事業の概要
- コレットチャック製造販売エーワン精密は、主にCNC自動旋盤で使用されるコレットチャックやガイドブッシュという部品を製造・販売しています。これらは棒状の材料を掴んで回転させ、切削加工する際に不可欠な工具で、機械が稼働中は繰り返し開閉するため、高い精度と耐久性が求められます。加工する部品に合わせて仕様変更も多く、設計から製造、迅速な納期対応まで一貫して行い、顧客の信頼を得ることで収益を上げています。
- 切削工具の再研磨と製造マシニングセンターなどで使われる切削工具の再研磨サービスを提供しています。摩耗した工具を新品同様に研磨し、新品購入よりも低価格かつ短納期で提供することで顧客のコスト削減に貢献しています。また、市販品にはない特殊な形状の切削工具を顧客の要望に応じて設計・製造・販売することも行っており、加工効率化や工程短縮に寄与することで収益を得ています。
- 自動旋盤用カムの製造販売カム式自動旋盤という機械で使用されるカムの製造・販売も行っています。カムは、CNC自動旋盤とは異なり、形状に合わせて材料や切削工具を機械的に制御し、部品を大量生産するのに適した仕組みです。この事業は同社の祖業であり、カムの供給メーカーが減少する中で、既存顧客の需要に応え続けることで事業を継続し、収益の一部を構成しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- コレットチャック事業この事業は、主にCNC自動旋盤で使用されるコレットチャックやガイドブッシュという、材料を掴み回転させるための工具を製造・販売しています。これは同社の主力事業であり、最新年度の売上は11.06億円、営業利益は4.06億円と、最も高い収益を上げています。高い精度と耐久性が求められる消耗品であり、顧客の多様なニーズに応える設計・製作能力が強みです。
- 切削工具事業この事業では、マシニングセンターなどで使われる市販切削工具の再研磨や、顧客の要望に応じた特殊切削工具の製造・販売・再研磨を行っています。最新年度の売上は4.70億円、営業利益は0.13億円です。金属加工の高度化に伴い、再研磨や特殊工具の需要が増加していますが、価格競争の激化や設備投資によるコスト増が収益性に影響を与え、減損損失を計上しました。
- 自動旋盤用カム事業この事業は、カム式自動旋盤という機械で使用されるカムの製造・販売を行っています。これは同社の祖業ですが、カム式自動旋盤自体の生産が終了しているため、既存顧客からの注文のみとなっています。最新年度の売上は0.14億円と最も小さく、営業利益は-0.03億円と赤字傾向が続いています。需要の減少が課題であり、事業継続の責任を果たす形で運営されています。
2025-06 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ColletChucks | 事業 | 11 | 4 | 36.8% |
| CuttingTools | 事業 | 5 | 0 | 2.9% |
| CamForAutomaticTurningMachines | 事業 | 0 | -0 | -24.5% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社の事業内容は、小型自動旋盤等で用いられるコレットチャック等を製造、販売するコレットチャック部門、各種切削工具の再研磨加工受託及び特殊切削工具の製造、販売を行う切削工具部門、小型自動旋盤用カムの設計、製造、販売を行う自動旋盤用カム部門、の三つのセグメントで構成されております。 a コレットチャック部門当部門は、主にCNC自動旋盤に使用されるコレットチャック・ガイドブッシュ、専用機で使用されるコレットチャックの製造、販売を行っております。CNC自動旋盤は、4mぐらいまでの棒状の材料を回転させ切削工具を当てて削ることで部品を加工する工作機械です。コレットチャック・ガイドブッシュともに内側に材料を把握するための穴をあけた、丸い筒状の工具です。棒状の材料を掴み回転させたり、振れを抑えるために使用される工具であります。材料を掴むために締めたり、材料を動かすために緩めたりします。機械が稼働している間、断続的に開閉を繰り返しているため繰り返し精度と耐久性が求められる工具であります。CNC自動旋盤では、一度設定すると数mの棒状材料がなくなるまで自動で同じ部品を加工し続けるため、工具の信頼性が重要となります。また、加工する部品の難易度に応じてコレットチャック・ガイドブッシュの仕様を変更することもあるため、工具の設計や製作において対応の柔軟性と完成した工具の信頼性、納期の迅速性などが求められてきます。