6841

横河電機(6841)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気機器 電機・精密

事業の概要

横河電機グループは、主に3つの事業を展開しています。主力は「制御事業」で、工場やプラントの生産性向上を支援するシステムやソフトウェア、流量計、圧力計などを提供し、お客様の経営レベルまで総合的なソリューションを提供しています。次に「測定器事業」では、波形測定器や光通信関連測定器などを製造・販売しています。その他、「新事業他」として産業用IoTソリューションや不動産関連事業も手掛けています。世界各地に子会社や関連会社を持ち、製造から販売、アフターサービスまで一貫して行い、グローバルに収益を上げています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

横河電機グループの事業セグメントは大きく3つあります。最も売上と営業利益が大きいのは「インダストリアルオートメーション&コントロール(地域)」で、これは主に工場やプラント向けの制御システムやソリューションを提供する事業で、地域別の売上が計上されています。次に「テスト&メジャーメント(事業)」は、波形測定器や光通信関連測定器などの測定器事業です。最後に「新事業他(地域)」は、産業用IoTソリューションや不動産関連事業などを含みます。売上と利益の大部分をインダストリアルオートメーション&コントロール事業が占めており、同社の主要な収益源となっています。

2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
IndustrialAutomationAndControl 地域 5,283 776 14.7%
TestAndMeasurement 事業 299 62 20.8%
NewBussinessesOther 地域 42 -3 -6.8%
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FY2025|1,142 文字
3【事業の内容】 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、横河電機㈱(当社)、子会社125社及び関連会社3社により構成されています。当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業における位置付けは次のとおりです。 (1)制御事業 提供するソリューション及び主要な製品は、プラントの現場から経営レベルまでライフサイクルにわたりお客様価値を最大化する総合的ソリューション、生産性向上のための各種ソフトウエア、生産制御システム、流量計、差圧・圧力伝送器、プロセス分析計、プログラマブルコントローラ、工業用記録計、共焦点スキャナ等です。 横河マニュファクチャリング㈱、Yokogawa Electric Asia Pte.Ltd.、横河電機(蘇州)有限公司等が製造したものを、日本国内につきましては主に横河ソリューションサービス㈱が、海外につきましては、主にYokogawa Engineering Asia Pte. Ltd.等が東南アジア各地にて、Yokogawa Europe B.V.等が欧州各地にて、Yokogawa Corporation of America等が北米にて、Yokogawa Middle East & Africa B.S.C.(c)等が中東及びアフリカ各地にて、横河電機(中国)有限公司等が中国にて、それぞれ販売、エンジニアリングサービス及びアフターサービスを行っています。共焦点スキャナ等については主に横河マニュファクチャリング㈱等が製造し、横河電機㈱が販売及びアフターサービスを行っています。 (2)測定器事業主要な製品は波形測定器、光通信関連測定器、信号発生器、電力・温度・圧力測定器等です。 波形測定器、光通信関連測定器、信号発生器、電力・温度・圧力測定器については、横河マニュファクチャリング㈱等が製造したものを、日本国内につきましては主に横河計測㈱が、海外につきましては、主にYokogawa Engineering Asia Pte. Ltd.等が東南アジア各地にて、Yokogawa Europe B.V.等が欧州各地にて、Yokogawa Corporation of America等が北米にて、横河測量技術(上海)有限公司が中国にて、それぞれ販売及びアフターサービスを行っています。 (3)新事業他 主に、産業用IoT(IIoT)のハードウエア、ソフトウエア、クラウド環境を提供するソリューションビジネス等を行っています。その他、横河パイオニックス㈱が不動産関連事業を行っています。 事業系統図以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。  (注)上図の関係会社のうち、名称の表記されている会社は、すべて連結子会社です。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
コスト競争激化の記載がある一方で、デジタル技術活用による競争優位性確立への取り組みが見られるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
計測・制御・情報の基礎研究、先端技術およびIIoTやAI等のデジタル技術開発を継続的に推進している。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:外部環境に関するリスク(政策、経済、社会、地政学) / 金融市場の変動に係るリスク(為替、金利、株価) / コスト競争力低下のリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

横河電機は、産業用計測機器や制御システム分野で長年の実績と信頼を築いており、特定の技術分野における特許やノウハウを有している。しかし、ブランド力はグローバルなコングロマリットと比較すると限定的であり、特許の陳腐化リスクも存在する。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

同社の制御システムは、プラントの基幹部分に導入されることが多く、一度導入されると運用・保守体制の構築やオペレーターの習熟度から、他社システムへの切り替えには多大なコストとリスクが伴う。特に、既存顧客との長期的な保守契約がスイッチング・コストを形成している。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

同社の事業モデルは、個々の顧客との取引が中心であり、ユーザーが増えることでサービス価値が向上するようなネットワーク効果は基本的に見られない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

製造業として一定の規模の経済は働くものの、高度な技術を要する製品開発・製造コストは高く、競合他社と比較して構造的なコスト優位性を確立しているとは言えない。サプライチェーンの効率化努力は継続している。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

産業用制御システム市場において、横河電機は主要プレイヤーの一つであり、一定の市場シェアを確保している。しかし、グローバル市場ではABBやシーメンスといった巨大企業も存在し、絶対的な寡占状態ではなく、効率的な規模の経済を活かした競争優位性は限定的。

横河電機グループは、プラントの現場から経営レベルまで、お客様のライフサイクル全体を支援する総合的なソリューション提供能力に強みがあります。生産制御システムや各種測定器、ソフトウェアを組み合わせることで、顧客の生産性向上に貢献しています。また、世界各地に販売・サービス拠点を持ち、グローバルな顧客基盤とサポート体制を構築している点も優位性と言えます。長年の実績と技術力により、産業界における信頼とブランドを確立し、高い参入障壁を築いていると考えられます。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。  当社グループは、2021年度に社会共通の課題の解決によって持続的な成長を実現するために、長期経営構想の抜本的な見直しとともに中期経営計画「Accelerate Growth(アクセラレート グロウス)2023(AG2023)」を発表し、2030年のYOKOGAWAのありたい姿の実現に向けて、2023年度までの3年間、社会共通課題を軸とした事業構造を確立するための取り組みを進めてきました。 現在の長期経営構想は、AG2023策定時に抜本的に見直したものであり、2030年を見据えた「YOKOGAWAのありたい姿」を端的に示したVision statement「YOKOGAWAは、自律と共生によって持続的な価値を創造し、社会課題の解決をリードしていきます。」とその実現に向けての方向性を示しています。AG2023が終了を迎えるにあたっては、この長期経営構想は大きな見直しなくそのまま引き継ぐこととし、2024年度からの中期経営計画「Growth for Sustainability(グロウス フォー サステナビリティ)2028(GS2028)」を新たに策定し、その取り組みを開始しました。GS2028では、AG2023で確立した業種軸の事業構造を基盤に、環境・社会・ガバナンスの視点で事業活動に取り組み、社会価値と企業価値の向上を実現させるための変革を加速させます。 (1) 経営の基本方針当社グループは、YOKOGAWAのIdentityを以下のとおり整理しました。創業の精神と、それを受け継いだ企業理念は、社会におけるYOKOGAWAの在り方を示すものです。Vision statementは、2030年を見据えてYOKOGAWAが何をしていくかを示し、共有する価値観は行動をするうえでの指針を示しています。Yokogawa’s Purposeは、それら全てを踏まえ、YOKOGAWAが存在する意義を、意思を込めたコミットメント(公約)として示しています。[創業の精神]創業にあたり、横河民輔は、日本の計測業界の先駆者として歩み始めた横河一郎(後の初代社長)と青木晋(後の初代技師長)に、「君たちは、この仕事でもうけようなどと考える必要はない。