンザ 試薬」について、体外診断用医薬品としての製造販売承認を取得し保険適用されました。(22) 2021年3月 当社は第15回アルツハイマー・パーキンソン病学会において、エーザイ株式会社と共同で開発を進めている、血液を用いたアルツハイマー病診断法に関する最新データを発表いたしました。(23) 2021年3月 当社は血球計数検査分野における次世代フラッグシップモデル「多項目自動血球分析装置XRシリーズ」及び白血球3分類コンパクトモデル「多項目自動血球計数装置XQシリーズ」の発売を発表いたしました。 なお、当連結会計年度における研究開発費は22,517百万円であります。
FY2020|3,483 文字
5【研究開発活動】 当社グループは既存の体外診断領域の拡充を図ると共に、個人毎の特性に応じた個別化医療の推進と、より患者様の近くで検査を提供するプライマリケアの推進に取り組んでおります。 個別化医療においては、医薬品の投与に関わるコンパニオン診断薬の開発や、血液からより多くの情報を得るためのリキッドバイオプシー技術の開発に取り組んでおり、プライマリケアにおいては、患者負担の少ない検査法の樹立や、装置の小型化、操作性の向上を目指した開発などに取り組んでおります。 当連結会計年度における、主な研究開発活動の状況は以下のとおりであります。 (1) 2019年4月 マラリア原虫等感染赤血球の自動測定機能を搭載した血球計数検査分野の新製品「Automated Hematology Analyzer XN-31」が、欧州IVD指令に適合してCEマーク※1を取得いたしました。今後、本製品を欧州で発売すると共に、アフリカ・アジアにおいても各国許認可を取得次第順次発売予定であります。※1 CEマーク:欧州経済地域内で販売される特定の製品に対して、取得が義務付けられている基準適合マーク。(2) 2019年5月 当社と国立大学法人大阪大学(以下、大阪大学)は、当社が有する診断技術と大阪大学が有する情報科学分野における知見を活用したヘルスケア分野における新たなイノベーション創出に向け、包括連携契約を締結いたしました。(3) 2019年6月 2018年12月25日に製造販売承認を取得した「遺伝子変異解析セット(がんゲノムプロファイリング検査用)OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」が、がんゲノムプロファイリング検査用システムとして、日本で初めて保険適用を受けました。(4) 2019年8月 RAS遺伝子変異検出キット「OncoBEAM™※2 RAS CRCキット」について、国内での製造販売承認を取得いたしました。リキッドバイオプシーによる大腸がんのRAS遺伝子変異検査に用いる体外診断用医薬品としては国内初となります。※2 OncoBEAM™:Johns Hopkins大学が開発したBEAMing技術によって血中の微量遺伝子変異を検出する当社の技術名称。(5) 2019年8月 当社はフローサイトメトリー(FCM)を用いて白血病や悪性リンパ腫診断の詳細解析などを行うクリニカルFCM検査の市場において、その検体の前処理を自動で行う「Sample Preparation System PS-10」を北米市場で発売いたしました。(6) 2019年9月 当社は臨床検査室の品質と能力に関する要求事項を定めた国際規格ISO 15189※3に基づいた臨床検査室の運営を支援するアプリケーションである「検査品質マネジメント運用支援システム Caresphere™ QM」)を発売いたしました。※3 ISO 15189:臨床検査に特化した品質マネジメントシステムのISO規格。(7) 2019年9月 当社と国立大学法人京都大学(以下、京都大学)は、当社と京都大学 高等研究院 本庶佑特別教授が、2013年から共同で研究開発を行ってきた、可溶性免疫チェックポイント分子(sPD-1、sPD-L1、sCTLA-4)の全自動測定法を構築いたしました。(8) 2019年10月 当社と国立大学法人神戸大学、神戸市及び公益財団法人神戸医療産業都市推進機構は、臨床情報が紐づいた生体試料(バイオリソース)の活用促進を目的に、産官学連携による一般社団法人 BioResource Innovation Hub in Kobeを設立いたしました。(9) 2019年11月 当社と株式会社オプティムは、デジタル医療の事業化を加速することを目的に、合弁会社の設立を目指すことに基本合意いたしました。(10) 2019年12月 当社とエーザイ株式会社は、米国で開催された第12回アルツハイマー病臨床試験会議(Clinical Trials on Alzheimer's Disease: CTAD)において、血漿中の脳由来アミロイドベータから、脳内アミロイド病理を把握できる可能性が示唆されたことを、当社が代表して発表いたしました。(11) 2019年12月 体外診断用医薬品「リノアンプ™BC」が、中国国家薬品監督管理局(National Medical Products Administration:NMPA)の薬事承認を取得いたしました。OSNA™法を用いた乳がんリンパ節転移検査システムは、中国においてクラスⅢ※4として初めて薬事承認された分子生物学的手法によるリンパ節転移検査となります。※4 中国におけるクラスⅢ製品:中国国家薬品監督管理局(NMPA)は、医療機器及び医薬品のリスクレベルに基づいてクラスⅠからⅢを定めている。クラスⅢは、やや高リスクであり、特別な措置を講じて管理を厳格に制御し、安全性・有効性を保証する必要のある医療機器を指す。