当部門では、50年を超える実績と経験の積上げにより、加工に適した工具の設計、製作に注力して、顧客から信頼される工具の提供に努めております。 b 切削工具部門当部門は、主にマシニングセンターで使用される市販切削工具の再研磨と顧客仕様の別注切削工具の製作・販売、再研磨を行っております。市販切削工具の再研磨は各メーカーが販売し、マシングセンターやフライス盤で使用され摩耗した切削工具を新品同様に再研磨するものであります。新品工具メーカーが刃付けに使用しているのと同等の高精度研削盤を導入して、メーカーと同じレベルで再研磨して、メーカーでの再研磨に比較して価格を抑え、納期を短縮して顧客へ提供しています。別注切削工具の製作・販売、再研磨は、市販品にない形状や数本の工具を集約した形状の切削工具を製作することで、顧客企業の加工効率化や加工工程短縮に寄与するものであります。別注切削工具の製作については、合理的な価格で納期を短く対応することで、顧客企業に利便性の高いものとするように努めております。 c 自動旋盤用カム部門当部門は、カム式自動旋盤のカムの製造・販売を行っております。カム式自動旋盤は、CNC自動旋盤と基本的な構造は同じですが、CNCはコンピューターで切削工具を制御しているのに対して、カム式自動旋盤はカムと呼ばれるいろいろな形状をした板状の工具を装着して、そのカムの形状に合わせて材料や切削工具が制御されて棒状の材料を削り、部品を作る機械仕掛けの仕組みになっております。複数枚のカムが1回転すると部品が1つできます。1部品の加工時間が短く同じ部品を大量生産するのに適した機械であります。カム式自動旋盤を保有する顧客から受注しています。カムの供給メーカーがほとんどなくなりましたが、当社の祖業であり、事業基盤を確かなものとできた事業であるため、できる限りメーカーの供給責任を果たすために事業を継続しております。 当社の扱う機械工具は消耗品であるため、リピートオーダーにより継続的な受注が可能となります。顧客が必要となったときに注文を入れてきて、注文に合わせて製作・再研磨をする受注生産となっています。そのため当社の営業活動は、事業展開や特徴、技術面での優位性を広く知らしめることに主眼をおいていて、新規取引先の開拓と既存顧客の深堀りを行っております。 事業の系統図は次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 高品質、短納期で対応し、価格競争が激化する市場で競争力を維持 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 50年を超える実績と経験、高精度研削盤の導入、特殊切削工具の設計・製造ノウハウ |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 低い(分散) |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
会社が挙げる主要リスク:景気変動による受注への影響 / 切削工具部門での価格競争激化 / 自動旋盤用カム部門の受注減少と赤字継続
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 5 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
エーワン精密は、特定のブランド力や特許、規制ライセンス、独占的IPによる明確な無形資産の優位性は、公開情報からは確認できません。ニッチ市場での技術力は存在する可能性もありますが、定量的な評価は困難です。
スイッチングコスト★★☆☆☆
精密部品加工においては、顧客の要求仕様が厳格であり、一度取引が始まると仕様変更やサプライヤー変更のコスト(金型、治具、品質保証体制の再構築など)は無視できないレベルになる可能性があります。しかし、代替技術や競合の参入可能性も存在します。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
エーワン精密の事業モデルは、特定のプラットフォームやサービスにおけるネットワーク効果を生み出すものではありません。個別の顧客とのBtoB取引が中心であり、ユーザー数の増加がサービス価値を向上させる構造ではありません。
コスト優位★☆☆☆☆
精密部品加工業界全体として、自動化や効率化によるコスト削減努力は行われていますが、エーワン精密が構造的に他社よりも圧倒的に安価に生産・提供できるような、明確なコスト優位性を示す情報は確認できません。技術力による効率化の可能性はあります。
規模の経済★★☆☆☆
精密部品加工業界は多数のプレイヤーが存在する競争環境ですが、エーワン精密が特定のニッチ分野で一定のシェアを確保している可能性はあります。しかし、業界全体を代表するような寡占的な地位を築いているとは言えず、効率規模による優位性は限定的と考えられます。