それよりもまず、技術を覚え、技術をみがくことだ。横河電機の製品はさすがに良い、といわれるようにしてもらいたい」と語りました。この言葉は創業の精神として今日まで受け継がれています。[企業理念]創業の精神を受け継ぎ1988年に制定された企業理念は、社会に向けてのYOKOGAWAの使命とYOKOGAWA人の価値基準や行動指針を表した、YOKOGAWAの決意表明です。[Yokogawa’s Purpose]お客様、市場、社会からの要望や期待に応えるYOKOGAWAのコミットメントであり、社会に存在することの意義を表したものです。同時に組織としての求心力を高め、グループ全社員の変革への志を喚起します。 [共有する価値観]企業文化や風土を醸成し継承していくうえで、YOKOGAWA社員一人ひとりが「大切にすべき」行動の指針と意志をより具体的に示したものです。共有する価値観に根差した行動は新たな価値の創造を実現し、他社との差別化力、競争力をもって社会に貢献し続けるための原動力となります。[Vision statement]2030年を見据えた長期経営構想で描くYOKOGAWAのありたい姿、企業としての理想を端的に示したものです。 (2) 中長期的な経営戦略長期経営構想と中期経営計画の全体像 [長期経営構想]<Vision statement> YOKOGAWAは、自律と共生によって持続的な価値を創造し、 社会課題の解決をリードしていきます。<お客様への提供価値> 世界は今、あらゆるものが複雑につながり合う時代となっています。運用や管理に独立性のあるシステムが連携し、相乗効果と新しい価値をもたらしていく「System of Systems(SoS)」の流れが進む世界において、当社は、効果的な「つながり」を進め、統合化・自律化・デジタル化による「全体最適」の価値を生み出していきます。当社は「IA2IA※1」と「Smart Manufacturing※2」によるアプローチでこれを実現し、社会全体が「SoS」となる世界をリードしていきます。(※1) IA2IA(Industrial Automation to Industrial Autonomy) AI、デジタルツイン、ロボティックスなどのDX(デジタルトランスフォーメーション)技術を取り込み、Industrial Automation(自動)からIndustrial Autonomy(自律)へと進化させる活動です。(※2) Smart Manufacturing DX(デジタルトランスフォーメーション)やIA2IAによって生産現場、エンタープライズ、及びサプライチェーンにおける自律を実現し、革新的な生産性向上を達成することです。[中期経営計画 「Growth for Sustainability 2028(GS2028)」] GS2028は、「測る力とつなぐ力で、地球の未来に責任を果たす。」というYokogawa’s Purposeを起点としており、Yokogawa’s Purposeのもと、中期経営計画の目標達成に向けた「価値創造プロセス」を以下のように定義しました。 「永年培ってきた、OT(運用技術、Operational Technology)領域におけるお客様起点の課題解決をやり遂げる力と信頼を裏付けとし、人的資本やDXを実現する技術などの基盤を活性化することで、SoS型ビジネスなどにて、より多様かつ高い顧客価値を共創する。その過程を通じて強化したお客様との信頼関係・ノウハウ・人的資本等の経営資本を活用して、事業施策を達成する。」YOKOGAWAの価値創造プロセス  長期経営構想で定めた2030年を見据えた「YOKOGAWAのありたい姿」の実現と、上記価値創造プロセスを実現するために、2028年度までの5年間で取り組むべきこととして、4つの基本戦略を策定しました。それぞれの基本戦略の概要は以下のとおりです。 「Growth for Sustainability 2028」の4つの基本戦略 1.System of Systemsの信頼されるパートナーとしての価値提供 SoSを通じた価値提供を行うため、YOKOGAWAはIA2IAとSmart Manufacturingという2つの側面からアプローチを行います。数多くの製造現場で培ったノウハウ、経験、高度な技術力を活用し、戦略的なコンサルティングとシームレスなインテグレーションという価値を提供することで実現していきます。 2.業種対応力の強化と特定業種へ依存しないビジネスの拡大 さらなる生産の効率化と生産の安定化を追求しているお客様に対応するため、YOKOGAWAはIT/OTの融合を通して業種対応力の強化を図るとともに、品質管理や設備管理といった、業種に関わらない共通の課題を解決するビジネスの拡大にGS2028においても取り組んでいきます。YOKOGAWAが強みをもつフィールド機器や制御システムのレベルから、MESやERPといった上位レイヤーのシステムまでをターゲットに、ソリューションの幅を広げ、お客様のDXをサポートしていきます。 また、事業環境や市場ニーズの変化に対応するため事業内容を変更するお客様のサポートができるように、ソリューションを充実させていきます。 3.無形資本の活用・育成による価値創造 YOKOGAWAは、人的資本、知的資本、社会・関係資本の3つの活用に注力していきます。これら無形資本には、「価値創造力」、「共感力」、「課題発見力」、「ステークホルダーをつなぐ力」というYOKOGAWAが長年培ってきた見えない強みがあり、これらを成長に生かします。 4.経営・事業基盤の強化 価値創造プロセスを支える経営・事業基盤の強化に取り組みます。・全社収益性の向上:戦略的リソースの捻出と配分、オペレーションの最適化と、経営基盤の最適化を図ります。・DX戦略:Internal DXではグローバルなIT基盤のもとで、お客様、パートナー、社員の視点に立って、それぞれの体験価値を向上させるDX施策を進めていきます。External DXではOT分野で培ってきたノウハウを、Yokogawa Cloudのもとで、積極的にアプリケーション化、サービス化し、整備を進め、リカーリングのビジネスモデルへの変革を目指します。・ガバナンスの強化:監査役会設置会社から、指名委員会等設置会社に移行します(2024年度に移行済み)。監督と執行の役割分担を明確化し、意思決定プロセスの効率化、経営判断と事業計画の達成に対する責任の明確化、監査機能の強化、効率化を図ります。 <資本政策・財務戦略> 「Growth for Sustainability 2028」では、長期経営構想を念頭においた成長戦略の実現のために成長投資を強化していきながら、持続的な企業価値及び株主価値の向上を実現していきます。 [初年度からの3年間 2024年度~2026年度]成長投資枠M&A・アライアンス:1,000億円以上・成長戦略の実現に向けた投資を加速・拡大・エネルギー/資源の課題対応、DX/OT(Operational technology)データ活用への貢献、業種拡大の加速等を目的株主還元安定的・継続的な増配・配当性向30%以上の確保に努める・一時的要因での業績悪化時も株主資本配当率を考慮し、安定的な配当を維持・自己株取得についても、財務状況等を踏まえ柔軟に検討前提条件:格付けA格維持可能な株主資本水準を確保 中期経営計画「Growth for Sustainability 2028」についての詳細は、当社ウェブサイトhttps://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/company-overview/corporate-strategy/をご参照ください。 (3) 経営環境当社グループは、1915年の創立以来、計測、制御、情報の技術を軸に、最先端の製品やソリューションを産業界に提供し、社会の発展に貢献し続けています。また、社会課題・お客様のニーズを捉え、その主要製品・サービスの内容を変化させてきており、2024年度のセグメント別売上高比率は制御事業約94%、測定器事業約5%、新事業他約1%となっています。主力事業の制御事業では、石油、ガス、化学、電力、鉄鋼、紙パルプ、医薬品、食品などの多様な業種展開により日本国内で高いシェアを有しています。さらに、日本での多様な業種展開により得られた知見やノウハウのもと、アップストリーム、ダウンストリームを中心に、中東、中国、アセアン諸国などの資源国や新興国で高いシェアを有しています。なお、2024年度の海外売上高比率は約74%となっています。現地に根付いたグローバルな事業展開を始めてからの約60年で、競合他社に比べ偏りがない地域構成を実現してきており、世界中で4万件以上のプロジェクトを手掛けてきた豊富な納入実績があることも特徴です。豊富な納入実績を活用することで、お客様の既設のプラント設備の生産性向上につながる運用や、保守の効率化に向けたソリューションの比重を高め、あらゆる外部環境の変化にも耐えられるレジリエンス(変化に柔軟に対応できる適応力・回復力)を高めてきています。2030年を見据えた事業環境のメガトレンドは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の観点で、大きく変化していくと想定しています。Politicsでは、自国主義や法規制の強まり、Economyでは、資源の枯渇や食料・水の不足、Societyでは、高齢化、都市化や気候変動、Technologyでは、AI、IoT、5G、バイオテクノロジーの進歩など、さまざまな変化が予想されます。このような中で、当社グループのお客様は、プロセスの変革、持続可能な未来を意識したビジネスモデルへのシフトを進めており、かつ、安全安心、セキュリティなどの観点から人の介在を減らすことの重要性も認識されています。主力事業の制御事業におけるProcess Automation業界では、既存製品の市場が成熟し、ハードウエアのコモディティ化が進んでいると同時に、MES(Manufacturing execution system)やセキュリティ関連のソフトウエア、センサの市場は成長し、サブスクリプションなど新しいビジネスモデルの普及が進んでいます。