(12) 2020年1月 当社は2018年12月19日に製造販売承認を取得した「ipsogen JAK2 DX試薬」の販売を開始いたしました。本製品は、血液のがんと言われる造血器腫瘍性疾患のうち、真性赤血球増加症(以下、PV)、本態性血小板血症(以下、ET)及び原発性骨髄線維症(以下、PMF)の診断に有用なJAK2V617F遺伝子※5の変異量を測定する遺伝子検査キットであります。また本製品は、日本で初めてPV、ET及びPMFの診断補助を目的とし、2020年1月1日付で保険適用を受けました。※5 JAK2V617F遺伝子:JAK2とは、チロシンキナーゼJAK2たんぱく質のことで、血液細胞の増殖や分化を調節するシグナルの伝達を行っている。このJAK2の617番のバリンというアミノ酸が、フェニルアラニンに置き換わる異常のこと。(13) 2020年1月 当社とAstrego Diagnostics AB(以下、Astrego社)は、Astrego社が開発を進める尿路感染症※6を対象とした迅速薬剤感受性検査※7の製品化を目的に、当社がAstrego社へ出資することに合意いたしました。※6 尿路感染症:腎臓から尿の出口までを「尿路」と言い、尿路に細菌が進入し炎症が生じたものを尿路感染症という。膀胱では膀胱炎、腎臓では腎盂腎炎を引き起こす。※7 薬剤感受性検査:検体から検出された病原菌に対する各種抗菌薬の効能を調べる検査。(14) 2020年1月 当社と株式会社理研鼎業は、国立研究開発法人理化学研究所の研究成果を新たな事業の創出につなげ社会へ還元することを目指し、共創契約を締結いたしました。(15) 2020年1月 米国で開催された米国臨床腫瘍学会消化器癌シンポジウム2020(American Society of Clinical Oncology Gastrointestinal Cancers Symposium 2020: ASCO-GI 2020)において、聖マリアンナ医科大学臨床腫瘍学 砂川優准教授が、大腸がん患者さんに対する抗EGFR抗体薬の再投与判断における、「OncoBEAM™ RAS CRCキットを用いたリキッドバイオプシーによる大腸がんRAS遺伝子変異検査の有用性についての研究結果を発表いたしました。本研究は、当社と特定非営利活動法人日本がん臨床試験推進機構が共同で進めるバイオマーカー研究であります。(16) 2020年2月 当社と地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立神戸アイセンター病院は、遺伝性網膜変性疾患におけるゲノム医療の臨床実装に関する包括連携契約を締結いたしました。(17) 2020年3月 当社は、「2019-nCoV検出蛍光リアルタイムRT-PCRキット」について、国内初の体外診断用医薬品製造販売承認を取得いたしました。本製品は、リアルタイムPCR装置と共に利用することで、上気道由来検体(鼻咽頭拭い液)または下気道由来検体(喀痰もしくは肺胞洗浄液)から抽出した新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 以下、SARS-CoV-2)のRNAを検出(SARS-CoV-2感染の診断の補助)することが可能となります。 なお、当連結会計年度における研究開発費は21,761百万円であります。
FY2019|3,278 文字
5【研究開発活動】 当社グループは既存の体外診断領域の拡充を図ると共に、個人毎の特性に応じた個別化医療の推進と、より患者様の近くで検査を提供するプライマリケアの推進に取り組んでおります。 個別化医療においては、医薬品の投与に関わるコンパニオン診断薬の開発や、血液からより多くの情報を得るためのリキッドバイオプシー技術の開発に取り組んでおり、プライマリケアにおいては、患者負担の少ない検査法の樹立や、装置の小型化、操作性の向上を目指した開発などに取り組んでおります。 当連結会計年度における、主な研究開発活動の状況は以下のとおりであります。 (1) 2018年4月 当社と国立研究開発法人国立がん研究センター(以下、国立がん研究センター)が共同で開発を進めてきた“がん関連遺伝子パネル※1検査システム”を用いて行う“個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査”が、先進医療※2として承認されたとともに、本検査を国立がん研究センターにて開始いたしました。※1 がん関連遺伝子パネル:がんの診療上重要な複数の遺伝子の変異、増幅や融合を同時に解析できる診断薬のこと。NCCオンコパネルは、国立がん研究センターが中心となり開発された遺伝子パネルであり、日本人に特徴的な遺伝子変異を適切に診断できるように設計されている。※2 先進医療:未だ保険診療の対象に至らない医療技術のうち、厚生労働大臣の承認を受けたものを指す。2004年12月の厚生労働大臣と内閣府特命担当大臣(規制改革、産業再生機構)、行政改革担当、構造改革特区・地域再生担当との「基本的合意」に基づき、国民の安全性を確保し、患者さんの負担増大を防止するといった観点も踏まえつつ、国民の選択肢を拡げ、利便性を向上するという観点から、保険診療との併用を認めることとしたもの。(2) 2018年5月 当社が独自に開発したOSNA™法※3を用いて、がんのリンパ節転移を迅速に検出するがんリンパ節転移検査システムの新製品「遺伝子増幅検出装置 RD-200」及び遺伝子増幅検出試薬「リノアンプ™CK19」を国内で発売を開始することを発表いたしました。※3 OSNA™法:当社が開発した直接遺伝子増幅法(One-Step Nucleic Acid Amplification)。