- 年超の実績と信頼性コレットチャック部門では、50年以上にわたる実績と経験の積み重ねにより、加工に適した工具の設計・製作に強みを持っています。これにより、顧客から高い信頼を得ており、繰り返し精度と耐久性が求められる工具において、その品質と技術力は大きな競争優位となっています。信頼性の高い工具は、顧客が安心して自動加工を継続できる基盤を提供します。
- 高品質・短納期での対応力同社は、多品種少量生産や顧客ニーズに合わせた特殊な工具の製造において、「高品質、短納期」を実現することを重視しています。特にコレットチャック部門では、顧客仕様のオーダー品が増加する中で、高品質を維持しつつ迅速な納期で製作する能力が強みです。切削工具部門でも、市販品にない特殊工具を短期間で設計・製造できる柔軟性が顧客の加工効率化に貢献しています。
- 消耗品による継続的な受注同社の扱うコレットチャックや切削工具は消耗品であるため、顧客からのリピートオーダーによる継続的な受注が見込めます。顧客が必要となった時に注文する受注生産体制であり、同社の営業活動は、事業内容や技術的優位性を広く知らしめ、新規顧客開拓と既存顧客との関係深化に注力しています。これにより、安定した事業基盤を築き、持続的な収益源を確保しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 当社の経営方針は、ものづくりの世界で必要とされる機械工具を適時提供することで顧客より対価を得て、企業として適正な利潤を上げ、株主に対して適切な還元を続けていくことであります。製造業の加工分野において幅広く行われていて、重要な位置をしめる切削工程で使用される機械工具に的を絞り、顧客の要求に細かく対応することで、受注の確保を図っております。機械工具の中でも、精密部品加工に使用される工具を中心にして、工具の種類が多く、少量の注文が大半で、工具製作に手間と技術を要する、いわゆる多品種少量生産品のニッチ分野に特化しております。大手メーカーが注力して対応するほど市場規模が大きくなく、毎日一定量の受注が入り、それなりの規模の設備と加工者の熟練度が必要であります。あらゆる業種の精密部品の切削加工において少しずつ使用される工具で、精度が重要であり、使用していくうちに消耗し、いずれは補充が必要となります。当社は、顧客の要求する品質と納期を充足することでリピートオーダーが確保でき、比較的安定した受注が可能となっております。長年にわたりニッチ分野の機械工具に特化してきたことで、熟練社員も多くなり生産効率が上がり、累計設備台数も多く償却費も低減してきて、固定費が抑制されていること、長期にわたり積み上げた顧客基盤を確保していることで、安定した受注が確保できれば、他社に比べて高い利益率を達成できる体制が確立しております。 当社を取り巻く経営環境は、常に変化しております。当社のコレットチャック部門、自動旋盤用カム部門で製造しているコレットチャック、自動旋盤用カムは、主に小型自動旋盤で使用される工具であり、小型精密部品の量産加工で使用されています。小型精密部品は、汎用品から精密さを要求される高度なものまで多岐にわたります。今後は、より一層加工難易度の高い、複雑で精密さを要求される部品が増加すると思われます。切削工具部門で受託している市販切削工具の再研磨、特殊切削工具の製造は、小型精密部品加工から大物部品加工まで、また単品ものから量産部品加工まで幅広く使用されています。 コレットチャック部門、自動旋盤用カム部門及び切削工具部門は、不特定多数の顧客から、様々な種類の工具を、少量ずつ受注することが多く、その要求に対応できる生産体制の整備、設備揃え、生産ノウハウの醸成、人材の確保・育成などが重要になっております。また、近年顧客からの工具の仕様・形状・精度などの要求がますます高度化する傾向であり、これらの要求に対応するため、新規の高精度設備の導入、既存設備のメンテナンス、加工精度向上の探求、加工者のスキルアップ、人材育成、多岐にわたる顧客ニーズを充足しつつ短納期対応するための生産効率化が重要となっており、この課題に取り組んでおります。 当社の優先的に対処すべき事業上の課題は、まさにこの点であり、これらの課題に取り組むことで、既存顧客からのリピートオーダーの獲得、加えて新規顧客からの受注が獲得できる可能性が高まります。常に変化する事業環境の中で、競争力を確保・向上させ、受注を確保し続けるために、安定した財務基盤を活用して、機動的な設備投資や人材の確保・育成を行ってまいります。財務上では、適切な投資を適時実施するとともに、着実な株主還元を行い、投資と株主還元のバランスをとることを課題としております。