また、当社グループの成長の糧であるオイル&ガスなどのハイドロカーボン系エネルギーの需要はその社会的役割・位置づけからも急激には失われないと考えられますが、エネルギー活用の多様化、環境規制対応などへの世界的な再生可能エネルギー活用、デジタルトランスフォーメーション(DX)への世界的な要求も高まってきています。このように大きく変化する事業環境において、当社グループは、未来世代のために目指す持続可能な低炭素・循環型社会の姿として定めたサステナビリティ目標「Three Goals」の「脱炭素社会(Net-zero emission)」「循環社会(Circular economy)」「人の命と健康に対する要求の高まり(Well-being)」が事業機会になると捉えています。長期経営構想でも示した通り、「System of Systems(SoS)」の流れが進む世界の中で、統合化・自律化・デジタル化により複雑につながり合う社会システム全体を効果的に結びつけ、当社グループが先駆者として「全体最適」の価値を生み出すことで、3つの事業機会をしっかりと捉え、私たち自身が変革しながら、社会共通の課題の解決と持続的な成長を実現していきます。グローバルの競合のみならずIT企業との競合が激化するなど、事業環境は厳しさが増している中で、これまで蓄積・獲得してきた戦略的なコンサルティングとシームレスなシステムインテグレーション(SI)能力を、お客様への提供価値としてさらに昇華させ、社会全体がSoSとなる世界における信頼されるパートナーとなることを目指します。 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等[中期経営計画「Growth for Sustainability 2028 (GS2028)」で目指す経営目標]当社グループは、前中期経営経計画「Accelerate Growth 2023 (AG2023)」が終了を迎えるにあたって、長期経営構想は大きな見直しなくそのまま引き継ぐこととし、当事業年度からの中期経営計画「Growth for Sustainability(グロウス フォー サステナビリティ)2028(GS2028)」を新たに策定し、その取り組みを開始しました。GS2028では、AG2023で確立した業種軸の事業構造を基盤に、環境・社会・ガバナンスの視点で事業活動に取り組み、社会価値と企業価値の向上を実現させるための変革を加速させます。GS2028で達成を目指す経営指標・目標値に対して、取り組みの初年度となった当事業年度実績と次期(2026年3月期)の業績予想を以下のとおり整理すると、事業成長目標およびセグメント別受注高成長目標に関しては、初年度の滑り出しとしては一定の評価ができる実績となりましたが、次期の業績予想を含めた2年間の成長率を見ると、為替の変動影響もあり、GS2028で達成を目指す目標にはまだ隔たりがある状況です。GS2028は5年間の中期経営計画であり、その前半は高い成長目標の実現に向けて先行投資を含めた施策を実行していく期間と位置付けています。あらためてこれらの施策を徹底的に実行し、成長目標の達成に向けて邁進していきます。■AG2023で達成を目指した経営指標・目標値ROS:売上高営業利益率/EPS:1株当たり当期純利益/ROE:自己資本利益率 [資本政策・財務戦略]GS2028では、長期経営構想を念頭においた成長戦略の実現のために成長投資を強化していきながら、持続的な企業価値及び株主価値の向上を実現していきます。● 資本性成長投資(戦略投資)枠を初年度からの3年間累計(2024年度~2026年度)で1,000億円とします。リスク総量、自己資本増減、および負債調達を前提としたリスク投資実行に伴うリスク量の増加想定を織り込んだ上で最適資本構成(リスクが顕在化した場合においても格付A格を維持可能な株主資本水準を保持し、且つ、次の成長に向けた一定のリスク投資余力を確保できる水準)を維持します。● 株主還元方針(利益処分に関する基本方針)については、中長期的な企業価値向上の最大化に向けた投資に優先的に配分していくものの、一定の財務基盤の確保を前提に、積極的な配当還元および自己株取得等による株主還元の向上を図ることを基本方針とします。配当性向による期間利益の一定比率を還元する考え方に加え、株主資本配当率を踏まえた安定的な配当の維持の考え方を維持するとともに、自己株取得についても、財務状況や株価水準等を踏まえながら追加的な株主還元として柔軟に検討します。GS2028期間の当初3年間のうち、初年度となる当事業年度は、営業キャッシュフローの創出においては順調な進捗となりましたが、M&A・アライアンス等の成長投資枠1,000億円以上については、中長期的な企業価値の向上に向けて、着実に成長投資を実施してきたものの、その額は約72億円と低調に推移しました。早期にM&Aの効果を創出すること、シナジーを最大化していくこと、そして全社の事業ポートフォリオを見直し効率的なM&Aを実行していくことは、今後も取り組むべき課題です。 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題   中期経営計画「Growth for Sustainability 2028 (GS2028)」の確実な実行世界は脱炭素社会の実現に向けたエネルギー・トランジション等、社会課題解決に向けたニーズの高まりや、デジタル技術の革新などにより劇的に変化しています。また、足元の事業環境も中国経済の先行き懸念や米国による関税引上げ政策、為替相場の急激な変動などにより世界経済の不確実性が高まっているほか、中東情勢やロシア・ウクライナ情勢などの不安定な国際情勢、原材料価格や人件費の高騰も継続しており、日々刻々と変化しています。当社グループは、2030年を見据えた「YOKOGAWAのありたい姿」を端的に示したVision statement「YOKOGAWAは、自律と共生によって持続的な価値を創造し、社会課題の解決をリードしていきます。」とその実現に向けての方向性を示す長期経営構想に基づき、当連結会計年度(2025年3月期)が初年度となる中期経営計画“Growth for Sustainability 2028 (GS2028)”を策定し、このような事業環境の変化を機会ととらえ、事業を通じて社会や環境に貢献しながら持続的な企業価値向上を図る、CSV(Creating Shared Value)経営の実現に向けた取り組みを進めています。長期経営構想及び中期経営計画Growth for Sustainability 2028 (GS2028)の目標達成に向けて中長期的に当社グループが持続的成長をするための変革を加速し、「測る力とつなぐ力で、地球の未来に責任を果たす。」というYokogawa’s Purposeの実現に向け邁進していきます。   長期経営構想及びGS2028で達成を目指す経営目標1.長期経営構想で目指すサステナビリティ目標(2030年度) 2.GS2028で目指す事業成長・財務目標(2024年度~2028年度) 長期経営構想及び中期経営計画についての詳細は、当社ウェブサイトhttps://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/company-overview/corporate-strategy/をご参照ください。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。  当社グループは、2021年度に社会共通の課題の解決によって持続的な成長を実現するために、長期経営構想の抜本的な見直しとともに中期経営計画「Accelerate Growth(アクセラレート グロウス)2023(AG2023)」を発表し、2030年のYOKOGAWAのありたい姿の実現に向けて、2023年度までの3年間、社会共通課題を軸とした事業構造を確立するための取り組みを進めてきました。 現在の長期経営構想は、AG2023策定時に抜本的に見直したものであり、2030年を見据えた「YOKOGAWAのありたい姿」を端的に示したVision statement「YOKOGAWAは、自律と共生によって持続的な価値を創造し、社会課題の解決をリードしていきます。」とその実現に向けての方向性を示しています。AG2023が終了を迎えるにあたっては、この長期経営構想は大きな見直しなくそのまま引き継ぐこととし、2024年度からの中期経営計画「Growth for Sustainability(グロウス フォー サステナビリティ)2028(GS2028)」を新たに策定し、その取り組みを開始しました。GS2028では、AG2023で確立した業種軸の事業構造を基盤に、環境・社会・ガバナンスの視点で事業活動に取り組み、社会価値と企業価値の向上を実現させるための変革を加速させます。 (1) 経営の基本方針当社グループは、YOKOGAWAのIdentityを以下のとおり整理しました。創業の精神と、それを受け継いだ企業理念は、社会におけるYOKOGAWAの在り方を示すものです。Vision statementは、2030年を見据えてYOKOGAWAが何をしていくかを示し、共有する価値観は行動をするうえでの指針を示しています。Yokogawa’s Purposeは、それら全てを踏まえ、YOKOGAWAが存在する意義を、意思を込めたコミットメント(公約)として示しています。[創業の精神]創業にあたり、横河民輔は、日本の計測業界の先駆者として歩み始めた横河一郎(後の初代社長)と青木晋(後の初代技師長)に、「君たちは、この仕事でもうけようなどと考える必要はない。それよりもまず、技術を覚え、技術をみがくことだ。横河電機の製品はさすがに良い、といわれるようにしてもらいたい」と語りました。この言葉は創業の精神として今日まで受け継がれています。[企業理念]創業の精神を受け継ぎ1988年に制定された企業理念は、社会に向けてのYOKOGAWAの使命とYOKOGAWA人の価値基準や行動指針を表した、YOKOGAWAの決意表明です。[Yokogawa’s Purpose]お客様、市場、社会からの要望や期待に応えるYOKOGAWAのコミットメントであり、社会に存在することの意義を表したものです。同時に組織としての求心力を高め、グループ全社員の変革への志を喚起します。 [共有する価値観]企業文化や風土を醸成し継承していくうえで、YOKOGAWA社員一人ひとりが「大切にすべき」行動の指針と意志をより具体的に示したものです。