リンパ節へのがん転移の有無を判定できる。(3) 2018年6月 当社、公益財団法人神戸医療産業都市推進機構※4及び国立大学法人京都大学は、神戸医療産業都市推進機構が進める「創薬イノベーションプログラム※5—免疫関連疾患の診断技術の開発—」に関する共同研究を開始いたしました。3者は、共同研究を通じて、自己免疫疾患※6や慢性炎症性疾患の早期発見などを可能とする診断システムの創出を目指します。※4 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構:神戸医療産業都市の中核的支援機関として、産官学医の連携・融合を促進する総合調整機能を担うとともに、先端医療の実現に資する研究開発及び臨床応用の支援、次世代の医療システムの構築を通じて、革新的医療技術の創出と医療関連産業の集積形成に寄与することが基本的なミッション。2018年4月より「公益財団法人先端医療振興財団」から、「公益財団法人神戸医療産業都市推進機構」と名称を変更。※5 創薬イノベーションプログラム:神戸医療産業都市に集積する研究機関や基盤施設などの研究開発機能を結集・連携させたプログラムを国内外の製薬会社などへ提案し、神戸医療産業都市推進機構との共同研究体制により、創薬の開発に必要な研究者、設備、臨床開発などの研究環境を一元的に提供。※6 自己免疫疾患:本来、外部から体内へ侵入した異物を認識し排除する役割を持つ免疫細胞が、自身の体内に存在する物質を攻撃することで生じる疾患の総称。(4) 2018年8月 当社は免疫検査分野の全自動免疫測定装置 HISCL™-5000/2000i/800で使用可能な細菌性敗血症の主要検査項目プレセプシンの測定試薬「HISCL™ プレセプシン試薬」を発売いたしました。従来の敗血症バイオマーカーと比較し、より早期かつ高精度な診断を補助するプレセプシンの測定試薬を試薬ラインアップに加えることにより、細菌性敗血症の早期診断への貢献を目指します。(5) 2018年8月 当社と凸版印刷株式会社、株式会社理研ジェネシスは、がん組織内の遺伝子変異を検出する検査を全自動化する「研究用遺伝子測定装置LW-100」及び関連試薬群を共同で開発いたしました。3者は、本システムの研究用としての提供を開始し、臨床用途での早期実用化に向けて、本システムの臨床的有用性の検証を積極的に進め、がん組織標本を用いた遺伝子検査の標準化を目指します。 (6) 2018年12月 当社は血液凝固検査分野の「全自動血液凝固測定装置 CS-5100/CS-2500/CS-2400、CS-2100i/CS-2000i/CS-1600」で使用可能な新たな凝固第Ⅸ因子測定キット「レボヘムFIX 合成基質」の発売を開始することを発表いたしました。血友病B※7の診断・治療補助として用いられる本製品は、合成基質法を測定原理とした血漿中の凝固第Ⅸ因子測定キットとして国内で初の市場導入となります。※7 血友病:血友病には血友病Aと血友病Bの2種類が存在し、11種類の凝固因子のうち、8番目の因子(血液凝固第Ⅷ因子)の欠乏又は機能低下による疾患が血友病A、9番目の因子(血液凝固第Ⅸ因子)の欠乏又は機能低下による疾患が血友病Bである。第Ⅷ因子及び第Ⅸ因子の活性が40%未満の場合に血友病と診断され、活性が1%未満は重症、1%以上から5%未満は中等症、5%以上は軽症と分類される。(7) 2018年12月 当社は生産性・信頼性・操作性を向上させた血液凝固検査分野の新製品「全自動血液凝固測定装置 CN-6000/CN-3000」の発売を開始することを発表いたしました。(8) 2018年12月 当社は国立研究開発法人国立がん研究センターと共同で開発を進めてきた「OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」について、がんゲノムプロファイリング検査用のシステムとして日本で初めて製造販売承認を取得いたしました。(9) 2018年12月 当社はイメージングFCM技術※8を活用し、血液中の細胞を用いて染色体異常を調べるFISH検査※9を自動化する「イメージングフローサイトメーター MI-1000」及び「ソフトウェア MI FISH Master」を開発し、研究用として市場導入を開始することを発表いたしました。研究市場において自動化されたFISH検査の有用性検証を推進することにより、臨床用として活用可能なフローFISH検査を早期に確立し、FISH検査の効率化・標準化を目指します。※8 イメージングFCM:フローサイトメトリー(FCM)は、微細な粒子を流体中に分散させ、その流体を細く流して個々の粒子を光学的に分析する手法のことで、主に細胞を個々に観察する際に用いられる。イメージングFCMは、大量の細胞を処理できるFCMと、細胞形態・蛍光画像の高速撮像及びそれら画像を自動分析する能力を兼ね備えたメルク社独自の技術。※9 FISH検査:特定の遺伝子にだけ結合する蛍光物質を使って染色体の中にある目的の遺伝子を検出する方法。通常のFISH検査は、スライドを顕微鏡で観察する必要があるが、フローFISH検査はイメージングフローサイトメーターで撮像し、自動解析を行うことが可能。(10) 2019年1月 当社は2018年12月に製造販売承認を取得した「OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」を発売いたしました。 なお、当連結会計年度における研究開発費は19,578百万円であります。また、2019年3月31日現在取得の工業所有権の総数は7,697件(海外を含む)となっております。
FY2018|4,136 文字