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 当社の経営方針は、ものづくりの世界で必要とされる機械工具を適時提供することで顧客より対価を得て、企業として適正な利潤を上げ、株主に対して適切な還元を続けていくことであります。製造業の加工分野において幅広く行われていて、重要な位置をしめる切削工程で使用される機械工具に的を絞り、顧客の要求に細かく対応することで、受注の確保を図っております。機械工具の中でも、精密部品加工に使用される工具を中心にして、工具の種類が多く、少量の注文が大半で、工具製作に手間と技術を要する、いわゆる多品種少量生産品のニッチ分野に特化しております。大手メーカーが注力して対応するほど市場規模が大きくなく、毎日一定量の受注が入り、それなりの規模の設備と加工者の熟練度が必要であります。あらゆる業種の精密部品の切削加工において少しずつ使用される工具で、精度が重要であり、使用していくうちに消耗し、いずれは補充が必要となります。当社は、顧客の要求する品質と納期を充足することでリピートオーダーが確保でき、比較的安定した受注が可能となっております。長年にわたりニッチ分野の機械工具に特化してきたことで、熟練社員も多くなり生産効率が上がり、累計設備台数も多く償却費も低減してきて、固定費が抑制されていること、長期にわたり積み上げた顧客基盤を確保していることで、安定した受注が確保できれば、他社に比べて高い利益率を達成できる体制が確立しております。 当社を取り巻く経営環境は、常に変化しております。当社のコレットチャック部門、自動旋盤用カム部門で製造しているコレットチャック、自動旋盤用カムは、主に小型自動旋盤で使用される工具であり、小型精密部品の量産加工で使用されています。小型精密部品は、汎用品から精密さを要求される高度なものまで多岐にわたります。今後は、より一層加工難易度の高い、複雑で精密さを要求される部品が増加すると思われます。切削工具部門で受託している市販切削工具の再研磨、特殊切削工具の製造は、小型精密部品加工から大物部品加工まで、また単品ものから量産部品加工まで幅広く使用されています。 コレットチャック部門、自動旋盤用カム部門及び切削工具部門は、不特定多数の顧客から、様々な種類の工具を、少量ずつ受注することが多く、その要求に対応できる生産体制の整備、設備揃え、生産ノウハウの醸成、人材の確保・育成などが重要になっております。また、近年顧客からの工具の仕様・形状・精度などの要求がますます高度化する傾向であり、これらの要求に対応するため、新規の高精度設備の導入、既存設備のメンテナンス、加工精度向上の探求、加工者のスキルアップ、人材育成、多岐にわたる顧客ニーズを充足しつつ短納期対応するための生産効率化が重要となっており、この課題に取り組んでおります。 当社の優先的に対処すべき事業上の課題は、まさにこの点であり、これらの課題に取り組むことで、既存顧客からのリピートオーダーの獲得、加えて新規顧客からの受注が獲得できる可能性が高まります。常に変化する事業環境の中で、競争力を確保・向上させ、受注を確保し続けるために、安定した財務基盤を活用して、機動的な設備投資や人材の確保・育成を行ってまいります。財務上では、適切な投資を適時実施するとともに、着実な株主還元を行い、投資と株主還元のバランスをとることを課題としております。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。(1) 経営成績の状況当期におけるわが国経済は、世界各地の政情不安、地域紛争、貿易関税問題などの影響を受けて先行き不透明感が高まり、方向感の定まらない展開となりました。世界の状況を見ると、一時の急速なインフレ率上昇が落ち着き欧州では緩やかに景気が回復傾向になり、米国では個人消費が比較的堅調で底堅い動きとなり景気動向も好調を維持しており、中国では長引いた景気低迷から回復傾向となっています。中国を除くアジアでは景気状態は低調な国が多く本格的な回復とはなっていません。ここにきて米国の貿易関税交渉で各国は今後の展開を見定めようと様子見となって、景気動向は不安定となってきて影響が出てきています。日本国内製造業では、貿易関税の影響が心配されていた自動車生産において、EV車の伸び悩みでハイブリッド車部品加工が増加するなど量産部品は一定量ありました。AIやその関連分野の増加で、半導体、電子部品などは堅調に推移しました。一方で設備や工作機械は、海外向けは好調でありましたが、日本国内向けは、今後の動向を見極めようとする状態のなかで、大手企業の設備投資抑制などにより、低調な動きとなりました。