共有する価値観に根差した行動は新たな価値の創造を実現し、他社との差別化力、競争力をもって社会に貢献し続けるための原動力となります。[Vision statement]2030年を見据えた長期経営構想で描くYOKOGAWAのありたい姿、企業としての理想を端的に示したものです。 (2) 中長期的な経営戦略長期経営構想と中期経営計画の全体像 [長期経営構想]<Vision statement> YOKOGAWAは、自律と共生によって持続的な価値を創造し、 社会課題の解決をリードしていきます。<お客様への提供価値> 世界は今、あらゆるものが複雑につながり合う時代となっています。運用や管理に独立性のあるシステムが連携し、相乗効果と新しい価値をもたらしていく「System of Systems(SoS)」の流れが進む世界において、当社は、効果的な「つながり」を進め、統合化・自律化・デジタル化による「全体最適」の価値を生み出していきます。当社は「IA2IA※1」と「Smart Manufacturing※2」によるアプローチでこれを実現し、社会全体が「SoS」となる世界をリードしていきます。(※1) IA2IA(Industrial Automation to Industrial Autonomy) AI、デジタルツイン、ロボティックスなどのDX(デジタルトランスフォーメーション)技術を取り込み、Industrial Automation(自動)からIndustrial Autonomy(自律)へと進化させる活動です。(※2) Smart Manufacturing DX(デジタルトランスフォーメーション)やIA2IAによって生産現場、エンタープライズ、及びサプライチェーンにおける自律を実現し、革新的な生産性向上を達成することです。[中期経営計画 「Growth for Sustainability 2028(GS2028)」] GS2028は、「測る力とつなぐ力で、地球の未来に責任を果たす。」というYokogawa’s Purposeを起点としており、Yokogawa’s Purposeのもと、中期経営計画の目標達成に向けた「価値創造プロセス」を以下のように定義しました。 「永年培ってきた、OT(運用技術、Operational Technology)領域におけるお客様起点の課題解決をやり遂げる力と信頼を裏付けとし、人的資本やDXを実現する技術などの基盤を活性化することで、SoS型ビジネスなどにて、より多様かつ高い顧客価値を共創する。その過程を通じて強化したお客様との信頼関係・ノウハウ・人的資本等の経営資本を活用して、事業施策を達成する。」YOKOGAWAの価値創造プロセス  長期経営構想で定めた2030年を見据えた「YOKOGAWAのありたい姿」の実現と、上記価値創造プロセスを実現するために、2028年度までの5年間で取り組むべきこととして、4つの基本戦略を策定しました。それぞれの基本戦略の概要は以下のとおりです。 「Growth for Sustainability 2028」の4つの基本戦略 1.System of Systemsの信頼されるパートナーとしての価値提供 SoSを通じた価値提供を行うため、YOKOGAWAはIA2IAとSmart Manufacturingという2つの側面からアプローチを行います。数多くの製造現場で培ったノウハウ、経験、高度な技術力を活用し、戦略的なコンサルティングとシームレスなインテグレーションという価値を提供することで実現していきます。 2.業種対応力の強化と特定業種へ依存しないビジネスの拡大 さらなる生産の効率化と生産の安定化を追求しているお客様に対応するため、YOKOGAWAはIT/OTの融合を通して業種対応力の強化を図るとともに、品質管理や設備管理といった、業種に関わらない共通の課題を解決するビジネスの拡大にGS2028においても取り組んでいきます。YOKOGAWAが強みをもつフィールド機器や制御システムのレベルから、MESやERPといった上位レイヤーのシステムまでをターゲットに、ソリューションの幅を広げ、お客様のDXをサポートしていきます。 また、事業環境や市場ニーズの変化に対応するため事業内容を変更するお客様のサポートができるように、ソリューションを充実させていきます。 3.無形資本の活用・育成による価値創造 YOKOGAWAは、人的資本、知的資本、社会・関係資本の3つの活用に注力していきます。これら無形資本には、「価値創造力」、「共感力」、「課題発見力」、「ステークホルダーをつなぐ力」というYOKOGAWAが長年培ってきた見えない強みがあり、これらを成長に生かします。 4.経営・事業基盤の強化 価値創造プロセスを支える経営・事業基盤の強化に取り組みます。・全社収益性の向上:戦略的リソースの捻出と配分、オペレーションの最適化と、経営基盤の最適化を図ります。・DX戦略:Internal DXではグローバルなIT基盤のもとで、お客様、パートナー、社員の視点に立って、それぞれの体験価値を向上させるDX施策を進めていきます。External DXではOT分野で培ってきたノウハウを、Yokogawa Cloudのもとで、積極的にアプリケーション化、サービス化し、整備を進め、リカーリングのビジネスモデルへの変革を目指します。・ガバナンスの強化:監査役会設置会社から、指名委員会等設置会社に移行します(2024年度に移行済み)。監督と執行の役割分担を明確化し、意思決定プロセスの効率化、経営判断と事業計画の達成に対する責任の明確化、監査機能の強化、効率化を図ります。 <資本政策・財務戦略> 「Growth for Sustainability 2028」では、長期経営構想を念頭においた成長戦略の実現のために成長投資を強化していきながら、持続的な企業価値及び株主価値の向上を実現していきます。 [初年度からの3年間 2024年度~2026年度]成長投資枠M&A・アライアンス:1,000億円以上・成長戦略の実現に向けた投資を加速・拡大・エネルギー/資源の課題対応、DX/OT(Operational technology)データ活用への貢献、業種拡大の加速等を目的株主還元安定的・継続的な増配・配当性向30%以上の確保に努める・一時的要因での業績悪化時も株主資本配当率を考慮し、安定的な配当を維持・自己株取得についても、財務状況等を踏まえ柔軟に検討前提条件:格付けA格維持可能な株主資本水準を確保 中期経営計画「Growth for Sustainability 2028」についての詳細は、当社ウェブサイトhttps://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/company-overview/corporate-strategy/をご参照ください。 (3) 経営環境当社グループは、1915年の創立以来、計測、制御、情報の技術を軸に、最先端の製品やソリューションを産業界に提供し、社会の発展に貢献し続けています。また、社会課題・お客様のニーズを捉え、その主要製品・サービスの内容を変化させてきており、2024年度のセグメント別売上高比率は制御事業約94%、測定器事業約5%、新事業他約1%となっています。主力事業の制御事業では、石油、ガス、化学、電力、鉄鋼、紙パルプ、医薬品、食品などの多様な業種展開により日本国内で高いシェアを有しています。さらに、日本での多様な業種展開により得られた知見やノウハウのもと、アップストリーム、ダウンストリームを中心に、中東、中国、アセアン諸国などの資源国や新興国で高いシェアを有しています。なお、2024年度の海外売上高比率は約74%となっています。現地に根付いたグローバルな事業展開を始めてからの約60年で、競合他社に比べ偏りがない地域構成を実現してきており、世界中で4万件以上のプロジェクトを手掛けてきた豊富な納入実績があることも特徴です。豊富な納入実績を活用することで、お客様の既設のプラント設備の生産性向上につながる運用や、保守の効率化に向けたソリューションの比重を高め、あらゆる外部環境の変化にも耐えられるレジリエンス(変化に柔軟に対応できる適応力・回復力)を高めてきています。2030年を見据えた事業環境のメガトレンドは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の観点で、大きく変化していくと想定しています。Politicsでは、自国主義や法規制の強まり、Economyでは、資源の枯渇や食料・水の不足、Societyでは、高齢化、都市化や気候変動、Technologyでは、AI、IoT、5G、バイオテクノロジーの進歩など、さまざまな変化が予想されます。このような中で、当社グループのお客様は、プロセスの変革、持続可能な未来を意識したビジネスモデルへのシフトを進めており、かつ、安全安心、セキュリティなどの観点から人の介在を減らすことの重要性も認識されています。主力事業の制御事業におけるProcess Automation業界では、既存製品の市場が成熟し、ハードウエアのコモディティ化が進んでいると同時に、MES(Manufacturing execution system)やセキュリティ関連のソフトウエア、センサの市場は成長し、サブスクリプションなど新しいビジネスモデルの普及が進んでいます。また、当社グループの成長の糧であるオイル&ガスなどのハイドロカーボン系エネルギーの需要はその社会的役割・位置づけからも急激には失われないと考えられますが、エネルギー活用の多様化、環境規制対応などへの世界的な再生可能エネルギー活用、デジタルトランスフォーメーション(DX)への世界的な要求も高まってきています。このように大きく変化する事業環境において、当社グループは、未来世代のために目指す持続可能な低炭素・循環型社会の姿として定めたサステナビリティ目標「Three Goals」の「脱炭素社会(Net-zero emission)」「循環社会(Circular economy)」「人の命と健康に対する要求の高まり(Well-being)」が事業機会になると捉えています。長期経営構想でも示した通り、「System of Systems(SoS)」の流れが進む世界の中で、統合化・自律化・デジタル化により複雑につながり合う社会システム全体を効果的に結びつけ、当社グループが先駆者として「全体最適」の価値を生み出すことで、3つの事業機会をしっかりと捉え、私たち自身が変革しながら、社会共通の課題の解決と持続的な成長を実現していきます。