5【研究開発活動】 当社グループは既存の体外診断領域の拡充を図ると共に、個人毎の特性に応じた個別化医療の推進と、より患者様の近くで検査を提供するプライマリケアの推進に取り組んでおります。 個別化医療においては、医薬品の投与に関わるコンパニオン診断薬の開発や、血液からより多くの情報を得るためのリキッドバイオプシー技術の開発に取り組んでおり、プライマリケアにおいては、患者負担の少ない検査法の樹立や、装置の小型化、操作性の向上を目指した開発などに取り組んでおります。 当連結会計年度における研究開発活動により製品化したものは、以下のとおりであります。 (1) 「塗抹標本作製装置 SP-50」及び「多項目自動血球分析装置XNシリーズ XN-9100、XN-3100、XN-1500」の発売 当社は血球計数検査分野の「多項目自動血球分析装置 XNシリーズ」の製品ラインアップを拡充し、新製品である「塗抹標本作製装置 SP-50」を含めた新たな「多項目自動血球分析装置XNシリーズ XN-9100、XN-3100、XN-1500」をグローバルに発売いたしました。 新たなXNシリーズは、搬送ラインの小型化を行うことでシステム設置スペースを縮小すると共に、SP-50では設置面積を従来装置の約60%に小型化することを実現いたしました。また、SP-50にオプションの濃縮試薬を使用することで、試薬交換回数の大幅な減少による業務の効率化と共に試薬在庫スペースの軽減にも貢献いたします。XN-9100は搬送ラインの小型化に加え、1つの搬送ライン内での装置設置台数増加を実現し、設置面積当たりの検体処理能力を向上させることで、大学病院、検査センターなどの大規模施設における検査業務のさらなる効率化に寄与いたします。また、XN-3100及びXN-1500を製品ラインアップに加えることで、中規模施設における顧客の多様なニーズにも対応してまいります。(2) 抗凝固療法モニタリングの主要検査項目プロトロンビン時間の測定試薬「レボヘム PT」の発売 当社は心筋梗塞や脳梗塞などの血栓が原因とされる疾患への抗凝固療法※1モニタリング主要検査項目である、プロトロンビン時間(PT)の測定試薬「レボヘム PT」を国内で発売いたしました。本試薬は国産では初めて、カイコで量産したリコンビナントタンパク質を用いたPT試薬であります。 2012年の世界における死亡原因※2の1位である虚血性心疾患及び2位の脳卒中は、血栓が原因とされており、それらの治療には抗凝固療法が広く普及しております。PT検査は抗凝固療法に用いられる薬剤の1つであるワルファリンのモニタリングなどを目的とした、血栓止血検査の主要検査項目であります。 従来のPT試薬は、主要成分である組織因子に動物由来(ウサギ大脳、ヒト胎盤など)の原料を使用しており、原料の安定した調達に課題がありましたが、自社の生産技術であるカイコ・バキュロウイルス発現系※3を用いたリコンビナントタンパク質を適用することで安定した原料生産が可能となりました。また、リコンビナントタンパク質と合成原料を用いることで、ロット間差を低減するとともに、溶解性・溶解後安定性に優れた試薬を実現いたしました。 なお、本試薬は「全自動血液凝固測定装置 CSシリーズ」、「全自動血液凝固測定装置 CAシリーズ」及び「半自動血液凝固測定装置 CA-101/104」で使用が可能であります。今後は、自社リコンビナントタンパク質生産技術を他検査項目試薬にも展開してまいります。※1 抗凝固療法:抗凝固薬を用いて血液の凝固能を低下させ、心臓、動脈や静脈、体外循環回路内の凝固を阻止する治療法。※2 出典:The top 10 causes of death (WHO, 2014)※3 カイコ・バキュロウイルス発現系:バキュロウイルス(昆虫を主な宿主として感染する核多角体病ウイルス)のDNAに、目的とする遺伝子を組み込み、この遺伝子組み換えバキュロウイルスをカイコの幼虫あるいは蛹(さなぎ)に注入して感染させ、目的タンパク質の生産を行わせるもの。細胞内に微量しか存在しないタンパク質を大量に作りだすことが可能。(3) 凝固第Ⅷ因子定量試薬「レボヘムFVIII 合成基質」の発売 当社は血液凝固検査分野の新製品である、凝固第Ⅷ因子定量試薬「レボヘムFVIII 合成基質」を国内で発売いたしました。 血友病※4には、不足している凝固因子のタイプによって、血友病Aと血友病Bの2種類があります。血友病Aは、血液中の凝固第Ⅷ因子が欠乏するために止血機能が低下する出血性疾患であります。血友病Aの診断には、凝固第Ⅷ因子定量検査が行われ、さらにその治療に用いられる凝固第Ⅷ因子製剤の投与後のモニタリングとしても本検査が行われます。 凝固第Ⅷ因子定量検査には、主に凝固一段法による検査(APTT試薬を用いる検査)と合成基質法による検査があり、これまで凝固一段法が広く用いられてきました。しかし、凝固一段法は用いる試薬の種類によって測定値が一致しないケースがあることが知られております。 そのため、欧州では合成基質法の普及が進んでおり、欧州薬局方(European Pharmacopoeia)を発行している欧州評議会(Council of Europe)は全ての凝固因子製剤の力価は合成基質法で測定するよう求めております。また、日本においても日本血栓止血学会より、合成基質法による第Ⅷ因子定量検査を導入することが求められております。※5 さらに近年、血友病Aの治療における、第Ⅷ因子製剤の投与回数の低減を目指した「半減期延長血液凝固因子製剤」※6の開発が進んでおりますが、合成基質法による凝固第Ⅷ因子の定量検査は、半減期延長血液凝固因子製剤投与におけるモニタリングへの活用や、軽症血友病Aの診断補助における臨床症状と測定値の一致性の高さなど、有用性が示されております。 