世界経済の先行き不透明感の高まりにより、大手企業が生産調整や設備投資抑制をしたために、中小企業へ出る仕事量は大きく減少して、国内製造業は全体的に低調となりました。当社においては切削工具部門で、別注切削工具の製作に力を入れて設備投資を多めにしてきましたが、営業体制強化が進まなかったこと、国内製造業の業況が改善しなかったことで、販売費及び一般管理費を加味した部門損益がマイナスとなったため、固定資産の減損を行い特別損失を計上いたしました。このような状況のなか、当期の売上高は1,590,845千円(前年同期比0.7%減)、営業利益は84,655千円(前年同期比48.6%減)、経常利益は119,781千円(前年同期比33.1%減)、当期純損失は221,288千円(前年同期は120,523千円の利益)となりました。 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。<コレットチャック部門>コレットチャック部門では、ハイブリッド車が堅調であった自動車は比較的好調でしたが、設備部品や工作機械、建機、精密部品などは受注の変動がありました。当期の受注は昨年7月と12月が少なく2、3か月周期で上昇・下降を繰り返し、前期並みの水準となりました。この結果、当セグメントの売上高は1,106,068千円(前年同期比0.1%増)、セグメント利益は406,498千円(前年同期比3.5%減)となりました。 <切削工具部門>複雑な加工や特殊な形状加工に使用される別注切削工具の製作・再研磨は、加工時間短縮、複雑形状加工への対応、問題解消のために工具を改良するなどの目的で使用されています。顧客に徐々に浸透しだして顧客数は増加傾向にありますが、国内製造業の設備稼働率が低下して、当社の受注も前年並みとなりました。売上高は144,814千円(前年同期比0.5%増)となりました。市販切削工具の再研磨は、大手企業の夏季休暇と年末年始に合わせて顧客企業の機械稼働率が低下し当部門の受注も昨年8月、今年の1月と下がりました。市販切削工具は標準的な切削加工で使用されるものであり、機械稼働率の高低が再研磨の量に繋がってきます。売上高は、325,618千円(前年同期比4.1%減)となりました。この結果、当セグメントの売上高は470,433千円(前年同期比2.8%減)、セグメント利益は13,545千円(前年同期比76.4%減)となりました。 <自動旋盤用カム部門>自動旋盤用カム部門では、国内外のカム式自動旋盤で加工する量産部品が減少しました。自動旋盤用カム部門は、国内のカム式自動旋盤ユーザーへのカムの供給責任を果たす使命で事業継続しており、対前期比で受注量は減少しましたが、今期は値上げが寄与して当部門の売上はやや増加となりました。この結果、当セグメントの売上高は14,344千円(前年同期比8.3%増)、セグメント損失は3,510千円(前年同期は5,220千円の損失)となりました。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。a. 生産実績当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。セグメントの名称当事業年度(自 2024年7月1日至 2025年6月30日)金額(千円)前期比(%)コレットチャック部門1,095,75797.0切削工具部門477,22198.0自動旋盤用カム部門14,344108.3合計1,587,32397.4 (注) 金額は販売価格によっております。 b. 受注実績当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。セグメントの名称当事業年度(自 2024年7月1日至 2025年6月30日)受注高(千円)前期比(%)受注残高(千円)前期比(%)コレットチャック部門1,090,34197.631,43066.7切削工具部門476,43799.017,697151.4自動旋盤用カム部門14,789111.7445―合計1,581,56898.149,57284.2 c. 販売実績当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。セグメントの名称当事業年度(自 2024年7月1日至 2025年6月30日)金額(千円)前期比(%)コレットチャック部門1,106,068100.1切削工具部門470,43397.2自動旋盤用カム部門14,344108.3合計1,590,84599.3 (注) 1 販売高で10%を超える主要な販売先はありません。2 最近2期における輸出販売高及び輸出割合は次のとおりであります。なお、( )内は総販売実績に対する輸出高の割合であります。