グローバルの競合のみならずIT企業との競合が激化するなど、事業環境は厳しさが増している中で、これまで蓄積・獲得してきた戦略的なコンサルティングとシームレスなシステムインテグレーション(SI)能力を、お客様への提供価値としてさらに昇華させ、社会全体がSoSとなる世界における信頼されるパートナーとなることを目指します。 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等[中期経営計画「Growth for Sustainability 2028 (GS2028)」で目指す経営目標]当社グループは、前中期経営経計画「Accelerate Growth 2023 (AG2023)」が終了を迎えるにあたって、長期経営構想は大きな見直しなくそのまま引き継ぐこととし、当事業年度からの中期経営計画「Growth for Sustainability(グロウス フォー サステナビリティ)2028(GS2028)」を新たに策定し、その取り組みを開始しました。GS2028では、AG2023で確立した業種軸の事業構造を基盤に、環境・社会・ガバナンスの視点で事業活動に取り組み、社会価値と企業価値の向上を実現させるための変革を加速させます。GS2028で達成を目指す経営指標・目標値に対して、取り組みの初年度となった当事業年度実績と次期(2026年3月期)の業績予想を以下のとおり整理すると、事業成長目標およびセグメント別受注高成長目標に関しては、初年度の滑り出しとしては一定の評価ができる実績となりましたが、次期の業績予想を含めた2年間の成長率を見ると、為替の変動影響もあり、GS2028で達成を目指す目標にはまだ隔たりがある状況です。GS2028は5年間の中期経営計画であり、その前半は高い成長目標の実現に向けて先行投資を含めた施策を実行していく期間と位置付けています。あらためてこれらの施策を徹底的に実行し、成長目標の達成に向けて邁進していきます。■AG2023で達成を目指した経営指標・目標値ROS:売上高営業利益率/EPS:1株当たり当期純利益/ROE:自己資本利益率 [資本政策・財務戦略]GS2028では、長期経営構想を念頭においた成長戦略の実現のために成長投資を強化していきながら、持続的な企業価値及び株主価値の向上を実現していきます。● 資本性成長投資(戦略投資)枠を初年度からの3年間累計(2024年度~2026年度)で1,000億円とします。リスク総量、自己資本増減、および負債調達を前提としたリスク投資実行に伴うリスク量の増加想定を織り込んだ上で最適資本構成(リスクが顕在化した場合においても格付A格を維持可能な株主資本水準を保持し、且つ、次の成長に向けた一定のリスク投資余力を確保できる水準)を維持します。● 株主還元方針(利益処分に関する基本方針)については、中長期的な企業価値向上の最大化に向けた投資に優先的に配分していくものの、一定の財務基盤の確保を前提に、積極的な配当還元および自己株取得等による株主還元の向上を図ることを基本方針とします。配当性向による期間利益の一定比率を還元する考え方に加え、株主資本配当率を踏まえた安定的な配当の維持の考え方を維持するとともに、自己株取得についても、財務状況や株価水準等を踏まえながら追加的な株主還元として柔軟に検討します。GS2028期間の当初3年間のうち、初年度となる当事業年度は、営業キャッシュフローの創出においては順調な進捗となりましたが、M&A・アライアンス等の成長投資枠1,000億円以上については、中長期的な企業価値の向上に向けて、着実に成長投資を実施してきたものの、その額は約72億円と低調に推移しました。早期にM&Aの効果を創出すること、シナジーを最大化していくこと、そして全社の事業ポートフォリオを見直し効率的なM&Aを実行していくことは、今後も取り組むべき課題です。 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題   中期経営計画「Growth for Sustainability 2028 (GS2028)」の確実な実行世界は脱炭素社会の実現に向けたエネルギー・トランジション等、社会課題解決に向けたニーズの高まりや、デジタル技術の革新などにより劇的に変化しています。また、足元の事業環境も中国経済の先行き懸念や米国による関税引上げ政策、為替相場の急激な変動などにより世界経済の不確実性が高まっているほか、中東情勢やロシア・ウクライナ情勢などの不安定な国際情勢、原材料価格や人件費の高騰も継続しており、日々刻々と変化しています。当社グループは、2030年を見据えた「YOKOGAWAのありたい姿」を端的に示したVision statement「YOKOGAWAは、自律と共生によって持続的な価値を創造し、社会課題の解決をリードしていきます。」とその実現に向けての方向性を示す長期経営構想に基づき、当連結会計年度(2025年3月期)が初年度となる中期経営計画“Growth for Sustainability 2028 (GS2028)”を策定し、このような事業環境の変化を機会ととらえ、事業を通じて社会や環境に貢献しながら持続的な企業価値向上を図る、CSV(Creating Shared Value)経営の実現に向けた取り組みを進めています。長期経営構想及び中期経営計画Growth for Sustainability 2028 (GS2028)の目標達成に向けて中長期的に当社グループが持続的成長をするための変革を加速し、「測る力とつなぐ力で、地球の未来に責任を果たす。」というYokogawa’s Purposeの実現に向け邁進していきます。   長期経営構想及びGS2028で達成を目指す経営目標1.長期経営構想で目指すサステナビリティ目標(2030年度) 2.GS2028で目指す事業成長・財務目標(2024年度~2028年度) 長期経営構想及び中期経営計画についての詳細は、当社ウェブサイトhttps://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/company-overview/corporate-strategy/をご参照ください。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】[1]業績等の概要(1) 業績 世界は脱炭素社会の実現に向けたエネルギートランジション等、社会課題解決に向けたニーズの高まりや、デジタル技術の革新などにより劇的に変化しており、当社を取り巻く事業環境も大きく変わっています。 このような事業環境の中で、当社グループは、当連結会計年度(2025年3月期)が初年度となる中期経営計画“Growth for Sustainability 2028 (GS2028)”に基づき、事業を通じて社会や環境に貢献しながら持続的な企業価値向上を図る、CSV(Creating Shared Value)経営の実現に向け、取り組んでいます。 この結果、当連結会計年度における当社グループの業績及びセグメント別の業績は以下のとおりとなりました。 なお、業績に関する分析については、『[3] 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 (1) 当連結会計年度の財務状況及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容』に記載のとおりです。 <連結>売上高 5,624億04百万円 (前期比 4.1% 222億52百万円増)営業利益 835億23百万円 (前期比 6.0% 47億22百万円増)経常利益 853億51百万円 (前期比 1.5% 12億53百万円増)親会社株主に帰属する当期純利益 521億23百万円 (前期比 △15.5% △95億62百万円減) <制御事業>売上高 5,283億02百万円 (前期比 4.9% 244億53百万円増)営業利益 775億82百万円 (前期比 8.3% 59億15百万円増) <測定器事業>売上高 299億46百万円 (前期比 △5.9% △18億70百万円減)営業利益 62億23百万円 (前期比 △23.5% △19億15百万円減) <新事業他>売上高 41億55百万円 (前期比 △7.4% △3億30百万円減)営業利益 △2億82百万円 (前期比 - 7億22百万円損失減) (2) キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費の計上等により、990億25百万円の収入(前期比 351億92百万円の収入増)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産、無形固定資産、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得等により、286億39百万円の支出(前期は26億53百万円の収入)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払や自己株式の取得等により、262億37百万円の支出(前期比 312億58百万円の支出減)となりました。  以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ448億28百万円増加し、1,792億57百万円となりました。なお、当連結会計年度においては、大型案件受注に係る前受金の受領等による運転資本効率の高まりが、営業活動によるキャッシュ・フローの収入増に寄与しています。 [2]生産、受注及び販売の状況(1) 生産実績 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額 (百万円)前期比(%)制御事業528,291104.9 測定器事業29,94694.1 新事業他3,13890.3 合計561,376104.1  (注)金額は販売価格によっています。 (2) 受注状況 当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)制御事業564,268110.1 423,579107.6 測定器事業30,299116.9 4,393105.6 新事業他4,023111.8 18986.5 合計598,591110.4 428,163107.5 (3) 販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額  (百万円)前期比(%)制御事業528,302104.9 測定器事業29,94694.1 新事業他4,15592.6 合計562,404104.1  (注)総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。 [3]経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 なお、本項の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 当連結会計年度の財務状況及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ①当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 なお、当項目内において「FY22」「FY23」「FY24」は、それぞれ「2022年度(2023年3月期)」「2023年度(2024年3月期)」「2024年度(2025年3月期)」の略称です。<連結> 当連結会計年度における当社グループの業績は、受注高、売上高、営業利益ともに前期比で増加しました。 売上のベースとなる受注高については、堅調なエネルギー需要を背景に、特に中東・アフリカ地域のお客様の投資が活発であったことや為替の変動影響などにより、前期比で566億30百万円増(+10.4%)の5,985億91百万円となり、為替の変動影響を除くと前期比で約435億円増(+8.0%)となりました。売上高は、為替の変動影響や前期までに受注した大型案件の売上寄与等に伴い、前期比で222億52百万円増(+4.1%)の5,624億4百万円となり、為替の変動影響を除くと前期比で約103億円増(+1.9%)となりました。営業利益は、先行投資費用や人件費などの販管費増が押下げ要因となったものの、為替の変動影響や売上高の増加に伴う粗利増などにより、前期比で47億22百万円増(+6.0%)の835億23百万円となりましたが、為替の変動影響を除くと前期比で約17億円減(△2.2%)となりました。また、経常利益は前期比で12億53百万円増(+1.5%)の853億51百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、主に前期に投資有価証券売却益を特別利益に計上した反動などにより、前期比で95億62百万円減(△15.5%)の521億23百万円となりました。*SME(Subject Matter Expert)・コンサルタント等の人的投資含む  また、セグメント別の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、次のとおりです。<制御事業> 制御事業の受注高は、堅調なエネルギー需要を背景に、特に中東・アフリカ地域のお客様の投資が活発であったことや為替の変動影響などにより、前期比で518億32百万円増の5,642億68百万円(為替の変動影響を除いて約397億円増)となり、売上高は、主に為替の変動影響や前期までに受注した大型案件の売上寄与等に伴い、前期比で244億53百万円増の5,283億2百万円(為替の変動影響を除いて約134億円増)となりました。営業利益は、前期比で59億15百万円増の775億82百万円(為替の変動影響を除いて約3億円増)となりました。 制御事業の地域別の受注高は、特に、中東・アフリカ、欧州・CISが前期と比べ好調に推移しましたが、中国は厳しい状況が継続しました。 制御事業の業種別の受注高・売上高は、エネルギー&サステナビリティ、マテリアル、ライフのサブセグメントで示しています。 エネルギー&サステナビリティ事業については、受注高は前期比で505億34百万円増(+18.9%)、為替の変動影響を除いて約16.2%増となりました。主にアップストリーム、ダウンストリームが伸長しました。売上高は、前期比で220億98百万円増(+8.6%)、為替の変動影響を除いて約6.2%増となりました。 マテリアル事業については、受注高は前期比で2億15百万円増(+0.1%)、為替の変動影響を除いて約2.0%減となりました。売上高は前期比で30億56百万円減(△1.5%)、為替の変動影響を除いて約3.5%減となりました。 ライフ事業については、受注高は前期比で10億83百万円増(+2.4%)、為替の変動影響を除いて約0.8%増となりました。売上高は前期比で54億11百万円増(+13.0%)、為替の変動影響を除いて約11.2%増となりました。<測定器事業> 測定器事業については、受注高は前期比で43億74百万円増(+16.9%)の302億99百万円、為替の変動影響を除いて約13.6%増となりました。主に中国を中心にデータセンターや脱炭素領域の蓄電関連の大型案件が寄与しました。売上高は、前年の受注残消化による一時的な伸長の反動により、前期比で18億70百万円減(△5.9%)の299億46百万円、為替の変動影響を除いて約8.5%減となりました。営業利益は前期比で19億15百万円減(△23.5%)の62億23百万円、為替の変動影響を除いて約33.6%減となりました。<新事業他> 新事業他については、受注高は前期比で4億24百万円増(+11.8%)の40億23百万円となり、売上高は、前期比で3億30百万円減(△7.4%)の41億55百万円、営業損失は前期比で7億22百万円損失が減少し2億82百万円の損失となりました。  セグメント別(制御事業・測定器事業・新事業他)の受注高・売上高・営業利益(前期比)は以下のとおりです。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 <当社グループの資本の財源及び資金の流動性> a. 資金調達、流動性管理  当社グループは、成長性戦略投資の実行と安定的な事業運営を行うため、資本効率を高めつつ、事業運営に必要な流動性と多様な調達手段を確保することとしています。事業を行う上で必要となる運転資金や成長のための戦略投資資金を、営業キャッシュ・フローを主とした内部資金だけでなく、金融機関からの借入などの外部資金を有効に活用しています。資金調達にあたっては、安全性、資金効率化及び調達コストの抑制を図ることを基本方針としながら複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、十分な流動性を確保していると考えています。 b. 資産、負債、純資産  当連結会計年度末の総資産は、受取手形、売掛金及び建物及び構築物が減少した一方で、現金及び預金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ454億18百万円増加し7,182億85百万円となりました。また、負債合計は、電子記録債務や賞与引当金が減少した一方で、契約負債が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ144億61百万円増加し2,425億64百万円となりました。純資産は、為替換算調整勘定の減少や自己株式の取得により減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、前連結会計年度末に比べ309億58百万円増加し4,757億21百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ0.2ポイント増加し、65.1%となりました。※本資料では企業連結に係る暫定的な会計処理の確定に伴う過年度遡及修正を反映していません。 <キャッシュ・フロー>  当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費の計上等により、990億25百万円の収入(前期比 351億92百万円の収入増)となりました。  当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産、無形固定資産、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得等により、286億39百万円の支出(前年同期は26億53百万円の収入)となりました。  当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払や自己株式の取得等により、262億37百万円の支出(前期比 312億58百万円の支出減)となりました。  以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ448億28百万円増加し、1,792億57百万円となりました。なお、当連結会計年度においては、大型案件受注に係る前受金の受領等による運転資本効率の高まりが、営業活動によるキャッシュ・フローの収入増に寄与しています。 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は会計方針の選択・適用、また、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。これらの見積りについては過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、『第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)』に記載のとおりです。

事業リスク

横河電機グループは、グローバルに事業を展開しているため、各地域の政治、経済、社会情勢の変化、地政学的リスク、規制や税制の変更などが業績に影響を与える可能性があります。また、為替市場の変動や金利変動、保有株式の価格下落も財務状況に影響を及ぼすリスクがあります。さらに、激化するコスト競争やデジタル技術の進化への対応、市場ニーズに合わせたビジネスモデルの変革の遅れ、気候変動への取り組みに伴う市場環境の変化なども、ビジネス機会の逸失につながる可能性があります。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|8,592 文字