本試薬は合成基質法による凝固第Ⅷ因子の定量検査を行う試薬で、当社の「全自動血液凝固測定装置 CSシリーズ」で使用が可能であります。これにより、国内外における学会の推奨検査法に対応するとともに、試薬ラインアップ拡充により顧客の多様なニーズに対応してまいります。※4 血友病:血液中の血を固めるタンパク質(凝固因子)の一部が欠乏、又はうまく働かないために止血異常を引き起こす疾患。血友病には血友病Aと血友病Bの2種類が存在し、11種類の凝固因子のうち、8番目の因子(血液凝固第Ⅷ因子)の欠乏又は機能低下による疾患が血友病A、9番目の因子(血液凝固第Ⅸ因子)の欠乏又は機能低下による疾患が血友病Bである。第Ⅷ因子及び第Ⅸ因子の活性が40%未満の場合に血友病と診断され、活性が1%未満は重症、1%以上から5%未満は中等症、5%以上は軽症と分類される。※5 血友病部会, 日本血栓止血学会, 2015, 26(4), 468-469.※6 半減期延長血液凝固因子製剤:従来の血液凝固因子製剤よりも血漿中消失半減期が延長されており、3~5日間隔の定期的な投与や、患者の状態によっては週1回の投与も可能となり、従来よりも静脈注射の回数が減ることで患者への負担軽減が期待される。(4)「研究用全自動高感度免疫測定装置 HI-1000」の発売 当社はリキッドバイオプシーによる個別化医療実現を目指し、「研究用全自動高感度免疫測定装置 HI-1000」を発売いたしました。 リキッドバイオプシーは、血液や尿などの体液中に存在する病気由来の成分(遺伝子、タンパク質、細胞など)を測定し診断などに活用するものです。病巣から血液や体液中に放出されたごく微量の成分を検出する必要があるため、腫瘍など組織の一部を採取して行っていた従来の生体検査より、はるかに高感度な測定技術が求められます。 HI-1000は、CLEIAをベースに、非特異結合※7由来のバックグラウンドノイズを低減することにより高感度を実現する免疫複合体転移法※8を搭載した研究用全自動免疫測定装置です。従来法と比較し数十倍から数千倍の高感度化※9を実現することで、pg/mL未満のタンパク質を検出することが可能となり、従来は困難であったごく微量な血中バイオマーカーの測定を実現します。また、反応時間や温度など複数のパラメータを任意で設定可能な仕様とすることで、お客様がターゲットとするバイオマーカーに適した測定が可能となります。 さらに、お客様の新たなバイオマーカーの実用化に向けて、HI-1000で自動測定するために必要となる試薬開発や測定条件の設定、自社リコンビナントタンパク質生産技術を活用した試薬開発のための原料開発や生産に加え、開発した試薬を用いたエビデンス蓄積のための測定受託など、さまざまなサービスの提供を予定しております。 今後も、個別化医療の実現を目指して、価値の高いバイオマーカーの実用化に向けた研究開発を促進してまいります。※7 非特異結合:抗体を用いた検出系において、検出対象以外の物質に抗体が反応すること。免疫測定においては、多くの非特異結合が要因となって高感度化を妨げており、特に標識抗体の固相表面(ビーズ)への非特異結合が、バックグラウンドノイズになることが知られている。※8 免疫複合体転移法:測定対象を含む免疫複合体(抗原抗体反応の結合物)を、ビーズなどの担体に形成させた後に、複合体の形を保ったまま担体上から解離させ、次に解離した免疫複合体を別の担体で捕らえて、測定を行う。これにより、非特異結合に起因するバックグラウンドノイズを抑え、高感度測定が可能となる。※9 酵素免疫測定法および化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)と比較した場合(当社調べ)。対照法、測定項目によって異なります。 なお、当連結会計年度における研究開発費は16,754百万円であります。また、2018年3月31日現在取得の工業所有権の総数は7,321件(海外を含む)となっております。
FY2017|3,569 文字
6【研究開発活動】 当社グループは、臨床検査の総合サプライヤーを目指して、常に最先端技術に対する積極的な挑戦と信頼性を追求しながら新たな診断技術の研究開発に取り組み、顧客の幅広いニーズを先取りした製品の開発を進めております。 当社グループの研究開発は、主として当社のヘマトロジープロダクトエンジニアリング本部商品開発部、UBプロダクトエンジニアリング本部商品開発部、免疫・生化学プロダクトエンジニアリング本部商品開発グループ、凝固プロダクトエンジニアリング本部商品開発グループ、ライフサイエンスプロダクトエンジニアリング本部商品開発部、ソリューション推進本部システム開発部、技術開発本部及び中央研究所において臨床検査分野及びライフサイエンス分野を中心に推進しております。また、当社の研究開発企画本部において、研究開発全般の技術戦略の立案と研究開発活動の支援を行っており、戦略に基づく経営資源配分の最適化を図る体制を整備しております。 研究開発活動においては、その対象領域を「血液疾患及び免疫疾患」、「がん」、「慢性疾患」、「感染症」とし、細胞を検出するフローサイトメトリー技術、遺伝子を増幅、検出する直接遺伝子増幅技術やDNAチップ技術、抗体検査のための化学発光酵素免疫測定技術やクロマト技術、測定により得られた結果から病態をシミュレーションするシステムバイオテクノロジー技術などを技術プラットフォームとして、疾患の早期発見、患者個々に最適な治療の選択を可能とする価値の高い診断技術の創出を目指しております。 