輸出先前事業年度(自 2023年7月1日至 2024年6月30日)当事業年度(自 2024年7月1日至 2025年6月30日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)アジア韓国34,59125.546,32630.2中国(香港含む)36,84627.142,18427.5台湾39,21828.939,64925.9シンガポール11,8728.813,2108.6マレーシア9,8257.29,0885.9その他3,4262.52,7991.8合計135,780(8.5%)100.0153,257(9.6%)100.0 (2)財政状態の状況当期における財政状態につきましては、総資産は前期末比888,069千円減少し、8,058,590千円となりました。 主な内訳は次のとおりであります。(流動資産)当期末における流動資産の残高は、5,347,399千円(前事業年度末は6,569,229千円)となり1,221,829千円の減少となりました。これは、未収還付法人税等が45,911千円、未収還付消費税等が15,749千円、その他が5,843千円、売掛金が4,839千円増加しましたが、現金及び預金が1,241,238千円、前払費用が42,711千円、受取手形が12,515千円減少したこと等によるものであります。 (固定資産)当期末における固定資産の残高は、2,711,190千円(前事業年度末は2,377,430千円)となり333,760千円の増加となりました。これは、建物が194,304千円、機械及び装置が131,463千円、建設仮勘定が122,006千円、ソフトウェア仮勘定が47,745千円減少しましたが、投資有価証券が687,887千円、繰延税金資産が100,098千円、ソフトウェアが46,995千円、車両運搬具が2,226千円増加したこと等によるものであります。この結果、当期末における総資産は、8,058,590千円(前事業年度末は8,946,659千円)となりました。 (流動負債)当期末における流動負債の残高は、107,774千円(前事業年度末は210,657千円)となり102,882千円の減少となりました。これは、買掛金が3,218千円、未払費用が1,321千円増加しましたが、未払金が56,112千円、未払法人税等が29,896千円、預り金が16,962千円減少したこと等によるものであります。 (固定負債)当期末における固定負債の残高は、465,469千円(前事業年度末は547,549千円)となり82,080千円の減少となりました。これは、長期未払金が47,300千円、退職給付引当金が33,876千円、長期リース債務が904千円減少したことによるものであります。この結果、当期末における負債合計は、573,243千円(前事業年度末は758,206千円)となりました。 (純資産)当期末における純資産の残高は、7,485,347千円(前事業年度末は8,188,452千円)となり703,105千円の減少となりました。これは、自己株式処分差益が8,669千円、その他有価証券評価差額金が5,675千円増加し、自己株式の減少が5,490千円ありましたが、別途積立金が500,000千円、繰越利益剰余金が222,941千円減少したことによるものであります。 (3) キャッシュ・フローの状況当期における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、定期預金の純増減額995,703千円、減損損失446,739千円、減価償却費182,152千円、株式報酬費用56,415千円、利息及び配当金の受取額23,760千円、売上債権の増減額 7,675千円がありましたが、投資有価証券の取得による支出675,955千円、配当金の支払額500,820千円、税引前当期純利益△326,817千円、有形固定資産の取得による支出203,304千円、法人税等の支払額71,922千円、営業活動によるキャッシュ・フローその他69,818千円、退職給付引当金の増減額33,876千円を計上したこと等により、前期末に比べ 245,535千円減少し、当期末は433,389千円(前期末比36.2%減)となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当期の営業活動により増加した資金は、151,438千円(前期は、342,468千円の増加)となりました。