3【事業等のリスク】 当社グループではリスクマネジメントの国際規格であるISO31000に沿った全社的リスク管理(ERM:Enterprise Risk Management)体制を構築しています。業務執行におけるリスクとその管理を俯瞰的に審議する機関としてリスク管理委員会を設置し、年3回開催しています。リスク管理委員会は代表執行役社長の諮問機関で、委員長を代表執行役社長が務め、全執行役により構成されています。当社グループに重大な影響を与えるリスクの特定、リスク対策計画、リスク対策のレビュー等の審議を行い、リスク管理に関わる経営判断や意思決定を支えています。 リスク管理委員会の審議・決定内容は、取締役会に報告され確認されます。取締役会から、業務執行において注視すべきリスクや固有リスクに係わる対策等の助言をうけ、リスク対策の整備やリスク管理活動の改善等に活かされています。 リスク管理の客観的な評価は、内部監査担当部署が実施しています。内部監査担当部署は、体制やプロセスの有効性を評価し、重要な事項は監査委員会および取締役会に年1回報告されています。 リスク管理の実施主体である関係会社等は自律的なリスク管理に努めています。これらの実施主体に対して、重大な影響を与えうるリスクを中心に、本社/事業部門およびリスク管理の主管部門(ERM主管部門、リスク管理委員会事務局)が、様々な活動の推進・支援を行っています。 なお、リスクが顕在化し経営に重大な影響をあたえる危機が生じた際は、代表執行役社長を委員長とする危機管理委員会にて初動対応および事業継続対応を行います。  当社グループでは、毎年、事業を取り巻くリスクのアセスメント(リスクの洗い出し、分析・評価)を、グローバルベースで実施しています。アセスメントの対象となるリスクは、当社グループの企業価値に影響をあたえる不確実性と定義しています。リスクをマイナス面の影響に留まらず、プラス面の機会を含めた定義としています。また、リスクを事業機会(経営上の戦略的意思決定に係る不確実性)とコンプライアンス・危機事象(適正かつ効率的な業務遂行に係る不確実性)で分類しています。事業機会を外部環境と戦略に、コンプライアンス・危機事象をオペレーションと危機事象に細分化して57個の主要リスクに分類し網羅性確保に努めています。 本社/事業部門、関係会社等は、これらの主要リスクをもとにリスクの洗い出しを行います。洗い出されたリスクは、影響度と発生可能性の視点で分析しています。影響度の分析では、財務的・人的側面のほか、社会・環境面といった外部のステークホルダーへの影響も考慮しています。 次に、下図のリスクマップに分析結果をプロットします。リスクの許容度をAAA~Dの6段階で評価のうえ、AAA~Aに評価されたリスクを許容できないリスクに特定します。さらに、これらのリスクを対象に経営戦略や経営課題、外部環境の変化、リスク対策の充足度などを踏まえて、経営が重点的に管理すべきリスク(重点管理リスク)の候補を選定しています。  重点管理リスクは、リスク管理委員会で決定し、年2回取締役会に報告されています。また、重点管理リスクの主管部門(リスクオーナー)を定め、計画にもとづく対策の推進が図られています。対策の進捗状況等のモニタリングについては、重点管理リスクの分類に応じた方法を定め四半期ごとに確認を行っています。リスク管理委員会はモニタリングを踏まえてリスクの変化や対策のレビューを行い、その結果を取締役会に報告しています。さらに、取締役会からの助言、リスク管理委員会での議論、代表執行役社長からの指示を翌年の重点対策リスクの選定に活かすとともに、リスク管理プロセスや対策の見直しを行い、より効果的なリスク管理の実現にむけてPDCAのマネジメントサイクルを機能させています。  当社グループを取り巻くリスクのうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を以下に記載しています。当社グループは、リスク管理体制およびリスク管理プロセスを整備しリスクの軽減や回避に努めていますが、顕在化したリスクが当社グループの業績、財政状況に影響を与える可能性があります。 以下に記載する事項は、当連結会計年度末現在時点において当社グループが判断したものであり実際の結果と異なる可能性があります。 (1) 外部環境に関するリスク(社会情勢等に係るもの) 当社グループの活動範囲は日本国内のみならず世界各地に及んでいます。各々の地域における政治、経済、社会等の外部環境変化が顕在化した場合、お客様ニーズ、様々なコスト、駐在員や出張者の安全、サプライチェーン等に影響を与える可能性があります。具体的には、以下に掲げるいくつかのリスクが内在しています。   ・規制、税制、産業政策、通商政策等の政策的側面  ・景気、インフレ、失業率等の経済的側面  ・犯罪、誘拐、テロリズム、暴動、ストライキ等の社会的側面  ・戦争、地域紛争、主要国間対立、経済制裁措置等の地政学的側面  これらリスクへの対策として、本社/事業部門、関係会社等における日々の情報収集とともに外部専門機関を活用した情報収集を実施しています。また、外部環境変化に伴うお客様ニーズの変化をタイムリーに把握し、迅速かつ的確なお客様サポートができるようソリューションを充実させています。 (金融市場の変動に係るもの) 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、事業活動において多数の通貨を使用しています。為替市場の急激又は大幅な変動により、製品の競争力の低下、調達コストの上昇等の影響が考えられます。為替レートの変動に対応するため、為替予約契約の締結等を行っています。 当社グループが保有する資産および負債にかかる金利の変動は、利息の増減や資産等の価値に影響を与える可能性があります。また、保有株式等の価格が下落した場合、評価損の計上による業績への影響、資本効率の低下に伴う財政状況への影響が考えられます。政策保有株式については、すべての政策保有株式を対象に、毎年取締役会において、中長期的な観点からその保有目的、経済合理性等について妥当性を判断しています。必要最低限の保有という考え方に立ち、縮減を図っています。 (2) 戦略に関するリスク(市場・競合環境に係るもの) ① コスト競争力 積極的な事業展開を進める中で、新設や近代化などプロジェクト案件での競争は激化しており、コスト低減要求が益々強まると同時に、資源国・新興国において自国優先的な姿勢が強まり、製品生産や雇用および役務を含む調達の現地化要求が高まっています。コスト競争力強化に取り組んでいますが、これら市場の要求する製品やサービスおよび販管費を含めたコスト低減要求に効果的に対応できない場合は、ビジネス機会を逸するリスクがあります。 ② デジタル技術の利活用による競争優位性の確立 デジタル技術を活用したバリューチェーンおよびライフサイクル全般にわたるビジネスプロセスでの飛躍的な生産性向上の実現に対する要求が高まっています。これにビジネスとして応え、競争優位性を確立していく必要があります。当社グループはこれを事業成長の機会と捉え、自社はもちろんのことお客様を中心に幅広い領域でのデジタルトランスフォーメーションによる新たな価値創造の実現に取り組んでいます。新技術に追随できない場合や、これら市場の要求に十分に対応できない場合は、ビジネス機会を失うリスクがあります。 ③ 市場ニーズに合わせたビジネスモデル変革の実現 社会の変化、技術革新などにより、新たなビジネスモデルが数多く創造されている中で、当社グループのお客様においても、サブスクリプション型ビジネスなど、初期導入コストの低減や導入後の運用・保守の柔軟性に対する要求が大きくなっています。当社グループとしても成果報酬型ビジネスやサービス提供型のリカーリングビジネスの実現に取組むなどビジネスモデル変革を進めています。今後も多様な変化を見せる新たな市場ニーズに十分に応えられない場合や、当社グループの取り組みに遅れが出た場合は、ビジネス機会の逸失につながるリスクがあります。 ④ 気候変動への取り組みによる市場環境の変化 気候変動の取り組みに対する社会の要求が高まり、当社グループのお客様の戦略に影響を与えています。主要なお客様であるエネルギー関連企業では、長期的視点でのエネルギーシフト等環境変化に対する取り組みの検討を進めていると認識しています。当社グループは、このような変化を事業機会と捉え、市場環境の変化への対応を進めていますが、そのようなお客様の変化に対応できない場合や、当社グループの取り組みに遅れが生じた場合は、ビジネス機会を逃すリスクがあります。(戦略投資に係るもの) 当社グループは、主に新事業・新分野への進出のための戦略的成長投資を重点的に強化しています。技術、販路、製品・サービス、お客様、人財・ノウハウなどを獲得するためのM&Aやアライアンスを行っていますが、予期せぬ環境変化や取得した資産や機会を十分に活用できずビジネスが迅速に立ち上がらない可能性があります。また、被買収企業との経営、業務、意識等の統合に失敗した場合に、想定した成果をあげられないリスクがあります。 このリスクへの対策として、被買収企業の発掘から投資後の取り組みを効果的に行うためのガイドラインを策定し関係者に周知しています。案件の発掘から投資に至るプロセスの確実な実行と評価・検証精度の向上、投資後の迅速なビジネス立上げに向けて、プロジェクト推進体制の強化を図っています。また、それを支える専門人財の確保・育成・活用にも取り組んでいます。(研究開発に係るもの) 当社グループは、計測・制御・情報の基礎研究、先端技術およびIIoTやAI等のデジタル技術開発をもっとも重要な経営課題として位置づけ、将来を見据えた新技術開発を継続的に推進しています。また国際規格や国際標準の変化に適応し、SDGsに代表される持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化しています。しかし、研究・開発投資が将来市場のニーズや目標に予定通り適合せずビジネス機会を確保できないリスクがあります。 また、競争力を維持するための製品技術やサービス革新の研究開発投資も継続的に行っていますが、成長可能性を持った製品やサービス分野の市場動向の把握ができなかった場合、研究開発投資が成功しないリスクがあります。