また、トータル・ソリューション・プロバイダーをコンセプトとして掲げ、検体検査機器のみならず検体検査試薬及び臨床検査情報システムを含む一貫した製品開発に取組んでおります。当連結会計年度における主な研究開発活動は、以下のとおりであります。 (1) 糖鎖マーカーを用いた診断薬の開発を推進 当社は、糖鎖※1マーカーを用いた新たな診断薬の提供を目指し、グライコバイオマーカー・リーディング・イノベーション株式会社(以下、GL-i社)と免疫検査試薬の共同開発を推進してまいります。 GL-i社は、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)から、その知的財産の価値を高め世に送り出す期待を込めて設立され、「産総研技術移転ベンチャー」の称号を付与された会社で、産総研で開発された糖鎖解析技術に関する研究成果の実用化(臨床検査薬、創薬)を推進しております。 糖鎖は、細胞の表面や、血液中に存在するほとんどのタンパク質上に存在し、タンパク質を生産する細胞の状態(病気か健康かなど)が変化すると、糖鎖自身も変化するという特性を持っております。これまでのタンパク質(抗原・抗体)の量的変化ではなく、タンパク質上の糖鎖の質的変化を検出することで、これまでにない新たな臨床価値が提供できると期待されております。 当社はこれまで免疫検査事業において、世界初となる糖鎖マーカーを用いた、肝線維化検査用試薬「HISCL M2BPGi®試薬」の共同開発を通して産総研と関係を構築してまいりました。 当社、産総研及びGL-i社は、胆管がんなどの新たなバイオマーカーの共同開発に取り組んでおり、産総研はマーカー探索等の基礎研究、GL-i社は臨床研究、当社は診断薬の開発、薬事認可取得、製造、販売等の役割を担い、実用化に向けた共同開発を推進しております。 今後、GL-i社との共同開発の推進により、日本発の糖鎖マーカーを用いた診断薬開発メーカーとしての確固たるポジションの確立及び免疫検査事業における新規項目の創出を目指します。※1 糖鎖:細胞表面や血液中のタンパク質上に存在する糖が連なった物質。「細胞やタンパク質が羽織る衣装のようなもの」とも例えられる。個々の細胞に特異的な情報伝達や細胞間コミュニケーションなどの役割を果たしている。糖鎖マーカーは糖タンパク質に存在する糖鎖の構造変化をターゲットにしたバイオマーカー。(2) 他家iPS細胞由来 網膜色素上皮細胞(RPE細胞)の移植前免疫反応検査法に関する共同研究開発を開始 当社、株式会社ヘリオス(以下、ヘリオス)及び大日本住友製薬株式会社(以下、大日本住友製薬)の3社は、他家iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞(RPE細胞)の移植前免疫反応検査法を確立するための共同研究開発を開始いたしました。 iPS細胞※2を用いた移植治療には、患者本人由来のiPS細胞から作製した細胞を用いる自家移植と、ある一定の条件を満たしたドナー由来のiPS細胞(他家iPS細胞)から作製した細胞を用いる他家移植の2つの方法が存在します。このうち自家移植は、すでに治療の実績がありますが、患者本人由来の細胞からiPS細胞を作製し、その後iPS細胞を移植に適した細胞に分化※3誘導する必要があり、移植用の細胞の作製に時間を要することや、製造コストが高額となることなどが課題となっております。 一方、他家移植の場合、他家iPS細胞をセルバンク※4等により管理し、標準化された工程で計画的に移植用の目的細胞の生産を行うことによって、品質が担保された移植用の細胞を必要なときに安定的かつ安価に供給することが可能になると考えられております。しかし、他家iPS細胞由来の細胞を治療に用いる他家移植の場合、移植後に免疫拒絶反応※5が生じることも想定されることから、免疫拒絶反応の有無を含めた移植適合性を、移植前に確認するための新たな検査法の開発が求められております。 当社、ヘリオス及び大日本住友製薬は、ヘリオス及び大日本住友製薬が国内で共同開発する加齢黄斑変性※6等の眼疾患を対象とした他家iPS細胞由来のRPE細胞※7を含有する再生医療等製品の、移植前免疫反応検査に関して共同で研究開発を開始いたしました。 ヘリオス及び大日本住友製薬は、他家iPS細胞からRPE細胞を作製して当社に提供し、当社は、自社が保有するイメージングフローサイトメーターやタンパク質解析技術を用いて移植前免疫反応検査法の開発を行います。検査で得られた結果は、患者にとって移植後における免疫抑制剤の投与回数/投与量の最適化といった他家細胞移植後の免疫抑制療法に反映されることが期待されます。 当社、ヘリオス及び大日本住友製薬は、医療のさらなる質の向上や効率化に向けた技術開発を進めるとともに、最先端技術の実用化に向け研究開発に取り組んでまいります。※2 iPS細胞:人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell)の略。ヒトの皮膚の細胞などにいくつかの因子を導入することによって作製された、さまざまな組織や臓器の細胞に分化する能力を持った多能性幹細胞。※3 細胞分化:ES細胞(胚性幹細胞)やiPS細胞のような幹細胞、或いは前駆細胞が、特定の機能と形態を持つ細胞へ変化すること。※4 セルバンク:最終製品の安定的・継続的製造のため、単一の細胞から一定の方法で調製(拡大培養)された細胞が、複数の容器に分注され、一定条件下で保存されている状態のこと。iPS細胞の場合、日本人の健常ボランティアの細胞を収集する再生医療用iPS細胞ストックプロジェクトが進められている。