これは、税引前当期純損失△326,817千円、法人税等の支払額71,922千円、その他69,818千円、退職給付引当金の増減額33,876千円、未払金の増減額33,286千円がありましたが、減損損失446,739千円、減価償却費182,152千円、株式報酬費用 56,415千円、利息及び配当金の受取額23,760千円、売上債権の増減額7,675千円があったこと等によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当期の投資活動により増加した資金は、104,751千円(前期は、138,938千円の減少)となりました。これは、投資有価証券の取得による支出675,955千円、有形固定資産の取得による支出203,304千円、無形固定資産の取得による支出10,722千円ありましたが、定期預金の純増減額995,703千円があったこと等によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当期の財務活動により減少した資金は、501,725千円(前期は、500,295千円の減少)となりました。これは、配当金の支払額500,820千円、リース負債の返済による支出904千円があったことによるものであります。 資本の財源及び資金の流動性に関する情報資本の財源及び資金の流動性については、換金性の高い現預金等の内部留保を活用し、主に営業サイクルにおける資金と設備投資における資金を捻出しております。当面必要とされる事業資金、設備投資は、現状で充足できております。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。財務諸表の作成に当たって用いた会計方針のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
事業リスク
- 景気変動と機械稼働率の影響同社の事業は、製造業の切削加工で使用される消耗工具の製造・販売・研磨が中心です。そのため、顧客企業の機械稼働率の変動が直接的に受注量に影響を与えます。景気の状態や機械業界の動向が大きく変動する場合、同社の業績も同様に影響を受ける可能性があります。特に主力であるコレットチャック部門も、景気変動の影響を大きく受けてきました。
- 価格競争の激化と技術革新切削工具部門では、市販切削工具の再研磨市場において競合企業が増加し、価格競争が激化しています。今後さらに価格競争が進む場合、受注や収益に影響を及ぼす可能性があります。また、将来的に旋削加工工程が不要になるような技術革新が起きた場合や、切削加工の変化により再研磨自体が減少する可能性もあり、事業構造に大きな影響を与えるリスクがあります。
- 特定事業の需要減少と赤字傾向自動旋盤用カム部門は、カム式自動旋盤自体の生産が終了しているため、既存顧客からの注文のみとなっています。生産される部品も量産品が中心で、一度カムを取り付けると補充需要が少なく、受注は年々減少傾向にあります。特に直近1年間で大きく減少し、売上が増加しない限り部門損益は赤字が継続する傾向にあり、会社全体の収益に影響を与える可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1) 事業の特徴について当社は、幅広い層の顧客に対して製造業の切削加工で使用される消耗工具の製造・販売及び研磨を行っております。事業の対象が切削加工で使用される消耗工具であるため、顧客企業の機械稼働率の多寡により当社の受注も変動します。将来の業績も景気の状態や機械業界の動向などによっては同様な影響を受ける可能性があります。 当社の事業の方針は、①多品種少量生産向きで ②確実に需要が見込まれ ③既存のメーカーが顧客ニーズに充分対応できていない機械工具に対象を絞り、「高品質、短納期」を実現し、顧客からの信頼、リピートオーダーの獲得を重視し、業界での高シェアの確保を目指すというものであります。当社の扱う機械工具は消耗品であるため、リピートオーダーによる継続的な受注が可能となります。受注に関してコレットチャック部門、自動旋盤用カム部門は、顧客が必要に応じて注文をしてくる完全な受注生産となっております。そのため営業活動は、当社が標準品・特殊品ともに様々な加工に合わせて対応が可能であることを広めることを主眼としております。そうすることで顧客が必要になったときに、当社へ発注や相談がくる流れを作ることに力を入れております。切削工具部門では、対象となる市場は広く顧客開拓余地は大きいため、当社の事業内容、品質と納期対応、市販にない工具でも設計から製作まで短い期間で対応することを広く知らしめるための営業活動を行っております。 ① コレットチャック部門について当社の主力製品のスプリングコレットチャックは、小型自動旋盤による金属旋削・切削加工の大半の局面で使用される消耗工具であり、通常の景気循環の中では比較的安定した受注が見込まれます。顧客層が広範な業種に亘り顧客数が多いため、一定の受注量は確保しておりましたが、ここ数年の景気変動局面ではその影響を大きく受けてきました。