加えて、市場に合致しても研究開発投資が革新的な技術を生み出さない、又は想定した成果をあげられないリスク、および競合他社に技術開発を先行されてしまうリスクがあります。(人財の確保・育成に係るもの) 当社グループの成長の源泉は、最先端の技術を支える人財や、高い品質を支える技能者等の有能な人財によって支えられています。特に、ソリューション提案能力を持つ人財、プロジェクトマネジメント能力とエンジニアリング能力を持つ人財、また、AI、デジタル技術、当社が進めている新規事業に関する技術と知見を有する人財の重要性が高まっていますが、将来において必要人財の確保や育成が計画通り達成できないリスクがあります。このような場合は、当社グループの効果的な事業運営や戦略の遂行に影響を及ぼします。 このようなリスクへの対策として、社員に成長の機会を提供し、活躍しやすい環境を整備することでリスク低減に努めています。また、人事制度・プロセスのグローバル統一化と、それらを効率的に運用するための人事ITシステムの活用を進めています。事業戦略に沿った人財ポートフォリオを定義し、各事業戦略に必要な人財の育成と獲得により人財リソースのグローバルな最適化を図っています。 (人権に係るもの) 当社グループにおいて、ハラスメント、差別、劣悪な労働環境等の人権問題が発生した場合、被害者の心身の不調、訴訟の提起、取引の停止、企業イメージの低下等の影響が考えられます。 当社グループでは「YOKOGAWAグループ人権方針」を定めています。国連グローバル・コンパクトへの支持を表明しており、ここで謳われている人権の方針と国際的な人権規範を尊重しながら取り組みを進めています。サプライチェーンにおける人権への取り組みについても、強制労働・非人道的な扱い・児童労働・差別の禁止、適切な賃金、労働時間の法令順守や従業員の団結権についての指針を示しています。事業活動、サプライチェーン等で人権に負の影響を与える可能性を特定、防止、軽減し、どのように対処するかについて説明責任を果たすための人権デューデリジェンスを進めています。また、人権侵害を未然に防ぐ手段として、当社グループで働く人全てを対象とする「相談・通報窓口」を設け、人権に関わる通報に対して解決を図る体制を構築しています。(保有資産の価値低下に係るもの) 当社グループが保有している事業資産について、時価下落および収益性低下等に伴い資産価値が低下するリスクがあります。このような場合は、減損損失が発生するなど、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。 (3) オペレーションに関するリスク(コンプライアンスに係わるもの) 当社グループは、様々な法令および社会規範を遵守した事業活動を行う必要がありますが、法令違反や社会を騒がせるような不正行為が発覚した場合、行政罰、訴訟、企業イメージの低下をまねく可能性があります。 当社グループでは、コンプライアンスの基本原則を「YOKOGAWAグループ行動規範」として定めています。また、日常業務のなかで遭遇する問題について遵守すべき事項は、「YOKOGAWAグループコンプライアンスガイドライン」および「贈収賄防止規程」に定めています。また、コンプライアンスに係わる内部通報・相談窓口が設置・運用されています。社員への教育を推進するとともに、代表執行役社長がコンプライアンスファーストを宣言してコンプライアンス経営を強力に推進しています。(製品の品質に係るもの) 当社グループは、長年にわたる技術およびノウハウの蓄積と厳格な品質管理体制の展開により、お客様に対して高い信頼性を備えた製品およびサービスを提供していますが、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が内在する、また、その欠陥に起因してお客様に損害を与えるリスクがあります。このような場合には、当社グループの事業活動全般に影響が広がり、企業イメージの低下とともに重要なお客様との取引を失う可能性があります。 当社グループでは、「品質第一」を基本精神とし顧客満足を最優先に考えた取り組みを行っています。国際規格に準拠した品質マネジメントシステムを運用し、開発・設計から製造・販売・サービスに至るまでの全プロセスで品質管理を徹底しています。また、社員が「品質第一」の心をもち、グループ共通のルールや考え方のもとで継続的な品質改善を目指した取り組みを行っています。(調達および供給に係るもの) 大規模な自然災害、戦争や地域紛争、鉱物資源の調達不能、重要なサプライヤーの事業中断等に起因するサプライチェーンの混乱により、電子部品等の調達や重要製品の製造が困難な状況となった場合、製品の供給に遅延や停止が発生するリスクがあり、お客様との契約違反や取引の停止に陥る可能性があります。 部品等の調達に係わるリスクに対しては、主要な電子部品等の市況動向を日頃から情報収集して安定調達に努めるとともに、調達先の品質・納期等の管理を徹底し、特定の調達先への過度の集中・依存をさけるべく調達先の分散化等を進めています。(プロジェクトマネジメントに係るもの) 当社グループの事業において、特に製品・エンジニアリング・ソリューション・サービス・他社製品を一括してお客様に提供する形態であるプロジェクト型のビジネスでは、プロジェクトマネジメントの確実な実行が求められます。受注に至る過程での採算見積りや納期までの採算管理の精度の向上、生産・品質管理の徹底など、不採算案件の発生を防止する取り組みを行っていますが、想定した見積りからの乖離や、採算・生産・品質等の管理において問題が発生した場合、サプライチェーンの混乱により製品の調達や供給が困難となった場合、予期せぬ原価の発生や納期遅延等に伴う賠償責任を課されるリスクがあります。(知的財産権に係るもの) 当社グループは、自社製品及びサービスの開発の中で知的財産権の保護と他社の権利の侵害防止に万全な管理体制を展開していますが、当社グループの知的財産権が第三者から侵害を受け期待した収益が得られないリスクがあります。また、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされた場合は、重要な技術が使用できない不利益に加え賠償責任を課されるリスクがあります。 当社グループでは、知的財産ポートフォリオに基づいた管理を行っています。発明の創出・権利化、M&A・出資における知的財産デューデリジェンス等、効果的かつ効率的なリスク評価と知的財産の獲得を進めています。ポートフォリオに基づく知的財産活動の強化のために、知的財産管理システムを導入し国内外の外部リソース(特許事務所等)との連携を図っています。また、社員の特許リスク感度の強化を促し他者特許侵害の未然防止を目的とした教育を実施しています。(情報セキュリティに係るもの) 当社グループは、事業活動を通して、お客様や取引先の個人情報および機密情報を入手することがあります。当社グループへのサイバー攻撃、社員の不正行為等によりこれらの情報が流出する、また、それが悪用されるリスクがあります。そのようなリスクの影響として、賠償責任の負担、取引の停止、企業イメージの悪化等が考えられます。 当社グループは、情報セキュリティ推進体制を確立し、情報セキュリティ対策に取り組んでいます。ISO27001の考え方をベースに情報セキュリティ活動を展開し、施策・運用の実施状況を評価して必要な改善を行っています。また、情報セキュリティ担当役員を委員長とし製品を含めた各分野のサイバーセキュリティ担当者で構成される情報セキュリティ委員会を設置しています。グループ内での情報共有や最新動向の把握に努めサイバー攻撃への対応力を高めています。(自然災害に係わるもの) 気候変動により勢力を強めた風水災、大規模地震、大規模な噴火等の自然災害が発生し、当社グループの物的・人的リソースに甚大な被害が生じた場合の事業中断リスクが考えられます。当社グループの重要な機能・業務が停止し復旧が遅れた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 当社では、経営に重大な影響をあたえる危機が発生した場合、代表執行役社長を委員長とする危機管理委員会にて対応を行います。自然災害発災直後の初動対応をガイドラインとして整備し、社員や組織に求められる行動を明確にしています。また、事業継続計画(BCP)の整備を進めており、重要な業務・機能の復旧策や代替策の策定を推進しています。策定したBCPの有効性・実効性を高めるためのBCP訓練を定期的に実施して課題を抽出し、BCPの継続的改善を図っています。(自然や生物多様性に係わるもの) 当社グループの事業活動は、自然からの恵みに依存するとともに自然に少なからず負荷を与えます。当社グループのバリューチェーン全体においては、調達プロセスにおける資源採掘による土地改変、使用プロセスにおける温室効果ガス排出に伴う温暖化や干ばつ等の気候変動、廃棄プロセスにおける水質汚染等により自然や生態系にインパクトを与える可能性があります。 当社グループは、グループ環境方針で生物多様性の課題に取り組むことを定め、自治体やNPO等と連携して保全活動を行っています。また、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)提言に賛同し、TNFD提言に基づく情報開示を行う意向を表明しました。TNFDが開発したアプローチに沿って自社操業における依存と影響ならびにリスクと機会について分析を行い、自然に対する悪影響やリスクを軽減するための対策を検討しています。 事業等のリスクやサステナビリティ全般に関するリスク管理に関連するもののうち、特に重要な「気候変動への取り組み」、「TCFDへの賛同」、「人権尊重」についての考え方や取り組みは、サステナビリティレポート及びYOKOGAWAレポートにその詳細を掲載しています。サステナビリティレポート: https://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/sustainability/report/YOKOGAWAレポート    : https://www.yokogawa.co.jp/about/ir/shiryo/annual-ja/

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