※5 免疫拒絶反応:生体が自己を守るために持っている、異物の侵入に抵抗し、これを阻止しようと免疫細胞が活性化する反応のこと。組織や細胞の移植の成否に大きく関わるため、現状では免疫抑制剤を用いるなどしてこの拒絶反応をコントロールしている。※6 加齢黄斑変性:物を見るときに重要な働きをする網膜の黄斑という組織が、加齢とともにダメージを受けて変化し、視力の低下を引き起こす病気。加齢黄斑変性には黄斑の組織が加齢とともに萎縮する「萎縮型」と、網膜のすぐ下に新しい血管(新生血管)ができて、この血管が黄斑にダメージを与える「滲出型」がある。※7 網膜色素上皮細胞(RPE細胞):網膜の最も外側の層を覆う組織を構成する細胞。メラニン色素を含み、網膜内に入る余分な光を吸収し、散乱を防ぐなどの機能をもつ。また、外側の脈絡膜と内側の網膜の間の物質の出入りを制御する関門の役割も果たす。 今後も、医療を最適化、標準化するための価値の高い検査を提供し、当社グループの企業理念である「Sysmex Way」のミッションとして掲げている「ヘルスケアの進化をデザインする。」の実現を目指した研究開発活動に取り組んでまいります。 なお、当連結会計年度における研究開発費は15,554百万円であります。また、平成29年3月31日現在取得の工業所有権の総数は7,031件(海外を含む)となっております。
FY2016|4,187 文字
6【研究開発活動】 当社グループは、臨床検査の総合サプライヤーを目指して、常に最先端技術に対する積極的な挑戦と信頼性を追求しながら新たな診断技術の研究開発に取り組み、顧客の幅広いニーズを先取りした製品の開発を進めております。 当社グループの研究開発は、主として当社のヘマトロジープロダクトエンジニアリング本部商品開発部、UBプロダクトエンジニアリング本部商品開発第一部・商品開発第二部、免疫・生化学プロダクトエンジニアリング本部商品開発グループ、凝固プロダクトエンジニアリング本部商品開発グループ、ライフサイエンスプロダクトエンジニアリング本部商品開発部、ソリューション推進本部システム開発部、技術開発本部及び中央研究所において臨床検査分野及びライフサイエンス分野を中心に推進しております。また、当社の研究開発企画本部において、研究開発全般の技術戦略の立案と研究開発活動の支援を行っており、戦略に基づく経営資源配分の最適化を図る体制を整備しております。 研究開発活動においては、その対象領域を「血液疾患及び免疫疾患」、「がん」、「慢性疾患」、「感染症」とし、細胞を検出するフローサイトメトリー技術、遺伝子を増幅、検出する直接遺伝子増幅技術やDNAチップ技術、抗体検査のための化学発光酵素免疫測定技術やクロマト技術、測定により得られた結果から病態をシミュレーションするシステムバイオテクノロジー技術などを技術プラットフォームとして、疾患の早期発見、患者個々に最適な治療の選択を可能とする価値の高い診断技術の創出を目指しております。 また、トータル・ソリューション・プロバイダーをコンセプトとして掲げ、検体検査機器のみならず検体検査試薬及び臨床検査情報システムを含む一貫した製品開発に取組んでおります。当連結会計年度における主な研究成果は次のとおりであります。(1)全自動尿中有形成分分析装置「UF-5000/4000/3000」の発売 当社は、尿検査分野の新製品として全自動尿中有形成分分析装置「UF-5000/4000/3000」を平成27年9月に発売しました。尿検査は、一次的な検査として行われる尿試験紙を用いた尿定性検査と、尿定性検査で異常と認められた検体をより詳しく分析する二次的な検査の尿沈渣検査に分けられます。尿沈渣検査は、腎疾患、尿路疾患の診断に活用される重要な検査で、尿中に現れる有形成分である赤血球、白血球、細菌などを分類・測定するものですが、当社は、平成7年にフローサイトメトリー法を用いた尿中有形成分の自動定量分析をUF-100にて実現し、平成18年にはその後継機種であるUF-1000iを発売し、尿沈渣検査の効率化、標準化に貢献してきました。このたび発売した製品は、UF-1000iの次世代モデルであり、ブルーレーザー等を採用することで、精度や分画能の向上を実現するとともに、尿に加え体液を用いた検査も可能にしました。この製品は、検体数の増加に応じて装置の増設が可能であり、将来的には、尿定性検査装置との連携や大規模施設における複数台の搬送接続にも対応が可能となります。(2)転移性大腸がんの血中RAS遺伝子変異バイオマーカー検査の運用開始 当社の子会社であるシスメックス アイノスティクス ゲーエムベーハー(以下、「アイノスティクス」という。)と独メルク社が共同で開発した転移性大腸がんにおける血中RAS遺伝子※1変異検査「OncoBEAMTM※2RAS CRCテスト」(研究用)をドイツの病院において運用を開始しました。アイノスティクスと独メルク社は、平成26年5月に血中遺伝子検査技術による大腸がんコンパニオン診断薬※3の共同開発契約を締結し、以降、アイノスティクスは独メルク社が販売している転移性大腸がんの抗がん剤(製品名:アービタックス®)を対象としたコンパニオン診断薬の開発に取組んできましたが、このたび、転移性大腸がんにおける血中RAS遺伝子※1変異検査「OncoBEAMTM※2RAS CRCテスト」(研究用)をドイツのルール大学ボーフム・鉱員共済組合病院で運用を開始しました。本検査により、従来の患者から採取したがん組織を用いた生体検査と比較し、より迅速かつ容易にRAS遺伝子変異を特定することができ、個々の患者に最適な治療に貢献します。※1RAS遺伝子:RAS遺伝子が変異するとがんを引き起こすことが知られている遺伝子。