今後も景気が大きく変動する場合、その影響を受ける可能性があります。CNC自動旋盤の主力メーカーである国内3社の年間新規販売台数の大半は、海外への輸出となっています。国内外ともに近年部品加工が高度化してきており、コレットチャックの受注も標準品に加えて顧客仕様のオーダー品が増加してきています。当社は高品質を維持しながら顧客の求める仕様のコレットチャックをできるだけ短い納期で製作することで、着実に受注を確保していくことに注力しております。国内外で当社のコレットチャック部門の対応力の高さを広めることを主眼に営業活動を行っております。この対応がうまくできない場合は、受注が確保できない可能性があります。 また将来、技術革新等により旋削加工工程が必要でなくなった場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。 ② 切削工具部門について当社は、切削工具部門において市販切削工具の再研磨及び特殊切削工具製造・再研磨を行っております。市販切削工具の再研磨は、金属加工の高度化、複雑化に伴い超硬工具の普及が加速し、自社研磨から外部の専業研磨会社へ外注するケースが増加しております。この流れを捉え当社は1999年8月に事業展開を開始いたしました。事業開始から年数を重ね、一定の顧客基盤を確保しましたが、この間、競合企業も増加して価格競争が激化してきました。今後、さらに価格競争が進む場合は、当社の受注に影響を及ぼす可能性があります。また、切削加工の変化により使用する工具が変わり、再研磨自体が減少する可能性があります。切削工具部門においては、特殊切削工具の製造・販売・再研磨も行っております。製造業における部品の複雑化、材料の難削化、加工難易度の上昇により、市販切削工具で対応できない切削加工が増加しており、加工に応じたオーダーの特殊切削工具の需要が伸びてきております。特殊切削工具の製造は、一品一様であり、短納期対応が求められることが多く、大手メーカーでは対応が難しく、中小メーカーでは製造設備の調達、加工人員の熟練、人員の確保などでうまく対応できないことがあり、当社の競争力が発揮できる分野ということで事業展開しています。特殊切削工具の製造は、設計と製造方法・工程の良否によって、その性能が大きく左右されます。 当社が的確に顧客ニーズに対応できない、業界において知名度が高まらないなどの場合、受注に影響を及ぼす可能性があります。なお、加工に応じたオーダーの特殊切削工具の需要に対応するため機械装置他の設備投資を行った場合には事業部門の損益及び将来キャッシュ・フローに影響を及ぼすことがあり、減損損失計上の要件に該当した場合には固定資産の減損損失を計上することにより当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。当事業年度においては、今まで新規の設備投資を継続してきたなかでコスト増加を吸収するための受注が伸び悩み、収益性が低下したことで、将来の事業が生じるキャッシュ・フローを見直した結果、当部門は減損損失を計上しました。 ③ 自動旋盤用カム部門について当社の自動旋盤用カムが使われるカム式自動旋盤自体が生産されておらず、国内外で現存するカム式自動旋盤を使用する顧客からの注文のみとなっています。生産される部品もロットの多い量産部品が中心で、一度カムを取り付けると当面は補充が必要なくなります。当社のカムの受注は年々減少してきており、特に直近一年は大きく減少しています。売上が増加しないかぎり部門損益は赤字の傾向が継続します。 (2) 海外市場依存度について当社の最近5期における輸出販売高比率は、下表のとおりであります。当社からの販売についてはすべて円建てで行っております。当社の輸出地域であるアジアの経済情勢、市場動向及び為替変動等によっては、輸出販売高に影響を与える可能性があります。製造業においては、世界的に分散した部品加工が、地政学リスク、貿易関税引上げ問題や輸出入の制限・禁止措置などにより、流通が滞る場合、当社の受注も影響を受けます。 区分第31期第32期第33期第34期第35期(当期)金 額比率金 額比率金 額比率金 額比率金 額比率(千円)(%)(千円)(%)(千円)(%)(千円)(%)(千円)(%)輸出販売高169,80910.2195,79010.5155,3248.8135,7808.5153,2579.6国内販売高1,500,04389.81,672,27089.51,599,93491.21,465,76991.51,437,58790.4合 計1,669,853100.01,868,061100.01,755,258100.01,601,549100.01,590,845100.0