※2OncoBEAMTM:Johns Hopkins大学が開発したBEAMing技術(Bead, Emulsion, Amplification, and Magneticsの各頭文字をとって命名されたもので、高感度PCR技術とフローサイトメトリー技術を融合させた遺伝子解析手法)によって血中の微量遺伝子変異を検出する技術名称。※3コンパニオン診断薬:医薬品の効果や副作用を投薬前に予測するために行われる臨床検査のこと。(3)非小細胞肺がんのリンパ節転移検査の自動化を実現 当社は、既に乳がん、大腸がん、胃がんのリンパ節転移検査用として販売している検査試薬「リノアンプBC」の非小細胞肺がんリンパ節転移検査への適応拡大について、厚生労働省より平成27年11月4日付で製造販売承認を取得しました。肺がんは、大きくは組織型の違いにより非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分けられ、肺がんの約85%は非小細胞肺がんとされており※4、非小細胞肺がん治療において、リンパ節転移の有無、その位置や個数はがんの進行度を決定する指標の一つで、肺の切除を伴う治療や抗がん剤投与などの治療方法の決定に有用です。このたび適応拡大の承認を取得した非小細胞肺がんリンパ節転移迅速検査は、乳がん、大腸がん、胃がんと同じ機器・試薬を用いて非小細胞肺がんのリンパ節転移の有無を判定することが可能です。当社が開発したOSNA法※5によるリンパ節転移迅速検査システムは、短時間でリンパ節転移検査の判定結果を得ることができ、非小細胞肺がんリンパ節転移迅速検査の精度向上、より適切な治療方法の決定に貢献することが期待できます。※4出典:「もっと知ってほしい肺がんのこと2014年度版」NPO法人キャンサーネットジャパン※5OSNA法:当社が開発した直接遺伝子増幅法(One-Step Nucleic Acid Amplification)。(4)全自動尿化学分析装置「UC-3500」の発売 当社は、尿定性検査分野の新製品として全自動尿化学分析装置「UC-3500」を平成28年1月より海外市場において発売しました。尿検査は、一次的な検査として行われる尿試験紙を用いた尿定性検査と、尿定性検査で陽性とされた検体をより詳しく分析する二次的な検査の尿沈渣検査に分けられており、尿沈渣検査は、腎疾患、尿路疾患の診断に活用される重要な検査で、尿中に現れる有形成分である赤血球、白血球、細菌などを分類・測定するものです。当社は、従来は臨床検査技師が顕微鏡で観察(鏡検)していた尿沈渣検査において、平成7年にフローサイトメトリー法を用いた尿中有形成分の自動定量分析を実用化し、全自動尿中有形成分分析装置「UFシリーズ」を通じて尿沈渣検査の効率化、標準化に貢献してきました。このたび発売した製品は、シンプルな操作パネルを搭載する等、ユーザビリティを優先した設計としており、最大276テスト/時間の処理能力を有しています。また、尿定性検査分野の「UC-3500」と尿沈渣検査分野の「UF-5000/4000/3000」を組み合わせることにより、多様な尿検査のワークフローニーズに対応が可能となります。さらに、尿検査部門情報管理システム「U-WAM」※6上で患者情報や尿定性、尿沈渣検査の結果等を確認することにより、これまで以上に価値のある診断サポート情報の提供やワークフローの効率化を図ることができます。※6尿検査部門情報管理システム「U-WAM」:尿検査の結果を一括管理する検査情報管理システム。(5)全自動尿中有形成分撮像ユニット「UD-10」の発売 当社は、尿沈渣検査分野の新製品として全自動尿中有形成分撮像ユニット「UD-10」を平成28年1月に発売しました。尿検査は、一次的な検査として行われる尿試験紙を用いた尿定性検査と、尿定性検査で陽性とされた検体をより詳しく分析する二次的な検査の尿沈渣検査に分けられており、尿沈渣検査は、腎疾患、尿路疾患の診断に活用される重要な検査で、尿中に現れる有形成分である赤血球、白血球、細菌などを分類・測定するものです。当社は、従来は臨床検査技師が顕微鏡で観察(鏡検)していた尿沈渣検査において、平成7年にフローサイトメトリー法を用いた尿中有形成分の自動定量分析を実用化し、鏡検の低減に取り組んできましたが、分析装置が異常と判断した検体の確認には鏡検が必要とされており、臨床検査技師が検体を遠心分離した上で、スライド標本を作製する必要がありました。このたび発売した製品は、全自動尿中有形成分分析装置「UF-5000/4000/3000」において再検査が必要と判定された検体を撮像し、尿検査部門情報管理システム「U-WAM」を介して検体内に含まれる有形成分を大まかなサイズごとに画面に表示させることにより、顕微鏡による標本スライド観察同様に目視確認が可能となるため、臨床検査技師の作業負担を大幅に軽減することができます。さらに、「UC-3500」及び「UF-5000/4000/3000」と「UD-10」を組み合わせることにより、多様な尿検査のワークフローニーズに対応し、尿検査全体の所要時間の短縮にも貢献します。 今後も、医療を最適化、標準化するための価値の高い検査を提供し、シスメックスグループの企業理念である「Sysmex Way」のミッションとして掲げている「ヘルスケアの進化をデザインする。」の実現を目指した研究開発活動に取り組んでまいります。 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は17,775百万円となっています。また、平成28年3月31日現在取得の工業所有権の総数は6,713件(海外を含む)となっております。